【実施例】
【0031】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。なお、「部」は「質量部」を意味する。
【0032】
実施に際しては、以下のものを使用した。
【0033】
<レシチン>
AY:レシチンAY(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 19.8)
FA:レシチンFA(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 23.7)
CL:レシチンCL(株式会社J−オイルミルズ社製;ペースト状レシチン、大豆由来、酸価 26.1)
BE:ベネコート(花王株式会社製;酵素分解レシチン、大豆由来)
SA:SLP−パウダーA(辻製油株式会社製;分別レシチン、大豆由来)
RL:ライスレシチンオイル(築野食品工業株式会社製;ペースト状レシチン、米糠由来)
<油脂>
大豆油(製品名:J 大豆白絞油NS、株式会社J−オイルミルズ社製)
菜種油(製品名:AJINOMOTO さらさらキャノーラ油、株式会社J−オイルミルズ社製)
コーン油(製品名:AJINOMOTO 胚芽の恵みコーン油、株式会社J−オイルミルズ社製)
綿実油(製品名:J 綿実油NS、株式会社J−オイルミルズ社製)
パームオレイン(ヨウ素価67、株式会社J−オイルミルズ社製)
<その他>
PGPR:ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(SYグリスター CR−ED、阪本薬品工業株式会社製)
SE:ショ糖エルカ酸エステル(リョートーシュガーエステル ER−290、三菱化学フーズ株式会社製)
【0034】
以下に、加熱処理したレシチン含有油脂の調製例を示す。
【0035】
<加熱処理の方法>
レシチン含有油脂を三口フラスコに加え、撹拌しながらオイルバスによる加熱をおこなった。所定温度になるまで加熱した後一定時間保温した。保温後、冷却して加熱処理レシチン含有油脂を得た。
【0036】
<吸光度の測定方法>
吸光度の測定には紫外可視分光光度計(UV−2450;株式会社島津製作所社製、1cmガラスセル)を用いた。ブランク測定には菜種油を用いた。調整例9−1の加熱処理レシチン含有油脂の吸光度は、菜種油で4倍に希釈してから測定し、その測定値を4倍して算出した。
【0037】
(加熱時間1)
表1に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表1に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。なお、調製例1−4のレシチン含有油脂の加熱処理後の吸光度(400nm)から加熱処理前の吸光度(400nm)を引いた値は0.952であった。
【0038】
【表1】
【0039】
(加熱処理時のレシチン濃度)
表2、3に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表2、3に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。また、調製例3−1のレシチン含有油脂の加熱処理後の吸光度(400nm)から加熱処理前の吸光度(400nm)を引いた値は3.787であった。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
(加熱温度)
表4に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表4に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。
【0043】
【表4】
【0044】
(加熱時間2)
表5に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表5に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。また、各レシチン含有油脂の加熱処理前後の吸光度(400nm)を測定した。
【0045】
【表5】
【0046】
(ベース油脂)
表6に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油等に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表6に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。
【0047】
【表6】
【0048】
(レシチンの種類)
表7に示す濃度になるよう種々のレシチンを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表7に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。
【0049】
【表7】
【0050】
(乳化剤添加)
表8に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表8に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。加熱処理レシチン含有油脂に表8に記載の乳化剤を添加し、乳化剤配合加熱処理レシチン含有油脂を得た。
【0051】
【表8】
【0052】
(香ばしさの評価)
表9に示す濃度になるようレシチンAYを大豆油に添加し、レシチン含有油脂を調製した。各レシチン含有油脂を表9に示す条件で加熱し、加熱処理レシチン含有油脂を得た。また、各レシチン含有油脂の加熱処理前後の吸光度(400nm)を測定した。
得られた加熱処理レシチン含有油脂1部に対し、菜種油3部を加えて、添加油を調製した。
【0053】
【表9】
【0054】
炊飯した米飯100部に対し、酢(醸造酢、株式会社MIZKAN社製)3部添加し、よく混ぜ合わせて酢配合米飯を得た。その後下記の材料で炒めて炒飯を作った。炒め油として、菜種油もしくはレシチン含有油脂(レシチンAY(1.25質量%)含有菜種油:加熱処理していないもの)を使用した。調理した炒飯99部に対して添加油1部を添加し混ぜ合わせた。電子レンジで温めた後、食して、香ばしさの有無について評価した。その結果を表10、11に示す。
(材料)
酢配合米飯 200g
卵 50g
長ネギ 10g
塩 少々
胡椒 少々
醤油 2g
炒め油 15g
(香ばしさの評価基準)
○:香ばしさを感じる
×:香ばしさを感じられない
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
実施例1〜6に示したように加熱処理レシチン含有油脂を含む油脂組成物を添加油として使用すると香ばしさが付与された。一方、比較例2、4に示したように、炒め油として加熱処理していないレシチン含有油脂を使用しても、香ばしさは付与されなかった。また、比較例4に示したように、加熱処理していないレシチン含有油脂を添加油として使用しても香ばしさが付与されなかった。