(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記含水水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る工程において、前記70℃以上の水と混合する直前の前記水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率が、30〜60質量%である請求項1に記載の粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられる。アルキルセルロースとしては、DSが1.0〜2.2のメチルセルロース、DSが2.0〜2.6のエチルセルロース等が挙げられる。ヒドロキシアルキルセルロースとしては、MSが0.05〜3.0のヒドロキシエチルセルロース、MSが0.0 5〜3.3のヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、DSが1.0〜2.2、MSが0.1〜0.6のヒドロキシエチルメチルセルロース、DSが1.0〜2.2、MSが0.1〜0.6のヒドロキシプロピルメチルセルロース、DSが1.0〜2.2、MSが0.1〜0.6のヒドロキシエチルエチルセルロースが挙げられる。なお、DSは、置換度(degree of substitution)を表し、セルロースのグルコース環単位当たりに存在するアルコキシ基の個数であり、MSは、置換モル数(molar substitution)を表し、セルロースのグルコース環単位当たりに付加したヒドロキシアルコキシ基の平均モル数である。DS及びMSは、第16改訂日本薬局方に基づき測定した値から算出できる。
【0011】
アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させるエーテル化工程で反応生成物として粗水溶性非イオン性セルロースエーテルを得ることができる。アルカリセルロースは、ウッドパルプやリンターパルプ等のパルプに水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物溶液を接触させることにより得ることができる。
アルカリ金属水酸化物溶液とエーテル化剤を併存させて、アルカリセルロースの生成と同時にエーテル化剤と反応させても良いし、アルカリセルロースの生成後にエーテル化剤と反応させてもよい。エーテル化剤としては、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、酸化エチレン、酸化プロピレン等の酸化アルキレンが挙げられる。
【0012】
粗セルロースエーテルは、洗浄・脱液工程を経て精製された水溶性非イオン性セルロースエーテルとなる。洗浄・脱液工程は、洗浄と脱液を別々に行っても同時に行ってよく、例えば、洗浄後に濾過又は圧搾を行ってもよいし、又は洗浄水を注ぎながら濾過又は圧搾を行ってもよい。
洗浄・脱液は、公知の技術を用いて行うことができる。例えば、粗セルロースエーテルに、好ましくは水、より好ましくは熱水(好ましくは85〜100℃)を加え、水溶性非イオン性セルロースエーテルの濃度として好ましくは1〜15質量%のスラリーを形成させ、これを脱液し、必要に応じ圧搾する。
脱液するための装置としては、減圧濾過器、加圧濾過器、遠心脱水機、フィルタープレス、スクリュープレス、V型ディスクプレス等を用いることができる。圧搾するための装置は、脱液するための装置と同様の装置を用いることができる。必要に応じ、脱液物に引き続き熱水を通過させ更に洗浄したり、濾過物又は圧搾物を再度スラリー化して脱液、圧搾したりすることができる。
【0013】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水を混合するとき、70℃以上の水と混合する直前の水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率は、脱液工程におけるエネルギー消費及び不純物の残留の観点から、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは40〜55質量%である。なお、含水率は、第16改訂日本薬局方の「乾燥減量試験法」に従って測定できる。
【0014】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水を混合するとき、70℃以上の水と混合する直前の水溶性非イオン性セルロースエーテルの温度は、水の分布又は後の冷却工程で過大な冷却エネルギー消費の回避の観点から、好ましくは50℃〜120℃、より好ましくは70℃〜100℃である。
【0015】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと混合する水の温度は、70℃以上であり、好ましくは70℃〜120℃、より好ましくは80℃〜100℃である。70℃を下回ると、水溶性非イオン性セルロースエーテルの塊の表面のみが溶解し、表面に高粘性のゲル状の膜を形成するため、塊の内部まで水が到達せず、水の分布が不均一となり、結果として未溶解の部分が繊維状の水溶性非イオン性セルロースエーテルとして残存し、嵩密度が劣る。120℃を超えると、後の冷却工程で過大な冷却エネルギーを消費する場合がある。
【0016】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水を混合して含水水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る。含水水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率が、好ましくは55〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、になるように、例えば、撹拌混合装置内に70℃以上の水を添加して撹拌混合する。55質量%を下回ると、嵩密度が高い粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得られず、90質量%を超えると、後の乾燥工程の際に過大なエネルギーを消費する。
含水水溶性非イオン性セルロースエーテルの温度は、水の分布又は後の冷却工程で過大な冷却エネルギー消費の回避の観点から、好ましくは50℃〜120℃、より好ましくは70℃〜90℃である。
【0017】
得られた含水水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率は、嵩密度の高い粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る観点から、70℃以上の水と混合する直前の水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率よりも、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上高い。含水水溶性非イオン性セルロースエーテルの含水率の増加の上限は、後の乾燥工程の際に過大なエネルギー消費の回避の観点から、好ましくは40質量%である。
【0018】
水溶性非イオン性セルロースエーテルは、好ましくは、撹拌混合装置内において、70℃以上の水を同時に接触させて撹拌混合される。すなわち、水溶性非イオン性セルロースエーテルの量に対し、撹拌混合後の含水率が好ましい範囲になるために必要な実質丁度な量の水を同時に出くわすように、同時に接触するのが好ましい。なぜなら、水溶性非イオン性セルロースエーテル又は水のいずれか一方がはじめに大量に撹拌混合装置内に存在し、もう一方をある速度を持って供給した場合、はじめに接触した部分の含水率が過大又は過小となり、水の分布が不均一になる場合があるからである。ただし、水溶性非イオン性セルロースエーテルがスクリューコンベア等の撹拌作用のある輸送設備で撹拌混合装置に供給される場合は、その輸送装置も撹拌混合装置の一部と見なし、輸送装置に70℃以上の水を添加することが可能である。
【0019】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと混合する70℃以上の水は、撹拌混合装置内に連続的に供給されるのが好ましい。なぜなら、水溶性非イオン性セルロースエーテルと混合する水とが、撹拌混合装置内で、同時に接触しやすくなるためである。
水を連続的に供給する方法としては、好ましくは、撹拌混合装置の入口又は内部に滴下、スプレーする方法が挙げられる。なお、滴下、スプレーする箇所は、1箇所又は複数個所に分けて行うことができる。
【0020】
撹拌混合装置内における70℃以上の水と混合された水溶性非イオン性セルロースエーテルの滞留時間は、水の分布の観点から、好ましくは1秒〜60分間、より好ましくは、1〜30分間、より好ましくは1〜15分間である。
【0021】
撹拌混合装置は、公知のものを用いることができる。例えば、リボン型混合機、スクリュー型混合機、ピン付きローター型混合機、パドル型混合機、複数パドル型混合機、プロシェア型混合機、双腕型ねっか機、コニーダー、ボテーター型ねっか機、セルフクリーニング型ねっか機、二軸混練機等である。
【0022】
撹拌速度は、水の分布又は撹拌のための消費電力の観点から、撹拌羽根の円周速度として好ましくは0.05〜50m/s、より好ましくは0.1〜20m/s、更に好ましくは0.1〜10m/sである。
【0023】
撹拌混合装置はバッチ式のものより、連続式のものが好ましい。なぜなら、水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水とが、撹拌混合装置内で、同時に接触しやすくなるためである。
撹拌混合装置は、適当な手段により保温又は加熱されるのが好ましい。例えば、断熱材で装置表面を覆ったり、撹拌混合装置としてジャケット付きのものを使用し、ジャケット温度を70℃以上に保つのが好ましい。なぜなら、添加した水が水溶性非イオン性セルロースエーテルに均一に行き渡る前に、温度低下により溶解が始まるのを防止できるからである。
【0024】
次に、得られた含水水溶性非イオンセルロースエーテルを冷却する。冷却後の含水水溶性非イオンセルロースエーテルの品温は、冷却エネルギー又は嵩密度が高い粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る観点から、好ましくは0〜40℃、より好ましくは1〜30℃である。
【0025】
冷却する方法は、公知の技術を用いることができる。例えば、冷却された伝熱面に接触させる方法、冷風に接触させる方法、気化熱を利用する方法を用いることができる。
冷却された伝熱面に接触させる方法により冷却する場合、冷却のための装置は、ジャケット付きのものを使用するのが好ましい。ジャケット温度は好ましくは40℃以下、より好ましくは−40℃〜30℃に保つのが好ましい。40℃を超えると、嵩密度が高い粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得られない場合がある。
【0026】
冷却のための装置内における滞留時間は、嵩密度が高い粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る観点から、好ましくは10秒〜60分間、より好ましくは、1分〜30分間、より好ましくは1〜15分間である。
冷却は、静置、撹拌冷却のいずれも可能だが、より効率的に冷却するためには撹拌冷却するのが好ましい。
【0027】
冷却のための撹拌速度は、撹拌のための消費電力又は含水水溶性非イオンセルロースエーテルの水分蒸発の観点から、撹拌羽根の円周速度として、好ましくは0.05〜50m/s、より好ましくは0.1〜20m/s、さらに好ましくは0.1〜10m/sである。
【0028】
撹拌冷却装置は、公知のものを用いることができる。例えば、リボン型混合機、スクリュー型混合機、ピン付きローター型混合機、パドル型混合機、複数パドル型混合機、プロシェア型混合機、双腕型ねっか機、コニーダー、ボテーター型ねっか機、セルフクリーニング型ねっか機、二軸混練機等である。
冷却のための装置は、バッチ式のものより連続式のものが好ましい。なぜなら、連続式の方が装置の大きさを小さくすることができるからである。
【0029】
水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水を混合して含水水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る工程と、得られた含水水溶性非イオン性セルロースエーテルを冷却する工程は、別々の装置で行っても、一つの装置内で行ってもよい。一つの装置内で行う場合、例えば、装置を2つ以上のゾーンに分け、少なくとも70℃以上の水を添加し撹拌混合するためのゾーンと、冷却のためのゾーンを含む。冷却のためのゾーンは、70℃以上の水を添加して撹拌混合するためのゾーンよりも後ろに配置される。70℃以上の水を添加して撹拌混合するためのゾーンには、好ましくは前記保温又は加熱するための手段を有し、冷却のためのゾーンには前記冷却のための手段を有する。
図1は、水溶性非イオン性セルロースエーテルと70℃以上の水を混合と、得られた含水水溶性非イオン性セルロースエーテルを冷却を、別々の装置で行う例を示し、
図2は、同一の装置内で行う例を示す。
図1は、水溶性非イオン性セルロースエーテル1と70℃以上の水2は、撹拌混合装置3に投入されて撹拌混合された後、冷却装置4で冷却されて、乾燥機若しくは粉砕機又は乾燥と粉砕を同時に行う乾燥粉砕装置5で処理されることを示す。
図2は、水溶性非イオン性セルロースエーテル1と70℃以上の水2は、冷却ゾーンを備えた撹拌混合装置6の撹拌混合するためのゾーン7に投入されて撹拌混合された後、撹拌混合装置6の冷却ゾーン8で冷却されて、乾燥機若しくは粉砕機又は乾燥と粉砕を同時に行う乾燥粉砕装置5で処理されることを示す。
【0030】
次に、公知の方法により、冷却後の含水水溶性非イオン性セルロースエーテルは、乾燥・粉砕工程を経て粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルとなる。乾燥・粉砕工程は、乾燥と粉砕を別々に行っても同時に行ってよく、例えば、乾燥後に粉砕してもよいし、又は乾燥と同時に粉砕を行ってもよい。
乾燥機としては、パドルドライヤー等の撹拌乾燥機、流動層乾燥機、バンド乾燥機等を用いることができる。
粉砕機としては、ボールミル、振動ミル、衝撃粉砕機、ローラーミル、ジェットミル等を用いることができる。
乾燥と同時に粉砕を行う方法としては、加熱ガスを冷却後の含水水溶性非イオン性セルロースエーテルとともに衝撃粉砕機に導入する方法が挙げられる。
乾燥、粉砕後の水溶性非イオン性セルロースエーテルは、必要に応じ、篩い分け、混合を行い、粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルを得る。
【0031】
粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルの平均粒子径は、流動性又は溶解速度の観点から、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μm、更に好ましくは50〜100μmである。平均粒子径は、JIS K0069化学製品のふるい分け試験方法の乾式機械ふるい分け法で測定することができる。
【0032】
水溶性非イオン性セルロースエーテル粉末の嵩密度は、ゆるめ嵩密度として、流動性又は溶解速度の観点から、好ましくは0.20〜0.60g/ml、より好ましくは0.25〜0.50g/ml、より好ましくは0.30〜0.47g/mlである。なお、「ゆるめ嵩密度」は、疎充填の状態の嵩密度をいい、直径5.03cm、高さ5.03cm(容積100ml)の円筒容器(材質:ステンレス)へ試料をJISの22メッシュ(目開き710μm)の篩を通して、上方(23cm)から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定できる。
【0033】
水溶性非イオン性セルロースエーテル粉末の20℃における2質量%水溶液粘度は、必要な粘度を得る観点から、好ましくは2〜600,000mPa・s、より好ましくは5〜300,000mPa・sが好ましい。なお、水溶性非イオン性セルロースエーテルの20℃における2質量%水溶液粘度は、第16改訂日本薬局方ヒプロメロースの粘度測定法第2法に基づき、単一円筒形回転粘度計ブルックフィールド型粘度計LV型を用いて測定できる。
【0034】
本発明によれば、粉末状水溶性非イオン性セルロースエーテルは、嵩密度が高いため、輸送や貯蔵スペースが削減される。また、優れた粉体流動性を有するため、例えばホッパーから粉末を投入する際に、ブリッジ等のトラブルを発生しにくい。更に、ホッパー等から粉末を供給する際の定量性や、供給先への充填速度が優れる。このため、医薬、食品用バインダー、崩壊剤、各種溶媒の増粘剤、建築材料用保水剤、押出成形におけるバインダーとして用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
撹拌混合装置として、スプレーノズル付き連続式プロシェア型ミキサーを、冷却装置として、ジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーを用いた。
<水分及び含水率>
第16改訂日本薬局方ヒプロメロースの乾燥減量の測定方法に従い、測定した。
<置換度>
第16改訂日本薬局方ヒプロメロースの置換度の測定方法に従い、測定した。
【0036】
<平均粒子径>
JIS K0069化学製品のふるい分け試験方法の乾式機械ふるい分け法を用いた。
篩は、上段より、それぞれ250μm、180μm、150μm、106μm、75μm、63μm、45μm、及び38μmの目開きを有するJIS標準篩の下に受器を有した。振盪機は、GRADEX G200−NF1型(ROTEX社製)を用いた。
試料50gを250μm篩上に載せ、篩振盪機にて20分間分級した。それぞれの篩及び受器上に残留した粒子の質量を測定し、各篩上の該粒子の質量割合(%)を算出した。受器から順に目開きの小さな篩上の該粒子の質量割合を積算していき合計が50%となる粒子径を平均粒子径とした。
【0037】
<ゆるめ嵩密度>
「ゆるめ嵩密度」は、疎充填の状態の嵩密度をいい、直径5.03cm、高さ5.03cm(容積100ml)の円筒容器(材質:ステンレス)へ試料をJISの22メッシュ(目開き710μm)の篩を通して、上方(23cm)から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定した。
<20℃における2質量%水溶液の粘度>
第16改訂日本薬局方ヒプロメロースの粘度測定法第2法に基づき、単一円筒形回転粘度計ブルックフィールド型粘度計LV型を用いて測定した。
【0038】
実施例1
内部撹拌機付き圧力容器内で、粉末状パルプ1.00質量部に対し、49質量%水酸化ナトリウム水溶液1.43質量部を加え、アルカリセルロースを製造した。これに、メトキシ基置換のために塩化メチル0.97質量部、ヒドロキシプロポキシ基置換のために酸化プロピレン0.24質量部を加えて60℃〜90℃の温度で、2時間反応させ、反応生成物(粗ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を得た。その後、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する質量比20、温度95℃の水を用いて粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを分散し、濾過により洗浄ケーキを得た。更に、洗浄ケーキにヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する質量比10、温度95℃の水を加え、濾過し、含水率35質量%、品温90℃のヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースを、引き続き、撹拌羽根の円周速度が1.5m/sで運転されており、ジャケット温度が90℃であるスプレーノズル付きプロシェア型ミキサーの入口より、1時間あたり、乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして1.00質量部の速度で連続的に供給した。同時に、スプレーノズルより、90℃の水を、1時間あたり0.684質量部の速度で連続的に供給した。5分間撹拌混合された後、連続的に排出された。排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含水率は55質量%、品温は87℃だった。引き続き、含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースを撹拌羽根の円周速度が1.5m/sで運転されており、ジャケット温度が30℃であるジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーに連続的に供給して冷却した。5分間冷却した後、連続的に排出した。排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は40℃だった。引き続き、150℃の熱風が供給されている衝撃粉砕機で、乾燥しながら、同時に粉砕した。
得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
スプレーノズルより、60℃の水を供給する以外は、実施例1と同様の方法で粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造した。スプレーノズル付きプロシェア型ミキサーから排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含水率は55質量%、品温は78℃、ジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーから排出された冷却後の含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は37℃だった。結果を表1に示す。
【0040】
実施例2
粉末状パルプ1.00質量部に対し、49質量%水酸化ナトリウム水溶液2.14質量部、塩化メチル1.46質量部、酸化プロピレン0.27質量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、含水率45質量%、品温90℃のヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースを、引き続き、撹拌羽根の円周速度が0.1m/sで運転されており、装置表面が断熱材で覆われているスプレーノズル付き二軸混練機の入口より、1時間あたり、乾燥ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして1.00質量部の速度で連続的に供給した。同時に、スプレーノズルより、80℃の水を、1時間あたり、1.04質量部の速度で供給した。30分間撹拌混合された後、連続的に排出された。排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含水率は65質量%、品温は83℃だった。引き続き、含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースを撹拌羽根の円周速度が0.1m/sで運転されている、ジャケット温度が20℃であるジャケット付きの二軸混練機に連続的に供給して冷却した。30分間冷却した後、連続的に排出した。排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は30℃だった。引き続き、150℃の熱風が供給されている衝撃粉砕機で、乾燥しながら、同時に粉砕した。
得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
スプレーノズルより、60℃の水を供給する以外は、実施例2と同様の方法で粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造した。スプレーノズル付き二軸混練機から排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含水率は65質量%、品温は76℃、ジャケット付きの二軸混練機から排出された冷却後の含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は28℃だった。結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
粉末状パルプ1.00質量部に対し、49質量%水酸化ナトリウム水溶液2.14質量部、塩化メチル1.46質量部、酸化プロピレンを加えない以外は実施例1と同様の方法で、含水率60質量%、品温90℃のメチルセルロースを得た。
得られたメチルセルロースを、引き続き、撹拌羽根の円周速度が5m/sで運転されており、ジャケット温度が90℃であるスプレーノズル付きプロシェア型ミキサーの入口より、1時間あたり、乾燥メチルセルロースとして1.00質量部の速度で連続的に供給した。同時に、スプレーノズルより、70℃の水を、1時間あたり2.500質量部の速度で連続的に供給した。1分間撹拌混合された後、連続的に排出された。排出された含水メチルセルロースの含水率は80質量%、品温は77℃だった。引き続き、含水メチルセルロースを撹拌羽根の円周速度が5m/sで運転されており、ジャケット温度が−10℃であるジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーに連続的に供給して冷却した。1分間冷却した後、連続的に排出した。排出された含水メチルセルロースの品温は10℃だった。引き続き、150℃の熱風が供給されている衝撃粉砕機で、乾燥しながら、同時に粉砕した。
得られた粉末状メチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0043】
比較例3
スプレーノズルより、60℃の水を供給する以外は、実施例3と同様の方法で粉末状メチルセルロースを製造した。スプレーノズル付きプロシェア型ミキサーから排出された含水メチルセルロースの含水率は80質量%、品温は72℃、ジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーから排出された冷却後の含水メチルセルロースの品温は9℃だった。結果を表1に示す。
【0044】
実施例4
実施例3と同様の方法で、含水率60質量%、品温90℃のメチルセルロースを得た。
得られたメチルセルロースを、引き続き、撹拌羽根の円周速度が20m/sで運転されており、ジャケット温度が70℃であるスプレーノズル付きプロシェア型ミキサーの入口より、1時間あたり、乾燥メチルセルロースとして1.00質量部の速度で連続的に供給した。同時に、スプレーノズルより、70℃の水を、1時間あたり0.357質量部の速度で連続的に供給した。1分間撹拌混合された後、連続的に排出された。排出された含水メチルセルロースの含水率は65質量%、品温は85℃だった。引き続き、含水メチルセルロースを撹拌羽根の円周速度が20m/sで運転されており、ジャケット温度が−10℃であるジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーに連続的に供給して冷却した。1分間冷却した後、連続的に排出した。排出された含水メチルセルロースの品温は11℃だった。引き続き、150℃の熱風が供給されている衝撃粉砕機で、乾燥しながら、同時に粉砕した。
得られた粉末状メチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0045】
比較例4
スプレーノズルより、60℃の水を供給する以外は、実施例4と同様の方法で粉末状メチルセルロースを製造した。スプレーノズル付きプロシェア型ミキサーから排出された含水メチルセルロースの含水率は65質量%、品温は83℃、ジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーから排出された冷却後の含水メチルセルロースの品温は11℃だった。結果を表1に示す。
【0046】
実施例5
実施例3と同様の方法で、含水率60質量%、品温90℃のメチルセルロースを得た。
得られたメチルセルロースを、引き続き、撹拌羽根の円周速度が5m/sで運転されており、前半部分と後半部分のジャケット温度が異なり、前半部分にスプレーノズルを有するプロシェア型ミキサーの入口より、1時間あたり、乾燥メチルセルロースとして1.00質量部の速度で連続的に供給した。同時に、スプレーノズルより、70℃の水を、1時間あたり2.500質量部の速度で供給した。前半部分のジャケット温度は70℃、後半部分のジャケット温度は−5℃だった。前半部分における撹拌混合時間は3分間、後半部分における冷却時間は5分間だった。連続的に排出された冷却後の含水メチルセルロースの含水率は80質量%、品温は10℃だった。引き続き、150℃の熱風が供給されている衝撃粉砕機で、乾燥しながら、同時に粉砕した。
得られた粉末状メチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0047】
実施例6
実施例1と同様の方法で、含水率55質量%、品温は87℃の含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た後、実施例1と同様の方法で冷却して品温40℃の含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。この含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、ジャケット温度140℃のパドルドライヤーを用いて水分1質量%まで乾燥させた後、ボールミルで粉砕し、目開き250μmの篩を通過させた。得られた粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水分、置換度、20℃における2質量%水溶液の粘度、平均粒子径及びゆるめ嵩密度の測定結果を表1に示す。
【0048】
比較例5
スプレーノズルより、60℃の水を供給する以外は、実施例6と同様の方法で粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造した。スプレーノズル付きプロシェア型ミキサーから排出された含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含水率は55質量%、品温は78℃、ジャケット付きの連続式プロシェア型ミキサーから排出された冷却後の含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースの品温は37℃だった。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示すように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、90℃(実施例1及び6)並びに80℃(実施例2)の水と混合して得られた含水ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、メチルセルロースを、70℃(実施例3〜5)の水と混合して得られた含水メチルセルロースは、60℃(比較例1〜2及び5)の水と混合して得られた含水ヒドロキシプロピルメチルセルロース、60℃(比較例3〜4)の水と混合して得られた含水メチルセルロースと比べて、ゆるめ嵩密度の高い粉末状ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生成した。