【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、
(a).少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体;および
(b).Zn(II);および
(c).塩化ナトリウム;および
(d).場合によりプロタミン;
を含む医薬製剤であって、該医薬製剤が、6.0から9.0までの範囲のpH値を有し、そしてさらなる緩衝剤をなんら含まない医薬製剤に関する。
【0011】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、水性医薬組成物である。
【0012】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、さらなる緩衝剤をなんら含有しない。
【0013】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体および場合により存在するプロタミン以外のさらなる緩衝剤をなんら含有しない。
【0014】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)、リン酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸およびその塩、グリシルグリシンならびにメチオニンからなる群から選択される任意のさらなる緩衝剤を含まない。
【0015】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)、リン酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸およびその塩、グリシルグリシンならびにメチオニンからなる群から選択されるさらなる緩衝剤をなんら含有しない。
【0016】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体ならびに場合によりプロタミンを含み、ここで、なんらかの緩衝活性に関与する単独の成分は、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体ならびに場合によりプロタミンである。
【0017】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体ならびに場合によりプロタミンを含み、ここで、本発明における任意の緩衝剤の総濃度は、3.496mg/mL(四捨五入して:3.5mg/mL)から3.996mg/mL(四捨五入して:4.0mg/mL)まで、3.496mg/mL(四捨五入して:3.5mg/mL)から3.816mg/mLまで(四捨五入して:3.8mg/mL)の範囲であるか、または本発明における任意の緩衝剤の総濃度は、3.496mg/mL(四捨五入して:3.5mg/mL)である。
【0018】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、(a).少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体;および(b)Zn(II);および(c).塩化ナトリウム;および(d).場合によりプロタミン;および(e).メタクレゾール;(f).フェノール;および(g).ポリソルベート20;および(h).pH値を6.0から9.0までの範囲にpH調整するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸;および(i).水からなる。
【0019】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、水性医薬製剤である。
【0020】
別の実施態様において、
本発明による医薬製剤は、4.0から6.0まで、4.5から6.0まで、4.5から
5.5まで、5.0から5.5まで、5.0から5.2または5.1までの範囲の等電点(IEP)を有する、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体を含む。
【0021】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、6.5から8.5までの範囲、7.0から8.0まで、7.0から7.8まで、7.1から7.6までの範囲、7.2、7.3、7.4もしくは7.5、または7.4のpH値を有する。
【0022】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよび/またはインスリングルリシンからなる群から選択される、少なくとも1つのインスリンのアナログを含む。一実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンリスプロであるインスリンのアナログを含む。一実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンアスパルトであるインスリンのアナログを含む。一実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリングルリシンであるインスリンのアナログを含む。
【0023】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンデテミルおよび/またはインスリンデグルデクからなる群から選択されるインスリンの誘導体を含む。一実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンデテミルであるインスリンの誘導体を含む。一実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンデグルデクであるインスリンの誘導体を含む。
【0024】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、10U/mLから1000U/mLまで、10U/mLから600U/mLまで、10U/mLから300U/mLまで、50U/mLから300U/mLまで、または100U/mLの濃度で存在する、少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体を含む。
【0025】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、60から6000nmol/mLまで、60nmol/mLから3600nmol/mLまで、60nmol/mLから1800nmol/mLまで、300nmol/mLから1800nmol/mLまで、または600nmol/mLの濃度で存在するインスリンのアナログおよび/または誘導体を含む。
【0026】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、0.0100mg/mLから0.0600mg/mLまで、0.0150mg/mLから0.0500mg/mLまで、0.0150mg/mLから0.0300mg/mLまで、0.0150mg/mLから0.0200mg/mLまで、0.0190mg/mLから0.0200mg/mLまで、または0.0196mg/mLの濃度で存在するZn(II)を含む。
【0027】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、0.0100mg/100Uから0.0600mg/100Uまで、0.0150mg/100Uから0.0500mg/100Uまで、0.0150mg/100Uから0.0300mg/100Uまで、0.0150mg/100Uから0.0200mg/100Uまで、0.0190mg/100Uから0.0200mg/100Uまで、または0.0196mg/100Uの濃度で存在するZn(II)を含む。
【0028】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、0.01mg/mLから15mg/mLまで、0.1mg/mLから15mg/mLまで、0.1mg/mLから10mg/mLまで、1mg/mLから10mg/mLまで、2.0mg/mLから10mg/mLまで、3.0mg/mLから9.0mg/mLまで、4.0mg/mLから9.0mg/mLまで、5.0mg/mLから9.0mg/mLまで、6.0mg/mLから9.0mg/mLまで、6.8mg/mLから8.3mg/mLまで、6.9mg/mL、7.0mg/mL、7.1mg/mL、7.2mg/mL、7.3mg/mL、7.4mg/m
L、7.5mg/mL、7.6mg/mL、7.7mg/mL、7.8mg/mL、7.9mg/mL、8.0mg/mL、8.1mg/mL、8.2mg/mLもしくは8.3mg/mL、または6.8mg/mLの濃度で存在する塩化ナトリウムを含む。
【0029】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、0.10から、0.15、0.20、0.25、0.30、0.32、0.35、0.40、0.45または0.5mg/mLの濃度で存在するプロタミンまたは硫酸プロタミンを含む。
【0030】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、安定剤を含み、それは、一実施態様において、界面活性剤、ソルビタンモノラウレートのポリオキシエチレン誘導体(例えばポリソルベート20)、オレイン酸のポリエトキシルエチレン誘導体(例えばポリソルベート80)、ポロキサマー(これはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーである)、またはポリソルベート20もしくはポリソルベート80もしくはそれらの混合物である。別の実施態様において、安定剤は、一実施態様において、界面活性剤、ソルビタンモノラウレートのポリオキシエチレン誘導体(例えばポリソルベート20)、オレイン酸のポリエトキシルエチレン誘導体(例えばポリソルベート80)、ポロキサマー(これはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーである)、そして別の場合、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80またはそれらの混合物は、0.01から0.05mg/mLまで、0.010mg/mL、0.015mg/mL、0.020mg/mL、0.025mg/mL、0.03mg/mL、または0.02mg/mLの濃度で存在する。
【0031】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンの複数のアナログおよび/または誘導体を含み、ここで、インスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は速効型インスリンであり、そしてインスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は持効型インスリンである。別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよび/またはインスリングルリシンを含む群から選択される速効型インスリンならびにインスリングラルギン、インスリンデテミルおよび/またはインスリンデグルデクを含む群から選択される持効型インスリンを含む。
【0032】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、1つまたはそれ以上のさらなる活性医薬成分を含む。一実施態様において、さらなる活性医薬成分は抗糖尿病薬である。別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、さらなる活性医薬成分としてGLP−1受容体アゴニスト、GLP−1受容体/グルカゴン受容体デュアルアゴニスト、ヒトFGF−21、FGF−21アナログ、FGF−21誘導体、インスリン、ヒトインスリン、インスリンのアナログ、およびインスリンの誘導体を含む群から選択される1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬を含む。別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンおよびインスリン誘導体、GLP−1、GLP−1アナログおよびGLP−1受容体アゴニスト、ポリマー結合したGLP−1およびGLP−1アナログ、二重GLP1/GIPアゴニスト、二重GLP1/グルカゴン受容体アゴニスト、PYY3−36またはそのアナログ、膵ポリペプチドまたはそのアナログ、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、GIP受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたはインバースアゴニスト、キセニンおよびそのアナログ、DDP−IV阻害薬、SGLT2阻害薬、二重SGLT2/SGLT1阻害薬、ビグアニドチアゾリジンジオン、二重PPARアゴニスト、スルホニル尿素、メグリチニド、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、アミリンおよびアミリンアナログ、GPR119アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身性または低吸収性TGR5アゴニスト、シクロセット(Cycloset)、11−ベータ−HSDの阻害薬、グルコキナーゼの活性化物質、DGATの阻害薬、チロシンホスファターゼ1の阻害薬、グルコース−6−ホスファターゼの阻害薬、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼの阻害薬、グリコゲ
ンホスホリラーゼの阻害薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害薬、グリコーゲンシンターゼキナーゼの阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼの阻害薬、アルファ2−アンタゴニスト、CCR−2アンタゴニスト、グルコース輸送体−4のモジュレーター、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、HMG−CoA−レダクターゼ阻害薬、フィブラート、ニコチン酸およびその誘導体、ニコチン酸受容体1アゴニスト、PPARアルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレーター、PPARデルタアゴニスト、ACAT阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸−結合物質、IBAT阻害薬、MTP阻害薬、PCSK9のモジュレーター、肝選択的甲状腺ホルモン受容体βアゴニストによるLDL受容体上方制御物質、HDL上昇化合物、脂質代謝モジュレーター、PLA2阻害薬、ApoA−Iエンハンサー、コレステロール合成阻害薬、脂質代謝モジュレーター、オメガ−3脂肪酸およびその誘導体、肥満処置の活性物質、例えばシブトラミン、テソフェンシン、オーリスタット、CB−1受容体アンタゴニスト、MCH−1アンタゴニスト、MC4受容体アゴニストおよび部分アゴニスト、NPY5またはNPY2アンタゴニスト、NPY4アゴニスト、ベータ−3−アゴニスト、レプチンまたはレプチンミメティック、5HT2c受容体のアゴニスト、またはブプロピオン/ナルトレキソンの組合せ(CONTRAVE)、ブプロピオン/ゾニサミド(EMPATIC)、ブプロピオン/フェンテルミンまたはプラムリンチド/メトレレプチン、QNEXA(フェンテルミン+トピラメート)、リパーゼ阻害薬、血管新生阻害薬、H3アンタゴニスト、AgRP阻害薬、三重モノアミン取り込み阻害薬(ノルエピネフリンおよびアセチルコリン)、MetAP2阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬ジルチアゼムの経鼻製剤、線維芽細胞増殖因子受容体4の産生に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド−1を標的とするプロヒビチン、高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化症に作用する薬物、例えばアンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、ACE阻害薬、ECE阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、中枢作用高血圧薬、アルファ−2−アドレナリン作動性受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害薬、血小板凝集阻害薬を含む群から選択される1つまたはそれ以上のさらなる活性医薬成分を含む。
【0033】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンの複数のアナログおよび/または誘導体を含み、ここで、インスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は速効型インスリンであり、そしてインスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は持効型インスリンである。
【0034】
別の実施態様において、速効型インスリンは、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよび/またはインスリングルリシンを含む群から選択され、そして持効型インスリンは、インスリンデテミルおよび/またはインスリンデグルデクを含む群から選択される。
【0035】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、(a).3.496mg/mLのインスリンアスパルト(四捨五入して:3.5mg/mL);および(b).1.72mg/mLのメタクレゾール;および(c).1.50mg/mLのフェノール;および(d).0.04087mg/mLのZn(II);および(e).6.8mg/mLの塩化ナトリウム;および(f).0.02mg/mLのポリソルベート20;および(g).pHを7.4に調整する水酸化ナトリウムおよび/または塩酸および(h).水からなる。
【0036】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、(a).3.496mg/mLのインスリンアスパルト(四捨五入して:3.5mg/mL);および(b).1.72mg/mLのメタクレゾール;および(c).1.50mg/mLのフェノール;および(d).0.04087mg/mLのZn(II);および(e).6.8mg/mLから8
.3mg/mLまでの塩化ナトリウム;(f).0.02mg/mLのポリソルベート20;(g)0.1mg/mLから0.5mg/mLまでの硫酸プロタミン;および(h).pHを7.1から7.6まで範囲のpHに調整するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸および(i).水からなる。
【0037】
別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、(a)3.496mg/mLのインスリンアスパルト(四捨五入して:3.5mg/mL);および(b).1.72mg/mLのメタクレゾール;および(c).1.50mg/mLのフェノール;および(d).0.04087mg/mLのZn(II);および(e).6.8または6.9または7.0または7.1または7.2または7.3または7.4または7.5または7.6または7.7または7.8または7.9または8.0または8.1または8.2または8.3mg/mLの塩化ナトリウム;(f).0.02mg/mLのポリソルベート20;(g)0.1または0.15または0.2または0.25または0.3または0.32または0.35または0.4または0.45または0.5mg/mLの硫酸プロタミン;および(h).pHを7.4に調整するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸および(i).水からなる。
【0038】
また、本発明は、真性糖尿病、高血糖の処置に使用するための、かつ/または血糖値の低下に使用するための医薬製剤を提供する。
【0039】
また、本発明は、本発明による医薬製剤を製造する方法であって、成分を溶液または懸濁液の形態で共に混合し、所望のpHに調整し、そして混合物を水で最終的な体積にする、方法を提供する。
【0040】
また、本発明は、本発明による医薬製剤および医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せに関する。一実施態様において、医療器具は、シリンジ、インスリン注射システム、インスリン注入システム、インスリンポンプ、インスリンペン注射器具を含む群から選択される。
【0041】
また、本発明は、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せに関する。一実施態様において、医療器具は、シリンジ、インスリン注射システム、インスリン注入システム、インスリンポンプ、インスリンペン注射器具を含む群から選択される。
【0042】
また、本発明は、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せであって、さらなる活性医薬成分が抗糖尿病薬である、キットまたは組合せに関する。
【0043】
また、本発明は、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せであって、さらなる活性医薬成分が、GLP−1受容体アゴニスト、GLP−1受容体/グルカゴン受容体デュアルアゴニスト、ヒトFGF−21、FGF−21アナログ、FGF−21誘導体、インスリン、ヒトインスリン、インスリンのアナログ、およびインスリンの誘導体を含む群から選択される1つまたはそれ以上の抗糖尿病薬を含む。別の実施態様において、本発明による医薬製剤は、インスリンおよびインスリン誘導体、GLP−1、GLP−1アナログおよびGLP−1受容体アゴニスト、ポリマー結合したGLP−1およびGLP−1アナログ、二重GLP1/GIPアゴニスト、二重GLP1/グルカゴン受容体アゴニスト、PYY3−36またはそのアナログ、膵ポリペプチドまたはそのアナログ、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、GIP受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたはインバースアゴニスト、キセニンおよびそのアナログ、
DDP−IV阻害薬、SGLT2阻害薬、二重SGLT2/SGLT1阻害薬、ビグアニドチアゾリジンジオン、二重PPARアゴニスト、スルホニル尿素、メグリチニド、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、アミリンおよびアミリンアナログ、GPR119アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身性または低吸収性TGR5アゴニスト、シクロセット(Cycloset)、11−ベータ−HSDの阻害薬、グルコキナーゼの活性化物質、DGATの阻害薬、チロシンホスファターゼ1の阻害薬、グルコース−6−ホスファターゼの阻害薬、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼの阻害薬、グリコゲンホスホリラーゼの阻害薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害薬、グリコーゲンシンターゼキナーゼの阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼの阻害薬、アルファ2−アンタゴニスト、CCR−2アンタゴニスト、グルコース輸送体−4のモジュレーター、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、HMG−CoA−レダクターゼ阻害薬、フィブラート、ニコチン酸およびその誘導体、ニコチン酸受容体1アゴニスト、PPARアルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレーター、PPARデルタアゴニスト、ACAT阻害薬、コレステロール吸収阻害薬、胆汁酸−結合物質、IBAT阻害薬、MTP阻害薬、PCSK9のモジュレーター、肝選択的甲状腺ホルモン受容体βアゴニストによるLDL受容体上方制御物質、HDL上昇化合物、脂質代謝モジュレーター、PLA2阻害薬、ApoA−Iエンハンサー、コレステロール合成阻害薬、脂質代謝モジュレーター、オメガ−3脂肪酸およびその誘導体、肥満処置の活性物質、例えばシブトラミン、テソフェンシン、オーリスタット、CB−1受容体アンタゴニスト、MCH−1アンタゴニスト、MC4受容体アゴニストおよび部分アゴニスト、NPY5またはNPY2アンタゴニスト、NPY4アゴニスト、ベータ−3−アゴニスト、レプチンまたはレプチンミメティック、5HT2c受容体のアゴニスト、またはブプロピオン/ナルトレキソンの組合せ(CONTRAVE)、ブプロピオン/ゾニサミド(EMPATIC)、ブプロピオン/フェンテルミンまたはプラムリンチド/メトレレプチン、QNEXA(フェンテルミン+トピラメート)、リパーゼ阻害薬、血管新生阻害薬、H3アンタゴニスト、AgRP阻害薬、三重モノアミン取り込み阻害薬(ノルエピネフリンおよびアセチルコリン)、MetAP2阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬ジルチアゼムの経鼻製剤、線維芽細胞増殖因子受容体4の産生に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド−1を標的とするプロヒビチン、高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化症に作用する薬物、例えばアンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、ACE阻害薬、ECE阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、中枢作用高血圧薬、アルファ−2−アドレナリン作動性受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害薬、血小板凝集阻害薬を含む群から選択される抗糖尿病薬であるキットまたは組合せに関する。
【0044】
また、本発明は、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せであって、キットがインスリンの複数のアナログおよび/または誘導体を含み、インスリンの1つのアナログおよび/または誘導体が速効型インスリンであり、そしてインスリンの1つのアナログおよび/または誘導体が持効型インスリンである、キットまたは組合せに関する。一実施態様において、速効型インスリンは、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよび/またはインスリングルリシンを含む群から選択され、そして持効型インスリンは、インスリングラルギン、インスリンデテミルおよび/またはインスリンデグルデクを含む群から選択される。
【0045】
また、本発明は、真性糖尿病、高血糖の処置に使用するための、かつ/または血糖値の低下に使用するための、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具の個別のパッケージを含むキットまたは組合せに関する。
【0046】
別の実施態様において、また、本発明は、本発明による医薬製剤、少なくとも1つのさ
らなる活性医薬成分および場合により医療器具の別々のパッケージを含むキットまたは組合せであって、本発明による医薬製剤およびさらなる活性医薬成分、一実施態様において抗糖尿病薬が、連続的に、別々に、経時的におよび/または段階的に投与される、キットまたは組合せに関する。
【0047】
また、本発明は、動物および/またはヒトに医薬製剤を投与するための医療器具の使用に関する。一実施態様において、医療器具は、シリンジ、インスリン注射システム、インスリン注入システム、インスリンポンプ、インスリンペン型注射器具を含む群から選択される。
【0048】
詳細な説明
本明細書に用いるとき、単数形の表現であっても、明らかに他のこと示していない限り、複数形の言及を含んでいる。したがって、例えば、「担体」を含有する充填材への言及は、1つまたはそれ以上の担体を含んでおり、「添加剤」への言及は、このような添加剤の1つまたはそれ以上への言及を含む。
【0049】
本明細書に用いるとき、「活性医薬成分」(API)という用語は、いくつかの薬理学的作用をもたらし、そして状態の処置または予防に用いられる、任意の薬学的に活性な化学的または生物学的化合物およびその任意の薬学的に許容しうる塩ならびにそれらの任意の混合物を含む。例示的な薬学的に許容しうる塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、パモ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ラウリル硫酸、ナフタレンスルホン酸、リノール酸、リノレン酸、などが含まれる。本明細書に用いるとき、「活性医薬成分」、「薬物」、「活性剤」、「活性成分」、「活性物質」および「薬物」という用語は、同義語であることを意味し、すなわち、同一の意味を有する。
【0050】
一実施態様において、活性医薬成分は、抗糖尿病薬である。抗糖尿病薬の例は、Rote Liste 2012, 第12章に見いだされる。抗糖尿病薬の例としては、次に詳述するように、(
a)インスリン、インスリンアナログおよびインスリン誘導体、(b)グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびそのアナログおよび受容体アゴニスト、(c)二重GLP−1/GIPアゴニスト、および(d)二重GLP−1/グルカゴン受容体アゴニストが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
(a).インスリン、インスリンアナログおよびインスリン誘導体
インスリン、インスリンアナログおよびインスリン誘導体の例としては、インスリングラルギン(ランタス(Lantus)
(R))、インスリングルリシン(アピドラ(Apidra)
(R))、インスリンデテミル(レベミル(Levemir)
(R))、インスリンリスプロ(ヒューマログ(Humalog)
(R)/リプロログ(Liprolog)
(R))、インスリンデグルデク(トレシーバ(Tresiba)
(R))、インスリンアスパルト(ノボログ(NovoLog)
(R)/ノボラピッド(NovoRapid)
(R))、基礎インスリンおよびアナログ(例えばLY2605541、LY296
3016)、PEG化インスリンリスプロ、ヒューマリン(Humulin)
(R)、リンジェッタ(Linjeta)
(R)、SuliXen
(R)、NN1045、インスリン+シムリン(Symlin)
(R)、速効型および短時間作用型インスリン(例えばリンジェッタ(Linjeta)
(R)、PH20インスリン、NN1218、HinsBet
(R))、経口、吸入、経皮および舌下イン
スリン(例えばエクスベラ(Exubera)
(R)、ナスリン(Nasulin)
(R)、アフレッザ(Afrezza)
(R)、インスリントレゴピル(tregopil)、TPM−02/インスリン、カプスリン(Capsulin)
(R)、Oral−lyn
(R)、コバラミン(Cobalamin)
(R)、経口インスリン、ORMD0801、NN1953、VIAtab
(R))が含まれるが、それらに限定さ
れるわけではない。また、さらに、二官能性リンカーによってアルブミンまたは別のタンパク質に結合されたそれらのインスリン誘導体が含まれる。
(b).グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、GLP−1アナログおよびGLP−1受容体アゴニスト
GLP−1、GLP−1アナログおよびGLP−1受容体アゴニストの例としては、リキシセナチド(AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)
(R))、エキセナチド/エキセンディン−4(バイエッタ(Byetta)
(R)/ビデュリオン(Bydureon)
(R)/ITCA 650、リラグルチド/ビクトーザ(Victoza)
(R))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド、デュラグルチド、rエキセンディン−4(rExendin-4)、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(GLP-1 Eligen)、ORMD0901、NN9924、Nodexen、Viador−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、MAR−701、ZP−2929、ZP−3022、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTENおよびグルカゴン−XTEN、AMX−8089+VRS−859ならびにポリマー結合したGLP−1およびGLP−1アナログが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
(c).二重GLP−1/グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)アゴニスト
二重GLP−1/GIPアゴニストの例としては、MAR701、MAR−709、BHM081/BHM089/BHM098)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
(d).二重GLP−1/グルカゴン受容体アゴニスト
二重GLP−1/グルカゴン受容体アゴニストの例としては、OAP−189(PF−05212389、TKS−1225)、TT−401/402、ZP2929、LAPS−HMOXM25、MOD−6030)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0052】
本発明の医薬製剤中に含まれうる他の適した活性医薬成分としては、以下が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
さらなる胃腸ペプチド、例えばペプチドYY3−36(PYY3−36)またはそのアナログおよび膵ポリペプチド(PP)またはそのアナログ。
グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(GIP受容体アゴニストまたはアンタゴニスト)グレリンアンタゴニストまたはインバースアゴニストならびにキセニンおよびそのアナログ。ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害薬、例えば、アログリプチン/ネシーナ(Nesina)
(R)、リナグリプチン/BI−1356/オンデロ(Ondero)
(R)、/トラゼンタ(Trajenta)
(R)/トラジェンタ(Tradjenta)
(R)/トラエン
タ(Trayenta)
(R)、サクサグリプチン/オングリザ(Onglyza)
(R)、シタグリプチン/
ジャヌビア(Januvia)
(R)/キセレビア(Xelevia)
(R)/テサベル(Tesavel)
(R)、シタグリプチン+メトホルミン/ジャヌメット(Janumet)
(R)/ベルメティア(Velmetia)
(R)、アイルダグリプチン(aildagliptin)、アナグリプチン、アエミグリプチン(aemigliptin)、テネグリプチン、メログリプチン(melogliptin)、トレラグリプチン、DA−
1229、MK−3102、KM−223、KRP−104およびAri−2243。
ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT2)阻害薬、例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、エンパグリフロジン、インプラグリフロジン、トホグリフロジン(RO−4998452)、ルセオグリフロジン、LX−4211、エルツグリフロジン(PF−04971729)、EGT−0001442およびDSP−3235。
二重SGLT2/SGLT1阻害薬。
ビグアニド(例えばメトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン)、チアゾリジンジオン(例えばピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、二重PPARアゴニスト(例えばアレグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール)、スルホニル尿素(例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド/アマリール
(Amaryl)
(R)、グリピジド)、メグリチニド(例えばナテグリニド、レパグリニド、ミ
チグリニド)、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬(例えばアカルボーズ、ミグリトール、ボグリボーズ)、アミリンおよびアミリンアナログ(例えばプラムリンチド/シムリン(Symlin)
(R))。
G−タンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト(例えばGSK−1292263、PSN−821、MBX−2982、APD−597、ARRY−981)。
GPR40アゴニスト(例えばTAK−875、TUG−424、P−1736、JTT−851、GW9508)。
GPR120アゴニストおよびGPR142アゴニスト。
全身性または低吸収性TGR5(GPBAR1=G−タンパク質共役胆汁酸受容体1)アゴニスト(例えばINT−777、XL−475、SB756050)。
ブロモクリプチン/シクロセット(Cycloset)
(R)、11−ベータ−ヒドロキシステロ
イド脱水素酵素(11−ベータ−HSD)の阻害薬(例えばLY2523199、BMS770767、RG−4929、BMS816336、AZD−8329、HSD−016、BI−135585)、グルコキナーゼの活性化物質(例えばPF−04991532、TTP−399、GK1−399、ARRY−403(AMG−151)、TAK−329、ZYGK1)、ジアシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害薬(例えばプラジガスタット(pradigastat)(LCQ−908)、LCQ−9
08)、チロシンホスファターゼ1の阻害薬(例えばトロデュスケミン)、グルコース−6−ホスファターゼの阻害薬、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼの阻害薬、グリコゲンホスホリラーゼの阻害薬、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害薬、グリコーゲンシンターゼキナーゼの阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼの阻害薬、アルファ2アドレナリン様作用受容体アンタゴニスト、C−Cケモカインレセプター2型(CCR−2)アンタゴニスト、グルコース輸送体−4のモジュレーターおよびソマトスタチン受容体3アゴニスト(例えばMK−4256)。
【0053】
また、1つまたはそれ以上の脂質低下薬、例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイム−A−レダクターゼ(HMG−CoA−レダクターゼ)阻害薬(例えばシンバスタチン、アトロバスタチン、ロスバスタチン)、フィブラート(例えばベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸およびその誘導体(例えばナイアシン、ナイアシンの遅延放出製剤を含む)、ニコチン酸受容体1アゴニスト(例えばGSK−256073)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR−)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレーター(例えばアレグリタザール)、PPAR−デルタアゴニスト、アセチル−CoA−アセチルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害薬(例えばアバシミブ)、コレステロール吸収阻害薬(例えばエゼチミブ)、胆汁酸−結合物質(例えばコレスチラミン、コレセベラム)、回腸胆汁酸輸送阻害薬(IBAT)(例えばGSK−2330672)、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク(MTP)阻害薬(例えばロミタピド(AEGR−733)、SLx−4090、グラノタピド(granotapide))、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシンタイプ9
(PCSK9)のモジュレーター(例えばREGN727/SAR236553、AMG−145、LGT−209、PF−04950615、MPSK3169A、LY3015014、ALD−306、ALN−PCS、BMS−962476、SPC5001、ISIS−394814、1B20、LGT−210、1D05、BMS−PCSK9Rx−2、SX−PCK9、RG7652)、LDL受容体上方制御物質、例えば肝選択的甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニスト(例えばエピロチローム(KB−2115)、MB07811、ソベチロム(QRX−431)、VIA−3196、ZYT1)、HDL上昇化合物、例えば:CETP阻害薬(例えばトルセトラピブ、アナセトラピブ(MK0859)、
ダルセトラピブ、エバセトラピブ、JTT−302、DRL−17822、TA−8995、R−1658、LY−2484595)またはABC1制御物質、脂質代謝モジュ
レーター(例えばBMS−823778、TAP−301、DRL−21994、DRL−21995)、ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害薬(例えばダラプラジブ/タイリーサ(Tyrisa)
(R)、バレスプラジブ、リラプラジブ)、ApoA−Iエンハンサー(例
えばRVX−208、CER−001、MDCO−216、CSL−112、VRX−HDL、VRX−1243、VIRxSYS)、コレステロール合成阻害薬(例えばETC−1002)および脂質代謝モジュレーター(例えばBMS−823778、TAP−301、DRL−21994、DRL−21995)ならびにオメガ−3脂肪酸およびその誘導体(例えばイコサペントエチル(AMR101)、エパノバ(Epanova)
(R)、AKR−063、NKPL−66)も、活性医薬成分として適している。
【0054】
医薬製剤中に含まれうる他の適した活性医薬成分としては、限定されるわけではないが、
シブトラミン、テソフェンシン、オーリスタット、カンナビノイド受容体1(CB1)アンタゴニスト(例えばTM−38837)、メラニン凝集ホルモン(MCH−1)アンタゴニスト(例えばBMS−830216、ALB−127158(a))、MC4受容体アゴニストおよび部分アゴニスト(例えばAZD−2820、RM−493)、神経ペプチドY5(NPY5)またはNPY2アンタゴニスト(例えばベルネペリト、S−234462)、NPY4アゴニスト(例えばPP−1420)、ベータ−3−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、レプチンまたはレプチンミメティック、5−ヒドロキシトリプタミン2c(5HT2c)受容体のアゴニスト(例えばロルカセリン)、またはブプロピオン/ナルトレキソン(コントレイブ(Contrave)
(R))、ブプロピオン/ゾニサミド(
エンパティック(Empatic)
(R))、ブプロピオン/フェンテルミンもしくはプラムリンチド/メトレレプチン、フェンテルミン/トピラメート(キューシミア(Qsymia)
(R))の
組合せ、リパーゼ阻害薬(例えばセチリスタット/カメトール(Cametor)
(R))、血管新生阻害薬(例えばALS−L1023)、ヒスタミンH3アンタゴニスト(例えばHPP−404)、AgRP(アグーチ関連タンパク質)阻害薬(例えばTTP−435)、三重モノアミン取り込み阻害薬(ドパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニン再取り込み)(例えばテソフェンシン)、メチオニンアミノペプチダーゼ2(MetAP2)阻害薬(例えばベロラニブ(beloranib))、カルシウムチャネル遮断薬ジルチアゼムの経鼻製
剤(例えばCP−404)および線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)の産生に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばISIS−FGFR4Rx)またはペプチド−1を標的とするプロヒビチン(例えばアジポチド(Adipotide)
(R))を含む肥満処置のための1つまたはそれ以上の活性物質が含まれる。
【0055】
医薬製剤中に含まれうるさらなる適した活性医薬成分としては、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(例えばテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、アジルサルタン)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、中枢作用性高血圧薬、アルファ−2−アドレナリン作動性受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害薬、血小板凝集阻害薬が含まれるが、それらに限定されるわけではなく、そしてその他またはそれらの組合せは適している。
【0056】
本明細書に用いるとき、「インスリンのアナログ」および「インスリンアナログ」という用語は、天然のインスリン中に存在する少なくとも1つのアミノ酸残基を欠失および/または交換することによって、ならびに/または少なくとも1つのアミノ酸残基を付加することによって、天然のインスリンの構造、例えばヒトインスリンのそれから構造的に誘導することができる分子構造を有するポリペプチドのことをいう。付加および/または交換されたアミノ酸残基は、コード化可能なアミノ酸残基、または他の天然の残基、または純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであることができる。インスリンのアナログの例とし
ては、以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:
(i).「インスリンアルパルト」は、ヒトインスリン中のアミノ酸B28(すなわちヒトインスリンのB鎖中の28番のアミノ酸)であるプロリンが、アスパラギン酸によって置き換えられるように組換えDNA技術により作製される;
(ii).「インスリンリスプロ」は、ヒトインスリンのB鎖のC末端上の最後から2番目のリシンおよびプロリン残基が逆転するように組換えDNA技術により作製される(ヒトインスリン:Pro
B28Lys
B29;インスリンリスプロ:Lys
B28Pro
B29);
(iii).「インスリングルリジン」は、B3位のアミノ酸アスパラギンがリジンと置き換えられ、かつB29位のリジンがグルタミン酸と置き換えられている点でヒトインスリンと異なる;
(iv).「インスリングラルギン」は、A21位のアスパラギンがグリシンと置き換えられ、かつB鎖がカルボキシ末端で2つのアルギニンによって延長されている点でヒトインスリンと異なる。
【0057】
本明細書に用いるとき、「水性」という用語は、溶媒が水である溶液および/または外部相が水である懸濁液および/または分散相もしくは連続相が水である乳濁液のことをいう。
【0058】
本明細書に用いるとき、「緩衝剤」という用語は、溶液、懸濁液および/または乳濁液の酸性度(pH)を、他の酸または塩基を添加した後に選ばれた値の近くに維持するために用いられる、弱酸または弱塩基のことをいう。緩衝剤の機能は、酸または塩基を溶液に加えたときにpH値の急激な変化を防ぐことである。水溶液、懸濁液および/または乳濁液中で、緩衝剤は、弱酸とその共役塩基との混合物または弱塩基とその共役酸との混合物で存在する。緩衝剤の例としては、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:炭酸水素ナトリウム;酢酸または酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛);ホウ酸またはホウ酸塩;N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)またはその塩;3−[[1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]アミノ]プロパン−1−スルホン酸(TAPS)またはその塩;2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)およびその塩;ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸(PIPES)およびその塩;N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)およびその塩;コラミンクロリド;BES;2−[[1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−プロパン−2−イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)およびその塩;2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸(HEPES)およびその塩;アセトアミドグリシン;N−(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシル−メチル)エチル)グリシン(トリシン);グリシンアミド;2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(ビシン)およびその塩;プロピオン酸塩;3−[[1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イル]−アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパン−1−スルホン酸(TAPSO)およびその塩;3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸(MOPS)およびその塩;生理食塩水−クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液;2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(同義語:TRIS、トリスアミン、THAM、トロメタミン、トロメタモール、トロメタン);クエン酸またはクエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム);リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一カリウムおよび/またはリン酸を含有する他の任意の緩衝剤。
【0059】
また、アミノ酸(遊離塩基性または酸性官能基を有する、例えばメチオニン、アルギニン)またはペプチド(遊離塩基性または酸性官能基を有する)を緩衝剤として用いてもよい。本明細書に用いるとき、「緩衝剤」という用語は、アミノ酸、ペプチドおよびタンパ
ク質も含む。インスリンアナログおよび/またはインスリン誘導体および/またはプロタミンは、ペプチドまたはペプチドの誘導体であるため(すなわち、いずれも遊離塩基性または酸性官能基を有するアミノ酸を含有する)、それらは、ある種の緩衝能有することもあり、すなわち、緩衝剤とみなされる。
【0060】
本明細書に用いるとき、「速効型インスリン」または「短時間作用型インスリン」という用語は、インスリンが介在する作用が5〜15分以内に開始され、そして3〜4時間活性となり続けるインスリンアナログおよび/またはインスリン誘導体のことをいう。速効型インスリンの例としては、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:(i).インスリンアスパルト;(ii).インスリンリスプロ、および(iii).インスリングルリシン。
【0061】
本明細書に用いるとき、「さらなる緩衝剤を含まない」または「緩衝液を含まない」という用語は、インスリンのアナログおよび/または誘導体ならびに場合によりプロタミンの他にさらなる緩衝剤がないことを意味する。上記のように、インスリンのアナログおよび/または誘導体ならびにプロタミンは、酸性または塩基性の側鎖を有するアミノ酸を含有し、そのため緩衝剤ともみなされる。緩衝剤がなんら存在しないこととは関係なく、本発明による水性医薬製剤は、プロタミンを場合により含んでもよい。
【0062】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して用いるとき、「含む」という単語およびその単語の変化形、例えば「含んでいる」および「含む」は、他の添加剤、成分、整数またはステップを除くことを意図しない。
【0063】
本明細書に用いるとき、「インスリンの誘導体」および「インスリン誘導体」という用語は、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)が1つまたはそれ以上のアミノ酸に結合している、天然のインスリンの構造、例えばヒトインスリンのそれから構造的に誘導することができる分子構造を有するポリペプチドのことをいう。場合により、天然のインスリン中に存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失していてもよいし、かつ/またはコード化不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置き換えられていてもよいし、またはコード化不可能なものを含むアミノ酸が天然のインスリンに付加されていてもよい。インスリンの誘導体の例としては、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:
(i).B30位のC末端トレオニンが除去され、かつB29位のリジンのイプシロン−アミノ官能基に脂肪酸残基(ミリスチン酸)が結合された点でヒトインスリンと異なる、「インスリンデテミル」。
(ii).最後のアミノ酸がB鎖から欠失しており、かつLysB29からヘキサデカン二酸までグルタミル結合が付加されている点でヒトインスリンと異なる「インスリンデグルデク」。
【0064】
本明細書に用いるとき、「FGF−21」という用語は、「線維芽細胞増殖因子21」を意味する。FGF−21化合物は、ヒトFGF−21、FGF−21のアナログ(「FGF−21アナログ」と呼ぶ)またはFGF−21の誘導体(「FGF−21誘導体」と呼ぶ)であってもよい。
【0065】
本明細書に用いるとき、「製剤」という用語は、明記された成分を予め決められた量または割合で含む生成物だけでなく、明記された成分を明記された量で組み合わせることから直接または間接的に得られた任意の生成物のことをいう。医薬製剤に関して、この用語は、1つまたはそれ以上の活性成分、および場合により不活性成分を含む担体を含む生成物の他に、成分のいずれか2つもしくはそれ以上の組合せ、複合体形成もしくは凝集から、または成分の1つもしくはそれ以上の解離から、または成分の1つもしくはそれ以上の
反応もしくは相互作用の他のタイプから、直接または間接的に得られる任意の生成物を包含する。一般に、医薬製剤は、活性医薬成分(すなわちインスリンのアナログおよび/または誘導体)を液体担体もしくは微粉固体担体または両方と共に均一に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することによって製造される。医薬製剤は、疾患の経過または状態に応じて所望の作用を生じるのに十分な量の活性医薬成分を含む。本明細書に用いるとき、「製剤」という用語は、溶液の他に、懸濁液または乳濁液に相当しうる。本明細書に用いるとき、「製剤」および「組成物」という用語は、同義語であることを意味し、すなわち、同一の意味を有する。医薬組成物は、所望の経口、非経口、直腸、経皮的または局所生成物を得るため、必要に応じて、成分を混合、充填および溶解することを含む製薬技術の慣用の技術に従って製造される。
【0066】
本明細書に用いるとき、「GLP−1受容体アゴニスト」という用語は、グルカゴン様ペプチド−1受容体でアゴニスト活性を有する化合物のことをいう。GLP−1受容体アゴニストの例としては、以下が含まれるが、これに限定されるわけではない:エキセナチド/エキセンディン−4、リラグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、アルビグルチド、セマグルチド、タスポグルチド、rエキセンディン−4(rExendin-4)、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン(Eligen)、ORMD0901、NN9924、Nodexen、Viador−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、MAR−701、ZP−2929、ZP−3022、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド−XTENおよびグルカゴン−XTEN、AMX−8089+VRS−859ならびにポリマー結合したGLP−1およびGLP−1アナログ。
【0067】
本明細書に用いるとき、「二重GLP−1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト」という用語は、GLP−1受容体およびグルカゴン受容体の両方でアゴニスト活性を有する化合物のことをいう。二重GLP−1受容体/グルカゴン受容体アゴニストの例としては、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:オキシントモジュリン、MAR701、MAR−709およびBHM081/BHM089/BHM098。
【0068】
本明細書に用いるとき、「ヒトインスリン」という用語は、構造および性質がよく知られているヒトホルモンのことをいう。ヒトインスリンは、システイン残基、すなわちA鎖とB鎖との間でジスルフィド架橋によって結合された2つのポリペプチド鎖(鎖AおよびB)を有する。A鎖は、21個のアミノ酸ペプチドであり、そしてB鎖は30個のアミノ酸ペプチドであり、2つの鎖は、3つのジスルフィド架橋:1つは、A鎖の6位および11のシステイン間;2つ目は、A鎖の7位のシステインとB鎖の7位のシステインとの間;そして3つ目は、A鎖の20位のシステインとB鎖の19位のシステインとの間によって結合されている。
【0069】
本明細書に用いるとき、「含む」という用語は、「含むが、それに限定されるわけではない」ことを意味するために用いられる。「含む」および「含むが、それに限定されるわけではない」は、同じ意味で用いられる。
【0070】
本明細書に用いるとき、「等電点」(pI、IEP)という用語は、特定の分子が正味の電荷を担持しないpH値のことをいう。等電点は、異なる分子を、それらの等電点の違いによって分離するための技術であり、かつ当分野でよく知られている等電点電気泳動を用いて決定することができる。また、それは、計算することもできる(例えば、Levene and Simms, 'Calculation of isoelectric point' J. Biol. Chem., 1923, pp. 801-813を参照のこと)。
【0071】
本明細書に用いるとき、「キット」という用語は、1つのパッケージまたは1つもしくはそれ以上の個別のパッケージを含む生成物(例えば薬剤、パーツのキット)のことをいう:
(i).活性医薬成分および少なくとも1つのさらなる活性医薬成分および場合により医療器具を含有する医薬製剤。少なくとも1つのさらなる活性医薬成分が、上記医薬製剤中に存在しもよく、すなわち、キットは1つまたはそれ以上のパッケージを含んでもよく、ここで、各パッケージは、2つまたはそれ以上の活性医薬成分を含む1つの医薬製剤を含む。また、さらなる活性医薬成分がさらなる医薬製剤中に存在してもよく、すなわち、キットは2つまたはそれ以上の医薬製剤の個別のパッケージを含んでもよく、ここで、それぞれの医薬製剤は、1つの活性医薬成分を含有する。
または
(ii).活性医薬成分および医療器具を含有する医薬製剤。
【0072】
キットは、1つのパッケージのみを含んでもよく、または1つもしくはそれ以上の個別のパッケージを含んでもよい。例えば、キットは、それぞれ定義された医薬製剤を含有する、2つまたはそれ以上のバイアルを含有する生成物(例えば薬剤)であってもよく、ここで、それぞれの医薬製剤は、少なくとも1つの活性医薬成分を含有する。例えば、キットは、(i).定義された医薬製剤を含有するバイアルおよび(ii).少なくとも1つのさらなる活性医薬成分を含有する、さらなる錠剤、カプセル剤、散剤または他のいずれかの経口剤形を含んでもよい。キットは、投与に、医薬製剤および少なくとも1つのさらなる活性医薬成分を投与する方法に関する指示のパッケージリーフレットを更に含んでもよい。
【0073】
本明細書に用いるとき、「医療器具」という用語は、他の状態の疾患の診断、予防または処置に用いられ、そして体内または体表で薬理学的作用を通してその目的を達成しない、任意の機器、装置、挿入物、in vitro試薬または類似のもしくは関連した物品を意味する。本明細書に用いるとき、医療器具は、シリンジ、インスリン注射システム、インスリン注入システム、インスリンポンプまたはインスリンペン型注射器具であってもよい。本明細書に用いるとき、医療器具は、機械的に、または電気機械的に駆動されてもよい。
【0074】
本明細書に用いるとき、特に明記しない限り、「または」という接続詞は、「および/または」の包括的な意味で用いられ、そして「いずれか/または」の排他的な意味で用いられるわけではない。
【0075】
本明細書に用いるとき、「pH」および「pH値」という用語は、溶液中の水素イオン活量の逆数の十進法による対数のことをいう。
【0076】
本明細書に用いるとき、「薬学的」という用語は、疾患の医学的な診断、治癒、処置および/または予防における意図された使用のことをいう。
【0077】
本明細書に用いるとき、「薬学的に許容しうる」という用語は、哺乳動物またはヒトによって生理学的に十分に許容されることをいう。
【0078】
本明細書に用いるとき、「プロタミン」という用語は、強塩基性のペプチドの混合物のことをいう。当初、それはサケおよび他種の魚の精子から単離されたが、しかし、現在では、バイオテクノロジーにより主に組換えで産生される。それは、2/3を超えるL−アルギニンを含有する。プロタミンは、遊離塩基性側鎖を有するアミノ酸を含有するため、ある種の緩衝能を有し、そのため緩衝剤であると考えられる。プロタミンは、硫酸プロタミンまたは塩酸プロタミンとして用いてもよい。
【0079】
濃度、量、溶解度、粒径、波長、pH値、質量、分子量、パーセントおよび他の数値的な期日は、本明細書において範囲のフォーマットで表現または提示してもよい。このような範囲フォーマットは、単に便宜上、簡潔にするために用いており、そのため、範囲の限界として明確に列挙された数値のみを含むわけではなく、各数値および部分範囲が明確に列挙されているかのように、すべての個々の数値またはその範囲内に包含される部分範囲も含むと柔軟に解釈すべきであることを理解しなければならない。
【0080】
本明細書に用いるとき、「持効型インスリン」という用語は、インスリンが介在する作用が0.5〜2時間以内に開始され、そして約24時間またはそれ以上活性であり続ける、インスリンアナログおよび/またはインスリン誘導体のことをいう。速効型インスリンの例としては、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:(i).インスリングラルギン;(ii).インスリンデテミル、および(iii).インスリンデグルデク。
【0081】
本明細書に用いるとき、「安定性」という用語は、活性医薬成分、特にインスリンアナログおよび/または誘導体の化学的および/または物理的安定性のことをいう。安定性試験の目的は、活性医薬成分または剤形の品質が、温度、湿度および光のようなさまざまな環境要因の影響下にある時間と共にどのように変化するかについての証拠を提供すること、ならびに活性医薬成分または剤形に関する貯蔵寿命および推奨貯蔵条件を確立することである。安定性研究は、貯蔵中に変化に対する影響を受けやすく、品質、安全性および/または有効性に影響を与える可能性がある活性医薬成分のそれらの性状の試験を含むことができる。試験は、必要に応じて、物理的、化学的、生物学的、および微生物学的な特質、保存剤含量(例えば、抗酸化剤、抗菌保存剤)、ならびに機能性試験(例えば用量送達システムに関して)を含むことができる。分析方法は、十分に検証することができ、そして安定性の指標となりうる。一般に、安定性に関する活性医薬成分および/または剤形の有意な変化は、以下のように定義される:
・アッセイにおけるその初期値からの5%の変化;または生物学的もしくは免疫学的方法を用いたときに効力に関する判定基準を満たしていない;
・その判定基準を超える任意の分解産物;
・外観、物理的特質および機能性試験(例えば、着、相、分離、再懸濁性、固化、硬度、操作当たりの用量送達)に関して判定基準を満たしていない;しかし、物理的特質のいくつかの変化(例えば、坐剤の軟化、乳剤の融解)は、加速条件下で予想されうる;そして、必要に応じて、剤形に関して:
・pHに関する判定基準を満たしていない;または
・12用量単位の溶解に関する判定基準を満たしていない。
【0082】
また、安定性の評価の開始前に、確立された判定基準に対して有意な変化を評価してもよい。
【0083】
判定基準は、モノグラフ(例えば、欧州薬局方(European Pharmacopeia)、米国薬局
方(United States Pharmacopeia)、イギリス薬局方(British Pharmacopeia)、またはその他)から、ならびに前臨床および臨床研究で用いた活性医薬成分および医薬生成物の分析バッチから導くことができる。許容限界は、前臨床および臨床研究で用いた物質で観察されたレベルを考慮して提案し、調整しなければならない。生成物の特性は、目視による外観、純度、溶液/懸濁液の色および透明度、溶液中の目視できる微粒子、ならびにpHであってもよい。非限定的な例として、インスリンアスパルト製剤に関する適した判定基準を下に示す:
【0084】
【表1】
【0085】
上に示した判定基準は、モノグラフの(monographed)許容限界(例えば英国薬局方、
第III巻、2012または、Pharmacopoeial Forum, Volume 36(6), Nov-Dec 2010)に基づい
ており、かつ/またはインスリン製剤の開発における広範な経験から誘導される。
【0086】
本明細書に用いるとき、「処置」という用語は、哺乳動物、例えばヒトの状態または疾患のなんらかの処置のことをいい、そして(1)疾患または状態を阻害すること、すなわち、その発生を停止すること、(2)疾患または状態を軽減すること、すなわち、その状態を消失させること、または(3)疾患の症状を停止することが含まれる。
【0087】
本明細書に用いるとき、測定単位「U」および/または「国際単位」は、インスリンの血糖低下活性のことをいい、そして(世界保健機構、WHOによれば)以下のように定義される:1Uは、(WHOによって定義されるとき)ウサギ(2〜2.5kgの体重を有する)の血糖値を1時間以内に50mg/100mLに、そして2時間以内に40mg/100mLに低下させるのに十分な高度に精製されたインスリンの量に相当する。ヒトインスリンに関して、1Uは、約35μgに相当する(Lill, Pharmazie in unserer Zeit,
No. 1, pp. 56-61, 2001)。インスリンアスパルトに関して、100Uは、3.5mg
に相当する(製品情報ノボラピッド(NovoRapid)
(R))。インスリンリスプロに関して、100Uは、3.47mgに相当する(製品情報ヒューマログ(Humalog)
(R))。インスリングルリジンに関して、100Uは、3.49mgに相当する(製品情報アピドラ(Apidra)
(R)カートリッジ)。インスリンデテミルに関して、100Uは、14.2mgに
相当する(製品情報レベミル(Levemir)
(R))。インスリングラルギンに関して、100Uは、3.64mgに相当する(製品情報ランタス(Lantus)
(R))。
【0088】
本発明のさらなる実施態様には、以下が含まれる:
【0089】
一態様において、本発明は、(a).少なくとも1つのインスリンのアナログおよび/または誘導体;および(b).Zn(II);および(c).塩化ナトリウム;
および(d).場合によりプロタミン;を含む医薬製剤であって、該医薬製剤が、6.0から9.0までの範囲のpH値を有し、そしてさらなる緩衝剤をなんら含まない医薬製剤を提供する。
【0090】
一態様において、本発明の医薬製剤は、水性医薬製剤である。
【0091】
一態様において、本発明の医薬製剤は、7.0から7.8まで範囲のpH値を有する。
【0092】
一態様において、本発明の医薬製剤は、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよびインスリングルリジンからなる群から選択されるインスリンのアナログを含む。
【0093】
一態様において、本発明の医薬製剤は、インスリンデテミルおよび/またはインスリンデグルデクであるインスリンの誘導体を含む。
【0094】
一態様において、本発明の医薬製剤は、10U/mLから1000U/mLまでの濃度で存在するインスリンのアナログおよび/または誘導体を含む。
【0095】
一態様において、本発明の医薬製剤は、0.0100から0.0600mg/100Uインスリンのアナログおよび/または誘導体の濃度でZn(II)を含む。
【0096】
一態様において、本発明の医薬製剤は、0.01から15mg/mLまでの濃度で塩化ナトリウムを含む。
【0097】
一態様において、本発明の医薬製剤は、6.8から8.3mg/mLまでの濃度で塩化ナトリウムを含む。
【0098】
一態様において、本発明の医薬製剤は、0.1から0.5mg/mlまでの濃度で硫酸プロタミンを含む。
【0099】
一態様において、本発明の医薬製剤は、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(TRIS)、リン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、グリシルグリシンおよびメチオニンからなる群から選択されるさらなる緩衝剤をなんら含まない。
【0100】
一態様において、本発明の医薬製剤は、1つまたはそれ以上のさらなる活性医薬成分を含む。
【0101】
一態様において、本発明の医薬製剤は、抗糖尿病薬であるさらなる活性医薬成分を含む。
【0102】
一態様において、本発明の医薬製剤は、(a)GLP−1受容体アゴニスト;(b)二重GLP−1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト;(c)ヒトFGF−21;(d)FGF−21アナログ;(e)FGF−21誘導体;(f)インスリン;(g)ヒトインス
リン;(h)インスリンのアナログ;および(i)インスリンの誘導体からなる群から選択される抗糖尿病薬であるさらなる活性医薬成分を含む。
【0103】
一態様において、本発明の医薬製剤は、インスリンの複数のアナログおよび/または誘導体を含み、ここで、インスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は速効型インスリンであり、そしてインスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は持効型インスリンである。
【0104】
一態様において、本発明の医薬製剤は、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよびインスリングルリジンからなる群から選択される速効型インスリン、ならびにインスリンデテミルおよびインスリンデグルデクからなる群から選択される1つまたはそれ以上のインスリンである持効型インスリンを含む。
【0105】
一態様において、本発明の医薬製剤は、
(a).3.5mg/mLのインスリンアスパルト;
(b).1.72mg/mLのメタクレゾール;
(c).1.50mg/mLのフェノール;
(d).0.04087mg/mLのZn(II);
(e).6.8mg/mLの塩化ナトリウム;
(f).0.02mg/mLのポリソルベート20;
(g).pHを7.4に調整するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸、および
(h).水
からなる。
【0106】
一態様において、本発明の医薬製剤は、
(a).3.5mg/mLのインスリンアスパルト;
(b).1.72mg/mLのメタクレゾール;
(c).1.50mg/mLのフェノール;
(d).0.04087mg/mLのZn(II);
(e).6.8mg/mLから8.3mg/mLまでの塩化ナトリウム;
(f).0.02mg/mLのポリソルベート20;
(g).0.1mg/mLから0.5mg/mLまでの硫酸プロタミン;
(h).pHを7.1から7.6までの範囲のpHに調整するための水酸化ナトリウムおよび/または塩酸;および
(i).水
からなる。
【0107】
一態様において、本発明は、本発明の医薬製剤を製造する方法であって、成分を溶液または懸濁液の形態で共に混合し、pHを調整して所望のpHに到達させ、そして水を加えて最終体積に到達させる、方法を提供する。
【0108】
一態様において、本発明は、
(a).本発明の医薬製剤;および
(b).医療器具
の1つまたはそれ以上の個別のパッケージを含むキットを提供する。
【0109】
一態様において、本発明は、
(a).本発明の医薬製剤;および
(b).少なくとも1つのさらなる活性医薬成分;
(c).および場合により医療器具
の1つまたはそれ以上の個別のパッケージを含むキットを提供する。
【0110】
一態様において、本発明のキットは、抗糖尿病薬であるさらなる活性医薬成分を含む。
【0111】
一態様において、本発明のキットは、
(a).GLP−1受容体アゴニスト;
(b).二重GLP−1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト;
(c).ヒトFGF−21;
(d).FGF−21アナログ;
(e).FGF−21誘導体;
(f).インスリン;
(g).ヒトインスリン;
(h).インスリンのアナログ;および
(i).インスリンの誘導体
からなる群から選択される抗糖尿病薬であるさらなる活性医薬成分を含む。
【0112】
一態様において、本発明のキットは、インスリンの複数のアナログおよび/または誘導体を含み、ここで、インスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は速効型インスリンであり、そしてインスリンの1つのアナログおよび/または誘導体は持効型インスリンである。
【0113】
一態様において、本発明のキットは、インスリンアスパルト、インスリンリスプロおよびインスリングルリジンからなる群から選択される速効型インスリン、ならびにインスリングラルギン、インスリンデテミルおよびインスリンデグルデクからなる群から選択される持効型インスリンを含む。
【0114】
一態様において、本発明は、真性糖尿病の処置に使用するための医薬製剤またはキットを提供する。
【0115】
一態様において、本発明は、高血糖の処置に使用するための医薬製剤またはキットを提供する。
【0116】
一態様において、本発明は、血糖値の低下に使用するための医薬製剤またはキットを提供する。
【0117】
一態様において、本発明は、本発明の医薬製剤を投与することを含む、その必要ある対象において真性糖尿病を処置する方法を提供する。
【0118】
一態様において、本発明は、本発明の医薬製剤を投与することを含む、その必要のある対象において高血糖を処置する方法を提供する。
【0119】
一態様において、本発明は、本発明の医薬製剤を投与することを含む、その必要のある対象において血糖値を低下させる方法を提供する。
【0120】
一態様において、本発明は、動物および/またはヒトに本発明の医薬製剤を投与するための医療器具を提供する。
【0121】
本発明を、以下の実施例によって説明する。しかしながら、本発明がこれらの実施例の具体的な詳細に限定されないことを理解すべきである。