【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、Fc結合性タンパク質を吸着した陽イオン交換クロマトグラフィー担体を洗浄する工程に用いる洗浄液、および前記担体からFc結合性タンパク質を溶出させる工程に用いる溶出液における最適な塩濃度を見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
すなわち本発明の第一の態様は、
(1)陽イオン交換クロマトグラフィー用担体に、Fc結合性タンパク質を含む溶液を添加することで、前記担体にFc結合性タンパク質を吸着させる工程と、
(2)洗浄液を用いて、Fc結合性タンパク質を吸着した前記担体を洗浄する工程と、
(3)溶出液を用いて、前記担体に吸着したFc結合性タンパク質を溶出させる工程と、
を含むFc結合性タンパク質の精製方法であって、
前記(2)の工程が、150mmol/L未満の塩化ナトリウムを含む第一の洗浄液を用いて洗浄した後、150mmol/L以下かつ前記第一の洗浄液よりも高濃度の塩化ナトリウムを含む第二の洗浄液を用いて洗浄する工程であり、
前記(3)の工程が、250mmol/L以上の塩化ナトリウムを含む溶出液を用いてFc結合性タンパク質を溶出させる工程である、前記精製方法である。
【0012】
また本発明の第二の態様は、Fc結合性タンパク質が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質、または
配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質である、
前記第一の態様に記載の精製方法である。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明において、陽イオン交換クロマトグラフィー用担体に添加する、Fc結合性タンパク質を含む溶液の一例として、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現プラスミドにより形質転換された宿主の培養液(後述する粗精製Fc結合性タンパク質溶液を含む)や、前記培養液(後述する粗精製Fc結合性タンパク質溶液を含む)を陽イオン交換クロマトグラフィー以外のクロマトグラフィーを用いて精製して得られた溶液があげられる。
【0015】
本発明において、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現プラスミドにより形質転換する宿主とは、COS細胞やCHO細胞に代表される動物細胞、バチルス属(ブレビバチルス属細菌やパエニバチルス属細菌のような広義のバチルス属細菌も含む)や大腸菌に代表される細菌、サッカロマイセス属、ピキア属、シゾサッカロマイセス属に代表される酵母、麹菌に代表される糸状菌が例示できるが、取扱いの簡便な大腸菌を宿主とするのが好ましい。なお宿主が大腸菌の場合は、特開2012−034591号公報および特開2013−085531号公報に開示した方法等により、形質転換体を培養することで前記タンパク質を発現させればよい。
【0016】
本発明において、前記宿主の形質転換体の培養液から、クロマトグラフィー用担体に添加するための粗精製Fc結合性タンパク質溶液を得るには、発現の形態によって適宜選択すればよい。例えば、発現したタンパク質が宿主細胞のペリプラズムに発現する場合は、培養液を遠心分離して得られる宿主細胞を適切な緩衝液で懸濁し細胞破砕(物理的破砕、薬剤による破砕など)後、遠心分離により破砕残渣を除去することで、発現したタンパク質を含む無細胞抽出液を得ればよく、発現したタンパク質が宿主細胞のペリプラズムから培養上清に漏出する場合は、培養液を遠心分離して得られる培養上清から発現したタンパク質を回収すればよい。なお薬剤により宿主細胞を破砕する際は、例えば、特開2013−252099号公報に開示した方法や、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ社製)等の市販の抽出試薬を用いて破砕するとよい。
【0017】
本発明において、精製に用いる陽イオン交換クロマトグラフィー用担体は、カルボキシメチル基、スルホプロピル基、スルホン酸基といった陽イオン交換基を担体に導入したものであれば特に限定はなく、具体例として、TOYOPEARL CM−650、TOYOPEARL SP−650、TOYOPEARL GigaCap S−650(以上、東ソー社製)、CM Sepharose Fast Flow(GEヘルスケア社製)があげられる。なお、前記陽イオン交換クロマトグラフィー用担体を用いて、本発明の精製方法を実施する際は、前記担体へのFc結合性タンパク質を含む溶液(アプライ液)の添加量や、前記担体のタンパク吸着性能等によって決定した量の担体を、適切なオープンカラム等に充填して行なえばよい。また、前記陽イオン交換クロマトグラフィー用担体は、アプライ液を添加する前に、あらかじめ、塩を含む適切な緩衝液(Tris−HCl緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液、リン酸塩緩衝液等)で平衡化するとよい。
【0018】
本発明の精製方法では、前述した緩衝液であらかじめ平衡化した陽イオン交換クロマトグラフィー用担体に、Fc結合性タンパク質を含む溶液(アプライ液)を添加して、前記担体にFc結合性タンパク質を吸着させた後、溶出工程前に洗浄液を用いて前記担体に吸着しないタンパク質を除去する。その際、前記除去操作を150mmol/L未満の塩化ナトリウムを含む第一の洗浄液を用いて除去した後、150mmol/L以下かつ前記第一の洗浄液よりも高濃度の塩化ナトリウムを含む第二の洗浄液を用いて除去することで行なう。具体的には、前記第一の洗浄液として平衡化した緩衝液に含まれる塩と同じイオン強度の塩化ナトリウムを含む緩衝液を、前記第二の洗浄液を前記第一の洗浄液以上かつ150mmol/L以下の濃度の塩化ナトリウムを含む緩衝液を、それぞれ用いる例があげられる。なお前記除去操作を行なう際に用いる、第一の洗浄液に含まれる塩化ナトリウム濃度を100mmol/L未満とし、第二の洗浄液に含まれる塩化ナトリウム濃度を100mmol/L以下かつ前記第一の洗浄液よりも高い濃度とすると、その後の溶出工程により回収されるFc結合性タンパク質の回収率や純度がさらに向上する点で好ましい。前記好ましい態様の一例として、陽イオン交換クロマトグラフィー用担体の平衡化に用いる緩衝液を40mmol/Lから60mmol/Lの範囲の塩化ナトリウムに相当するイオン強度を有した緩衝液とし、第一の洗浄液に含まれる塩化ナトリウム濃度を40mmol/Lから60mmol/Lの範囲とし、第二の洗浄液に含まれる塩化ナトリウム濃度を80mmol/Lから100mmol/Lの範囲とする例があげられる。
【0019】
一方、前記担体に吸着したFc結合性タンパク質を溶出させるための溶出液は、250mmol/L以上の塩化ナトリウムを含む緩衝液を用いればよい。なお、溶出液に含まれる塩化ナトリウムの濃度を300mmol/Lから400mmol/Lの範囲とするとより好ましい。
【0020】
本発明においてFc結合性タンパク質とは、ヒトFcγRIの細胞外領域(具体的には天然型ヒトFcγRIの場合、配列番号5に記載のアミノ酸配列のうち16番目のグルタミンから292番目のヒスチジンまでの領域)を構成するタンパク質、またはヒトFcγRIIIaの細胞外領域(具体的には天然型ヒトFcγRIIIaの場合、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目のグリシンから208番目のグルタミンまでの領域)(
図1)を構成するタンパク質があげられる。なお必ずしもヒトFcγRI細胞外領域またはヒトFcγRIIIa細胞外領域の全領域でなくてもよく、ヒトFcγRI細胞外領域またはヒトFcγRIIIa細胞外領域を構成するタンパク質(ポリペプチド)のうち、少なくとも抗体(免疫グロブリン)のFc領域に結合する本来の機能を発現し得る領域のポリペプチドを含んでいればよい。本明細書におけるヒトFc結合性タンパク質の一例として、
(i)配列番号5に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質や、
(ii)配列番号5に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質や、
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質や、
(iv)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質、
があげられる。中でも前記(iii)および(iv)、すなわちヒトFcγRIIIa細胞外領域を構成するタンパク質のうち、少なくとも抗体のFc領域に結合する本来の機能を発現し得る領域のポリペプチドを含んだタンパク質、または当該タンパク質を構成するアミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質に対して、本発明を適用させると好ましい。
【0021】
前記(ii)の具体例としては、特開2011−206046号公報や特開2014−027916号公報に開示のFc結合性タンパク質があげられる。
【0022】
また前記(iv)の具体例としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(40)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(特願2014−166883号)があげられる。
(1)配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
(2)配列番号1の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
(3)配列番号1の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
(4)配列番号1の30番目のロイシンがグルタミンに置換
(5)配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換
(6)配列番号1の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
(7)配列番号1の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
(8)配列番号1の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
(9)配列番号1の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
(10)配列番号1の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(11)配列番号1の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(12)配列番号1の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
(13)配列番号1の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号1の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号1の65番目のセリンがアルギニンに置換
(16)配列番号1の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
(17)配列番号1の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
(18)配列番号1の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号1の78番目のアラニンがセリンに置換
(20)配列番号1の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
(21)配列番号1の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
(22)配列番号1の92番目のアスパラギンがセリンに置換
(23)配列番号1の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
(24)配列番号1の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
(25)配列番号1の110番目のロイシンがグルタミンに置換
(26)配列番号1の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
(27)配列番号1の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
(28)配列番号1の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(29)配列番号1の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
(30)配列番号1の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
(31)配列番号1の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(32)配列番号1の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
(33)配列番号1の155番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号1の163番目のスレオニンがセリンに置換
(35)配列番号1の167番目のセリンがグリシンに置換
(36)配列番号1の169番目のセリンがグリシンに置換
(37)配列番号1の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(38)配列番号1の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
(39)配列番号1の185番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号1の192番目のグルタミンがリジンに置換
また前記(iv)の別の具体例としては、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(41)から(111)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質があげられ、さらに具体的な例として配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含むFc結合性タンパク質があげられる(特願2015−047462号)。
(41)配列番号2の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(42)配列番号2の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(43)配列番号2の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(44)配列番号2の67番目のチロシンがセリンに置換
(45)配列番号2の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(46)配列番号2の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(47)配列番号2の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(48)配列番号2の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(49)配列番号2の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(50)配列番号2の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(51)配列番号2の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(52)配列番号2の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(53)配列番号2の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(54)配列番号2の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(55)配列番号2の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(56)配列番号2の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(57)配列番号2の204番目のイソロイシンがバリンに置換
(58)配列番号2の34番目のメチオニンがイソロイシン、リジン、スレオニンのいずれかに置換
(59)配列番号2の37番目のグルタミン酸がグリシンまたはリジンに置換
(60)配列番号2の39番目のロイシンがメチオニンまたはアルギニンに置換
(61)配列番号2の49番目のグルタミンがプロリンに置換
(62)配列番号2の62番目のリジンがイソロイシンまたはグルタミン酸に置換
(63)配列番号2の64番目のグルタミンがトリプトファンに置換
(64)配列番号2の67番目のチロシンがヒスチジンまたはアスパラギンに置換
(65)配列番号2の70番目のグルタミン酸がグリシンまたはアスパラギン酸に置換
(66)配列番号2の72番目のアスパラギンがセリンまたはイソロイシンに置換
(67)配列番号2の77番目のフェニルアラニンがロイシンに置換
(68)配列番号2の80番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(69)配列番号2の81番目のセリンがアルギニンに置換
(70)配列番号2の83番目のイソロイシンがロイシンに置換
(71)配列番号2の84番目のセリンがプロリンに置換
(72)配列番号2の85番目のセリンがアスパラギンに置換
(73)配列番号2の87番目のアラニンがスレオニンに置換
(74)配列番号2の90番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(75)配列番号2の91番目のフェニルアラニンがアルギニンに置換
(76)配列番号2の93番目のアスパラギン酸がバリンまたはグルタミン酸に置換
(77)配列番号2の94番目のアラニンがグルタミン酸に置換
(78)配列番号2の97番目のバリンがメチオニンとグルタミン酸に置換
(79)配列番号2の98番目のアスパラギン酸がアラニンに置換
(80)配列番号2の102番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(81)配列番号2の106番目のグルタミンがロイシンに置換
(82)配列番号2の109番目のロイシンがグルタミンに置換
(83)配列番号2の117番目のグルタミンがロイシンに置換
(84)配列番号2の119番目のグルタミン酸がバリンに置換
(85)配列番号2の121番目のヒスチジンがアルギニンに置換
(86)配列番号2の130番目のプロリンがロイシンに置換
(87)配列番号2の135番目のリジンがチロシンに置換
(88)配列番号2の136番目のグルタミン酸がバリンに置換
(89)配列番号2の141番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(90)配列番号2の146番目のセリンがスレオニンに置換
(91)配列番号2の154番目のリジンがアルギニンに置換
(92)配列番号2の159番目のグルタミンがヒスチジンに置換
(93)配列番号2の163番目のグリシンがバリンに置換
(94)配列番号2の165番目のリジンがメチオニンに置換
(95)配列番号2の167番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(96)配列番号2の169番目のヒスチジンがチロシンに置換
(97)配列番号2の174番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(98)配列番号2の177番目のリジンがアルギニンに置換
(99)配列番号2の185番目のセリンがグリシンに置換
(100)配列番号2の194番目のセリンがアルギニンに置換
(101)配列番号2の196番目のアスパラギンがリジンに置換
(102)配列番号2の201番目のスレオニンがアラニンに置換
(103)配列番号2の203番目のアスパラギンがイソロイシンまたはリジンに置換
(104)配列番号2の207番目のスレオニンがアラニンに置換
(105)配列番号2の94番目のアラニンがセリンに置換
(106)配列番号2の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(107)配列番号2の117番目のグルタミンがアルギニンに置換
(108)配列番号2の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(109)配列番号2の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(110)配列番号2の181番目のリジンがグルタミン酸に置換
(111)配列番号2の203番目のアスパラギンがアスパラギン酸またはチロシンに置換
また前記(iv)のさらに別の具体例としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(112)から(115)に示す天然に生じるアミノ酸置換のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質があげられる。
(112)配列番号1の66番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(113)配列番号1の147番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(114)配列番号1の158番目のチロシンがヒスチジンに置換
(115)配列番号1の176番目のバリンがフェニルアラニンに置換
本発明の精製方法において、カラムから溶出した画分に含まれるFc結合性タンパク質を定量するには、従来から知られている安定かつ効率的に定量できる方法の中から適宜選択すればよいが、ELISA法(酵素結合免疫吸着法)による分析方法が好ましい。
【0023】
本発明の精製方法により得られたFc結合性タンパク質は、医薬品、臨床検査薬、バイオセンサー、またはアフィニティーリガンド(分離剤)など様々な用途に用いることができる。使用の際の形態や純度はその用途により異なり、本発明の精製方法により得られたFc結合性タンパク質をそのまま用いてもよいし、さらに高度に精製したものを用いてもよいし、またその中間の純度の精製度合いのものを用いてもよい。