(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の回路は、前記第1の信号のレベルが所定のレベルを呈する期間が所定期間を超えた場合に当該超えた期間において所定のレベルを呈する信号を生成するマスキング回路を含む
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発振信号の周波数が安定するまでの期間、発振回路において、発振信号の出力を停止させる手法とは異なる手法として、発振信号の周波数が安定したと推定される場合に、所定の信号レベルの周波数安定フラグを生成し、これを他の回路に供給することにより、当該他の回路に発振信号の周波数が安定したことを報知する手法も存在する。
【0006】
図1は、周波数安定フラグ生成回路200の構成の一例を示す図である。
図2は、周波数安定フラグ生成回路200の動作を示すタイミングチャートである。
【0007】
周波数安定フラグ生成回路200は、複数のフリップフロップFF1、FF2、・・・FF(n−1)、FFnを従属接続したカウンタ回路によって構成されている。周波数安定フラグ生成回路200は、発振回路50から出力される発振信号Saのパルス数をカウントする。周波数安定フラグ生成回路200は、発振信号Saのカウント値が、所定値に達した場合に、ハイレベルに遷移する出力信号を、周波数安定フラグとして最終段のフリップフロップFFnから出力する。すなわち、最終段のフリップフロップFFnの出力信号がハイレベルに遷移したことをもって発振信号Saの周波数が安定したことが示される。
【0008】
しかしながら、上記の周波数安定フラグ生成回路200によれば、発振信号Saの周波数が実際に安定していたとしても、カウント値が所定値に達していない場合には、最終段のフリップフロップFFnの出力信号(周波数安定フラグ)は、ハイレベルに遷移することはない。従って、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路は、発振信号Saの周波数が実際に安定するまでの期間よりも長い期間に亘り待機状態となる。
【0009】
更に、上記の周波数安定フラグ生成回路200によれば、発振信号Saの周波数が安定していなくてもカウント値が所定値に達した場合には、最終段のフリップフロップFFnの出力信号(周波数安定フラグ)は、ハイレベルに遷移する。従って、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路は、発振信号Saの周波数が実際に安定していないにもかかわらず、待機状態を解除すすることとなる。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、発振信号の周波数に基づく適切な周波数安定フラグを生成することができる半導体装置および周波数安定フラグ生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る半導体装置は、発振回路から発振信号の出力が開始してから所定期間における前記発振信号の周波数のモニタを行う半導体装置であって、前記発振回路から出力される前記発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号を生成する第1の回路と、前記第1の信号のレベルが遷移してから前記第1の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合にレベルが遷移する第2の信号を生成する第2の回路と、前記第2の信号のレベルの遷移に応じて、発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも低くなったことを示す第3の信号を所定のレベルで出力し、且つ前記第3の信号のレベルを前記所定のレベルに維持する第3の回路と、を含
み、前記第1の回路は、前記第3の信号のレベルが前記所定のレベルに遷移した場合に前記第1の信号のレベルの遷移を停止させる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る半導体装置は、
発振回路から発振信号の出力が開始してから所定期間における前記発振信号の周波数のモニタを行う半導体装置であって、前記発振回路から出力される
前記発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号を生成する第1の回路と、前記第1の信号のレベルが遷移してから前記第1の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合に当該超えた期間において第1のレベルを呈し、それ以外の期間において第2のレベルを呈する第2の信号を生成する第2の回路と、前記第2の信号のレベルが前記第2のレベルを呈する間に前記発振信号のレベルが遷移した場合に
、前記発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも高くなったことを示す第3の信号を所定のレベルで出力し、且つ前記第3の信号のレベルを前記所定のレベルに維持する第3の回路と、を含む。
【0013】
本発明の第3の態様に係る半導体装置は、
発振回路から発振信号の出力が開始してから所定期間における前記発振信号の周波数のモニタを行う半導体装置であって、前記発振回路から出力される
前記発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号を生成する第1の回路、前記第1の信号のレベルが遷移してから前記第1の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合にレベルが遷移する第2の信号を生成する第2の回路および前記第2の信号のレベルの遷移に応じて
、前記発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも低くなったことを示す第3の信号を
所定のレベルで出力し、且つ前記第3の信号のレベルを前記所定のレベルに維持する第3の回路を含む第1の周波数安定フラグ生成回路と、前記発振回路から出力される前記発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第4の信号を生成する第4の回路、前記第4の信号のレベルが遷移してから前記第4の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合に当該超えた期間において第1のレベルを呈し、それ以外の期間において第2のレベルを呈する第5の信号を生成する第5の回路、および前記第5の信号のレベルが前記第2のレベルを呈する間に前記発振信号のレベルが遷移した場合に
、前記発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも高くなったことを示す第6の信号を
所定のレベルで出力し、且つ前記第6の信号のレベルを前記所定のレベルに維持する第6の回路を含む第2の周波数安定フラグ生成回路と、を含む。
【0014】
本発明の第4の態様に係る周波数安定フラグの生成方法は、発振回路から出力される発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号を生成し、前記第1の信号のレベルが遷移してから前記第1の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合にレベルが遷移する第2の信号を生成し、前記第2の信号のレベルの遷移に応じて、前記発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも低くなったことを示す所定のレベルの第3の信号を、前記発振信号の周波数が安定したことを示すフラグとして生成
し、前記第3の信号のレベルが前記所定のレベルに遷移した場合に前記第1の信号のレベルの遷移を停止させることを含む。
【0015】
本発明の第5の態様に係る周波数安定フラグの生成方法は、発振回路から出力される発振信号のレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号を生成し、前記第1の信号のレベルが遷移してから前記第1の信号のレベルが次に遷移するまでの期間が所定期間を超えた場合に当該超えた期間において第1のレベルを呈し、それ以外の期間において第2のレベルを呈する第2の信号を生成し、前記第2の信号のレベルが前記第2のレベルを呈する間に前記発振信号のレベルが遷移した場合に
、前記発振信号の周波数が安定して、所定の周波数よりも高くなったことを示す所定のレベルの第3の信号を、前記発振信号の周波数が安定したことを示すフラグとして生成することを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発振信号の周波数に基づく適切な周波数安定フラグを生成することができる半導体装置および周波数安定フラグ生成方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を構成する周波数安定フラグ生成回路100の回路ブロック図である。発振回路50から出力される発振信号Saは、周波数安定フラグ生成回路100によって周波数がモニタされる。ここで、発振開始直後における発振信号Saの周波数は、安定時における周波数よりも高く、時間経過に伴って安定時における周波数に収束するものとする。本実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路100は、発振信号Saの周波数が、所定の周波数よりも低くなった場合にハイレベルを呈する周波数安定フラグを出力する回路である。すなわち、周波数安定フラグがハイレベルに遷移することで、発振信号Saの周波数が安定したことが示される。周波数安定フラグ生成回路100は、半導体基板上に形成された第1の回路10、第2の回路20および第3の回路30を含んで構成されている。
【0020】
第1の回路10は、発振回路50から出力される発振信号Saのレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号S1を生成する回路であり、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13、AND回路12、15およびNOT回路14を含んで構成されている。
【0021】
第2の回路20は、第1の信号S1がハイレベルに遷移してからローレベルに遷移するまでの期間(以下、ハイレベル期間という)が所定期間を超えた場合に、ハイレベルに遷移する第2の信号S2を生成する回路であり、マスキング回路21およびAND回路22を含んで構成されている。
【0022】
第3の回路30は、第2の信号S2のローレベルからハイレベルへの遷移に応じてハイレベルに遷移する第3の信号S3を出力し、且つハイレベルに遷移した第3の信号S3のレベルを維持する回路であり、OR回路31、第3のフリップフロップ32およびNOT回路33を含んで構成されている。
【0023】
発振回路50から出力される発振信号Saは、第1のフリップフロップ11のクロック入力端子、第2のフリップフロップ13のクロック入力端子およびAND回路22の入力端子Aにそれぞれ入力される。第1のフリップフロップ11のデータ入力端子Dおよび第2のフリップフロップ13のデータ入力端子Dは、電源電圧VDDが印加される電源ラインに接続されている。
【0024】
第1のフリップフロップ11は、発振信号Saの立ち上がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を第1の信号S1として出力端子Qから出力する。第1のフリップフロップ11は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると、保持している値をリセットする。第1のフリップフロップ11の出力端子Qは、AND回路15の入力端子Bおよびマスキング回路21の入力端子に接続されている。
【0025】
一方、第2のフリップフロップ13は、発振信号Saの立ち下がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を出力端子Qから出力する。第2のフリップフロップ13は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると、保持している値をリセットする。第2のフリップフロップ13の出力端子Qは、NOT回路14を介してAND回路12の入力端子Bに接続されている。
【0026】
リセット信号Srは、AND回路12の入力端子A、AND回路15の入力端子Aおよび第3のフリップフロップ32のリセット入力端子Rに入力される。リセット信号Srは、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32に保持されている値をリセットするための信号である。本実施形態において、リセット信号Srをローレベルに遷移させることで、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32がリセットされる。
【0027】
AND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cは、それぞれNOT回路33の出力端子に接続されている。AND回路12は、リセット信号Sr、NOT回路14の出力信号およびNOT回路33の出力信号の論理積を出力端子Yから出力する。AND回路12の出力端子Yは、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに接続されている。AND回路15は、リセット信号Sr、第1のフリップフロップ11の出力信号(第1の信号S1)およびNOT回路33の出力信号の論理積を出力端子Yから出力する。AND回路15の出力端子Yは、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに接続されている。
【0028】
マスキング回路21の入力端子は、第1のフリップフロップ11の出力端子Qに接続され、マスキング回路21の出力端子は、AND回路22の入力端子Bに接続されている。マスキング回路21は、第1のフリップフロップ11から出力される第1の信号S1のハイレベル期間が所定のマスキング期間を超えた場合に、当該超えた期間においてハイレベルを呈し、それ以外の期間はローレベルを呈する信号を出力する。すなわち、マスキング回路21は、ハイレベルを呈する第1の信号S1を所定期間に亘りマスキングする。マスキング回路21におけるマスキング期間は、周波数安定時における発振信号Saのハイレベル期間に略一致するように構成されている。
【0029】
AND回路22は、マスキング回路21の出力信号および発振回路50の発振信号Saの論理積を、第2の信号S2として出力端子Yに出力する。AND回路22の出力端子Yは、OR回路31の入力端子Bに接続されている。
【0030】
OR回路31の入力端子Aは、第3のフリップフロップ32の出力端子Qに接続されている。OR回路31は、AND回路22の出力信号(第2の信号S2)および第3のフリップフロップ32の出力信号(第3の信号S3)の論理和を出力端子Yから出力する。OR回路31の出力端子Yは、第3のフリップフロップ32のクロック入力端子に接続されている。
【0031】
第3のフリップフロップ32のデータ入力端子Dは、電源電圧VDDが印加される電源ラインに接続されている。第3のフリップフロップ32は、OR回路31の出力信号の立ち上がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を第3の信号S3として出力端子Qから出力する。第3のフリップフロップ32は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると保持している値をリセットする。第3のフリップフロップ32の出力端子は、NOT回路33を介してAND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cに接続されている。第3の信号S3は、発振信号Saの周波数が安定しているか否かを示す周波数安定フラグとして機能する。
【0032】
以下に周波数安定フラグ生成回路100の動作について説明する。
図4は、周波数安定フラグ生成回路100の動作を示すタイミングチャートである。
図4には、上から順に、発振信号[Sa]、リセット信号[Sr]、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R]、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F2R]、AND回路22の入力端子Aに入力される入力信号[AND1A]、AND回路22の入力端子Bに入力される入力信号[AND1B]、AND回路22の出力信号[AND1Y](第2の信号S2)、OR回路31の入力端子Aに入力される入力信号[OR1A]、OR回路31の入力端子Bに入力される入力信号[OR1B]、OR回路31の出力信号[OR1Y]、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が示されている。
【0033】
周波数安定フラグ生成回路100は、ローレベルのリセット信号Srが入力されることにより初期状態となる。すなわち、ローレベルのリセット信号Srが入力されると、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32がリセットされ、周波数安定フラグ(第3の信号S3)は、初期状態であるローレベルとなる。リセット信号Srがハイレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32において、クロック入力端子に入力される信号に基づくトリガ動作が有効となる。
【0034】
リセット信号Srによるリセットが解除された後に発振信号Saがハイレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)がハイレベルに遷移する。発振信号Saがハイレベルに遷移してからマスキング回路21におけるマスキング期間Tmの経過前に発振信号Saがローレベルに遷移すると、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]がハイレベルに遷移する。これにより、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R](すなわち、AND回路12の出力信号)は、ローレベルに遷移し、第1のフリップフロップ11は、リセットされる。
【0035】
第1のフリップフロップ11がリセットされ、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q]がローレベルに遷移すると、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F2R](すなわち、AND回路15の出力信号)は、ローレベルに遷移し、第2のフリップフロップ13は、リセットされる。
【0036】
第2のフリップフロップ13がリセットされ、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]がローレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R](すなわち、AND回路12の出力信号)は、ハイレベルに遷移し、第1のフリップフロップ11のリセットが解除される。
【0037】
発振信号Saの周波数が、安定時における周波数よりも高く、発振信号Saおよび第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)のハイレベル期間が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmよりも短くなっている期間T1においては、上記の動作が繰り返される。すなわち、期間T1において、第1の回路10は、発振信号Saのハイレベルへの遷移に応じてハイレベルに遷移し、発振信号Saのローレベルへの遷移に応じてローレベルに遷移する第1の信号S1を出力する。期間T1においては、マスキング回路21の出力信号(AND回路22の入力端子Bに入力される入力信号[AND1B])は、ローレベルを維持するので、第3のフリップフロップ32のクロック入力(OR回路31の出力信号[OR1Y])は、ローレベルを維持する。従って、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)は、ローレベルを維持する。すなわち、期間T1において、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が未だ安定していないことを示すローレベルを維持する。
【0038】
期間T2において、発振信号Saおよび第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)のハイレベル期間が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmを超えると、マスキング回路21の出力信号は、ハイレベルに遷移する。これにより、AND回路22の入力端子Aに入力される入力信号[AND1A]およびAND回路22の入力端子Bに入力される入力信号[AND1B]は、ともにハイレベルとなるので、AND回路22の出力信号[AND1Y](第2の信号S2)およびOR回路31の入力端子Bに入力される入力信号[OR1B]はハイレベルに遷移する。
【0039】
これにより、OR回路31の出力信号[OR1Y](第3のフリップフロップ32のクロック入力)はハイレベルに遷移し、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)は、ハイレベルに遷移する。すなわち、期間T2において、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が安定したことを示すハイレベルに遷移する。
【0040】
第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が、ハイレベルに遷移すると、OR回路31の入力端子Aに入力される入力信号[OR1A]はハイレベルに遷移する。これにより、OR回路31の出力信号[OR1Y](第3のフリップフロップ32のクロック入力)においてハイレベルが維持され、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)においてハイレベルが維持される。すなわち、一旦周波数安定フラグがハイレベルに遷移すると、ローレベルのリセット信号Srが入力されるまで、その状態が維持される。
【0041】
また、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が、ハイレベルを維持することにより、AND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cには、ローレベルの信号が入力される状態が維持される。これにより、第1のフリップフロップ11および第2のフリップフロップ13において、リセット状態が維持される。
【0042】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路100によれば、発振回路50から出力される発振信号Saの周波数が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmによって定められる所望の周波数よりも低くなった場合に、ハイレベルを呈する周波数安定フラグが生成される。マスキング期間Tmは、周波数安定時における発振信号Saのハイレベル期間に略一致するように構成されており、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が安定すると直ちに発振信号Saの周波数が安定したことを示すハイレベルを呈する。従って、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路が、発振信号Saの周波数が安定するまでの期間よりも長い期間に亘り待機状態となることを防止することができる。また、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路が、発振信号Saの周波数が安定していないにもかかわらず、待機状態を解除することを防止することができる。
【0043】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を構成する周波数安定フラグ生成回路101の回路ブロック図である。発振回路50から出力される発振信号Saは、周波数安定フラグ生成回路101によって周波数がモニタされる。ここで、発振開始直後における発振信号Saの周波数は、安定時における周波数よりも低く、時間経過に伴って安定時における周波数に収束するものとする。本実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路101は、発振信号Saの周波数が、所定の周波数よりも高くなった場合にハイレベルを呈する周波数安定フラグを出力する回路である。すなわち、周波数安定フラグがハイレベルに遷移することで、発振信号Saの周波数が安定したことが示される。周波数安定フラグ生成回路101は、半導体基板上に形成された第1の回路10、第2の回路20および第3の回路30を含んで構成されている。
【0044】
第1の回路10は、発振回路50から出力される発振信号Saのレベルの遷移に応じてレベルが遷移する第1の信号S1を生成する回路であり、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13、AND回路12、15およびNOT回路14を含んで構成されている。
【0045】
第2の回路20は、第1の信号S1がハイレベルに遷移してからローレベルに遷移するまでの期間(ハイレベル期間)が所定期間を超えた場合に、当該超えた期間においてハイレベルを呈し、それ以外の期間においてローレベルを呈する第2の信号S2を生成する回路であり、マスキング回路21およびNOT回路23を含んで構成されている。
【0046】
第3の回路30は、第2の信号S2がローレベルを呈する間に発振信号Saのレベルが遷移した場合にハイレベルに遷移する第3信号S3を出力し、且つハイレベルに遷移した第3の信号S3のレベルを維持する回路であり、OR回路31、第3のフリップフロップ32およびNOT回路33を含んで構成されている。
【0047】
発振回路50から出力される発振信号Saは、第1のフリップフロップ11のクロック入力端子、第2のフリップフロップ13のクロック入力端子およびOR回路31の入力端子Bにそれぞれ入力される。第1のフリップフロップ11のデータ入力端子Dおよび第2のフリップフロップ13のデータ入力端子Dは、電源電圧VDDが印加される電源ラインに接続されている。
【0048】
第1のフリップフロップ11は、発振信号Saの立ち上がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を第1の信号S1として出力端子Qから出力する。第1のフリップフロップ11は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると、保持している値をリセットする。第1のフリップフロップ11の出力端子Qは、AND回路15の入力端子Bおよびマスキング回路21の入力端子に接続されている。
【0049】
一方、第2のフリップフロップ13は、発振信号Saの立ち下がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を出力端子Qから出力する。第2のフリップフロップ13は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると、保持している値をリセットする。第2のフリップフロップ13の出力端子Qは、NOT回路14を介してAND回路12の入力端子Bに接続されている。
【0050】
リセット信号Srは、AND回路12の入力端子A、AND回路15の入力端子Aおよび第3のフリップフロップ32のリセット入力端子Rに入力される。リセット信号Srは、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32に保持されている値をリセットするための信号である。本実施形態において、リセット信号Srをローレベルに遷移させることで、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32がリセットされる。
【0051】
AND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cは、それぞれNOT回路33の出力端子に接続されている。AND回路12は、リセット信号Sr、NOT回路14の出力信号およびNOT回路33の出力信号の論理積を出力端子Yから出力する。AND回路12の出力端子Yは、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに接続されている。AND回路15は、リセット信号Sr、第1のフリップフロップ11の出力信号(第1の信号S1)およびNOT回路33の出力信号の論理積を出力端子Yから出力する。AND回路15の出力端子Yは、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに接続されている。
【0052】
マスキング回路21の入力端子は、第1のフリップフロップ11の出力端子Qに接続され、マスキング回路21の出力端子は、NOT回路23の入力端子に接続されている。マスキング回路21は、第1のフリップフロップ11から出力される第1の信号S1のハイレベル期間が所定のマスキング期間を超えた場合に、当該超えた期間においてハイレベルを呈し、それ以外の期間はローレベルを呈する信号を出力する。すなわち、マスキング回路21は、ハイレベルを呈する第1の信号S1を所定期間に亘りマスキングする。マスキング回路21におけるマスキング期間は、周波数安定時における発振信号Saのハイレベル期間に略一致するように構成されている。
【0053】
NOT回路23は、マスキング回路21の出力信号の否定論理を、第2の信号S2として出力端子に出力する。NOT回路23の出力端子は、第3のフリップフロップ32のデータ入力端子Dに接続されている。
【0054】
OR回路31の入力端子Aは、第3のフリップフロップ32の出力端子Qに接続されている。OR回路31は、発振信号Saおよび第3のフリップフロップ32の出力信号の論理和を出力端子Yから出力する。OR回路31の出力端子Yは、第3のフリップフロップ32のクロック入力端子に接続されている。
【0055】
第3のフリップフロップ32は、OR回路31の出力信号の立ち下がりエッジが生じるタイミングでハイレベルに遷移する出力信号を第3の信号S3として出力端子Qから出力する。第3のフリップフロップ32は、リセット入力端子Rにローレベルの信号が入力されると保持している値をリセットする。第3のフリップフロップ32の出力端子は、NOT回路33を介してAND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cに接続されている。第3の信号S3は、発振信号Saの周波数が安定しているか否かを示す周波数安定フラグとして機能する。
【0056】
以下に周波数安定フラグ生成回路101の動作について説明する。
図6は、周波数安定フラグ生成回路101の動作を示すタイミングチャートである。
図6には、上から順に、発振信号[Sa]、リセット信号[Sr]、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R]、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F2R]、マスキング回路21の出力信号[M]、NOT回路23の出力信号[INV](第2の信号S2)、OR回路31の入力端子Aに入力される入力信号[OR1A]、OR回路31の入力端子Bに入力される入力信号[OR1B]、OR回路31の出力信号[OR1Y]、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が示されている。
【0057】
周波数安定フラグ生成回路101は、ローレベルのリセット信号Srが入力されることにより初期状態となる。すなわち、ローレベルのリセット信号Srが入力されると、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32がリセットされ、周波数安定フラグ(第3の信号S3)は、初期状態であるローレベルとなる。リセット信号Srがハイレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11、第2のフリップフロップ13および第3のフリップフロップ32において、クロック入力端子に入力される信号に基づくトリガ動作が有効となる。
【0058】
リセット信号Srによるリセットが解除された後に発振信号Saがハイレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)がハイレベルに遷移する。一方、発振信号Saがローレベルに遷移すると、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]がハイレベルに遷移する。これにより、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R](すなわち、AND回路12の出力信号)は、ローレベルに遷移し、第1のフリップフロップ11は、リセットされる。
【0059】
第1のフリップフロップ11がリセットされ、第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q]がローレベルに遷移すると、第2のフリップフロップ13のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F2R](すなわち、AND回路15の出力信号)は、ローレベルに遷移し、第2のフリップフロップ13は、リセットされる。
【0060】
第2のフリップフロップ13がリセットされ、第2のフリップフロップ13の出力信号[F/F2Q]がローレベルに遷移すると、第1のフリップフロップ11のリセット入力端子Rに入力される入力信号[F/F1R](すなわち、AND回路12の出力信号)は、ハイレベルに遷移し、第1のフリップフロップ11のリセットが解除される。
【0061】
発振信号Saの周波数が安定時における周波数よりも低く、発振信号Saおよび第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)のハイレベル期間が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmよりも長くなっている期間T1においては、上記の動作が繰り返される。すなわち、期間T1において、第1の回路10は、発振信号Saのハイレベルへの遷移に応じてハイレベルに遷移し、発振信号Saのローレベルへの遷移に応じてローレベルに遷移する第1の信号S1を出力する。期間T1においては、第3のフリップフロップ32のデータ入力端子Dに入力されるNOT回路23の出力信号[INV](第2の信号S2)がハイレベルを呈しているときに、第3のフリップフロップ32のクロック入力端子に入力されるOR回路31の出力信号[OR1Y]がローレベルに遷移することはないので、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)は、ローレベルを維持する。すなわち、期間T1において、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が未だ安定していないことを示すローレベルを維持する。
【0062】
期間T2において、発振信号Saおよび第1のフリップフロップ11の出力信号[F/F1Q](第1の信号S1)のハイレベル期間が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmよりも短くなると、マスキング回路21の出力信号は、ローレベルを維持する。これにより、NOT回路23の出力信号[INV](第2の信号S2)、すなわち、第3のフリップフロップ32のデータ入力は、ハイレベルを維持する。この状態において、発振信号Saの立ち下がりに応じてOR回路31の出力信号[OR1Y]がローレベルに遷移すると、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)は、ハイレベルに遷移する。すなわち、期間T2において、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が安定したことを示すハイレベルに遷移する。
【0063】
第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が、ハイレベルに遷移すると、OR回路31の入力端子Aに入力される入力信号[OR1A]はハイレベルに遷移する。これにより、OR回路31の出力信号[OR1Y](第3のフリップフロップ32のクロック入力)においてハイレベルが維持され、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)においてハイレベルが維持される。すなわち、一旦周波数安定フラグがハイレベルに遷移すると、ローレベルのリセット信号Srが入力されるまで、その状態が維持される。
【0064】
また、第3のフリップフロップ32の出力信号[F/F3Q](第3の信号S3)が、ハイレベルを維持することにより、AND回路12の入力端子CおよびAND回路15の入力端子Cには、ローレベルの信号が入力される状態が維持される。これにより、第1のフリップフロップ11および第2のフリップフロップ13において、リセット状態が維持される。
【0065】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路101によれば、発振回路50から出力される発振信号Saの周波数が、マスキング回路21におけるマスキング期間Tmによって定められる所望の周波数よりも高くなった場合に、ハイレベルを呈する周波数安定フラグが生成される。マスキング期間Tmは、周波数安定時における発振信号Saのハイレベル期間に略一致するように構成されており、周波数安定フラグは、発振信号Saの周波数が安定すると直ちに発振信号Saの周波数が安定したことを示すハイレベルを呈する。従って、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路が、発振信号Saの周波数が安定するまでの期間よりも長い期間に亘り待機状態となることを防止することができる。また、周波数安定フラグによって発振信号Saの周波数が安定したことが示されるまで待機状態を維持する他の回路が、発振信号Saの周波数が安定していないにもかかわらず、待機状態を解除することを防止することができる。
【0066】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。第3の実施形態に係る半導体装置は、第1の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路100と、第2の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路101とを組み合わせて構成される。発振回路50から出力される発振信号Saは、周波数安定フラグ生成回路100および101の双方によって周波数がモニタされる。
【0067】
図8は、発振信号Saの周波数の適正範囲と、周波数安定フラグ生成回路100および101における閾値TH1およびTH2との関係を示す図である。周波数安定フラグ生成回路100は、発振信号Saの周波数が閾値TH1よりも高い場合にローレベルの周波数安定フラグF1を出力し、発振信号Saの周波数が閾値TH1よりも低い場合にハイレベルの周波数安定フラグF1を出力する。一方、周波数安定フラグ生成回路101は、発振信号Saの周波数が閾値TH2よりも高い場合にハイレベルの周波数安定フラグF2を出力し、発振信号Saの周波数が閾値TH2よりも低い場合にローレベルの周波数安定フラグF2を出力する。
【0068】
周波数安定フラグ生成回路100の閾値TH1は、発振信号Saの適正範囲の上限値に一致するように構成されている。周波数安定フラグ生成回路101の閾値TH2は、発振信号Saの適正範囲の下限値に一致するように構成されている。従って、発振信号Saの周波数が適正範囲内にあるときは、周波数安定フラグ生成回路100から出力される周波数安定フラグF1および周波数安定フラグ生成回路101から出力される周波数安定フラグF2は共にハイレベルとなる。換言すれば、周波数安定フラグF1およびF2の双方がハイレベルであることをもって発振信号Saの周波数が適正範囲であることが示される。なお、閾値TH1およびTH2の設定は、マスキング回路21におけるマスキング期間の設定によって行うことが可能である。
【0069】
以上のように、第1の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路100と第2の実施形態に係る周波数安定フラグ生成回路101とを組み合わせて構成される本発明の第3の実施形態に係る半導体装置によれば、周波数安定フラグF1およびF2によって、発振信号Saが適正範囲内であるか否かが示される。なお、本実施形態では、閾値TH1を発振信号Saの適正範囲の上限値に一致させ、閾値TH2を発振信号Saの適正範囲の下限値に一致させる場合を例示したが、閾値TH2を発振信号Saの適正範囲の上限値に一致させ、閾値TH1を発振信号Saの適正範囲の下限値に一致させてもよい。この場合、周波数安定フラグF1およびF2の双方がローレベルであることをもって発振信号Saの周波数が適正範囲であることが示される。
【0070】
また、上記の第1の実施形態および第2の実施形態において、発振信号Saの周波数が安定したときに、周波数安定フラグをハイレベルに遷移させる場合を例示したが、発振信号Saの周波数が安定したときに、周波数安定フラグをローレベルに遷移させてもよい。
【0071】
また、マスキング回路21は、第1のフリップフロップ11から出力される第1の信号S1のハイレベル期間が所定のマスキング期間を超えた場合に、当該超えた期間においてハイレベルを呈し、それ以外の期間はローレベルを呈する信号を出力するものとしているが、この態様に限定されるものではない。マスキング回路21は、第1のフリップフロップ11から出力される第1の信号S1のハイレベル期間が所定のマスキング期間を超えた場合に、当該超えた期間においてローレベルを呈し、それ以外の期間はハイレベルを呈する信号を出力してもよい。