【実施例1】
【0040】
図2は、本実施の形態に係る自動分析装置のシステムオーバービュー画面の一例を示す図であって、
図1における自動分析装置の操作画面78に表示される画面である。
【0041】
システムオーバービュー画面は、主としてワークフロー表示領域201と、オーバービュー表示領域202と、から構成される。
【0042】
ワークフロー表示領域201は、検査を実施するために必要な測定前の準備から測定後の結果の収集までを含めた一連の必要な操作のフローを示す領域である。主に、メンテナンスボタン203、測定結果の保存と削除ボタン204、試薬・消耗品準備ボタン205、キャリブ・QCボタン206、サンプルディスクモニターボタン207、QC結果の蓄積ボタン208が配置され、オペレーターはこのボタンの順に従って操作を行う。なお、ここでQCとはQuality Controlのことを示し、コントロール試料の測定を実施することで、キャリブレーション後に結果を確認して問題がないかを判定したり、定期的に装置の状態や試薬の状態に問題がないかを確認するために使用する。
【0043】
図2に示すように、
図1における操作画面78にはメモリー77に記憶されているメンテナンス実施状況や現在搭載されている試薬の残量、キャリブレーション・コントロール試料の測定の実施状況などの情報をワークフロー表示領域201に反映する。ここで、操作画面78では、メンテナンスの周期やキャリブレーション・コントロール試料の測定における有効期限試薬・消耗品の準備レベルをあらかじめ設定可能であり、設定値に達した場合(すなわち、例えば有効期限が設定値よりも近付いている場合や、消耗品の準備レベルが設定値よりも低くなった場合)にはメンテナンスボタン203や試薬・消耗品準備ボタン205、キャリブ・QCボタン206の状態を変化させ、色やマーク等で区別することによってオペレーターに準備の必要性を通知する。
【0044】
オーバービュー表示領域202は、ユニット使用要否選択エリア209と使用状況表示エリア210から成る。ユニット使用要否選択エリア209では、使用するユニットに対応するチェックボックスにチェックを入れることによって、該当するユニットを使用可能に設定する。
図2(a)は、すべてのユニットのチェックボックスが有効(レ)となっており、すべてのユニットが使用可能な状態を示している。
図2(b)では、ISEユニットにチェックマークが入っておらず、凝固時間ユニット、吸光光度計、光散乱光度計にはチェックが入っている。これは、ISEユニットのみを使用しない設定(ISEユニット以外の全てのユニットを使用する)を選択したことを示している。このように、特定のユニットを使用しない設定を選択することをユニットマスクと呼ぶ。ユニットマスクにより、使用状況表示エリア210では、ISEユニットには使用不可のマークを付記している。同様に、
図2(c)では、ユニット使用要否選択エリア209において凝固時間ユニットにチェックマークが入っておらず、ISEユニット、吸光光度計、光散乱光度計にはチェックが入っている。すなわち、凝固時間ユニットをマスクした状態であり、この状態では、使用状況表示エリア210では、凝固時間ユニットの使用不可を示すマークを付記する、色分けするなどの方法によって容易に認識できる。
【0045】
続いて、ワークフロー表示領域201における、各ボタンの機能や表示色について
図3から
図8を用いて説明する。
【0046】
〈メンテナンスボタン〉
メンテナンスボタン203は、あらかじめ設定された各メンテナンス項目の期限情報と、前回のメンテナンス実施からの経過時間とを管理し、これらの情報に基づいて、メンテナンスの実施を促すように、メンテナンスボタンを黄色(注意レベル)または赤色(警告レベル)に表示する。
図3は、本実施の形態に係る自動分析装置のメンテナンス画面の一例を示す。
図3(a)では、すべてのメンテナンスを表示するモード301が設定されている。この時、ISEに関するメンテナンスであるISEプライムは前回の実施から時間が経過し、メンテナンスが必要な状態である。この場合、メンテナンスリストではNo.7のISEプライムの項目が着色されて、ユーザーにメンテナンスの実施を推奨する。このとき、例えば、
図2(b)にて上述したようにISEユニットをマスクしている状態では、ISEユニットは使用しないため、本ユニットに係わるメンテナンスを実施する必要がない。すなわち、このような状態であるにもかかわらず、
図2(b)のメンテナンスボタン203を着色してメンテナンスの実行を推奨してしまうと、オペレーターにとって不必要な準備等の作業が発生することになる。そこで、
図3(b)のように、マスクしたユニットで実施するメンテナンスの推奨を表示しないモード302を選択することによって、ユーザーが不必要なメンテナンスを実施することがないよう、メンテナンスリストのNo.7のISEプライムの項目を着色せずに、推奨を解除する。このとき、
図2(b)のワークフロー表示領域201においても、メンテナンスボタン203は、ISEプライムの項目に起因して着色されることはない。
図3(a)、(b)では、ラジオボタンによって選択した例を示しているが、タブによる切り替えや、プルタブによる選択など、その他の選択方法についても適用可能である。ここで、
図4は、本実施の形態に係る自動分析装置のユニットマスク時の表示設定画面の一例を示す。本図に示すように、
図3のメンテナンス画面とは別の画面にて、マスクしたユニットに関するメンテナンスやキャリブレーション、QC等の情報の表示の要否を設定しておくこともできる。
図4では、各項目についてそれぞれ表示の要否を設定する画面の一例を示しているが、全ての項目について統一した表示形式を一括で選択するように設定する画面とすることもできる。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る自動分析装置におけるメンテナンス周期の設定画面の一例を示す。メンテナンス周期の設定画面は、主としてメンテナンスリスト501、メンテナンス名選択エリア502、周期入力エリア503、注意レベル設定エリア504から構成される。オペレーターは、メンテナンス毎に適した実施の周期を設定する。
【0048】
例えば、
図5における反応セル交換周期について、予め1カ月に一度とし、設定日数の80%を経過した時点で注意レベルを色等で表示するように設定している。期限設定後、登録ボタン505を押すと設定が登録され、取消ボタン506を押すと登録された設定内容が取り消される。すなわち、この場合では、設定日数の80%を経過した時点である、反応セル交換後24日を経過した時、および、設定日数に到達した時点である、1カ月を経過した時に、
図2におけるメンテナンスボタン203の表示色がそれぞれ黄色、赤色等に変化する。期限を設定したいメンテナンス項目は、
図5に示すメンテナン
スリス
ト501から選択することができ、選択されたメンテナンス項目に関して、
メンテナンス名選択エリア502に有効期限を日、週、または月単位で設定することができる。そして、設定した周期に対する注意レベルを、経過期間の注意レベル設定値欄504において、例えばパーセンテージ(%)等で設定することができる。
【0049】
〈試薬・消耗品準備ボタン〉
図2における試薬・消耗品準備ボタン205で、現在装置上に設置されている試薬・消耗品のデータベースに基づき、現在残量が0の分析項目が存在する場合には、試薬
・消耗品準備ボタンを色またはマークで識別して表示する。同様にしてあらかじめ設定された注意レベルに対し、現在の残量が注意レベルの残量よりも少ない分析項目が存在する場合には、試薬・消耗品準備ボタン205を警告表示とは異なる色または異なるマークで識別して表示する。通常、測定依頼件数は項目毎に異なるため、試薬注意レベルは測定項目毎に個別に設定できることが望ましい。
【0050】
ここで、
図6は本実施の形態に係る自動分析装置の試薬ディスクオーバービュー画面の一例を示す。
図6(a)は、全ての試薬情報を表示するように設定された画面、
図6(b)は、マスクされたユニットに関する試薬情報は表示しないように設定された画面を示す。試薬ディスクオーバービュー画面は、分析用試薬情報表示部601−1および601−2、洗剤情報表示部602、表示切り替えエリア603、試薬交換情報印字ボタン604とから構成される。
【0051】
分析用試薬情報表示部601は自動分析装置1における第1試薬ディスク30−1、第2試薬ディスク30−2を模式的に示した図であり、試薬ディスク内に搭載された残量を容易に判別できるように、例えば試薬ボトル内の残量が0の場合には赤色、あらかじめ設定された注意レベル以下であれば黄色といったような表示色や、模様のパターン等で区別している。
洗剤情報表示部602は、システムで使用する洗剤を示し、分析用試薬情報
表示部601と同様に、残量が0であれば赤色、残量が設定値以下であれば黄色というような表示色や、模様のパターン等によって状態を判別している。
【0052】
ここで、601−1、602−2のポジション10から12には凝固時間ユニットで使用する試薬が設置されているものとする。この場合、
図6(a)のように、表示切り替えエリア603にて全ての試薬情報を表示するように設定されていれば、試薬ディスクに搭載された試薬情報の全てを表示する。しかし、
図2(c)にて上述したように、凝固時間ユニットがマスクされている場合には、601−1、602−2のポジション10から12の試薬は分析には必要ないため、準備する必要がない。
【0053】
従来のように、試薬ディスク内に設置されている試薬を一括で管理すると、
図2(c)のように凝固時間ユニットがマスクされている場合でもすべての試薬の情報が表示されてしまい、ユーザーに不要な準備を推奨してしまっていた。これに対し、本実施の形態では、項目毎に測定するユニットの情報を反映させた表示とすることで、試薬情報と測定ユニットを結び付けて管理することができる。ここで、試薬情報と測定するユニットの情報を結び付けるための方法には、項目コードを測定ユニットごとに結び付ける(項目コードは試薬情報に結びついている)、操作画面の分析パラメーター画面で項目毎に測定ユニットを指定する、試薬バーコードに記載する等の方法がある。
【0054】
測定ユニットと関連付けられた試薬は、対象の測定ユニットが使用可能であれば、試薬交換の推奨を行う。一方で、特定の測定ユニットが使用不可の場合(マスクされた場合)、マスクされた測定ユニットに係る試薬交換の実施は推奨しないように構成されている。例えば、
図6(b)では、表示切り替えエリア603において、マスクするユニットで使用する試薬については表示しないように設定しているため、凝固時間ユニットで測定する試薬の情報を表示しない。
【0055】
この場合、
図2(c)における試薬・消耗品準備ボタン205も、赤色に着色される等により識別表示されることがないので、オペレーターは不必要な準備作業を実施するおそれがなくなり、必要な準備作業だけを間違いなく実施することが出来る。
【0056】
図7は、本実施の形態に係る自動分析装置の試薬交換
情報印字画面の一例を示す図である。本図に示すように、試薬交換情報を印字する際にも、マスクされているユニットで使用する試薬の印刷要否を選択することができる。なお、本実施の形態において、試薬交換情報の印字画面は、
図6に示す試薬交換情報印字ボタン606をクリックすることにより表示することができる構成としているが、これに限られるものではない。
【0057】
〈キャリブ・QCボタン〉
図8は、本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブ・QC画面の一例を示す図である。
図2に示したキャリブ・QCボタン206は、キャリブレーションの実施状況、コントロールの測定状況を示すボタンであり、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、本図に示す画面を表示する。
【0058】
キャリブレーションに関して、現在装置上に設置されている試薬情報のデータベースに基づき、装置上に設置されている試薬の中に、キャリブレーションが未実施の場合や、キャリブレーションの有効期限が切れている場合、あるいは、コントロールの測定が失敗している場合等では、キャリブレーションの実施またはコントロールの再測定が必要となるため、
図2において、キャリブ・QCボタンを色等で識別表示することでキャリブレーションの実施やコントロールの再測定をオペレーターに推奨することができる。キャリブレーションが推奨されている場合は、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、
図8の画面に進むと、推奨項目一括依頼ボタン801が例えば黄色に着色される等識別表示されている。オペレーターは、ここで推奨項目一括依頼ボタン801をクリックすることにより、キャリブレーションの推奨がある項目について簡便に実行を依頼することができる。
【0059】
同様に、コントロール測定に関しても、現在装置上に設置されている試薬情報のデータベースに基づき、装置上に設置されている試薬の中に、コントロールの有効期限が切れている場合などにコントロールの測定を推奨する機能を持つ。この場合も、コントロールの測定が推奨されている場合には、
図2において、キャリブ・QCボタンを色等で識別表示する。QCが推奨されている場合は、キャリブ・QCボタン206をクリックすることで、
図8の画面に進むと、推奨項目一括依頼ボタン802が例えば黄色に着色される等識別表示されている。オペレーターは、ここで推奨項目一括依頼ボタン802をクリックすることにより、コントロール測定の推奨がある項目について簡便に実行を依頼することができる。
【0060】
ここで、上述したように、
図2のシステムオーバービュー画面においてキャリブ・QCボタン206を色等で識別表示することで、オペレーターはキャリブレーションや、コントロールの測定が推奨されていることを容易に認識することができる。
【0061】
しかし、例えば
図2(
c)に示すように凝固時間ユニットがマスクされている場合には、凝固時間項目に対するキャリブレーションやコントロールの測定を実施する必要がない。この時に一括依頼をしてしまうと、凝固時間項目の試薬が無駄に消費されてしまうため、マスクされているユニットで測定する項目のキャリブレーションとコントロールを推奨しないよう
に設定することができる。
【0062】
図9は、本実施の形態に係る自動分析装置のキャリブレーションの推奨画面の一例を示す。試薬交換時やコントロールの測定に失敗した場合には推奨要因901欄において項目毎に表示色を変色させることでユーザーにキャリブレーションの推奨を表示する。しかし、
図2(c)で凝固時間ユニットがマスクされている場合には、凝固時間項目(本図においては項目名PT)のキャリブレーションは実施の必要がないため、推奨要因があった場合でも表示色の変色は行わない。例えば、
図8におけるキャリブレーションの推奨項目一括依頼ボタン801等を選択することにより本画面に遷移するように構成することができる。
【0063】
ここで、上述した実施の形態では、オーバービュー表示領域202における、ユニット使用要否選択エリア209にて選択した、あるいは選択しなかった測定ユニットに関する情報を、ワークフロー表示領域201における表示や、ワークフロー表示領域201の各ボタンから移行される画面への表示に対応させる例について示したが、ユーザーが項目毎に個別にマスクを実施した場合でも、使用しない項目の試薬情報、キャリブレーションやコントロール測定の推奨を行わないような構成とすることもできる。また、上述した形態では、メンテナンス画面(
図3)、ユニットマスク時の表示設定画面(
図4)、試薬ディスクオーバービュー画面(
図6)、キャリブレーションの推奨画面(
図9)等の画面でユニットマスク時の表示設定を反映するか否かを選択する形態としたが、ユニットマスク時の表示設定を選択することなくユニットマスク画面の表示設定を反映する(ユニットマスクの設定にかかわらず全情報を表示するモードを有さない)ように構成することもできる。
【0064】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えたものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。