(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
真空チャンバ内でシート状の基材を走行させながらその表面に対して所定の真空処理を施す真空処理装置にて、真空処理を施す処理ユニットに対峙させて設けられ、シート状の基材が巻き掛けられる回転自在な真空処理装置用のキャンローラにおいて、
軸体と、軸体に外挿される内筒体と、隙間を存して内筒体の外筒面を囲う外筒体と、内筒体と外筒体の軸方向の両端を夫々閉塞するカバー体とを備え、
各カバー体が複数本の流路を有し、軸方向に沿った各流路の断面がカバー体の断面に重なり、各流路に夫々連通する内筒体と外筒体との隙間の断面積が所定の流速が得られる大きさに設定されることを特徴とする真空処理装置用のキャンローラ。
前記カバー体の外周側部に、前記隙間より大きな深さで径方向内方に向けて窪む窪み部が周方向全体に亘って形成され、この窪み部を介して前記各流路と前記隙間とが互いに連通することを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空処理装置用のキャンローラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、軸方向における小型化が可能で、熱交換率の低下を可及的に抑制できるようにした構造を持つキャンローラを提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、真空チャンバ内でシート状の基材を走行させながらその表面に対して所定の真空処理を施す真空処理装置にて、真空処理を施す処理ユニットに対峙させて設けられ、シート状の基材が巻き掛けられる回転自在な本発明の真空処理装置用のキャンローラは、軸体と、軸体に外挿される内筒体と、隙間を存して内筒体の外筒面を囲う外筒体と、内筒体と外筒体の軸方向の両端を夫々閉塞するカバー体とを備え、各カバー体が複数本の流路を有し、軸方向に沿った各流路の断面がカバー体の断面に重なり、各流路に夫々連通する内筒体と外筒体の隙間の断面積が所定の流速が得られる大きさに設定されることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記各流路が、周方向に等間隔で配置されて径方向にのびるものである構成を採用してもよい。また、前記カバー体の外周側部に、前記隙間より大きな深さで径方向内方に向けて窪む窪み部が周方向全体に亘って形成され、この窪み部を介して前記各流路と前記隙間とが互いに連通する構成を採用してもよい。この場合、前記隙間に、互いに隣接する各流路の間に位置させて軸方向にのびる分流体が設けられることが好ましい。
【0008】
本発明によれば、軸方向に沿った流路の断面がカバー体の断面に重なる、即ち、カバー体の断面視した内側に流路の断面が存在することで、流路を含むカバー体が軸方向に大きくなってキャンローラ自体が大型化することを防止でき、また、流路を複数に分けて構成することで個々の流路の比表面積を小さくできるので、カバー体を流れる冷却水の総量を少なくでき、しかも、各流路における吸熱または放熱面積が小さくなって、外筒体を介したシート状の基材との熱交換率の低下を可及的に抑制することができる。
【0009】
ところで、キャンローラやシート状の基材が真空処理時に入熱を受け得る環境で使用される場合、シート状の基材にその長さ方向や幅方向の温度分布が生じることを抑制するために、軸体に外挿される内筒体の外筒面に突条(1条または2条でもよい)を所定ピッチで螺旋状に突設することが一般に知られている。これによれば、突条で区画される内筒体と外筒体との間の流体流路に、その軸方向一端からその他端にむけて所定温度の流体を流せば、この流体流路内での流体の温度分布を可及的に小さく抑制でき、ひいては、シート状の基材の長さ方向及び幅方向に比較的大きな温度分布が生じることを抑制できる。これは、突条で区画される流体流路の断面積が小さい(絞られている)ことで、これを流れる流体にある程度の流速が確保されて熱伝達率が向上することに起因していると考えられるが、これでは、内筒体の構造が複雑になり、製品コスト高を招く。
【0010】
それに対して、本発明では、例えば、内筒体内で軸体に沿って軸方向一方からその他方に向けてのびる流入通路に所定温度の流体を供給すると、この流入通路に連通する、軸方向他方側に位置するカバー体(第1のカバー体)の各流路(第1流路)に流体が夫々供給される。この場合、例えば、径方向にのびる各第1流路が周方向に等間隔で複数本配置されていれば、流入流路からの流体が分散されて各第1流路に供給され、各第1流路からの流体を内筒体と外筒体との隙間に略均等に流入させることができる。そして、この隙間を通って、他方のカバー体(第2のカバー体)の流路(第2流路)へと流体が流れ、各第2流路が連通する流出通路を介して外部に排出される。
【0011】
ここで、本願発明者らの鋭意研究の結果、得られた知見によれば、上記突条で区画される流体通路を流れる流体と同程度の流速が得られる大きさに、隙間の断面積が絞られていれば、第1流路から夫々流入した流体は、上記隙間を軸方向に沿って一様に流れ、そのとき、この隙間を流れる流体の(特に軸方向における)温度分布を可及的に小さく抑制できること(つまり、隙間に流入する流体とこの隙間から流出する流体との温度差が可及的小さくなること)が確認された。この場合、内筒体の外筒面に突条を螺旋状に設けるといったことを不要にでき、製品の低コスト化を図ることができ、有利である。
【0012】
また、窪み部を設けると、窪み部が液溜り部として機能して、第1のカバー体では、各第1流路から流出する流体が外筒体の内壁に一旦衝突して周方向に分散されることで(言い換えると、互いに隣接する第1流路の中間に位置する箇所まで流体が回り込むことで)、内筒体と外筒体との隙間に対し、その周方向略全体から流体が流入する一方で、第2のカバー体では、隙間を一様に流れた流体が一旦受け止められて、その後に各第2流路へ流出することで、この隙間を流れる流体の周方向における温度分布を可及的に小さく抑制できる。この場合、分流体を設けておけば、軸方向他方の各第1の分岐流路から隙間に流入する流体が混ざり合うことなく、軸方向一方に向けて一様に流れることが確保され、隙間を流れる流体の軸方向及び周方向における温度分布をより一層小さく抑制できる。この場合、分流体は、隙間を周方向で完全に分離している必要はなく、例えば、内筒体の外筒面に貼着される所定の板厚や線径を持つ板材や線材で分流体を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、処理ユニットを蒸着源とし、キャンローラCRに巻き掛けられたシート状の基材Swに対して所定の薄膜を蒸着(成膜)する場合を例に本発明の真空処理装置用のキャンローラCRの実施形態を説明する。以下においては、キャンローラCRの軸線方向が水平方向に一致する姿勢で当該キャンローラCRが真空チャンバVc内に収容されているものとし、軸線方向をX軸方向、同一の水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する鉛直方向をZ軸方向とし、また、「上」「下」といった方向は
図1を基準とする。
【0015】
図1を参照して、本実施形態のキャンローラCRを備える真空処理装置Dmは、真空チャンバVcを備える。真空チャンバVcには、排気管Epを介してターボ分子ポンプ、ロータリーポンプ等で構成される真空ポンプユニットPuが接続され、真空雰囲気(例えば、10
−5Pa)を形成できるようになっている。また、真空チャンバVcは、仕切り板Spで上下2室に区画され、
図1中、下側に位置する一方の室(蒸着室Vs)には、処理ユニットとしての蒸着源Esが設けられている。蒸着源Esとしては、蒸着材料Emを収容する坩堝Evと、坩堝Ev内に収容した蒸着材料Emを加熱するシースヒータなどの加熱手段Ehとを備えるものが利用され、加熱により坩堝Ev内に収容された蒸着材料Emを昇華または気化させ、この昇華または気化した蒸着粒子をキャンローラCRに巻き掛けられたシート状の基材Swの部分に付着、堆積させて蒸着(成膜)される。なお、蒸着源Esとしては、これに限定されるものではなく、スパッタリング法やCVD法によるものを用いることができ、これは公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0016】
図1中、上側に位置する他方の室(搬送室Ts)には、シート状の基材Swが巻き掛けられ、図示省略のモータにより回転駆動されて一定の走行速度でシート状の基材Swを繰り出す繰出ローラRrと、成膜済みのシート状の基材Swを巻き取る巻取ローラRuとが設けられている。そして、仕切り板Spに形成した開口Soの内側に、蒸着源Esに対峙させてシート状の基材Swが巻き掛けられる本実施形態のキャンローラCRが配置されている。なお、
図1中、Grは、ガイドローラである。
【0017】
図2〜
図4を参照して、キャンローラCRは、軸体1と、軸体1に外挿される内筒体2と、隙間Dsを存して内筒体2の外筒面を囲う外筒体3と、内筒体2と外筒体3とのX軸方向の両端を夫々閉塞する第1及び第2の各カバー体4
1,4
2とを備える。各カバー体4
1,4
2からその外方に突出する軸体1の部分には、一端が各カバー体4
1,4
2に夫々固定された中空の軸体5が外挿され、軸体5が、軸受51を介して、図示省略の真空チャンバVcの壁面や真空チャンバVc内に設けた支持体に軸支されている。図外のモータにより軸体1,5を回転させると、軸体1の軸線回りに内筒体2、外筒体3及び各カバー体4
1,4
2が一体に所定の速度で回転駆動されるようになっている。なお、軸体1,5の真空チャンバVcへの回転自在な取付方法は、ロータリジョイントなどを利用した公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0018】
軸体1内には、Y軸方向にのびる流入通路としての内部通路11が形成され、内部通路11の一端(
図2中、右側)が、図外のチラーユニットに通じる吸水管(図示せず)に接続され、真空チャンバVc内で実施される真空処理に応じて適宜選択される冷却水などの流体が供給されるようになっている。また、軸方向一方(
図2中、右側)の第2のカバー体4
2からその外方に突出する軸体1の外筒面と中空の軸体5の内筒面との間の空間は、後述のように、流体の流出通路52を構成し、第2のカバー体4
2の各流路42
2を流れる流体が流出通路52へと流出し、図外のチラーユニットに戻るようになっている。なお、チラーユニット自体は公知のものであるため、ここではその説明は省略する。
【0019】
互いに同心状に配置される内筒体2と外筒体3とは、例えばステンレスなどの金属製であり、内筒体2の母線(Y軸方向)長さが外筒体3より短くなるように定寸されている。一方、第1及び第2の各カバー体4
1,4
2は、例えばステンレスなどの金属製で、内筒体2と外筒体3との母線方向長さの差の半分に相当する板厚を有する中実の円盤状部材で構成されている。各カバー体4
1,4
2のZ軸方向内側に位置する部分の外径は内筒体2の内径に一致し、各カバー体4
1,4
2のZ軸方向外側に位置する部分の外径は外筒体3の内径に一致するように形成され、内筒体2と外筒体3とを同心状に配置した状態でX軸方向両側から各カバー体4
1,4
2を夫々嵌着することで、内筒体2と外筒体3とのX軸方向の両端が夫々閉塞されるようになっている。
【0020】
また、第1及び第2の各カバー体4
1,4
2には、軸体1が挿通する中央開口41と中央開口41に連通する複数本の流路(以下、第1の各カバー体4
1の流路を「第1流路42
1」、第2の各カバー体4
2の流路を「第2流路42
2」という)とが設けられている。
図2及び
図3に示すように、軸方向に沿った各流路42
1,42
2の断面はカバー体4
1,4
2の断面に夫々重なる、即ち、カバー体4
1,4
2を断面視した内側に流路42
1,42
2の断面が存在するようになっており、また、各流路42
1,42
2は、周方向に所定間隔(本実施形態では、45度間隔)でその径方向全長に亘って夫々のびるように形成されている。この場合、各流路42
1,42
2の断面形状は円形であり、その断面積は、後述するように、各流路42
1,42
2から流出する流体が外筒体3の軸方向端部に位置する内壁に一旦衝突して周方向に分散されて隙間Dsに対し、その周方向略全体から流体を流入させることができる流量が確保できる範囲内で可及的に小さく設定される。なお、各流路42
1,42
2の断面形状が円形かつ直管状であることで比表面積が最小化されると共に、管路抵抗の極小化がもたらされる構成を実現している。
【0021】
また、キャンローラCRの組付状態では、内部通路11と第1流路42
1を夫々連通する連通孔12が軸体1に形成され、また、各流路42
1,42
2の位相は、各カバー体4
1,4
2の間で互いに一致するようにしている。カバー体4
1,4
2の外側面には、例えば、ザグリ加工により、隙間Dsより大きな深さDpで径方向内方に向けて窪む窪み部43がその周方向全体に亘って形成されている。この場合、内筒体2の外周面からの深さDpは、例えばカバー体4
1,4
2に形成される分岐流路42
1,42
2の数に応じて適宜設定され、隙間Dsに対して倍以上、好ましくは4倍に設定される。
【0022】
上記キャンローラCRでは、図外のチラーユニットにより吸水管を通じて内部通路11に所定温度の流体を供給すると、流体が第1のカバー体4
1の各第1流路42
1に夫々供給される。この場合、各第1流路42
1が周方向に等間隔で複数本配置され、第1のカバー体4
1の外側面に窪み部43が存在することで、各第1流路42
1からの流体が内筒体2と外筒体3との隙間Dsに略均等に夫々流入する。そして、流体は隙間Dsを通って第2のカバー体4
2の窪み部43へと流れ、各第2流路42
2から流出通路52へと流出してチラーユニットに戻る。即ち、窪み部43が液溜り部として機能して、第1のカバー体4
1では、各第1流路42
1から流出する流体が外筒体3の軸方向端部に位置する内壁に一旦衝突して周方向に分散されることで(言い換えると、互いに隣接する第1流路42
1の中間に位置する箇所まで流体が回り込むことで)、隙間Dsに対し、その周方向略全体から流体が流入する一方で、第2のカバー体4
2では、隙間Dsを一様に流れた流体が一旦受け止められて、その後に各第2流路42
2に流出するようになる。
【0023】
ところで、蒸着時にキャンローラCRやシート状の基材Swが入熱を受ける場合、シート状の基材Swにその長さ方向や幅方向の温度分布が生じることを抑制する必要がある。ここで、全長3300mmの内筒体の外筒面に15mmピッチで螺旋状の突条を形成し、内筒体と外筒体との間の隙間(本発明にいうDsに相当)が25mmになるように外筒体を外挿し、突条で区画される内筒体と外筒体との間の流体流路の流入口及び流出口に通じる分岐流路を持つカバー体を嵌着してキャンローラを製作した(比較品1)。そして、キャンローラの加熱下で、分岐流路から流体流路にその軸方向一端からその他端に向けて288Kの流体を流し、流体流路の流入口と流出口との温度差を測定したところ、その温度差は約2Kであり、また、そのときの流速は約0.8m/secであった。次に、螺旋状の突条を設けていない内筒体を準備し、比較品1と同様にキャンローラを製作した(比較品2)。そして、上記と同条件で内筒体と外筒体との間の流体流路にその軸方向一端からその他端に向けて288Kの流体を流し、流体流路の流入口と流出口との温度差を測定したところ、その温度差は約40Kであり、流体の温度分布が大きくなることが確認された。
【0024】
そこで、本発明の実施形態では、隙間Dsを流れる流体の速度が比較品1と同等となるように、突条のない内筒体2と外筒体3との隙間Dsが5mmになるように外筒体3を外挿する共に、カバー体4
1,4
2に30度間隔で第1流路42
1及び第2流路42
2を夫々形成したキャンローラCRを製作した(発明品)。そして、上記と同条件で内筒体2と外筒体3との間の流体流路としての隙間Dsにその軸方向一端からその他端に向けて288Kの流体を流し、隙間Dsの流入口と流出口との温度差を測定したところ、隙間Dsの流入口と流出口との温度差が約1Kで、比較品1と同等になることが確認された。発明品においては、隙間Dsの流出口側にて、周方向に比較的温度が高い部分と低い部分とが交互に繰り返す温度分布が生じていたことから、発明品のものに対し、各カバー体4
1,4
2に、隙間Dsと比較して4倍の深さで窪み部43を形成すると、周方向に比較的温度が高い部分と低い部分とが交互に繰り返す温度分布が解消することが確認された。
【0025】
以上の実施形態によれば、軸方向に沿った各流路42
1,42
2の断面がカバー体4
1,4
2の断面に重なる、即ち、カバー体4
1,4
2を断面視した内側に流路42
1,42
2の断面が存在することで、流路42
1,42
2を含むカバー体4
1,4
2が軸方向に大きくなってキャンローラCR自体が大型化することを防止でき、また、流路42
1,42
2を複数に分けて構成することで個々の流路の比表面積を小さくできるので、カバー体4
1,4
2を流れる冷却水の総量を少なくでき、しかも、各流路42
1,42
2における吸熱または放熱面積が小さくなって外筒体3を介したシート状の基材Swとの熱交換率の低下を可及的に抑制することができる。しかも、内筒体2の外筒面に突条を螺旋状に設けることなく、隙間Dsを流れる流体の軸方向及び径方向の温度分布が小さく抑制される(つまり、隙間Dsに流入する流体とこの隙間Dsから流出する流体との温度差が小さくなる)ため、シート状の基材Swにその長さ方向や幅方向の温度分布が生じることが可及的に抑制される。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、真空処理として成膜処理を例に説明したが、熱処理、エッチング処理など他の真空処理にも本発明は適用することができる。また、冷媒として冷却水を例に説明しているが、これに限定されるものではなく、所定温度に加熱した温水を流し、所定の真空処理を実施する間、シート状の基材Swを所定温度に温調する場合にも本発明は適用することができる。
【0027】
また、上記実施形態では、内筒体2と外筒体3との間の隙間Dsに何らの部材、要素がない場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図5(a)及び(b)に示すように、隙間Dsに、互いに隣接する分岐流路42
1,42
2の間に位置させて軸方向にのびる分流体6を設けることもできる。分流体6としては、例えば内筒体2の外筒面に貼着される所定の板厚を持つ板材や線材で構成することができる。これによれば、軸方向他方の各第1分岐流路42
1から隙間Dsに流入する流体が混ざり合うことなく、軸方向一方に向けて一様に流れることが確保され、隙間Dsを流れる流体の軸方向及び周方向における温度分布をより一層小さく抑制できる。
【0028】
更に、上記実施形態では、各カバー体4
1,4
2を円盤状部材で構成し、各カバー体4
1,4
2に各流路42
1,42
2を周方向に所定間隔でその径方向全長に亘って夫々のびるように形成したものを例に説明したが、軸方向に沿った各流路42
1,42
2の断面がカバー体4
1,4
2の断面に夫々重なるものであれば、これに限定されるものではない。特に図示して説明しないが、2枚の板材を柱状構造物(例えばハニカム構造とし、その一部を流路として開放する)で接合し、マトリックス的な流路構造とすることもできる。
真空チャンバVc内でシート状の基材Swを走行させながらその表面に対して所定の真空処理を施す真空処理装置Dmにて、真空処理を施す処理ユニットEsに対峙させて設けられ、シート状の基材が巻き掛けられる回転自在な本発明の真空処理装置用のキャンローラCRは、軸体1と、軸体に外挿される内筒体2と、隙間Dsを存して内筒体の外筒面を囲う外筒体3と、内筒体と外筒体の軸方向の両端を夫々閉塞するカバー体4