【文献】
Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry,2002年,149,199-206
【文献】
Journal of the Chilean Chemical Society,2004年,49(4),281-284
【文献】
Journal of Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry,2015年,83,53-61
【文献】
Journal of the American Chemical Society,1997年,119,6909-6918
【文献】
Russian Journal of General Chemistry,2017年,87(9),1958-1968
【文献】
Angewandte Chemie International Edition ,2004年,43,2959-2962
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(液晶組成物用自発配向助剤)
本実施形態の液晶組成物は、液晶組成物用自発配向助剤としてシクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基(K
i1は、以下の一般式(K−1)〜一般式(K−16)で表される置換基を表す。)及びR
1(R
1は、水素原子、炭素原子数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はP
i1−Sp
i1−を表し、該アルキル基中の−CH
2−は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが、−O−は連続にはならない)が置換された化合物を1種又は2種以上を含有する。
【0014】
(式中、
W
K1は、メチン基、C−CH
3、C−C
2H
5、C−C
3H
7、C−C
4H
9又は窒素原子を表し、
W
K2は、単結合、−CH
2−、酸素原子又は硫黄原子を表し、
X
K1及びY
K1は、それぞれ独立して、−CH
2−、酸素原子又は硫黄原子を表し、
Z
K1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、
U
K1、V
K1及びS
K1は、それぞれ独立して、メチン基又は窒素原子を表すが、[U
K1がメチン基、V
K1がメチン基、S
K1が窒素原子]の組み合わせは除き、一般式(K−1)〜一般式(K−16)中、左端の黒点は結合手を表す。)
本実施形態の液晶組成物用自発配向助剤は、シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された構造であり、K
i1として、式(K−1)〜式(K−16)のいずれかで表される構造を有する化合物を含有しているため、液晶組成物に用いられた際に、液晶組成物(液晶層)を挟持する基板に吸着し、液晶分子を垂直方向に配向させた状態で保持することができる。したがって、本実施形態の液晶組成物用自発配向助剤によれば、PI層を設けなくとも液晶分子を配向させる(電圧無印加時に液晶分子の垂直配向を誘起し、電圧印加時に液晶分子の水平配向を実現する)ことが可能となる。このように、シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された化合物は、液晶組成物における液晶分子の自発配向を助けるために好適に使用される。K
i1で表される基は、シクロファンに1つのみ置換されていてもよいし、複数置換されていてもよい。K
i1で表される基は、シクロファンに結合する有機基が化合物の長軸方向を形成し、該有機基の末端に結合していることが好ましい。K
i1で表される基を複数有する場合、複数のK
i1で表される基は、化合物の長軸方向の片側の端部に位置していることが好ましい。
【0015】
加えて、本発明者らは、本実施形態の液晶組成物用自発配向助剤がシクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された構造を有することにより、液晶分子の配向のみならず、液晶組成物の保存性安定性を確保できることを見出した。
自発配向助剤として化学的安定性を重要視する場合は、K
i1としては(K−1)、(K−3)、(K−8)、(K−9)、(K−10)(K−11)、(K−12)、(K−14)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、液晶の配向性を重要視する場合は、(K−1)〜(K−7)、(K−10)、(K−11)、(K−12)、(K−14)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、液晶化合物への溶解性を重要視する場合は、(K−1)、(K−8)、(K−10)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、これらのバランスを重要視する場合は、(K−1)、(K−3)、(K−9)、(K−11)、(K−12)、(K−15)及び(K−16)がより好ましい。
【0016】
以上の観点から、本実施形態の液晶組成物用自発配向助剤に含有される化合物は、シクロファンに結合する有機基の末端、好ましくはシクロファンに結合する有機基の主鎖の末端に、K
i1で表される基を有していればよく、K
i1で表される基の結合先の化学構造、及びシクロファン構造は、液晶組成物の機能を阻害しない範囲であれば特に制限されない。
【0017】
シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された化合物は、好ましくは、化合物中に1つ又は2つ以上の炭素原子数3以上のアルキレン基を有することが好ましく、該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C(=CH
2)−で置換されていてもよい。炭素原子数3以上のアルキレン基を有する基がシクロファンに結合することで、液晶組成物の配向性を向上させることができる。
【0018】
また、シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された化合物は、好ましくは、1つ又は2つ以上のP
i1−Sp
i1−(P
i1は、以下の一般式(P−1)〜一般式(P−16)で表される群より選ばれる基を表し(式中、右端の黒点は結合手を表す。)、
【0020】
Sp
i1は炭素原子数1〜20のアルキレン基又は直接結合を表し、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。)
を有することが好ましい。P
i1−Sp
i1−を有することで、液晶分子のプレチルト角を好適に形成できる。
【0021】
前記シクロファン化合物は、一般式(i):
【0023】
(式中、X、Yはそれぞれ独立して酸素原子、カルボニル基、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C(=CH
2)−で置換されてもよく、又、アルキレン基中の水素原子は置換基L(Lは、R
i1、R
i2及びR
i3と同じ意味を表す。)で置換されていてもよいが、−O−は連続にはならなく、
Z
i1及びZ
i2はそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、A
i1及びA
i2はそれぞれ独立して、2価の6員環芳香族基、2価の6員環複素芳香族基、2価の6員環脂肪族基、2価の6員環複素脂肪族基を表し、これらの環構造中の水素原子は置換基L(Lは、R
i1、R
i2及びR
i3と同じ意味を表す。)で置換されていてもよいが、Z
i1、Z
i2、Z
i2及びA
i2がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、
R
i1、R
i2及びR
i3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、K
i1で表される基(K
i1は一般式(K−1)〜(K−16)で表される群より選ばれる基を表す。)又はP
i1−Sp
i1−(P
i1は重合性基を表し、Sp
i1はスペーサー基又は単結合を表す。)を表し、アルキル基中の第二級炭素原子は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、
m
i1及びm
i2は、0〜5の整数を表し、
nは、1〜10の整数で表される化合物を1種又は2種以上含有する。)
で表される化合物であることが好ましい。
本実施形態の液晶組成物用自発配向助剤に含有される一般式(i)で表される化合物は、例えば一般式(i−1)又は一般式(i−2)
【0025】
(式中、X、Y,A
i1、A
i2、Z
i1、Z
i2、R
i1、R
i2、R
i3、m
i1、m
i2及びnはそれぞれ独立して、一般式(i)中のX、Y,A
i1、A
i2、Z
i1、Z
i2、R
i1、R
i2、R
i3、m
i1、m
i2及びnと同じ意味を表す。)
で表される化合物(以下「化合物(i−1)」および「化合物(i−2)」ともいう)であることが好ましい。
【0026】
式(i)、式(i−1)及び式(i−2)中、Z
i1及びZ
i2は、好ましくは、単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数1〜40の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−が−O−で置換された基を表し、より好ましくは、単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数1〜40の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−が−O−で置単結合、炭素原子数2〜15の直鎖状のアルキレン基、又は該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−が−O−で置換された基を表し、更に好ましくは、単結合、CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数2のアルキレン基(エチレン基(−CH
2CH
2−))若しくはエチレン基中の−CH
2−の1個が−O−で置換された基(−CH
2O−、−OCH
2−)、又は炭素原子数3〜13の直鎖状のアルキレン基若しくは該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−が−O−で置換された基を表す。
【0027】
A
i1及びA
i2は、好ましくは、2価の6員環芳香族基又は2価の6員環脂肪族基を表すが、2価の無置換の6員環芳香族基、2価の無置換の6員環脂肪族基又はこれらの環構造中の水素原子は、置換されていないか炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていていることが好ましく、2価の無置換の6員環芳香族基若しくはこの環構造中の水素原子がフッ素原子で置換された基、又は2価の無置換の6員環脂肪族基が好ましく、置換基上の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレン基又は1,4−シクロヘキシル基が好ましいが、少なくとも一つの置換基はP
i1−Sp
i1−で置換されている。2価の6員環芳香族基又は2価の6員環脂肪族基は、具体的には、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基から選択される環構造を表すことが好ましい。
【0028】
X及びYは、好ましくは酸素原子、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表すことが好ましく、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−COO−C(=CH
2)−又は−OCO−C(=CH
2)−で置換されていることが好ましく、アルキレン基中の水素原子はK
i1又はP
i1−Sp
i1−で置換されていることが好ましい。X及びYはより具体的には、以下の式(i−a)で表される構造であることが好ましい。
【0030】
(式中、pは1〜20の整数を表し、qは0又は1を表し、左端の*でシクロファンを構成するベンゼン環と結合し、右端の黒点でA
i1、A
i2、R
i1又はR
i2のいずれかと結合する。式中の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−COO−C(=CH
2)−又は−OCO−C(=CH
2)−で置換されていてもよく、式中の水素原子はK
i1又はP
i1−Sp
i1−で置換されていてもよい。) 一般式(i)中に複数存在するX、Yは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
R
i1、R
i2、及びR
i3は、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、K
i1又はP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましく、アルキル基中の第二級炭素原子はは、−O−、−OCO−、又は−COO−で置換されていることが好ましく(ただし−O−は連続にはならない)、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、K
i1又はP
i1−Sp
i1−を表し、アルキル基中の第二級炭素原子はは、−O−、−OCO−(ただし−O−は連続にはならない)で置換されていることを表す。
【0032】
R
i1又はR
i2のいずれか一方がK
i1又はP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましい。R
i3は水素原子を表すことが好ましい。複数存在するR
i1、R
i2、R
i3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。例えば、一般式(i)中のn個のR
i1が全て同じ基であってもよいし、R
i1がK
i1及びP
i1−Sp
i1−のように異なる基を表してもよい。同様に、一般式(i)中のn個のR
i2及びR
i3が全て同じ基であっても異なっていてもよい。
【0033】
m
i1及びm
i2は、好ましくは0〜3の整数を表し、更に好ましくは0〜1の整数を表す。
【0034】
m
i1及びm
i2が0を表す場合、−X−R
i1及び−Y−R
i2は以下の式(i−a−1)で表される構造であることが好ましい。
【0036】
(式中、pは1〜20の整数を表し、qは0又は1を表し、mは1〜4の整数を表し、R
ia1はそれぞれ独立して水素原子、K
i1又はP
i1−Sp
i1−を表し、左端の*でシクロファンを構成するベンゼン環と結合する。式中の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、又は−C(=CH
2)−で置換されていてもよく、式中の水素原子はK
i1又はP
i1−Sp
i1−で置換されていてもよい。)
式(i−a−1)において、式中の水素原子がP
i1−Sp
i1−で置換される場合、R
ia1はK
i1又はP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましい。より具体的には、以下の式(i−a−11)又は式(i−a−12)であることが好ましい。
【0038】
(式中、p
1は1〜10の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、R
ia11はそれぞれ独立してK
i1又はP
i1−Sp
i1−を表し、左端の*でシクロファンを構成するベンゼン環と結合する。)
シクロファン構造を形成する同一の環に結合する−X−R
i1及び−Y−R
i2の好ましい組み合わせは、−X−R
i1がK
i1及び/又はP
i1−Sp
i1−を有する基を表し、−Y−R
i2が水素原子又は炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基を表すことが好ましい。 nは、好ましくは、2〜10の整数であることが好ましく、2〜8の整数であることが好ましく、4〜8の整数であることが好ましく、4〜6の整数であることが好ましい。
【0039】
一般式(i)、一般式(i−1)又は一般式(i−2)で表される化合物は、化合物中に1つ又は2つ以上のK
i1で表される基を有する1価の有機基を有するが、自発配向助剤として化学的安定性を重要視する場合は、K
i1としては(K−1)、(K−3)、(K−8)、(K−9)、(K−10)、(K−11)、(K−12)、(K−14)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、液晶の配向性を重要視する場合は、(K−1)〜(K−7)、(K−10)、(K−11)、(K−12)、(K−14)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、液晶化合物への溶解性を重要視する場合は、(K−1)、(K−8)、(K−10)、(K−15)及び(K−16)が好ましく、これらのバランスを重要視する場合は、(K−1)、(K−3)、(K−9)、(K−11)、(K−12)、(K−15)及び(K−16)がより好ましい。
【0040】
式(K−1)〜式(K−16)中、W
K1は、好ましくは単結合、メチン基、C-CH
3、又はC−C
4H
9を表す。X
K1及びY
K1は、それぞれ独立して、好ましくは−CH
2−又は酸素原子を表す。Z
K1は、好ましくは酸素原子を表す。
【0041】
好ましくは、R
i1、R
i2、及びR
i3から選ばれる少なくとも1つ以上がK
i1を表すことが好ましく、R
i1及びR
i2から選ばれる少なくとも1つ以上がK
i1を表すことが好ましい。また、Xがアルキレン基を表す場合、該アルキレン基中の水素原子がK
i1に置換されていることが好ましい。K
i1で表される基を有する1価の有機基が複数存在する場合、シクロファンに対してK
i1で表される基を有する複数の有機基の主鎖が同一方向に並列して結合していることが好ましい。
【0042】
一般式(i)、一般式(i−1)又は一般式(i−2)で表される化合物は、1つ又は2つ以上のP
i1−Sp
i1−を有することが好ましい。Sp
i1は、好ましくは炭素原子数1〜18の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、より好ましくは炭素原子数2〜15の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、更に好ましくは炭素原子数3〜12の直鎖状アルキレン基又は単結合を表す。
【0043】
好ましくは、R
i1、R
i2、及びR
i3から選ばれる少なくとも1つ以上がP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましく、R
i1及びR
i2から選ばれる少なくとも1つ以上がP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましい。P
i1−Sp
i1−で表される基を有する1価の有機基が複数存在する場合、シクロファンに対してP
i1−Sp
i1−で表される基を有する複数の有機基の主鎖が同一方向に並列して結合していることが好ましい。
【0044】
K
i1で表される基とP
i1−Sp
i1−が、シクロファン構造を形成する同一の環が置換されることにより存在していることが好ましい。例えば、R
i1がK
i1で表される基を表し、R
i2がP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましく、また、K
i1で表される基を有する1価の有機基が更にP
i1−Sp
i1−を有していることも好ましい。 また、K
i1で表される基とP
i1−Sp
i1−が、シクロファン構造を形成する異なる環にそれぞれ存在していることも好ましい。この場合、シクロファンに対して、K
i1で表される基を有する有機基と、P
i1−Sp
i1−を有する有機基の主鎖の方向は適宜選択できるが、同一方向に並列して結合していることが好ましい。より具体的には、一般式(i)において複数存在するR
i1又はR
i2がそれぞれ独立してK
i1及びP
i1−Sp
i1−を表すことが好ましい。
【0045】
一般式(i)、一般式(i−1)又は一般式(i−2)で表される化合物は、1つ又は2つ以上の炭素原子数3以上のアルキレン基を有することが好ましく、該アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。炭素原子数3以上のアルキレン基を有する基が複数存在する場合、シクロファンに対して炭素原子数3以上のアルキレン基を有する有機基の主鎖が同一方向に並列して結合していることが好ましい。K
i1で表される基を有する1価の有機基と、炭素原子数3以上のアルキレン基を有する有機基とが、シクロファン構造を形成する同一の環が置換されることにより存在していることが好ましい。この場合、炭素原子数3以上のアルキレン基を有する有機基の末端に、K
i1で表される基が結合していることが好ましい。また、K
i1で表される基を有する1価の有機基と、炭素原子数3以上のアルキレン基を有する有機基とがそれぞれ異なる有機基として存在することも好ましく、K
i1で表される基を有する有機基と、P
i1−Sp
i1−を有する有機基の主鎖の方向は適宜選択できるが、同一方向に並列して結合していることが好ましい。
【0046】
シクロファン化合物は、化合物中に重合性基を有さない以下の一般式(ii):
【0048】
(式中、X、Yはそれぞれ独立して酸素原子、カルボニル基、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜20のアルキレン基又は単結合を表し、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C(=CH
2)−で置換されてもよく、又、アルキレン基中の水素原子は置換基L(Lは、R
ii1、R
ii2及びR
ii3と同じ意味を表す。)で置換されていてもよく、
Z
ii1及びZ
ii2はそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、A
ii1及びA
ii2はそれぞれ独立して、2価の6員環芳香族基、2価の6員環複素芳香族基、2価の6員環脂肪族基、2価の6員環複素脂肪族基を表し、これらの環構造中の水素原子は置換基L(Lは、R
ii1、R
ii2及びR
ii3と同じ意味を表す。)で置換されていてもよいが、Z
ii1、Z
ii2、Z
ii2及びA
ii2がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、
R
ii1、R
ii2及びR
ii3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はK
i1で表される基を表し、アルキル基中の第二級炭素原子は−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−NH−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよいが−O−は連続にはならなく、
m
ii1及びm
ii2は、0〜5の整数を表し、
nは、1〜10の整数で表される化合物を1種又は2種以上含有する。)
で表される化合物であることも好ましい。
【0049】
一般式(ii)において、X、Y、n、Z
ii1、Z
ii2、A
ii1、A
ii2、R
ii1、R
ii2、R
ii3、m
ii1及びm
ii2の好ましい基は一般式(i)中のX、Y、n、Z
i1、Z
i2、A
i1、A
i2、R
i1、R
i2、R
i3、m
i1及びm
i2の好ましい基とそれぞれ同じ意味を表す。
【0050】
一般式(i)及び一般式(ii)のより具体的な例としては、下記式(R−1−1)〜(R−1−45)のいずれかで表される化合物が挙げられる。式中、R
i1は、式(i)におけるR
i1と同じ意味を表す。
【0054】
また、一般式(i)のより具体的な例としては、下記式(P−1−1)から(P−1−44)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0060】
(液晶組成物)
本実施形態の液晶組成物は、上記シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された化合物を1種又は2種以上含有する。この液晶組成物は、負の誘電率異方性(Δε)を有する。
【0061】
シクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換されたの含有量は、好ましくは0.01〜50質量%であるが、その下限値は、液晶分子を更に好適に配向させられる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1質量%以上である。化合物(i)の含有量の上限値は、応答特性に優れる観点から、液晶組成物全量を基準として、好ましくは、50質量%以下、30質量%以下、10質量%以下であり、7質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下である。
【0062】
液晶組成物は、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3):
【0064】
のいずれかで表される化合物群から選ばれる化合物を更に含有してもよい。
【0065】
式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、
R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31及びR
N32は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31及びA
N32は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置換されてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置換されてもよい。)、
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置換されてもよい。)、及び
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31及びZ
N32は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
X
N21は、水素原子又はフッ素原子を表し、
T
N31は、−CH
2−又は酸素原子を表し、
n
N11、n
N12、n
N21、n
N22、n
N31及びn
N32は、それぞれ独立して0〜3の整数を表すが、n
N11+n
N12、n
N21+n
N22及びn
N31+n
N32は、それぞれ独立して1、2又は3であり、
A
N11〜A
N32、Z
N11〜Z
N32がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)のいずれかで表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0067】
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31及びR
N32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0068】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0069】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい(各式中の黒点は結合手を表す。)。
【0071】
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31及びA
N32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造:
【0073】
を表すことがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0074】
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31及びZ
N32はそれぞれ独立して−CH
2O−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すことが好ましく、−CH
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合が更に好ましく、−CH
2O−又は単結合が特に好ましい。
【0077】
n
N11+n
N12、n
N21+n
N22及びn
N31+n
N32は1又は2が好ましく、n
N11が1でありn
N12が0である組み合わせ、n
N11が2でありn
N12が0である組み合わせ、n
N11が1でありn
N12が1である組み合わせ、n
N11が2でありn
N12が1である組み合わせ、n
N21が1でありn
N22が0である組み合わせ、n
N21が2でありn
N22が0である組み合わせ、n
N31が1でありn
N32が0である組み合わせ、n
N31が2でありn
N32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0078】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0079】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0080】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下であり、20質量%以下である。
【0081】
本実施形態の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本実施形態の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0082】
一般式(N−1)で表される化合物として、下記の一般式(N−1a)〜(N−1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0084】
(式中、R
N11及びR
N12は一般式(N−1)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表し、n
Na11は0又は1を表し、n
Nb11は0又は1を表し、n
Nc11は0又は1を表し、n
Nd11は0又は1を表し、n
Ne11は1又は2を表し、n
Nf11は1又は2を表し、n
Ng11は1又は2を表し、A
Ne11はトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、A
Ng11はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4−シクロヘキセニレン基を表し、Z
Ne 11は単結合又はエチレンを表すが少なくとも1つはエチレンを表す。)
より具体的には、一般式(N−1)で表される化合物は、一般式(N−1−1)〜(N−1−21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0085】
一般式(N−1−1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0087】
(式中、R
N111及びR
N112はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N111は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。R
N112は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0088】
一般式(N−1−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0089】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0090】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0091】
さらに、一般式(N−1−1)で表される化合物は、式(N−1−1.1)から式(N−1−1.23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−1.1)〜(N−1−1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−1.1)及び式(N−1−1.3)で表される化合物が好ましい。
【0093】
式(N−1−1.1)〜(N−1−1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0094】
一般式(N−1−2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0096】
(式中、R
N121及びR
N122はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N121は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。R
N122は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0097】
一般式(N−1−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0098】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0099】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上であり、37質量%以上であり、40質量%以上であり、42質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、48質量%以下であり、45質量%以下であり、43質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下である。
【0100】
さらに、一般式(N−1−2)で表される化合物は、式(N−1−2.1)から式(N−1−2.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−2.3)から式(N−1−2.7)、式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)、式(N−1−2.13)及び式(N−1−2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N−1−2.3)から式(N−1−2.7)で表される化合物が好ましく、T
NIの改良を重視する場合には式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)及び式(N−1−2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N−1−2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0102】
式(N−1−2.1)から式(N−1−2.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0103】
一般式(N−1−3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0105】
(式中、R
N131及びR
N132はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N131は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N132は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数3〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、1−プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0106】
一般式(N−1−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0107】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0108】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0109】
さらに、一般式(N−1−3)で表される化合物は、式(N−1−3.1)から式(N−1−3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−3.1)〜(N−1−3.7)及び式(N−1−3.21)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−3.1)、式(N−1−3.2)、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)及び式(N−1−3.6)で表される化合物が好ましい。
【0111】
式(N−1−3.1)〜式(N−1−3.4)、式(N−1−3.6)及び式(N−1−3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N−1−3.1)及び式(N−1−3.2)の組み合わせ、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)及び式(N−1−3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0112】
一般式(N−1−4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0114】
(式中、R
N141及びR
N142はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N141及びR
N142はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0115】
一般式(N−1−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0116】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0117】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、11質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下である。
【0118】
さらに、一般式(N−1−4)で表される化合物は、式(N−1−4.1)から式(N−1−4.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−4.1)〜(N−1−4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−4.1)、式(N−1−4.2)及び式(N−1−4.4)で表される化合物が好ましい。
【0120】
式(N−1−4.1)〜(N−1−4.14)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、11質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下である。
【0121】
一般式(N−1−5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0123】
(式中、R
N151及びR
N152はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N151及びR
N152はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0124】
一般式(N−1−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0125】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0126】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、8質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0127】
さらに、一般式(N−1−5)で表される化合物は、式(N−1−5.1)から式(N−1−5.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)及び式(N−1−5.4)で表される化合物が好ましい。
【0129】
式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)及び式(N−1−5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、8質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0130】
一般式(N−1−10)で表される化合物は下記の化合物である。
【0132】
(式中、R
N1101及びR
N1102はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1101は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1−プロペニル基が好ましい。R
N1102は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0133】
一般式(N−1−10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本実施形態の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0134】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0135】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0136】
さらに、一般式(N−1−10)で表される化合物は、式(N−1−10.1)から式(N−1−10.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−10.1)〜(N−1−10.5)式(N−1−10.20)及び式(N−1−10.21)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−10.1)、式(N−1−10.2)、式(N−1−10.20)及び式(N−1−10.21)で表される化合物が好ましい。
【0138】
式(N−1−10.1)、式(N−1−10.2)、式(N−1−10.20)及び式(N−1−10.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0139】
一般式(N−1−11)で表される化合物は下記の化合物である。
【0141】
(式中、R
N1111及びR
N1112はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1111は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1−プロペニル基が好ましい。R
N1112は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0142】
一般式(N−1−11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0143】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0144】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0145】
さらに、一般式(N−1−11)で表される化合物は、式(N−1−11.1)から式(N−1−11.15)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−11.1)〜(N−1−11.15)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−11.2及び式(N−1−11.4)で表される化合物が好ましい。
【0147】
式(N−1−11.2)及び式(N−1−11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本実施形態の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0148】
一般式(N−1−12)で表される化合物は下記の化合物である。
【0150】
(式中、R
N1121及びR
N1122はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1121は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1122は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0151】
一般式(N−1−12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0152】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0153】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−12)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0154】
一般式(N−1−13)で表される化合物は下記の化合物である。
【0156】
(式中、R
N1131及びR
N1132はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1131は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1132は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0157】
一般式(N−1−13)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0158】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0159】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−13)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0160】
一般式(N−1−14)で表される化合物は下記の化合物である。
【0162】
(式中、R
N1141及びR
N1142はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1141は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1142は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0163】
一般式(N−1−14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本実施形態の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0164】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0165】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−14)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0166】
一般式(N−1−15)で表される化合物は下記の化合物である。
【0168】
(式中、R
N1151及びR
N1152はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1151は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1152は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0169】
一般式(N−1−15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0170】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0171】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−15)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0172】
一般式(N−1−16)で表される化合物は下記の化合物である。
【0174】
(式中、R
N1161及びR
N1162はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1161は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1162は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0175】
一般式(N−1−16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0176】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0177】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−16)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0178】
一般式(N−1−17)で表される化合物は下記の化合物である。
【0180】
(式中、R
N1171及びR
N1172はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1171は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1172は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0181】
一般式(N−1−17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0182】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0183】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−17)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0184】
一般式(N−1−18)で表される化合物は下記の化合物である。
【0186】
(式中、R
N1181及びR
N1182はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1181は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。R
N1182は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0187】
一般式(N−1−18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0188】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0189】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−18)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0190】
さらに、一般式(N−1−18)で表される化合物は、式(N−1−18.1)から式(N−1−18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−18.1)〜(N−1−11.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−18.2及び式(N−1−18.3)で表される化合物が好ましい。
【0192】
一般式(N−1−20)で表される化合物は下記の化合物である。
【0194】
(式中、R
N1201及びR
N1202はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1201及びR
N1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0195】
一般式(N−1−20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0196】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0197】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−20)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0198】
一般式(N−1−21)で表される化合物は下記の化合物である。
【0200】
(式中、R
N1211及びR
N1212はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1211及びR
N1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0201】
一般式(N−1−21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0202】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0203】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0204】
一般式(N−1−22)で表される化合物は下記の化合物である。
【0206】
(式中、R
N1221及びR
N1222はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N1221及びR
N1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0207】
一般式(N−1−22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0208】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量をおおめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0209】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−1−21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、35質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である。
【0210】
さらに、一般式(N−1−22)で表される化合物は、式(N−1−22.1)から式(N−1−22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.4)で表される化合物が好ましい。
【0212】
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0214】
(式中、R
N321及びR
N322はそれぞれ独立して、一般式(N)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表す。)
R
N321及びR
N322は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、プロピル基又はペンチル基が好ましい。
【0215】
一般式(N−3−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0216】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、T
NIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0217】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(N−3−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、50質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下である。
【0218】
さらに、一般式(N−3−2)で表される化合物は、式(N−3−2.1)から式(N−3−2.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0222】
で表される化合物を更に含有してもよい。
【0223】
式(L)中、
R
L1及びR
L2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
L1は、0、1、2又は3を表し、
A
L1、A
L2及びA
L3は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置換されてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置換されてもよい。)、及び
(c) (c)ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a)、基(b)及び基(c)は、それぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
Z
L1及びZ
L2は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
n
L1が2又は3であってA
L2が複数存在する場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、n
L1が2又は3であってZ
L2が複数存在する場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよいが、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物を除く。
【0224】
一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類である。あるいは別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0225】
本実施形態の組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0226】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、10質量%以上であり、20質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上であり、60質量%以上であり、65質量%以上であり、70質量%以上であり、75質量%以上であり、80質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、95質量%以下であり、85質量%以下であり、75質量%以下であり、65質量%以下であり、55質量%以下であり、45質量%以下であり、35質量%以下であり、25質量%以下である。
【0227】
本実施形態の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本実施形態の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0228】
信頼性を重視する場合にはR
L1及びR
L2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0229】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0230】
R
L1及びR
L2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0231】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい(各式中の黒点は結合手を表す。)。
【0233】
n
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0234】
A
L1、A
L2及びA
L3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造:
【0236】
を表すことがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0237】
Z
L1及びZ
L2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0238】
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0239】
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−1)〜(L−7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0240】
一般式(L−1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0242】
(式中、R
L11及びR
L12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
R
L11及びR
L12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0243】
一般式(L−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0244】
好ましい含有量の下限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、15質量%以上であり、20質量%以上であり、25質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上であり、40質量%以上であり、45質量%以上であり、50質量%以上であり、55質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、95質量%以下であり、90質量%以下であり、85質量%以下であり、80質量%以下であり、75質量%以下であり、70質量%以下であり、65質量%以下であり、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、25質量%以下である。
【0245】
本実施形態の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本実施形態の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0246】
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0248】
(式中R
L12は一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.1)から式(L−1−1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.2)又は式(L−1−1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−1−1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0250】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0251】
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0253】
(式中R
L12は一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。)
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、42質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下である。
【0254】
さらに、一般式(L−1−2)で表される化合物は、式(L−1−2.1)から式(L−1−2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−2.2)から式(L−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−2.2)で表される化合物は本実施形態の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−2.3)又は式(L−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−2.3)及び式(L−1−2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30質量%以上にすることは好ましくない。
【0256】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10質量%以上であり、15質量%以上であり、18質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上であり、38質量%以上であり、40質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、43質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、32質量%以下であり、30質量%以下であり、27質量%以下であり、25質量%以下であり、22質量%以下である。
【0257】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−1.3)で表される化合物及び式(L−1−2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10質量%以上であり、15質量%以上であり、20質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上であり、40質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、43質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、32質量%以下であり、30質量%以下であり、27質量%以下であり、25質量%以下であり、22質量%以下である。
【0258】
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0260】
(式中R
L13及びR
L14はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
R
L13及びR
L14は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0261】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、30質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、40質量%以下であり、37質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、27質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、17質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下である。
【0262】
さらに、一般式(L−1−3)で表される化合物は、式(L−1−3.1)から式(L−1−3.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)又は式(L−1−3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−3.1)で表される化合物は本実施形態の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.12)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20%以上にすることは好ましくない。
【0264】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、18質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、20質量%以下であり、17質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下である。
【0265】
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−4)及び/又は(L−1−5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0267】
(式中R
L15及びR
L16はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
R
L15及びR
L16は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0268】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、17質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下である。
【0269】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、17質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下である。
【0270】
さらに、一般式(L−1−4)及び(L−1−5)で表される化合物は、式(L−1−4.1)から式(L−1−4.3)及び式(L−1−5.1)から式(L−1−5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−4.2)又は式(L−1−5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0272】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、18質量%以上であり、20質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、20質量%以下であり、17質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下である。
【0273】
式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)及び式(L−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、13質量%以上であり、15質量%以上であり、18質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、33質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、80質量%以下であり、70質量%以下であり、60質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、40質量%以下であり、37質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下であり、28質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下である。
【0274】
組成物の信頼性を重視する場合には、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)及び式(L−1−3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0275】
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0277】
(式中R
L17及びR
L18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−1−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、5質量%以上であり、10質量%以上であり、15質量%以上であり、17質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、25質量%以上であり、27質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、60質量%以下であり、55質量%以下であり、50質量%以下であり、45質量%以下であり、42質量%以下であり、40質量%以下であり、38質量%以下であり、35質量%以下であり、33質量%以下であり、30質量%以下である。
【0278】
さらに、一般式(L−1−6)で表される化合物は、式(L−1−6.1)から式(L−1−6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0280】
一般式(L−2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0282】
(式中、R
L21及びR
L22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
R
L21は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、R
L22は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0283】
一般式(L−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0284】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0285】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0286】
さらに、一般式(L−2)で表される化合物は、式(L−2.1)から式(L−2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−2.1)、式(L−2.3)、式(L−2.4)及び式(L−2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0288】
一般式(L−3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0290】
(式中、R
L31及びR
L32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
R
L31及びR
L32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0291】
一般式(L−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0292】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、本実施形態の組成物の総量に対して、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下であり、7質量%以下であり、6質量%以下であり、5質量%以下であり、3質量%以下である。
【0293】
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0294】
さらに、一般式(L−3)で表される化合物は、式(L−3.1)から式(L−3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−3.2)から式(L−3.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0296】
一般式(L−4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0298】
(式中、R
L41及びR
L42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
R
L41は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、R
L42は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0299】
本実施形態の組成物において、一般式(L−4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0300】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、14質量%以上であり、16質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、26質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上であり、40質量%以上である。本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、20質量%以下であり、15質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である。
【0301】
一般式(L−4)で表される化合物は、例えば式(L−4.1)から式(L−4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0303】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.1)で表される化合物を含有していても、式(L−4.2)で表される化合物を含有していても、式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との両方を含有していてもよいし、式(L−4.1)から式(L−4.3)で表される化合物を全て含んでいてもよい。
【0304】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−4.1)又は式(L−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、9質量%以上であり、11質量%以上であり、12質量%以上であり、13質量%以上であり、18質量%以上であり、21質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、45質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下である。
【0305】
式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との両方を含有する場合は、本実施形態の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15質量%以上であり、19質量%以上であり、24質量%以上であり、30質量%以上である。好ましい含有量の上限値は、45質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0306】
一般式(L−4)で表される化合物は、例えば式(L−4.4)から式(L−4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L−4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0308】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.4)で表される化合物を含有していても、式(L−4.5)で表される化合物を含有していても、式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との両方を含有していてもよい。
【0309】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−4.4)又は式(L−4.5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、9質量%以上であり、11質量%以上であり、12質量%以上であり、13質量%以上であり、18質量%以上であり、21質量%以上である。好ましい上限値は、45質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、8質量%以下である。
【0310】
式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、本実施形態の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15質量%以上であり、19質量%以上であり、24質量%以上であり、30質量%以上であり、好ましい上限値は、45質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下である。
【0311】
一般式(L−4)で表される化合物は、式(L−4.7)から式(L−4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−4.9)で表される化合物が好ましい。
【0313】
一般式(L−5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0315】
(式中、R
L51及びR
L52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表す。)
R
L51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、R
L52は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0316】
一般式(L−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0317】
本実施形態の組成物において、一般式(L−5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0318】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、14質量%以上であり、16質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、26質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上であり、40質量%以上である。本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、20質量%以下であり、15質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.1)又は式(L−5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0320】
本実施形態の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、9質量%以下である。
【0321】
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.3)又は式(L−5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0323】
本実施形態の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、9質量%以下である。
【0324】
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.5)から式(L−5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L−5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0326】
本実施形態の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、9質量%以下である。
【0327】
一般式(L−6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0329】
(式中、R
L61及びR
L62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表し、X
L61及びX
L62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
R
L61及びR
L62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、X
L61及びX
L62のうち一方がフッ素原子、他方が水素原子であることが好ましい。
【0330】
一般式(L−6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0331】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、14質量%以上であり、16質量%以上であり、20質量%以上であり、23質量%以上であり、26質量%以上であり、30質量%以上であり、35質量%以上であり、40質量%以上である。本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%以下であり、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下であり、20質量%以下であり、15質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0332】
一般式(L−6)で表される化合物は、式(L−6.1)から式(L−6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0334】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種〜3種類含有することが好ましく、1種〜4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L−6.1)又は(L−6.2)で表される化合物から1種類、式(L−6.4)又は(L−6.5)で表される化合物から1種類、式(L−6.6)又は式(L−6.7)で表される化合物から1種類、式(L−6.8)又は(L−6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L−6.1)、式(L−6.3)式(L−6.4)、式(L−6.6)及び式(L−6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0335】
さらに、一般式(L−6)で表される化合物は、例えば式(L−6.10)から式(L−6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L−6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0337】
本実施形態の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20質量%以下であり、15質量%以下であり、13質量%以下であり、10質量%以下であり、9質量%以下である。
【0338】
一般式(L−7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0340】
(式中、R
L71及びR
L72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるR
L1及びR
L2と同じ意味を表し、A
L71及びA
L72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるA
L2及びA
L3と同じ意味を表すが、A
L71及びA
L72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は一般式(L)におけるZ
L2と同じ意味を表し、X
L71及びX
L72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、R
L71及びR
L72はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、A
L71及びA
L72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、A
L71及びA
L72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L71は単結合又はCOO−が好ましく、単結合が好ましく、X
L71及びX
L72は水素原子が好ましい。
【0341】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0342】
本実施形態の組成物において、一般式(L−7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0343】
本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%以上であり、2質量%以上であり、3質量%以上であり、5質量%以上であり、7質量%以上であり、10質量%以上であり、14質量%以上であり、16質量%以上であり、20質量%以上である。本実施形態の組成物の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30質量%以下であり、25質量%以下であり、23質量%以下であり、20質量%以下であり、18質量%以下であり、15質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である。
【0344】
本実施形態の組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L−7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0345】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.1)から式(L−7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0347】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.11)から式(L−7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0349】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.21)から式(L−7.23)で表される化合物である。式(L−7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【0351】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.31)から式(L−7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.31)又は/及び式(L−7.32)で表される化合物であることが好ましい。
【0353】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.41)から式(L−7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.41)又は/及び式(L−7.42)で表される化合物であることが好ましい。
【0355】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.51)から式(L−7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【0357】
液晶組成物は、重合性化合物を更に含有してもよい。重合性化合物は、液晶組成物に用いられる公知の重合性化合物であってよい。重合性化合物の例としては、一般式(P):
【0360】
式(P)中、
Z
p1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Sp
p2−R
p2を表し、
R
p1及びR
p2は、以下の式(R−I)〜式(R−IX):
【0362】
(式中、
*でSp
p1と結合し、
R
2〜R
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基又は炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基を表し、
Wは、単結合、−O−又はメチレン基を表し、
Tは、単結合又は−COO−を表し、
p、t及びqは、それぞれ独立して、0、1又は2を表す。)
のいずれかを表し、
Sp
p1及びSp
p2はスペーサー基を表し、
L
p1及びL
p2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CO−NR
a−、−NR
a−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−COO−CR
a=CH−COO−、−COO−CR
a=CH−OCO−、−OCO−CR
a=CH−COO−、−OCO−CR
a=CH−OCO−、−(CH
2)
z−C(=O)−O−、−(CH
2)
z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH
2)
z−、−(C=O)−O−(CH
2)
z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、zは1〜4の整数を表す。)を表し、
M
p2は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基又は単結合を表すが、M
p2は無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは−R
p1で置換されていてもよく、
M
p1は、以下の式(i−11)〜(ix−11):
【0364】
(式中、*でSp
p1と結合し、**でL
p1、L
p2又はZ
p1と結合する。)
のいずれかを表し、
M
p1上の任意の水素原子は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは−R
p1で置換されていてもよく、
M
p3は、以下の式(i−13)〜(ix−13):
【0366】
(式中、*でZ
p1と結合し、**でL
p2と結合する。)
のいずれかを表し、
M
p3上の任意の水素原子は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基若しくは−R
p1で置換されていてもよく、
m
p2〜m
p4は、それぞれ独立して0、1、2又は3を表し、
m
p1及びm
p5は、それぞれ独立して1、2又は3を表し、
Z
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、R
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、R
p2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Sp
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Sp
p2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、L
p1が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよく、M
p2が複数存在する場合にはそれらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0367】
本実施形態の液晶組成物がシクロファンにK
i1で表される基を有する1価の有機基が置換された化合物に加えて重合性化合物を更に含有する場合、液晶分子のプレチルト角を好適に形成できる。
【0368】
本実施形態の組成物は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0369】
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合、カルボニル基を有する化合物の含有量を組成物の総質量に対して、5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0370】
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を組成物の総質量に対して、15質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0371】
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を組成物の総質量に対して、80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
【0372】
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を組成物の総質量に対して、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0373】
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を組成物の総質量に対して、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0374】
本明細書において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物(不可避的不純物)を除いて含有しないという意味である。
【0375】
液晶組成物の平均弾性定数(K
AVG)の下限値は、10以上が好ましく、10.5以上が好ましく、11以上が好ましく、11.5以上が好ましく、12以上が好ましく、12.3以上が好ましく、12.5以上が好ましく、12.8以上が好ましく、13以上が好ましく、13.3以上が好ましく、13.5以上が好ましく、13.8以上が好ましく、14以上が好ましく、14.3以上が好ましく、14.5以上が好ましく、14.8以上が好ましく、15以上が好ましく、15.3以上が好ましく、15.5以上が好ましく、15.8以上が好ましく、16以上が好ましく、16.3以上が好ましく、16.5以上が好ましく、16.8以上が好ましく、17以上が好ましく、17.3以上が好ましく、17.5以上が好ましく、17.8以上が好ましく、18以上が好ましい。液晶組成物の平均弾性定数(K
AVG)の上限値は、25以下が好ましく、24.5以下が好ましく、24以下が好ましく、23.5以下が好ましく、23以下が好ましく、22.8以下が好ましく、22.5以下が好ましく、22.3以下が好ましく、22以下が好ましく、21.8以下が好ましく、21.5以下が好ましく、21.3以下が好ましく、21以下が好ましく、20.8以下が好ましく、20.5以下が好ましく、20.3以下が好ましく、20以下が好ましく、19.8以下が好ましく、19.5以下が好ましく、19.3以下が好ましく、19以下が好ましく、18.8以下が好ましく、18.5以下が好ましく、18.3以下が好ましく、18以下が好ましく、17.8以下が好ましく、17.5以下が好ましく、17.3以下が好ましく、17以下が好ましい。消費電力削減を重視する場合にはバックライトの光量を抑えることが有効であり、液晶表示素子は光の透過率を向上させることが好ましく、そのためにはK
AVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合にはK
AVGの値を高めに設定することが好ましい。
(液晶表示素子)
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。以下、
図1,2を適宜参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子の例を説明する。
【0376】
図1は、液晶表示素子の構成を模式的に示す図である。
図1では、説明のために便宜上、各構成要素を離間させて示している。本実施形態に係る液晶表示素子1は、
図1に示すように、対向するように配置された第一基板2及び第二基板3と、第一基板2と第二基板3との間に設けられた液晶層4とを備えており、液晶層4は前述した本実施形態の液晶組成物により構成される。
【0377】
第一基板2には、液晶層4側の面に画素電極層5が形成されている。第二基板3には、液晶層4側に共通電極層6が形成されている。第一基板2及び第二基板3は、一対の偏光板7,8により挟持されていてもよい。第二基板3の液晶層4側には、カラーフィルタ9が更に設けられていてもよい。
【0378】
すなわち、一実施形態に係る液晶表示素子1は、第一偏光板7と、第一基板2と、画素電極層5と、液晶組成物を含む液晶層4と、共通電極層6と、カラーフィルタ9と、第二基板3と、第二偏光板8と、がこの順に積層された構成を有している。
【0379】
第一基板2及び第二基板3は、例えばガラス又はプラスチック等の柔軟性をもつ材料で形成されている。第一基板2及び第二基板3の少なくとも一方は透明な材料で形成されており、他方は透明な材料で形成されていても、金属やシリコン等の不透明な材料で形成されていてもよい。第一基板2及び第二基板3は、周縁領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって互いに貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー、又はフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0380】
第一偏光板7及び第二偏光板8は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することができ、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、第一偏光板7及び第二偏光板8のうちいずれかは、電圧無印加時の液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置されることが好ましい。
【0381】
カラーフィルタ9は、光の漏れを防止する観点で、ブラックマトリクスを形成することが好ましく、薄膜トランジスタに対応する部分にブラックマトリクス(図示せず)を形成することが好ましい。
【0382】
ブラックマトリクスは、アレイ基板と反対側の基板にカラーフィルタと共に設置されてもよく、アレイ基板側にカラーフィルタと共に設置されてもよく、ブラックマトリクスがアレイ基板に、カラーフィルタがもう一方の基板にそれぞれ別に設置されてもよい。また、ブラックマトリクスは、カラーフィルタと別に設置されてもよいが、カラーフィルタの各色を重ねることで透過率を低下させるものであってもよい。
【0383】
図2は、
図1における第一基板2上に形成された画素電極層5の一部であるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。
図2に示すように、第一基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む画素電極層5では、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン11と表示信号を供給するための複数のデータバスライン12とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。なお、
図2には、一対のゲートバスライン11,11及び一対のデータバスライン12,12のみが示されている。
【0384】
複数のゲートバスライン11と複数のデータバスライン12とにより囲まれた領域により、液晶表示素子の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極13が形成されている。画素電極13は、互いに直交して十字形状をなす二つの幹部と、各幹部から延在する複数の枝部とを備える、いわゆるフィッシュボーン構造を有している。また、一対のゲートバスライン11,11の間には、ゲートバスライン11と略平行にCs電極14が設けられている。また、ゲートバスライン11とデータバスライン12とが互いに交差している交差部近傍には、ソース電極15及びドレイン電極16を含む薄膜トランジスタが設けられている。ドレイン電極16には、コンタクトホール17が設けられている。
【0385】
ゲートバスライン11及びデータバスライン12は、好ましくはそれぞれ金属膜で形成されており、より好ましくはAl、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金で形成されており、更に好ましくはMo、Al又はその合金で形成されている。
【0386】
画素電極13は、透過率を向上させるために、好ましくは透明電極である。透明電極は、酸化物半導体(ZnO、InGaZnO、SiGe、GaAs、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、TiO、AZTO(AlZnSnO)等)をスパッタリング等することにより形成される。この際、透明電極の膜厚は、10〜200nmであってよい。また、電気的抵抗を低減するために、アモルファスのITO膜を焼成することにより多結晶のITO膜として透明電極を形成することもできる。
【0387】
本実施形態の液晶表示素子は、例えば、第一基板2及び第二基板3上にAl又はその合金等の金属材料をスパッタリングすることにより配線を形成し、画素電極層5及び共通電極層6をそれぞれ形成することができる。また、カラーフィルタ9は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルタの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルタ用の画素部を作成することができる。また、カラーフィルタ9は、TFT等を有する基板側に設置してもよい。
【0388】
第一基板2及び第二基板3は、画素電極層5及び共通電極層6がそれぞれ内側となるように対向させるが、その際にスペーサーを介して、第一基板2及び第二基板3の間隔を調整してもよい。このときは、液晶層4の厚さが、例えば1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。
【0389】
偏光板7,8を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶層4の屈折率異方性Δnと液晶層4の厚さとの積を調整することが好ましい。また、二枚の偏光板7,8がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0390】
2枚の基板2,3間に組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又は滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができるが、真空注入法においては滴下痕が発生しないものの、注入の跡が残る課題を有しているものであるが、本実施形態においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本実施形態においては、ODF法において、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
【0391】
また、ODF法による液晶表示素子の製造工程においては、液晶表示素子のサイズに応じて最適な液晶注入量を滴下する必要があるが、本実施形態の液晶組成物は、例えば、液晶滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に液晶を滴下し続けることが可能であるため、液晶表示素子の歩留まりを高く保持することもできる。特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型液晶表示素子は、最適な液晶注入量が少ないために最適値からのずれを一定範囲内に制御すること自体が難しいが、本実施形態の液晶組成物を用いることにより、小型液晶表示素子においても安定した液晶材料の吐出量を実現できる。
【0392】
本実施形態の液晶組成物が重合性化合物を含有する場合、重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いてもよいし、非偏光光源を用いてもよい。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いてもよい。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hz〜10kHzの交流が好ましく、周波数60Hz〜10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度〜89.9度に制御することが好ましい。
【0393】
照射時の温度は、本実施形態の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2が好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm
2〜500J/cm
2が好ましく、100mJ/cm
2〜200J/cm
2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させてもよい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒〜3600秒が好ましく、10秒〜600秒がより好ましい。
【0394】
本実施形態の液晶組成物においては、化合物(i)は上記重合性化合物の重合反応を阻害しないため、重合性化合物同士が好適に重合し、未反応の重合性化合物が液晶組成物中に残存することを抑制できる。
【0395】
重合性化合物として、例えば上記化合物(ii)を用いた場合、得られる液晶表示素子1は、二つの基板2,3と、二つの基板2,3の間に設けられた液晶組成物及び一般式(ii)で表される化合物の重合物を含む液晶層4とを備えている。この場合、一般式(ii)で表される化合物の重合物は、液晶層4中の基板2,3側に偏在していると考えられる。
【0396】
液晶表示素子1は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはPSA型の液晶表示素子である。
【0397】
本実施形態の液晶表示素子では、化合物(i)を含有する液晶組成物が用いられているため、第一基板2及び第二基板3の液晶層4側にポリイミド配向膜等の配向膜が設けられている必要がない。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができる。
【実施例】
【0398】
以下に製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて質量基準である。
【0399】
実施例1〜20、比較例1 カリックスアレーン化合物の製造
後述する手順でカリックスアレーン化合物(1)〜(24)を製造した。カリックスアレーン化合物(1)〜(24)の具体構造は以下の通り。
【0400】
なお、本願実施例において生成物の構造同定は、下記条件にて測定した
1H−NMR、
13C−NMR、FD−MSにて行った。
【0401】
1H−NMRはJEOL RESONANCE製「JNM−ECM400S」を用い、下記条件により測定した。
【0402】
磁場強度:400MHz
積算回数:16回
溶媒:重水素化クロロホルム
試料濃度:2mg/0.5ml
13C−NMRはJEOL RESONANCE製「JNM−ECM400S」を用い、下記条件により測定した。
【0403】
磁場強度:100MHz
積算回数:1000回
溶媒:重水素化クロロホルム
試料濃度:2mg/0.5ml
FD−MSは日本電子株式会社製「JMS−T100GC AccuTOF」を用い、下記条件により測定した。
【0404】
測定範囲:m/z=50.00〜2000.00
変化率:25.6mA/min
最終電流値:40mA
カソード電圧:−10kV
【0405】
【表1】
【0406】
【表2】
【0407】
【表3】
【0408】
【表4】
【0409】
実施例1 カリックスアレーン化合物(1)の製造
〈中間体(M−1)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、下記構造式(a)で表されるターシャリーブチルカリックス[4]アレーン50g、フェノール32.26gおよび脱水トルエン350mlを仕込み、窒素フロー環境下、300rpmで撹拌した。ターシャリーブチルカリックス[4]アレーンは溶解せずに懸濁していた。フラスコを氷浴に漬け、無水塩化アルミニウム(III)51.37gを数回に分けて投入した。溶液の色が淡橙透明に変化すると共に、底に無水塩化アルミニウム(III)が沈殿していた。室温で5時間撹拌を続けた後、反応混合物を1Lのビーカーに移し、氷、1N塩酸100ml、トルエン350mlを加えて反応を停止させた。溶液の色は淡黄色透明に変化した。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を回収した。水層にトルエン100mlを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、白色結晶と無色透明液体の混合物を得た。混合物を撹拌しながらメタノールをゆっくり添加し、液体中に溶解していた生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶をメタノールで洗浄した後、真空乾燥させて下記構造式(b)で表される中間体(M−1)29.21gを得た。
【0410】
【化90】
【0411】
〈中間体(M−2)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、ラウロイルクロリド7.159g、ニトロエタン16.27gを入れ攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、無水塩化アルミニウム(III)5.57gを数回に分けて投入した。溶液は淡橙透明溶液になった。室温下で30分攪拌し、前記中間体(M−1)2.30gを数回に分けて投入した。反応混合物は発泡し、橙透明溶液となった。室温で5時間反応させた後、クロロホルム、イオン交換水、氷の入った1Lのビーカーに反応混合物をゆっくり移し、反応を停止させた。1N塩酸を加えてpH1に調整した後、反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、黄色透明溶液を得た。フラスコを氷浴に漬け、メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を再度クロロホルムに溶解させ、メタノールを加えて再結晶させた。得られた白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(c)で表される中間体(M−2)5.00gを得た。
【0412】
【化91】
【0413】
〈中間体(M−3)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−2)7.00g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル81.44gを入れて攪拌した。フラスコ内は白色懸濁溶液となった。ヒドラジン一水和物2.585g加えて撹拌した。フラスコ内は無色透明溶液となった。水酸化カリウムペレット6.809gを加え、100℃で30分攪拌した後、還流条件下で12時間撹拌を続けた。フラスコ内は黄色透明溶液であった。90℃まで冷却してイオン交換水を30g加え、更に30分攪拌した。室温まで冷却した後、反応混合溶液をビーカーに移し、6N塩酸を加えてpH1に調整した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体にメタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(d)で表される中間体(M−3)4.156gを得た。
【0414】
【化92】
【0415】
〈カリックスアレーン化合物(1)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)11.00g、テトラヒドロフラン72.11g、トリフェニルホスフィン12.62g、ヒドロキシエチルメタクリレート15.65gを入れて攪拌した。フラスコ内は黄土色懸濁溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル8.92gを30分かけて滴下した。フラスコ内は赤色透明溶液であった。滴下終了後、室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで反応生成物を抽出した後、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製して淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(1)7.95gを得た。
実施例2、3 カリックスアレーン化合物(2)及び(3)の製造
〈中間体(M−4)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)20.00g、無水アセトニトリル180.00g、炭酸カリウム11.10g、2−ブロモ酢酸メチル22.30gを入れ、還流条件下で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水及び0.3N塩酸を加えてpH6に調整した。クロロホルム50gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム50gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、乳白色固体を得た。クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(e)で表される中間体(M−4)23.89gを得た。
【0416】
【化93】
【0417】
〈中間体(M−5)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−4)12.00g、テトラヒドロフラン125.38gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、水素化アルミニウムリチウム2.63gを加えた。フラスコ内は灰色懸濁液になった。室温下で6時間撹拌して反応させた。フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水2g、10%水酸化ナトリウム水溶液、5g、イオン交換水20g、クロロホルム30gを添加した。反応液を珪藻土濾過し、濾液に1N塩酸1g、クロロホルム30gを加えた。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、無色透明液体を得た。メタノールを加えて生成物を再沈殿させ、桐山ロートで濾過した。得られた白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(f)で表される中間体(M−5)8.63gを得た。
【0418】
【化94】
【0419】
〈カリックスアレーン化合物(2)及び(3)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.824g、メタクリル酸0.270gを入れ攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.635gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。滴下終了後、室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、カリックスアレーン化合物(2)0.521g及びカリックスアレーン化合物(3)0.754gを得た。
実施例3、4 カリックスアレーン化合物(3)及び(4)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン1.029g、メタクリル酸0.338gを入れ攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.794gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。滴下終了後、室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、カリックスアレーン化合物(3)0.374g及びカリックスアレーン化合物(4)0.287gを得た。
実施例5 カリックスアレーン化合物(5)の製造
〈中間体(M−6)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記カリックスアレーン化合物(1)2g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド12.00gを入れ攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、水素化ナトリウム(流動パラフィン60質量%分散体)0.181gをゆっくり添加した。7−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−6−[[[(1,1−1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]メチル]−1−ヨードヘプタン2.272gを加え、室温で20時間攪拌した。フラスコ壁に黄色オイル状の物質が析出していた。イオン交換水及び0.3N塩酸を加え、pH6に調整した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、真空乾燥させて下記構造式(g)で表される無色透明オイル状の中間体(M−6)0.938gを得た。
【0420】
【化95】
【0421】
〈カリックスアレーン化合物(5)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−6)0.938g、テトラヒドロフラン6.543gを加えた。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)3.63mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は淡赤色透明溶液であった。24時間撹拌を続けた後、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製した。生成物を真空乾燥させて、白色粉末のカリックスアレーン化合物(5)0.219gを得た。
実施例6 カリックスアレーン化合物(6)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)5.00g、テトラヒドロフラン19.71g、トリフェニルホスフィン5.73g、グリセリンジメタクレート12.48gを入れて攪拌した。フラスコ内は黄土色懸濁溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル4.05gを30分かけて滴下した。フラスコ内は赤色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去した後、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(6)2.97gを得た。
実施例7 カリックスアレーン化合物(7)の製造
〈中間体(M−7)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記カリックスアレーン化合物(6)1.00g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド12.00gを入れて攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、水素化ナトリウム(流動パラフィン60質量%分散体)0.181gをゆっくり添加した。7−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−6−[[[(1,1−1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]メチル]−1−ヨードヘプタン2.272gを入れ、室温で20時間攪拌した。フラスコ壁に黄色オイル状の物質が析出していた。イオン交換水及び0.3N塩酸を加えてpH6に調整した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層に合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、真空乾燥させて下記構造式(h)で表される無色透明オイル状の中間体(M−7)0.797gを得た。
【0422】
【化96】
【0423】
〈カリックスアレーン化合物(7)の製造〉
撹拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−7)0.797g、テトラヒドロフラン5.078gを加えた。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)2.82mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は淡赤色透明溶液であった。24時間撹拌を続けた後、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加え有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層に合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させて白色粉末のカリックスアレーン化合物(7)0.183gを得た。
実施例8 カリックスアレーン化合物(8)の製造
〈中間体(M−8)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記カリックスアレーン化合物(3)0.100g、テトラヒドロフラン1.022g、トリフェニルホスフィン0.0930g、2,2−ビス(ターシャリーブチルジメチルシロキサン)プロピオン酸0.1286gを入れ攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.0717gを30分かけて滴下した。フラスコ内は無色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体を薄相クロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=80:20)にて精製し、下記構造式(i)で表されるオイル状の中間体(M−8)0.104gを得た。
【0424】
【化97】
【0425】
〈カリックスアレーン化合物(8)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体0.104g、テトラヒドロフラン1.000gを加えた。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)0.2mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は無色透明溶液であった。24時間撹拌した後、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した。クロロホルム10gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた無色透明液体を薄相クロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=80:20)で精製した。生成物を真空乾燥させて、白色粉末のカリックスアレーン化合物(8)42.04mgを得た。
実施例9 カリックスアレーン化合物(9)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.824g、2−メチル−1,1‘−(2−カルボキシ−2−メチル−1,3−プロパンジイル)エステル2−プロペン酸0.848gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.635gをゆっくり滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(9)1.304gを得た。
実施例10 カリックスアレーン化合物(10)の製造
〈中間体(M−9)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記カリックスアレーン化合物(9)0.500g、テトラヒドロフラン4.054g、トリフェニルホスフィン0.1843g、2,2−ビス(ターシャリーブチルジメチルシロキサン)プロピオン酸0.2549gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.142gをゆっくり滴下した。フラスコ内は無色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体を薄相クロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=80:20)で精製し、下記構造式(j)で表されるオイル状の中間体(M−9)0.317gを得た。
【0426】
【化98】
【0427】
〈カリックスアレーン化合物(10)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−9)0.317g、テトラヒドロフラン2.000gを加えた。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)0.5mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は無色透明溶液であった。24時間撹拌した後、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した。クロロホルム10gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム10gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた無色透明液体を薄相クロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=80:20)で精製し、真空乾燥させて、白色粉末のカリックスアレーン化合物(10)192.5mgを得た。
実施例11 カリックスアレーン化合物(11)の製造
〈中間体(M−10)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.824g、2−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−2−プロペン酸0.663gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.635gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(k)で表される中間体(M−10)2.554gを得た。
【0428】
【化99】
【0429】
〈カリックスアレーン化合物(11)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた100mLの四つ口フラスコに、前記中間体(M−10)2.554g、テトラヒドロフラン50.00g、酢酸0.356gを入れ攪拌した。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)5.93mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水を加えた。更にクロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色透明液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させて、カリックスアレーン化合物(11)1.551gを得た。
実施例12 カリックスアレーン化合物(12)の製造
〈中間体(M−11)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.824g、4−[[(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]−2−メチレンブタン酸0.706gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.635gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(l)で表される中間体(M−11)2.420gを得た。
【0430】
【化100】
【0431】
〈カリックスアレーン化合物(12)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−11)2.420g、テトラヒドロフラン50.00g、酢酸0.329gを入れて攪拌した。フラスコ内は無色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)5.47mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水を添加した。更にクロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色透明液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(12)1.071gを得た。
実施例13 カリックスアレーン化合物(13)の製造
〈中間体(M−12)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)5.00g、無水アセトニトリル37.39g,炭酸カリウム7.554g、1−ブロモ−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)−2−プロパン12.96gを入れ、還流条件下で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水及び0.3N塩酸を加えてpH6に調整した。クロロホルム50gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム50gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、乳白色固体を得た。乳白色固体をクロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて、下記構造式(m)で表される中間体(M−12)6.61gを得た。
【0432】
【化101】
【0433】
〈中間体(M−13)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−12)5.000、ジエチレングリコールモノエチルエーテル38.95gを入れ攪拌した。フラスコ内は白色懸濁溶液であった。ヒドラジン一水和物11.63g加えた。フラスコ内は無色透明溶液であった。水酸化カリウムペレット13.03g加え、100℃で30分攪拌した後、還流条件下で12時間撹拌を続けた。フラスコ内は黄色透明溶液であった。90℃まで冷却し、イオン交換水を30g加え、30分攪拌した。室温まで冷却し、混合溶液をビーカーに移し、6N塩酸をpH1になるまで加えた。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体にメタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて、下記構造式(n)で表される中間体(M−13)3.196gを得た。
【0434】
【化102】
【0435】
〈中間体(M−14)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−13)2.000g、イミダゾール0.397g、無水塩化メチレン11.28gを入れて攪拌した。フラスコ内は白色懸濁溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、クロロターシャリーブチルジメチルシラン0.880gを30分かけゆっくり滴下した。室温に戻し、24時間撹拌した。十分量のイオン交換水を加えて反応を停止させ、水層に酢酸エチル50gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行った。得られた抽出液に硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。溶媒を留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製し、下記構造式(o)で表される淡黄色液体の中間体(M−14)1.577gを得た。
【0436】
【化103】
【0437】
〈中間体(M−15)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−14)1.500、トリエチルアミン50g、4−ジメチルアミノピリジン0.140g、塩化メチレン50gを加えた。フラスコを氷浴に漬けて0℃に冷却し、塩化メタクリロイル0.479gを5分間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、混合物を室温で6時間攪拌した。
1H−NMRにて出発物質の消失を確認した後、イオン交換水50gを加えて反応を停止させた。クロロホルム30gで生成物を抽出し、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した後、減圧条件下で溶剤を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:酢酸エチル=19:1)で精製し、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去して下記構造式(p)で表される中間体(M−15)1.047gを得た。
【0438】
【化104】
【0439】
〈カリックスアレーン化合物(13)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−15)1.047g、テトラヒドロフラン35.00g、酢酸0.135gを入れて攪拌した。無色透明溶液。フラスコを氷浴に漬け、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)2.25mlを攪拌しながらゆっくり滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水を添加し、ついでクロロホルム30gを加えた。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色透明液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させて、カリックスアレーン化合物(13)0.5489gを得た。
実施例14 カリックスアレーン化合物(14)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)7.000)、フェノチアジン0.005g、N-メチルピロリドン100.0gを入れて攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、水素化ナトリウム(流動パラフィン60質量%分散体)2.397gをゆっくり添加した。2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート10.71gを入れて攪拌した。90℃まで加熱してフラスコ内を還流させ、40時間撹拌した。フラスコ内は茶色透明溶液であった。室温まで冷却し、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した後、更にクロロホルムを添加した。1N塩酸を加えてpH3に調整した。クロロホルム30gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体にヘキサンおよびメタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて、カリックスアレーン化合物(14)4.156gを得た。
実施例15 カリックスアレーン化合物(15)の製造
〈中間体(M−16)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−4)3.00g、テトラヒドロフラン29.24g、エタノール24.93g、水酸化カリウム1.21gを加え、還流条件下で6時間撹拌した。フラスコ内は白色懸濁液であった。室温まで冷却し、イオン交換水とクロロホルムを加えた。フラスコを氷浴に漬け、6N塩酸を加えてpH1に調整した。クロロホルム50gを加えて反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、乳白色固体を得た。得られた乳白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(q)で表される中間体(M−16)2.16gを得た。
【0440】
【化105】
【0441】
〈カリックスアレーン化合物(15)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−16)1.000g、テトラブチルアンモニウムアイオダイド0.0560g、1−メトキシ−2−プロパノール13.55g、フェノチアジン0.007g、グリシジルメタクリレート4.270gを入れて攪拌した。90℃で20時間加熱撹拌した。フラスコ内は茶色透明溶液であった。室温まで冷却して混合溶液をビーカーに移し、1N塩酸及びクロロホルム30gを加えた。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム30gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 のるまるヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(15)0.434gを得た。
実施例16 カリックスアレーン化合物(16)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)11.00g、テトラヒドロフラン72.11g、トリフェニルホスフィン12.62g、4−ヒドロキシブチルアクリルレート17.34gを入れて攪拌した。フラスコ内は黄土色懸濁溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル8.92gを30分かけて滴下した。フラスコ内は赤色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(16)8.28gを得た。
実施例17 カリックスアレーン化合物(17)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.824g、アクリル酸0.226gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.635gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(17)0.627gを得た。
実施例18 カリックスアレーン化合物(18)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.905.9g、ヒドロキシエチルアクリルアミド0.398gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.698gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(18)1.014gを得た。
実施例19 カリックスアレーン化合物(19)の製造
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−3)2.00g、テトラヒドロフラン6.80g、トリフェニルホスフィン0.905.9g、ヒドロキシエチルビニルエーテル0.304gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル0.698gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で6時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた橙色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(19)0.756gを得た。
実施例20 カリックスアレーン化合物(20)の製造
〈中間体(M−17)の製造〉
攪拌装置、温度計、滴下ロート、及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(1)8.205g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド30.00g、49%水酸化ナトリウム水溶液18.94gを素早く仕込み、窒素フロー環境下、300rpmで撹拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液になった。室温条件下、滴下ロートを用いて臭化アリル28.07gを30分かけて滴下した。滴下終了後更に撹拌を続け、30分後に乳白色の固体が析出しスラリー状になった。その後、更に2時間撹拌した。酢酸と純水をゆっくり加えて、反応を停止させた。桐山ロートで濾過し、得られた結晶をメタノールで洗浄した後、真空乾燥させて下記構造式(r)で表される中間体(M−17)7.75gを得た。
【0442】
【化106】
【0443】
〈中間体(M−18)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−17)7.75g、N,N−ジメチルアニリン20.00gを仕込み、窒素フロー環境下、300rpmで撹拌した。還流条件下で3時間撹拌を続けた。室温まで冷却し、反応混合物をビーカーに移して氷及びクロロホルム20gを投入した。ビーカーを氷浴に漬け、38%濃塩酸25.00gをゆっくり添加した。ビーカー内は淡黄色透明溶液となった。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にクロロホルム20gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、白色結晶と淡緑色透明液体の混合物を得た。混合物にメタノールをゆっくり加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶をメタノールで洗浄した後、真空乾燥させて下記構造式(s)で表される中間体(M−18)7.461gを得た。
【0444】
【化107】
【0445】
〈中間体(M−19)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−18)5.000g、脱水N,N−ジメチルホルムアミド62.50gを入れ攪拌した。フラスコを氷浴に漬け、水素化ナトリウム(流動パラフィン60質量%分散体)2.05gをゆっくり添加した。1−ヨードドデカン15.20gを入れて攪拌した。60℃まで加熱し還流条件下で10時間撹拌した。フラスコ内は茶色透明溶液であった。室温まで冷却し、フラスコを氷浴に漬け、イオン交換水をゆっくり添加した。1N塩酸を加えてpH3に調整した。析出した固体を濾過し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた乳白色結晶を真空乾燥させて下記構造式(t)で表される中間体(M−19)6.722gを得た。
【0446】
【化108】
【0447】
〈中間体(M−20)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−19)5.000g、塩化メチレン16.88g、炭酸水素ナトリウム2.003gを仕込んだ。次いで、メタクロロ過安息香酸3.017gをゆっくり添加した。室温で96時間攪拌した。フラスコ内は黄色溶液であった。反応混合物を分液ロートに移し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加え、有機層を分液した。次いで、有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再結晶させた。得られた橙色結晶を真空乾燥させて下記構造式(u)で表される中間体(M−20)3.351gを得た。
【0448】
【化109】
【0449】
〈カリックスアレーン化合物(20)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−20)2.00g、トリフェニルホスフィン0.0257g、トルエン14.00g、メタクリル酸0.573gを仕込み撹拌した。還流条件下で6時間撹拌した。室温まで冷却し、反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られたこげ茶色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(20)1.227gを得た。
実施例21 カリックスアレーン化合物(21)の製造
〈中間体(M−21)の製造〉
攪拌装置、滴下漏斗、温度計及び還流冷却管を取り付けた1L四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム4.50gを投入し、ヘキサンにてミネラルオイルを洗浄除去した。続いて、乾燥DMF60.00gと臭化ヘキシル15.50を加え、撹拌下、90℃に加温した。そこへ、中間体(M−1)10.00gを乾燥DMF30.00gに溶かした溶液を滴下漏斗にて添加し、添加終了後、更に2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、反応混合物を氷(100g)に投入し、濃塩酸を加え、水溶液を酸性にしたのち、ジクロロメタン200gで2回抽出した。このクロロホルム溶液をpHが5以上になるまで水で洗浄し、更に、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を除去し、黄色液体を得た。この混合物にメタノールを撹拌しながら加え、固体を析出させた。この固体を濾取し、イソプロピルアルコールにて再結晶した。得られた白色結晶を真空乾燥し下記構造式(v)で表される中間体(M−21)15.20gを得た。
【0450】
【化110】
【0451】
〈中間体(M−22)の製造〉
公知文献(Organic & Biomolecular Chemistry, 13, 1708−1723; 2015)を参考にして、下記構造式(v)で表される中間体(M−21)15.00gを用いて、2段階で下記構造式(x)で表される中間体(M−22)12.20g、下記構造式(y)で表される中間体(M−23)11.10gを得た。
【0452】
【化111】
【0453】
〈カリックスアレーン化合物(21)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−23)2.00g、トリエチルアミン1.05g、ジクロロメタン10.00gを仕込み撹拌している中に、氷冷下メチルマロニルクロリド1.36gを滴下し、7時間撹拌した。室温まで昇温し、イオン交換水をゆっくり添加した。1N塩酸を加えてpH3に調整した。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にジクロロメタン20gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、エバポレーターで溶媒を留去し、得られたこげ茶色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(M−21)1.03gを得た。
実施例22 カリックスアレーン化合物(22)の製造
〈カリックスアレーン化合物(22)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、トリエチルアミン7.00g、ジクロロメタン10.00gを仕込み撹拌している中に、氷冷下メチルマロニルクロリド9.60gを滴下し、6時間撹拌した。室温まで昇温し、イオン交換水をゆっくり添加した。1N塩酸を加えてpH3に調整した。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にジクロロメタン20gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、エバポレーターで溶媒を留去し、得られたこげ茶色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(22)1.17gを得た。
実施例23 カリックスアレーン化合物(23)の製造
〈カリックスアレーン化合物(23)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、トリエチルアミン7.00g、ジクロロメタン10.00gを仕込み撹拌している中に、氷冷下クロログリオキシル酸メチル8.60gを滴下し、6時間撹拌した。室温まで昇温し、イオン交換水をゆっくり添加した。1N塩酸を加えてpH3に調整した。反応混合物を分液ロートに移し、有機層を分液した。水層にジクロロメタン20gを加えて有機成分を抽出する操作を3回行い、抽出液を有機層と合わせた。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、エバポレーターで溶媒を留去し、得られたこげ茶色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=90:10)で精製し、真空乾燥させてカリックスアレーン化合物(22)1.03gを得た。
実施例24 カリックスアレーン化合物(24)の製造
〈カリックスアレーン化合物(24)の製造〉
攪拌装置、温度計及び還流冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、前記中間体(M−5)2.00g、テトラヒドロフラン10.00g、トリフェニルホスフィン1.85g、2−シアノエタノール0.500gを入れて攪拌した。フラスコ内は淡黄色透明溶液。フラスコを氷浴に漬け、アゾジカルボン酸ジイソプロピル1.45gを30分かけて滴下した。フラスコ内は淡黄色透明溶液であった。室温で12時間攪拌した。反応溶液にヘキサンを加え、トリフェニルホスフィン等の副生成物を析出させて除去した。クロロホルムで生成物を抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて脱水し、濾過した。エバポレーターで溶媒を留去し、得られた赤色粘稠液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ノルマルヘキサン:アセトン=95:5)で精製し、淡黄色透明液体を得た。溶媒を留去し、クロロホルムに溶解させた後メタノールを加えて生成物を再沈殿させた。桐山ロートで濾過し、得られた白色結晶を真空乾燥させて、カリックスアレーン化合物(24)2.03gを得た。
(実施例25)液晶組成物の調整
下記に示すとおりの化合物と混合比率で構成される組成物:
【0454】
【化112】
【0455】
に対して、下記の重合性化合物(R−1−0)を0.3重量%添加した組成物をLC−1とした。
【0456】
【化113】
【0457】
LC−1のネマチック相−等方性液体相転移温度(TNI)は75℃、固体相−ネマチ
ック相転移温度(TCN)は−33℃、屈折率異方性(Δn)は0.11、誘電率異方性
(Δε)は−2.8、回転粘性(γ1)は98mPa・sであった。なお、屈折率異方性
(Δn)、誘電率異方性(Δε)、及び回転粘性(γ1)は、いずれも25℃における測
定結果である(以下、同様)。
【0458】
さらに、化合物(i)に相当するカリックスアレーン化合物(1)
【0459】
【化114】
【0460】
をLC−1 100重量%に対して0.3重量%添加し、液晶組成物を調製した。
(実施例26〜45)
添加量0.3重量%のカリックスアレーン化合物(1)に代えて、下記化合物を表1に示す添加量でLC−1に添加した以外は、実施例1と同様にして液晶組成物を調製した。
(実施例46)
組成物LC−1に代えて、下記に示すとおりの化合物と混合比率で構成される組成物:
【0461】
【化115】
【0462】
に対して、上記の重合性化合物(R−1−0)を0.4重量%添加した組成物LC−2を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶組成物を調製した。
【0463】
LC−2のT
NIは81℃、T
CNは−54℃、Δnは0.11、Δεは−3.0、γ
1は95mPa・sであった。
(実施例47〜69)
実施例25における添加量0.3重量%のカリックスアレーン化合物(1)に代えて、表1に示す添加化合物を表1に示す添加量でLC−2に添加した以外は、実施例46と同様にして液晶組成物を調製した。
(比較例1)
化合物(P−J−1)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして液晶組成物を調製した。
(比較例2〜14)
化合物カリックスアレーン化合物(1)を0.3重量%添加してことに代えて、下記化合物を表1に示す添加量でLC−1またはLC−2に添加した以外は、実施例1と同様にして液晶組成物を調製した。
【0464】
【化116】
【0465】
実施例及び比較例の各液晶組成物について、以下の評価試験を行った。各評価試験の結果を表1に示す。
(低温保存性の評価試験)
液晶組成物をメンブレンフィルター(Agilent Technologies社製、PTFE 13mm−0.2μm)にてろ過を行い、真空減圧条件にて15分間静置し溶存空気の除去を行った。これをアセトンにて洗浄し十分に乾燥させたバイアル瓶に0.5g秤量し、−25℃の環境下に10日間静置した。その後、目視にて析出の有無を観察し、以下の2段階で判定した。
【0466】
A:析出が確認できない。
【0467】
D:析出が確認できる。
(垂直配向性の評価試験)
透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルタ層を具備した配向膜を有さない第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する画素電極層を有する配向膜を有さない第二の基板(画素電極基板)とを作製した。第一の基板上に液晶組成物を滴下し、第二の基板上で挟持し、シール材を常圧で110℃2時間の条件で硬化させ、セルギャップ3.2μmの液晶セルを得た。このときの垂直配向性および滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察し、以下の4段階で評価した。
【0468】
A:全面に渡り、均一に垂直配向
B:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
C:配向欠陥が有り許容できないレベル
D:配向不良がかなり劣悪
(プレチルト角形成の評価試験)
上記(垂直配向性の評価試験)で使用した液晶セルに、10V、100Hzの矩形交流波を印加しながら、高圧水銀ランプを用いて、365nmにおける照度が100m/cm
2であるUV光を200秒間照射した。その後、白表示の安定性を、10V、100Hzの矩形交流波を印加しながらセルに物理的な外力を加え、クロスニコルの状態で観察を行い、以下の4段階で評価した。
【0469】
A:均一に配向
B:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
C:配向欠陥が有り許容できないレベル
D:配向不良がかなり劣悪
(残存モノマー量の評価試験)
上記(プレチルト角形成の評価試験)にて使用したセルに、さらに、東芝ライテック社製のUV蛍光ランプを60分間照射した(313nmにおける照度1.7mW/cm
2)後の、重合性化合物(R1−1−1)の残存量をHPLCにて定量し、残存モノマー量を決定した。モノマーの残存量に応じて、以下の4段階で評価した。
【0470】
A:300ppm未満
B:300ppm以上500ppm未満。
【0471】
C:500ppm以上1500ppm未満
D:1500ppm以上
(応答特性の評価試験)
上記(プレチルト角形成の評価試験)にて使用したセルギャップ3.2μmのセルに、さらに、東芝ライテック社製のUV蛍光ランプを60分間照射した(313nmにおける照度1.7mW/cm
2)。これにより得られたセルに対して、応答速度を測定した。応答速度は、6VにおけるVoffを、25℃の温度条件で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いて測定した。応答特性を以下の4段階で評価した。
【0472】
A:5ms未満
B:5ms以上15ms未満
C:15ms以上25ms未満
D:25ms以上
【0473】
【表5】
【0474】
【表6】