(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明は、発光装置を以下に限定するものではない。
【0011】
また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0012】
また、本明細書において、リード又は金属板のうち、発光装置として用いられる際に発光素子が搭載される側となる面を「上面」、上面と対向する面を「下面」とし、上面と下面との間の面を「側面」とする。
【0013】
本実施形態に係る発光装置は、上面及び下面を有するリードと、リードの下面が外部に露出するよう保持する成形樹脂と、を備えたパッケージと、リードの上面の載置部に載置された発光素子と、発光素子を封止する封止部材と、を備えた発光装置であって、リードは、Cuを主成分とする金属板と、該金属板の表面に設けられるメッキと、を有し、リードの下面のメッキは、金属板の縁部に形成されるAg及びNiを含む第1メッキと、発光素子の載置部の下方に形成されるNiを含まない第2メッキと、を備える。
【0014】
発光装置の下面は、リードの下面が外部に露出されており、はんだ等の接着剤によって2次基板に実装される。発光素子直下(下方)に、熱伝導率の低いNiを有しないメッキ(第2メッキ)を備えることで、発光素子から生じる熱を、外部に放出し易くすることができる。
【0015】
Niは、リードの母材である金属板を構成する金属(特に、Cu)が、メッキの内部に拡散するのを抑制する材料として適している。そのため、リードの下面の縁部に形成されるメッキとして、Ag及びNiを含むメッキ(第1メッキ)を形成、詳細には、CuとAgの間にNiが介在するような積層したメッキ(Cu/Ni/Au、Cu/Ni/Pd/Au等)とすることで、Ag中へのCuの拡散を抑制することができる。また、Cuは酸化し易い。二次基板への実装に用いられる半田は、酸化されたCuとは密着性が悪いため、第1メッキを、リードの下面に形成することで、半田付け性(接合性)が良好な領域を形成することができる。
【0016】
上記のように、リードの下面のメッキを、放熱性に優れたメッキ(第2メッキ)と、半田との接合性に優れたメッキ(第1メッキ)との、2種類のメッキとすることで、放熱性に優れた発光装置を、二次基板への接合性が低下しにくくすることができる。
【0017】
また、発光素子が載置される側、すなわちリード(金属板)の上面側には、Niを設けるのが好ましい。これにより、金属板を構成する金属(特に、Cu)がメッキ内部に拡散しにくく、その上に形成されているAgの変質を抑制して、反射率の低下、光沢度の低下等を低減することができる。しかしながら、金属板に比べて熱伝導度が低いため、放熱性を低下させる一因となり得る。そのため、発光素子からの光が照射されない領域に形成されるメッキ、すなわち、金属板の下面に形成されるメッキを、Niを含まないメッキ(第2メッキ)とすることで、放熱性の低下を低減することができる。
以下、各部材について詳説する。
【0018】
<パッケージ>
パケージは、リードと、リードを保持する成形樹脂と、を備える。パッケージは、平板状、又は、発光素子が載置可能な凹部が設けられた形状等とすることができる。平板状のパッケージの場合は、その上面にリードの上面が露出されている。凹部を備えたパッケージの場合は、凹部の底面にリードの上面が露出されている。パッケージの下面には、リードの下面が露出されている。
【0019】
[リード]
リードは、主として発光装置の電極として機能するものであり、少なくとも正極用リードと負極用リードの2つのリードを備える。リードは所定の形状のパターニングされた板状の金属部材であり、母材となる金属板と、その表面に形成されたメッキとを有する。また、リードは、電極としては機能しない部材として、例えば、放熱部材を有していてもよい。
【0020】
(金属板)
金属板は、エッチング、プレス、パンチ、ブラスト等の加工方法で所望の形状にパターニングされる。一枚のリードで、複数の発光装置を得ることができるよう、金属板は同じパターンを複数有するように加工される。各パターンは、発光装置として用いられる際に、電極端子として機能する正負一対のリード部や、放熱部材として機能する放熱部などとして機能する部位を含み、更に、各パターンを連結させる連結部やその他の部位などを有する。また、切り欠き、凹部、孔などを有していてもよい。このような加工は、メッキの前、またはメッキの後に行うことができ、好ましくは、メッキの前に行う。
【0021】
金属板の材料としては、例えば、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Zn、Cr、W、Co、No、Rh、Ruの金属又はこれらの合金が挙げられる。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。主成分としてCuを90%以上含む金属板が好ましい。また、微量含有元素としてSiやPなどの非金属が含まれていてもよい。
【0022】
金属板の厚みは、例えば、100〜1000μm程度が好ましく、更に、200〜500μm程度が好ましい。また、金属板の全てがこの厚みであってもよく、一部が薄くなってもよい。特に、パターニングした際に縁となる部分は、側面の下面側に凹部を備えたような形状、換言すると、側面の上面側に凸部を備えた形状としてもよい。この凸部の厚みは、他の部分(例えば発光素子の直下等)の厚みの1/2〜1/5程度の厚みとすることができる。このような形状とすることで、パッケージとした際に、成形樹脂とリードとの密着性を向上させることができる。また、リードがパッケージの下面に露出するように配置される場合は、このようなリードの縁に設けられた凸部及び凹部により、成形樹脂からリードが脱落するのを防ぐアンカー効果を得られることができる。
【0023】
(メッキ)
金属板の表面には、メッキが設けられる。金属板の下面には、Ag及びNiを含む第1メッキと、Niを含まない第2メッキと、の構成の異なる2種のメッキが設けられる。第2メッキは、発光素子の載置部の下方(直下)の下面に設けられる。第2メッキは、発光素子の載置部の下方の少なくとも一部に設けられればよく、好ましくは、発光素子の載置部の全領域の下方に設けられる。第1メッキは、金属板の下面の縁部に設けられる。この場合、金属板の下面の少なくとも一部の縁部に第1メッキを設ければよく、さらに、全周の1/2〜1/5程度の領域に亘る縁部に設けられてもよく、全周に設けられていてもよい。尚、発光素子が載置されていないリードは、リードの下面(金属板の下面)に第2メッキは必ずしも必要ではなく、例えば、全面に第1メッキを設けてもよく、また、第1メッキ及び第2メッキと異なる第3メッキを設けてもよく、あるいは、メッキを設けず金属板を露出させてもよい。
【0024】
第1メッキ及び第2メッキをそれぞれメッキする前に、前処理として、リード表面の有機物質を除去するために、脱脂工程を設けるのが好ましい。更に、脱脂工程に次いで、酸処理などによりリードの表面活性化を行うのが好ましい。
【0025】
本明細書において、メッキを構成する金属元素である「Ni」「Ag」は、その金属のみからなるメッキを指すものではなく、主成分であることを意味しており、少なくとも70質量%以上のNi、Agを含む材料を指している。すなわち、30質量%未満の材料や、不可避不純物等が含まれているものも含むものであり、便宜上、表現を簡素化しているに過ぎない。また、Niを含まないとは、メッキ膜を形成する際、メッキ材料としてNiを意図的に用いない又は添加しないことを意味する。よって、Niが不純物として含有される可能性を排除するものではない。
【0026】
(第1メッキ)
Niとその上のAgとを備える第1メッキは、金属板の下面の一部に設けられる。詳細には、金属板の下面のうち、発光素子の載置部の下方の少なくとも一部には第2メッキが設けられているため、第1メッキは、その第2メッキと異なる領域に設けられる。すなわち、第1メッキは、発光素子の載置領域の少なくとも一部を除く、金属板の下面に設けられる。例えば、金属板の下面の縁部に、側面から連続するように設けることができる。
【0027】
前述のように、Niは金属板(Cu等)の成分がメッキ(Ag)内に拡散するのを抑制するほか、各メッキの密着性を向上させることができる。そのため、Niを含み、Agを密着性よく形成した第1メッキを、金属板の下面の一部(特に縁部)に設けておくことで、Cuの拡散が抑制された状態のAgメッキが最表面に位置させることができ、半田との接合性を良好なものとすることができる。
【0028】
第1メッキは、Ni、Agに加え、それ以外の材料を積層させた構造とすることができる。このような材料としては、Au(金)、Cu(銅)、Pt、Pd、Al、W、Mo、Ru、Rh等が挙げられる。積層構造としては、例えば、Ni/Ag、Ni/Pd/Ag、Ni/Pd/Au/Ag、Ni/Pt/Ag、Ni/Au/Ag、Cu/Ni/Pd等が挙げられ、なかでもNi/Pd/Au/Ag、Ni/Au/Agが好ましい。
【0029】
また、第1メッキは、金属板の上面及び側面に設けられていてもよい。例えば、パターニングされた金属板の下面の一部(発光素子の載置領域の下方)をマスク(例えば保護テープによるマスク、レジストマスク)で覆い、メッキ浴に浸漬してNiメッキを形成し、その後、マスクを除去してAgメッキを形成することで、金属板の上面及び側面に連続する第1メッキが形成される。このように形成される場合、Agメッキは、第1メッキと第2メッキの両方を構成するメッキとして一体的に形成される。下地としてNiメッキを部分メッキすることでこのような構成とすることができる。尚、第1メッキと第2メッキとは、このように一部のメッキを共有するようにしてもよく、また、全くことなる構成としてもよい。
【0030】
第1メッキが、金属板の下面、側面及び上面まで連続して一体的に形成されることで、金属板の下面のみに第1メッキが形成される場合に比して、第1メッキ中の卑金属の腐食を抑制することができる。
【0031】
金属板の側面の上面側に凸部を備える場合、その凸部の側面、及び下面にも第1メッキが形成されることが好ましい。また、金属板の側面の凸部の下にある凹部の側面にも第1メッキが形成されることが好ましい。
【0032】
また、リードは、発光装置の側面に露出されている部分を備えている。例えば、発光装置の集合体を切断することで個片化された発光装置とする場合、発光装置の側面は切断面からなる。つまり、成形樹脂の切断面とリードの切断面とで、発光装置の側面が形成される。メッキは、成形樹脂を形成する前、すなわちリードフレームの状態で形成されるため、個片化することで現れるリードの側面(発光装置の側面に露出された側面)はメッキで覆われていない。メッキは、側面において、金属板の周囲を囲むように形成されている。ここで露出されているメッキは、第1メッキであり、Niを含んでいる。Niは金属板のCuよりも硬いため、切断部分にNiを含むメッキを備えることで、Cuのバリが出にくい。
【0033】
また、メッキ工程において、保護テープによるマスクや、レジストマスクではなく、マスク用のベルトを用いる場合、金属板の下面のうち、パターニングされた部分のエッジ部に当接されるベルトが、隙間なく当接されないため、金属板とベルトとの間にも第1メッキが形成される。これにより、Niメッキが、金属板の下面において、厚みが異なるように形成される。この場合、金属板2の下面の端から離れるにしたがって厚みが薄くなるように形成される。
【0034】
(第2メッキ)
金属板の下面のうち、発光素子の載置領域の下方には、Niを含まない第2メッキを有する。第2メッキは、発光素子の載置領域の少なくとも一部の下方に設けられればよく、好ましくは、発光素子の載置領域の1/2以上、さらに好ましくは載置領域の全面の下方に設ける。また、金属板の下面の一部には、第1メッキが設けられており、その第1メッキと接するように設けるのが好ましい。
【0035】
第2メッキは、第1メッキを構成する一部のメッキと同時に形成するのができる。例えば、金属板の上面にNiメッキを形成する際に、金属板の下面の、発光素子の載置領域の下方に相当する位置をマスクしてメッキを行い、Ni以外のメッキを、マスクをせずに金属板の全表面にメッキすることで、第1メッキの一部のメッキ(Ni以外のメッキ)と第2メッキとを同じ工程形成することがきる。このような方法によると、Ni以外のメッキは、金属板の上面から下面にかけて連続して設けられる構造となる。
【0036】
第2メッキとしては、例えば、Ag、Au、Cu、Co、Zn、Rh、Cr、Al、W、Mo、Ru、Rh等が挙げられる。これらは、単独で用いることができ、また、第1メッキと同様に、第2メッキも下地層などを備えた積層構造とすることができる。積層構造としては、例えば、Au/Agが挙げられる。
【0037】
また、成形樹脂を形成した後にメッキ(第3メッキ)を有していてもよい。第3メッキとしては、例えば、Pb、Sn、Ag、Cu、Bi等を含むメッキ(半田メッキ)などを形成してもよい。このように成形後にメッキを形成するとリードの下面は成型樹脂の下面よりも突出した形状となり、二次実装時に安定した接合強度を保つことができる。また、成形後に形成させるため、必要部分にのみメッキを形成することができ、部材を削減することができる。
【0038】
第1メッキ、第2メッキは、それぞれ総膜厚は、1〜10μm程度が好ましく、更に、1.5〜6μmが好ましい。各メッキの厚みは、目的や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、Niは0.1〜5μm、好ましくは0.5〜5μm程度、Agは1〜5μm程度などが挙げられる。Pdは0.005〜0.05μm程度、Auは0.001〜0.5μm程度などが挙げられる。第3メッキが形成される場合、第3メッキは、1〜20μm程度が好ましく、更に1〜10μm程度が好ましい。
【0039】
[成形樹脂]
成形樹脂は、発光装置とした際に、少なくとも2つのリードを一体的に保持する保持部材として機能し、さらに、光反射性や遮光性など、光学特性を制御する部材として機能する。成形樹脂は、一対のリードの間に設けられ、正負用のリードが互いに接触しないようにする絶縁部材としても機能する。
【0040】
リードは、その下面が、パッケージの下面から露出するように配置するのが好ましい。また、リードの上面は、発光素子が載置される素子載置領域と、ワイヤを用いる場合はワイヤが接続されるワイヤ接続領域と、を備えており、これらは、成形樹脂から露出されるように配置される。
【0041】
成形樹脂に用いられる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂が挙げられる。具体的には、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂組成物、変成エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、変成シリコーン樹脂組成物、シリコーン変成エポキシ樹脂、エポキシ変成シリコーン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物、変成ポリイミド樹脂組成物、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート等の樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂が挙げられ、これらの中から少なくとも1つを含む樹脂とすることができる。特に、熱硬化性樹脂が好ましい。なかでも、発光装置とする場合、成形樹脂は、発光素子からの光に対する反射率が60%以上であるものが好ましく、より好ましくは70%、80%又は90%以上であるものが好ましい。
【0042】
また、成形樹脂には、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ムライトなどの光反射材が含有されていてもよい。これにより、発光素子からの光を効率よく反射させることができる。また、カーボンブラック等の黒色材料が含有されてもよい。光反射材又は黒色材料は、樹脂成形法や樹脂流動性などの成形条件によって、また反射率や機械強度などの特性等によって適宜調整することができる。例えば、酸化チタンを用いる場合は、成形樹脂の全重量に対して、10〜60重量%、さらに15〜50重量%含有させることが好ましい。
【0043】
<発光素子>
発光素子は、素子基板上に積層された、発光層を含む半導体層から構成される。あるいは、素子基板上に発光層を含む半導体層を積層した後に基板を除去することにより得られる半導体層から構成されていてもよい。
【0044】
素子基板としては、特に限定されるものではなく、例えば、窒化物半導体層を成長させるために通常用いられるものが挙げられる。なかでも、透光性の基板が好ましい。ここでの透過性とは、発光素子から出射される光の60%、65%、70%又は80%程度以上を透過し得る性質を指す。素子基板としては、サファイア、スピネル、NGO、LiAlO
2、LiGaO
3、GaN等が挙げられる。なかでも、酸化物からなる素子基板が好ましく、ウルツ鉱型結晶からなる素子基板がより好ましく、特にサファイアがさらに好ましい。
【0045】
素子基板上に積層される半導体層は、少なくとも発光構造を有するものが好ましい。具体的には、半導体層は、例えば、基板上に、任意にバッファ層等の1層又は複数層を介して、第1半導体層(n型又はp型半導体層)、発光層及び第2半導体層(p型又はn型半導体層)がこの順に積層されて構成されるものが挙げられる。
【0046】
半導体層は、第2半導体層側から厚み方向に一領域が除去され、つまり、部分的に除去され、そこから第1半導体層が露出しており、この露出した領域以外の第1半導体層の他の領域上に、発光層および第2半導体層が順に積層されて構成されている。
半導体層を構成する第1半導体層、発光層及び第2半導体層としては、特に限定されるものではなく、例えば、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系化合物半導体が好適に用いられる。これらの窒化物半導体層は、それぞれ単層構造でもよいが、組成及び膜厚等の異なる層の積層構造、超格子構造等であってもよい。特に、発光層は、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸又は多重量子井戸構造であることが好ましい。
【0047】
発光素子が有する一対の電極は、半導体層の同一面側に配置されている。これらの一対の電極は、上述した第1半導体層及び第2半導体層と、それぞれ、電流−電圧特性が直線又は略直線となるようなオーミック接続されるものであれば、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。このような電極は、当該分野で公知の材料及び構成で、任意の厚みで形成することができる。例えば、十数μm〜300μmが好ましい。
【0048】
特に、発光素子の一対の電極がそれぞれ接合部材を介してリードと電気的に接続される場合には、一対の電極の最も半導体層側の層として、反射層(めっき膜、DBR膜)を配置することが好ましい。
【0049】
また、発光素子として、あらかじめ蛍光体層を形成した白色発光素子、発光素子の側面を樹脂又は金属などの反射層で被覆して上面に蛍光体層を形成した白色発光素子を用いてもよい。さらに、発光素子から実装面に配置される電極の厚みを厚くして、その周囲に樹脂(白色樹脂)などの応力緩和層を備えた発光素子を用いることもできる。
【0050】
<接合部材>
発光素子の一対の電極は、接合部材を介して、又はワイヤを介してリードと電気的に接続されている。
【0051】
接合部材としては、例えば、絶縁性接合部材又は導電性接合部材を用いることができる。絶縁性接合部材としては、樹脂が挙げられ、透明樹脂、もしくは白色樹脂などが挙げられる。導電性接合部材としては、共晶材料又ははんだが挙げられる。好ましい共晶材料としては、AuとSnを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金などが挙げられる。はんだとしては、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金などが挙げられる。これらの中でもAu−Snの共晶合金が好ましい。Au−Snの共晶合金を用いると、発光素子の電極に対する熱圧着による劣化を低減させることができ、リードに対して強固に接合させることができる。
【0052】
<封止部材>
封止部材は、発光素子、保護素子、ワイヤなど、パッケージに実装される電子部品を、塵芥、水分、外力などから保護する部材である。封止部材の材料としては、発光素子からの光を透過可能な透光性を有し、且つ、それらによって劣化しにくい耐光性を有するものが好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の、発光素子からの光を透過可能な透光性を有する絶縁樹脂組成物を挙げることができる。また、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等も用いることができる。さらにまた、これらの有機物に限られず、ガラス、シリカゾル等の無機物も用いることができる。このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、光反射材、各種フィラー、波長変換部材(蛍光部材)などを含有させることもできる。封止部材の充填量は、上記電子部品が被覆される量であればよい。
【0053】
封止部材の外表面の形状は、配光特性などに応じて種々選択することができる。例えば、上面を凸状レンズ形状、凹状レンズ形状、フレネルレンズ形状などとすることで、指向特性を調整することができる。また、封止部材に加えて、レンズ部材を設けてもよい。さらに、蛍光体入り成形体(例えば蛍光体入り板状成形体、蛍光体入りドーム状成形体等)を用いる場合には、封止部材として蛍光体入り成形体への密着性に優れた材料を選択することが好ましい。蛍光体入り成形体としては、樹脂組成物の他、ガラス等の無機物を用いることが出来る。
【0054】
蛍光体としては、例えば、酸化物系、硫化物系、窒化物系の蛍光体などが挙げられる。例えば、発光素子として青色発光する窒化ガリウム系発光素子を用いる場合、青色光を吸収して黄色〜緑色系発光するYAG系、LAG系、緑色発光するSiAlON系(βサイアロン)、赤色発光するSCASN、CASN系、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体等の蛍光体の単独又は組み合わせが挙げられる。
【0055】
なお、発光装置には、ツェナーダイオード、ブリッジダイオードなどの保護素子等を有してもよい。
【0056】
(実施形態1)
図1Aは、実施形態1にかかる発光装置100を示す断面図であり、
図1Bは、リード12の一部拡大図である。また、
図1Cは
図1Aの発光装置100の斜視図であり、
図1Dは
図1CのXの拡大図である。発光装置100は、凹部を備えたパッケージ10と、パッケージ10の凹部の底面に実装された発光素子140と、発光素子140を覆うよう、凹部に充填された封止部材120と、を含む。発光素子140は、ワイヤ160を介してリード12と電気的に接続されている。パッケージ10は、正負一対の電極となる2つのリード12と、リードを保持し、底面と側壁とを備えた成形樹脂14と、を備える。リード12は、上面の一部が凹部の底面で露出されており、下面は略全面が露出して発光装置100の下面となるように配置されている。リードは、
図1Cに示すように、発光装置100の側面に露出している露出部12aを備えている。
【0057】
リード12は、母材である金属板(Cu)2と、金属板2の表面に形成されたメッキ4と、を備える。金属板の下面は、Ni41とAg42とが積層された第1メッキ4Aと、Niを含まない第2メッキ4Bと、が設けられる。Ni41は、金属板2の下面において、略均一な厚みで設けられている。これは、金属板2の下面に保護テープによるマスクを設けてNiをメッキすることによって得ることができる。
【0058】
第2メッキ4Bは、第1メッキ4A中のAg42と一体的に設けられている。金属板2の下面において、第1メッキ4Aと第2メッキ4Bとは、その表面が面一になるように形成されている。さらに、第1メッキ4Aと第2メッキ4Bと、成形樹脂14とが、発光装置の下面において略面一となるように形成されている。
【0059】
金属板2の上面は、金属板2の下面に設けられる第1メッキ4Aと同じ構成のメッキがその全面に設けられる。
図1Dに示すように、発光装置100の側面に露出されているリードの露出部12aは、第1メッキ4A及び第2メッキ4Bが金属板2の周囲を囲むように形成されている。
【0060】
このような構成することで、発光素子からの熱を外部に放出しやすくすることができる。また、半田との接合性の低下を抑制することができる。また、露出されているリードの切断部分にNiを含むメッキを備えることで、金属板2のバリの発生を防止することができる。
【0061】
(実施形態2)
図2は、リード12の一部拡大図である。実施形態2は、金属板2の下面に設けられる第1メッキ4Aのうち、Ni41の厚みが、均一な厚みではなく、異なる厚みである。詳細には、金属板2の下面の端から離れるにしたがって厚みが薄くなるように設けられている点が実施形態1と異なる。これは、金属板2の下面に、マスク用のベルトを当接させてNiをメッキすることで得ることができる。
【0062】
(実施形態3)
図3Aは、実施形態3に係る発光装置200の断面図であり、
図3Bは、リード12の一部拡大図である。
図3Cは、発光装置200の下面図である。実施形態3は、金属板2の下面に設けられる第2メッキ4BであるAg42の厚みが、第1メッキ4A中のAg42と同じ厚みで形成されている。第1メッキ4Aは、Ag42の下地層としてNi41が形成されており、その上にAg42が形成されているが、この第1メッキ4A中のAg42と同時に第2メッキ4BのAg42を形成している。このようにすることで、金属板2の下面において、第1メッキ4Aの表面と第2メッキ4Bの表面とが、異なる高さとなるように設けられる。すなわち、第1メッキ4Aの方が、第2メッキ4Bよりも突出するように形成される。
図3Cに示すように、発光装置200の下面に露出されるリード12は、成形樹脂14と接する部分(外周)に第1メッキ4Aが形成され、その第1メッキ4Aに囲まれた領域に第2メッキ4Bが形成される。尚、発光装置の下面において、第1メッキ4Aの幅は、1μm〜100μm程度であり、5μm〜75μm程度が好ましく、10μm〜50μm程度又は20μm〜50μm程度がより好ましい。第1メッキ4Aの幅は、図示するような直線状のほか、一部が幅広、又は幅狭であるなど、一定しない幅であってもよく、その場合、平均の幅が上記範囲とすることができる。
【0063】
このように、リード12の下面に高低差のあるメッキを設けることで、半田との接合性を良好なものとすることができる。すなわち、第2メッキ4Bよりも第1メッキ4Aが突出しており、この第1メッキ4Aが、樹脂成形体と略面一になるように設けられる。そして、第2メッキ4Bの表面はこれらよりも低い面として形成される。このような発光装置200を二次基板に実装すると、第2メッキ4Bと二次基板との間の半田接合面積が増える。これにより、発光装置と二次基板との接合性を向上させることができる。
【0064】
(実施形態4)
図4は、リード12の一部拡大図である。実施形態4は、金属板2の下面に設けられる第1メッキ4Aのうち、Ni41の厚みが、均一な厚みではなく、異なる厚みである。詳細には、金属板2の下面の端から離れるにしたがって厚みが薄くなるように設けられている点は実施形態2と同じである。そしてさらに、金属板2の下面に設けられる第2メッキ4BであるAg42の厚みが、第1メッキ4A中のAg42と同じ厚みで形成されている。第1メッキ4Aは、Ag42の下地層としてNi41が形成されており、その上にAg42が形成されているが、この第1メッキ4A中のAg42と同時に第2メッキ4BのAg42を形成している。このようにすることで、金属板2の下面において、第1メッキ4Aの表面と第2メッキ4Bの表面とが、異なる高さとなるように設けられる。すなわち、第1メッキ4Aの方が、第2メッキ4Bよりも突出するように形成される。