【実施例】
【0091】
以下に、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例で用いた分析装置、光反応用の光源は以下のとおりである。
NMR:
ECX 300 (JEOL 社製):
1H-NMR、
13C-NMR
ケミカルシフト値は、内部標準物質としてMe
4Si(テトラメチルシラン)を用いて重ジメチルスルホキシド(DMSO-d
6)溶媒にて測定した。
JNM-ECA 500 (JEOL 社製):定量
1H-NMR(
13Cデカップリング
1H測定)
標準物質としてマレイン酸を用いて重ジメチルスルホキシド(DMSO-d
6)溶媒にて測定した。
AVANCE III 500 (Bruker 社製):固相
13C-NMR
標準物質としてアダマンタンを用いて測定した。
【0092】
ガスクロマトグラフ(GC):
GC: 6890 series GC (Hewlett Packard 社製)
ガスクロマトグラフ−高分解能質量分析(GC−HRMS):
GC: 7890A (Agilent 社製), MS: GCT Premier (Waters 社製)
【0093】
単結晶X線構造解析:
SMART APEX II ULTRA (Bruker 社製)
粉末X線回折:
MiniFlex600 (Rigaku 社製)
赤外吸収(IR):
FT-IR ALPHA (Bruker Optics 社製)
【0094】
光源:100W高圧水銀ランプとしては、セン特殊光源社製の電源:HB100P−1(5/6)、光源:HL100CH−4を使用し、400W高圧水銀ランプとしては、セン特殊光源社製の電源:HB400P−1、光源:HL400B(L/H/S)−8を使用し、450W高圧水銀ランプとしては、ウシオ電機社製のUM−452を使用した。キセノンランプとしては、ウシオ電機社製のUV−XEFL(主波長ピーク290nm、4.5W〔1.5W/cmの長さ3cm分を使用〕)、及びUV−XEFL(主波長ピーク320nm、4.5W〔1.5W/cmの長さ3cm分を使用〕)を使用した。
【0095】
超音波洗浄機:
US-18KS(エスエヌディ社製)
カールフィッシャー水分計:
MKC-510 (京都電子工業社製)
液体クロマトグラフ(HPLC):
HPLC: Prominence (島津製作所社製)
【0096】
実施例1−1:ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)の製造(その1)
【0097】
【化9】
【0098】
シトラコン酸(3.11g,23.90mmol)及びピリジン(1.89g,23.89mmol)を順次、乳鉢に添加し、生成する固体を乳棒で5分間すりつぶしながら十分に混合し、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)を白色固体(4.79g)として得た(収率96%)。
【0099】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)について、以下の分析を行った。
固相
13C-NMR:
4mm CP/MAS probe,
13C,CP/TOSS法, 接触時間4ms, 回転数8kHz,
外部基準試料 adamantane (29.472 ppm)
δ172.4, 168.4, 144.4, 144.4, 142.5, 140.1, 134.2, 129.8, 127.9, 25.8 ppm
FT-IR:
図1は結晶(8)のFT-IRのチャートである。
粉末X線回折:
<粉末X線回折の分析条件>
X線:Cu−Kα
電圧:40kV
電流:15mA
ステップ幅:0.020deg
スキャン範囲:2θ=3〜40deg
図2は結晶(8)の粉末X線回折のチャートである。かかる粉末X線回折のチャートから読みとれる粉末X線回折のピーク値は以下のとおりである。
2θ= 12.56, 15.03, 16.06, 17.58, 18.29, 19.21, 21.55, 22.99, 24.50, 26.43, 27.04, 28.08, 30.33, 32.48, 34.69, 35.87, 36.44, 38.43
【0100】
実施例1−2:結晶(8)の製造(その2)
シトラコン酸(130.1mg,1.00mmol)、ピリジン(80.6μL,1.00mmol)及びメタノール(2mL)を順次、ねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加し、該反応混合物を混合して溶解させた。次に、該反応混合物の入ったねじ口瓶の口をガーゼで覆って、稼働させたドラフトチャンバー内に64時間、20℃から25℃にて静置させ、メタノールを蒸発させることで、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)を白色固体(197.2mg)として得た(収率94%)。
【0101】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)について、以下の分析を行った。
粉末X線回折:
<粉末X線回折の分析条件>は、実施例1−1に記載の条件と同様である。結晶(8)の粉末X線回折のピーク値を以下に示す。
2θ= 12.56, 15.04, 16.08, 17.58, 18.33, 19.14, 21.55, 23.01, 24.43, 26.42, 27.03, 28.07, 30.40, 32.48, 34.70, 35.88, 36.44, 38.42
【0102】
単結晶X線構造解析:
Bruker 社製の単結晶X線回折計SMART APEX II ULTRAを使用して、Cu-Kα線(波長:1.54178 Å)で、-50℃に冷却して測定した。X線回折データの積分処理はSAINT ソフトウェアを使用し、空間群決定及び結晶構造解析はSHELXTL-97 プログラムを用いて、上記白色固体である結晶(8)の単結晶X線構造解析を行った。表5に、結晶(8)の結晶データ及び構造精密化を示す。
<単結晶X線構造解析の分析条件>
X線:Cu−Kα
電圧:50kV
電流:24mA
測定温度:−50℃
【0103】
<結晶(8)の結晶データ及び構造精密化>
【0104】
結晶(8)の単結晶X線構造解析結果を基に、
図3には、シトラコン酸のアニオンとピリジニウムとのパッキング構造をシリンダーモデルで単位格子とともに示した。
図3において、炭素原子は黒色、水素原子は白色、窒素原子及び酸素原子は図中に元素記号で表し、図中の2本の点線は、最も近接する二重結合どうしを示す。
更に、結晶(8)の単結晶X線構造解析結果を基に、
図4には、結晶(8)中のシトラコン酸のアニオンどうしの配置のみをオルテップ図として示した。
【0105】
上記の単結晶X線構造解析の結果より、結晶(8)は、モル比が1:1のシトラコン酸のアニオンとピリジニウムとの2種類のみの構成要素から成る結晶であった。
更に、
図4の結果より、結晶(8)の結晶構造においては、最も近接する二重結合は相互に平行に位置しており、下記の式(8A)で示す平行な二重結合間の距離L1は、4.12Åであった。
【0106】
【化10】
【0107】
実施例1−3:結晶(8)の製造(その3)
反応容器にヘプタン(28mL)及びピリジン(1.87mL,23.25mmol)を添加し、得られる溶液を20℃から25℃に保った。次に、該溶液に酢酸エチル(28mL)に溶解させたシトラコン酸(2.75g,21.14mmol)を10分かけて滴下し、20℃から25℃にて20分撹拌し、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)のスラリーを調製した。撹拌を停止させた後、ろ過した固体を、ヘプタン(15mL)と酢酸エチル(15mL)との混合溶媒で洗浄し、続いて、ヘキサン(30mL)で洗浄し、真空乾燥した。これにより、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)を白色固体(4.14g)として得た(収率94%)。
【0108】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)について、以下の分析を行った。
粉末X線回折:
<粉末X線回折の分析条件>は、実施例1−1に記載の条件と同様である。結晶(8)の粉末X線回折のピーク値を以下に示す。
2θ= 12.61, 15.08, 16.11, 17.64, 18.39, 19.26, 21.61, 23.05, 24.57, 26.51, 27.12, 28.15, 30.43, 32.53, 34.74, 35.94, 36.50, 38.44
【0109】
上記の粉末X線回折の結果より、実施例1−1〜1−3で得られた結晶は同一のものとみなせる。また、上記の式(8)は、ピリジンとシトラコン酸から構成されるところのピリジン・シトラコン酸(1:1)の結晶を表す。
【0110】
実施例2−1:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その1)
【0111】
【化11】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(100.0mg,0.478mmol)をガラス製シャーレに広げて載せ、シャーレの蓋をした。該シャーレを25℃に設定したクールプレートの上に置いて、100Wの高圧水銀ランプで50時間、光を照射して環化反応を行った。シャーレと光源との距離は1cmとした。反応を停止させた後、淡黄色固体(80.2mg)として反応混合物を回収した。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の収率は83%、転化率は94%、選択性は>99%であった。収率は標準品にマレイン酸を用いた定量
1H-NMRにて決定した。又、転化率及び選択性は、GC分析における目的化合物、不要なジアステレオマー、原料に由来するピークの相対面積比から算出した。
【0112】
上記環化反応における転化率及び選択性を求めるためのGCサンプルの調製についての概要を(式A)に示す。
【0113】
【化12】
【0114】
転化率及び選択性を求めるため、結晶(8)を用いる光環化反応後に反応混合物の一部を採取し、後記するGCサンプル調製法Bを行い、目的化合物(13a)及び該ジアステレオマーから、化合物(14a)及び該ジアステレオマーへと誘導した後、GC分析及びGC−HRMS分析を行った。
次に目的化合物(13a)のジアステレオマーに相当する副生成物をGC分析で追跡するため、結晶(8)を用いる光環化反応とは異なる方法で、シトラコン酸無水物(11)を出発物質にした溶液中の光環化反応を工程(z)として行うことで、化合物(12a)及び該ジアステレオマーを合成した。後記するGCサンプル調製法Aを行い、化合物(12a)及び該ジアステレオマーに対して、加水分解反応、続いてメチルエステル化反応を行うことで、目的化合物(13a)及び該ジアステレオマーを経由して、化合物(14a)及び該ジアステレオマーへと誘導した後、GC分析及びGC−HRMS分析を行った。なお、シトラコン酸無水物の溶液中での光を照射する環化反応についての詳細は、参考例にて後記する。
【0115】
GC分析条件及びGC−HRMS分析条件を記載する。
<GC分析条件>
カラム:TC−5(0.53mm×30m、膜厚1.5μm)
キャリアガス:ヘリウム
流量:3.3mL/min(定流量)
スプリット比:1/10、試料注入量:3μL
カラム温度:80℃(2分保持),昇温速度:10℃/分,250℃(11分保持)
注入口温度:280℃
検出器温度:280℃
【0116】
<GC−HRMS分析条件>
カラム:DB−5(0.25mm×30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム
流量:1mL/min(定流量)
スプリット比:1/50、試料注入量:0.2μL
カラム温度:80℃(3分保持),昇温速度:25℃/分,250℃(7.2分保持)
注入口温度:280℃
イオン化法:EI,CI+
【0117】
GCサンプル調製法、及び分析結果を記載する。
<GCサンプル調製法A>
該調製法は(式A)に記載した調製工程I、続く調製工程IIである。光を照射する環化反応後、溶媒留去した反応混合物(20mg)をねじ口瓶に採取して、メタノール(3mL)及び0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を添加した後、該溶液を20℃から25℃にて20分間、撹拌した。この反応混合物(1mL)をスクリュー管に一部抜き取り、トルエン(0.2mL)を添加した後、ヘキサン溶液のトリメチルシリルジアゾメタン(0.2mL,約0.6mol/L,東京化成工業社製の市販品)を添加して、20℃から25℃にて20分間、撹拌した。この反応混合物の有機層(0.4mL)を一部抜き取り、メタノール(1mL)で希釈した溶液をGC分析サンプルとした。
【0118】
(式A)に示すように、化合物(12a)はGCサンプル調製法Aにて化合物(14a)に誘導される。その分析結果を記載する。
GC分析: 保持時間=18.62分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
16H
25O
8 [M+C
2H
5]
+:345.1549, found 345.1577
化合物(12a)のジアステレオマーは、化合物(12b)、化合物(12c)又は化合物(12d)の一つであり、GCサンプル調製法Aにて化合物(14b)、化合物(14c)又は化合物(14d)の一つに誘導される。その分析結果を記載する。
GC分析: 保持時間=18.97分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
16H
25O
8 [M+C
2H
5]
+:345.1549, found 345.1561
GC−HRMSによる質量数の結果より、化合物(14a)と同一の分子量であるが、GCの保持時間が異なる該ジアステレオマーを確認できた。
【0119】
<GCサンプル調製法B>
該調製法は(式A)に記載した調製工程IIである。光を照射する環化反応を行った後、ろ過操作等で取り出した反応混合物(25mg)を採取して、メタノール(0.5mL)及びトルエン(0.5mL)を添加して溶液を調製した。次に、その溶液にヘキサン溶液のトリメチルシリルジアゾメタン(0.8mL,約0.6mol/L,東京化成工業社製の市販品)を添加して、20℃から25℃にて20分撹拌した。この反応混合物(0.12mL)を一部抜き取り、メタノール(1.5mL)で希釈した溶液をGC分析サンプルとした。
【0120】
化合物(13a)はGCサンプル調製法Bにて化合物(14a)に誘導される。その分析結果を記載する。
GC分析: 保持時間=18.62分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
16H
25O
8 [M+C
2H
5]
+:345.1549, found 345.1542
【0121】
未反応のシトラコン酸はGCサンプル調製法Bにて、(Z)−2−メチル−2−ブテン二酸ジメチルに誘導される。その分析結果を記載する。
GC分析: 保持時間=9.68分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
9H
15O
4 [M+C
2H
5]
+:187.0970, found 187.0972
転化率は、GC分析結果を基にした、(Z)−2−メチル−2−ブテン二酸ジメチル、化合物(14a)及び該ジアステレオマーの相対面積比より算出した。
選択性は、GC分析結果を基にした、化合物(14a)及び該ジアステレオマーの相対面積比より算出した。
【0122】
実施例2−2:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その2)
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(5.00g,23.90mmol)及び溶媒としてヘキサン(100mL)をマグネチックスターラーで撹拌できる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)に添加し、光源を内部の中央に設置した。反応温度を20℃から25℃にしてスラリーを撹拌し、100Wの高圧水銀ランプで20時間、光を照射する環化反応を行った。反応を停止させた後、ろ過して、白色固体の反応混合物(4.33g)を回収した。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の収率は94%、転化率は95%、選択性は>99%であった。収率は、標準品にマレイン酸を用いた定量
1H-NMRにて決定した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析し、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0123】
実施例2−3:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その3)
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(25.00g,119.50mmol)、ヘプタン(200mL)及び酢酸n−ブチル(200mL)をマグネチックスターラーで撹拌できる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)に添加し、光源を内部の中央に設置した。反応温度を20℃から25℃にしてスラリーを撹拌し、400Wの高圧水銀ランプで12時間、光を照射する環化反応を行った。反応を停止させた後、ろ過して、白色固体の反応混合物(19.64g)を回収した。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の収率は93%、転化率は95%、選択性は>99%であった。収率は該反応混合物の収量と
1H-NMRにて算出した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析し、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0124】
上記の光反応後に得られた白色固体の反応混合物の単離精製を行った。精製については、該反応混合物から10.00gを抜き出して、メタノール(70mL)に溶解させて、ろ過した後、溶媒を留去した。次に、酢酸(45mL)に溶解させた後、該溶液を60℃にて2時間30分撹拌した後、20℃から25℃へ冷却し、ろ過した。その後、得られた固体に含まれる溶媒を留去し、真空ポンプを用いて真空乾燥して、目的化合物(6.12g)を白色固体で得た。
1H-NMRにより算出した収率は83%であった。
この得られた目的化合物の一部を採取し、70℃に加熱したアセトニトリルに飽和溶解させた溶液を調製した。次に、該溶液を20℃から25℃に冷却し、静置して再結晶化し、得られた単結晶の単結晶X線構造解析を行った。
【0125】
化合物(13a)の分析
1H NMR(DMSO-d
6):
δ12.46(br), 3.30(s,2H), 1.42(s,6H) ppm
13C-NMR (DMSO-d
6):
δ175.9, 175.9, 171.5, 171.5, 51.7, 51.7, 44.2, 44.2, 20.7, 20.7 ppm
単結晶X線構造解析:
化合物(13a)の単結晶X線構造解析結果を基に、
図5には、化合物(13a)の分子構造をオルテップ図で示した。
【0126】
実施例2−4:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その4)
マグネチックスターラーで撹拌できる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)に、酢酸エチル(110mL)及びピリジン(7.49mL,93.01mmol)を添加し、5℃に冷却した。次に、酢酸エチル(110mL)に溶解させたシトラコン酸(11.00g,84.55mmol)を、該反応混合物に30分かけて滴下した。その後、該反応混合物を5℃にて20分撹拌して、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)のスラリーを調製した。該反応容器に100Wの高圧水銀ランプを挿入し、5℃にて、撹拌しながら22時間、光を照射する環化反応を行った。その後、桐山漏斗にて固体をろ取し、酢酸エチル(30mL)にて洗浄し、真空乾燥して、白色固体の反応混合物(12.82g)を得た。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の収率は93%、転化率は95%、選択性は>99%であった。収率は該反応混合物の収量と
1H-NMRにて算出した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0127】
実施例3−1:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(200.0mg,0.956mmol)及び溶媒として酢酸エチル(4mL)を、ねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加してスラリーを調製した。その後、マグネチックスターラーで撹拌できるようにして、光源をねじ口瓶の外部に設置した。ねじ口瓶と光源との距離は4.5cmとした。100Wの高圧水銀ランプで20時間、光を照射する環化反応を、20℃から25℃にて行った。反応を停止させた後、ろ過して、白色固体の反応混合物(116.0mg)を得た。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の収率は69%、転化率は97%、選択性は>99%であった。収率は該反応混合物の収量と
1H-NMRにて算出した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0128】
溶媒の酢酸エチルを、表6に記載の溶媒に変更した以外は、実施例3−1に記載の反応と同様の条件で反応を実施した。使用した溶媒、転化率、選択性、収率及び回収時の外観についての実験結果を、実施例3−2〜3−8として、表6に示す。
表6において、AcOn-Buは酢酸n−ブチルを表し、hexane/AcOn-Bu(v/v=1/1)は、ヘキサン(2mL)と酢酸n−ブチル(2mL)の混合溶媒を表し、heptane/AcOn-Bu(v/v=1/1)は、ヘプタン(2mL)と酢酸n−ブチル(2mL)の混合溶媒を表す。
【0129】
〔表6〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――
溶媒 転化率 選択性 収率
実施例 (%) (%) (%) 外観
――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−2 toluene 83 >99 72 yellow solid
3−3 hexane 84 >99 82 white solid
3−4 heptane 88 >99 87 white solid
3−5 diethyl ether 98 >99 84 white solid
3−6 AcOn-Bu 95 >99 79 white solid
3−7 hexane/AcOn-Bu(v/v=1/1) 91 >99 83 white solid
3−8 heptane/AcOn-Bu(v/v=1/1) 91 >99 83 white solid
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0130】
実施例4:(3aR,3bR,6aS,6bS)−3a,6a−ジメチルシクロブタ[1,2−c:3,4−c’]ジフラン−1,3,4,6(3aH,3bH,6aH,6bH)−テトラオン(12a)の製造
【0131】
【化13】
【0132】
[工程(a)及び工程(b)の連続化]
工程(a)として、ピリジン(60mL)、次いでシトラコン酸(15.55g,119.52mmol)の順番で、マグネチックスターラーで撹拌できる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)に添加し、20℃から25℃にて10分間撹拌した。攪拌終了後、溶媒としてヘプタン(175mL)及び酢酸n−ブチル(175mL)を添加し、30分間撹拌し、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)のスラリーを調製した。次に、光源を該反応容器の内部の中央に設置し、工程(b)として、工程(a)で得られた結晶(8)のスラリーを、20℃から25℃にて、400Wの高圧水銀ランプで8時間光を照射しつつ攪拌した。光の照射を止めることにより反応を停止した後、得られたスラリーをろ過して、白色固体の反応混合物を得た。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の転化率は97%、選択性は>99%であった。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
光反応後に得られた粗物の化合物(13a)の精製を行うため、該反応混合物をテトラヒドロフラン(250mL)に溶解させ、ろ過した後、溶媒を留去した。次に、酢酸(40mL)及び酢酸n−ブチル(40mL)の混合溶媒を用いて懸濁洗浄を行い、再びろ過した。その後、真空ポンプを用いて真空乾燥して、精製した化合物(13a)を得た。
【0133】
[工程(c)]
上記の精製後の化合物(13a)、トルエン(60mL)及び無水酢酸(31.8mL,336.4mmol)を反応容器に添加し、100℃にて3時間撹拌した。攪拌終了後、反応容器を20℃から25℃に冷却することにより、反応を停止した。得られた反応混合物をろ過した後、得られた固体をエーテル溶媒を用いて洗浄し、真空ポンプを用いて真空乾燥して、目的化合物(12a)(11.36g)を白色固体で得た。
1H-NMRにより算出した、出発原料のシトラコン酸からの通算収率は85%であった。この得られた目的化合物の一部を採取して、単結晶X線構造解析を行った。
【0134】
化合物(12a)の分析結果は以下のとおりである。
1H NMR(DMSO-d
6):
δ3.88(s,2H), 1.38(s,6H) ppm
13C-NMR (DMSO-d
6):
δ173.5, 173.5, 168.1, 168.1, 49.0, 49.0, 44.1, 44.1, 15.7, 15.7 ppm
単結晶X線構造解析:
化合物(12a)の単結晶X線構造解析結果を基に、
図6には、化合物(12a)の分子構造をオルテップ図で示した。
【0135】
実施例5:光増感剤を用いた(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造
【0136】
【化14】
【0137】
光増感剤としてベンゾフェノン(21.78mg,0.12mmol)及び溶媒としてヘプタン(10mL)をねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加した。ベンゾフェノンの溶解を確認した後、ねじ口瓶にピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(500.0mg,2.39mmol)を添加してスラリーを調製した。調製終了後、マグネチックスターラーで撹拌できるようにして、光源をねじ口瓶の外部に設置した。ねじ口瓶と光源との距離は4.5cmとした。100Wの高圧水銀ランプで5時間30分、光を照射する環化反応を20℃から25℃にて行った。光の照射を止めることにより反応を停止させた後、得られたスラリーをろ過して、白色固体の反応混合物(471.9mg)を得た。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の転化率は34%、選択性は>99%であった。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0138】
実施例6:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造
【0139】
【化15】
【0140】
工程(a)
メサコン酸(6M)(130.1mg,1.00mmol)、メタノール(2mL)及びニコチンアミド(9)(122.1mg,1.00mmol)を順次、ねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加し、該反応混合物を混合して溶解させた。次に、該反応混合物の入ったねじ口瓶の口をガーゼで覆って、稼働させたドラフトチャンバー内に64時間、20℃から25℃にて静置させ、メタノールを蒸発させることで、ニコチンアミドとメサコン酸から構成される結晶(10)を白色固体として得た。上記の式(10)は、ニコチンアミドとメサコン酸から構成されるところのニコチンアミド・メサコン酸の結晶を表す。
【0141】
工程(b)
ニコチンアミドとメサコン酸から構成される結晶(10)(100.0mg,0.396mmol)をガラス製シャーレに広げて載せた。シャーレの蓋をして、25℃に設定したクールプレートの上に置き、シャーレと光源との距離を3cmに設定した後、100Wの高圧水銀ランプで20時間光を照射した。光の照射を止めることで反応を停止させた後、白色固体として反応混合物を回収した。該反応混合物の分析により、目的化合物(13a)の転化率は23%、選択性は>99%であった。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。原料にメサコン酸を用いており、GCサンプル調製では、未反応のメサコン酸は(E)−2−メチル−2−ブテン二酸ジメチルに誘導される。よって、(E)−2−メチル−2−ブテン二酸ジメチルのピークを原料由来のピークとして扱った。
【0142】
実施例7−1:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その1)
【化16】
【0143】
[工程(a)及び工程(b)の連続化]
撹拌装置としてマグネチックスターラーを用いる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)を使用した。該装置の反応容器に、炭酸ジメチル(110mL)、次いでピリジン(7.49mL,93.01mmol)の順番で添加し、10℃に冷却した。冷却終了後、該反応溶液に、炭酸ジメチル(110mL)に溶解させたシトラコン酸(11.00g,84.55mmol)を、30分かけて滴下した。滴下終了後、該反応混合物を10℃にて20分撹拌した。撹拌終了後、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)のスラリーを得た。得られた結晶(8)は単離・精製を行わずに、そのまま次工程に使用した。該スラリーを10℃にて撹拌し、100Wの高圧水銀ランプで17時間、光を照射した。反応終了後、反応混合物中の固体を漏斗にてろ別した後、炭酸ジメチル(30mL)にて洗浄した。得られた固体を真空乾燥することにより、目的物14.23gを白色固体として得た。該白色固体の分析により、目的化合物(13a)の収率は88%、転化率は94%、選択性は>99%であった。収率は該反応混合物の収量と
1H-NMR分析により算出した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0144】
実施例7−2:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その2)
[工程(a)及び工程(b)の連続化]
撹拌装置としてマグネチックスターラーを用いる光化学反応実験装置(セン特殊光源社製)を使用した。該装置の反応容器に、酢酸エチル(110mL)及びピリジン(14.98mL,186.02mmol)を添加し、5℃に冷却した。冷却終了後、該反応溶液に酢酸エチル(110mL)に溶解させたシトラコン酸(22.00g,169.10mmol)を、30分かけて滴下した。滴下終了後、該反応混合物を5℃にて20分撹拌した。撹拌終了後、ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)のスラリーを得た。得られた結晶(8)は単離・精製を行わずに、そのまま次工程に使用した。該スラリーを5℃にて撹拌し、100Wの高圧水銀ランプで33時間光を照射した。光照射後の反応混合物中の水分量は、カールフィッシャー水分計(MKC−510、京都電子工業社製)にて測定した結果、1570ppmであった。反応終了後、反応混合物中の固体を漏斗にてろ別した後、酢酸エチル(40mL)にて洗浄した。得られた固体を真空乾燥することにより、目的物26.03gを白色固体として得た。該白色固体の分析により、目的化合物(13a)の収率は93%、転化率は94%、選択性は>99%であった。収率は該反応混合物の収量と
1H-NMR分析により算出した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0145】
実施例8−1:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その1)
【0146】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(100.0mg,0.478mmol)及び酢酸エチル(2mL)を、ねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加して、スラリーを調製した。調製終了後、該スラリーの入ったねじ口瓶を、光源との距離が5cmとなる様に設置した。設置終了後、光源としてキセノンランプ(主波長ピーク290nm、4.5W)を使用し、スラリーの温度が20℃から25℃を保つ様に、光を2時間照射した。なお、撹拌にはマグネチックスターラーを使用した。撹拌終了後の該スラリーのHPLC分析により、目的化合物(13a)の転化率は3%であった。
【0147】
<HPLC分析条件>
検出器:示差屈折率検出器
カラム:Develosil C30-UG5(内径4.6mm,長さ150mm,粒子径5μm)
溶離液:重量濃度0.2%トリフルオロ酢酸水溶液:アセトニトリル=95:5(体積比)
流速: 1.5mL/分、
カラム温度: 35℃
保持時間:3.06分〔目的生成物(13a)〕,3.39分〔シトラコン酸(6C)〕
【0148】
実施例8−2:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造(その2)
【0149】
ピリジンとシトラコン酸から構成される結晶(8)(300.0mg,1.434mmol)及び酢酸エチル(6mL)をねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加して、スラリーを調製した。調製終了後、該スラリーの入ったねじ口瓶を、光源との距離が5cmとなる様に設置した。設置終了後、光源としてキセノンランプ(主波長ピーク320nm、4.5W)を使用し、スラリーの温度が20℃から25℃を保つ様に、光を77時間照射した。なお、撹拌にはマグネチックスターラーを使用した。撹拌終了後の該スラリーのHPLC分析により(分析条件は実施例8−1と同様である。)、目的化合物(13a)の転化率は74%であった。
【0150】
実施例9:(1R,2R,3S,4S)−1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸(13a)の製造
【化17】
【0151】
工程(a)及び工程(b)を、フローリアクターを用いて行った。フローリアクターの概略図を
図7に示し、フローリアクター中の二重管構造をもつT字型ミキサー(ミキサー2)の断面図を
図8に示した。フローリアクターには、内径2mm、外径3mm、及び長さ10mのFEPチューブ(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から成るフッ素樹脂製のチューブ)を光源のランプジャケットに巻き付けた装置を使用し、該装置を超音波洗浄機に設置した。
【0152】
工程(a):
濃度が0.34mol/Lのシトラコン酸(437.9mg,3.366mmol)の酢酸エチル溶液を調製した。また、濃度が0.34mol/Lのピリジン(266.3mg,3.366mmol)の酢酸エチル溶液を調製した。シトラコン酸の酢酸エチル溶液及びピリジンの酢酸エチル溶液を、各々シリンジポンプを用いて0.9mL/minで送液し、ミキサー1(
図7中の21)にて混合した。その後、ミキサー2(
図7中の32)にて窒素ガスと混合し、結晶(8)のスラリーと窒素ガスによるスラグ流(スラリーと窒素ガスとが交互に並んだ流れ)を形成させた。なお、ミキサー2は管の閉塞を回避するため、
図8に示す二重管構造を有し、50℃にした恒温槽に設置した。
工程(b):
450Wの高圧水銀ランプによる光照射下、更に超音波の照射下で環化反応を行った。スラグ流が、光と超音波の照射部分を11分で通過するようにマスフローコントローラーで調整し、反応を行った。回収した流出液のHPLC分析により、目的化合物(13a)の転化率は34%であった。
【0153】
参考例1
前記の非特許文献2に準じて、シトラコン酸無水物(11)の溶液中での光を照射する環化反応を行った。
【0154】
【化18】
【0155】
シトラコン酸無水物(11)(1.38g,12.31mmol)、溶媒として1,4−ジオキサン(10mL)及び光増感剤としてベンゾフェノン(93.0mg,0.51mmol)をねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加し、マグネチックスターラーで撹拌できるようにして、光源をねじ口瓶の外部に設置した。ねじ口瓶と光源との距離は4.5cmとした。100Wの高圧水銀ランプで18時間、光を照射する環化反応を、20℃から25℃にて行った。反応を停止させた後、反応混合物の分析により、目的化合物(12a)の転化率は68%、選択性は50%であった。転化率及び選択性はGC分析における各種ピークの相対面積比から算出した。原料にシトラコン酸無水物を用いており、GC分析では、シトラコン酸無水物のピークは原料のピークとして扱った。
GC分析及びGC−HRMS分析用のサンプルの調製方法と分析結果について、以下に記載する。懸濁した反応混合物より、懸濁液(100μL)をサンプリングし、ジメチルスルホキシド(1.5mL)で希釈して分析サンプルとした。
【0156】
目的化合物(12a)の分析結果は、以下のとおりである。
GC分析: 保持時間=15.60分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
10H
9O
6 [M+H]
+:225.0399, found 225.0386
目的化合物(12a)のジアステレオマーの分析結果は、以下のとおりである。
GC分析: 保持時間=15.81分
GC-HRMS分析: m/z calcd for C
10H
9O
6 [M+H]
+:225.0399, found 225.0403
GC−HRMSによる質量数の結果より、化合物(12a)と同一の分子量であるが、GCの保持時間が異なる該ジアステレオマーを確認できた。しかしながら、化合物(12a)のジアステレオマーの立体構造の決定はできなかった。目的化合物(12a)のジアステレオマーは、化合物(12b)、化合物(12c)又は化合物(12d)のうちの一つであると推定した。
【0157】
参考例2
前記の特許文献2に記載の方法に準じて、シトラコン酸無水物(11)の溶液中での光を照射する環化反応を行った。
【0158】
【化19】
【0159】
シトラコン酸無水物(11)(1.42g,12.67mmol)及び溶媒として酢酸エチル(10mL)をねじ口瓶(マルエム社製のスクリュー管)に添加し、マグネチックスターラーで撹拌できるようにして、光源をねじ口瓶の外部に設置した。光増感剤の添加は行わず、ねじ口瓶と光源との距離は4.5cmとした。100Wの高圧水銀ランプで60時間、光を照射する環化反応を、20℃から25℃にて行った。反応を停止させた後、反応混合物の溶媒を留去して、真空ポンプを用いて真空乾燥して、白色固体の反応混合物(1.36g)を得た。該反応混合物の分析により、目的化合物(12a)の転化率は88%、選択性は41%であった。GCサンプルの調製法は、前記のGCサンプル調製法Aを使用した。転化率及び選択性は、実施例2−1に記載の方法に準じて分析して、GC分析の各種ピークの相対面積比から算出した。
【0160】
前記の特許文献2及び非特許文献2では、光を照射する環化反応の直後、即ち、精製操作を行う前の目的化合物と不要なジアステレオマーとの選択性についての記載がなかった。上記の参考例の結果より、目的化合物である1,3−ジメチルシクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物に対して、不要なジアステレオマーが1倍から1.4倍程度で生成していることが確認された。よって、従来の製造法では、この低い選択性のため、煩雑な精製操作が必要となり、生産効率の面で悪影響を及ぼしていたと推察される。