【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
以下の各実施例及び比較例で得られた触媒成分であるアルキルメタロキサン化合物の分析は以下の手段によって実施した。
(1)核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定
NMRスペクトルは、Varian NMR System 600により、重ジメチルスルホキシド溶媒を用い、テトラメチルシラン(TMS)を基準として測定した。
(2)赤外吸収(IR)スペクトル測定
赤外分光法によるIRスペクトルの測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製Nicolet iS5 FT−IRで行った。
(3)ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)の含有量分析
アルキルメタロキサン化合物中のGa及びAlの含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により決定した。具体的には、アルキルメタロキサン化合物を塩酸で加水分解後に、GaとAlのそれぞれ標準試料を使用してSIIナノテク社製のICP発光分光分析装置(SPS3100)を用いて室温で測定した。
(4)炭素(C)及び水素(H)の含有量分析
元素分析装置(Perkin Elmer社製「2400II」)を用いて、CH元素分析を行い、炭素原子と水素原子の含有量を算出した。
【0053】
また以下の各実施例及び比較例で得られたポリオレフィン(重合体)の分析は以下の手段によって実施した。
(1)NMR測定
NMRスペクトルは、Varian NMR System 600により、重クロロホルムまたは重1,1,2,2−テトラクロロエタンを用い、TMSを基準として測定した。ピーク面積の定量を行う
13C−NMRスペクトル測定は、NOEを消去するプロトンゲーテッドデカップリングにより行った。重合体中のスチレン含量は、
1H−NMR測定によりTMSを基準としてフェニル基由来のピーク(6.0から7.5ppm)とアルキル基由来のプロトンピーク(0.5から3ppm)の強度比較で行った。なお、NMRスペクトルの帰属は、Macromolecules,vol.13,849−852(1980)及び特開平9−309925号公報の帰属を参考に行った。
(2)分子量測定
実施例中の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。具体的にはo―ジクロロベンゼンを溶媒として、東ソー社製HLC−8321GPC/HTを用いて測定した。
【0054】
(実施例1)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分A)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を6mL(トリメチルガリウムとして26mmol含む)及び脱水トルエンを16mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.5g(28mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で17時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)26mL(トリメチルアルミニウムとして26mmol含む)をゆっくりと2時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに2時間撹拌を続けた。60℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を2.3g得た。収率は、アルミニウム換算で103%であった。
【0055】
得られたアルキルメタロキサン化合物について赤外線吸収(IR)スペクトルを測定した。主要なピークを下記に示す。また、得られたアルキルメタロキサン化合物の元素分析値(重量%)を下記に示す。
IR:2954cm
−1、1207cm
−1、1018cm
−1、651cm
−1
元素分析値 C:23.9%、H:6.36%、Ga:9.6%、Al:32.2%
【0056】
次に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、上記で得られたアルキルメタロキサン化合物を加え、脱水トルエン85mL中、室温(25℃)で30分間撹拌した後、グラスフィルターG4でろ過した。得られたろ液について、ICP発光分光分析法によりGaとAl含量を分析したところ、いずれも検出されなかった。これによりアルキルメタロキサン化合物のトルエンに対する溶解度が低いことを確認した。
【0057】
(実施例2)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分B)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を10mL(トリメチルガリウムとして43mmol含む)及び脱水トルエンを30mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.77g(43mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で16時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)44mL(トリメチルアルミニウムとして43mmol含む)をゆっくりと4時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに1時間撹拌を続けた。60℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を3.7g得た。収率は、Al換算で109%であった。
【0058】
得られたアルキルメタロキサン化合物の赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2945cm
−1、1209cm
−1、655cm
−1
元素分析値 C:26.4%、H:6.13%、Ga:6.4%、Al:34.4%
【0059】
(実施例3)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分C)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を12mL(トリメチルガリウムとして52mmol含む)及び脱水トルエンを36mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.95g(53mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で15時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)62mL(トリメチルアルミニウムとして62mmol含む)をゆっくりと4.5時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに30分撹拌を続けた。60℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を4.2g得た。収率は、Al換算で77%であった。
【0060】
得られたアルキルメタロキサン化合物の赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2946cm
−1、1209cm
−1、1002cm
−1、648cm
−1
元素分析値 C:28.3%、H:7.48%、Ga:0.4%、Al:30.4%
【0061】
(実施例4)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分D)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を7mL(トリメチルガリウムとして30mmol含む)及び脱水トルエンを21mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.55g(31mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で16時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)35mL(トリメチルアルミニウムとして36mmol含む)をゆっくりと2時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに2時間撹拌を続けた。60℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を2.8g得た。収率は、Al換算で90%であった。
【0062】
得られたアルキルメタロキサン化合物の赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2942cm
−1、1211cm
−1、996cm
−1、641cm
−1
元素分析値 C:31.5%、H:7.37%、Ga:1.4%、Al:31.8%
【0063】
(実施例5)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分E)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を12mL(トリメチルガリウムとして52mmol含む)及び脱水トルエンを36mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.94g(52mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で15時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)51mL(トリメチルアルミニウムとして51mmol含む)をゆっくりと5時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに1時間撹拌を続けた。60℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を4.2g得た。収率は、Al換算で68%であった。
【0064】
得られたアルキルメタロキサン化合物の赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2941cm
−1、1211cm
−1、1066cm
−1、648cm
−1
元素分析値 C:27.8%、H:7.15%、Ga:2.0%、Al:27.4%
【0065】
NMR測定を行ったところ、メチル基に帰属できるピークが
1H−NMRで−0.62ppmに、
13C−NMRで−3.26ppmにそれぞれシングルピークで観測された。また、
1H−NMRで−0.65ppmから−1.3ppmの範囲にメチルアルミノキサン(MAO)ユニットのメチル基と思われるブロードなピークが観測された。
【0066】
(実施例6)
アルキルメタロキサン化合物(触媒成分F)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を8mL(トリメチルガリウムとして34.4mmol含む)及び脱水トルエンを24mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.634g(35.2mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で17時間撹拌を続けた。その後、0℃に昇温してトリメチルアルミニウムのトルエン溶液(シグマアルドリッチ社製)34mL(トリメチルアルミニウムとして34.0mmol含む)をゆっくりと2時間かけて滴下し、0℃を維持したままさらに2時間撹拌を続けた。50℃に昇温して2時間反応させた後、0℃に冷却して一晩窒素で脱気した脱酸素水0.319g(17.7mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整してさらに滴下し、室温下で16時間撹拌を続けた。減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を4.8g得た。収率は、Al換算で116%であった。
【0067】
得られたアルキルメタロキサン化合物の赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2956cm
−1、1210cm
−1、724cm
−1、667cm
−1、585cm
−1、536cm
−1
元素分析値 C:25.5%、H:5.64%、Ga:25.5%、Al:21.9%
【0068】
(比較例1)
メチルガロキサン(触媒成分G;MGO)の合成
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLの4つ口フラスコに、トリメチルガリウムのトルエン溶液を12mL(トリメチルガリウムとして50mmol含む)及び脱水トルエンを30mL加え、−5℃に冷却して撹拌した。次いで、一晩窒素で脱気した脱酸素水0.92g(51mmol)をシリンジポンプで吐出量を2.5μL/分に調整して滴下し、−5℃のまま窒素雰囲気下で15時間撹拌を続けた。80℃に昇温して10時間反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去して白色の粉末を5.4g得た。得られた粉末をさらに180℃に昇温して10時間反応させて白色の粉末を5.2g得た。
【0069】
得られたメチルガロキサンの赤外線吸収(IR)スペクトルの主要ピークと、元素分析値を下記に示す。
IR:2978cm
−1、1261cm
−1、1220cm
−1、720cm
−1、693cm
−1、582cm
−1
元素分析値 C:12.4%、H:3.49%、Ga:66.9%
【0070】
上記で得られたアルキルメタロキサン化合物について、Ga及びAlの含有率(重量%)と、GaのAlに対する含有モル比を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
(実施例11)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Dを0.508g(GaとAlの総モルは6.09mmol)、脱水トルエンを148mL、二塩化チタノセンのトルエン溶液を1.9mL(二塩化チタノセンとして0.61μmol含む)加えた。70℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら15分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.372gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表2に示す。
【0073】
(実施例12)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Bを0.198g(GaとAlの総モルは2.71mmol)、脱水トルエンを149mL、二塩化チタノセンのトルエン溶液を0.84mL(二塩化チタノセンとして0.27μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら16分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.08gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表2に示す。
【0074】
(比較例11)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、メチルアルミノキサン(MAO:東ソー・ファインケム社製、TMAO−212)をAl原子基準で6.07mmol、脱水トルエンを143mL、二塩化チタノセンのトルエン溶液を1.90mL(二塩化チタノセンとして0.61μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら15分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.309gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表2に示す。
【0075】
(比較例12)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLのオートクレーブに、触媒成分GをGa原子基準で1.79mmol、脱水トルエンを47mL、二塩化チタノセンのトルエン溶液を3.20mL(二塩化チタノセンとして0.184μmol含む)加えた。70℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入してオートクレーブ内を置換し、ゲージ圧で圧力0.07MPaに加圧した。圧力0.07MPaを維持しながら70℃で30分反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に反応液を投入したが、ポリマーは得られなかった。
【0076】
【表2】
【0077】
表2の結果から、主触媒として一般的なメタロセン化合物を用いる場合でも、助触媒としてアルキルアルミノキサン構造単位とアルキルガロキサン構造単位を含むアルキルメタロキサン化合物を用いることで、助触媒として通常用いられるメチルアルミノキサン(MAO)を用いる場合に比べて、分子量分布の広い重合体が得られることが分かる。またメチルガロキサン(触媒成分G)自体には助触媒活性がないことが分かる。
【0078】
(実施例13)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Cを0.239g(GaとAlの総モルは2.71mmol)、脱水トルエンを141mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を9.0mL(二塩化ジルコノセンとして0.268μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら12分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.356gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表3に示す。
【0079】
(実施例14)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Aを0.204g(GaとAlの総モルは2.72mmol)、脱水トルエンを141mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を9.00mL(二塩化ジルコノセンとして0.268μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら15分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.068gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表3に示す。
【0080】
(実施例15)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Fを0.236g(GaとAlの総モルは2.77mmol)、脱水トルエンを140mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を10.0mL(二塩化ジルコノセンとして0.274μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら30分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.006gのポリマーを得た。
【0081】
(比較例13)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、メチルアルミノキサン(MAO:東ソー・ファインケム社製、TMAO−212)をAl原子基準で5.95mmol、脱水トルエンを143mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を2.00mL(二塩化チタノセンとして0.595μmol含む)加えた。50℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入して常圧を保ちながら12分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.758gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表3に示す。
【0082】
(比較例14)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLのオートクレーブに、触媒成分GをGa原子基準で1.79mmol、脱水トルエンを43mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を7.00mL(二塩化ジルコノセンとして0.186μmol含む)加えた。70℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入してオートクレーブ内を置換し、ゲージ圧で圧力0.07MPaに加圧した。圧力0.07MPaを維持しながら70℃で30分反応を行った後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入したが、ポリマーは得られなかった。
【0083】
(比較例15)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLのオートクレーブに、メチルアルミノキサン(MAO:東ソー・ファインケム社製、TMAO−212)をAl原子基準で1.89mmol、脱水トルエンを88mL、二塩化ジルコノセンのトルエン溶液を7.00mL(二塩化ジルコノセンとして0.186μmol含む)加えた。70℃に昇温後、内温が安定した後にエチレンを導入してオートクレーブ内を置換し、ゲージ圧で圧力0.07MPaに加圧した。圧力0.07MPaを維持しながら70℃で10分重合反応を行った。その後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ1.01gのポリマーを得た。得られたポリマーについて、GPCを用いて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)とを測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
(実施例21)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分Bの0.199g(GaとAlの総モルは2.72mmol)と、脱水トルエン119mLと、スチレン30mLとを加えて70℃に昇温後、エチレンを導入して系内をパージした。内温が安定した後に二塩化チタノセンのトルエン溶液を0.84mL(二塩化チタノセンとして0.27μmol含む)加えた。常圧を保ちながらエチレンを導入して70℃で30分重合反応を行った後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.172gのポリマーを得た。得られた共重合ポリマーについて、NMR測定により、スチレン含量(St含量;mol%)とアイソタクティックダイアッド分率を算出した。結果を表4に示す。
【0086】
(実施例22)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した200mLのオートクレーブに、触媒成分Aの0.140g(GaとAlの総モルは1.86mmol)と、脱水トルエン32mLと、スチレン20mLとを加えて70℃に昇温した。内温が安定した後に二塩化チタノセンのトルエン溶液を8.0mL(二塩化チタノセンとして4.6μmol含む)加えた。直ちにエチレンを導入してオートクレーブ内を置換し、ゲージ圧で圧力0.2MPaに加圧した。圧力0.2MPaを維持しながら70℃で1時間重合反応を行った後、塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.107gのポリマーを得た。得られた共重合ポリマーについて、NMR測定により、スチレン含量(St含量;mol%)とアイソタクティックダイアッド分率を算出した。結果を表4に示す。
【0087】
(比較例21)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製、TMAO−212)をAl原子基準で2.75mmol、脱水トルエン112mL、スチレン30mLを加えて70℃に昇温後、エチレンを導入して系内をパージした。内温が安定した後に二塩化チタノセンのトルエン溶液を0.85mL(二塩化チタノセンとして0.27μmol含む)加えた。常圧を保ちながらエチレンを導入して70℃で30分重合反応を行った後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.068gのポリマーを得た。得られた共重合ポリマーについて、NMR測定により、スチレン含量(St含量;mol%)を算出した。結果を表4に示す。
【0088】
(比較例22)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分GをGa原子基準で2.67mmol、脱水トルエン119mL、スチレン30mLを加えて70℃に昇温後、エチレンを導入して系内をパージした。内温が安定した後に二塩化チタノセンのトルエン溶液を0.85mL(二塩化チタノセンとして0.27μmol含む)加えた。常圧を保ちながらエチレンを導入して70℃で30分重合反応を行った後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入したが、ポリマーは得られなかった。
【0089】
(比較例23)
温度計及び回転子を備え、減圧乾燥後に内部を窒素置換した300mLの4つ口フラスコに、触媒成分GをGa原子基準で173μmol、メチルアルミノキサン(MAO:東ソー・ファインケム社製、TMAO−212)をAl原子基準で2.50mmol加え(GaとAlの総モル数は2.67mmol)、GaとAlのモル比は触媒成分(B)と同じにした。脱水トルエン108mL、スチレン30mLを加えて70℃に昇温後、エチレンを導入して系内をパージした。内温が安定した後に二塩化チタノセンのトルエン溶液を4.70mL(二塩化チタノセンとして0.27μmol含む)加えた。常圧を保ちながらエチレンを導入して70℃で30分重合反応を行った後、直ちに塩酸とメタノールの混合液に重合液を投入し、生成したポリマーを析出させた。減圧下、40℃で乾燥したところ0.058gのポリマーを得た。得られた共重合ポリマーについて、NMR測定により、スチレン含量(St含量;mol%)を算出した。結果を表4に示す。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例21及び22では、立体規則性が高いエチレン−スチレン共重合体が得られた。
メチルアルミノキサンを助触媒として用いた比較例21及び23ではエチレン−スチレン共重合体が得られたが、得られた共重合体には立体規則性が認められなかった。助触媒としてメチルガロキサン(触媒成分G)を用いた比較例22では共重合体は得られなかった。助触媒としてメチルアルミノキサンとメチルガロキサン(触媒成分G)の混合物を用いた比較例23では共重合体が得られたが、比較例21及び22の結果からメチルアルミノキサンが助触媒として作用したと考えられる。