(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二蛍光体は、下記式(IIa)で表される組成を有する蛍光体及び下記式(IIb)で表される組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+ (IIa)
M22[M1−aMn4+aF6] (IIb)
(式中、M2は、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4+からなる群から選択される少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、aは0.01<a<0.20を満たす。)
前記カラーフィルターの緑色画素は、分光透過曲線における波長460nm以上640nmの範囲の積分値に対する波長560nm以上640nm以下の範囲の積分値の比率が15%以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
前記カラーフィルターの赤色画素は、分光透過曲線における透過率が50%となる波長を605nm以下の範囲に有する請求項1から6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る画像表示装置を、実施の形態及び実施例に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、画像表示装置を例示するものであって、本発明は、画像表示装置を以下のものに限定しない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また蛍光体の平均粒径は、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザーズ・ナンバー(Fisher Sub Sieve Sizer's No.)と呼ばれる数値であり、空気透過法を用いて測定される。
蛍光体の半値幅は、発光スペクトルにおいて、最大発光強度の50%の発光強度を示す発光スペクトルの波長幅を意味する。
【0012】
画像表示装置
本実施形態に係る画像表示装置は、420nm以上480nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、下記式(I)で表される組成を有し、前記発光素子からの光に励起されて525nm以上549nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第一蛍光体と、前記発光素子からの光に励起されて600nm以上680nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第二蛍光体とを含む発光装置と、赤色画素、緑色画素及び青色画素を有するカラーフィルターと、光透過制御部材とを備え、下記式(1)で与えられる積分値が、発光装置に含まれる第一蛍光体の発光ピーク波長が525nm以上540nm未満の範囲にある場合に3.0未満であり、第一蛍光体の発光ピーク波長が540nm以上549nm以下の範囲にある場合に5.5未満である。
【0013】
(Sr
1−x−y,M
1y,Eu
x)Ga
2S
4 (I)
式(I)において、M
1は、Be、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表す。x及びyは、0.03≦x≦0.25、0≦y<0.97及びx+y<1を満たす。
【0015】
式中、λは波長(nm)を表し、I(λ)は、第一蛍光体の波長λnmにおける相対発光強度を表し、T
R(λ)は、カラーフィルターの赤色画素の波長λnmにおける相対分光透過率を表す。
【0016】
式(1)において、I(λ)は第一蛍光体の波長λnmにおける相対発光強度であり、第一蛍光体の発光スペクトルにおける最大発光強度を1とした場合の波長λにおける発光強度を意味する。ここで第一蛍光体の発光強度は、粉体の発光スペクトルから求める。
T
R(λ)はカラーフィルターの赤色画素の波長λnmにおける相対分光透過率であり、カラーフィルターを構成する赤色画素の分光透過率曲線における最大分光透過率を1とした場合の波長λにおける分光透過率を意味する。
【0017】
本実施形態の画像表示装置においては、発光装置の発光スペクトルとカラーフィルターの赤色画素の透過スペクトルとが、560nm以上730nmの範囲において特定の関係を有する。式(1)で与えられる積分値は、第一蛍光体から発せられる光のうち赤色画素を透過する光量に相当し、第一蛍光体の発光スペクトルに応じて特定の範囲の値をとる。式(1)で与えられる積分値は、発光装置に含まれる第一蛍光体の発光ピーク波長が525nm以上540nm未満の範囲にある場合に3.0未満であり、2.5以下であることが好ましい。また積分値は、第一蛍光体の発光ピーク波長が540nm以上549nm以下の範囲にある場合に5.5未満であり、5.0以下であることが好ましい。
【0018】
特定の構成を有する発光装置と、特定の分光透過特性を有するカラーフィルターとを組合せて、式(1)で与えられる積分値が所定の値となるようにすることで、高輝度と優れた色再現性とを両立可能な画像表示装置を構成することができる。これは例えば以下のように考えられる。第一蛍光体は特定の組成を有する緑色発光の蛍光体であり、第一蛍光体が発する光のうちカラーフィルターの赤色画素を透過する光のうち560nm以上730nm以下の範囲の光量が所定の範囲となるように、発光装置の発光スペクトルとカラーフィルターの透過スペクトルとを調整することで、高い輝度を維持しつつ、赤色と緑色との色分離性が向上するため、優れた色再現性と優れた発光輝度の両立が達成できると考えられる。
【0019】
本実施形態に係る画像表示装置は、CIE1931色度図上において、色再現範囲が、NTSC比65%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上が更に好ましい。
なお、NTSC比とは、アメリカテレビジョン標準化委員会(National Television Standards Committee)によりCIE1931 XYZ表色系の色度(x,y)にて定められた標準方式の3原色、赤(0.670,0.330)、緑(0.210,0.710)、青(0.140,0.080)を結ぶ三角形を基準として、画像表示装置の赤・緑・青単色の色度を結んで得られる三角形を比較した面積比のことである。この面積比が即ち色再現範囲として定義され、その比率が高いほど色再現性が良好と判定される。
【0020】
本実施形態に係る画像表示装置は、CIE1931色度図上において、色再現範囲が、DCI包含率として70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
なお、DCI規格とは、米国の7つの映画スタジオが作った団体(Digital Cinema Initiative,LCC)が規定するデジタルシネマの規格である。
また、DCI規格の色域は、CIE1931 XYZ表色系のxy色度図において、青色座標(x,y)=(0.150,0.060)、緑色座標(x,y)=(0.265,0.690)、赤色座標(x,y)=(0.680,0.320)の三点を結んだ三角形で示される領域をいう。そしてDCI包含率は、DCI規格の全色域の面積に対する、画像表示装置の色再現域と重複するDCI規格の色域の面積比率を意味する。
【0021】
本実施形態に係る画像表示装置は、発光装置からの光をカラーフィルターを通過させて得られる発光スペクトルにおいて、490nm以上570nm以下の発光強度の積分値に対する570nm以上600nm以下の発光強度の積分値の比が例えば第一蛍光体の発光ピーク波長が525nm以上540nm未満の範囲にある場合に0.15未満であり、540nm以上549nm以下の範囲にある場合に0.22未満であることが好ましい。これにより、更に優れた色再現性を達成することができる。
【0022】
発光装置
画像表示装置を構成する発光装置は、420nm以上480nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光素子と、式(I)で表される組成を有し、発光素子からの光に励起されて525nm以上549nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第一蛍光体と、発光素子からの光に励起されて600nm以上680nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第二蛍光体とを含む。
【0023】
発光素子
発光素子の発光ピーク波長は、420nm以上480nm以下の範囲にあり、発光効率の観点から、445nm以上455nm以下の範囲にあることが好ましい。この範囲に発光ピーク波長を有する発光素子を励起光源として用いることにより、発光素子からの光と蛍光体からの蛍光との混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。さらに、発光素子から外部に放射される光を有効に利用することができるため、発光装置から出射される光の損失を少なくすることができ、高効率な発光装置を得ることができる。
【0024】
発光素子の発光スペクトルの半値幅は特に制限されない。半値幅は例えば、30nm以下とすることができる。
発光素子にはLEDなどの半導体発光素子を用いることが好ましい。光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
半導体発光素子としては、例えば、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、ここでX及びYは、0≦X、0≦Y、X+Y≦1を満たす)を用いた青色、緑色等に発光する半導体発光素子を用いることができる。
【0025】
蛍光体
発光装置は、式(I)で表される組成を有し、発光素子からの光に励起されて525nm以上549nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第一蛍光体と、発光素子からの光に励起されて600nm以上680nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第二蛍光体とを含む。第一蛍光体及び第二蛍光体(併せて、単に「蛍光体」ともいう。)は例えば、発光素子を被覆する蛍光部材に含まれて発光装置を構成する。
【0026】
蛍光部材は、蛍光体に加えて例えば、樹脂を含むことができる。樹脂は透光性樹脂であることが好ましく、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0027】
第一蛍光体
第一蛍光体の組成を表す式(I)において、M
1はBe、Mg、Ca、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素を表し、Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。x及びyは、0.03≦x≦0.25、0≦y<0.97及びx+y<1を満たす。発光輝度の観点から、xは0.03以上0.17以下であることが好ましく、0.11以上0.14以下であることがより好ましい。yは0以上0.9以下が好ましく、0以上0.8以下がより好ましい。
【0028】
第一蛍光体の発光スペクトルにおける発光ピーク波長は、525nm以上549nm以下の範囲にある。また第一蛍光体の最大励起波長は例えば、430nm以上470nm以下の範囲にあることが好ましい。
第一蛍光体の発光ピーク波長は、式(I)で表される組成を適宜変更することで525nm以上549nm以下の範囲に調整することができる。
【0029】
第一蛍光体の発光スペクトルは単一ピークであり、発光ピーク波長よりも長波長側の範囲で最大発光強度に対して20%の発光強度を示す波長(W
20%L)と、発光ピーク波長(W
max)との差(W
20%L−W
max)は例えば50nm以下であり、48nm以下が好ましい。また差(W
20%L−W
max)は25nm以上であり、35nm以上が好ましい。
発光ピーク波長よりも短波長側の範囲で最大発光強度に対して20%の発光強度を示す波長をW
20%Sとすると長波長側と短波長側の波長差の比(W
20%L−W
max)/(W
max−W
20%S)は、例えば1.3以上1.5以下が好ましい。
【0030】
第一蛍光体の平均粒径は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択できる。第一蛍光体の平均粒径は例えば、1μm以上30μm以下であり、1μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上20μm以下がより好ましい。
【0031】
蛍光部材に含まれる第一蛍光体の含有量は特に制限されず、例えば、蛍光部材が含む樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であり、2質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0032】
第二蛍光体
第二蛍光体は発光素子からの光に励起されて600nm以上680nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を発するものであれば特に制限されず、公知の蛍光体から適宜選択して用いることができる。
第二蛍光体の発光スペクトルにおける発光ピーク波長は、600nm以上680nm以下の範囲にあるが、610nm以上670nm以下の範囲にあることが好ましく、620nm以上660nm以下の範囲にあることがより好ましい。第二蛍光体の半値幅は例えば30nm以下であり、10nm以下が好ましい。また第二蛍光体の半値幅は例えば1nm以上であり、2nm以上が好ましい。第二蛍光体の最大励起波長は例えば、430nm以上470nm以下の範囲にあり、440nm以上460nm以下の範囲にあることが好ましい。
第二蛍光体の発光ピーク波長が特定の範囲にあり、半値幅が特定の値であることで、より優れた色再現性を達成することができる。
【0033】
第二蛍光体の粒径及び粒度分布は特に制限されず、発光強度と耐久性の観点から、単一ピークの粒度分布を示すことが好ましく、分布幅の狭い単一ピークの粒度分布であることがより好ましい。第二蛍光体の平均粒径は例えば、1μm以上100μm以下であり、5μm以上70μm以下が好ましく、20μm以上70μm以下がより好ましい
【0034】
第二蛍光体は、発光輝度と色再現性の観点から、下記式(IIa)で表される組成を有する蛍光体及び下記式(IIb)で表される組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
3.5MgO・0.5MgF
2・GeO
2:Mn
4+ (IIa)
M
22[M
1−aMn
4+aF
6] (IIb)
【0035】
式中、M
2は、K
+、Li
+、Na
+、Rb
+、Cs
+及びNH
4+からなる群から選択される少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を示し、aは0.01<a<0.20を満たす。
【0036】
式(IIa)又は(IIb)で表される組成を有する第二蛍光体は、いずれもMn
4+で賦活された蛍光体であり、青色領域の光を吸収して赤色に発光する。
式(IIb)において、M
2は、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+及びNH
4+からなる群から選択され、K
+を含む少なくとも1種の陽イオンであることが好ましく、K
+を主成分とするアルカリ金属等の陽イオンであることがより好ましい。ここで「K
+を主成分とする」とは、式(IIb)のM
2におけるK
+の含有率が80モル%以上であることを意味し、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
【0037】
式(IIb)におけるMは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種であり、Mは、発光特性の観点から、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ケイ素(Si)、又はケイ素(Si)及びゲルマニウム(Ge)を含むことがより好ましく、ケイ素(Si)、又はケイ素(Si)及びゲルマニウム(Ge)であることが更に好ましい。
Mがケイ素(Si)、又はケイ素(Si)及びゲルマニウム(Ge)を含む場合、Si及びGeの少なくとも一方の一部が、Ti、Zr及びHfを含む第4族元素、並びにC及びSnを含む第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい。その場合、MにおけるSi及びGeの総含有率は特に制限されず、例えば、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
【0038】
式(IIb)におけるaは0.01以上0.20以下であり、発光効率と発光強度の観点から0.015以上0.15以下が好ましく、0.02以上0.10以下がより好ましく、0.03以上0.10以下が更に好ましい。
【0039】
蛍光部材に含まれる第二蛍光体の含有量は特に制限されず、例えば、蛍光部材が含む樹脂100質量部に対して80質量部以上99質量部以下であり、90質量部以上98質量部以下が好ましい。
また蛍光部材における第一蛍光体の含有量に対する第二蛍光体の含有量の比は特に制限されず、例えば、4以上99以下であり、9以上49以下が好ましい。
【0040】
蛍光部材は、第一蛍光体及び第二蛍光体以外のその他の蛍光体を必要に応じて含んでいてもよい。その他の蛍光体としては、例えば(Sr
,Ca)AlSiN
3:Eu
2+、SrLiAl
3N
4:Eu
2+等が挙げられる。蛍光部材がその他の蛍光体を含む場合、その含有量は第一蛍光体及び第二蛍光体の総量に対して、例えば10質量%以下であり、1質量%以下が好ましい。
【0041】
上記蛍光体の製造方法は特に限定されず、公知の手段から適宜選択して採用することができる。例えば、以下のようにして製造することができる。蛍光体の組成に含有される元素の単体、酸化物、炭酸塩、窒化物、塩化物、フッ化物、硫化物などを原料とし、これらの各原料を所定の組成比となるように秤量する。また、原料にさらにフラックスなどの添加材料を適宜加え、混合機を用いて湿式又は乾式で混合する。これにより、固相反応を促進させて均一な大きさの粒子を形成することが可能となる。また、混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いてもよい。粉砕機を用いて粉砕することで比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器などの湿式分離機、サイクロン、エアセパレータなどの乾式分級機を用いて分級することもできる。上記の混合した原料をSiC、石英、アルミナ、BN等の坩堝に詰め、アルゴン、窒素などの不活性雰囲気、水素を含む還元雰囲気、または大気中での酸化雰囲気にて焼成を行う。焼成は所定の温度及び時間で行う。焼成されたものを粉砕、分散、濾過等して目的の蛍光体粉末を得る。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
【0042】
蛍光部材は、蛍光体及び樹脂に加えてその他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。その他の成分としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等のフィラー、光安定化剤、着色剤等を挙げることができる。封止部材がその他の成分を含む場合、その含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、その他の成分として、フィラーを含む場合、その含有量は樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下とすることができる。
【0043】
発光装置の形式は特に制限されず、通常用いられる形式から適宜選択することができる。発光装置の形式としては、ピン貫通型、表面実装型等を挙げることができる。一般にピン貫通型とは、実装基板に設けられたスルーホールに発光装置のリード(ピン)を貫通させて発光装置を固定するものを指す。また表面実装型とは、実装基板の表面において発光装置のリードを固定するものを指す。
【0044】
本実施形態に係る発光装置100を図面に基づいて説明する。
図1は、発光装置100を示す概略断面図である。発光装置100は、表面実装型発光装置の一例である。
発光装置100は、可視光の短波長側(例えば、380nm以上485nm以下の範囲)の光を発し、発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の範囲にある窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10と、発光素子10を載置する成形体40と、を有する。成形体40は、第1のリード20及び第2のリード30と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が載置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1のリード20及び第2のリード30とワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。蛍光部材50は例えば、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70として第一蛍光体71及び第二蛍光体72と樹脂とを含有してなる。
【0045】
蛍光部材50は、成形体40の凹部内に載置された発光素子10を覆うように透光性樹脂、ガラス等で充填されて形成される。製造の容易性を考慮すると、蛍光部材を構成する材料は、透光性樹脂が好ましい。透光性樹脂は、シリコーン樹脂組成物を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の絶縁樹脂組成物を用いることもできる。また、蛍光部材50には蛍光体70が含有されているが、さらに適宜、その他の材料を添加することもできる。例えば、光拡散材を含むことで、発光素子からの指向性を緩和させ、視野角を増大させることができる。
【0046】
蛍光部材50は、蛍光体70を含む波長変換部材としてだけではなく、発光素子10及び蛍光体70を外部環境から保護するための部材としても機能する。
図1では、蛍光体70は蛍光部材50中で偏在している。このように発光素子10に接近して蛍光体70を配置することにより、発光素子10からの光を効率よく波長変換することができ、発光効率の優れた発光装置が構成できる。なお、蛍光体70を含む蛍光部材50と、発光素子10との配置は、それらを接近して配置させる形態に限定されることなく、蛍光体70への熱の影響を考慮して、蛍光部材50中で発光素子10と、蛍光体70との間隔を空けて配置することもできる。また、蛍光体70を蛍光部材50の全体にほぼ均一の割合で混合することによって、色ムラがより抑制された光を得るようにすることもできる。
【0047】
カラーフィルター
カラーフィルターは着色画素として、赤色画素、緑色画素及び青色画素を少なくとも有する。カラーフィルターの着色画素は、式(1)で与えられる積分値が所定の範囲となる限り特に制限されず、通常用いられる着色画素から適宜選択して用いることができる。中でもカラーフィルターの着色画素は以下の構成を備えることが好ましい。
【0048】
カラーフィルターの緑色画素は、分光透過曲線における波長460nm以上640nm以下の範囲の積分値に対する波長550nm以上640nm以下の範囲の積分値の比率R
G1が25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。前記比率R
G1の上限値は特に制限されないが、例えば50%以下であり、45%以下である。
【0049】
さらにカラーフィルターの緑色画素は、分光透過曲線における波長460nm以上640nmの範囲の積分値に対する波長560nm以上640nm以下の範囲の積分値の比率R
G2が15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。前記比率R
G2の上限値は特に制限されないが、例えば40%以下であり、35%以下である。
【0050】
カラーフィルターの赤色画素は、最大透過率を100%とする分光透過曲線における透過率が80%となる波長λ
80%を615nm以下の範囲に有することが好ましく、610nm以下の範囲に有することがより好ましい。波長λ
80%の下限値は、例えば580nm以上であり、585nm以上である。
また赤色画素は、最大透過率を100%とする分光透過曲線における透過率が50%となる波長λ
50%を605nm以下の範囲に有することが好ましく、600nm以下の範囲に有することがより好ましい。波長λ
50%の下限値は、例えば570nm以上であり、575nm以上である。
【0051】
カラーフィルターの構成は従来公知の構成から適宜選択することができる。カラーフィルターの構成としては、例えば、ガラス等の光透過性の基板上に、着色画素を構成する着色層が配置された公知のものを挙げることができる。
【0052】
カラーフィルターに用いられる基板は、可視光に対して透過率を有すればよく、好ましくは80%以上の透過率を有するものである。一般に、画像表示装置に用いられているものでよく、PET等のプラスチック基板、ガラス基板などが挙げられるが、通常はガラス基板を用いる。基板の厚みは特に限定されず目的等に応じて適宜選択すればよい。基板の厚みは例えば、100μm〜1mm程度とすることができる。
基板上には遮光パターンを形成してもよい。遮光パターンとしては、あらかじめ基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂組成物によるパターンを公知の方法で形成したものを用いればよい。
【0053】
着色画素は、例えば、光透過性を有する基板上に形成された遮光パターン以外の開口部にカラーフィルター用樹脂組成物層を形成し、これを硬化することで形成することができる。
着色画素の配置は特に制限されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色画素の幅、面積等は任意に設定することができる。着色画素の厚みは、通常、1μm〜5μmの範囲である。
【0054】
基板上への着色画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法でも構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すると、フォトレジスト法が好ましい。フォトレジスト法は、光透過性の樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色組成物を透明基板上に塗布、製膜して着色層を形成し、この着色層をパターン露光し、現像することで、1色の画素を形成し、これら工程を各色について繰り返し行って、カラーフィルターを作製する方法である。
【0055】
カラーフィルターの着色画素を構成する着色層をフォトレジスト法により形成する場合、例えば、以下の方法に従う。着色剤となる顔料を透明な樹脂中に分散させた後、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤と混合させる。着色剤となる顔料と透明樹脂を分散させる方法としてはミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0056】
カラーフィルターの着色層を形成する着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。赤色顔料としては、C.I. Pigment Red(PR) 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等が挙げられる。
【0057】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow(PY) 150、138の他に、PY1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、139、144、146、147、148、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0058】
橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0059】
緑色顔料としては、C.I. Pigment Green(PG) 36の他にPG 7、10、37等が挙げられる。
【0060】
青色顔料としては、C.I. Pigment Blue(PB)15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
【0061】
紫色顔料としては、C.I. Pigment Violet(PV) 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0062】
上記の有機顔料は、目的とする着色層の構成等に応じて1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性が低下しない範囲で染料を含有してもよい。
【0064】
着色組成物に用いる樹脂は、可視光領域の400nm以上700nm以下の全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の光透過性の樹脂である。樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び感光性樹脂が含まれる。光透過性の樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して光透過性の樹脂を生成するモノマー若しくはオリゴマーを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0065】
樹脂、光開始剤、重合性モノマー、これらを用いる画素の形成方法等の詳細については、例えば、特開2009−76836号公報の段落番号0102から0119の記載を参照することができる。
【0066】
光透過制御部材
画像表示装置は、光透過制御部材を備える。光透過制御部材は、発光装置からの光を表示すべき画像に応じて透過又は非透過することでカラーフィルターに入射する光を制御する。光透過制御部材は通常用いられる部材から適宜選択され、例えば液晶層を有する液晶セルを用いることができる。
【0067】
画像表示装置は、特定構成の発光素子と特定構成のカラーフィルターと光透過制御部材を備えていればよく、その構成は特に制限されず、通常用いられる画像表示装置の構成から適宜選択することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
第一蛍光体として、式(I)で表される組成を有する緑色蛍光体1から4を、以下に示す組成となるように原料混合物を調製し、これを熱処理することで製造してそれぞれ準備した。
緑色蛍光体1:(Sr
0.68,Ba
0.20,Eu
0.12)Ga
2S
4
緑色蛍光体2:(Sr
0.88,Eu
0.12)Ga
2S
4
緑色蛍光体3:(Sr
0.68,Ca
0.20,Eu
0.12)Ga
2S
4
緑色蛍光体4:(Sr
0.58,Ca
0.30,Eu
0.12)Ga
2S
4
【0070】
また比較用に下記式(III)で表される組成を有するβサイアロン蛍光体である緑色蛍光体C1及びC2を準備した。
Si
6−zAl
zO
zN
8−z:Eu (III)
(0<z≦4.2)
【0071】
準備した蛍光体の平均粒径、蛍光体粉体の発光色の色度座標(x,y)、発光ピーク波長、発光ピーク波長よりも長波長側の範囲で最大発光強度に対して20%の発光強度を示す波長(W
20%L)と、発光ピーク波長(W
max)との差(W
20%L−W
max)を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
各蛍光体について、黄色領域の発光強度に対応するW
20%L−W
maxを見てみると、緑色蛍光体1から4では、組成が異なる緑色蛍光体C1及びC2に比べて数値が小さく、黄色領域の発光強度が小さいことが分かる。また(W
20%L−W
max)/(W
max−W
20%S)は1.4であった。
【0074】
第二蛍光体として、式(IIa)で表される組成を有する赤色蛍光体1を準備した。
K
2[Si
1−aMn
4+aF
6] (IIa)
(0.01<a<0.20)
【0075】
(発光装置1の作製)
発光波長451nmの青色発光LED(発光素子)に、緑色蛍光体1と赤色蛍光体1とを組み合わせて、以下のようにして発光装置を作製した。
発光装置が発する混色光のカラーフィルター透過後の色度座標がx=0.285、y=0.265付近となるように配合した蛍光体をシリコーン樹脂に添加し、混合分散した後、更に脱泡することにより蛍光体含有樹脂組成物を得た。次にこの蛍光体含有樹脂組成物を発光素子の上に注入、充填し、さらに加熱することで樹脂組成物を硬化させた。このような工程により発光装置1を作製した。
【0076】
(発光装置2の作製)
緑色蛍光体1の代わりに緑色蛍光体2を用いたこと以外は上記と同様にして発光装置2を作製した。
【0077】
(発光装置3の作製)
緑色蛍光体1の代わりに緑色蛍光体3を用いたこと以外は上記と同様にして発光装置3を作製した。
【0078】
(発光装置4の作製)
緑色蛍光体1の代わりに緑色蛍光体4を用いたこと以外は上記と同様にして発光装置4を作製した。
【0079】
(発光装置C1の作製)
緑色蛍光体1の代わりに緑色蛍光体C1を用いたこと以外は上記と同様にして発光装置C1を作製した。
【0080】
(発光装置C2の作製)
緑色蛍光体1の代わりに緑色蛍光体C2を用いたこと以外は上記と同様にして発光装置C2を作製した。
【0081】
上記で得られた発光装置1から4、C1及びC2について、波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルを
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dに示す。
図2Aは、発光装置1、2及びC2について、波長に対する相対発光強度を示す可視領域の発光スペクトルであり、
図2Cは、発光装置3、4及びC1について、波長に対する相対発光強度を示す可視領域の発光スペクトルである。
図2Bは、
図2Aにおける480nm以上630nm以下の領域の拡大図であり、
図2Dは、
図2Cにおける480nm以上630nm以下の領域の拡大図である。
【0082】
図3は、画像表示装置に用いるカラーフィルターの波長に対する透過率を示す透過スペクトル(分光透過曲線)である。
図3に示す透過スペクトルにおいては、波長460nm以上640nm以下の範囲の積分値に対する波長550nm以上640nm以下の範囲の積分値の比率は、40%である。また、波長460nm以上640nmの範囲の積分値に対する波長560nm以上640nm以下の範囲の積分値の比率は、32%である。
【0083】
また
図3における赤色画素の透過スペクトルにおいては、透過率が80%となる波長が596nmであり、透過率が50%となる波長が585nmである。
【0084】
(実施例1)
上記で得られた発光装置1と
図3に示す透過スペクトルを有するカラーフィルターとを組合せて画像表示装置1が構成される。
画像表示装置1について、発光装置1からの光を、
図3に示す透過スペクトルを有するカラーフィルターを透過させた後の透過光のスペクトルをシミュレーションにより得た。得られた透過光スペクトルを
図4Aに示す。
【0085】
(実施例2)
発光装置1の代わりに発光装置2を用いて画像表示装置2が構成される。実施例1と同様にして得られた画像表装置2についての透過光スペクトルを
図4Aに示す。
【0086】
(実施例3)
発光装置1の代わりに発光装置3を用いて画像表示装置3が構成される。実施例1と同様にして得られた画像表装置3についての透過光スペクトルを
図4Cに示す。
【0087】
(実施例4)
発光装置1の代わりに発光装置4を用いて画像表示装置4が構成される。実施例1と同様にして得られた画像表装置4についての透過光スペクトルを
図4Cに示す。
【0088】
(比較例1)
発光装置1の代わりに発光装置C1を用いて画像表示装置C1が構成される。実施例1と同様にして得られた画像表装置C1についての透過光スペクトルを
図4Cに示す。
【0089】
(比較例2)
発光装置1の代わりに発光装置C2を用いて画像表示装置C2が構成される。実施例1と同様にして得られた画像表装置C2についての透過光スペクトルを
図4Aに示す。
【0090】
図4Aは、実施例1、2及び比較例2について、透過光の波長に対する相対発光強度を示す可視領域のスペクトルであり、
図4Cは、実施例3、4及び比較例1について、透過光の波長に対する相対発光強度を示す可視領域のスペクトルである。
図4Bは、
図4Aにおける480nm以上630nm以下の領域の拡大図であり、
図4Dは、
図4Cにおける480nm以上630nm以下の領域の拡大図である。
【0091】
図4A及び
図4Cに示す透過光スペクトルについて、下記式(1)で与えられる積分値をそれぞれ算出した。結果を表2に示す。
【0092】
【数3】
【0093】
式中、λは波長(nm)を表し、I(λ)は、第一蛍光体の波長λnmにおける相対発光強度を表し、T
R(λ)は、カラーフィルターの赤色画素の波長λnmにおける相対分光透過率を表す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2から、緑色蛍光体の発光ピーク波長が525nm以上540nm未満の実施例1、2及び比較例2において、緑色蛍光体が式(I)で表される組成を有する実施例1及び2では積分値が2.5未満であるのに対して、緑色蛍光体の組成が異なる比較例2では積分値が2.5以上となっている。
また、緑色蛍光体の発光ピーク波長が540nm以上549nm以下の実施例3、4及び比較例1において、緑色蛍光体が式(I)で表される組成を有する実施例3及び4では積分値が5.5未満であるのに対して、緑色蛍光体の組成が異なる比較例1では積分値が5.5以上となっている。
【0096】
上記で得られた発光装置からの光を、
図3に示す透過スペクトルを有するカラーフィルターを透過させた後の透過光の色度座標をシミュレーションした結果を表3に示す。表3には、カラーフィルターの赤色画素からの透過光の色度座標CF
R、緑色画素からの透過光の色度座標CF
G、青色画素からの透過光の色度座標CF
B、カラーフィルター全体からの透過光の色度座標CF
Wを示す。併せてカラーフィルター透過後の透過光の輝度を、比較例1における輝度を100とした相対輝度Yとして示す。更にNTSC比(%)、DCI包含率(%)をそれぞれ算出した。
また更にカラーフィルター透過後の発光スペクトルにおける490nm以上570nm以下の発光強度の積分値I
Gに対する570nm以上600nm以下の発光強度の積分値I
Yの比を積分比I
Y/I
Gとして算出した。
【0097】
【表3】
【0098】
表3に示すように、実施例1及び2は比較例1と比較して、相対輝度Yを維持(≧97)しながらNTSC比及びDCI包含率を大幅に高くすることができる。また、実施例3は比較例1と比較して、相対輝度Y、NTSC比及びDCI包含率を高くすることが出来る。実施例4については比較例1と比較してNTSC比及びDCI包含率はほぼ同等でありながら、相対輝度Yが高い。
比較例2は比較例1と比較しNTSC比及びDCI包含率は大幅に高いが、相対輝度が低下する。また、発光ピーク波長が同じである(533nm)実施例1と比較すると相対輝度、NTSC比及びDCI包含率のいずれもが低くなっている。
【0099】
一般的に緑色蛍光体の発光ピーク波長が短波にシフトすると、NTSC比、DCI包含率は高くなるが、輝度は低下するトレードオフの関係にあると考えられる。
図5Aに示すように、実施例1及び2に係る第一蛍光体(緑色蛍光体1及び2)は、比較例1のβサイアロン蛍光体(緑色蛍光体C2)より、粉体の発光スペクトルにおいて発光ピーク波長より長波側の波長領域つまり黄色領域の発光強度が低く、
図5Bに示すように、実施例3及び4に係る第一蛍光体(緑色蛍光体3及び4)は、比較例2のβサイアロン蛍光体(緑色蛍光体C1)より、粉体の発光スペクトルにおいて発光ピーク波長より長波側の波長領域つまり黄色領域の発光強度が低くなっており、NTSC比、DCI包含率には有利である。これは赤色画素透過後における緑色蛍光体に由来する黄色発光成分が赤色蛍光体からの発光へ混色することが少なくなり、これは赤色の色純度が高くなることを意味する。
つまり、βサイアロン蛍光体よりピーク波長が長波の式(I)の組成を有するチオガレート蛍光体で同等のNTSC比、DCI包含率が得られるので、高輝度を得ることが出来る。