特許第6702949号(P6702949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6702949
(24)【登録日】2020年5月11日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】混合物、その製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/68 20060101AFI20200525BHJP
   C07H 15/04 20060101ALI20200525BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20200525BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20200525BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   C11D1/68
   C07H15/04 A
   A61Q19/10
   A61K8/60
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-515063(P2017-515063)
(86)(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公表番号】特表2017-531071(P2017-531071A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】EP2015068528
(87)【国際公開番号】WO2016041698
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年8月10日
(31)【優先権主張番号】14185066.9
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】バオアー,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】エスクヒェン,ライナー
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−508033(JP,A)
【文献】 国際公開第94/021655(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0245070(US,A1)
【文献】 特開2002−003497(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0039337(US,A1)
【文献】 特開2002−220399(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0099187(US,A1)
【文献】 特開平11−156175(JP,A)
【文献】 特開平08−319497(JP,A)
【文献】 特開2014−125474(JP,A)
【文献】 特開2009−035599(JP,A)
【文献】 特開2005−015776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/68
A61K 8/60
A61Q 19/10
C07H 15/04
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物の混合物を含む組成物であって、前記化合物が、一般式(I)
【化1】
(式中、
は、直鎖もしくは分枝C〜C−アルキル、または水素であり、
は、−CHCHであり、
それぞれのGは、グルコースまたはキシロースであり、グルコースが、70から95モル%の範囲内であり、キシロースが、5から30モル%の範囲内であり、
xの平均は、1.1から4の範囲内である)
による化合物であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
が、エチルまたはn−プロピルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
xの平均が、1.15から1.9の範囲内である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
xが2以上である特定の分子において、前記G基が、1,4−位(単数又は複数)で結合しているグルコースから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1からの少なくとも一項に記載の組成物を作る方法であって、前記方法が、触媒の存在下、グルコースおよびキシロースまたはそれぞれの二糖類もしくは多糖類の混合物を、式(II)
CH−CH−CHR−CH−OH (II)
(式中、Rは、上記のとおり定義される)
によるアルコールと反応させる工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の組成物の1種を0.05から50質量%の範囲内で含有する、水性配合物。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の組成物の合成から生成する、少なくとも1種の副生成物または出発材料をさらに含有することを特徴とする、請求項に記載の水性配合物。
【請求項8】
硬質表面または繊維を洗浄するために、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物を使用する方法。
【請求項9】
硬質表面または繊維もしくは繊維の配置を、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物を含有する、少なくとも1種の水性配合物と接触させることによって、硬質表面または繊維を洗浄する方法。
【請求項10】
前記洗浄することが、脱脂することを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物(A)の混合物に関し、前記混合物が、一般式(I)
【化1】
(式中、
は、直鎖もしくは分枝C〜C−アルキル、または水素であり、
は、−CHCHであり、
それぞれのGは、グルコースまたはキシロースであり、グルコースは60から95%モル%の範囲内であり、キシロースは5から30モル%の範囲内であり、
xの平均は、1.1から4の範囲内である)
による化合物の混合物を含む。
【0002】
さらに、本発明は、本発明の混合物を製造する方法、少なくとも1種の本発明の混合物を含有する水溶液、および本発明の混合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水性配合物で硬質表面などの表面または繊維を洗浄する場合、いくつかの問題が解決されなければならない。1つの課題は、除去されなければならない汚れを可溶化し、水媒体中に汚れを保持することである。もう1つの課題は、水媒体を洗浄すべき表面と接触させることである。かかる硬質表面を洗浄する特別な目的は、脱脂することであり得る。本発明に関する文脈において使用される、脱脂するとは、それぞれの表面から固体および/または液体の疎水性材料(単数又は複数)を除去することを指す。かかる固体または液体の疎水性材料は、顔料、特に、煤煙などの黒い顔料(単数又は複数)などのさらなる望ましくない物質を含有することが可能である。
【0004】
WO94/21655に記載されているような、いくつかのアルキルポリグルコシド(「APG」)は、ラッカー塗装のまたは非ラッカー塗装の金属表面を脱脂することによく知られている。しかしながら、2−n−プロピルヘプチルグルコシドを洗濯に適用しようとしたところ、濡れ挙動が不十分であることが判明した。さらに、それらの多くは、かき混ぜる際に急速に多くの泡を発生させるので、発泡挙動は一層改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO94/21655
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、優れた濡れおよび発泡挙動を示す界面活性剤を提供することが、本発明の目的であった。さらに、優れた濡れおよび発泡挙動を示す化合物を作る方法を提供することが目的であった。さらに、優れた濡れおよび発泡挙動を応用した化合物の使用方法を提供することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、(本)発明による混合物とも呼ばれる、最初に定義された化合物の混合物が、見出された。本発明の混合物は化合物(A)の混合物を含み、前記混合物は、一般式(I)
【化2】
(式中、
は、直鎖もしくは分枝C〜C−アルキル、または水素であり、好ましくは、直鎖もしくは分枝C〜C−アルキルであり、
は、−CHCHであり、
それぞれのGは、グルコースまたはキシロースであり、グルコースは、70から95%モル%の範囲内であり、キシロースは5から30モル%の範囲内であり、
xの平均は、1.1から4の範囲内である)
による化合物の混合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、式(I)
【化3】
において、変数は、以下のとおり定義される:
は、水素、または直鎖もしくは分枝C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソブチルもしくはsec.−ブチルであり、好ましくは、Rは直鎖であり、より一層好ましくは、Rは、エチルおよびn−プロピルから選択され、
は、−CHCHであり、Rは、上記に定義されているとおりであり、
それぞれのGは、グルコースまたはキシロースであり、グルコースは、Gの70から95モル%の範囲内であり、キシロースは、5から30モル%の範囲内である。好ましくは、それぞれのGは、グルコースまたはキシロースであり、グルコースは、Gの72.5から87.5モル%の範囲内であり、キシロースは、12.5から27.5モル%の範囲内である。
【0009】
単一の分子において、例えば、1分子当たりただ1個のG部分または15個までのG部分が有してもよい。ただ1個のG基が含まれる特定の分子において、前記Gは、グルコースまたはキシロースのいずれかである。2個以上のG基を持つ化合物(A)の混合物の特定の分子において、それらのG基は、全てグルコースもしくはキシロース、またはグルコースおよびキシロースの組合せであってもよい。
【0010】
xの平均は、1.1から4、好ましくは、1.1から2、特に好ましくは、1.15から1.9の範囲内である。本発明の文脈において、xは、それぞれの混合物の平均値を指し、xは、必ず整数ではない。特定の分子においては、Gの基全体のみが出現できる。高温ガスクロマトグラフィー(HTGC)によってxを測定することが好ましい。特定の分子において、xは、例えば、1または2であってもよい。
【0011】
がグルコースである、2個以上のG基を有する式(I)の単一の分子において、単糖類の単位間のグリコシド結合は、アノマー配置(α−、β−)においておよび/または結合の位置において、例えば、1,2−位または1,3−位、好ましくは、1,6−位または1,4−位おいて異なってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、グルコースは、グルコースの全パーセンテージに対して、0.1から0.5質量%のラムノースを含有してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、キシロースは、キシロースの全パーセンテージに対して、0.1から0.5質量%のアラビノースを含有してもよい。
【0014】
混合物(A)などのアルキルポリグリコシドは、それぞれの糖類の異なる重合度を有する、様々な化合物の混合物である。式(I)において、xは、数平均値であり、K.Hillら、Alkyl Polyglycosides、VCH Weinheim、New York、Basel、Cambridge、Tokyo、1997、特に28ページ以下に従って、例えば400℃で、高温ガスクロマトグラフィー(HTGC)によって、またはHPLCによって測定される、糖類の分布に基づいて好ましくは計算されることが、理解されるべきである。HPLC法において、重合度は、フローリー法によって測定されてもよい。HPLCおよびHTGCによって得られた値が異なる場合、HTGCに基づいた値が好ましい。
【0015】
本発明による混合物は、非常に良好な界面活性剤であり、硬質表面の洗浄にとって特に有用である。特に、本発明による混合物は、上述した問題を解決する。
【0016】
本発明の一実施形態において、本発明による混合物は、10から1,000の範囲内、好ましくは50から800の範囲内、より好ましくは100から500の範囲内のハーゼン色数を有することができる。
【0017】
ハーゼン色数は、DIN EN ISO6271−1または6271−2に従って測定することができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、本発明による混合物は、0.1から8.0の範囲内、好ましくは0.5から5.0の範囲内、より好ましくは1.0から3.5範囲内のガードナー色数を有することができる。
【0019】
ガードナー色数は、DIN EN ISO4630−1または4630−2に従って測定することができる。
【0020】
好ましくは、ハーゼンとガードナーの両方の数は、15体積%イソプロパノール水溶液に基づいて測定される。
【0021】
本発明の一実施形態において、本発明の混合物は、少なくとも1種の混合物(A)およびその異性体の少なくとも1種を含む。前記混合物は、本発明による混合物とも呼ばれる。
【0022】
異性体は、好ましくは、その糖部分が本発明による化合物の特定の混合物中のGと同一であるが、アルキル基が異なっており、したがってCHCHRCHCHRに対する異性体である、化合物を指す。一実施形態において、本発明による混合物は、化合物(A)の混合物の1種および式(III)
【化4】
(式中、
およびxは、本発明によるそれぞれの化合物のそれぞれの変数と同一であり、Rは、n−プロピルであり、Rは、−(CHCH(CHおよび−CHCH(CH)−CHCHおよびそれらの組合せから選択される)
による少なくとも1種の化合物を含む。
【0023】
好ましくは、一般式(III)による化合物も化合物の混合物である。
【0024】
1種の化合物(A)および一般式(III)の化合物を含む本発明の混合物において、一般式(III)の化合物は、好ましくは、混合物全体に対して、0.1から50質量%の範囲内で、より一層好ましくは0.2から30質量%の範囲内で、より一層好ましくは1から10質量%含まれ、残りは化合物(A)の混合物である。
【0025】
アルコール(CHCH−(CH−CH(イソ−C)−CH−OHの場合の異性体の例は、(CH)−CH(CH)−(CH−CH(イソ−C)−CH−OHである。
【0026】
本発明の別の態様は、本発明による少なくとも1種の混合物、ならびにアルコキシル化脂肪アルコールおよびヒドロキシル基含有非イオン性界面活性剤から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む混合物を対象とする。アルコキシル化脂肪アルコールの好ましい例は、n−C2m+1−O(AO)−Hであり、mは、6から20の範囲内の整数から選択され、AOは、異なるもしくは同一であり、−CHCHO−、−(CH−O−、−(CH−O−、−CHCH(CH)−O、−CHCH(C)−O−などのアルキレンオキシド基から選択され、zは、3から50から選択され、zは、平均値(数平均)である。非イオン性界面活性剤の別の好ましい例は、R−CHOH−CH−(AO)−R(式中、RおよびRは、独立して、n−C〜C20−アルキルから選択され、zおよびAOは、上記に定義されているとおりである)などのヒドロキシル混合エーテル(HME)としても知られている、ヒドロキシル基含有非イオン性界面活性剤である。
【0027】
本発明による化合物および混合物は、硬質表面を洗浄するために、特に金属表面を脱脂するために、および洗濯ケアにおいて、極めて有用である。水性配合物として適用される場合、本発明による化合物および混合物は、非常に良好な発泡挙動および濡れ挙動を示す。特に、本発明による化合物および本発明による混合物は、特定の条件下で、より少ない泡または泡形成の少なくともより遅いスピードを示し、泡は急速に崩壊する。本発明による化合物および混合物は、硬水、無塩水、および業務用もしくは産業用洗浄において有用なNaOHなどの強塩基と一緒にであっても適用することができる。
【0028】
本発明のさらなる態様は、本発明による合成とも呼ばれる、本発明による化合物を作る方法である。
【0029】
本発明による化合物は、以下のとおり合成することができる。本発明による合成を行うために、触媒の存在下で、グルコースおよびキシロースまたはそれぞれの二糖類または多糖類の混合物を、式(II)
CH−CH−CHR−CH−OH (II)
(式中、Rは、上記のとおり定義される)
のアルコールと反応させることが好ましい。
【0030】
グルコースおよびキシロースまたはそれぞれの二糖類もしくは多糖類の混合物は、以下、糖の混合物とも呼ばれる。したがって、化合物(A)の混合物中のグルコースとキシロースの比率は、糖の混合物中のグルコースとキシロースの比率に対応する。
【0031】
本発明の一実施形態において、本発明による合成は、出発材料としての単糖類、二糖類または多糖類の糖の対応する混合物を使用して行われる。例えば、グルコースは、結晶性グルコース、グルコースシロップ、またはデンプンもしくはセルロースとグルコースシロップとの混合物から選択されてもよい。ポリマーグルコースおよび二量体グルコースでさえも、一般式(II)のアルコールでの転換前に、解重合を通常必要とする。しかし、1つの出発材料として、無水物または水和物として、例えば一水和物としてのグルコースの単糖類を使用することが好ましい。キシロースの生成のための出発材料は、例えば、木材またはヘミセルロースであり得る。
【0032】
本発明の別の実施形態において、糖類(C+D)の混合物は、バイオマス転換方法、例えばバイオリファイナリー方法の糖から選択され、この方法において、木材、バガス、ワラ、スイッチグラス等などの供給原料を、加水切断(解重合)によって、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトースまたはこれらの糖の混合物などの単糖類に転換する。
【0033】
本発明による合成の一実施形態において、一般式(II)のアルコールおよび全ての糖類は、単糖類1モル当たりアルコール1.5から10モル、好ましくは単糖類1モル当たりアルコール2.3から6モルの範囲内のモル比で選択され、単糖類、二糖類または多糖類のモルは、それぞれのG基に対して計算される。
【0034】
触媒は、酸性触媒から選択することができる。好ましい酸性触媒は、強無機酸、特に硫酸、または有機酸、例えば、スルホコハク酸もしくはスルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸から選択される。酸性触媒のその他の例は、酸性イオン交換樹脂である。好ましくは、糖1モルに対して0.0005から0.02モルの範囲内の量の触媒が使用される。
【0035】
一実施形態において、本発明による合成は、90から125℃、好ましくは92から110℃の範囲内の温度で行われる。
【0036】
本発明の一実施形態において、本発明による合成は、2から15時間の範囲内の時間にわたって行われる。
【0037】
本発明による合成を行う間に、例えば水を留去することによって、反応の間に形成された水を除去することが好ましい。本発明の一実施形態において、本発明による合成の間に形成された水は、ディーンスタークトラップの助けを借りて除去される。この後者の実施形態は、一般式(II)のアルコールおよび水が低沸点の共沸混合物を形成する実施形態において、特に好ましい。
【0038】
本発明の一実施形態において、本発明による合成は、20ミリバールから常圧までの範囲内の圧力で行われる。
【0039】
別の実施形態において、合成の完了時に、一般式(II)の未反応のアルコールを、例えば留去することによって、除去する。かかる除去は、例えば、水酸化ナトリウムまたはMgOなどの塩基による酸性触媒の中和の後で開始することができる。過剰なアルコールを留去するための温度は、一般式(II)のアルコールに応じて選択される。多くの場合、140から215℃の範囲内の温度、及び1ミリバールから500ミリバールの範囲内の圧力が選択される。
【0040】
一実施形態において、本発明による方法は、1つまたは複数の精製工程をさらに含む。可能性のある精製工程は、例えば、過酸化水素などの過酸化物での漂白、シリカゲルなどの吸着剤での濾過、および木炭での処理から選択できる。
【0041】
本発明の混合物を製造する他の方法において、化合物(A)および化合物(B)を、水がないでまたは好ましくは水の存在下で、混合する。
【0042】
さらなる態様は、本発明による混合物を作る方法であり、簡潔に、本発明による混合方法とも呼ばれる。本発明による混合方法は、大量にまたは好ましくは水性配合物として、本発明による少なくとも1種の混合物を、その異性体の少なくとも1種またはアルコキシル化脂肪アルコールおよびヒドロキシル基含有非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と混合することによって行われる。
【0043】
本発明による混合方法は、室温または高温で、例えば25から60℃の範囲内の温度で、水溶液として、本発明による少なくとも1種の混合物を、その異性体の少なくとも1種と混合することによって行うことができる。水性配合物は、水性分散液および水溶液から選択されることができ、水溶液が好ましい。好ましくは、混合は、本発明による混合物を含む少なくとも1種の水性配合物と、本発明によるそれぞれの混合物の異性体を含む少なくとも1種の水性配合物を組み合わせることによって行われる。
【0044】
本発明の一実施形態において、本発明による混合方法は、20から80℃の範囲内の温度で、本発明による混合物を40から60質量%の範囲内で含む水溶液と、その異性体を55から75質量%の範囲内で含む少なくとも1種の水溶液を混合することによって行われる。
【0045】
本発明のさらなる態様は、本発明による混合物を使用する方法、または硬質表面もしくは繊維を洗浄するために本発明による混合物を使用する方法である。本発明のさらなる態様は、本発明による混合物を使用することによって、硬質表面または繊維を洗浄する方法であり、前記方法は、本発明による洗浄方法とも呼ばれる。本発明による洗浄方法を行うために、本発明によるいずれかの混合物を、それ自体として、または好ましくは水性配合物として使用することが可能である。かかる水性配合物において、水性配合物は、35から80質量%の範囲で本発明による少なくとも1種の混合物を含有することが好ましい。
【0046】
本発明に関する文脈において使用される硬質表面は、非水溶性で、好ましくは非膨潤性材料の表面と定義される。さらに、本発明の文脈において使用される硬質表面は、アセトン、揮発油(ミネラルテレピン)、およびエチルアルコールに不溶性である。本発明の文脈において使用される硬質表面は、爪による引っ掻きなどの手による破壊に対する抵抗性も、好ましくは示す。好ましくは、それらは、3以上のモース硬度を有する。硬質表面の例は、ガラス製品、タイル、石、陶器、エナメル、コンクリート、皮革、スチール、その他の金属、例えば鉄またはアルミニウム、さらに、木材、プラスチック、特にメラミン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMA、ポリカーボネート、ポリエステル、例えばPET、さらにポリスチレンおよびPVC、さらに、ケイ質(ウエハー)の表面である。構造化物体の少なくとも一部である硬質表面を洗浄するために使用される場合、本発明による配合物は、特に有利である。この文脈において、かかる構造化物体は、例えば、凸面もしくは凹面要素、切痕、溝、角、または隆起などの上昇部を有する物体を指す。
【0047】
本発明に関する文脈において使用される繊維は、合成または天然起源であり得る。天然起源の繊維の例は、綿および羊毛である。合成起源の繊維の例は、ポリウレタン繊維、例えばSpandex(登録商標)またはLycra(登録商標)、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、およびグラスウールである。その他の例は、ビスコースなどのバイオポリマー繊維およびGoreTex(登録商標)などのハイテク繊維である。繊維は、単一の繊維、またはニットウエア、織布もしくは不織布などの織物の一部であってよい。
【0048】
本発明による洗浄方法を行うために、本発明による配合物が適用されている。好ましくは、本発明による配合物は、例えば10から99.9質量%の水を含む水性配合物として、本発明の実施形態において適用される。本発明による配合物は、分散系、溶液、ゲル、または固形ブロック、マイクロエマルジョンを含むエマルジョン、および泡であることができ、好ましくは、溶液である。配合物は、1:10から1:50までなどの高希釈の形態で使用できる。
【0049】
本発明による洗浄方法を行うために、任意の硬質表面または繊維もしくは繊維の配置を、本発明による配合物と接触させる(接触状態に至らせる)ことができる。
【0050】
硬質表面を本発明による配合物と接触させる場合、本発明による配合物は、室温で適用することができる。さらなる実施形態において、本発明による配合物は、例えば、30から85℃の温度を有する本発明による配合物を使用することによって、または予熱した、例えば30から85℃に予熱した硬質表面に本発明による配合物を適用することによって、30から85℃などの高温で使用することができる。
【0051】
一実施形態において、常圧下で、本発明による配合物を硬質表面に適用することが可能である。さらなる実施形態において、圧力下で、例えば、高圧洗浄機または圧力ウォッシャーの使用によって、本発明による配合物を硬質表面に適用することが可能である。
【0052】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物の適用持続期間は、繊維を洗浄する場合には、1秒から24時間の範囲内、好ましくは30分から5時間の範囲内、床洗浄、台所洗浄または浴室洗浄などの硬質表面を洗浄する場合には、好ましくは1秒から1時間まであり得る。
【0053】
本発明の文脈における硬質表面の洗浄は、頑固な汚れを除去すること、軽い汚れを除去すること、およびほこりを除去すること、さらには少量のほこりを除去することも含み得る。
【0054】
除去される汚れの例は、ほこりおよび汚れに限定されず、煤煙、炭化水素、例えば、油、エンジンオイル、さらに、食物の残り、飲料、体液、例えば血液または排泄物、さらに複合天然混合物、例えばグリース、ならびに複合合成混合物、例えば、ペンキ、コーティング、およびグリースを含有する顔料であり得る。
【0055】
硬質表面を本発明による配合物と接触させることは、1回または繰り返し、例えば、2回もしくは3回実施することができる。
【0056】
硬質表面または繊維もしくは繊維の配置を、本発明による配合物と接触させることを行った後に、汚れまたはほこりを含有する本発明による残りの配合物を、除去することになる。かかる除去は、本発明によるそれぞれの配合物からの、清潔になった硬質表面を有する物体の除去、またはその逆で、物体からの配合物の除去によって達成され、この除去は、1つまたは複数のすすぎ工程(単数又は複数)によって補助できる。
【0057】
本発明による洗浄方法を実施した後で、清潔になった硬質表面または繊維もしくは繊維の配置を有する物体を、乾燥できる。乾燥は、室温または、例えば35から95℃°などの高温で、達成できる。乾燥は、乾燥窯、回転式乾燥機(特に、繊維および布について)、または室温もしくは35から95℃などの高温を有する気流で行うことができる。凍結乾燥も、別の選択肢である。
【0058】
本発明による洗浄方法を行うことによって、硬質表面および繊維を、非常によく洗浄することができる。特に、構造化された硬質表面を有する物体を、よく洗浄することができる。
【0059】
本発明のさらなる態様は、本発明による少なくとも1種の混合物を含有する水性配合物を対象とし、かかる配合物は、本発明による配合物とも呼ばれる。本発明の配合物は、0.05から50質量%の範囲内、好ましくは0.1から15質量%の範囲内、より一層好ましくは0.2から5質量%の本発明による少なくとも1種の混合物を含有してもよい。
【0060】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、有機または無機の材料をさらに含有することができる。
【0061】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、化合物(A)または(B)の合成から生成する、少なくとも1種の副生成物をさらに含有してもよい。
【0062】
かかる副生成物は、例えば、式(II)のアルコールなどの本発明による化合物の合成からの出発材料であり得る。本発明による化合物の合成からのさらなる副生成物の例は、単糖類Gの重縮合生成物、例えば、Gとポリグルコースの混合された重縮合生成物である。
【0063】
本発明による配合物は、固体、液体またはスラリーの形態であり得る。好ましくは、本発明による配合物は、液体および固体の配合物から選択される。一実施形態において、本発明による配合物は、水性、好ましくは、液体水性配合物である。
【0064】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、それぞれの配合物の総量に対して0.1から90質量%の水を含有することができる。
【0065】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、ゼロから14、好ましくは3から11の範囲内のpH値を有する。pH値は、硬質表面の種類および特定の適用に応じて、選択することができる。例えば、浴室またはトイレの洗浄剤のために3から4の範囲内のpH値を選択することが好ましい。食器洗いまたは床の洗浄剤のために4から10の範囲内のpH値を選択することが、さらに好ましい。
【0066】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、少なくとも1種の活性成分を含有する。活性成分は、石鹸、陰イオン性界面活性剤、例えばLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホネート)またはパラフィンスルホネートまたはFAS(脂肪族アルコールスルフェート)またはFAES(脂肪族アルコールエーテルスルフェート)、さらに酸、例えばリン酸、アミドスルホン酸、クエン酸、乳酸、酢酸、その他の有機および無機の酸、さらに有機溶媒、例えばブチルグリコール、n−ブトキシプロパノール、特に1−ブトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、モノエタノールアミン、およびイソプロパノールから選択することができる。
【0067】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、酢酸、クエン酸およびメタンスルホン酸から選択される、少なくとも1種の有機酸を含む。
【0068】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、式(A)および(B)の化合物と異なる非イオン性界面活性剤から選択される、少なくとも1種または複数種の活性成分を含有する。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、アルコキシル化n−C12〜C20−脂肪アルコール、例えば、nが5から100の範囲内である、n−C10〜C20−アルキル(EO)OH、さらに、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、例えば、20から50質量%の3,000から5,000g/molの範囲内のMのPO含有量を有するポリ−EO−ポリ−PO−ポリ−EO、さらに、アルキルポリグリコシド、好ましくは分枝C〜C10−アルキルポリグルコシド、特に、それぞれのC〜C10−アルキル基の2位で分枝しているC〜C10−アルキルポリグルコシドが挙げられる。
【0069】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、風呂洗浄剤として、衛生洗浄剤として、台所洗浄剤として、トイレ洗浄剤として、便器洗浄剤として、衛生用スケール除去剤として、万能家庭洗浄剤として、万能家庭洗浄濃縮製剤として、金属脱脂剤として、万能家庭スプレー洗浄剤として、手洗い用食器洗浄剤として、自動食洗機用剤として、または床洗浄剤、手洗浄剤として使用することができる。
【0070】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、塩化ベンザルコニウムなどの少なくとも1種の殺生物剤または防腐剤を含有することができる。
【0071】
本発明の別の実施形態において、本発明による配合物は、洗濯洗剤として使用することができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、ホスフェート、例えばトリホスフェートなどの無機ビルダーから選択される、1種または複数種の活性成分を含有することができる。
【0073】
ホスフェートのない本発明による配合物が好ましい。本発明の文脈において、用語「ホスフェートのない」は、全固形分に対して、重力測定法によって測定される最大で0.5質量%のホスフェートを有する配合物を指し、ホスフェートのない配合物は、最小限で50ppm(質量)以下のホスフェートを含有することができる。
【0074】
好ましい無機ビルダーの例としては、ケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、およびアルモケイ酸塩が挙げられる。ケイ酸塩およびアルモケイ酸塩は、結晶性および非結晶質の材料から選択することができる。
【0075】
本発明の一実施形態において、無機ビルダーは、イオン交換特性を有する結晶性アルモケイ酸塩、例えば、特にゼオライトから選択される。ゼオライトの様々な種類が適切であり、特に、Na形態の、またはNaが部分的にLi、K、Ca2+、Mg2+もしくはアンモニウムなどの陽イオンによって置換されている形態のゼオライトA、X、B、P、MAPおよびHSが適切である。
【0076】
適切な結晶性ケイ酸塩は、例えば、二ケイ酸塩および層状ケイ酸塩である。結晶性ケイ酸塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩の形態で、好ましくは、Na、LiまたはMgのケイ酸塩として使用することができる。
【0077】
例えば、ポリマー構造を有するメタケイ酸ナトリウムまたはBritesil(登録商標)H20(製造元:AkzoNobel)などの非結晶質ケイ酸塩が選択することができる。
【0078】
炭酸塩をベースとした適切な無機ビルダーは、炭酸塩および水素炭酸塩である。炭酸塩および水素炭酸塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩の形態で使用することができる。好ましくは、Na、LiおよびMgの炭酸塩または水素炭酸塩、特に、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸水素ナトリウムが選択することができる。その他の適切な無機ビルダーは、硫酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムである。
【0079】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、少なくとも1種の有機錯化剤(有機コビルダー)、例えば、EDTA(N,N,N’,N’−エチレンジアミン四酢酸)、NTA(N,N,N−ニトリロ三酢酸)、MGDA(2−メチルグリシン−N,N−二酢酸)、GLDA(グルタミン酸N,N−二酢酸)、ならびにホスホネート、例えば、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチレン(1,1−ジホスホン酸)(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸およびジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、ならびにそれぞれの場合においてそれぞれのアルカリ金属塩、特に、それぞれのナトリウム塩を含有することができる。好ましいのは、HEDP、GLDAおよびMGDAのナトリウム塩である。
【0080】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、有機ポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびマレイン酸−アクリル酸のコポリマーから選択される1種または複数種の活性成分を含有できる。
【0081】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、アルカリ供与体、例えば、水酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩から選択される、1種または複数種の活性成分を含有することができる。
【0082】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、1種または複数種のさらなる成分、例えば、香油、酸化剤、および漂白剤、例えば、過ホウ酸塩、過酸またはトリクロロイソシアヌル酸、NaもしくはKジクロロイソシアヌレート、および酵素を含有することができる。
【0083】
最も好ましい酵素は、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよびプロテアーゼを含む。さらに、例えば、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼおよびペルオキシダーゼを使用することも可能である。
【0084】
酵素(単数又は複数)は、早期分解を防止するために、担体物質に沈着されてまたは被包されてもよい。
【0085】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、灰色化抑制剤および汚れ脱離ポリマーなどの1種または複数種の活性成分を含有することができる。
【0086】
適切な汚れ脱離ポリマーおよび/または灰色化抑制剤の例は、以下のとおりである:
酸成分(単数又は複数)としての芳香族ジカルボン酸または芳香族および脂肪族ジカルボン酸の組合せと、ジオール成分(単数又は複数)としてのポリエチレンオキシドならびにエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールとのポリエステル、
ジオール成分(単数又は複数)としての二価もしくは多価脂肪族アルコール、特にポリエチレンオキシドと、酸成分(単数又は複数)としての芳香族ジカルボン酸または芳香族および脂肪族ジカルボン酸の組合せとのポリエステルであり、前記ポリエステルが、ポリエトキシル化C〜C10−アルカノールでキャッピングされたものである。
【0087】
適切な汚れ脱離ポリマーのさらなる例としては、両親媒性コポリマー、特に、ポリアルキレンオキシドへのビニルエステルおよび/またはアクリル酸エステルのグラフトコポリマーが挙げられる。さらなる例としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどの修飾セルロースが挙げられる。
【0088】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、移染防止剤、例えば、それぞれが15,000から100,000g/molの平均モル質量Mを有する、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾリドンもしくは4−ビニルピリジンN−オキシドのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに上記のモノマーをベースとして架橋された微細分離ポリマーから選択される、1種または複数種の活性成分を含有することができる。
【0089】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、本発明によるそれぞれの配合物の全固形分に対して、0.1から50質量%、好ましくは1から20質量%の有機錯化剤を含有する。
【0090】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、本発明によるそれぞれの配合物の全固形分に対して、0.1から80質量%、好ましくは5から55質量%の陰イオン性界面活性剤を含有する。
【0091】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、消泡剤から選択される1種または複数種の活性成分を含有することができる。適切な消泡剤の例としては、シリコンオイル、特に、シリカ粒子のないまたはシリカ粒子を有する、室温で液体であるジメチルポリシロキサン、さらにマイクロクリスタリンワックスおよび脂肪酸のグリセリドが挙げられる。
【0092】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、本発明の文脈において意味することになる任意の消泡剤も含有せず、したがって、本発明による前記配合物は、本発明によるそれぞれの配合物の全固形分に対して、0.1質量%未満のシリコンオイルおよび0.1質量%未満の脂肪酸のグリセリドおよび0.1質量%未満のマイクロクリスタリンワックスを含む。極端な場合には、本発明による配合物は、任意の測定可能な量のシリコンオイルまたは脂肪酸のグリセリドを含有しない。
【実施例】
【0093】
一般的な注釈
特に明記されない限り、パーセンテージは、質量%(wt%)である。
【0094】
(A.1)、(A.2)およびC−(A.4)の色数(ハーゼンおよびガードナー)を、15体積%のイソプロパノール水溶液中で測定した。(A.3)およびC−(A.5)のそれぞれの溶液は、わずかに濁っていた。したがって、(A.3)およびC−(A.5)の色数を、同様の溶液との比較によって測定した。色数に関する測定は、10体積%希釈ペーストまたは溶液で、それぞれ実施された。
【0095】
本発明による化合物を生成するための実験プラントは、ジャケット付き4lガラス反応器、ディーンスタークトラップ付き凝縮器、三段階かき混ぜ機、分縮器または全縮器、蒸留受器および滴下漏斗からなった。分縮器を、加熱せず、水と同時蒸発させたアルコール(II)を分離するために使った。真空ポンプ、圧力計、圧力調節器および液体窒素で冷却される2個の冷トラップからなる真空システムで、圧力を設定した。蒸留によって過剰なアルコールを除去するために、撹拌機を装備した2lの丸底フラスコ、PT100、クライゼン蒸留器ヘッド、冷却器、留出物受器、圧力測定および真空ポンプを使用した。
【0096】
I.本発明による混合物の合成
アルコール(II.1)として、以下の化合物を使用した:
【化5】
【0097】
それを、n−ペンタノールのゲルベ反応によって得た。それは、(II.1a)および(II.1b)の不純物を含有し、前記不純物の合計は、それぞれの場合において全てのアルコール(II.1)に対して、一般的には3.8から6mol%、具体的には5mol%であった。
【0098】
したがって、アルコールは、異性体の混合物であり、以下「アルコール混合物(II.1)」とも呼ぶ。異性体(II.1a)および(II.1b)は、グルコースおよびキシロースに対して、アルコール(II.1)とほぼ同じ反応性を示した。
【0099】
【化6】
【0100】
一般的な手順
表1によるパラ−トルエンスルホン酸一水和物(「p−TSA」)を、150gのアルコール混合物(II.1)中に溶解させた。
【0101】
上に述べた実験プラントの4lのガラス反応器に、グルコースおよび任意に表1によるキシロース、ならびに表1によるアルコール混合物(II.1)を入れた。結果として得たスラリーを、撹拌しながら、30ミリバールの圧力、75℃で、30分間乾燥させた。次に、圧力を大気圧に調整し、スラリーを85℃まで加熱した。150gのアルコール混合物(II.1)中に溶解させた、表1によるパラ−トルエンスルホン酸一水和物を、滴下漏斗を通じて加え、表1による最低反応温度に達するまで、加熱を継続した。圧力を30ミリバールに設定し、撹拌しながら、形成した水を、冷トラップを装備したディーンスタークトラップで留去した。表1に特定された反応時間の後で、水はもはや形成されず、形成された水の量は、理論的に、冷トラップ中にあった。
【0102】
次に、2.6gの50質量%の水性NaOHで触媒を中和することによって、反応をクエンチした。イソプロパノール/水(1:10)の10%溶液で測定したpH値は、少なくとも9.5であった。次に、反応混合物を、丸底フラスコ中へ移し、過剰なアルコール混合物(II.1)を、140℃/1ミリバールで留去した。過剰なアルコール混合物(II.1)の除去の間、温度を、2時間以内に180℃まで、段階的に上昇させた。アルコールがもはや留去されなくなったとき、固形分を60%に調整するために、液体反応混合物を撹拌して水(室温)中へ入れ、室温まで冷却し、それによって、化合物(A.1)と化合物(III.1)の混合物を含有する水性ペーストを形成し、それらは一緒になって本発明の混合物(A.1)を構成した。本発明の混合物および比較用の混合物の特性を、表2にまとめる。
【0103】
色を改善するために、上記の水性ペーストを、4lの容器中に移し、表1による35質量%の水性Hと反応させた。全過酸化物含有量が、メルコクァント過酸化物テストスティックで測定して、1,200から1,500ppmの範囲内になるように、35質量%の水性Hは加えた。pH値を、7.5から8の範囲内で維持した。最終的に、pH値を、50質量%水性NaOHで、11.2から11.4に調整した。希釈のために、15体積%のイソプロパノール水溶液を使用した。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
上記の例のそれぞれにおいて、残留アルコールは、1それぞれの水性ペーストの合計当たり、0.05から0.08gの範囲内であった。
【0107】
II.本発明による混合物および比較用の混合物の洗浄特性
【0108】
試験の汚れ:
36wt%の揮発油(沸点範囲80/110°)、
17wt%のトリグリセリド(市販のMyritol(登録商標)318、
40wt%の鉱油(市販のNytex(登録商標)801)、
7wt%のカーボンブラック。
【0109】
試験の汚れを製造するために、ビーカーに、揮発油を入れた。透明な溶液が形成するまで、トリグリセリドおよび鉱油を、撹拌(500rpm)しながら加えた。次に、カーボンブラックを、ゆっくり加えた。次に、そのようにして得た分散系を、IKA Ultra−Turrax(登録商標)T25digital−basicによって、30分間撹拌した。その後、次に、分散系を、室温で21日間、磁気撹拌機によって撹拌し、次に、上記で特定したUltra−Turraxで30分間撹拌した。次に、そのようにして得た分散系を、磁気撹拌デバイスで継続的に撹拌しながら、室温条件下で、さらに14日間、閉じたガラスビンに貯蔵した。こうして得た試験の汚れは、使用の準備ができた。
【0110】
試験の素地として、白いPVC片(37・423・1.2mm)、Gerritsから購入できるPVC−Tanzteppich(登録商標)5410Vario whiteを使用した。
【0111】
試験の洗浄剤として、表1および2による、本発明による混合物または比較の化合物の量を、50mlの水中に溶解した。必要に応じて、0.1M NaOHまたは0.1M塩酸で、pH値を7に調整した。次に、試験洗浄剤のそれぞれの全質量を、蒸留水を加えることによって、全質量100g(±0.2)gに調整した。洗浄液体(CL)を得た。
【0112】
試験は、自動試験ロボットで行うガードナー試験であった。自動試験ロボットは、スポンジ(ビスコース、Spontex(登録商標)Z14700として市販されている)、9・4cmの断面積を含んでいた。1回につき、5枚の試験片を、ブラシによって、試験汚れ0.28(±0.2)gで最初に汚し、次に、1時間、室温で乾燥させた。次に、試験片を、湿ったスポンジで処理し、20mlの試験の洗浄剤で浸漬し、300gの質量および10m/sの揺動速度で10回揺動し、続いて、蒸留水で2回すすぎ、室温で4時間乾燥させた。
【0113】
それぞれの試験片に、新しいスポンジを使用した。汚すことおよび汚れを落とすことをデジタルカメラで記録した。結果を表3にまとめる。
【0114】
【表3】
【0115】
固形分は、試験の洗浄剤に指し、固体g/100gで表す。NaOHまたは塩酸含有量を無視する。
【0116】
標準偏差は、同じ洗浄剤および同じ汚れで、1回につき試験する5枚のPVC片に指す。