【文献】
Hongwei Jiang, Ashok K. Kakkar,Soluble High-Tg Polymers for Second-Order Nonlinear Optics from an Unusual Mix of Imide and Siloxane Linkages in the Backbone,Macromolecules,1998年 6月13日,vol.31, no.13,p.4170-4176
【文献】
Suzuki, Toshio; Yamada, Shuji; Okawa, Tadashi,Synthesis of polydimethylsiloxanes containing aminosilyl or amidosilyl groups at one chain end,Polymer Journal,1993年,vol.25, no.4,p.411-416
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物が、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,7−ヘプタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,7,7−ヘキサメチルテトラシロキサン、及び1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,9,9,9−ヘプタメチルペンタシロキサンからなる群より選択される、請求項3に記載の組成物。
前記少なくとも1つのケイ素前駆体化合物が、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
前記少なくとも1つのケイ素前駆体化合物が、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,7−ノナメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,7−ヘプタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,7,7−ヘキサメチルテトラシロキサン、及び1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,9,9,9−ヘプタメチルペンタシロキサンからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を説明する範囲の中での(特に以下の特許請求の範囲の中での)「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示語の使用は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」ことを意味する)として解されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指摘がない限り、単に範囲内に入っているそれぞれ独立した値を個々に言及することの省略方法として機能することを意図しており、それぞれの独立した値は、まるでそれが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定をもたらすものではない。本明細書中の如何なる言語も、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須であるものとして示すと解されるべきではない。
【0026】
本明細書で説明されるのは、約600℃以下、又は約25〜約600℃、幾つかの実施形態では25〜約300℃の1つ又は複数の温度で、化学量論的又は非化学量論的なケイ素及び酸素を含む膜又は材料、例えば、限定されないが、酸化ケイ素、炭素ドープ酸化ケイ素膜、酸窒化ケイ素、又は炭素ドープ酸窒化ケイ素膜、又はそれらの組み合わせを形成することに関する組成物及び方法である。本明細書で説明される膜は、堆積プロセス、例えば原子層堆積(ALD)又はALD型プロセス、例えば、限定されないが、プラズマALD(PEALD)又はプラズマ周期的化学気相堆積プロセス(PECCVD)、流動性化学気相堆積(FCVD)、又はプラズマ流動性化学気相堆積(PEFCVD)で堆積される。本明細書で説明される低温(例えば、約周辺温度〜600℃の範囲の1つ又は複数の堆積温度)での方法は、以下の利点:熱原子層堆積、プラズマ原子層堆積(ALD)プロセス、又はプラズマALD型プロセスにおける高いコンフォーマル性、低い化学不純物、約2.1g/cc以上の密度、得られた膜中の炭素含有量を調整する能力、及び/又は膜が0.5wt%の希釈HFで測定した場合に5オングストローム毎秒(Å/秒)のエッチング速度を有することのうち少なくとも1つ又は複数を示す膜又は材料を提供する。炭素ドープ酸化ケイ素膜については、他の特徴、例えば、限定されないが、約1.8g/cc以上又は約2.0g/cc以上の密度に加えて、0.5wt%の希釈HF中でエッチング速度を2Å/秒未満の値に調整するために、1%超の炭素が望まれる。
【0027】
本明細書で開示される方法は、当業者に公知の設備を使用して実施することができる。例えば、方法は、半導体製造技術分野において慣例である反応器を用いることができる。
【0028】
如何なる理論又は解釈により束縛されることを望むわけではないが、本明細書で開示される前駆体組成物の有効性は、ケイ素原子の数と、特にケイ素原子の結合とに応じて変えることができると考えられる。本明細書で開示される前駆体は、典型的に、3〜5個のケイ素原子と、5〜8個のケイ素−酸素結合とを有する。
【0029】
本明細書で開示される前駆体は、当技術分野で公知のものとは異なる構造を有し、したがって、従来のケイ素含有前駆体に比べ良好な性能を発揮することができ、比較的高いGPCを提供することができ、より高い品質の膜を作り出し、好ましいウェットエッチ速度を有し、又は低い元素汚染物質を有する。
【0030】
本明細書で開示されるのは、気相堆積プロセスを使用して酸化ケイ素、炭素ドープ酸化ケイ素、又は炭酸窒化ケイ素膜から選択される膜を堆積するための組成物であり、その組成物は、式A、式B、式C、式D又は式E:
【化3】
のいずれかを有する化合物であって、式中、R
1が、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
3〜C
10複素環基、C
3〜C
10アルケニル基、C
3〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され;R
2が、水素、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
3〜C
10複素環基、C
3〜C
10アルケニル基、C
3〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基からなる群より選択され、R
1及びR
2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;R
3~10が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
2〜C
10アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され;Xが、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
2〜C
10アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、C
4〜C
10アリール基、C
1〜C
10アシル基、アミン基(−NR
1R
2)、H、Cl、Br、I、F、C
2〜C
12カルボキシレート基、C
1〜C
10直鎖状又は分枝状アルコキシ基、トリメチルシロキシ基、ジメチルシロキシ基、メチルシロキシ基、及びシロキシ基からなる群より選択され;R
1及びXが、結合して環状環を形成するか又は結合せずに環状環を形成しないかのいずれかであり;式C中でR
1~8が全てメチル基である場合は、Xがトリメチルシロキシ基であることができず、式D中でR
1~10が全てメチル基である場合は、Xがメチル又はジメチルアミノ基であることができない化合物を含む。
【0031】
好ましい実施形態において、上記条件にしたがって、R
1~10の少なくとも1つがC
1〜C
4アルキル基である。式A及びBについて、好ましい実施形態は、R
1~9のそれぞれがC
1〜C
4アルキル基である化合物を含む。
【0032】
上記の式において及び説明を通じて、「オリゴシロキサン」という用語は、少なくとも2つの繰り返し−Si−O−シロキサン単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し−Si−O−シロキサン単位を含む化合物を示し、それは環状又は直鎖状構造、好ましくは環状構造であることができる。
【0033】
上記の式において及び説明を通じて、「アルキル」という用語は、1〜10個の端子原子を有する直鎖状又は分枝状官能基である。例示の直鎖状アルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル基が挙げられる。例示の分枝状アルキル基としては、限定されないが、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、イソへキシル、及びネオヘキシルが挙げられる。幾つかの実施形態において、アルキル基は、それらに結合した1つ又は複数の官能基、例えば、限定されないが、それらに結合したアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はそれらの組み合わせを有することができる。他の実施形態において、アルキル基は、それらに結合した1つ又は複数の官能基を有さない。アルキル基は、置換されていてもよく、又は代替的に置換されてなくてもよい。
【0034】
上記の式において及び説明を通じて、「環状アルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を有する環状官能基を示す。例示の環状アルキル基としては、限定されないが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチル基が挙げられる。
【0035】
上記の式において及び説明を通じて、「アルケニル基」という用語は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有し、2〜10個又は2〜6個の炭素原子を有する基を示す。
【0036】
本明細書で説明される式において及び説明を通じて、「ジアルキルアミノ」基、「アルキルアミノ」基、又は「有機アミノ」基という用語は、窒素原子に結合した2つのアルキル基又は窒素原子に結合した1つのアルキルを有し、1〜10個又は2〜6個又は2〜4個の炭素原子を有する基を示す。例としては、限定されないが、HNMe、HNBu
t、NMe
2、NMeEt、NEt
2、及びNPr
i2が挙げられる。
【0037】
上記の式において及び説明を通じて、「アリール」という用語は、4〜10個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、又は6〜10個の炭素原子を有する芳香族環状官能基を示す。例示のアリール基としては、限定されないが、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル、o−キシリル、1,2,3−トリアゾリル、ピロリル、及びフラニルが挙げられる。
【0038】
説明を通じて、「アルキル炭化水素」という用語は、直鎖状又は分枝状C
1〜C
20炭化水素、環状C
6〜C
20炭化水素を言い表す。例示の炭化水素としては、限定されないが、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロオクタン、シクロノナン、及びシクロデカンが挙げられる。
【0039】
説明を通じて、「アルコキシ」という用語は、C
1〜C
10の−OR
1基を示し、R
1は上で規定したとおりである。例示のアルコキシ基としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、及びフェノキシドが挙げられる。
【0040】
説明を通じて、「カルボキシレート」という用語は、C
2〜C
12の−OC(=O)R
1基を示し、R
1は上で規定したとおりである。例示のカルボキシレート基としては、限定されないが、アセテート(−OC(=O)Me)、エチルカルボキシレート(−OC(=O)Et)、イソプロピルカルボキシレート(−OC(=O)
iPr)、及びベンゾエート(−OC(=O)Ph)が挙げられる。
【0041】
説明を通じて、「芳香族炭化水素」という用語は、C
6〜C
20芳香族炭化水素を言い表す。例示の芳香族炭化水素としては、限定されないが、トルエン及びメシチレンが挙げられる。
【0042】
上記の式において及び説明を通じて、「複素環」という用語は、約3〜約10個の環状原子、好ましくは約5〜約10個の環状原子の非芳香族の飽和した単環又は複数環の環状系を意味し、環状系中の原子の1つ又は複数が炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素又は硫黄である。好ましい複素環は、約5〜約6個の環状原子を含有する。複素環の前の接頭語のアザ、オキソ、又はチオは、それぞれ、少なくとも窒素、酸素、又は硫黄原子が環状原子として存在していることを意味する。複素環は、任意選択で置換される。
【0043】
式A〜Eを有する例示の有機アミノ官能化直鎖状及び環状オリゴシロキサンを表1に示す。
【0044】
[表1:R
1~10が独立して水素及びC
1〜C
4アルキル基から選択される、式A〜Eを有する例示の有機アミノ官能化直鎖状及び環状オリゴシロキサン]
【表1】
【表2】
【表3】
【0045】
式A又はBを有する化合物は、例えば、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンの有機アミンとの触媒脱水素カップリング(例えば、シクロトリシロキサンについては式(1);シクロテトラシロキサンはまた、式(3)の場合に用いることができる)又は塩素化シクロトリシロキサンの有機アミン又は有機アミンの金属塩との反応(例えば、式(2);塩素化シクロテトラシロキサンはまた、式(4)の場合に用いることができる)により合成することができる。
【化4】
【0046】
好ましくは、反応混合物中の有機アミンに対するシクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンのモル比は、約1〜1.0、1〜1.5、1〜2、1〜3、1〜4、又は1〜10である。
【0047】
式(1)及び(3)において本発明の方法で用いられる触媒は、ケイ素−窒素結合の形成を促進するものである。本明細書で説明される方法で使用することができる例示の触媒としては、限定されないが、以下:アルカリ土類金属触媒;ハライド非含有の主族、遷移金属、ランタニド、及びアクチニド触媒;並びにハライド含有の主族、遷移金属、ランタニド、及びアクチニド触媒が挙げられる。
【0048】
例示のアルカリ土類金属触媒としては、限定されないが、以下:Mg[N(SiMe
3)
2]
2、To
MMgMe[To
M=トリス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリニル)フェニルボレート]、To
MMg−H、To
MMg−NR
2(R=H、アルキル、アリール)Ca[N(SiMe
3)
2]
2、[(dipp−nacnac)CaX(THF)]
2(dipp−nacnac=CH[(CMe)(2,6−
iPr
2−C
6H
3N)]
2;X=H、アルキル、カルボシリル、有機アミノ)、Ca(CH
2Ph)
2、Ca(C
3H
5)
2、Ca(α−Me
3Si−2−(Me
2N)−ベンジル)
2(THF)
2、Ca(9−(Me
3Si)−フルオレニル)(α−Me
3Si−2−(Me
2N)−ベンジル)(THF)、[(Me
3TACD)
3Ca
3(μ
3−H)
2]
+(Me
3TACD=Me
3[12]aneN
4)、Ca(η
2−Ph
2CNPh)(hmpa)
3(hmpa=ヘキサメチルホスホルアミド)、Sr[N(SiMe
3)
2]
2、及び、他のM
2+ アルカリ土類金属−アミド、−イミン、−アルキル、−水素化物、及び−カルボシリル錯体(M=Ca、Mg、Sr、Ba)が挙げられる。
【0049】
例示のハライド非含有の、主族、遷移金属、ランタニド、及びアクチニド触媒としては、限定されないが、以下:1,3−ジ−イソ−プロピル−4,5−ジメチルイミダゾル−2−イルイデン、2,2’−ビピリジル、フェナントロリン、B(C
6F
5)
3、BR
3(R=直鎖状、分枝状、又は環状C
1〜C
10アルキル基、C
5〜C
10アリール基、又はC
1〜C
10アルコキシ基)、AlR
3(R=直鎖状、分枝状、又は環状C
1〜C
10アルキル基、C
5〜C
10アリール基、又はC
1〜C
10アルコキシ基)、(C
5H
5)
2TiR
2(R=アルキル、H、アルコキシ、有機アミノ、カルボシリル)、(C
5H
5)
2Ti(OAr)
2[Ar=(2,6−(
iPr)
2C
6H
3)]、(C
5H
5)
2Ti(SiHRR’)PMe
3(式中、R、R’は、それぞれ独立して、H、Me、Phから選択される)、TiMe
2(dmpe)
2(dmpe=1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン)、ビス(ベンゼン)クロム(0)、Cr(CO)
6、Mn
2(CO)
12、Fe(CO)
5、Fe
3(CO)
12、(C
5H
5)Fe(CO)
2Me、Co
2(CO)
8、Ni(II)アセテート、ニッケル(II)アセチルアセトネート、Ni(シクロオクタジエン)
2、[(dippe)Ni(μ−H)]
2(dippe=1,2−ビス(ジ−イソ−プロピルホスフィノ)エタン)、(R−インデニル)Ni(PR’
3)Me(R=1−
iPr、1−SiMe
3、1,3−(SiMe
3)
2;R’=Me、Ph)、[{Ni(η−CH
2:CHSiMe
2)
2O}
2{μ−(η−CH
2:CHSiMe
2)
2O}]、Cu(I)アセテート、CuH、[トリス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリニル)フェニルボレート]ZnH、(C
5H
5)
2ZrR
2(R=アルキル、H、アルコキシ、有機アミノ、カルボシリル)、Ru
3(CO)
12、[(Et
3P)Ru(2,6−ジメシチルチオフェノレート)][B[3,5−(CF
3)
2C
6H
3]
4]、[(C
5Me
5)Ru(R
3P)
x(NCMe)
3-x]
+(式中、Rが、直鎖状、分枝状、又は環状C
1〜C
10アルキル基、及びC
5〜C
10アリール基、から選択され;x=0、1、2、3)、Rh
6(CO)
16、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニル水素化物、Rh
2H
2(CO)
2(dppm)
2(dppm=ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、Rh
2(μ−SiRH)
2(CO)
2(dppm)
2(R=Ph、Et、C
6H
13)、Pd/C、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、Pd(II)アセテート、(C
5H
5)
2SmH、(C
5Me
5)
2SmH、(THF)
2Yb[N(SiMe
3)
2]
2、(NHC)Yb(N(SiMe
3)
2)
2[NHC=1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾル−2−イリデン)]、Yb(η
2−Ph
2CNPh)(hmpa)
3(hmpa=ヘキサメチルホスホルアミド)、W(CO)
6、Re
2(CO)
10、Os
3(CO)
12、Ir
4(CO)
12、(アセチルアセトネート)ジカルボニルイリジウム(I)、Ir(Me)
2(C
5Me
5)L(L=PMe
3、PPh
3)、[Ir(シクロオクタジエン)OMe]
2、PtO
2(アダムス触媒))、炭素上白金(Pt/C)、炭素上ルテニウム(Ru/C)、アルミナ上ルテニウム、炭素上パラジウム、炭素上ニッケル、炭素上オスミウム、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(カーステッド触媒)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)白金(0)、Pt(シクロオクタジエン)
2、[(Me
3Si)
2N]
3U][BPh
4]、[(Et
2N)
3U][BPh
4]、及び他のハライド非含有M
n+錯体(M=Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、U;n=0、1、2、3、4、5、6)が挙げられる。上で挙げた触媒、並びに純貴金属、例えば、ルテニウム、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウムはまた、担体に固定されることができる。担体は高表面積を持つ固形物である。典型的な担体材料としては、限定されないが、アルミナ、MgO、ゼオライト、炭素、モノリスコージライト、珪藻土、シリカゲル、シリカ/アルミナ、ZrO及びTiO
2が挙げられる。好ましい担体は炭素(例えば、炭素上白金、炭素上パラジウム、炭素上ロジウム、炭素上ルテニウム)、アルミナ、シリカ及びMgOである。触媒の金属荷重は約0.01〜約50wt%の範囲である。好ましい範囲は約0.5〜約20wt%である。より好ましい範囲は、約0.5〜約10wt%である。活性化を必要とする触媒は、多くの公知の方法で活性化することができる。真空下で触媒を加熱することが好ましい方法である。触媒は、反応ベッセルに追加する前に活性化されるか又は反応剤を加える前に反応ベッセル内で活性化されることができる。触媒が促進剤を含有することができる。促進剤は、それ自体が触媒ではないが、活性触媒と少量混合された場合にそれらの性能(活性及び/又は選択性)を増加させるものである。促進剤は、通常、金属、例えば、Mn、Ce、Mo、Li、Re、Ga、Cu、Ru、Pd、Rh、Ir、Fe、Ni、Pt、Cr、Cu及びAu、並びに/又はそれらの酸化物である。それらは、反応ベッセルに別々に加えることができ、又はそれらは、自体が触媒の一部であることができる。例えば、Ru/Mn/C(マンガンにより促進された炭素上ルテニウム)又はPt/CeO
2/Ir/SiO
2(セリア及びイリジウムで促進されたシリカ上白金)である。幾つかの促進剤は、それ自体が触媒として作用することができるが、主触媒と組み合わせたそれらの使用により、主触媒の能力を向上させることができる。触媒は、他の触媒のための促進剤として作用することができる。この文脈において、触媒は2元金属(又は多元金属)触媒と称される場合がある。例えば、Ru/Rh/Cは、炭素上ルテニウム−ロジウム2元金属触媒、又はロジウムにより促進された炭素上ルテニウムのいずれかで呼ぶことができる。活性触媒は、特定の化学反応において触媒として作用する材料である。
【0050】
例示のハライド含有の、主族、遷移金属、ランタニド、及びアクチニド触媒としては、限定されないが、以下:BX
3(X=F、Cl、Br、I)、BF
3・OEt
2、AlX
3(X=F、Cl、Br、I)、(C
5H
5)
2TiX
2(X=F、CI)、[Mn(CO)
4Br]
2、NiCl
2、(C
5H
5)
2ZrX
2(X=F、CI)、PdCl
2、PdI
2、CuCl、CuI、CuF
2、CuCl
2、CuBr
2、Cu(PPh
3)
3Cl、ZnCl
2、[(C
6H
6)RuX
2]
2(X=Cl、Br、I)、(Ph
3P)
3RhCl(ウィルキンソン触媒)、[RhCl(シクロオクタジエン)]
2、ジ−μ−クロロ−テトラカルボニルジロジウム(I)、ビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニルクロニド、NdI
2、SmI
2、DyI
2、(POCOP)IrHCl(POCOP=2,6−(R
2PO)
2C
6H
3;R=
iPr、
nBu、Me)、H
2PtCl
6・nH
2O(スパイエル触媒)、PtCl
2、Pt(PPh
3)
2Cl
2、及び他のハライド含有M
n+錯体(M=Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、U;n=0、1、2、3、4、5、6)が挙げられる。
【0051】
反応混合物中のシクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンに対する触媒のモル比は、0.1〜1、0.05〜1、0.01〜1、0.005〜1、0.001〜1、0.0005〜1、0.0001〜1、0.00005〜1、又は0.00001〜1の範囲である。1つの特定の実施形態において、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンの当量に対して0.05〜0.07当量の触媒が使用される。別の特定の実施形態において、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンの当量に対して触媒の0.00008当量の触媒が使用される。
【0052】
幾つかの実施形態において、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサン、有機アミン、及び1つ又は複数の触媒を含む反応混合物は、無水溶媒をさらに含む。例示の溶媒としては、限定されないが、直鎖状−、分枝状−、環状−、又はポリ−エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジグリム、及び/又はテトラグリム);直鎖状−、分枝状−、又は環状−アルカン、アルケン、芳香族化合物及びハロ炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、トルエン、及びジクロロメタン)を挙げることができる。加える必要がある場合、1つ又は複数の溶媒の選択は、反応混合物中に含有する反応剤との適合性、触媒の可溶性、並びに/又は中間生成物及び/又は選択された最終生成物のための分離プロセスによって影響されることがある。他の実施形態において、反応混合物は溶媒を含まない。
【0053】
本明細書で説明される方法において、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンと有機アミンとの間の反応は、約0〜200℃、好ましくは0〜約100℃の範囲の1つ又は複数の温度で起こる。反応のための例示の温度は、以下の端点:0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100℃のうち任意の1つ又は複数を有する範囲を含む。この反応のための適切な温度範囲は、反応剤と、任意選択の溶媒との物理特性により決定することができる。特定の反応器の温度範囲の例示としては、限定されないが、0〜80℃又は0〜30℃が挙げられる。
【0054】
本明細書で説明される方法の幾つかの実施形態において、反応の圧力は、約1〜約115psia又は約15〜約45psiaの範囲であることができる。シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンが周辺条件下で液体である幾つかの実施形態において、反応は大気圧で進行する。シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンが周辺条件下で気体である幾つかの実施形態において、反応は15psia超の下で進行する。
【0055】
幾つかの実施形態において、1つ又は複数の反応剤は、液体又は蒸気として反応混合物に導入することができる。反応剤の1つ又は複数が蒸気として加えられる実施形態において、窒素又は不活性ガスのような非反応性ガスをキャリアガスとして使用して、反応混合物にその蒸気を輸送することができる。反応剤の1つ又は複数が液体として加えられる実施形態において、反応剤を、原液で加えるか又は代替的に溶媒で希釈して加えることができる。有機アミノシラン生成物を含有する粗混合物又は粗液体への所望の変換が達成されるまで、反応剤が反応混合物に供給される。幾つかの実施形態において、反応剤を補給して、反応器から反応生成物及び粗液体を除去することで、連続的方法により反応を進行することができる。
【0056】
式A〜Eの化合物、1つ又は複数の触媒、場合により残留有機アミン、1つ又は複数の溶媒、又は1つ又は複数の望ましくない生成物を含む粗混合物は、1つ又は複数の分離プロセスを要求することがある。適切な分離プロセスの例示としては、限定されないが、蒸留、蒸発、薄膜分離、ろ過、気相移動、抽出、逆カラム(inverted column)を使用した分留、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
式C、D又はEを有する化合物は、例えば、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンを、例えば、塩化アセチル、ヨウ化メチル、トリメチルクロロシラン、又は他種のクロロシラン反応剤で開環し、ハライド置換直鎖状トリシロキサン又はテトラシロキサンを生成し、その後、有機アミンと反応させることで、合成することができる(例えば、式5〜7)。代替的に、式C、D又はEを有する化合物は、R
1R
2N−X種、例えばMe
2NSiMe
3との直接反応により合成することができる(例えば、式8)。式C、D又はEを有する化合物はまた、シクロトリシロキサン又はシクロテトラシロキサンを、有機リチウム反応剤、例えば、メチルリチウム又はリチウムアミドで開環し、その後有機アミノクロロシラン又はクロロシランと反応させることで合成することができる(例えば、式9−10)。式5〜10により例示されたこれらの開環反応は触媒の存在を要する場合がある。ハロゲン化オリゴシロキサン化合物又は中間物が2当量の有機アミンHNR
1R
2と反応する反応において(式5〜7)、代替的に1当量のみの有機アミンHNR
1R
2を、Et
3Nのような3級アミンの存在下で使用することができ、したがって、塩副産物として3級アミン塩酸塩を作り出すことに留意すべきである。
【化5】
【化6】
式5〜10で例示された合成方法はまた、式(vi)
【化7】
を有するシクロテトラシロキサン初期材料を用いて行うことができる。
【0058】
式1〜10は、例示の調製の化学式であり、式A、B、C、D又はEを有する化合物の調製に関して、如何なる方法で限定されることは意図されない。
【0059】
本発明に係る式A、B、C、D又はEを有するケイ素前駆体化合物、及び本発明に係る式A、B、C、D又はEを有するケイ素前駆体化合物を含む組成物は、好ましくは、ハライドイオンを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、それがハライドイオン(又はハライド)、例えば、塩化物(すなわち、塩素含有種、例えばHCl又は少なくとも1つのSi−Cl結合を有するケイ素化合物)、フッ化物、臭化物、及びヨウ化物に関する場合、ICP−MSで測定した場合に5ppm(重量)未満、好ましくは、ICP−MSで測定した場合に3ppm未満、より好ましくはICP−MSで測定した場合に1ppm未満、及び最も好ましくはICP−MSで測定した場合に0ppm未満であることを意味する。塩化物は、式Aを有するケイ素前駆体化合物に対する分解触媒として作用すると知られている。最終生成物中の有意なレベルの塩化物は、ケイ素前駆体化合物を劣化させる場合がある。ケイ素前駆体化合物が徐々に劣化すると、膜堆積プロセスに直接的に影響を及ぼす場合があり、半導体製造業者が膜仕様を満たすことを困難にさせる。そして、保存期間又は安定性は、ケイ素前駆体化合物のより高い劣化速度により悪影響を受け、それによって、1〜2年間の保存期間を保証することが難しくなる。したがって、ケイ素前駆体化合物の加速した分解により、これらの可燃性及び/又は自然発火性のガス状副産物の形成に関する安全性及び性能の懸念が生じる。式A、B、C、D又はEを有するケイ素前駆体化合物は、好ましくは、金属イオン、例えば、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+、Al
3+、Fe
2+、Fe
2+、Fe
3+、Ni
2+、Cr
3+を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、それがLi、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Ni、Crに関する場合、ICP−MSで測定した場合に5ppm(重量)未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppm未満であることを意味する。幾つかの実施形態において、式Aを有するケイ素前駆体化合物は、金属イオン、例えば、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+、Al
3+、Fe
2+、Fe
2+、Fe
3+、Ni
2+、Cr
3+を含まない。本明細書で使用される場合、金属不純物を「含まない」という用語は、それがLi、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Ni、Cr、貴金属、例えば、合成で使用されるルテニウム又は白金触媒からの揮発性Ru又はPt錯体に関する場合、ICP−MS又は金属を測定するための他の分析方法で測定した場合に1ppm未満、好ましくは0.1ppm(重量)未満であることを意味する。
【0060】
別の実施形態において、基材上にケイ素及び酸素を含む膜を堆積するための方法であって、
a)反応器中に基材を提供する工程と、
b)少なくとも1つのケイ素前駆体化合物を反応器中に導入する工程であって、少なくとも1つのケイ素前駆体化合物が式A〜E:
【化8】
からなる群より選択され、式中、R
1が、独立して、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
3〜C
10複素環基、C
3〜C
10アルケニル基、C
3〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され;R
2が、水素、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
3〜C
10複素環基、C
3〜C
10アルケニル基、C
3〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基からなる群より選択され、R
1及びR
2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;R
3~10が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
2〜C
10アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され;Xが、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、C
3〜C
10環状アルキル基、C
2〜C
10アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、C
4〜C
10アリール基、C
1〜C
10アシル基、アミン基(−NR
1R
2)、H、Cl、Br、I、F、C
2〜C
12カルボキシレート基、C
1〜C
10直鎖状又は分枝状アルコキシ基、トリメチルシロキシ基、ジメチルシロキシ基、メチルシロキシ基、及びシロキシ基からなる群より選択され;R
1及びXが、結合して環状環を形成するか又は結合せずに環状環を形成しないかのいずれかである、工程と、
c)パージガスで反応器をパージする工程と、
d)酸素含有源を反応器中に導入する工程と、
e)パージガスで反応器をパージする工程とを含み、所望の膜厚が堆積されるまで工程b〜eが繰り返され、約25〜600℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる、方法が提供される。
【0061】
本明細書で開示される方法は、以下の特徴、約2.1g/cc以上の密度、1:100のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液中で測定した場合に約2.5Å/秒未満のウェットエッチ速度;6MV/cm以下で約1e−8A/cm
2未満の漏電;及び二次イオン質量分析(SIMS)により測定した場合に約5e20at/cc未満の水素不純物のうち少なくとも1つを含む酸化ケイ素膜を形成する。
【0062】
本明細書で説明される方法及び組成物の幾つかの実施形態において、ケイ素含有誘電体材料の層は、例えば、反応チャンバーを用いて化学気相堆積(CVD)プロセスにより、基材の少なくとも一部に堆積される。適切な基材としては、限定されないが、半導体材料、例えば、ガリウムヒ素(「GaAs」)、シリコン、及びシリコン含有組成物、例えば、結晶シリコン、ポリシリコン、非晶質シリコン、エピタキシャルシリコン、二酸化ケイ素(「SiO
2」)、シリコンガラス、窒化ケイ素、溶融シリカ、ガラス、クオーツ、ホウケイ酸塩ガラス、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の適切な材料としては、クロム、モリブデン、及び半導体、集積回路、フラットパネルディスプレイ、及びフレキシブルディスプレイ用途で一般的に用いられる他の金属が挙げられる。基材は、追加の層、例えば、ケイ素、SiO
2、有機ケイ酸ガラス(OSG)、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、炭窒化ホウ素、炭化ケイ素、水素化炭化水素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、有機−無機複合材料、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔質有機及び無機材料及び複合体、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム及び酸化ゲルマニウムを有することができる。また更なる層は、ゲルマノシリケート、アルミノシリケート、銅及びアルミニウム、並びに拡散バリア材料、例えば、限定されないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、又はWNであることもできる。
【0063】
本明細書で開示される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを伴うことができる。未消費の反応剤及び/又は反応副産物をパージするために使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示のパージガスとしては、限定されないが、アルゴン、(Ar)、窒素(N
2)、ヘリウム(He)、ネオン、水素(H
2)、及びそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、Arのようなパージガスは、約0.1〜1000秒間の間、約10〜約2000sccmの範囲の流量で反応器中に供給され、それによって、反応器に残っていることがある未反応の材料及び任意の副産物をパージする。
【0064】
アルゴンのようなパージガスは、プロセスチャンバーから未吸収の過剰な複合体をパージする。十分なパージの後、酸素源を反応チャンバー中に導入して、吸収の表面と反応させ、その後別のガスパージを行い、チャンバーから反応副産物を除去することができる。プロセスサイクルは、所望の膜厚が達成されるまで繰り返すことができる。幾つかの場合では、パージは、パージガスを不活性ガスに置き換えることができ、又は両方を用いて未反応のケイ素前駆体を除去することができる。
【0065】
説明を通じて、「ALD又はALD型」という用語は、限定されないが、以下のプロセス:a)ケイ素前駆体及び反応ガスを含む各反応剤を、反応器、例えば、シングルウエハALD反応器、半バッチALD反応器、又はバッチ炉ALD反応器中に連続して導入すること;b)基材を、各セクションが不活性ガスカーテンより分離されている反応器、すなわち、空間的ALD反応器又はロールツーロールALD反応器の様々なセクションに移動又は回転することで、ケイ素前駆体及び反応ガスを含む各反応剤を基材にさらすことを含むプロセスを言い表す。
【0066】
本発明の方法は、プラズマを含む酸素含有源又はオゾンを使用するALDプロセスにより行われ、プラズマは、以下:不活性ガスを含むか又は含まない酸素プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない水蒸気プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない窒素酸化物(例えば、N
2O、NO、NO
2)プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない炭素酸化物(例えば、CO
2、CO)プラズマ、及びそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数のような不活性ガスをさらに含むことができる。
【0067】
酸素含有プラズマ源は、その場で又は代替的に遠隔で生成することができる。1つの特定の実施形態において、酸素含有源は酸素を含み、方法の工程b〜dの間に、他の反応剤、例えば、限定されないが、少なくとも1つのケイ素前駆体及び任意選択で不活性ガスと共に流れるか又は導入される。
【0068】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明され、開示される方法で用いられる組成物は、溶媒をさらに含む。例示の溶媒としては、限定されないが、エーテル、3級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、3級アミノエーテル、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。幾つかの実施形態において、ケイ素前駆体の沸点と溶媒の沸点との間の差は40℃以下である。幾つかの実施形態において、組成物を、直接液体注入を通じてケイ素含有膜のための反応チャンバーに送ることができる。
【0069】
式A〜Eを有する少なくとも1つのケイ素前駆体が、溶媒を含む組成物中で使用される実施形態において、選択された溶媒又はその混合物は、ケイ素前駆体と反応しない。重量パーセントでの組成物中の溶媒の量は、0.5〜99.5wt%、又は10〜75wt%の範囲である。この又は他の実施形態において、溶媒は、式A〜Eのケイ素前駆体の沸点(b.p.)と同様のb.p.を有するか、又は溶媒のb.p.と式A〜Eのケイ素前駆体のb.p.との間の差が、40℃以下、30℃以下、又は20℃以下、又は10℃以下である。代替的に、沸点間の差は、以下の端点:0、10、20、30又は40℃のうち任意の1つ又は複数の範囲である。b.p.差の適切な範囲の例としては、限定されないが、0〜40℃、20〜30℃、又は10〜30℃が挙げられる。組成物中の適切な溶媒の例は、限定されないが、エーテル(例えば、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル)、3級アミン(例えば、ピリジン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、ニトリル(例えば、ベンゾニトリル)、アルキル炭化水素(例えば、オクタン、ノナン、ドデカン、エチルシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、メシチレン)、3級アミノエーテル(例えば、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル)、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明される方法を使用して堆積される酸化ケイ素又は炭素ドープ酸化ケイ素膜は、オゾン、水(H
2O)(例えば、脱イオン水、精製水、及び/又は蒸留水)、酸素(O
2)、酸素プラズマ、NO、N
2O、NO
2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、及びそれらの組み合わせを含む酸素含有源の存在下で形成される。酸素含有源は、例えば、その場又は遠隔プラズマ生成器のいずれかを通過して、酸素を含む酸素含有プラズマ源、例えば、酸素プラズマ、酸素及びアルゴンを含むプラズマ、酸素及びヘリウムを含むプラズマ、オゾンプラズマ、水プラズマ、亜酸化窒素プラズマ、又は二酸化炭素プラズマを提供する。幾つかの実施形態において、酸素含有プラズマ源は、約1〜約2000標準立法センチメートル毎分(sccm)又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器中に導入される酸素源ガスを含む。酸素含有プラズマ源は、約0.1〜約100秒間の範囲の時間で導入することができる。1つの特定の実施形態において、酸素含有プラズマ源は、10℃以上の温度を有する水を含む。膜がPEALD又はプラズマ周期的CVDプロセスにより堆積される実施形態において、前駆体パルスは、ALD反応器の容積に応じて、0.01秒間超(例えば、約0.01〜約0.1秒間、約0.1〜約0.5秒間、約0.5〜約10秒間、約0.5〜約20秒間、約1〜約100秒間)のパルス幅を有することができ、酸素含有プラズマ源は、0.01秒間未満(例えば、約0.001〜約0.01秒間)のパルス幅を有することができる。
【0071】
上で説明した1つ又は複数の実施形態において、酸素含有プラズマ源は、不活性ガスを含むか又は含まない酸素プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない水蒸気プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない窒素酸化物(N
2O、NO、NO
2)プラズマ、不活性ガスを含むか又は含まない炭素酸化物(CO
2、CO)プラズマ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。幾つかの実施形態において、酸素含有プラズマ源は、不活性ガスをさらに含む。これらの実施形態において、不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、又はそれらの組み合わせからなる群より選択される。代替的な実施形態において、酸素含有プラズマ源は、不活性ガスを含まない。
【0072】
前駆体、酸素源、並びに/又は他の前駆体、源ガス、及び/若しくは反応剤を供給するそれぞれの工程は、得られる誘電体膜の化学量論組成を変えるために、それらを供給する時間を変化させることで行うことができる。
【0073】
式A〜Eのケイ素前駆体、酸素含有源、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つにエネルギーを適用して、反応を誘導し、基材上に誘電体膜又はコーティングを形成する。そのようなエネルギーは、限定されないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、eビーム、光子、遠隔プラズマ法、及びそれらの組み合わせにより提供することができる。幾つかの実施形態において、二次RF周波数源を使用して、基材表面でのプラズマ特性を改質することができる。堆積がプラズマを伴う実施形態において、プラズマ生成プロセスは、プラズマが反応器中で直接生成される直接プラズマ生成プロセスか、又は代替的に、プラズマが反応器の外側で生成されて反応器中に供給される遠隔プラズマ生成プロセスかを含むことができる。
【0074】
少なくとも1つのケイ素前駆体は、反応チャンバー、例えば、プラズマ周期的CVD又はPEALD反応器又はバッチ炉型反応器に、様々な方法で送ることができる。1つの実施形態において、液体輸送システムを用いることができる。代替的な実施形態において、複合された液体輸送及びフラッシュ気化プロセスユニット、例えば、Shoreview(MN)のMSP Corporationで製造されるターボ気化装置を用いることができ、低揮発性材料を容量的に輸送することができ、それにより、前駆体の熱分解なく、再現可能な輸送及び堆積がもたらされる。液体輸送配合物中において、本明細書で説明される前駆体は、原液形態で送ることができ、又は代替的に、それを含む溶媒配合物又は組成物中で用いることができる。したがって、幾つかの実施形態において、前駆体配合物は、基材上に膜を形成するために所与の最終使用用途で望ましく有利であることができるように、適切な特徴の1つ又は複数の溶媒成分を含むことができる。
【0075】
上で述べたように、少なくとも1つのケイ素前駆体の純度レベルは、信頼性のある半導体製造に許容されるのに十分な程度有意に高い。幾つかの実施形態において、本明細書で説明される少なくとも1つのケイ素前駆体は、2wt%未満、又は1wt%未満、又は0.5wt%未満の以下の不純物:有利アミン、有利ハライド又はハロゲンイオン、及びより高い分子量種のうち1つ又は複数を含む。本明細書で説明されるケイ素前駆体のより高い純度レベルは、以下のプロセス:精製、吸着、及び/又は蒸留のうち1つ又は複数を通じて得ることができる。
【0076】
本明細書で説明される方法の1つの実施形態において、プラズマ周期的堆積プロセス、例えば、PEALD型又はPEALDを使用することができ、その堆積は、少なくとも1つのケイ素前駆体及び酸素プラズマ源を使用して行われる。PEALD型プロセスは、プラズマ周期的CVDプロセスとして規定されるが、高いコンフォーマルなケイ素及び酸素含有膜を提供する。
【0077】
本発明の1つの実施形態において、基材の少なくとも1つの表面上に、ケイ素及び酸素含有膜を堆積するための方法であって、
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.上で規定したような式A〜Eを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
c.パージガスで反応器をパージする工程と、
d.反応器中にプラズマを含む酸素含有源を導入する工程と、
e.パージガスで反応器をパージする工程と
を含む方法が本明細書で説明される。この方法では、工程b〜eは、所望の膜厚が基材上に堆積されるまで繰り返される。
【0078】
この又は他の実施形態において、本明細書で説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、連続的に行うことができ、同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、及びそれらの任意の組み合わせであることができることが理解される。前駆体及び酸素源ガスを供給するそれぞれの工程は、例えば、得られる誘電体膜の化学量論組成を変えるために、それらを供給する時間の間隔を変えることで行うことができる。また、前駆体又は酸化剤工程の後のパージの時間は、生産量を向上させるように0.1秒間未満に最小化することができる。
【0079】
1つの特定の実施形態において、本明細書で説明される方法は、基材上に高品質なケイ素及び酸素含有膜を堆積する。方法は、以下の工程:
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.本明細書で説明される式A〜Eを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
c.パージガスで反応器をパージして未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と、
d.反応器中に酸素含有プラズマ源を導入する工程と、
e.パージガスで反応器をパージして、未反応の酸素源の少なくとも一部を除去する工程とを含み、工程b〜eは、所望のケイ素含有膜厚が堆積されるまで繰り返される。
【0080】
別の特定の実施形態において、本明細書で説明される方法は、600℃超の温度で基材上に高品質なケイ素及び酸素含有膜を堆積する。方法は、以下の工程:
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.本明細書で説明される式A〜Eを有する少なくとも1つの有機アミノポリシロキサン前駆体を反応器に導入する工程と、
c.パージガスで反応器をパージして未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と、
d.反応器中に酸素含有プラズマ源を導入する工程と、
e.パージガスで反応器をパージして、未反応の酸素源の少なくとも一部を除去する工程とを含み、工程b〜eは、所望のケイ素含有膜厚が堆積されるまで繰り返される。
【0081】
式A〜E、特に式C、D及びEを有し、式中R
3〜R
10が水素でない有機アミノ官能化直鎖状及び環状オリゴシロキサン前駆体は、Si−H結合を含まないか、又はSi−H基の数が限定的であるかのいずれかであり、Si−H基は600℃超の温度で分解する場合があり、望ましくない化学気相堆積を潜在的に引き起こす場合があるため、そのような前駆体は、この方法に好ましいものであると考えられる。しかしながら、短い前駆体パルス又は低い反応器圧力を使用するような幾つかの条件下で、この方法はまた、有意な望ましくない化学気相堆積なく、600℃超の温度において、式A〜Eを有し、R
3~10のいずれも水素である有機アミノ官能化直鎖状及び環状オリゴシロキサン前駆体を使用して行うことができる。
【0082】
本明細書で開示される別の方法は、酸素源に加えて、上で規定した式A〜Eにより表される化学構造を有するケイ素前駆体化合物を使用して、炭素ドープ酸化ケイ素膜を形成する。
【0083】
別の例示のプロセスは以下のとおりである:
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.上で説明したような式A〜Eにより表される構造を有する少なくとも1つのケイ素前駆体化合物から生成された蒸気を、共流している(co−flowing)酸素源に接触させるか又はさせないで、加熱した基材上に前駆体を化学的に吸収させる工程と、
c.任意の未吸収の前駆体をパージする工程と、
d.加熱した基材上に酸素源を導入して、吸収した前駆体と反応させる工程と、
e.任意の未反応の酸素源をパージする工程とを含み、工程b〜eは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0084】
別の特定の実施形態において、本明細書で説明される方法は、基材上に高品質な酸窒化ケイ素膜を堆積する。方法は以下の工程:
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.本明細書で説明される式A〜Eを有する少なくとも1つのケイ素前駆体を反応器に導入する工程と、
c.パージガスで反応器をパージして未吸収の前駆体の少なくとも一部を除去する工程と、
d.反応器中に窒素含有プラズマ源を導入する工程と、
e.パージガスで反応器をパージして、未反応の窒素源の少なくとも一部を除去する工程とを含み、工程b〜eは、所望の酸窒化ケイ素含有膜の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0085】
別の例示のプロセスは、以下のように説明される:
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.上で規定したような式A〜Eにより表される構造を有する少なくとも1つのケイ素前駆体化合物から生成された蒸気を、共流している窒素源に接触させるか又はさせずに、加熱した基材上に前駆体を化学的に吸収させる工程と、
c.任意の未吸収の前駆体をパージする工程と、
d.加熱した基材上に窒素源を導入して、吸収した前駆体と反応させる工程と、
e.任意の未反応の窒素源をパージする工程とを含み、工程b〜eは、所望の厚さが堆積されるまで繰り返される。
【0086】
様々な商業的なALD反応器、例えば、シングルウエハ、半バッチ、バッチ炉又はロールツーロール反応器を、固体の酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸窒化ケイ素、又は炭素ドープ酸化ケイ素を堆積するために用いることができる。
【0087】
本明細書で説明される方法のためのプロセス温度は、端点として以下の温度:0℃、25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、150℃、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、350℃、375℃、400℃、425℃、450℃、500℃、525℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、760℃、及び800℃のうち1つ又は複数を使用する。例示の温度範囲としては、限定されないが、以下:約0〜約300℃、又は約25〜約300℃、又は約50〜約290℃、又は約25〜約250℃、又は約25〜約200℃が挙げられる。
【0088】
別の態様において、流動性化学気相堆積(FCVD)によりケイ素及び酸素含有膜を堆積するための方法であって、
表面特徴を含む基材を反応器中に設置する工程であって、基材が約−20〜約400℃の範囲の1つ又は複数の温度で維持され、かつ、反応器の圧力が100torr以下で維持される工程と、
式A〜Eからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を導入する工程と、
酸素源を反応器中に提供して、少なくとも1つの化合物と反応させ、膜を形成し、表面特徴の少なくとも一部を被覆する工程と、
約100〜1000℃の1つ又は複数の温度で膜をアニールして、表面特徴の少なくとも一部をコーティングする工程と、
約20〜約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で基材を酸素源で処理して、表面特徴の少なくとも一部にケイ素含有膜を形成する工程と
を含む方法が提供される。
【0089】
別の態様において、流動性化学気相堆積(FCVD)によりケイ素及び酸素含有膜を堆積するための方法であって、
表面特徴を含む基材を反応器中に設置する工程であって、基材が約−20〜約400℃の範囲の1つ又は複数の温度で維持され、かつ、反応器の圧力が100torr以下で維持される工程と、
式A〜Eからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を導入する工程と、
窒素源を反応器中に提供して、少なくとも1つの化合物と反応させ、膜を形成し、表面特徴の少なくとも一部を被覆する工程と、
約100〜1000℃の1つ又は複数の温度で膜をアニールして、表面特徴の少なくとも一部をコーティングする工程と、
約20〜約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で基材を酸素源で処理して、表面特徴の少なくとも一部にケイ素含有膜を形成する工程と
を含む方法が提供される。
【0090】
幾つかの実施形態において、酸素源は、水蒸気、水プラズマ、オゾン、酸素、酸素プラズマ、酸素/ヘリウムプラズマ、酸素/アルゴンプラズマ、窒素酸化物プラズマ、二酸化炭素プラズマ、過酸化水素、有機過酸化物、及びそれらの混合物からなる群より選択される。別の実施形態において、窒素源は、例えば、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、窒素/アルゴンプラズマ、窒素/ヘリウムプラズマ、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、有機アミン、例えば、tert−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミンプラズマ、ジメチルアミンプラズマ、トリメチルプラズマ、トリメチルアミンプラズマ、エチレンジアミンプラズマ、及びアルコキシアミン、例えば、エタノールアミンプラズマ、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。また別の実施形態において、窒素含有源は、アンモニアプラズマ、窒素及びアルゴンを含むプラズマ、窒素及びヘリウムを含むプラズマ、又は水素及び窒素源ガスを含むプラズマを含む。この又は他の実施形態において、方法の工程は、表面特徴がケイ素含有膜で満たされるまで繰り返される。流動性化学気相堆積プロセスにおいて水蒸気が酸素源として使用される実施形態において、基材温度は、約−20〜約40℃又は約−10〜約25℃の範囲である。
【0091】
本明細書で説明される方法のまた更なる実施形態において、ALD、ALD型、PEALD、PEALD型、又はFCVDから堆積された膜又は堆積膜は、処理工程(後堆積)を受ける。処理工程は、堆積工程の少なくとも一部の間に、堆積工程の後に、及びそれらの組み合わせに行うことができる。例示の処理工程としては、限定されないが、高温熱アニールによる処理、プラズマ処理、紫外線(UV)光処理、レーザー、電子ビーム処理、及びそれらの組み合わせが挙げられ、膜の1つ又は複数の特性に影響を及ぼす。
【0092】
別の実施形態において、1つ又は複数のケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を堆積するための容器又はベッセルが本明細書で説明される。1つの特定の実施形態において、ベッセルは、少なくとも1つの加圧可能なベッセルを含む(好ましくは、米国特許第7334595号、同第6077356号、同第5069244号、及び5465766号の明細書に開示されるような設計を有するステンレス製であって、これらの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる)。容器は、ガラス(ホウケイ酸塩又はクオーツガラス)又は316、316L、304若しくは304L系ステンレス鋼合金(UNS表示S31600、S31603、S30400、S30403)のいずれかを含み、CVD又はALDプロセスのための反応器に1つ又は複数の前駆体を輸送することを可能とするための適切な弁及び継手が取り付けられる。この又は他の実施形態において、ケイ素前駆体は、ステンレス鋼からなる加圧可能なベッセル中で提供され、前駆体の純度は、半導体用途の大半に適する98wt%以上又は99.5wt%以上である。ベッセル又は容器のヘッドスペースは、ヘリウム、アルゴン、窒素及びそれらの組み合わせから選択される不活性ガスで充填される。
【0093】
幾つかの実施形態において、前駆体キャニスタから反応チャンバーまで接続するガスラインは、プロセスの要求に応じて1つ又は複数の温度に加熱され、少なくとも1つのケイ素前駆体の容器はバブリングのための1つ又は複数の温度に保たれる。別の実施形態において、少なくとも1つのケイ素前駆体を含む溶液は、直接液体注入のための1つ又は複数の温度に保たれた気化装置中に注入される。
【0094】
アルゴン及び/又は他のガスの流れは、前駆体パルスの間、反応チャンバーに少なくとも1つのケイ素前駆体の蒸気を輸送するのを助けるためのキャリアガスとして用いることができる。幾つかの実施形態において、反応チャンバーのプロセス圧力は約50mTorr〜10Torrである。別の実施形態において、反応チャンバーのプロセス圧力は760Torr以下(例えば、約50mtorr〜約100Torr)であることができる。
【0095】
典型的なPEALD又はPELAD型プロセス、例えば、PECCVDプロセスにおいて、酸化ケイ素基材のような基材は、複合体が基材の表面上に化学的に吸着するのを可能とするためにケイ素前駆体に最初にさらされる反応チャンバー中のヒーターステージ上で加熱される。
【0096】
本明細書で説明される式A〜Eを有するケイ素前駆体で堆積された膜は、同一の条件下で以前に開示されたケイ素前駆体を用いて堆積された膜に比べて、改善した特性、例えば、限定されないが、処理工程前の膜のウェットエッチ速度未満のウェットエッチ速度又は処理工程前の密度より高い密度を有する。1つの特定の実施形態において、堆積プロセスの間、堆積された膜は間欠的に処理される。これらの間欠的又は堆積途中での処理は、例えば、各ALDサイクルの後、何回かのALDサイクル毎、例えば、限定されないが、1回(1)ALDサイクル、2回(2)のALDサイクル、5回(5)のALDサイクル、又は10回(10)以上のALDサイクル毎に行うことができる。
【0097】
式A〜Eの前駆体は、2.0Å/サイクル以上の成長速度を示す。
【0098】
膜が高温アニール工程で処理される実施形態において、アニール温度は、堆積温度より少なくとも100℃以上高い。この又は他の実施形態において、アニール温度は約400〜約1000℃の範囲である。この又は他の実施形態において、アニール処理は、真空(<760Torr)、不活性環境、又は酸素含有環境(例えば、H
2O、N
2O、NO
2又はO
2)において行うことができる。
【0099】
膜がUV処理で処理される実施形態において、膜は、広帯域UV、又は代替的に、約150ナノメール(nm)〜約400nmの範囲の波長を有するUV源にさらされる。1つの特定の実施形態において、堆積された膜は、所望の膜厚に達した後、堆積チャンバーとは異なるチャンバー中でUVにさらされる。
【0100】
膜がプラズマで処理される実施形態において、次のプラズマ処理で膜中に侵入する塩素及び窒素汚染物質を防ぐために、SiO
2又は炭素ドープSiO
2のような不動態層が堆積される。不働態層は、原子層堆積又は周期的化学気相堆積を使用して堆積することができる。
【0101】
膜がプラズマで処理される実施形態において、プラズマ源は、水素プラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、水素及びアルゴンを含むプラズマからなる群より選択される。水素プラズマは膜の誘電率を下げ、次のプラズマアッシングプロセスへの損傷耐性を促進し、バルク内の炭素含有量をほぼ不変に保つ。
【0102】
特定の理論によって束縛されることを意図するわけではないが、上で規定したような式A〜Eで表される化学構造を有するケイ素前駆体化合物は、有機アミノ基がヒドロキシルと反応することにより基材表面上に固定されて、前駆体の分子あたり複数のSi−O−Si断片を提供することができ、したがって、1つのケイ素原子のみを有するビス(tert−ブチルアミノ)シラン又はビス(ジエチルアミノ)シランのような従来のケイ素前駆体に比べて、酸化ケイ素又は炭素ドープ酸化ケイ素の成長速度を促進すると考えられる。
【0103】
幾つかの実施形態において、上で規定したような式A〜Eを有するケイ素前駆体はまた、金属含有膜、例えば、限定されないが、金属酸化物膜又は金属酸窒化物膜のためのドーパントとして使用することができる。これらの実施形態において、金属含有膜は、ALD又はCVDプロセス、例えば、金属アルコキシド、金属アミド又は揮発性有機金属前駆体を使用する本明細書で説明されるそれらのプロセスを使用して堆積される。本明細書で開示される方法で使用することができる適切な金属アルコキシド前駆体の例としては、限定されないが、3〜6族金属アルコキシド、アルコキシ配位子及びアルキル置換シクロペンタジエニル配位子の両方を有する3〜6族金属錯体、アルコキシ配位子及びアルキル置換ピロリル配位子の両方を有する3〜6族金属錯体、アルコキシ配位子及びジケトネート配位子の両方を有する3〜6族金属錯体、アルコキシ配位子及びケトエステル配位子の両方を有する3〜6族金属錯体が挙げられる。
【0104】
本明細書で開示される方法で使用することができる適切な金属アミド前駆体の例示としては、限定されないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert−ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert−ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert−ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で開示される方法で使用することができる適切な有機金属前駆体の例示としては、限定されないが、3族金属シクロペンタジエニル又はアルキルシクロペンタジエニルが挙げられる。本明細書において、例示の3〜6族金属としては、限定されないが、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Er、Yb、Lu、Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo及びWが挙げられる。
【0105】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明されるケイ素含有膜は、6以下、5以下、4以下、及び3以下の誘電率を有する。これらの又は他の実施形態において、膜は、約5以下、又は約4以下、又は約3.5以下の誘電率であることができる。しかしながら、他の誘電率(例えば、より高い又はより低い)を有する膜を、膜の所望の最終使用に応じて形成することができると考えられる。本明細書で説明されるプロセス及び式A〜Eを有するケイ素前駆体を使用して形成されるケイ素含有膜の例は、式Si
xO
yC
zN
vH
wを有し、例えばXPS又は他の手段で決定した場合に、Siは約10〜約40原子wt%の範囲であり、Oは約0〜約65原子wt%の範囲であり、Cは約0〜約75原子wt%又は約0〜約50原子wt%の範囲であり、Nは約0〜約75原子wt%又は約0〜約50原子wt%の範囲であり、及びHは約0〜約50原子wt%の範囲であり、x+y+z+v+w=100原子wt%である。本明細書で説明されるプロセス及び式A〜Eのケイ素前駆体を使用して形成されるケイ素含有膜の別の例は、炭酸窒化ケイ素であり、炭素含有量はXPSで測定して1〜80原子%である。また、本明細書で説明されるプロセス及び式A〜Eを有するケイ素前駆体を使用して形成されたケイ素含有膜の別の例は、非晶質ケイ素であり、窒素含有量及び炭素含有量の両方の合計は、XPSで測定して、10原子%未満、好ましくは5原子%未満、最も好ましくは1原子%未満である。
【0106】
前で述べたように、本明細書で説明される方法は、基材の少なくとも一部にケイ素含有膜を堆積するために使用することができる。適切な基材の例示としては、限定されないが、ケイ素、SiO
2、Si
3N
4、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化酸炭化ケイ素、水素化酸窒化ケイ素、炭酸窒化ケイ素、水素化炭酸窒化ケイ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、ゲルマニウム、ゲルマニウム含有、ホウ素含有、Ga/As、フレキシブル基材、有機ポリマー、多孔質有機及び無機材料、金属、例えば、銅及びアルミニウム、並びに拡散バリア層、例えば、限定されないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、又はWNが挙げられる。膜は、様々な次の処理工程、例えば、化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスに適合する。
【0107】
堆積された膜は、限定されないが、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報ストレージ、支持材料又は基材上のコーティング、微小電子機械システム(MEMS)、ナノ電子機械システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO、及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。得られる固体の酸化ケイ素又は炭素ドープ酸化ケイ素の可能性のある使用としては、限定されないが、シャロートレンチ絶縁体、中間層誘電体、不動態層、エッチング停止層、デュアルスペーサの一部、及びパターニング用犠牲層が挙げられる。
【0108】
本明細書で説明される方法は、高品質の酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸化ケイ素膜を提供する。「高品質」という用語は、以下の特徴:約2.1g/cc以上、約2.2g/cc以上、約2.25g/cc以上の密度;1:100のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液中で測定した場合に、2.5Å/秒以下、2.0Å/秒以下、1.5Å/秒以下、1.0Å/秒以下、0.5Å/秒以下、0.1Å/秒以下、0.05Å/秒以下、0.01Å/秒以下のウェットエッチ速度;6MV/cm以下で約1e−8A/cm
2以下の漏電;SIMSで測定した場合に約5e20at/cc以下の水素不純物;並びにそれらの組み合わせのうち1つ又は複数を示す膜を意味する。エッチ速度に関して、熱成長酸化ケイ素膜は0.5wt%HF中で0.5Å/秒のエッチ速度を有する。
【0109】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明される式A〜Eを有する1つ又は複数のケイ素前駆体は、ケイ素及び酸素含有膜を形成するために使用することができ、その膜は、固体であり、非多孔質であるか又は実質的に孔を含まない。
【0110】
以下の例は、本発明の幾つかの態様を例示するために提供され、添付の特許請求の範囲に記載の範囲を制限しない。
【実施例】
【0111】
酸化ケイ素膜の熱原子層堆積を、実験規模のALD処理ツールで行った。ケイ素前駆体をベーパードロー(vapor draw)によりチャンバーに輸送した。全てのガス(例えば、パージ及び反応ガス又は前駆体並びに酸素前駆体)を、堆積領域に入れる前に100℃に予備加熱した。ガス及び前駆体の流量を、高速作動を持つALDダイアフラム弁を用いて制御した。堆積で使用した基材は12インチ長のシリコン帯(silicon strips)であった。試料ホルダー上に熱電対を取り付け、基材温度を確認した。酸素源ガスとしてオゾンを使用して堆積を行った。標準の堆積プロセス及びパラメータを表2に示す。
【0112】
【表4】
【0113】
電極間に3.5mmの固定空間を持つ27.1MHz直接プラズマ能力を備えた商業的なラテラルフロー反応器(ASMにより製造される300mmPEALDツール)又は13.56MHz直接プラズマ能力を備えたシャワーヘッド反応器(ASMにより製造される300mmPEALDツール)で、プラズマALD(PEALD)を行った。層流チャンバー設計は、独立した圧力設定を有する外側反応器及び内側反応器を利用する。内側反応器は、全ての反応ガス(例えば、前駆体、アルゴン)をマニホールド内で混合してプロセス反応器に輸送する堆積チャンバーである。アルゴンガスを使用して、外側チャンバー内の反応器圧力を維持した。シャワーヘッドチャンバーは1つのチャンバーのみを有し、それは通常2Torrで操作される。前駆体は、ステンレスバブラー中において室温に保たれた液体であり、前駆体をArキャリアガス(典型的には200sccm流で設定される)又はベーパードローを用いてチャンバーに輸送した。本実験で報告する全ての堆積は、8〜12Ω・cmの自然酸化物含有Si基材上で行った。膜の厚さ及び反射率を、FilmTeK2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを事前に設定した物理的モデル(例えば、ローレンツ振動子モデル)にフィッティングすることで測定した。成長速度/サイクルは、得られた酸化ケイ素膜の測定厚さを、全てのALD/PEALDサイクルの数で割ることで計算した。ウェットエッチ速度(WER)測定を、1:99で希釈したフッ化水素(HF)酸溶液を使用して行った。熱酸化物ウエハを、各セットの実験のための標準として使用して、エッチ溶液の活性度を確認した。バルク膜のWERを収集し始める前に、試料を全て15秒間エッチングして、任意の表面層を除去した。1:99dHF水溶液についての典型的な熱酸化物ウエハのウェットエッチ速度は、この手順により0.5Å/秒であった。全ての密度の測定を、x線反射(XRR)法で測定した。組成分析を、二次イオン質量分析(D−SIMS)又はX線光電子分光(XPS)を使用して行った。
【0114】
例1a.2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの合成
五塩化リンと余分な2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンとの反応から調製された、Et
2O(5mL)中の2.4mmolの2−クロロ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを含有する溶液を、ヘキサン中の1当量のジメチルアミン及びトリエチルアミンに滴下して加えた。得られた白いスラリーを1時間撹拌した。反応混合物をろ過して固形物を除去し、減圧下で低沸点溶媒を除去した。粗液体生成物をGC−MSで分析して、2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンであると決定した。GC−MSは、以下のピーク:283(M+)、268(M-15)、239、225、209、193、179、165、149、133、119、105、89、75、59、44を示した。
【0115】
例1b.2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの合成
室温において、THF(200mL)、Ru
3(CO)
12(1.12g、0.00172mol)及び2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(192g、0.792mol)の撹拌溶液に、THF(176mL、2.0M溶液)中のジメチルアミン溶液を、各回1時間の間隔をおいて4回に分けて加えた。反応溶液を室温で夜通し撹拌し続けた。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物を分留により精製し、GC分析で98%の純度を持つ56gの2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを得た。
【0116】
例1c.2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの熱安定性
2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを7日間80℃で加熱した。2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの分析では、96.41%から96.02%の平均値に落ち、これは、2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンが優れた熱安定性を有し、気相堆積プロセスに対して前駆体として適していることを示した。
【0117】
例2.2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの合成
2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(308g、1.28mol)、ジエチルアミン(34.3g、0.469mol)、及びRu
3(CO)
12触媒固形物(1.36g、0.00213mol)をベント型500mLのr.b.フラスコ中で組み合わせて、窒素雰囲気の保護の下で室温において3日間撹拌した。赤−橙色の液相を、不溶性触媒固形物からデカンテーションした。この反応を繰り返して両バッチを組み合わせた。余分な2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを、真空蒸留(10Torr/36〜38℃)で除去して、残った赤−橙色の粗生成物を残留触媒からフラスコからフラスコへ移動することにより真空移動した。収集した無色の液体を真空蒸留(1Torr/65℃)で精製して、GC分析で97%の純度を持つ128gの2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを得た。GC−MSは、以下のピーク:m/z=311(M+)、297、281、266、253、239、225、209、193、179、165、148、133、119、103、86、73を示した。
【0118】
例3.2−エチルメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの合成(仮想例)
2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(3当量)、エチルメチルアミン(1当量)、及びRu
3(CO)
12触媒固形物(0.01当量)を組み合わせて、窒素雰囲気の保護の下で室温において1〜3日間通気しながら撹拌する。赤−橙色の液相を、任意の不溶性触媒固形物からデカンテーションする。余分な2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを真空蒸留で除去して、残る赤−橙色の粗生成物を残留触媒からフラスコからフラスコへ移動することにより真空移動する。収集される無色の液体を真空蒸留で精製して、所望の生成物の2−エチルメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを得る。
【0119】
例4.2−イソプロピルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンの合成(仮想例)
2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(3当量)、イソプロピルアミン(0.3当量)、及びRu
3(CO)
12触媒固形物(0.01当量)を組み合わせて、窒素雰囲気の保護の下で室温において1時間通気しながら撹拌する。別の0.3当量のイソプロピルアミンを加えて、反応混合物をもう1時間撹拌する。別の0.3当量のイソプロピルアミンを加えて、反応混合物を夜通し撹拌する。赤−橙色の液相を、任意の不溶性触媒固形物からデカンテーションする。余分な2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを真空蒸留で除去して、残る赤−橙色の粗生成物を残留触媒からフラスコからフラスコへ移動することにより真空移動する。次いで、収集される無色の液体を真空蒸留で精製して、所望の生成物の2−イソプロピルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを得る。
【0120】
例5.1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンの合成
1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(1.00gの、オクタメチルシクロテトラシロキサン中で80%純度の材料、0.00283mol)、THF(1.76mL、0.00352mol)中のジメチルアミンの2.0M溶液、及びRu
3(CO)
12(0.04g、6.0×10
-5mol)を、ベント型20mLのシンチレーションバイアル中で組み合わせて、窒素雰囲気の保護の下で1日間室温において撹拌した。得られた黒赤色の反応溶液をGC−MSで分析して、主要な生成物として1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンを含有することを決定した。GC−MSは、以下のピーク:m/z=325(M+)、310(M-15)、294、281、265、251、236、207、193、177、163、148、133、119、102、88、73を示した。
【0121】
比較例6a.2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)を用いた、酸化ケイ素膜の熱原子層堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、以下の前駆体:TMCTSを使用して行った。堆積は、実験規模のALD処理ツールで行った。ケイ素前駆体をベーパードローでチャンバーに輸送した。堆積プロセス及びパラメータは
図2に与えられる。工程1〜6を200〜250サイクル繰り返した。それらの堆積において実際の膜堆積はほとんど得られなかった。堆積のプロセスパラメータ及び結果を表3に示す。
【0122】
【表5】
【0123】
例6b.2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを用いた酸化ケイ素膜の熱原子素堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、以下の前駆体:2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用して行った。堆積は、実験規模のALD処理ツールで行った。ケイ素前駆体をベーパードローでチャンバーに輸送した。堆積プロセス及びパラメータは表2で与えられる。工程1〜6を所望の厚さに達するまで繰り返した。
図1は、前駆体パルスの数に対する2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンのGPCの飽和曲線を示す。GPCは、前駆体パルスと共に増加し、次いで飽和していることを理解することができ、これは前駆体のALD挙動を示している。堆積プロセス温度、GPC及び膜特性を表4に示す。
【0124】
【表6】
【0125】
比較例7a.27.1MHzプラズマを用いて層流反応器中でTMCTS(2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン)を使用したPEALD酸化ケイ素
堆積を、表5で与えられる条件下で、ケイ素前駆体としてのTMCTS及びO
2プラズマを用いて行った。TMCTSをベーパードロー法でチャンバーに輸送し、キャリアガスを使用しなかった。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の酸化ケイ素の厚さを得た。膜堆積パラメータ及び堆積GPC及びウエハ非均一性は表6に示す。堆積ウエハは良くない非均一性を示し、GPCは、前駆体パルスを増加しても飽和を示さず、TMCTSについてはCVD堆積を示し、したがってALD前駆体として適切でないことを示した。
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
表6中の非均一性のデータは、TMCTSがCVDを経て、ALDプロセスのための前駆体として適さないことを示した。
【0129】
例7b.27.1MHzプラズマを用いて層流反応器中で2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用したPEALD酸化ケイ素
堆積を、表5において上で説明したような条件下で、ケイ素前駆体としての2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びO
2プラズマを用いて行った。前駆体を200sccmのキャリアガスAr流を用いてチャンバーに輸送した。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得た。
【0130】
図2は、前駆体パルスの時間に対するGPCを示し、
図3は、前駆体2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンについてのO
2プラズマ時間に対するGPCを示す。
図2からは、GPCが4秒間の前駆体パルスでほぼ飽和することを理解することができる。
図3からは、GPCが、5秒間の酸素プラズマ時間に対して10秒間及び20秒間の酸素プラズマ時間を用いるとわずかに減少することを理解することができる。わずかに減少したGPCは、より長い酸素プラズマ時間の間に膜が高密度化したことを示しており、このことは、より長い秒数の酸素プラズマ時間で堆積された膜のより高い膜密度とより低いWERにより確認される。結果はALD堆積挙動に一致した。膜堆積パラメータ及び堆積GPCを表7に示す。
【0131】
異なる堆積条件での膜特性は表8に示す。
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンにより堆積したPEALD酸化ケイ素膜のコンフォーマル性を、TEMを使用して試験した。トレンチサイズは約50nmの幅と、約600nmの深さとであった。
図4は、トレンチの頂部、トレンチの中間側部、及びトレンチの底部についてのTEM画像である。膜がトレンチ中で極めてコンフォーマル(すなわち、トレンチの中間部又は底部について100%に近い優れた段差被覆性)であることを理解することができ、前駆体のALD挙動を確認した。TMCTSとは異なり、TMCTS中の1つのSi−H基をジメチルアミノのような有機アミノ基に置き換えることで、TMCTSを、良好な段差被覆性並びに2.5Å/サイクル超の成長速度を持つ優れたALD前駆体に変えることができる。
【0135】
例7c.27.1MHzプラズマを用いた場合の、層流反応器中での2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用したPEALD酸化ケイ素
堆積を、表5において上で説明したような条件下で、ケイ素前駆体としての2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びO
2プラズマを用いて行った。前駆体を、200sccmのキャリアガスのAr流を用いてチャンバーに輸送した。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得た。
【0136】
膜堆積パラメータ及び堆積GPCを表9に示す。条件1〜6は、100℃での前駆体パルスの時間に対する堆積GPCを示し、そこから、GPCは前駆体パルスの増加とともに飽和していくことを理解することができる。条件11〜16は、300℃での前駆体パルスの時間に対する堆積GPCを示し、GPCはまた前駆体パルスの増加とともに飽和していった。この結果はALD堆積の挙動と一致していた。条件8〜10では、100℃での酸素プラズマ時間に対する堆積GPCを示し、そこから、5秒間の酸素プラズマ時間に対して10秒間及び20秒間の酸素プラズマ時間を用いた場合にGPCがわずかに減少したことを理解することができる。わずかに減少したGPCは、より長い酸素プラズマ時間の間に膜が高密度化したことを示した。同じ現象が300℃での堆積についても存在していた(堆積条件18〜19参照)。
【0137】
【表11】
【0138】
比較例8a.13.56MHzプラズマを持つシャワーヘッド反応器中でTMCTS(2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン)を使用したPEALD酸化ケイ素
表5で与えられた条件下で、13.56MHzプラズマを持つシャワーヘッド反応器中で、ケイ素前駆体としてのTMCTS及びO
2プラズマを用いて堆積を行った。TMCTSをベーパードロー法でチャンバーに輸送し、キャリアガスは使用しなかった。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得た。
図5は、前駆体パルスの時間に対するGPCを示す。GPCは前駆体パルスの増加と共に飽和することを示さなったことを理解することができる。堆積した膜は、4〜11%のウエハ非均一性を示した。
図6は、16秒間の前駆体パルスで堆積したTMCTSの酸化ケイ素膜のコンフォーマル性を示す。膜はトレンチ中でコンフォーマルでない、すなわち、トレンチの底部上の酸化ケイ素の厚さがトレンチの頂部又は中間部よりも極めて大きいことを理解することができ、特にトレンチの底部上にCVDが進行したことを示した。
【0139】
例8b.13.56MHzプラズマを持つシャワーヘッド反応器中で2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用したPEALD酸化ケイ素
13.56MHzプラズマ(100W)を持つシャワーヘッドチャンバー中において、堆積を300℃で行ったことを除き、表5で与えられた条件下で、ケイ素前駆体としての2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びO
2プラズマを用いて堆積を行った。前駆体を、キャリアガス流を用いてチャンバーに輸送した。工程b〜eを繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得た。膜堆積パラメータ及び堆積GPC及びウエハ非均一性を表10に示す。
図7は、シャワーヘッドチャンバーで堆積された酸化ケイ素膜のコンフォーマル性を示す。膜は、トレンチ中で極めてコンフォーマル性であり、ALD堆積を示した。TMCTSとは異なり、TMCTS中の1つのSi−H基をジメチルアミノのような有機アミノ基に置き換えることで、TMCTSを、良好な段差被覆性並びに2.5Å/サイクル超の成長速度を持つ優れたALD前駆体に変えることができた。
【0140】
【表12】
【0141】
例8c.13.56MHzプラズマを持つシャワーヘッド反応器中での1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンを使用したPEALD酸化ケイ素(仮想例)
100〜300℃の範囲の温度において、13.56MHzプラズマを持つシャワーヘッドチャンバー中で、表5に与えられた条件と同様の条件下で、ケイ素前駆体としての1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン及びO
2プラズマを用いて堆積を行う。前駆体を、キャリアガス流を用いてチャンバーに輸送する。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得る。1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンとは異なり、1つのSi−H基をジメチルアミノのような有機アミノ基に置き換えることで、他の方法で非反応性の直鎖状オリゴシロキサンを、良好な段差被覆性並びに2.5Å/サイクル超の成長速度を持つ優れたALD前駆体に変えることができる。
【0142】
例9:50℃において27.1MHzを持つ層流反応器中での2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用したPEALD酸化ケイ素
堆積を、表5において上で説明したような条件下で、ケイ素前駆体としての2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びO
2プラズマを用いて堆積を行った。基材の温度は50℃であった。前駆体を、200sccmのキャリアガスのAr流を用いてチャンバーに輸送した。工程b〜eを複数回繰り返して、計測のための所望の厚さの酸化ケイ素を得た。4秒間の前駆体パルス、3Torrでの反応器圧力、200Wのプラズマ電力、及び5秒間のプラズマ時間を用いて、4.05Å/サイクルのGPCを得た。0.5wt%HF中でのWERは、熱成長した酸化ケイ素のエッチ速度に対して約10倍であった。
【0143】
本発明を幾つかの好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、それらの要素について様々な変更を行うことができ、等価物で置き換えることができることを理解するであろう。また、本発明の不可欠な範囲から逸脱することなく、多くの改変を行って本発明の教示に特定の状況又は材料を当てはめることができる。したがって、本発明は、特定の実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内にある全ての実施形態を包含することが意図される。
本開示は以下も包含する。
[1]
式A、B、C及びD:
【化1】
からなる群より選択され、式中、
R1が、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
R2が、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基からなる群より選択され、R1及びR2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;
R3~10が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
Xが、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C4〜C10アリール基、C1〜C10アシル基、アミン基(−NR1R2)、H、Cl、Br、I、F、C2〜C12カルボキシレート基、C1〜C10直鎖状又は分枝状アルコキシ基、トリメチルシロキシ基、ジメチルシロキシ基、メチルシロキシ基、及びシロキシ基からなる群より選択され;
R1及びXが、結合して環状環を形成するか又は結合せずに環状環を形成しないかのいずれかであり;式C中でR1~8が全てメチル基である場合は、Xがトリメチルシロキシ基であることができず、式D中でR1~10が全てメチル基である場合は、Xがメチル又はジメチルアミノ基であることができない
少なくとも1つの有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物を含む組成物。
[2]
式A及び式Bからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、上記態様1に記載の組成物。
[3]
式C及び式Dからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、上記態様1に記載の組成物。
[4]
溶媒及びパージガスからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む、上記態様1に記載の組成物。
[5]
R1~9のそれぞれが、独立して、水素及びC1〜C4アルキル基から選択される、上記態様2に記載の組成物。
[6]
ハライド、金属イオン、金属、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ又は複数の不純物を実質的に含まない、上記態様1に記載の組成物。
[7]
前記有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物が、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される、上記態様2に記載の組成物。
[8]
前記有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物が、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,7−ヘプタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,7,7−ヘキサメチルテトラシロキサン、及び1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,9,9,9−ヘプタメチルペンタシロキサンからなる群より選択される、上記態様3に記載の組成物。
[9]
式A及びB:
【化2】
からなる群より選択される有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物を製造するための方法であって、
式(1)又は(3):
【化3】
で示されるように、触媒の存在下で、式(i)のシクロトリシロキサン又は式(iii)のシクロテトラシロキサン化合物を有機アミンと反応させる工程であって、式中、
R1が、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
R2が、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基からなる群より選択され、R1及びR2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;
R3~9が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択される工程を含む、方法。
[10]
R1~9のそれぞれが、独立して、水素及びC1〜C4アルキル基から選択される、上記態様9に記載の方法。
[11]
式A及びB:
【化4】
からなる群より選択される有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物を製造するための方法であって、
式(2)又は(4):
【化5】
で示されるように、触媒の存在下で、式(ii)の塩素化シクロトリシロキサン又は式(iv)の塩素化シクロテトラシロキサン化合物を有機アミン又は有機アミンの金属塩と反応させる工程であって、式中、
R1が、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
R2が、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基からなる群より選択され、R1及びR2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;
R3~9が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択される工程を含む、方法。
[12]
R1~9のそれぞれが、独立して、水素及びC1〜C4アルキル基から選択される、上記態様11に記載の方法。
[13]
式C及びD:
【化6】
からなる群より選択される有機アミノ官能化オリゴシロキサン化合物を製造するための方法であって、
式(v)又は式(vi)
【化7】
の化合物を、塩化アセチル、ヨウ化メチル、トリメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルクロロシラン、モノクロロシラン、及び有機リチウム化合物からなる群より選択される化合物と反応させて、中間化合物を形成する工程と、
その後、前記中間化合物を、有機アミノクロロシラン、有機アミン、又はクロロシランからなる群より選択される化合物と反応させる工程とを含み、式中、
R1が、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
R2が、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基からなる群より選択され;
R3~10が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
Xが、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C4〜C10アリール基、C1〜C10アシル基、アミン基(−NR1R2)、H、Cl、Br、I、F、C2〜C12カルボキシレート基、C1〜C10直鎖状又は分枝状アルコキシ基、トリメチルシロキシ基、ジメチルシロキシ基、メチルシロキシ基、及びシロキシ基からなる群より選択される、方法。
[14]
基材上にケイ素及び酸素を含む膜を堆積するための方法であって、
a)反応器中に基材を提供する工程と、
b)式A、B、C、D及びE
【化8】
からなる群より選択され、式中、
R1が、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
R2が、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C3〜C10複素環基、C3〜C10アルケニル基、C3〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基からなる群より選択され、R1及びR2が結合して環状環構造を形成するか又は結合せずに環状環構造を形成しないかのいずれかであり;
R3~10が、それぞれ独立して、水素、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、及びC4〜C10アリール基から選択され;
Xが、直鎖状C1〜C10アルキル基、分枝状C3〜C10アルキル基、C3〜C10環状アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C4〜C10アリール基、C1〜C10アシル基、アミン基(−NR1R2)、H、Cl、Br、I、F、C2〜C12カルボキシレート基、C1〜C10直鎖状又は分枝状アルコキシ基、トリメチルシロキシ基、ジメチルシロキシ基、メチルシロキシ基、又はシロキシ基からなる群より選択され;
R1及びXが、結合して環状環を形成するか又は結合せずに環状環を形成しないかのいずれかである、少なくとも1つのケイ素前駆体化合物を前記反応器中に導入する工程と、
c)パージガスで前記反応器をパージする工程と、
d)酸素含有源及び窒素含有源のうち少なくとも1つを前記反応器中に導入する工程と、
e)パージガスで前記反応器をパージする工程とを含み、所望の膜厚が堆積されるまで工程b〜eが繰り返され、約25〜600℃の範囲の1つ又は複数の温度で行われる、方法。
[15]
R1~10のそれぞれが、独立して、水素及びC1〜C4アルキル基から選択される、上記態様14に記載の方法。
[16]
前記少なくとも1つのケイ素前駆体化合物が、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6−ペンタメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,4,6,6,8,8−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2−ジメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−ジエチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルメチルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び2−イソ−プロピルアミノ−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンからなる群より選択される、上記態様14に記載の方法。
[17]
前記少なくとも1つのケイ素前駆体化合物が、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−メトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−5−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル−7−アセトキシトリシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,7−ノナメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,3,5,5,7,7,9,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,7−ヘプタメチルテトラシロキサン、1−ジメチルアミノ−3,3,5,5,7,7,9,9,9−ノナメチルペンタシロキサン、1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,7,7−ヘキサメチルテトラシロキサン、及び1−ジメチルアミノ−1,3,5,7,9,9,9−ヘプタメチルペンタシロキサンからなる群より選択される、上記態様14に記載の方法。
[18]
以下の特徴、約2.1g/cc以上の密度;1:100のHF:水の希釈HF(0.5wt%dHF)酸の溶液中で測定した場合に約2.5Å/秒未満のウェットエッチ速度;6MV/cm以下で約1e−8A/cm2未満の漏電;及び二次イオン質量分析(SIMS)で測定した場合に約5e20at/cc未満の水素不純物のうち少なくとも1つを含む、ケイ素及び酸素含有膜。
[19]
上記態様1に記載の組成物を収容した、ステンレス鋼容器。
[20]
ヘリウム、アルゴン、窒素、及びそれらの組み合わせから選択される不活性ヘッドスペースガスをさらに含む、上記態様19に記載のステンレス鋼容器。
[21]
前記ケイ素前駆体化合物が、溶媒及び不活性ガスからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含む、上記態様14に記載の方法。