(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光板の前記第1主面における前記凹部に向き合う位置に設けられ、前記導光板の屈折率よりも低い屈折率をもつ光学機能部をさらに備えた請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
図1は、実施形態の発光モジュール1の模式上面図である。
図2は、その発光モジュール1の模式断面図である。
【0010】
発光モジュール1は、導光板10と、発光素子30と、蛍光体層21、22を備えている。
【0011】
導光板10は、発光素子30が発する光、および蛍光体層21、22に含まれる蛍光体が発する光に対する透過性を有し、それら光の入射を受け、第1主面11から面状に発光する部材である。
【0012】
導光板10の材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、ガラスなどを用いることができる。なかでも、透明性が高く、安価なポリカーボネートが好ましい。
【0013】
導光板10は、発光面となる第1主面11と、第1主面11の反対側の第2主面12と、第2主面12に設けられた凹部15とを有する。さらに、導光板10は、第1主面11に連なる側面を有する。導光板10の側面は、発光モジュール1の側面81を構成している。
【0014】
凹部15には、第1の蛍光体層21が設けられている。発光素子30は、導光板10の第2主面12側で第1の蛍光体層21に設けられている。凹部15は、導光板10に対する発光素子30の位置決め部として機能することができる。
【0015】
発光素子30は、主に光が取り出される主発光面31と、主発光面31の反対側に設けられた正負の一対の電極32を有する。発光素子30は、例えば、サファイア等の透光性基板と、透光性基板に積層された半導体積層構造とを有する。半導体積層構造は、例えば、In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x、0≦y、X+Y≦1)を含み、青色光を発光することができる。
【0016】
発光素子30の主発光面31が、例えば透光性接着剤によって、第1の蛍光体層21に接合されている。発光素子30の側面および電極32は、凹部15の外に位置している。
【0017】
図1に示す例では、第1の蛍光体層21は平面視で四角形状に形成されている。四角形状の第1の蛍光体層21が、導光板10の四角形状に対し45度回転して配置されている。平面視において、第1の蛍光体層21が四角形状である場合、第1の蛍光体層21の側面から出射される光は、四角形状の第1の蛍光体層21の対角方向よりも各側面の側方に対して輝度が高くなる傾向がある。したがって、第1の蛍光体層21の各側面が導光板10の角部と対向し、第1の蛍光体層21の各角部が導光板10の各側面と対向するように設けられることで、発光モジュールの面方向において均一な明るさおよび色を得ることができる。
【0018】
第1の蛍光体層21は、母材と、母材に分散された蛍光体とを有する。第1の蛍光体層21の母材の材料として、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ガラスなどを用いることができる。耐光性および成形容易性の観点からは、母材としてシリコーン樹脂が好ましい。
【0019】
蛍光体は、発光素子30が発する光によって励起され、発光素子30が発する光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、蛍光体として、YAG蛍光体、βサイアロン蛍光体、KSF系蛍光体などを用いることができる。
【0020】
例えば、青色系の発光をする発光素子30に対して、黄色系の発光をするYAG蛍光体を含む第1の蛍光体層21を用いることができる。第1の蛍光体層21は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよい。例えば、青色系の発光をする発光素子30に対して、緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体と、赤色系の発光をするKSF系蛍光体とを含む第1の蛍光体層21を用いることにより、発光モジュール1の色再現範囲を広げることができる。
【0021】
導光板10の第2主面12に、第2の蛍光体層22が設けられている。第2の蛍光体層22の材料と第1の蛍光体層21の材料は同じにすることができる。導光板10の第2主面12に設けられた第2の蛍光体層22は、発光素子30の側面から出射された光の入射を受けることができる。発光素子30の側面から出射された光の第2の蛍光体層22への入射効率を高める観点から、第2の蛍光体層22は発光素子30の側面に接していることが好ましい。
【0022】
導光板10の第1主面11には、凹部16が設けられている。凹部16には、光学機能部40が設けられている。光学機能部40は、第2主面12に形成された凹部15に向き合う位置に設けられている。すなわち、光学機能部40は、凹部15に設けられた第1の蛍光体層21、および凹部15に対して位置決めされた発光素子30に向き合う位置に設けられている。発光素子30の光軸と、光学機能部40の光軸とが略一致することが好ましい。凹部16の形状は、例えば、逆円錐や逆四角錐、逆六角錐等の逆多角錐形、あるいは、逆円錐台や逆多角錐台等である。
【0023】
光学機能部40は、導光板10の屈折率よりも低い屈折率をもつ透光性樹脂、ガラスまたは空気等であり、導光板10と光学機能部40との界面で光を屈折させ、導光板10の面方向に光を広げるレンズとして機能することができる。
【0024】
第1の蛍光体層21の上面に、光散乱剤を含む光散乱層50が設けられている。光散乱層50は、発光素子30の真上方向へ出射された光の一部を散乱させ下方に戻す。これにより、発光モジュール1の発光面である導光板10の第1主面11において、発光素子30の真上付近が他の領域に比べて明るくなりすぎるのを抑えることができる。
【0025】
導光板10は、第2主面12との間に鈍角を形成して第2主面12に続く傾斜面14を有する。その傾斜面14および第2の蛍光体層22は、光反射性樹脂層60で覆われている。
【0026】
光反射性樹脂層60は、発光素子30が発する光、第1の蛍光体層21が発する光、および第2の蛍光体層22が発する光に対する反射性を有し、例えば、白色の顔料等を含有した樹脂である。特に、光反射性樹脂層60は、酸化チタンを含有したシリコーン樹脂が好ましい。
【0027】
発光モジュール1の側面81において導光板10の第1主面11側は、導光板10の一部である光透過部13となっている。さらに、発光モジュール1の側面81は、光反射性樹脂層60によって構成される光反射部61を有する。光反射部61は、光透過部13よりも第2主面12側に設けられている。
【0028】
発光素子30の電極32は配線71と接合されている。光反射性樹脂層60は、絶縁性であり、発光素子30の電極32の側面を覆っている。
【0029】
光反射性樹脂層60は、配線基板70と貼り合わされている。配線基板70は、絶縁性の基材75と、その基材75の裏面に設けられた配線73と、基材75を貫通するビア72とを有する。ビア72は、配線71と配線73とを接続し、発光素子30の電極32は、配線71およびビア72を通じて、配線73と電気的に接続されている。
【0030】
配線基板70の基材75としては、例えば、樹脂、セラミックスを用いることができる。配線71、73、およびビア72としては、例えば、銅を用いることができる。
【0031】
図3A〜
図3Dは、発光モジュール1の製造方法を示す模式断面図である。
【0032】
まず、
図3Aに示すように、導光板10を準備する。
導光板10は、例えば、射出成形、トランスファーモールド、熱転写等で成形することができる。光学機能部40が設けられる凹部16と、第1の蛍光体層21が設けられ、発光素子30の位置決め部ともなる凹部15とを一括して金型で成形することで、光学機能部40と発光素子30との位置合わせ精度を高くできる。
【0033】
図3Bに示すように、凹部15の底面には、光散乱層50が設けられる。光散乱層50は、例えば、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。
【0034】
凹部15内における光散乱層50の上には、
図3Cに示すように、第1の蛍光体層21が設けられる。さらに、第1の蛍光体層21上に発光素子30が配置される。発光素子30の主発光面31が第1の蛍光体層21に接合される。
【0035】
さらに、
図3Dに示すように、導光板10の第2主面12に、第2の蛍光体層22が設けられる。第1の蛍光体層21および第2の蛍光体層22は、例えば、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。
【0036】
または、導光板10の第2主面に第2の蛍光体層22を形成した後に、発光素子30を第1の蛍光体層21に接合してもよい。この場合、第2の蛍光体層22はパターニングされ、第1の蛍光体層21上に開口が形成される。その開口内に、発光素子30が配置される。
【0037】
その後、導光板10の第1主面11側の凹部16に
図2に示す光学機能部40を設けてもよい。さらに、導光板10の傾斜面14、および第2の蛍光体層22を覆うように、光反射性樹脂層60が設けられる。
【0038】
光反射性樹脂層60の表面には配線71が形成され、配線71は発光素子30の電極32に接合される。その後、光反射性樹脂層60に配線基板70が貼り付けられる。このとき、ビア72内に充填された導電性材料を加圧と加熱によって溶解させることで、配線71とビア72とを接合する。半田リフローのような高温がかかる工程を省略できるため、ポリカーボネートのような熱可塑性であり耐熱性の低い材料であっても導光板10に用いることができる。
【0039】
実施形態の発光モジュール1では、導光板10に発光素子30を実装するため、導光板10と発光素子30との距離を小さくすることができ、発光モジュール1の薄型化が可能となる。
【0040】
第1の蛍光体層21および第2の蛍光体層22は、導光板10における発光面となる第1主面11ではなく、その反対側の第2主面12側に設けられているため、第1の蛍光体層21および第2の蛍光体層22で波長変換された光を、導光板10および光学機能部40で面方向に拡散させることができ、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0041】
発光素子30の主発光面31上の第1の蛍光体層21だけであると、特に導光板10の平面サイズが大きくなった場合には、発光面(第1主面11)の中央付近では第1の蛍光体層21の発光色(例えば黄色)の色みが強く、外周側では発光素子30の発光色(例えば青色)の色みが強くなりやすい。
【0042】
実施形態によれば、導光板10の第2主面12に第2の蛍光体層22を設けることで、発光素子30の側面から出射された光の入射を受ける蛍光体領域(波長変換領域)を広く確保でき、導光板10の面内全体に、蛍光体が発する光と、発光素子30が発する光とを適切な配分で分布させることができる。これにより、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0043】
実施形態の発光モジュール1は、例えば、液晶ディスプレイのバックライトに用いることができる。例えば、バックライトが液晶パネルの裏面に配置された直下型の液晶ディスプレイでは、液晶パネルと発光モジュール1との距離が近いため、発光モジュール1の色ムラが液晶ディスプレイの色ムラに影響を及ぼしやすい。そのため、実施形態のような色ムラの少ない発光モジュール1を直下型液晶ディスプレイのバックライトとして用いることで、液晶ディスプレイの色ムラを少なくできる。
【0044】
第2の蛍光体層22を導光板10の第2主面12の全面に設けると、発光色の面内均一化をしやすい。
【0045】
または、蛍光体材料の使用量の削減によるコストダウンを図る観点からは、第2の蛍光体層22は、第2主面12に部分的に設けてもよい。
【0046】
図4および
図5は、第2主面12に部分的に設けられた第2の蛍光体層22の配置パターン例を示す模式平面図である。
【0047】
図4に示す例では、第1の蛍光体層21は平面視で四角形状に形成され、導光板10の第2主面12も四角形状に形成されている。第2の蛍光体層22は、第2主面12の四隅に設けられ、第1の蛍光体層21の周囲に均等配置されているため、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0048】
図5に示す例では、第1の蛍光体層21は平面視で円形状に形成され、導光板10の第2主面12は四角形状に形成されている。第2の蛍光体層22は、第1の蛍光体層21の周囲に円環状に均等配置されているため、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0049】
図6は、他の実施形態の発光モジュール2の模式断面図である。前述した発光モジュール1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
蛍光体層23は、導光板10の第2主面12に設けられた凹部15の底面(
図6においては上面)、および側面に設けられている。蛍光体層23は、前述した第1の蛍光体層21および第2の蛍光体層22と同じものを用いることができる。
【0051】
発光素子30も凹部15に設けられ、蛍光体層23に接合している。発光素子30の主発光面31および側面は、蛍光体層23に覆われている。発光素子30の電極32は、凹部15の外に位置し、配線71に接合されている。
【0052】
前述した発光モジュール1と異なり、導光板10の第2主面12に蛍光体層は設けられていない。第2主面12には光反射性樹脂層60が設けられ、光反射性樹脂層60は、第2主面12側で蛍光体層23と発光素子30を埋設している。
【0053】
発光モジュール2におけるその他の構成は、前述した発光モジュール1と同じである。
【0054】
この発光モジュール2においても、導光板10に発光素子30を実装するため、導光板10と発光素子30との距離を小さくすることができ、発光モジュール2の薄型化が可能となる。発光素子30を凹部15に設けることで、
図2に示す発光モジュール1よりも薄型化が可能となる。
【0055】
蛍光体層23は、導光板10における発光面となる第1主面11ではなく、その反対側の第2主面12側に設けられているため、蛍光体層23で波長変換された光を、導光板10および光学機能部40で面方向に拡散させることができ、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0056】
また、凹部15の側面に設けられた蛍光体層23が、発光素子30の側面から出射された光の入射を受け、導光板10の面内全体に、蛍光体が発する光と、発光素子30が発する光とを適切な配分で分布させることができる。これにより、導光板10の面内における色ムラを抑制できる。
【0057】
また、この発光モジュール2は、
図2に示す発光モジュール1に比べて蛍光体の使用量を削減できる。
【0058】
前述した発光モジュール1または発光モジュール2において、1つの導光板10に複数の凹部15を設け、1つの導光板10に複数の発光素子30を実装してもよい。
【0059】
図7は、1つの導光板10に複数の凹部15を設け、複数の発光素子30を実装した発光モジュール3の模式上面図である。
図8は、その発光モジュール3の一部拡大模式断面図である。
【0060】
発光モジュール3は、複数の発光素子30が、例えばマトリクス状に配列されている。また、隣接する発光素子30の間に、光反射性樹脂層60によって構成される光反射部61を有する。発光モジュール3の発光面において隣接する発光素子30の間に光透過部13を設けることで、その発光素子30同士の間が暗くならず、面方向に均一な明るさおよび色を得ることができる。
【0061】
また、複数の発光モジュール1(または発光モジュール2)を組み合わせ、より広い発光面積をもつ面発光光源を構成することもできる。
【0062】
図9は、複数の発光モジュール1により構成された面発光光源100の模式上面図である。
図10は、その面発光光源100における2つの発光モジュール1が隣接した部分の模式断面図である。
【0063】
発光モジュール1の少なくとも1つの側面81を他の発光モジュール1の側面81と接合させて面発光光源を構成することができる。複数の発光モジュール1が、互いの側面81同士を隣接させて、例えばマトリクス状に配列された面発光光源を構成してもよい。
【0064】
側面81における光反射部61同士が接合され、その光反射部61よりも発光面(第1主面11)側で導光板10の一部である光透過部13同士が接合されている。面発光光源100の発光面において隣接する発光モジュール1の境界に光透過部13を設けることで、その境界が暗くならず、面方向に均一な明るさおよび色を得ることができる。
【0065】
なお、面発光光源100は、複数の発光モジュール2または複数の発光モジュール3により構成することもできる。
【0066】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。