特許第6703529号(P6703529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703529NCO不含化合物および硬化性組成物におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703529
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】NCO不含化合物および硬化性組成物におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/83 20060101AFI20200525BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20200525BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20200525BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20200525BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20200525BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C08G18/83
   C09J175/08
   C09D175/08
   C09K3/10 D
   C09J175/06
   C09D175/06
   C09J175/04
   C09D175/04
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-517344(P2017-517344)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-537988(P2017-537988A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015072622
(87)【国際公開番号】WO2016050878
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】14187164.0
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】リガン・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ペラ
(72)【発明者】
【氏名】ダイ・ウェイフォン
(72)【発明者】
【氏名】キアラン・マカードル
(72)【発明者】
【氏名】エバ・マリア・アルカサル
(72)【発明者】
【氏名】マリア・メルセ・アラサ・ベルトメウ
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・ボンガルツ
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ジュン
【審査官】 三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519182(JP,A)
【文献】 特開2005−097607(JP,A)
【文献】 特開2002−161126(JP,A)
【文献】 J.Org.Chem.,2009,Vol.74,p.5067-5070
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C09D
C09J
C09K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの−(NH−C=O)−基を含む第1ユニット、
少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を含む第2ユニット、および、
触媒
を含み、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基を表し、−(NH−C=O)−基は尿素および/またはウレタン基により供され、第1ユニットおよび第2ユニットは1つの化合物の部分であり、かつ、室温で硬化性である、硬化性組成物。
【請求項2】
第1ユニットおよび第2ユニットを含む化合物は、
a)
i.少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、
ii.ポリオールもしくはポリアミンまたはそれらの混合物とを反応させて中間体を形成すること、
ここで、ポリオールおよびポリアミンのヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対する、ポリイソシアネートのNCO基のモル比は、1より小さい、
b)式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物を、ステップa)の中間体と、該中間体のヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対してモル過剰で反応させること、
ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基を表し、
は、水素または1〜4個の炭素原子を有する基を表す、
により得ることができる化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオールブロックコポリマー、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリオールブロックコポリマーまたはそれらの混合物を含む群から選択される、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
ポリオール/ポリアミンの数平均分子量(Mn)は、少なくとも200g/molである、請求項2または3に記載の硬化性組成物
【請求項5】
ポリイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,2’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、およびそれらの混合物を含む群から選択される、請求項2〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
触媒は、第2級または第3級アミンである、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエタノールアミン、トリス(2-ピリジルメチル)アミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノフェノール、N-エチル-N-メチルプロピルアミン、N-メチルピペリジン、N-ブチル-4-ヒドロキシピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、イミダゾリン、ベンズイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ピロール、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
接着剤、コーティング、流延用組成物としての、または、シーラントとしての、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素および/またはウレタン基を好ましくは有する、本質的にNCO不含の化合物、該化合物を含む硬化性組成物、ならびに、該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、湿分硬化性組成物に使用されるようなポリウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールもしくはポリオールの混合物とを反応させることにより調製される。この反応において、ポリイソシアネートおよびポリオールのNCO:OH比は1より大きく、得られるウレタンプレポリマーはNCO-末端化され、非常に感湿性である。このようなプレポリマーのさらなる欠点は、これらが未反応の単量体ポリイソシアネートを含んでいることである。かかる単量体は少量で含有されるのみであるが、湿分との反応によって第1級アミン(特に第1級芳香族アミン)が得られるため、なお生理学的に好ましくない。
【0003】
技術水準から、NCO不含ポリウレタンプレポリマーの製造方法がいくつか知られている。しかし、得られるポリマーは、「通常の」ポリウレタンの特性を欠いていることが多い。特に、熱安定性が所望されるよりも低い。
【0004】
例えば、国際公開第2011/160912号には、熱可塑性ポリウレタンを含有するホットメルト接着剤が開示されている。かかるポリウレタンは、ポリオールおよびイソシアネートから作られ、ここで、熱可塑性ポリウレタンの合成のために1未満のNCO:OH比が実施され、NCO−末端化されておらず、未反応の単量体イソシアネートを全く含有しないポリマーが得られる。
【0005】
しかし、硬化反応に関与するNCO−基が存在しないために、熱可塑性ウレタンは通常の条件下で非反応性/非硬化性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/160912号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の主題は、好ましくはポリウレタンに基づく硬化性NCO不含組成物の製造に使用可能な、硬化性の本質的にNCO不含の化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この主題は特に、少なくとも2つの−(NH−C=O)−基および少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基[ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す]を含む化合物により達成される。
【0009】
は、異なる−(C=O)−C≡C−R基に対して同一であるか、または、異なっていてよい。好ましくは、Rは、全ての−(C=O)−C≡C−R基について同一である。
【0010】
好ましい態様において、該化合物は、以下によって得ることができる:a)少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートとポリオールまたはポリアミンあるいはそれらの混合物とを反応させ、中間体を形成させる、ここで、ポリイソシアネートのNCO基:ポリオールおよびポリアミンのヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計のモル比は、1未満、例えば0.2:1〜0.99:1、特に0.25:1〜0.75:1、より好ましくは0.4:1〜0.6:1、最も好ましくは1:2である、b)式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物と、ステップa)の中間体とを、該中間体のヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対してモル過剰で反応させる、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、Rは、水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素、ならびにそれらの混合物を表す。
【0011】
式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物に関して、異なる残基Rおよび/またはRを有する異なる化合物の混合物を使用することも可能であることが言及される。
【0012】
ポリオールおよびポリアミンのヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対するポリイソシアネートのモル比が1未満であることが、化合物が本質的にNCO−末端化されておらず、反応の完了後に、化合物が本質的にいずれの未反応イソシアネートモノマーも含有しないことを確保するために必須である。言い換えると、イソシアネートの遊離のNCO基が、本質的に完全に、例えばポリオールと反応し、この場合には該化合物は本質的に完全にOH−末端化される。
【0013】
出発物質としてジイソシアネートおよびジオールが使用されると仮定して、理論的には、2つの末端OH基を有する化合物が中間体として形成され得る。出発物質として3つのNCO基を有するポリイソシアネートとジオールを使用する場合には、理論的には、3つの末端OH基を有する化合物が中間体として形成され得る。
【0014】
ステップb)において、ステップa)から得た中間体のポリオール鎖の末端OH基(出発物質として、ポリオールを使用し、ポリアミンを使用しない場合)を、式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物(または化合物の混合物)と反応させる。中間体が2つの末端OH基を含む場合、それらの両方がRO−(C=O)−C≡C−Rと反応し、3つのNCO基を有するポリイソシアネートを中間体のための出発物質として使用した場合には、3つのOH基のうちの2つがRO−(C=O)−C≡C−Rと反応すれば十分である。しかし、中間体の全ての末端基(−OHおよび/または−NH基)がRO−(C=O)−C≡C−Rと反応することが好ましい。
【0015】
1〜12個の炭素原子を有する基を表すRに関し、Rは、直鎖状または分枝状、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であり得る。1〜4個の炭素原子を有する基を表すRも、直鎖状、分枝状、飽和または不飽和であり得る。
【0016】
上記に述べたように、本発明の化合物の構造は、出発物質の構造(分枝状、直鎖状)および別々の出発物質の官能基の数によって決まり、ここで、本発明の化合物が直鎖状であることが好ましく、すなわち、直鎖状の化合物をもたらす出発物質を使用することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の化合物の構造は、ポリイソシアネートのNCO基:ポリオールおよびポリアミンのヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計のモル比によって決まる。1:2の比を用いる場合、本発明の化合物は、前記NCO基のそれぞれが1つのポリオール/ポリアミンに結合された1つの中心ポリイソシアネートに基づき得る。該比が1:2〜1の間である場合、該化合物は、例えば、2つのポリイソシアネートおよび3つのポリオール部分を含み得り、ここで、−(NH−C=O)−基の数は、もちろん、本発明の化合物の正確な構造によって決まる。
【発明の効果】
【0018】
驚くべきことに、本発明の化合物および少なくとも触媒を含む組成物が、室温でさえ非常に迅速に硬化することが発見された。さらに、得られる硬化組成物は、非常に高い熱安定性を有する(ほとんどの例において、熱分解温度は300℃より高い)ことがわかった。
【0019】
本発明の化合物/組成物のさらなる利点は、ポリオール/ポリアミンおよび/またはイソシアネートを単に用いることにより、破断点伸びおよび引張強度のような硬化組成物の特性を調整可能であり、非常に幅広い範囲をカバーできることである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
−(NH−C=O)−基は好ましくは、ステップa)における出発物質に応じて、尿素基および/またはウレタン基によりもたらされ(すなわち、−(NH−C=O)−基が尿素および/またはウレタン基中の一部であるか、含有されている)、ここで、−(NH−C=O)−基がウレタン基によりもたらされることが好ましい。例えば、i)ジイソシアネートおよびii)ポリオールを出発物質として用いる際、中間体の−(NH−C=O)−基は、ウレタン基によってもたらされるであろう、ここで、ウレタン基の正確な数は、反応条件(例えばNCO:OH比)によって決まる。いずれの場合においても、中間体は少なくとも2つのウレタン基を含む。
【0021】
本発明に関し、2つまたはそれ以上のウレタン基を有する各ウレタンは、「ポリウレタン」と称され、すなわちこの用語は、目標とされるワンステップまたはマルチステップポリウレタン合成から得られるような、特定のポリウレタン構造を表す。該用語は、重付加プロセスの統計的性質から生じるような、該構造のあらゆるバリエーションを包含する。
【0022】
ポリオール/ポリアミンの1:1混合物を使用する場合、中間体はウレタンおよび尿素基を含み得り、ここで、尿素およびウレタン基の厳密な分布は、ポリオール/ポリアミンとポリイソシアネートとの反応速度によって決まる。これらが顕著に異なる場合、例えば尿素およびウレタン基の異なる分布を有する異なる化合物を中間体が含むことも可能である。ポリオールおよび/またはポリアミンの混合物を使用することも可能である。100%ポリアミンを使用する場合、中間体はポリ尿素である。用語「ポリ尿素」について、用語「ポリウレタン」について述べたことが同様にあてはまる。
【0023】
ポリオールに関して、幅広いポリオール、例えば以下を使用することができる:脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリスルフィドポリオールおよびそれらの混合物。
【0024】
しかし、末端OH基を有するポリオール、好ましくは以下を含む群から選択されるポリオールを使用することが好ましい:ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオールブロックコポリマー(例えばポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール))、ポリエステルポリオール(芳香族および非芳香族)、ポリエステルポリオールブロックコポリマー(例えば(ポリカプロラクトン-ブロック-ポリテトラヒドロフラン-ブロック-ポリカプロラクトン))またはそれらの混合物。
【0025】
ポリオール/ポリアミンの種類およびポリオール/ポリアミンの分子量は、化合物の性質に大きな影響を有する。例えば、より高分子量のポリオール(分子量2,000〜10,000)は、より柔軟性のポリウレタンを作るために使用され、より低分子量のポリオールは、より硬質の生成物を作るために使用される。本発明の化合物および本発明の組成物に関して、ポリオールの数平均分子量(M)は、少なくとも200、好ましくは200〜20000、最も好ましくは1000〜5000g/molであることが好ましい。
【0026】
分子量は、特に規定しない限り、数平均分子量(Mn)を表す。全ての分子量データは、特に規定しない限り、例えばDIN 55672に従い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により得られる値を表す。
【0027】
好ましいポリオールは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリテトラヒドロフラン(pTHF)、ならびにそれらの混合物を含む群から選択される。
【0028】
ポリイソシアネートに関し、本発明は、イソシアネートが少なくとも2つのNCO基を有する限り、特別なイソシアネートに限定されない(したがって、本発明に関し、用語ポリイソシアネートは、2つまたはそれ以上のNCO基を有するイソシアネートを表す)。2つのNCO基を有する該化合物の例は、一般構造O=N=C−Z−C=N=Oを有する、ここで、Zは直鎖状または分枝状の脂肪族、脂環式、シクロ脂肪族または芳香族炭化水素基であってよい。
【0029】
適当なポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族、脂環式またはシクロ脂肪族ポリイソシアネートである。これらは例えば、以下から選択され得る:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、部分水素化MDI(H6MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメトキシブタン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサン-2,3,3-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、メチレントリフェニルトリイソシアネート(MIT)、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカン、および、ダイマー脂肪酸ジイソシアネート、リシンエステルジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンまたは1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、およびそれらの混合物。
【0030】
適当な3官能性イソシアネートは、ジイソシアネートの三量化またはオリゴマー化、あるいは、ジイソシアネートと3官能性ヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られ得る。その例は、イソシアネートHDI、MDIまたはIPDIの三量化生成物、あるいは、ジイソシアネートと低分子量トリオール、例えばトリメチロールプロパンまたはグリセロールの付加物である。
【0031】
ポリイソシアネートは、以下を含む群から選択されることが好ましい:2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,2’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、およびそれらの混合物。
【0032】
本発明の範囲において、ポリアミンも本発明の化合物を製造するに適当である。末端アミノ基を有するポリエーテルは、これに適当な例である。
【0033】
適当なポリアミンは2つより多い官能基を有する化合物、すなわち、2つより多い第1級および/または第2級アミノ基を有する化合物でもあり得る。かかる化合物の例は、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(1,6-ジアミノヘキサン)、アルキルヘキサメチレンジアミン、例えば2,4-ジメチルヘキサメチレンジアミン、概して約44個以下の炭素原子を有するアルキレンジアミンであり、ここで、例えば不飽和脂肪酸の二量化生成物から既知の方法により得られ得るような、環式または多環式のアルキレンジアミンも使用することができる。例えば1,2-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンまたは1,4-フェニレンジアミンのような芳香族ジアミンも使用することができるが、好ましくはない。さらに、例えばジエチレントリアミン、アミノメチル-1,8-ジアミノオクタンおよびトリエチレンテトラミンのような、より高級のアミンも本発明の範囲において使用することができる。
【0034】
以下を含む群から選択されるポリアミンを使用することが好ましい:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,3-および/または1,4-シクロヘキサンジアミン、l-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチル-シクロヘキサン、2,4’および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジアルキル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、ポリオキシアルキレンポリアミン、シクロ脂肪族ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、およびそれらの混合物。
【0035】
本発明の化合物および本発明の組成物に関し、ポリアミンの数平均分子量(M)は、少なくとも200、好ましくは200〜20000、最も好ましくは1000〜5000g/molであることが好ましい。
【0036】
本発明の化合物は以下のステップを含む方法により製造することができる:a)少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、ポリオールもしくはポリアミンまたはそれらの混合物とを反応させて、中間体を形成させるステップ、ここで、ポリイソシアネートのNCO基:ポリオールおよびポリアミンの、ヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計のモル比は、1未満、例えば0.2:1〜0.99:1、特に0.25:1〜0.75:1、より好ましくは0,4:1〜0,6:1、最も好ましくは1:2である、b)式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物を、ステップa)の中間体と、該中間体のヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対してモル過剰で反応させるステップ、ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、Rは、水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す。
【0037】
出発物質および式RO−(C=O)−C≡C−Rを有する化合物に関する詳細は、上記を参照されたい。
【0038】
本発明の硬化性組成物は、少なくとも2つの−(NH−C=O)−基を含む第1ユニット、少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を含む第2ユニット、および、触媒を含み、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す。1〜12個の炭素原子を有する基を表すRに関して、Rは、直鎖状または分枝状、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であり得る。異なる−(C=O)−C≡C−R基について、Rは同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、全ての−(C=O)−C≡C−R基について、Rが同一である。
【0039】
本発明に関して、用語「ユニット」は、該ユニットを含む化合物または化合物の部分を表し、すなわち、異なるユニットは異なる化合物または同一の化合物の部分であり得る。しかし、第1ユニットおよび第2ユニットが、異なる化合物の部分であることが好ましい。
【0040】
さらに、第1ユニットを有する第1化合物および第2ユニットを有する第2化合物を該組成物が含むことも可能である、ここで、第1化合物は、第3ユニットとして、少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−Rユニットも含む、ここでRは、水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す。1〜12個の炭素原子を有する基を表すRに関し、Rは、直鎖状または分枝状、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であってよく、異なる−(C=O)−C≡C−R基について、Rは同一であっても異なっていてもよく、好ましくは、全ての−(C=O)−C≡C−R基について、Rが同一である。この場合、該組成物は−(C=O)−C≡C−ユニットを有する2つの化合物を含む。
【0041】
−(NH−C=O)−基は、ウレタンおよび/または尿素基によりもたらされることが好ましく、ここで、2つの−(NH−C=O)−基を含む第1ユニットの正確な構造は、出発物質、および、ポリイソシアネート(または異なるポリイソシアネートの混合物)とポリオールおよび/またはポリアミンとの間の反応速度によって決まる。
【0042】
第1ユニットおよび第2ユニットは同一の化合物の部分であってもよく、すなわち、該化合物は少なくとも2つの−(NH−C=O)−基および少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を含む。この場合、第1ユニットおよび第2ユニットを含む化合物は上記に述べた化合物であることが好ましい。驚くべきことに、本発明の化合物および少なくとも触媒を含む組成物は、室温でさえ非常に迅速に硬化することがわかった。
【0043】
あるいは、第1ユニットおよび第2ユニットは、異なる化合物の部分である。この場合、第1ユニットは、熱可塑性ポリウレタンの部分である/熱可塑性ポリウレタンによりもたらされることが好ましい。既に上記に述べたように、この場合、第1ユニットを含む化合物は、少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−Rユニットを含んでもよい。
【0044】
熱可塑性ポリウレタンは、当業者に非常によく知られており、ポリイソシアネート(2以上のNCO基を有するイソシアネート)とポリオールとを反応させることにより形成され得る、ここで、OH基に対するイソシアネート基のモル比は1未満である。熱可塑性ポリウレタンは、5,000〜80,000g/mol、より好ましくは10,000〜60,000g/mol、最も好ましくは25,000〜50,000g/molの数平均分子量(M)を好ましくは有する。例えば、適当な熱可塑性ポリウレタンは、本発明の化合物に関して上記に述べたような出発物質を用いて製造され得る。
【0045】
このモル過剰のポリオールのために、形成されたポリウレタンは遊離のNCO基を本質的には含まない。さらに、ポリウレタンは、遊離のポリイソシアネートモノマーも何ら含まない。NCO基がないために、かかるポリウレタンは、これらのNCO基を介して硬化/架橋され得ない;熱可塑性ポリウレタンは、NCO含有ポリウレタンと比較して、湿分硬化性ポリウレタンではない。
【0046】
しかし、組成物が少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を有する第2ユニットを含む場合、熱可塑性ポリウレタンは硬化し得る。
【0047】
少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を備える化合物の厳密な構造は、かかる2つの基が存在する限り重要ではない。
【0048】
しかし、少なくとも2つのOH基を有するポリエーテルポリオールと、式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物とを、ポリエーテルポリオールの2つのOH基に対して少なくとも等量で、すなわちポリエーテルポリオールのOH基の少なくとも2つが−O−(C=O)−C≡C−Rで置換される量で、反応させることにより得られ得るさらなる化合物により、第2ユニットが供されることが好ましい、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、Rは、水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す。1〜12個の炭素原子を有する基を表すRに関し、Rは、直鎖状または分枝状、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であり得る。1〜4個の炭素原子を有する基を表すRは、直鎖状、分枝状、飽和または不飽和でもあり得る。
【0049】
第1ユニットを有する化合物の−(NH−C=O)−基の数に応じて、2つのOH基/2つの−O−(C=O)−C≡C−R基を有するポリエーテルポリオールを使用することで、該組成物を硬化させる際(第1化合物が2つの−(NH−C=O)−基を含み、架橋に有効な更なる官能基を有さない場合)、場合により側鎖を有する、直鎖状ポリマーをもたらし得る。
【0050】
したがって、少なくとも3つのOH基を有するポリエーテルポリオールと、式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物とを、ポリエーテルポリオールの3つのOH基に対して少なくとも等量で、すなわちポリエーテルポリオールのOH基の3つが−O−(C=O)−C≡C−Rで置換されるような量で反応させることにより得られ得るさらなる化合物により第2ユニットが供されることが好ましい、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、Rは水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す。1〜12個の炭素原子を有する基を表すRに関し、Rは直鎖状または分枝状、飽和、不飽和または芳香族炭化水素基であり得る。1〜4個の炭素原子を有する基を表すRも、直鎖状、分枝状、飽和または不飽和であり得る。
【0051】
少なくとも3つのOH基を有するポリエーテルポリオールの使用は、少なくとも3つの−O−(C=O)−C≡C−R基を有する化合物をもたらす。このような化合物は、例えば、第1ユニット−(NH−C=O)−を含む化合物の3分子を架橋し得る、これによって、硬化組成物の高架橋構造が達成され得る。
【0052】
触媒に関し、触媒は第2級または第3級アミンであることが好ましく、該触媒は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエタノールアミン(TEA)、トリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPA)、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノフェノール(DMAP)、N-エチル-N-メチルプロピルアミン、N-メチルピペリジン、N-ブチル-4-ヒドロキシピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、イミダゾリン、ベンズイミダゾール、ジメチルアミノエタノール(DMAE)、ピロール、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、およびそれらの混合物を含む群から好ましくは選択され、最も好ましくは、該触媒は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0053】
本発明はまた、本発明の硬化性組成物の重合により得られ得る硬化組成物、ならびに、本発明の組成物の接着剤、コーティング、流延用組成物としての使用、または、シーラントとしての使用にも関する。
【実施例】
【0054】
以下の実施例のいくつかにおいて、硬化組成物の「破断点伸び」、「引張強度」および「分解温度」を示す。
【0055】
本発明に関し、破断点伸びは、試験材料(硬化組成物)の破断後の、変化した長さと初期長さとの間の比を表す。これは、亀裂の形成を伴うことなく形状の変化に耐えられるという材料の性能を表す。破断点伸びは、EN ISO 527に従う引張試験により測定される。
【0056】
引張強度は、材料(硬化組成物)を、該材料が破断する点まで引っ張るのに必要とされる力を表す。
【0057】
硬化組成物の分解温度(Td)は、熱重量分析(TGA)を用いて測定した。Tdにおいて、5%の重量損失が観察される。分解温度は、10℃/分の加熱により記録した。
【0058】
〔本発明の化合物の合成〕
実施例1:PTHFジエステルと共役したイソホロンジイソシアネート(IPDI)(以下、PITHF)の合成
40gのポリテトラヒドロフラン(PTHF、Mn=1000g/mol)を、250mLの3つ口丸底フラスコ中に加え、真空下、120℃で1.5時間加熱した。次いで、該温度を90℃まで冷却し、該反応混合物に窒素(または同等の不活性ガス)をパージし、4.45gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を添加し、該温度を110℃まで高めた。反応混合物を少なくとも12時間、滴定(遊離イソシアネート含量は、例えば、アミンを用いる遊離イソシアネートの滴定、および、未反応アミンの逆滴定により容易に測定することができる)により確認されたように、全てのNCO基が消費されるまで撹拌した。
【0059】
42.6gの中間体を、100mLのトルエン中に溶解させた0.43gのp-トルエンスルホン酸(p-TsOH)と共に、ディーン−スターク装置を備える丸底フラスコに添加した。該混合物を、均質な溶液が観察されるまで40〜50℃で撹拌し、次いで、5.37g(4.7mL)のプロピオル酸を添加した。最終的な溶液を140℃まで加熱し、この温度で48時間撹拌した。(H-NMRにより検出されるように)反応が終了した際、混合物を室温まで冷却し、別の100mlのトルエンで希釈した。次いで、過剰のプロピオル酸が中和されるまで、有機溶液を重炭酸ナトリウム水溶液(水中に2重量%の重炭酸塩)で3回洗浄した。続いて、有機層を食塩水で処理し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、本発明の化合物を得た。
【0060】
実施例2:PTHFジエステルで共役されたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(以下、PHTHF)の合成
50gのPTHF(Mn=1000g/mol)を、250mLの3つ口丸底フラスコに添加し、真空下、120℃で1.5時間加熱した。次いで、該温度を90℃まで冷却し、窒素をパージし、4.21gのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を添加した後、該温度を110℃まで高めた。反応混合物を少なくとも12時間、滴定により確認されるように、全てのNCO基が消費されるまで撹拌した。
【0061】
52.47gの中間体を、100mLのトルエン中に溶解させた0.52gのp-トルエンスルホン酸(p-TsOH)と共に、ディーン−スターク装置を備える丸底フラスコに添加した。該混合物を、均質な溶液が観察されるまで40〜50℃で撹拌し、次いで、6.38g(5.67mL)のプロピオル酸を添加した。最終的な溶液を140℃まで加熱し、この温度で48時間撹拌した。(H-NMRにより検出されるように)反応が終了した際、混合物を室温まで冷却し、別の100mlのトルエンで希釈した。次いで、過剰のプロピオル酸が中和されるまで、有機溶液を重炭酸ナトリウム水溶液(水中に2重量%の重炭酸塩)で3回洗浄した。続いて、有機層を食塩水で処理し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮して、本発明の化合物を得た。最終収率:70%。
【0062】
〔本発明の組成物/該組成物の硬化〕
実施例3:実施例1から得た化合物(PITHF)および追加の化合物を有する組成物
実施例1で得た2gの化合物、および、3つの−O−(C=O)−C≡C−H基を含む0.048gの追加の化合物(Mn 約1000g/mol)を、DABCO(0.0058g)のエチルアセテート(0.4ml)溶液中に添加し、該混合物を、室温で、大気中に暴露して放置した。2時間後、茶色の非粘着性ポリマー(硬化した本発明の組成物)が得られた。
【0063】
追加の化合物は、グリセリン-プロポキシル化ポリオールとプロピオル酸とを反応させることにより得た、ここで、OH:プロピオル酸比は、少なくとも1:1である。グリセリンプロポキシル化ポリオールは、グリセリンとプロピレンオキシドとを反応させることにより製造される。グリセリンは開始剤として作用する。
【0064】
引張試験(引張速度 50mm/分):
破断点伸び:330%
引張強度:3.38MPa
【0065】
実施例4:実施例1から得た化合物(PITHF)を有する組成物
実施例1で得た2gの化合物を、DABCO(0.005g)のエチルアセテート(0.4ml)溶液中に添加し、該混合物を、室温で、大気中に暴露して放置した。2時間後、薄茶色の非粘着性ポリマーが得られた。
【0066】
引張試験(引張速度 50mm/分):
破断点伸び:123%
引張強度:1.66MPa
【0067】
実施例5:実施例2から得た化合物(PHTHF)を有する組成物
実施例2で得た2gの化合物を、DABCO(0.005g)のエチルアセテート(0.4ml)溶液中に添加し、該混合物を、室温で、大気中に暴露して放置した。2時間後、薄茶色の非粘着性ポリマーが得られた。
【0068】
引張試験(引張速度 50mm/分):
破断点伸び:60%
引張強度:1.67MPa
【0069】
〔耐熱性および機械的特性〕
(分解温度(Td))
次の表に、上記に述べた実施例のいくつかによる硬化組成物、ならびに、詳細には記載されていないが実施例4および5に従い調製した2つのさらなる硬化した本発明の組成物の分解温度を示す。
【表1】
【0070】
上記表から示され得るように、本発明の硬化組成物の分解温度は非常に高く、上記の場合には300℃より高い。
【0071】
(破断点伸び/引張強度)
以下の表に、本発明の硬化組成物のいくつかについての破断点伸び/引張強度を示す、ここで、全ての組成物は上記のようにして調製し、硬化させた。
表2は、(同一のポリオールを維持する際の)これらの特性に対するイソシアネート基の影響を示し、
表3は、側鎖(ポリオール)の分子量の影響を示し、
表4は、3つの−O−(C=O)−C≡C−H基を含むさらなる化合物(実施例1参照)の影響を示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表2〜4から示され得るように、本発明の化合物/組成物/硬化組成物は、非常に幅広い範囲の機械的特性(破断点伸び/引張強度)を有する系を提供し、すなわち、本発明の化合物/組成物/ポリマーを用いて、非常に幅広い分野の用途を有するツールボックスが提供される。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔1〕少なくとも2つの−(NH−C=O)−基および少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を含む化合物であって、
ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す、化合物。
〔2〕a)
i.少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、
ii.ポリオールもしくはポリアミンまたはそれらの混合物とを反応させて中間体を形成すること、
ここで、ポリオールおよびポリアミンのヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対する、ポリイソシアネートのNCO基のモル比は、1より小さい、
b)式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物を、ステップa)の中間体と、該中間体のヒドロキシル基、第1級アミノ基および第2級アミノ基の合計に対してモル過剰で反応させること、
ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、
は、水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す、
により得ることができる、前記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕−(NH−C=O)−基は、尿素および/またはウレタン基、好ましくはウレタン基により供される、前記〔1〕または〔2〕に記載の化合物。
〔4〕ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオールブロックコポリマー、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリオールブロックコポリマーまたはそれらの混合物を含む群から、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフラン、ならびにそれらの混合物を含む群から選択される、前記〔2〕〜〔3〕のいずれかに記載の化合物。
〔5〕ポリオール/ポリアミンの数平均分子量(M)は、少なくとも200、好ましくは200〜20000、最も好ましくは1000〜5000g/molである、前記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の化合物。
〔6〕ポリイソシアネートは、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、2,2’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、およびそれらの混合物を含む群から選択される、前記〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の化合物。
〔7〕少なくとも2つの−(NH−C=O)−基を含む第1ユニット、
少なくとも2つの−(C=O)−C≡C−R基を含む第2ユニット、および、
触媒
を含み、ここで、Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す、硬化性組成物。
〔8〕−(NH−C=O)−基は尿素および/またはウレタン基により供される、前記〔7〕に記載の硬化性組成物。
〔9〕第1ユニットおよび第2ユニットは1つの化合物の部分である、前記〔7〕または〔8〕に記載の硬化性組成物。
〔10〕第1ユニットおよび第2ユニットを含む化合物は、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の化合物である、前記〔9〕に記載の硬化性組成物。
〔11〕第1ユニットおよび第2ユニットは異なる化合物の部分であり、好ましくは第1ユニットは熱可塑性ポリウレタンの部分である、前記〔7〕または〔8〕に記載の硬化性組成物。
〔12〕触媒は、第2級または第3級アミンであり、好ましくは、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエタノールアミン、トリス(2-ピリジルメチル)アミン、トリブチルアミン、4-ジメチルアミノフェノール、N-エチル-N-メチルプロピルアミン、N-メチルピペリジン、N-ブチル-4-ヒドロキシピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、イミダゾリン、ベンズイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ピロール、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである、前記〔7〕〜〔11〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔13〕第2ユニットは、少なくとも2つのOH基を有するポリエーテルポリオール、好ましくはグリセロールプロポキシレートと、式RO−(C=O)−C≡C−Rで表される化合物とを、ポリエーテルポリオールの2つのOH基に対して少なくとも等量で反応させることにより得られる化合物により供され、
ここで、Rは、水素または1〜12個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表し、
は、水素または1〜4個の炭素原子を有する基、好ましくは水素またはCH、最も好ましくは水素を表す、
前記〔11〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔14〕第2ユニットを含む化合物の数平均モル質量(M)は500〜1500g/molである、前記〔13〕に記載の硬化性組成物。
〔15〕接着剤、コーティング、流延用組成物としての、または、シーラントとしての、前記〔7〕〜〔14〕のいずれかに記載の組成物の使用。