特許第6703532号(P6703532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703532
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ゲートバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20200525BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20200525BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F16K51/02 A
   C23C14/56 C
   C23C16/54
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-525275(P2017-525275)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(86)【国際出願番号】JP2016067859
(87)【国際公開番号】WO2016204203
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-120394(P2015-120394)
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸明
(72)【発明者】
【氏名】赤木 清
(72)【発明者】
【氏名】清水 豪
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 善勝
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−119563(JP,A)
【文献】 特開2004−314042(JP,A)
【文献】 特開2011−127183(JP,A)
【文献】 特開2011−179529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 51/02
C23C 14/56
C23C 16/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する帯状の基材が搬送されるチャンバーにおける前記基材の出入口に設けられ、前記出入口を開閉するゲートバルブであって、
前記基材の一面側に設けられる弁座と、
前記基材の他面側に設けられる弁体と、
を備え、
前記弁体は、可撓性部材であり、
前記弁体は、前記弁座に着座することによって、当該弁体と前記弁座とで前記基材を挟み込んだ状態で閉弁し、
前記弁体が前記弁座から離座して開弁する際に、前記弁体のうち着座状態で前記基材の他面と当接する部位が、前記弁体の離座方向とは異なる方向にも移動する
ことを特徴とするゲートバルブ。
【請求項2】
前記弁体は、円柱形状を呈しており、
前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体は、回転しつつ前記弁座から離座する方向に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項3】
前記弁体は、弁体基部と、前記弁体基部に対して相対移動可能な可動部と、を備え、
前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記弁体基部及び前記可動部が前記基材に当接し、
前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体基部が前記弁座から離間する方向に移動しつつ、前記可動部が前記弁体基部から離間する方向に相対移動する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項4】
前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体は、前記弁座から離座する方向に移動しつつ、前記基材の他面に沿う方向にも移動する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する帯状の基材を挟み込んで閉弁するゲートバルブに関する。
【0002】
従来、薄膜基材を製造するに際し、樹脂製で可撓性を有する帯状の基材をロールトゥロールで間欠搬送し、基材上に薄膜をパターニングして形成することが行われている。
【0003】
薄膜のパターニングは、薄膜ごとに設けられたチャンバー内で行われる。基材は、各チャンバー間を搬送される。隣り合うチャンバー間には、各チャンバー内の環境を例えば高真空に維持するためのゲートバルブが設けられる(特許文献1〜7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−127183号公報
【特許文献2】特開2011−144922号公報
【特許文献3】特開2009−030754号公報
【特許文献4】特開昭59−130484号公報
【特許文献5】特開2000−065249号公報
【特許文献6】特開2000−062012号公報
【特許文献7】特開平6−291349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のゲートバルブでは、弁体が樹脂製の可撓性部材であるため、弁体が基材を介して弁座に着座して弁体及び弁座で基材を挟み込む閉弁状態から、弁体が弁座から離座した開弁状態となる際に、基材が弁体に密着したままとなってしまい、開弁後に基材を搬送することができないおそれがある。基材を弁体から剥がすために弁体のストローク量を大きくすると、ゲートバルブが大型化するのに加え、ゲートバルブの開閉時間が長くなり、生産性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて創案されたものであり、開弁時に基材を弁体から好適に剥がすことが可能なゲートバルブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明は、以下の構成を備える。
1.可撓性を有する帯状の基材が搬送されるチャンバーにおける前記基材の出入口に設けられ、前記出入口を開閉するゲートバルブであって、前記基材の一面側に設けられる弁座と、前記基材の他面側に設けられる弁体と、を備え、前記弁体は、可撓性部材であり、前記弁体は、前記弁座に着座することによって、当該弁体と前記弁座とで前記基材を挟み込んだ状態で閉弁し、前記弁体が前記弁座から離座して開弁する際に、前記弁体のうち着座状態で前記基材の他面と当接する部位が、前記弁体の離座方向とは異なる方向にも移動することを特徴とするゲートバルブ。
2.前記弁体は、円柱形状を呈しており、前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体は、回転しつつ前記弁座から離座する方向に移動することを特徴とする前記1に記載のゲートバルブ。
3.前記弁体は、弁体基部と、前記弁体基部に対して相対移動可能な可動部と、を備え、前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記弁体基部及び前記可動部が前記基材に当接し、前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体基部が前記弁座から離間する方向に移動しつつ、前記可動部が前記弁体基部から離間する方向に相対移動することを特徴とする前記1に記載のゲートバルブ。
4.前記弁体が前記弁座から離座する際に、前記弁体は、前記弁座から離座する方向に移動しつつ、前記基材の他面に沿う方向にも移動することを特徴とする前記1に記載のゲートバルブ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、開弁時に基材を弁体から好適に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る薄膜基材製造装置を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る薄膜基材製造装置を示すブロック図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係るゲートバルブを示す模式図であり、(a)は開弁状態を示す図、(b)は閉弁状態を示す図、(c)は開弁動作を示す図である。
図4】本発明の第二の実施形態に係るゲートバルブを示す模式図であり、(a)は開弁状態を示す図、(b)は閉弁状態を示す図、(c)は開弁動作を示す図である。
図5】本発明の第三の実施形態に係るゲートバルブを示す模式図であり、(a)は開弁状態を示す図、(b)は閉弁状態を示す図、(c)は開弁動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、「上流/下流」といった方向は、薄膜基材製造装置によって移動する基材を基準とする。すなわち、基材が進行する方向が「下流側」である。
【0011】
まず、本発明の実施形態に係るゲートバルブを有する薄膜基材製造装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る薄膜基材製造装置を示す模式図である。図2は、本発明の実施形態に係る薄膜基材製造装置を示すブロック図である。
【0012】
<薄膜基材製造装置>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る薄膜基材製造装置1は、基材2上に薄膜をパターン成膜することによって薄膜基材を製造するための装置である。薄膜基材製造装置1は、薄膜形成部10X,10Yと、蛇行補正部20と、ゲートバルブ30X,30Yと、を備える。さらに、薄膜基材製造装置1は、図2に示すように、薄膜形成部10X,10Yごとに設けられたローラー駆動部41、マスク駆動部42及びタッチプレート駆動部43と、蛇行補正部20に設けられたローラー駆動部44a,44bと、ゲートバルブ30X,30Yごとに設けられた弁体駆動部45と、これら各駆動部を制御する制御部50と、を備える。
【0013】
なお、薄膜基材製造装置1は、3以上の薄膜形成部を備えてもよく、パターン成膜される薄膜以外の膜を形成する形成部を備えていてもよい。また、基材2上に薄膜を形成する手法は、後記するものに限定されない。
【0014】
<薄膜形成部>
図1に示すように、薄膜形成部10X,10Yは、可撓性を有する帯状の基材2上に薄膜をパターン成膜するものである。これら薄膜形成部10X,10Yは、上流側から薄膜形成部10X、薄膜形成部10Yの順に設けられている。
薄膜形成部10X,10Yは、それぞれ、チャンバー11と、駆動ローラー12aと、タッチローラー12bと、撮影部16a,16bと、材料出射部17と、マスク18と、を備える。
なお、薄膜形成部10X,10Yのチャンバー11の内部は、図示しない真空吸引部によって高真空に維持可能である。また、薄膜形成部10Xのチャンバー11の下流端部と薄膜形成部10Yのチャンバー11の上流端部とは、基材2を搬送可能となるように連通している。
【0015】
駆動ローラー12aは、チャンバー11内に設けられている。タッチローラー12bは、チャンバー11内の駆動ローラー12と対向する位置に設けられた従動ローラーである。基材2は、駆動ローラー12aとタッチローラー12bとによって挟持されている。
図2に示す制御部50は、ローラー駆動部41を制御することによって駆動ローラー12aを回転させ、基材2を上流側から下流側へと搬送する。
【0016】
図1に示すように、撮影部16a,16bは、チャンバー11内の駆動ローラー12aよりも下流側に設けられたカメラであり、基材2上に設けられたマーカー(不図示)及びマスク18上に設けられたマーカー(不図示)を撮影し、撮影結果を制御部50へ出力する。
【0017】
材料出射部17は、チャンバー11内の駆動ローラー12aよりも下流側であって、基材2の下側に設けられている。
図2に示す制御部50は、材料出射部17を制御することによって、薄膜の材料(例えば、蒸発した材料)をマスク18を介して基材2の下面へ出射する。
【0018】
マスク18は、チャンバー11内の駆動ローラー12aよりも下流側であって、基材2の下側かつ基材2と材料出射部17との間に設けられている。
図2に示す制御部50は、マスク駆動部42を制御することによってマスク18を移動させる。
【0019】
タッチプレート19は、チャンバー11内の駆動ローラー12aよりも下流側であって、基材2を介してマスク18と対向する位置に設けられている。
図2に示す制御部50は、タッチプレート駆動部43を制御することによってタッチプレート19を移動させる。
【0020】
<蛇行補正部>
図1に示すように、蛇行補正部20は、基材2の蛇行を補正する。蛇行補正部20は、薄膜形成部10Yの下流側に設けられている。
蛇行補正部20は、チャンバー21と、従動ローラー21a,21b,21c,21dと、蛇行補正ローラー22a,22bと、蛇行検出部23と、を備える。
【0021】
従動ローラー21a,21b,21c,21dは、チャンバー21内に設けられている。従動ローラー21a,21cには、基材2の上面が巻回されており、従動ローラー21b,21dには、基材2の下面が巻回されている。
【0022】
蛇行補正ローラー22a,22bは、チャンバー21内の従動ローラー21b,21c間に設けられた従動ローラーである。蛇行補正ローラー22a,22bには、基材2の上面が巻回されている。
【0023】
蛇行検出部23は、チャンバー21内の蛇行補正ローラー22a,22b間に設けられたキャパシタンスセンサーであり、基材2の位置(詳細には、幅方向の位置)を検出し、検出結果を制御部50へ出力する。
図2に示す制御部50は、蛇行検出部23の検出結果に基づいてローラー駆動部44a,44bを駆動することによって、基材2の搬送方向に対する蛇行補正ローラー22a,22bの軸方向の傾斜を変更し、基材2の蛇行を補正する。
【0024】
<ゲートバルブ>
図1に示すように、ゲートバルブ30X,30Yは、隣り合うチャンバー間に設けられており、基材2を搬送可能な開弁状態と、基材2を挟み込んで密封(疑似密封)し、チャンバーの真空状態を維持する閉弁状態と、を切替可能な弁である。ゲートバルブ30Xは、薄膜形成部10Xのチャンバー11と当該チャンバー11よりも上流側のチャンバーとの間に設けられている。すなわち、ゲートバルブ30Xは、薄膜形成部10Xにおける基材2の入口を密封可能な弁である。また、ゲートバルブ30Yは、薄膜形成部10Yのチャンバー11と蛇行補正部20のチャンバー21との間に設けられている。すなわち、ゲートバルブ30Yは、薄膜形成部10Yにおける基材2の出口(換言すると、蛇行補正部20のチャンバー21における基材2の入口)を密封可能な弁である。
図2に示す制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、弁体32を移動させ、ゲートバルブ30X,30Yを開弁状態と閉弁状態とに切り替える。
【0025】
<薄膜基材の製造方法>
続いて、薄膜基材製造装置1による薄膜基材の製造方法について、図1及び図2を参照して説明する。まず、制御部50は、ゲートバルブ30X,30Yが開弁した状態において、薄膜形成部10X,10Yのローラー駆動部41を制御することによって、駆動ローラー12aを回転させ、基材2を上流側から下流側へと所定距離だけ搬送させた後、駆動ローラー12aを止め、基材2を停止させる(基材搬送工程)。
【0026】
続いて、制御部50は、ゲートバルブ30X,30Yの弁体駆動部45を制御することによって、ゲートバルブ30X,30Yを閉弁し、薄膜形成部10Xのチャンバー11における基材2の入口と薄膜形成部10Yのチャンバー12における基材2の出口とを密封する(閉弁工程)。
【0027】
続いて、制御部50は、薄膜形成部10X,10Yのそれぞれにおいて、撮影部16a,16bの撮影結果に基づいてマスク駆動部42を制御することによって、マスク18を移動させてマスク18と基材2との位置合わせを行った後に、マスク駆動部42及びタッチプレート駆動部43を制御することによって、マスク18と、基材2と、タッチプレート19とを密着させる。
続いて、制御部50は、薄膜形成部10X,10Yのそれぞれにおいて、材料出射部17を制御することによって、薄膜の材料をマスク18を介して基材2の下面に出射し、パターニングされた薄膜を基材2の上面に形成する(例えば、蒸発有機材料を基材2の下面に蒸着させる)(薄膜パターニング工程)。
続いて、制御部50は、マスク駆動部42及びタッチプレート駆動部43を制御することによって、マスク18と、基材2と、タッチプレート19との密着を解除する。
【0028】
続いて、制御部50は、ゲートバルブ30X,30Yのそれぞれにおいて、弁体駆動部45を制御することによって、ゲートバルブ30X,30Yを開弁する(開弁工程)。制御部50は、開弁工程の後に前記した基材搬送工程に戻り、前記各工程を繰り返し実行することによって薄膜基材を製造する。
【0029】
<第一の実施形態>
続いて、前記ゲートバルブ30X,30Yの具体例である第一の実施形態に係るゲートバルブ30Aについて、図3を参照して説明する。
図3に示すように、第一の実施形態に係るゲートバルブ30Aは、図示しないハウジング内に設けられた弁座31A及び弁体32Aを備える。
【0030】
弁座31Aは、基材2の上面側に設けられた金属製のブロックである。当該弁座31Aの上流側下端部には、側面視で円弧形状を呈する弁座面31aが形成されている。
【0031】
弁体32Aは、基材2の下面側に設けられた樹脂製の可撓性部材である。弁体32Aは、円柱形状を呈しており、当該弁体32Aの右斜め上部の外周面は、基材2を介して弁座面31aに着座する密封面32aを構成する。
【0032】
本実施形態において、弁体駆動部45(図2参照)は、弁体32Aを着座方向(図3の右斜め上方向)A1及び離座方向(図3の左斜め下方向)A2に移動させるための機構と、弁体32Aを回転方向A3に回転させるための機構と、を有する。ここで、回転方向A3は、弁体32Aの中心軸を回転軸とし、弁体32Aの右斜め上部の外周面である密封面32aが基材2の上流側から下流側へ向かって移動する方向である。
【0033】
<動作例:閉弁>
前記した閉弁工程において、ゲートバルブ30Aを閉弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、離座している弁体32Aを着座方向A1に移動させ、基材2を弁座31Aの着座面31aと弁体32Aの密封面32aとで挟み込んで閉弁する(図3(a)→図3(b))。
【0034】
<動作例:開弁>
前記した開弁工程において、ゲートバルブ30Aを開弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、着座している弁体32Aを回転方向A2に回転させつつ離座方向A2に移動させ、弁体32Aを弁座31Aから離座させて開弁する(図3(b)→図3(c))。
かかる動作により、弁体32Aが回転方向A3に回転しながら離座方向A2に移動するので、閉弁状態で弁体32Aに密着した基材2は、弁体32Aの回転によって弁体32Aから剥がされる。
【0035】
本発明の第一の実施形態に係るゲートバルブ30Aは、弁体32Aが弁座31Aから離座して開弁する際に、弁体32Aのうち着座状態で基材2の下面と当接する密封面32aが、弁体32Aの離座方向A2とは異なる方向にも移動するので、基材2を弁体32Aから剥がすことができ、基材2が弁体32Aに密着したままとなって基材2の搬送に支障をきたすことを好適に防ぐことができる。
また、ゲートバルブ30Aは、弁体32Aの回転方向A3が基材2の搬送方向に対応しているので、弁体32Aの回転によって基材2が伸びたり上流側に戻されたりすることを防ぐことができる。
【0036】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係るゲートバルブ30Bについて、第一の実施形態に係るゲートバルブ30Aとの相違点を中心に説明する。
図4に示すように、本発明の第二の実施形態に係るゲートバルブ30Bは、弁座31A及び弁体32Aに代えて、弁座31B及び弁体32Bを備える。
【0037】
弁座31Bは、基材2の上面側に設けられた金属製のブロックである。当該弁座31Bの下面は、弁座面31bを構成する。
【0038】
弁体32Bは、基材2の下面側に設けられた樹脂製の可撓性部材である。弁体32Bは、弁体基部32bと、可動部32cと、を備える。弁体基部32bは、上面に凹部を有するブロック形状を呈している。可動部32cは、弁体基部32bよりも小さいブロック形状を呈しており、可動部32cは、弁体基部32bの凹部に収容されている。弁体基部32b及び可動部32cの上面は、面一となっており、基材2を介して弁座面31bに着座する密封面32dを構成する。
【0039】
本実施形態において、弁体駆動部45(図2参照)は、弁体基部32bを着座方向(図4の上方向)B1及び離座方向(図4の下方向)B2に移動させるための機構と、可動部32cを弁体基部32bから離間する方向B3及び弁体基部32bに近接する方向に相対移動させるための機構と、を有する。ここで、可動部32cを弁体基部32bに対して相対移動させる機構は、弁体基部32b内に設けられていてもよい。
【0040】
<動作例:閉弁>
前記した閉弁工程において、ゲートバルブ30Bを閉弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、離座している弁体32B全体を着座方向B1に移動させ、基材2を弁座31Bの着座面31bと弁体32Bの密封面32dとで挟み込んで閉弁する(図4(a)→図4(b))。
【0041】
<動作例:開弁>
前記した開弁工程において、ゲートバルブ30Bを開弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、着座している弁体32Bの弁体基部32bを離座方向B2に移動させつつ、可動部32cを弁体基部32bから離間する方向B3に相対移動させて開弁する(図4(b)→図4(c))。すなわち、弁体32Bの基材2と当接する当接部(密着面32d)の一部が、開弁方向B2とは異なる方向B3に移動することにより、弁体基部32bの密封面32dが基材2から剥がれ、その後、可動部32cの密封面32dが基材2から剥がれる。開弁終了後、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、可動部32cを弁体基部32bに近接する方向に相対移動させ、弁体32Bを図4(a)に示す状態に復帰させる。
ここで、弁体基部32bが離座方向B2に移動する速さは、可動部32cが弁体基部32bから離間する方向B3に相対移動する速さよりも大きい。
かかる動作により、弁体基部32bが弁座31Bから離間する方向B2に移動しつつ、可動部32cが、弁体基部32bから離間する方向B3に相対移動するので、閉弁状態で弁体32Bに密着した基材2は、弁体基部32bに対する可動部32cの相対移動によって弁体32Bから剥がされる。
【0042】
本発明の第二の実施形態に係るゲートバルブ30Bは、弁体32Bが弁座31Bから離座して開弁する際に、弁体32Bの可動部32cが弁体32Bの離座方向B2とは異なる方向に移動するので、基材2を弁体32Bから剥がすことができ、基材2が弁体32Bに密着したままとなって基材2の搬送に支障をきたすことを好適に防ぐことができる。
【0043】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係るゲートバルブ30Cについて、第二の実施形態に係るゲートバルブ30Bとの相違点を中心に説明する。
図5に示すように、本発明の第三の実施形態に係るゲートバルブ30Cは、弁体32Bに代えて、弁体32Cを備える。
【0044】
弁座31Bは、基材2の上面側に設けられた金属製のブロックである。当該弁座31Bの下面は、弁座面31bを構成する。
【0045】
弁体32Cは、基材2の下面側に設けられた樹脂製の可撓性部材である。弁体32Cは、ブロック形状を呈している。弁体32Cの上面は、基材2を介して弁座面31bに着座する密封面32eを構成する。
【0046】
本実施形態において、弁体駆動部45(図2参照)は、弁体32Cを着座方向(図4の上方向)C1及び離座方向(図4の下方向)C2に移動させるための機構と、弁体32Cを基材2の下面に沿う方向C3及び方向C3の逆方向に移動させるための機構と、を有する。ここで、方向C3は、基材2の搬送方向の上流側から下流側へ向かう方向である。
【0047】
<動作例:閉弁>
前記した閉弁工程において、ゲートバルブ30Cを閉弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、離座している弁体32Cを着座方向C1に移動させ、基材2を弁座31Bの着座面31bと弁体32Cの密封面32eとで挟み込んで閉弁する(図5(a)→図5(b))。
【0048】
<動作例:開弁>
前記した開弁工程において、ゲートバルブ30Cを開弁する際には、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、着座している弁体32Cを離座方向C2に移動させつつ、弁体32Cを基材2の下面に沿う方向C3に移動させて開弁する(図5(b)→図5(c))。結果的に、弁体32Cは、方向C2のベクトルと方向C3のベクトルとを合成した方向C4に移動する。開弁終了後、制御部50は、制御部50は、弁体駆動部45を制御することによって、弁体32Cを方向C3の逆方向に移動させ、弁体32Cを図5(a)に示す位置に復帰させる。
かかる動作により、弁体32Cが弁座31Bから離間する方向C2に移動しつつ基材2の下面に沿う方向C3にも移動するので、閉弁状態で弁体32Cに密着した基材2は、弁体32Cの方向C3への移動によって弁体32Cから剥がされる。
【0049】
本発明の第三の実施形態に係るゲートバルブ30Cは、弁体32Cが弁座31Bから離座して開弁する際に、弁体32Cのうち着座状態で基材2の下面と当接する密封面32eが、弁体32Cの離座方向C2とは異なる方向にも移動するので、基材2を弁体32Cから剥がすことができ、基材2が弁体32Cに密着したままとなって基材2の搬送に支障をきたすことを好適に防ぐことができる。
また、ゲートバルブ30Cは、弁体32Cの移動方向C3が基材2の搬送方向に対応しているので、弁体32Aの移動方向C3への移動による基材2の蛇行の発生を防ぐことができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、薄膜は、有機薄膜であってもよく、無機薄膜であってもよい。また、第一の実施形態において、開弁時の弁体32Aの回転方向は、前記したものと逆回転方向であってもよい。また、第三の実施形態において、開弁時の弁体32Cの基材2に沿う移動方向は、前記したものと逆方向であってもよく、基材2の幅方向であってもよい。また、弁座31A,31Bが樹脂製の可撓性部材である場合には、開弁時に弁座31A,31Bを基材2に沿う方向、好ましくは、第一の実施形態及び第二の実施形態においては弁座31A,31Cの基材2に沿う移動方向とは異なる方向に移動させる構成であってもよい。また、蛇行検出部23は、キャパシタンスセンサーに限定されず、リニアセンサー等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 薄膜基材製造装置
2 基材
30A,30B,30C,30X,30Y ゲートバルブ
31A,31B 弁座
32,32A,32B,32C 弁体
図1
図2
図3
図4
図5