(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリンドリカルレンズ部は、その並列方向において、前記第2シリンドリカルレンズ部から外側に向かって高さが低くなるように設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
出射光が被照射物に先に照射される位置に設けられる第1発光装置と、出射光が前記第1発光装置よりも後に被照射物に照射される位置に設けられる第2発光装置と、を有し、前記第1発光装置に載置される複数の前記発光素子の発光波長が290nm〜330nmであり、前記第2発光装置に載置される複数の前記発光素子の発光波長が345nm〜385nmである請求項15に記載の光照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る発光装置及びその発光装置を備える光照射装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材の寸法、形状、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。更に以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。以下に記載される実施形態は、各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
【0014】
(実施形態1)
実施形態1に係る発光装置100を、
図1〜
図5に示す。
図1は、実施形態1に係る発光装置を示す概略斜視図である。
図2は、
図1に示される発光装置の複数の発光素子の配列を示す概略平面図である。
図3Aは、
図1に示される発光装置のIIIA−IIIA線における概略断面図である。
図3Bは、
図3Aに示される概略断面図における発光装置の光強度分布曲線を示す。
図4は、
図3Aに示される発光装置のIV−IV線における概略断面図である。
図5は、
図3Aに示される発光装置のV−V線における概略断面図である。
【0015】
発光装置100は、基板2と、基板2上に載置され、3列以上の発光素子列6を形成する複数の発光素子1と、発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、3列以上のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材3と、を備えている。実施形態1の発光装置100では、
図2に示されるように、基板2上に6列の発光素子列6が略等間隔で設けられており、該発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、6列のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材3が設けられている。なお、本明細書において略等間隔とは、その間隔の差が2.0mm以下の微小なものを含むものとする。
【0016】
複数のシリンドリカルレンズ部10は、その並列方向において、両端の列を含む第1シリンドリカルレンズ部11と、第1シリンドリカルレンズ部11よりも内側に設けられ、複数のシリンドリカルレンズ部10において高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12と、を有する。実施形態1では、
図2及び
図3Aに示されるように、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における両端の列及び両端の列に隣接する内側の列の計4列が、第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bである。また、第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bよりも内側に設けられ、複数のシリンドリカルレンズ部10において高さが最も高い中央部の2列が、第2シリンドリカルレンズ部12Aである。このような形状の透光性部材3を有すると、例えば、略同じ高さのシリンドリカルレンズ部が複数並列された形状の透光性部材を有する発光装置と比べて、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。
以下、発光装置100の透光性部材3について詳述する。
【0017】
(透光性部材3)
透光性部材3は、基板2上に配置された複数の発光素子1を封止するものであり、発光素子1を外部の埃や応力から保護するとともに、所望の配光特性の発光装置となるように配光を調整するものである。実施形態1の透光性部材3は、
図3Aに示されるように、3列以上のシリンドリカルレンズ部10がその下端側(基板側)の連結部13によって連結された形状であり、隣接するシリンドリカルレンズ部10の間には谷間7が形成されている。このように、アレイ状の複数のシリンドリカルレンズ部10がそれらを連結する連結部13によって一体に設けられていることで、複数のシリンドリカルレンズ部10どうしが離間して設けられる場合に比べて、発光装置の光強度分布曲線を比較的滑らかな曲線とすることができる。
【0018】
ここで、本明細書において「複数のシリンドリカルレンズ部10の中央」は、シリンドリカルレンズ部10が3列以上の偶数列である場合、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央に位置する谷間7であり、シリンドリカルレンズ部10が3列以上の奇数列である場合は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における中央に位置する列を指す。なお、透光性部材3は、複数のシリンドリカルレンズ部10の他、シリンドリカルレンズ部の下端部から外側へ広がる鍔部を有していてもよい。
【0019】
(シリンドリカルレンズ部10)
本明細書において、シリンドリカルレンズ部10とは、上面であるシリンドリカル面と、下面である平坦面とで構成される平凸タイプのレンズのことを指す。実施形態1では、
図3Aに示されるように、シリンドリカルレンズ部10は、断面形状が中央凸の略半楕円形状又は略半円形状である。シリンドリカルレンズ部10は、平面視でその延伸方向に垂直な方向に並列されている。なお、実施形態1では、複数のシリンドリカルレンズ部10の径は、それぞれ略等しいものとする。
【0020】
透光性部材3は、各々のシリンドリカルレンズ部10が、複数の発光素子1が配列されてなる発光素子列6上にそれぞれ配置されるように、基板2上に設けられる。発光素子列6が基板2上に少なくとも3列以上設けられるため、シリンドリカルレンズ部10も少なくとも3列以上設けられる。実施形態1では、シリンドリカルレンズ部10は、その頂部が発光素子1の発光面の略中心上に位置するように配置される。
【0021】
実施形態の透光性部材3は、複数の発光素子1の出射光を透過させて所望の配光を得るために、高さの異なるシリンドリカルレンズ部10、すなわち、第1シリンドリカルレンズ部11と、第2シリンドリカルレンズ部12と、を備えている。第1シリンドリカルレンズ部11は、複数のシリンドリカルレンズ部10のうち、少なくとも両端の列を含んでいる。第2シリンドリカルレンズ部12は、
図3Aに示されるように、第1シリンドリカルレンズ部11の内側の列であって、その高さ(h1)が第1シリンドリカルレンズ部11の高さ(h2、h3)よりも高く、複数のシリンドリカルレンズ部10において高さが最も高くなっている。
【0022】
一般的に、シリンドリカルレンズ部は、その高さ(h)が高いほど、発光素子からの出射光の指向性を高くできることが知られている。以下に、高さ(h)が高いシリンドリカルレンズ部10が、高さの低いシリンドリカルレンズ部に比べて指向性が高くなるメカニズムについて説明する。
【0023】
実施形態1では、
図3Aに示すように、断面形状が略半楕円形のシリンドリカルレンズ部10の径(b)を変えずに、高さ(a)を大きくすることで、第2シリンドリカルレンズ部12の高さを第1シリンドリカルレンズ部11よりも高くしている。これにより、第2シリンドリカルレンズ部12の上端側の湾曲部の曲率半径が、第1シリンドリカルレンズ部11の上端側の湾曲部の曲率半径よりも小さくなるため、第2シリンドリカルレンズ部12は第1シリンドリカルレンズ部11に比べて集光作用が高くなる。
また、シリンドリカルレンズ部10の高さ(h)が高いと、シリンドリカルレンズ部10の延伸方向においても、集光作用を高くすることができる。
図4及び
図5には、シリンドリカルレンズ部10の延伸方向において、発光素子1から照射角αで出射される光の進み方が概略的に矢印で示されている。図に示されるように、
図5に示される高さの低い第1シリンドリカルレンズ部11Bを透過した光は、
図4に示される高さの高い第2シリンドリカルレンズ部12Aを透過した光に比べて、レンズの界面が近い分だけ拡散作用が大きくなる。このため、シリンドリカルレンズ部10は、高さ(h)が高い方がその延伸方向において光の拡散作用が抑制されやすい。
【0024】
以上のように、シリンドリカルレンズ部10の上端側の曲率半径が小さくなることによる集光作用と、シリンドリカルレンズ部10の高さが高いことによる光の拡散抑制の作用と、により、第2シリンドリカルレンズ部12の指向性は、第1シリンドリカルレンズ部11の指向性よりも高くなる。
【0025】
第2シリンドリカルレンズ部12は、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、中央部に設けられることが好ましい。本明細書において「中央部」とは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における全長を100とし、一端側を0、他端側を100として表すと、中央寄りの20〜80、より好ましくは40〜60の領域のことを指す。より具体的には、シリンドリカルレンズ部10が3列である場合は、「中央部」はその中央列であり、5列以上の奇数列である場合の「中央部」は、中央列及びその両隣のうち少なくとも一つの列を含む列である。また、シリンドリカルレンズ部10が4列である場合の「中央部」は、中央に位置する谷間を形成する2列であり、6列以上の偶数列である場合の「中央部」は、中央に位置する谷間を形成する2列、及びその両隣の少なくとも1つの列を含む列である。このような範囲に、前述のような指向性の高い第2シリンドリカルレンズ部12を設けることで、光強度分布曲線の中央部において光強度が高い発光装置100とすることができる。
【0026】
実施形態1では、
図3Aに示されるように、透光性部材3が6列のシリンドリカルレンズ部10を有しており、6列のシリンドリカルレンズ部10の両端の列及び両端の列に隣接する列の計4列が第1シリンドリカルレンズ部11であり、それらの内側の2列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の中央の谷間7を形成する列が、複数のシリンドリカルレンズ部10において高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12である。
【0027】
図3Aに示される透光性部材3は、第2シリンドリカルレンズ部12Aの高さ(h1)が最も高く、両端の第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さ(h3)が最も低い。また、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かって高さが次第に低くなるように、第1シリンドリカルレンズ部11の高さが設定されている。第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12の高さは、所望の配光特性、発光素子1の寸法や配列等によって適宜設定することができる。第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12の高さは、例えば0.1mm〜4.0mmとすることができる。また、実施形態1では、例えばシリンドリカルレンズ部10の高さを、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に0.1mmずつ低く設定することができる。具体的には、
図3Aにおいて、第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さを第2シリンドリカルレンズ部12Aの高さよりも0.1mm低く設定し、第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さを第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さよりも0.1mm低く設定することができる。このような構成とすることで、
図3Bに示されるように、略同じ高さのシリンドリカルレンズ部が複数並列された形状の透光性部材を有する発光装置の光強度分布曲線と比べて、光強度分布曲線の傾きが緩やかに変化し、その中央部付近で光強度が高くなる発光装置100とすることができる。なお、
図3Bに示されるグラフは、平面視1.4mm×1.4mm、厚さ0.3mmの発光素子1を用い、それぞれのシリンドリカルレンズ部10の径(b1、b2、b3)が3.0mm、第2シリンドリカルレンズ部12Aの高さ(h1)が3.5mm、第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さ(h2)が2.8mm、第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さ(h3)が2.5mmである透光性部材3を有する発光装置の光強度分布曲線を示す。
【0028】
さらに、
図3Aに示される複数のシリンドリカルレンズ部10の高さは、その並列方向における中央(実施形態1では中央の谷間7)を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Aの高さ(h1)は略等しく、第2シリンドリカルレンズ部12Aの両隣に設けられる左右2列の第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さ(h2)は略等しく、さらにその両隣の列、すなわち両端に設けられる左右2列の第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さ(h3)は略等しい。このように、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さがその並列方向における中央を基準として左右対称であると、シリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置100の光強度分布曲線を左右対称とすることができる。なお、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さを、その並列方向の中央を基準として左右非対称にして所望の配光を実現してもよい。
【0029】
透光性部材3の材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂、ガラス等を用いることができる。樹脂としては、例えば、耐久性、成形のしやすさ等の観点から、シリコーン樹脂等を使用することができる。透光性部材3は、圧縮成形、トランスファ成形、キャスティング成形等で設けることができ、例えば、複数の発光素子1が載置された基板2の上面を、複数のシリンドリカルレンズ部10を形成可能な凹部を備えた金型で型閉すると共に、基板と金型とで形成された空間に液状の材料を注入した後、硬化させることで成形することができる。その他、粘度等の条件を調整することで、各発光素子列上に樹脂等の材料をライン状に描画して硬化することで形成してもよい。
【0030】
ここで、基板2表面の凹凸状態や、注入する際の樹脂の粘度、温度、注入圧等を調整することで、透光性部材3にボイドが発生することを防止できる。基板2上の複数の発光素子1間に十分な間隔を確保しておくことで、注入される透光性部材3の流動性を向上させてボイドの発生を抑制することができる。また、透光性部材3を注入する前工程として、発光素子1が実装された基板2上を有機溶剤等で濡らすことによっても、成形時における透光性部材3の流動性を向上させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)等を用いることができる。
【0031】
(発光素子1)
発光素子1は、発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることが好ましい。このような半導体発光素子としては、窒化物半導体等を形成させたものが好適に用いられる。発光素子1は、少なくとも発光層を含む半導体層と、正負の電極と、を有する。例えば、発光層の材料として、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等が利用できる。本実施形態では、発光素子として紫外光から赤外光まで種々の発光波長のものを選択することができるが、特に紫外光を発するものを使用することができる。ここで、紫外光とは、発光波長400nm以下のものを指し、特に、発光波長330nm〜380nmの近紫外と言われる領域の光を発するものを好適に用いることができる。
【0032】
実施形態1の発光素子1は、上面と下面に電極を備えており、下面電極が基板2上の導電層5に導電性接着剤等によって接合される。導電性接着剤としては、Au−Sn、Au−In等の半田が挙げられる。また、発光素子1の上面電極は、導電性ワイヤ4によって、下面電極が接続される導電層5に隣接する導電層5に通電される。
図2に示される発光素子1は、上面の中央部に電極が設けられており、この電極と導電層5とが1本の導電性ワイヤ4で接続されているが、これに限らず、電極の位置、電極及び導電性ワイヤの数等は適宜変更することができる。なお、発光素子は、同一面上に正負の電極が設けられたものでもよく、電極を有する面が導電性接着剤によって導電層5に接合されていてもよいし、電極を有する面と反対側の面が絶縁性接着剤によって導電層5と接続され、導電性ワイヤによってそれぞれの電極と導電層とが電気的に接続されていてもよい。
【0033】
図2に示す発光素子1は、平面形状が四角形である。四角形の例としては、正方形、矩形が挙げられる。ただし、発光素子の平面形状はこれに限らず、例えば六角形等の多角形や円形、楕円形等とすることもできる。また、発光素子1の大きさ及び厚みは、適宜選択することができる。例えば、一例として平面視1.4mm×1.4mm、厚み0.3mmの発光素子1を用いることができる。
【0034】
図2に示されるように、複数の発光素子1は、ライン状に配置されて少なくとも3列以上の発光素子列6を形成すると共に、発光素子列6が複数並べられてマトリクス状に配置されている。
図2では、1列の発光素子列6に12個の発光素子1が載置されており、該発光素子列6が6列設けられている。したがって、発光装置100は72個の発光素子1を備えている。しかし、これに限らず、発光素子1の配列パターンや発光素子1の数、発光素子列6の数は適宜変更することができる。また、実施形態1では、発光素子列6の発光素子1どうしは略等間隔で載置されており、発光素子列6どうしは略等間隔で並列されている。このように略等間隔で発光素子1及び発光素子列6を設けることで、発光素子1の載置が容易となるため好ましい。
【0035】
図2に示される複数の発光素子1は、導電層5と導電性ワイヤ4を介して12直列6並列に接続されている。ただし、接続パターンはこれに限らず、適宜変更することができる。また、実施形態1では、直列に接続された複数の発光素子1の配列方向と、シリンドリカルレンズ部10の延伸方向とが一致するように設けられている。このようにすることで、透光性部材3の厚みが比較的薄くなる谷間7と、発光素子1に接続する導電性ワイヤ4と導電層5との接続部と、が重ならないように設けやすいため、接続部に外部からの応力がかかりにくく、導電性ワイヤ4の断線を抑制することができる。
【0036】
(基板2)
基板2は、
図2及び
図3Aに示されるように、絶縁性の基材2Aと、基材2A上に設けられ、発光素子1に給電するための導電層5と、を有する。基板2は、
図1に示されるように、その両端側に、固定具19を用いて発光装置100を実装基板に固定するための孔18を有していてもよい。
【0037】
基材2Aの材料としては、セラミックス、樹脂、ガラス等の絶縁性材料が挙げられる。特に、放熱性の観点から、無機材料であるセラミックスが好ましい。セラミックスとしては、特に放熱性の高いAlNが好ましい。
【0038】
導電層5の材料は、発光素子1と電気的に接続可能なものであれば特に限定されず、当該分野で公知の材料によって形成することができる。例えば、Cu、Ni、Pd、W、Cr、Ti、Al、Ag、Au又はそれらの合金等を用いることができる。特に、放熱性の観点から、Cu又はCu合金が好ましい。なお、導電層5の表面には、Ag、Pt、Sn、Au、Cu、Rd、又はこれらの合金や、酸化物の被膜が形成されていてもよい。導電層5は、めっき、スパッタ、その他の公知の方法で形成してもよいし、リードフレームを用い、リードフレームに樹脂等の基材を成形して基板2としてもよい。
【0039】
(導電性ワイヤ4)
実施形態1では、導電性ワイヤ4は、発光素子1の上面電極と、該発光素子1が載置される導電層5に隣接する導電層5とを電気的に接続する。導電性ワイヤ4は金属線であり、所定のループ形状を形成するように接続されている。導電性ワイヤ4の材料としては、例えばAuが挙げられる。
【0040】
その他、発光装置100は、保護素子等の電子部品を備えていてもよい。保護素子としては、例えば、ツェナーダイオード、コンデンサ、バリスタ等が挙げられる。特に発光装置100に保護素子としてツェナーダイオードを載置することで、駆動における信頼性が高い発光装置100を提供することができる。
【0041】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る発光装置200の概略断面図である。実施形態2の発光装置200は、透光性部材23の形状が、
図3Aに示される実施形態1の透光性部材3の形状と異なる。
図6に示される透光性部材23は、実施形態1の透光性部材3と同様に6列のシリンドリカルレンズ部10が連結部13によって連結された形状であり、中央部に配置された2列が、複数のシリンドリカルレンズ部10において最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Bである。また、第2シリンドリカルレンズ部12Bの外側の左右2列ずつ計4列が第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dである。
図6に示す透光性部材23では、複数のシリンドリカルレンズ部10の両端の2列の第1シリンドリカルレンズ部11Dの高さ(h3)が最も低く、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かってシリンドリカルレンズ部10の高さが次第に低くなっている。さらに、
図6に示される複数のシリンドリカルレンズ部10の高さは、その並列方向における中央(実施形態2では真ん中の谷間)を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Bの高さ(h1)は略等しく、第2シリンドリカルレンズ部12Bの両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Cの高さ(h2)は略等しく、第1シリンドリカルレンズ部11Cの外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端に設けられる第1シリンドリカルレンズ部11Dの高さ(h3)は略等しい。
【0042】
図6に示される複数のシリンドリカルレンズ部10は、その上端側の湾曲部10bの曲率半径は全て略等しく、その下端側に形成される柱状部10aの高さを変更することで、第1シリンドリカルレンズ部11と第2シリンドリカルレンズ部12の高さを変化させている。すなわち、
図6に示す透光性部材23は、第2シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10aを高くすることで、その湾曲部10bの高さを第1シリンドリカルレンズ部11の湾曲部10bよりも高くしている。
【0043】
実施形態2の複数のシリンドリカルレンズ部10では、湾曲部10bの曲率半径が等しいので、この部分における指向性の差はあまりないが、第2シリンドリカルレンズ部12Bの柱状部10aを第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの柱状部10aよりも高くすることで、発光素子1の光を湾曲部10b側へ効率的に反射させ、第2シリンドリカルレンズ部12Bの指向性を第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの指向性よりも高くしている。
【0044】
さらに、前述の記載と同様に、第2シリンドリカルレンズ部12Bの高さが第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの高さよりも高いことによる光の拡散抑制の作用により、第2シリンドリカルレンズ部12Bの指向性が第1シリンドリカルレンズ部11C、11Dの指向性よりも高くなる。
【0045】
なお、
図6に示される透光性部材23では、隣接するシリンドリカルレンズ部10間の谷間7が、
図3Aに示される実施形態1のシリンドリカルレンズ部10間の谷間7よりも深く切り込まれた形状になっている。これにより、シリンドリカルレンズ部10の柱状部10aを設けることができ、第2シリンドリカルレンズ部12の指向性を高めることができる。しかし、
図6に示される透光性部材23において、隣接するシリンドリカルレンズ部10の柱状部10aどうしが接するように設けられていてもよい。
以上のように、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かって高さが次第に低くなるように、第1シリンドリカルレンズ部11の高さが設定された透光性部材23を設けることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置200の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。
【0046】
(実施形態3)
図7は、実施形態3に係る発光装置300の概略断面図である。実施形態3の発光装置300は、透光性部材33の形状が、実施形態1及び実施形態2の透光性部材の形状と異なる。具体的には、実施形態3の発光装置300の透光性部材33は、奇数列、ここでは5列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、5列のシリンドリカルレンズ部10が連結部13によって連結された形状である。また、5列のシリンドリカルレンズ部10のうち、中央列が最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Cであり、その外側の左右2列ずつの計4列が第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bである。
図7に示される透光性部材33では、5列のシリンドリカルレンズ部10の両端の2列の第1シリンドリカルレンズ部11Bが最も低く、第2シリンドリカルレンズ部12Cから外側に向かってシリンドリカルレンズ部10の高さが低くなっている。さらに、
図7に示される5列のシリンドリカルレンズ部10の高さは、中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Cを基準として、左右対称になっている。すなわち、第2シリンドリカルレンズ部12Cの両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さは略等しく、第1シリンドリカルレンズ部11Aの外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端の列である第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さは略等しい。
【0047】
また、実施形態3の第2シリンドリカルレンズ部12Cは、その上端側に平坦部10cを有する。なお、第1シリンドリカルレンズ部11の上端側に平坦部を有していてもよく、両方のシリンドリカルレンズ部10の上端側に平坦部を有していてもよい。
以上のように、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かって高さが次第に低くなるように、第1シリンドリカルレンズ部11の高さが設定された透光性部材33を設けることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置300の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができる。さらに、透光性部材33のシリンドリカルレンズ部10が平坦部を有することで、その部分の光を拡散させることができるので、発光装置の光強度分布曲線の傾きをより緩やかに変化させることが可能である。
【0048】
(実施形態4)
図8は、実施形態4に係る発光装置400の概略断面図である。実施形態4の発光装置400の透光性部材43も、実施形態3と同様に5列のシリンドリカルレンズ部10を有する。実施形態4の5列のシリンドリカルレンズ部10の上端側は湾曲面であり、中央列の高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Aであり、その両隣の第1シリンドリカルレンズ部11B及びその外側の第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さは、第2シリンドリカルレンズ部12Aよりも低く、全て略等しくなっている。
以上のような透光性部材43の構成とすることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置400の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができるとともに、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置400の光強度分布曲線を尖形にすることができる。
【0049】
(実施形態5)
図9は、実施形態5に係る発光装置500の概略断面図である。実施形態5の発光装置500の透光性部材53は、5列のシリンドリカルレンズ部10を有する。5列のシリンドリカルレンズ部10の上端側は湾曲面であり、中央列の高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Aとなっている。実施形態5では、第2シリンドリカルレンズ部12Aの外側の左右2列ずつ計4列が第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bである。実施形態5では、5列のシリンドリカルレンズ部10の両端の第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さが、その内側の第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さよりも高くなっている。また、
図9に示される5列のシリンドリカルレンズ部10の高さは、中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Aを基準として、左右対称になっている。すなわち、第2シリンドリカルレンズ部12Aの両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Bの高さは略等しく、第1シリンドリカルレンズ部11Bの外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端の列である第1シリンドリカルレンズ部11Aの高さは略等しい。
以上のように、第2シリンドリカルレンズ部12の外側にそれよりも高さが低い第1シリンドリカルレンズ部11を有する透光性部材53を設けることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置500の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができるとともに、第2シリンドリカルレンズ部12と第1シリンドリカルレンズ部11との間に高さが最も低いシリンドリカルレンズ部を有することで、発光装置の光強度分布曲線の中央から端部の間に谷部を形成することが可能である。
【0050】
(実施形態6)
図10は、実施形態6に係る発光装置600の概略断面図である。実施形態1〜5では、透光性部材が基板2上の発光素子1を直接被覆する形態を示したが、これに限らず、透光性部材と発光素子1との間に空間を有する形態としてもよい。発光素子1を直接被覆する透光性部材は、例えば金型を用いた成形等により設けることができるが、実施形態6では、
図10に示されるように、下面に予め発光素子1を収納可能な凹部16を設けた透光性部材63を準備し、基板2上の発光素子1がそれぞれ収納されるように、基板2上に載置する。このように透光性部材63を設けることで、透光性部材63と発光素子1とを離間させることができるので、透光性部材が発光素子1の光や熱で劣化することを抑制することができる。また、予め準備した透光性部材を基板上に載置することで、発光素子1が載置された基板2上に透光性部材を直接成形する場合に比べて、基板2や発光素子1にかかる熱による影響を減らすことができる。予め所定の形状に形成された透光性部材63は、接着等により基板2上に固定することができる。
【0051】
(実施形態7)
図11は、実施形態7に係る発光装置700の概略断面図である。実施形態7の発光装置700の透光性部材73は、
図11に示されるように、隣接する複数のシリンドリカルレンズ部10がそれぞれ離間して並列されており、連結部を有さない。具体的には、実施形態7のシリンドリカルレンズ部10は、上端側の湾曲部10bと、その下方の柱状部10aと、を有している。また、6列のシリンドリカルレンズ部10の中央部に配置される2列が、複数のシリンドリカルレンズ部10において最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Dである。さらに、第2シリンドリカルレンズ部12Dの外側の左右2列ずつ計4列が第1シリンドリカルレンズ部11E、11Fである。
図7に示す透光性部材73では、複数のシリンドリカルレンズ部10の両端の2列の第1シリンドリカルレンズ部11Fの高さが最も低く、第2シリンドリカルレンズ部12Dから外側に向かってシリンドリカルレンズ部10の高さが次第に低くなっている。さらに、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さは、その並列方向における中央の谷間7を基準として、左右対称になっている。すなわち、中央部に設けられる2列の第2シリンドリカルレンズ部12Dの高さは略等しく、その両隣に設けられる2列の第1シリンドリカルレンズ部11Eの高さは略等しく、さらに外側の列、すなわち複数のシリンドリカルレンズ部10の両端に設けられる第1シリンドリカルレンズ部11Fの高さは略等しい。
【0052】
実施形態7においても、第2シリンドリカルレンズ部12から外側に向かって高さが次第に低くなるように、第1シリンドリカルレンズ部11の高さが設定された透光性部材73を設けることで、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置700の光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができるとともに、隣接する複数のシリンドリカルレンズ部10がそれぞれ離間して並列されることで、発光装置の光強度分布曲線において複数の谷部を形成することが可能である。
なお、
図11では、下端側が柱状部10aであるシリンドリカルレンズ部10が離間して複数並列された透光性部材73を有する発光装置700を示したが、例えば、
図3Aに示されるように断面形状が略半楕円形のシリンドリカルレンズ部10が複数離間して並列されたような(すなわち、
図3Aに示される透光性部材3において連結部13を有さないような)透光性部材としてもよい。
【0053】
以上の実施形態1〜7では、6列のシリンドリカルレンズ部を備え、中央の谷間の両隣の列を第2シリンドリカルレンズ部12とした透光性部材を有する発光装置、又は、5列のシリンドリカルレンズ部を備え、中央列を第2シリンドリカルレンズ部12とした透光性部材を有する発光装置を示したが、シリンドリカルレンズ部の列の数は3列以上であれば特に限定されない。また、6列のシリンドリカルレンズ部を備える透光性部材において、中央の谷間の両隣の列及びその両隣の列の計4列を第2シリンドリカルレンズ部12としてもよい。また、5列のシリンドリカルレンズ部を備える透光性部材において、中央列及びその両隣の列の計3列を第2シリンドリカルレンズ部12としてもよい。
【0054】
(実施形態8)
図12Aは、実施形態8に係る発光装置800Aの概略断面図である。実施形態8では、発光ユニット9を並設することで1つの発光装置800Aとしている。発光装置800Aを構成する各発光ユニット9は、基板2と、基板2上に載置されて発光素子列6を形成する複数の発光素子1と、発光素子列6上にそれぞれ配置されるシリンドリカルレンズ部10を有する透光性部材83と、を備える。実施形態8の発光ユニット9の発光素子列6は、発光ユニット9の並設方向と同じ方向に複数設けられている。
【0055】
図12Aに示される各発光ユニット9の透光性部材83は、それぞれ4列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、その並列方向の一端側に最も高さが高いシリンドリカルレンズ部10を有し、そのシリンドリカルレンズ部10から他端側に向かって高さが次第に低くなるように設けられている。実施形態8の発光装置800Aでは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向の一端側に設けられた高さが最も高いシリンドリカルレンズ部12Eが対向するように、2つの発光ユニット9が並設されている。したがって、2つの発光ユニット9が並設された発光装置800Aは、合わせて8列のシリンドリカルレンズ部10を有しており、発光ユニット9どうしの対向し合う2列のシリンドリカルレンズ部10が第2シリンドリカルレンズ部12Eであり、それらの外側の計6列のシリンドリカルレンズ部10が第1シリンドリカルレンズ部11G、11A、11Bである。実施形態8では、発光装置800Aの8列のシリンドリカルレンズ部10の高さは、発光ユニット9どうしの間を基準として左右対称になっている。
【0056】
このように、複数のシリンドリカルレンズ部10の高さがその並列方向における中央を基準として左右対称であると、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における発光装置800Aの光強度分布曲線を左右対称とすることができる。実施形態8の発光装置800Aでは、同じ形状の透光性部材83を有する発光ユニット9を、第2シリンドリカルレンズ部12Eが対向するように並設することで、中央を基準として高さ関係が左右対称の透光性部材83を有する発光装置800を容易に設けることができる。なお、発光装置の複数のシリンドリカルレンズ部10の高さを、その並列方向の中央を基準として左右非対称にして所望の配光を実現してもよい。
【0057】
図12Aに示される発光装置800Aでは、それぞれ3列以上のシリンドリカルレンズ部10を有する2つの発光ユニット9が並設された形態を示したが、発光装置は、複数の発光ユニットの透光性部材のシリンドリカルレンズ部を合わせて3列以上有していればよい。
図12Bは、実施形態8に係る発光装置800Bの概略断面図である。
図12Bに示される発光装置800Bでは、各発光ユニット39の透光性部材103がそれぞれ2列のシリンドリカルレンズ部10を備えており、発光装置800Bとして合計3列以上(
図12Bの発光装置800Bでは4列)のシリンドリカルレンズ部10を有する。発光装置800Bの発光ユニット39では、2列のシリンドリカルレンズ部10のうち、一方のシリンドリカルレンズ部(第2シリンドリカルレンズ部12)の高さが高く、他方のシリンドリカルレンズ部(第1シリンドリカルレンズ部11)の高さがそれよりも低くなっている。そして、第2シリンドリカルレンズ部12同士が対向するように、2つの発光ユニット39が並設されることで、発光装置800Bが設けられている。
【0058】
なお、実施形態8では、2つの発光ユニットが並設された発光装置を示したが、発光装置は、3つ以上の発光ユニットを並設してもよい。例えば1列のシリンドリカルレンズ部を備える透光性部材を有する発光ユニットを3つ準備し、高さが最も高いシリンドリカルレンズ部を有する発光ユニットを、3つの発光ユニットの真ん中に配置し、その他の2つの発光ユニットをその両側に並設することで、発光装置を設けることができる。以上のように、複数の発光ユニットで構成される発光装置は、並設する発光ユニットの数や、各発光ユニットの発光素子列及びシリンドリカルレンズ部の数を種々に変更して、所望の配光を有する発光装置とすることができる。
【0059】
図12A及び
図12Bに示される発光装置800A、800Bでは、発光ユニットがそれぞれ第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12を有するので、その並列方向における発光装置800A、800Bの光強度分布曲線の傾きを比較的緩やかに変化させることができる。また、互いの第2シリンドリカルレンズ部12同士が対向するように2つの発光ユニットが並設されることで、発光ユニットの並設方向における発光装置の光強度分布曲線において、中央付近に凸部を形成すること可能である。
【0060】
(実施形態9)
図13は、実施形態9に係る発光装置900の概略断面図である。実施形態9に示される発光装置900は、実施形態8に示される発光装置800A、800Bと同様に、複数の発光ユニット9を並設することで構成されているが、その配列が異なる。
図13に示される発光装置900では、一方の発光ユニット9の一端側に設けられた高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Eと、他方の発光ユニット9の他端側に設けられた第1シリンドリカルレンズ部11Bとが対向するように2つの発光ユニット9が並設されている。
【0061】
この発光装置900では、発光ユニット9がそれぞれ第1シリンドリカルレンズ部11及び第2シリンドリカルレンズ部12を有するので、その並列方向における発光装置の900の光強度分布曲線の傾きを比較的緩やかに変化させることができる。さらに、実施形態9では、
図13において左側に位置する発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eと、右側に位置する発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eにより、発光ユニットの並設方向における発光装置の光強度分布曲線において、2つの凸部を形成することが可能である。
【0062】
なお、実施形態9において、3つ以上の発光ユニットを用いて3つ以上の凸部を有する光強度分布曲線を示す発光装置を設けてもよい。また、並設される発光ユニットの第2シリンドリカルレンズ部及び第1シリンドリカルレンズ部の高さや列数を適宜調整することで、所望の光強度分布曲線を得ることができる。
【0063】
以上の発光ユニット9、39は、基板2と、基板2上に載置されて複数の発光素子列を形成する複数の発光素子1と、発光素子列上にそれぞれ配置されるように、複数のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材83、103とを備える。発光素子列は略等間隔で設けられている。複数のシリンドリカルレンズ部10は、高さの異なる第1シリンドリカルレンズ部11と第2シリンドリカルレンズ部12とを有している。第2シリンドリカルレンズ部12は、複数のシリンドリカルレンズ部10において最も高さが高く、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において、いずれか一方の端部に設けられている。
【0064】
本明細書において、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向における「端部」とは、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における全長を100とし、一端側を0、他端側を100として表すと、両端部の0〜20又は80〜100の領域を指すものとする。具体的には、シリンドリカルレンズ部10が3〜5列である場合、「端部」はその両端の列のうち少なくとも一方の列であり、6列以上である場合、「端部」は両端の列のうち少なくとも一方の列及びその隣にある少なくとも一つの列を含む列である。
【0065】
なお、
図12A、
図12B、
図13に示す例では、発光ユニットは、最も高さが高い第2シリンドリカルレンズ部12を一端
側に配置しているが、複数の発光ユニットを並設して発光装置を構成する場合、発光ユニットの組み合わせによっては、一の発光ユニットでは最も高さが高い第2シリンドリカルレンズ部であったものが、発光装置において高さが最も高くなるとは限らない。また、並設する発光ユニット同士のシリンドリカルレンズ部の列数は同じでなくてもよい。このような例を以下に示す。
【0066】
(実施形態10)
図14Aは、実施形態10に係る発光装置1000の概略断面図であり、シリンドリカルレンズ部の列数が異なる発光ユニットを並設した例を示している。
図14Aに示される発光装置1000において、左側に図示される発光ユニット9は、4列のシリンドリカルレンズ部10を有する透光性部材83を備え、高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Eを一端に備えると共に、第2シリンドリカルレンズ部12Eから他端側に向かって高さが低くなるように第1シリンドリカルレンズ部11G、11A、11Bが設けられている。また、
図14Aにおいて右側に図示される発光ユニット29は、3列のシリンドリカルレンズ部10を有する透光性部材93を備え、高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部2Fを一端に備えると共に、第2シリンドリカルレンズ部12Fから他端側に向かって高さが低くなるように第1シリンドリカルレンズ部11A、11Bが設けられている。ここで、右側の発光ユニット29の第2シリンドリカルレンズ部12Fの高さは、左側の発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eの高さよりも低くなっている。
【0067】
図14Aの発光装置1000では、互いの第2シリンドリカルレンズ部12E、12Fが対向するように2つの発光ユニット9、29が並設されている。ここで、発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eは、発光装置1000においても最も高さが高く第2シリンドリカルレンズ部12Eとして機能するが、発光ユニット29の第2シリンドリカルレンズ部12Fは、発光装置1000において発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eよりも高さが低いため、第1シリンドリカルレンズ部11Gとして機能する。
【0068】
図14Aに示される発光装置1000は、全体として7列のシリンドリカルレンズ部10で構成されており、中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Eを基準として略左右対称になっている。この発光装置1000では、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができるとともに、シリンドリカルレンズ部10の並列方向における光強度分布曲線において、中央付近に凸部を形成することが可能である。
【0069】
(実施形態11)
図14Bは、実施形態11に係る発光装置1100の概略断面図である。
図14Bに示される発光装置1100は、
図14Aに示される発光装置1000の左側の発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eと、右側の発光ユニット29の第1シリンドリカルレンズ部11Bとが対向するように、2つの発光ユニット9、29を並設している。この発光装置1100においても、発光ユニット9の第2シリンドリカルレンズ部12Eが、発光装置1100において最も高さが高い第2シリンドリカルレンズ部12Eとなるが、発光ユニット29の第2シリンドリカルレンズ部12Fは、発光装置1100においては第1シリンドリカルレンズ部11Gとして機能する。
【0070】
この発光装置1100は、全体として7列のシリンドリカルレンズ部10で構成されており、中央列である第2シリンドリカルレンズ部12Eを挟んで、図の左側から右側(又は右側から左側)へシリンドリカルレンズ部の高さが高く(又は低く)なっている。この発光装置1100では、複数のシリンドリカルレンズ部10の並列方向における光強度分布曲線の傾きを緩やかに変化させることができるとともに、2つの異なる高さの凸部を形成することが可能である。
【0071】
なお、実施形態8〜11の
図12A〜
図14Bに示されるように、複数の発光ユニットを並列した発光装置であって、紫外光を発する発光素子が搭載されるものは、例えば
図3Aに示されるような一体的な発光装置100に比べて、インク等をより確実に硬化させやすい場合がある。以下に、その理由を説明する。
【0072】
図18Aは、発光装置1200の概略平面図である。
図18Bは、
図18Aに示される発光装置1200のXVIIIB−XVIIIB線における概略断面図である。
図18A及び
図18Bに示される発光装置1200は、基板2上に略等間隔で8列の発光素子列6が設けられ、それぞれの発光素子列6上に配置されるように、8列のシリンドリカルレンズ部10が並列された透光性部材113を有する。発光装置1200は、発光ユニットが並列された形態ではなく、一体的に設けられた発光装置である。より詳細には、発光装置1200のシリンドリカルレンズ部10は、実施形態8の
図12Aに示される各発光ユニット9の透光性部材83のシリンドリカルレンズ部12E同士が連結された形状である。したがって、
図18A及び
図18Bに示される発光装置1200と、
図12Aに示される発光装置800Aとの違いは、シリンドリカルレンズ部の並列方向における中央において、基板同士及び透光性部材同士が連結しているか離間しているかという点であり、それ以外は略同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0073】
図19は、
図18Aに示される発光装置1200における光放射強度分布を示す。
図20は、
図12Aに示される発光装置800Aの平面図における光放射強度分布を示す。
図19及び
図20に示されるように、ピーク光放射強度は、
図12Aに示される発光ユニット9が並列された発光装置800Aよりも、
図18Aに示される一体的な発光装置1200の方が高くなっているが、インクの硬化に必要な閾値(例えば3W/cm
2)以上の領域(図において鎖線で囲まれた領域)は、
図12Aに示される発光ユニット9が並列された発光装置800Aの方が広くなっている。したがって、一体的に設けられた発光装置を用いる場合に比べて、発光ユニットが複数並列された発光装置を用いた方が、インクが硬化反応する時間が長くなり、インクの硬化が確実になる場合がある。
【0074】
図21は、
図14Aに示される発光装置1000の平面図における光放射強度分布を示す。
図14Aに示される発光装置1000は、前述のように、4列のシリンドリカルレンズ部10を備え、高さが最も高い第2シリンドリカルレンズ部12Eを一端側に有し、一端側から他端側にシリンドリカルレンズ部10の高さが低くなる透光性部材83を有する発光ユニット9と、3列のシリンドリカルレンズ部10を備え、一端側の第2シリンドリカルレンズ部12Fから他端側にシリンドリカルレンズ部10の高さが低くなる透光性部材93を備える発光ユニット29と、が互いの第2シリンドリカルレンズ部12E、12Fが対向するように並設されている。
図14Aに示される発光装置1000は、
図12Aに示される発光装置800Aに比べて、シリンドリカルレンズ部及び発光素子列の列数が1列少なく、発光ユニット同士の離間領域の位置が、発光装置のシリンドリカルレンズ部10の並列方向において中央から一端側又は他端側に寄っている。
【0075】
図20及び
図21に示されるように、光放射強度分布においてインクの硬化に必要な閾値(例えば3W/cm
2)以上の領域(図において鎖線で囲まれた領域)は、
図14Aに示される発光ユニット9、29が並列された発光装置1000よりも、
図12Aに示される発光ユニット9が並列された発光装置800Aの方が広くなっているが、ピーク光放射強度は、
図12Aに示される発光装置800Aよりも、
図14Aに示される発光装置1000の方が高くなっている。また、
図14Aに示される発光ユニット9、29が並列された発光装置1000は、シリンドリカルレンズ部10及び発光素子列が1列少ない(7列である)にもかかわらず、
図19及び
図21に示されるように、光放射強度分布におけるインクの硬化に必要な閾値(例えば3W/cm
2)以上の領域(図において鎖線で囲まれた領域)が、8列のシリンドリカルレンズ部10及び発光素子列を有し、一体的に設けられた発光装置1200の光放射強度分布と略同じ程度の広さとなっている。
【0076】
したがって、一体的に設けられた発光装置1200や、発光ユニット9同士の離間領域がシリンドリカルレンズ部10の並列方向において略中央に位置する発光装置800Aに比べて、
図14Aに示されるように、発光ユニット9、29が複数並列され、発光ユニット9、29同士の離間領域がシリンドリカルレンズ部10の並列方向において中央から一端側又は他端側に寄っている発光装置1000では、全体の発光素子列の列数が8列から7列と少なくなるにもかかわらず、インクを硬化させる作用を略同程度等にできる場合がある。
【0077】
(光照射装置)
以上のような発光装置を、所定の配列で複数並設することで、光照射装置として用いることができる。
図15は、
図1に示す発光装置100を備える光照射装置の概略構成図である。
図16は、
図12Aに示す発光装置800Aを備える光照射装置の概略構成図である。また、
図17は、
図13に示す発光装置900を備える光照射装置の概略構成図である。なお、
図15〜
図17に示される光照射装置の発光装置は、いずれも2つずつ図示されているが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、光照射装置において、複数の発光装置は基板等(図示しない)に実装された状態であり、発光装置の下に図示された矢印のいずれかの方向(図中では左右)に移動する。また、被照射物Sも同様に、被照射物Sの上に図示される矢印のいずれかの方向に移動する。なお、光照射装置は、発光装置又は被照射物Sのいずれか一方が移動する形態であってもよいし、両方が移動する形態であってもよい。
【0078】
図15に示す光照射装置は、2個の発光装置100を備えており、これらの発光装置100が、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向が一致するように並列されている。また、光照射装置の2つの発光装置100は、その出射光が下方に向かって照射されるように下向きに配置されている。さらに、この光照射装置は、複数の発光装置100の被照射物Sに対する相対的な移動方向が、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じとなるように設けられている。
【0079】
図16、
図17に示す光照射装置は、2つの発光装置800A、900を備えており、これらの発光装置800A、900が、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向が一致するように並列されている。また、2つの発光装置800A、900は、その出射光が下方に向かって照射されるように下向きに配置されており、複数の発光装置800A、900の被照射物Sに対する相対的な移動方向が、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じとなるように設けられている。
【0080】
図15〜
図17に示すように、光照射装置に、前述のような構成のシリンドリカルレンズ部を有する発光装置を用いることで、被照射物に照射される光の強度を緩やかに変化させることができる。さらに、このような発光装置を複数並列することで、緩やかに強度が大きくなる光を繰り返し照射させることができ、例えばインク等を確実に硬化することが可能である。
【0081】
また、光照射装置において、発光装置100ごとに、発光波長の異なる発光素子が載置されていてもよい。例えば、
図15に示すように、2つの発光装置100のうち、光が被照射物Sに先に照射される位置、すなわち
図15では左側に配置される第1発光装置100Aに載置される複数の発光素子1の発光波長を290nm〜330nmとし、光が第1発光装置100Aよりも後に被照射物Sに照射される位置、すなわち
図15では右側に配置される第2発光装置100Bに載置される複数の発光素子の発光波長を345nm〜385nmとすることができる。より具体的には、第1発光装置100Aに載置される複数の発光素子1の発光波長を310nmとし、第2発光装置100Bに載置される複数の発光素子1の発光波長を365nmとすることができる。このような構成とすることで、第1発光装置100Aの光によって被照射物S、より具体的にはインクの内部を硬化させた後、第2発光装置100Bの光によってインクの表面を緩やかに硬化させることができる。したがって、光照射装置によって、より確実にインクを硬化させることが可能な光照射装置とすることができる。
【0082】
なお、
図15〜
図17に示した光照射装置は2つの発光装置を備えるが、所望の配光や被照射物Sの大きさ等によって適宜個数を変更することができる。また、光照射装置は、複数のシリンドリカルレンズ部の並列方向と同じ方向に発光装置を並設させるだけでなく、シリンドリカルレンズ部の延伸方向と同じ方向に発光装置を併設してもよい。