【0009】
本発明において、「過熱水蒸気」とは、飽和水蒸気を飽和水蒸気点(1気圧のとき100℃)を超えて加熱した気体の水であり、乾き蒸気とも呼ばれる。それに対して、水蒸気は、沸点以上飽和水蒸気点未満において、気体状の水が部分的に凝縮した微小水滴と気体状の水とが混合している状態の水であり、湿り蒸気とも呼ばれる。
過熱水蒸気温度は、好ましくは100℃超200℃未満であり、より好ましくは、105℃〜160℃であり、さらに好ましく120℃〜150℃である。
100℃未満では湿り蒸気であるため、過熱水蒸気処理の効果が得られない。また200℃以上では、野菜片表面のコゲや乾燥が生じる傾向にある。
過熱水蒸気処理時間は、処理する野菜片の大きさや形状により適宜設定することができる。例えば、皮を剥き、2〜3等分にカットしたニンジンであれば100〜170℃で10分〜1時間処理する事が出来る。
過熱水蒸気処理の為の装置としては、バッチ式、コンベア式等何れの型式の過熱水蒸気噴射装置を使用してもよい。
【実施例】
【0016】
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[製造例1 抗老化剤の製造]
(1)ニンジンを洗浄し、皮を剥き、2〜3等分にカットする。
(2)過熱水蒸気コンベヤーオーブン(東研工業社製)を用いて過熱水蒸気処理(135℃、0.5時間)を行う。
(3)冷却後、カッターミキサー(AC−50S、愛工舎製作所製)を用いて1500rpmで2分30秒間処理してペースト化する。
(4)ニンジンペースト100質量部に対してセルラーゼAアマノ3(天野エンザイム社製)を0.04質量部及びビオザイムA(天野エンザイム社製)を0.02質量部添加し、十分に混合攪拌する。
(5)5℃で17時間酵素反応させる。
(6)樹脂製の包装袋に1kgずつ充填して密封する。
(7)90〜100℃で10〜30分加熱し、殺菌・酵素失活を行う。
【0017】
[製造例2 抗老化剤を使用したイーストドーナツの製造]
(1)下記配合表の油脂を除く資材を堅型ミキサーに投入した。
(2)低速2分間、中速5分間混合した。
(3)油脂を投入後、低速2分間、中速7分間混合して生地を得た。捏ね上げ温度は20℃であった。
(4)フロアタイムを取ることなく生地を45gに分割し、20分のベンチタイムの後成型した。
(5)急速冷凍庫に投入し、冷凍生地を得た。使用するまで冷凍生地は−30℃で保管した。
(6)25℃で90分間解凍し、40分間ホイロ(湿度60%、38℃)した。
(7)10分間のラックタイムの後、180℃の油浴に投入して1分20秒間反転1分20秒間フライした。
(8)室温で放冷後、樹脂製包装袋で密封してイーストドーナツを得た。
【0018】
配合表
(ベーカーズ%)
【0019】
[官能評価]
得られたイーストドーナツを3日間常温保管した後、熟練のパネラー10名により、下記表1に示す官能評価基準で評価した。なおこれ以降、それぞれの評価対象群について、保管前のものを評点5点とした。
【0020】
表1:評価基準表
【0021】
[試験例1 酵素反応条件の検討]
表2記載の酵素反応条件とした以外は製造例1に従って老化防止剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
対象区1は酵素処理していないニンジンペーストを使用して製造したイーストドーナツ、対象区2はニンジンペーストを使用しないで製造したイーストドーナツである。
なお、55℃で酵素反応を行った場合、ペースト化ニンジンの性状変化は2時間でプラトーに達し、それ以上反応させても変化しない。この反応条件(55℃、2時間、比較例3)を基準とし、セルラーゼの各反応温度における相対活性から各温度における反応がプラトーとなる反応時間を設定した。なお、比較例4(反応温度70℃)ではビオザイムA(αアミラーゼ主成分、プロテアーゼ副成分)が熱失活するため、酵素反応が不十分な例として示している。
【0022】
表2
酵素反応温度が20℃未満である実施例1〜5はいずれも製造後3日間常温保存しても良好な食感を維持しており、老化防止効果が十分に得られる結果を示した。酵素処理していないニンジンペーストを使用した対象区1、ニンジンペーストを使用しない対象区2ではしっとり感がなくパサついた食感であったため評価が低かった。酵素反応温度が20℃以上である比較例1〜4では、対象区よりもわずかに食感はよかったが、許容されうるものではなかった。
【0023】
[試験例2 過熱水蒸気処理条件の検討]
表3記載の過熱水蒸気処理温度とした以外は製造例1に従って老化防止剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。比較例5では、過熱水蒸気処理を行わなかった。また比較例6の100℃の蒸気は湿り蒸気であって過熱水蒸気(乾き蒸気)ではない。
【0024】
表3
加熱水蒸気処理温度が100℃を超え、200℃未満である実施例2、6〜9はいずれも良好な老化防止効果が得られる結果を示した。過熱水蒸気処理を行わなかった比較例5および6、過熱水蒸気処理温度が200℃以上である比較例7では老化防止効果は得られず低い評価であった。特に比較例7ではカットニンジンの乾燥が進行し過ぎたことが評価の低い原因であると考えられた。
[試験例3 抗老化剤の使用量の検討]
製造例1で製造したニンジンペーストを使用し、表4記載の水及びペースト配合量とした以外は製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
【0025】
表4
【0026】
[試験4 異なる原料野菜を使用した抗老化剤]
表5記載の野菜を使用した以外は製造例1に従って抗老化剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
【0027】
表5
実施例12から15のいずれにおいても良好な結果が得られ、原料野菜の種類にかかわらず良好な結果が得られることが示された。
【0028】
[試験例5 食パン、ホットケーキ、鯛焼きの製造例]
製造例1で得られたニンジンペーストを使用して、下記ベーカリー製品を製造した。得られたベーカリー製品は、製造例2に従って官能評価した。
(1)食パン
小麦粉100、砂糖5、油脂5、脱脂粉乳2、食塩2、改良剤1、イースト2、ニンジンペースト10、水70を竪型ミキサーに投入し、フックを用いて低速2分中速4分混合後、油脂を添加し低速2分中速3分高速3分混合し生地を作成した。捏ね上げ温度は27℃とした。90分フロアタイムをとり、240gで分割しベンチタイムを25分とり成形した。ホイロは38℃80%で55分。焼成は210℃で35分焼成した。
(2)ホットケーキ
小麦粉100、砂糖30、油脂3、膨張剤4、食塩0.4、全卵40、ニンジンペースト10、水85をボールに投入し、ホイッパーで滑らかになるまで混ぜて生地を得た。170℃に熱した鉄板へ生地60gを流し混み3分反転2分焼成した。
(3)鯛焼き
小麦粉100、砂糖5、膨張剤3.5、食塩0.2、全卵10、ニンジンペースト10、水100をボールに投入し、ホイッパーで滑らかになるまで混ぜて生地を得た。180℃に熱した鯛焼きの型に流し込み片面3分ずつ焼成した。
【0029】
表6
実施例16から18のいずれにおいても良好な結果が得られ、ベーカリー製品の種類にかかわらず良好な結果が得られることが示された。