特許第6703908号(P6703908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703908澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法、及び老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703908
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法、及び老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20200525BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20200525BHJP
   A21D 2/36 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   A23L19/00
   A23L29/00
   !A21D2/36
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-132724(P2016-132724)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-119(P2018-119A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】日本製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】水野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 秀知
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−128265(JP,A)
【文献】 特開2005−192440(JP,A)
【文献】 特開2009−296890(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/103833(WO,A1)
【文献】 特開2003−253263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00−19/20
A23L 29/00−29/30
A21D 2/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程
(1)野菜原料を過熱水蒸気により加熱処理する工程、
(2)前記加熱処理した野菜原料をペースト化する工程、及び
(3)前記ペーストに細胞成分の分解酵素としてセルラーゼを添加し、20℃未満で反応させる工程
を含む、澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法であって、
前記野菜原料がニンジン、カボチャ、ジャガイモ、タマネギ及びコーンからなる群から選択される1以上である、前記製造方法
【請求項2】
過熱水蒸気温度が100℃を超え、且つ200℃未満である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(3)において、細胞成分の分解酵素として更にアミラーゼ及びプロテアーゼを添加する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法に従って製造した澱粉含有食品の老化防止剤を、澱粉含有原料100質量部に対して0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む、老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法に従って製造した澱粉含有食品の老化防止剤を、澱粉含有原料100質量部に対して0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む、澱粉含有食品の老化防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法、及び老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法に関する。詳細には、野菜原料を過熱水蒸気により加熱処理する工程、前記加熱処理した野菜原料をペースト化する工程、前記ペーストに細胞成分の分解酵素を添加し、20℃未満の温度で反応させる工程を含む、澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法、及び前記製造方法によって得られた老化防止剤を、澱粉含有原料に対して所定量使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む、老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パン、ケーキ、ドーナツに代表されるベーカリー製品等の澱粉含有食品は、澱粉の老化による硬化現象を起こすために、経時的に品質が劣化し、商品価値が低下する。
このような食品の澱粉の老化による劣化を防止する目的で、乳化剤、増粘多糖類等の老化防止効果を有する添加物を使用することが一般的であり、そのような添加物を使用しないと、例えばベーカリー製品の場合店舗陳列中や輸送中、保管中に老化が進行し、シットリ感が経時的に損なわれて硬い食感となり、商品価値が低下する。
またオペレーションの簡便化などから、乳化剤含有冷凍生地を使用するベーカリー店は多いが、店舗で調製した乳化剤含有非冷凍生地と比べ発酵時間が短いという利点があるものの、老化しやすいという欠点があった。
そこで、天然志向や添加物使用量の低減等の社会的要請からも、従前使用されてきた乳化剤、増粘多糖類等の添加物を使用しないベーカリー製品等の澱粉含有食品の老化防止剤及び老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法が求められている。
また各種食品原料として野菜ペーストが使用されている。これまでに野菜ペーストの製造方法は各種知られており、例えば特許文献1では野菜原料を過熱水蒸気処理し、ペースト化したものを酵素処理することにより、色合いや柔らかさを維持し、味や風味、食感の良好な野菜ペーストの製造方法を提供することが開示されている。また、特許文献2ではセルラーゼやプロテアーゼ等の細胞成分の分解酵素で酵素処理した野菜ペーストを含む即溶性を有するフリーズドライ製品を開示している。しかしながら、野菜ペーストが澱粉含有食品に使用される場合、その目的は主に素材としての使用や色づけ、風味付けであり、野菜ペーストを澱粉含有食品の老化防止を目的として使用した例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−296890
【特許文献2】特開2001−008614
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳化剤、増粘多糖類等の添加物を使用しなくとも澱粉含有食品の経時的な老化を防止することが出来る、澱粉含有食品の老化防止剤及びそれを用いた老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題を解決する為鋭意研究を重ねた結果、野菜原料を過熱水蒸気により加熱処理してペースト化し、前記ペーストに細胞成分の分解酵素を添加、撹拌し、20℃未満の温度で反応させることにより得られる澱粉含有食品の老化防止剤を澱粉含有原料100質量部に対して0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造することにより、乳化剤を使用しなくとも澱粉含有食品の経時的な老化を防止し、しっとりとした食感を維持することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕野菜原料を過熱水蒸気により加熱処理する工程、
前記加熱処理した野菜原料をペースト化する工程、
前記ペーストに細胞成分の分解酵素を少なくとも1種添加し、20℃未満で反応させる工程を含む、澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法。
〔2〕過熱水蒸気温度が100℃を超え、且つ200℃未満である、前記〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記酵素がセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼからなる群から選択される、前記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の製造方法に従って製造した澱粉含有食品の老化防止剤を、澱粉含有原料100質量部に対して0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む、老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法。
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項に記載の製造方法に従って製造した澱粉含有食品の老化防止剤を、澱粉含有原料100質量部に対して0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む、老化防止方法。
〔6〕野菜原料を過熱水蒸気により加熱処理してペースト化し、前記ペーストに酵素を添加し、20℃未満の温度で反応させることにより得られる澱粉含有食品の老化防止剤。
〔7〕前記〔6〕に記載の老化防止剤を含む、澱粉含有食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明の澱粉含有食品の老化防止剤の製造方法によって得られた老化防止剤を、所定量使用して澱粉含有食品を製造することにより、乳化剤を使用しなくとも澱粉含有食品の経時的な老化を防止し、しっとりとした食感を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において「澱粉含有食品」とは、澱粉含有原料を使用して製造する食品である。ここで澱粉含有原料としては、小麦粉、米粉大麦粉、ライ麦粉等の穀粉、根菜系、穀物系、樹幹系の食用澱粉等の澱粉類があげられる。
澱粉含有食品としては、前記穀粉及び又は澱粉類を原料として製造される食品であれば特に限定されるものではない。澱粉の老化が発現しやすいパン、ケーキ、ドーナツ等のベーカリー製品において、本発明の老化防止作用は特に顕著である。
【0008】
本発明において「野菜原料」は特に限定されず、ニンジンやダイコン等の根菜類、タマネギやジャガイモ等の土物類、ケールやほうれん草等の葉茎菜類、カボチャやトマト等の果菜類、グリンピースやサヤエンドウ等のマメ科野菜類、トウモロコシやベビーコーン等のイネ科野菜類が上げられる。好ましくは、ニンジン、カボチャ、じゃがいも、たまねぎ、コーンが使用できる。より好ましくはニンジン、カボチャであり、最も好ましくはニンジンである。野菜原料は好ましくはペースト化の前に洗浄、皮をむく、不要な根や葉を除去するなどの前処理を行う。
【0009】
本発明において、「過熱水蒸気」とは、飽和水蒸気を飽和水蒸気点(1気圧のとき100℃)を超えて加熱した気体の水であり、乾き蒸気とも呼ばれる。それに対して、水蒸気は、沸点以上飽和水蒸気点未満において、気体状の水が部分的に凝縮した微小水滴と気体状の水とが混合している状態の水であり、湿り蒸気とも呼ばれる。
過熱水蒸気温度は、好ましくは100℃超200℃未満であり、より好ましくは、105℃〜160℃であり、さらに好ましく120℃〜150℃である。
100℃未満では湿り蒸気であるため、過熱水蒸気処理の効果が得られない。また200℃以上では、野菜片表面のコゲや乾燥が生じる傾向にある。
過熱水蒸気処理時間は、処理する野菜片の大きさや形状により適宜設定することができる。例えば、皮を剥き、2〜3等分にカットしたニンジンであれば100〜170℃で10分〜1時間処理する事が出来る。
過熱水蒸気処理の為の装置としては、バッチ式、コンベア式等何れの型式の過熱水蒸気噴射装置を使用してもよい。
【0010】
本発明において「ペースト化」はペースト化装置を用いて行う。ペースト化装置は野菜をペースト化できる公知の装置であれば制限無く使用可能である。磨石式(砥石式)、切刃式、胴搗式、媒体攪拌式、圧縮式、衝撃式、すり潰式等の装置及びそれらの組合せを例示することができる。好ましくは磨石式又は切り刃式装置であり、最も好ましくは切刃式装置である。切刃式装置としては、市販されているカッターミキサーを使用することができる。ペースト化の条件は野菜原料やペースト化装置によって適宜変更することが可能である、例えばニンジンをカッターミキサーで処理する場合1000〜2500rpmで30秒〜3分間処理する事によりペースト化することが出来る。
【0011】
本発明において「細胞成分の分解酵素」とは繊維質、糖質、タンパク質、脂質等の細胞成分の分解酵素であれば特に限定3されず、単独又は1種以上を組み合わせて使用することが出来る。
好ましくは、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼから選ばれる1種以上を使用することが出来、より好ましくはセルラーゼ、アミラーゼから選ばれる1種以上である。用いる細胞成分の分解酵素の種類及び量は、野菜の種別によって最適な組合せを適宜選択することができる。例えばセルラーゼ酵素の場合は野菜ペーストの質量に対し、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%、ヘミセルラーゼ酵素の場合は野菜ペーストの質量に対し、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%、アミラーゼ酵素の場合は野菜ペーストの質量に対し、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%、プロテアーゼ酵素の場合は野菜ペーストの質量に対し、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%、リパーゼ酵素の場合は野菜ペーストの質量に対し、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.02〜0.2%添加する。具体的には、ニンジンであれば、そのペーストに対してセルラーゼAアマノ3(天野エンザイム社製、セルラーゼ)及びビオザイムA(天野エンザイム社製、αアミラーゼ)を選択し、各々0.01〜0.8質量%添加することができる。
【0012】
本発明では、酵素反応温度は20℃未満である。好ましくは0℃以上20℃未満であり、より好ましくは0℃以上15℃以下であり、最も好ましくは5℃以上10℃以下である。
【0013】
本発明では、酵素反応時間は野菜の種類や使用する酵素の種類によって適宜変更可能であるが、好ましくは4時間を超え、さらに好ましくは8時間を超え、より好ましくは10時間を超え、最も好ましくは15時間以上である。
【0014】
本発明において、酵素反応後に、酵素失活処理を行う。酵素失活処理は酵素反応終了後に加熱して酵素を失活させる処理である。例えば90〜100℃で10〜30分加熱処理することにより行うことができる。
【0015】
本発明の老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法は、澱粉含有原料100質量部に対して上述のような本発明の老化防止剤を0.5〜30質量部使用して澱粉含有食品を製造する工程を含む。澱粉含有原料100質量部に対して本発明の老化防止剤を好ましくは0.3〜40質量部使用し、さらに好ましくは1〜20質量部使用する。
本発明の老化防止処理された澱粉含有食品の製造方法は本発明の老化防止剤を澱粉含有原料に対して特定量使用する以外は通常の方法で澱粉含有食品を製造することにより行うことが出来る。例えばイーストドーナツであれば小麦粉、本発明の老化防止剤、砂糖、イースト、卵黄、食塩、水等の生地原料をミキサーで混合し、さらに油脂を加えて混合し生地を得、成形した後にフライすることにより製造することが出来る。例えば食パンであれば小麦粉、本発明の老化防止剤、砂糖、脱脂粉乳、食塩、改良剤、イースト、水等の生地原料をミキサーで混合し、さらに油脂を加えて混合し生地を得、成型し、ホイロをとった後焼成することにより製造することが出来る。例えばホットケーキであれば、小麦粉、本発明の老化防止剤、砂糖、油脂、食塩、全卵、水等の生地原料を混合して生地を得、予め熱した鉄板で生地を焼成することにより製造することが出来る。例えば鯛焼きであれば小麦粉、本発明の老化防止剤、砂糖、食塩、全卵、水等を含む生地原料を混合して生地を得、予め熱した鯛焼きの型に流し込み焼成することにより製造することが出来る。
【実施例】
【0016】
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[製造例1 抗老化剤の製造]
(1)ニンジンを洗浄し、皮を剥き、2〜3等分にカットする。
(2)過熱水蒸気コンベヤーオーブン(東研工業社製)を用いて過熱水蒸気処理(135℃、0.5時間)を行う。
(3)冷却後、カッターミキサー(AC−50S、愛工舎製作所製)を用いて1500rpmで2分30秒間処理してペースト化する。
(4)ニンジンペースト100質量部に対してセルラーゼAアマノ3(天野エンザイム社製)を0.04質量部及びビオザイムA(天野エンザイム社製)を0.02質量部添加し、十分に混合攪拌する。
(5)5℃で17時間酵素反応させる。
(6)樹脂製の包装袋に1kgずつ充填して密封する。
(7)90〜100℃で10〜30分加熱し、殺菌・酵素失活を行う。
【0017】
[製造例2 抗老化剤を使用したイーストドーナツの製造]
(1)下記配合表の油脂を除く資材を堅型ミキサーに投入した。
(2)低速2分間、中速5分間混合した。
(3)油脂を投入後、低速2分間、中速7分間混合して生地を得た。捏ね上げ温度は20℃であった。
(4)フロアタイムを取ることなく生地を45gに分割し、20分のベンチタイムの後成型した。
(5)急速冷凍庫に投入し、冷凍生地を得た。使用するまで冷凍生地は−30℃で保管した。
(6)25℃で90分間解凍し、40分間ホイロ(湿度60%、38℃)した。
(7)10分間のラックタイムの後、180℃の油浴に投入して1分20秒間反転1分20秒間フライした。
(8)室温で放冷後、樹脂製包装袋で密封してイーストドーナツを得た。
【0018】
配合表
(ベーカーズ%)
【0019】
[官能評価]
得られたイーストドーナツを3日間常温保管した後、熟練のパネラー10名により、下記表1に示す官能評価基準で評価した。なおこれ以降、それぞれの評価対象群について、保管前のものを評点5点とした。
【0020】
表1:評価基準表
【0021】
[試験例1 酵素反応条件の検討]
表2記載の酵素反応条件とした以外は製造例1に従って老化防止剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
対象区1は酵素処理していないニンジンペーストを使用して製造したイーストドーナツ、対象区2はニンジンペーストを使用しないで製造したイーストドーナツである。
なお、55℃で酵素反応を行った場合、ペースト化ニンジンの性状変化は2時間でプラトーに達し、それ以上反応させても変化しない。この反応条件(55℃、2時間、比較例3)を基準とし、セルラーゼの各反応温度における相対活性から各温度における反応がプラトーとなる反応時間を設定した。なお、比較例4(反応温度70℃)ではビオザイムA(αアミラーゼ主成分、プロテアーゼ副成分)が熱失活するため、酵素反応が不十分な例として示している。
【0022】
表2

酵素反応温度が20℃未満である実施例1〜5はいずれも製造後3日間常温保存しても良好な食感を維持しており、老化防止効果が十分に得られる結果を示した。酵素処理していないニンジンペーストを使用した対象区1、ニンジンペーストを使用しない対象区2ではしっとり感がなくパサついた食感であったため評価が低かった。酵素反応温度が20℃以上である比較例1〜4では、対象区よりもわずかに食感はよかったが、許容されうるものではなかった。
【0023】
[試験例2 過熱水蒸気処理条件の検討]
表3記載の過熱水蒸気処理温度とした以外は製造例1に従って老化防止剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。比較例5では、過熱水蒸気処理を行わなかった。また比較例6の100℃の蒸気は湿り蒸気であって過熱水蒸気(乾き蒸気)ではない。
【0024】
表3
加熱水蒸気処理温度が100℃を超え、200℃未満である実施例2、6〜9はいずれも良好な老化防止効果が得られる結果を示した。過熱水蒸気処理を行わなかった比較例5および6、過熱水蒸気処理温度が200℃以上である比較例7では老化防止効果は得られず低い評価であった。特に比較例7ではカットニンジンの乾燥が進行し過ぎたことが評価の低い原因であると考えられた。
[試験例3 抗老化剤の使用量の検討]
製造例1で製造したニンジンペーストを使用し、表4記載の水及びペースト配合量とした以外は製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
【0025】
表4
【0026】
[試験4 異なる原料野菜を使用した抗老化剤]
表5記載の野菜を使用した以外は製造例1に従って抗老化剤を製造し、製造例2に従ってイーストドーナツを製造して官能評価を行った。
【0027】
表5
実施例12から15のいずれにおいても良好な結果が得られ、原料野菜の種類にかかわらず良好な結果が得られることが示された。
【0028】
[試験例5 食パン、ホットケーキ、鯛焼きの製造例]
製造例1で得られたニンジンペーストを使用して、下記ベーカリー製品を製造した。得られたベーカリー製品は、製造例2に従って官能評価した。
(1)食パン
小麦粉100、砂糖5、油脂5、脱脂粉乳2、食塩2、改良剤1、イースト2、ニンジンペースト10、水70を竪型ミキサーに投入し、フックを用いて低速2分中速4分混合後、油脂を添加し低速2分中速3分高速3分混合し生地を作成した。捏ね上げ温度は27℃とした。90分フロアタイムをとり、240gで分割しベンチタイムを25分とり成形した。ホイロは38℃80%で55分。焼成は210℃で35分焼成した。
(2)ホットケーキ
小麦粉100、砂糖30、油脂3、膨張剤4、食塩0.4、全卵40、ニンジンペースト10、水85をボールに投入し、ホイッパーで滑らかになるまで混ぜて生地を得た。170℃に熱した鉄板へ生地60gを流し混み3分反転2分焼成した。
(3)鯛焼き
小麦粉100、砂糖5、膨張剤3.5、食塩0.2、全卵10、ニンジンペースト10、水100をボールに投入し、ホイッパーで滑らかになるまで混ぜて生地を得た。180℃に熱した鯛焼きの型に流し込み片面3分ずつ焼成した。
【0029】
表6
実施例16から18のいずれにおいても良好な結果が得られ、ベーカリー製品の種類にかかわらず良好な結果が得られることが示された。