(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鏡面ファセット(13)は、完全入射時に、それらのそれぞれの縁部輪郭とそれらのそれぞれの反射面(15)の形状とにより、それらが各視野点に対する前記照明方向と前記物体視野(3)に対する前記視野形状との両方を予め定めるように各場合に成形されることを特徴とする請求項1に記載の照明光学ユニット。
前記鏡面ファセットミラー(14)の上流に配置され、かつ該鏡面ファセットミラー(14)の前記鏡面ファセット(13)上に入射する前記部分ビーム(9i)の反射誘導のための複数の伝達ファセット(12)を含み、それによって物体視野照明チャネルが、該伝達ファセット(12)と該反射誘導を通じて割り当てられた該鏡面ファセット(13)とを通じて予め定められ、この物体視野照明チャネルを通じて、物体視野(3)全体が、前記照明光(9)によって各場合に照明可能であり、この物体視野照明チャネルには、伝達ファセットミラー(11)の正確に1つの伝達ファセット(12)と、該鏡面ファセットミラー(14)の正確に1つの鏡面ファセット(13)とが各場合に割り当てられる該伝達ファセットミラー(11)を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
それぞれの前記鏡面ファセット(13)上の前記照明光部分ビーム(9i)の入射角の2°よりも小さい局所角度帯域幅を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術と比較して廉価な製造費用で鏡面反射器を実現することができるような冒頭に示したタイプの照明光学ユニットを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、上述の目的は、
当初請求項1に記載の特徴を含む照明光学ユニットによって達成される。
[当初請求項1]
下流結像光学ユニット(6)の物体視野(3)が配置され、該物体視野(3)には、次に、物体変位方向(y)に変位可能な物体(5)が配置可能である照明視野をEUV光源(2)の照明光(9)を用いて照明するためのEUV投影リソグラフィのための照明光学ユニットであって、
互いに並んで配置された複数の鏡面ファセット(13)を含み、かつ前記物体視野(3)への前記EUV照明光(9)のビームの部分ビーム(9i)の反射重ね合わせ誘導のために機能する鏡面ファセットミラー(14)を含み、
前記鏡面ファセットミラー(14)は、前記物体視野(3)の上流で前記照明光(9)を案内するための該照明光(9)のビーム経路内の最後の構成要素を構成し、
前記鏡面ファセットミラー(14)は、
前記鏡面ファセットミラー(14)上のそれぞれの前記鏡面ファセット(13)の位置と、該ファセットミラー(14)のそれぞれの該鏡面ファセット(13)上の照明光部分ビーム(9i)の入射領域(16)とが、前記物体視野(3)の視野点に対する照明方向を予め定め、
前記鏡面ファセットミラー(14)のそれぞれの前記鏡面ファセット(13)上の前記照明光部分ビーム(9i)の前記入射領域(16)の縁部輪郭が、前記物体視野(3)の視野形状を予め定める、
ように配置され、
前記鏡面ファセット(13)の各々が、連続静止反射面(15)を有する、
ことを特徴とする照明光学ユニット。
【0007】
従来技術で公知の鏡面反射器に関する問題解決の提案では、物体視野内に互いの上に重ね合わされる方式で結像される個々のファセットは、それ自体マイクロミラーアレイの複数又は多数の個々のミラーから構成される。本発明による照明光学ユニットの場合に、マイクロミラーへの鏡面ファセットのそのような再分割は回避される。従って、個々の鏡面ファセットは、その製造費用を廉価にするより大きい連続静止反射面を有する。鏡面ファセットミラーは、EUV光源の像平面内又は物体視野に結像される平面内のいずれにも配置されない。鏡面ファセットミラーの鏡面ファセットは、特に一体形成で具現化される。原理的には、連続静止反射面を有する鏡面ファセットを傾斜可能に具現化することは必須ではないので、全体の鏡面ファセットミラーさえも一体形成で具現化することができる。これらのファセット上ではEUV照明光の入射角の小さい角度帯域幅を達成することができる。従って、個々のファセットは、小さい入射角帯域幅で入射を受けることができ、異なるファセットが入射を受ける絶対入射角は、互いに有意に異なることができる。個々のファセット上の入射角の角度帯域幅は、例えば、5°よりも小さいとすることができ、4°よりも小さいとすることができ、3°よりも小さいとすることができ、更に小さいとすることができる。従って、鏡面ファセットミラーは、非常に短いEUV波長、例えば、10nmの領域内及びそれよりも短く、例えば、7nmの領域内の波長の照明光に対して高い反射率に使用することさえ可能である。鏡面反射器として具現化された鏡面ファセットミラーは、物体視野の上流の照明光のビーム経路内の最後の光学構成要素である。従って、鏡面ファセットミラーと物体視野の間の照明光のビーム経路に更に別の照明光学構成要素が置かれることはない。それによってEUV照明光の反射損失を低減することができる。鏡面ファセットは、鏡面ファセットミラー上の1つの平面に互いに
並んで(alongside)配置することができる。鏡面ファセットは、鏡面ファセットミラーの
共通ファセット支持体(common facet carrier)上に配置することができる。照明光のビーム経路内で鏡面ファセットミラーの上流には、更に別の伝達ファセットミラーを配置することができる。ビーム成形デバイスは、照明光のビーム経路内で伝達ファセットミラーの上流に配置することができる。そのようなビーム成形デバイスは、照明光ビームを拡大するためのスキャナとして具現化することができる。これに代えて、ビーム成形デバイスは、照明光を拡大する静止ミラーとして具現化することができる。
【0008】
当初請求項2に記載の鏡面ファセットは、各場合に完全に照明することができ、従って、その縁部輪郭、すなわち、その境界形状と、鏡面ファセットミラー上のその位置、すなわち、その空間配置とに起因して、第1に照明方向を第2に視野形状をもたらすことができる。これに代えて、鏡面ファセットの全ては、ある座標軸、例えば、物体変位方向に対して垂直な座標軸に沿って同じ広がりを有し、それぞれの照明方向を予め定めるために照明光による入射を異なる入射領域内で受けることができる。それによって鏡面ファセットミラーの製造が容易になる。
[当初請求項2]
前記鏡面ファセット(13)は、完全入射時に、それらのそれぞれの縁部輪郭とそれらのそれぞれの反射面(15)の形状とにより、それらが各視野点に対する前記照明方向と前記物体視野(3)に対する前記視野形状との両方を予め定めるように各場合に成形されることを特徴とする当初請求項1に記載の照明光学ユニット。
【0009】
当初請求項3に記載のアスペクト比を有する縁部輪郭は、互いから異なるそれぞれの照明方向を予め定めるために異なる入射領域内で照明を受けることができる鏡面ファセットの設計を可能にする。従って、1つの同じ鏡面ファセットを広がり及び個々の鏡面ファセット上での位置に関して異なる様々な入射領域内で照明することができ、各場合に異なる照明方向がもたらされる。
[当初請求項3]
前記鏡面ファセット(13)の縁部輪郭が、前記物体変位方向に沿う第1の寸法yとそれに対して垂直な第2の寸法xとの前記物体視野(3)の対応する寸法のアスペクト比y/xよりも小さいアスペクト比y/xを有することを特徴とする当初請求項1又は当初請求項2に記載の照明光学ユニット。
【0010】
当初請求項4に記載の重なりの回避の結果として、鏡面ファセットミラーの製造が更に容易になる。2つのファセットが物体変位方向に沿って互いに重なる場合であっても、そのような鏡面ファセットミラーを用いて全ての関連の照明設定を生成することができることが見出されている。
[当初請求項4]
前記鏡面ファセット(13)は、どの2つの鏡面ファセット(13)も前記物体変位方向(y)に沿って互いに重ならないように前記鏡面ファセットミラー(14)上に配置されることを特徴とする当初請求項1から当初請求項3のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【0011】
当初請求項5に記載の伝達ファセットミラーは、各場合に特定の鏡面ファセット群のターゲットを定めた選択、従って、予め定められる照明設定の選択を可能にする。
[当初請求項5]
前記鏡面ファセットミラー(14)の上流に配置され、かつ該下流鏡面ファセットミラー(14)の前記鏡面ファセット(13)上に入射する前記部分ビーム(9i)の反射誘導のための複数の伝達ファセット(12)を含み、それによって物体視野照明チャネルが、該伝達ファセット(12)と該反射ビーム誘導を通じて割り当てられた該下流鏡面ファセット(13)とを通じて予め定められ、この物体視野照明チャネルを通じて、物体視野(3)全体が、前記照明光(9)によって各場合に照明可能であり、この物体視野照明チャネルには、該伝達ファセットミラー(11)の正確に1つの伝達ファセット(12)と、該下流鏡面ファセットミラー(14)の正確に1つの鏡面ファセット(13)とが各場合に割り当てられる伝達ファセットミラー(11)を特徴とする当初請求項1から当初請求項4のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【0012】
当初請求項6に記載の角度帯域幅は、EUV照明光の非常に効率的な反射に特に適することが見出されている。この角度帯域幅は、鏡面ファセット上の照明光部分ビームの全角度帯域幅の半分に等しい。
[当初請求項6]
それぞれの前記ファセット(13)上の前記照明光部分ビーム(9i)の入射角の2°よりも小さい局所角度帯域幅を特徴とする当初請求項1から当初請求項5のいずれか1項に記載の照明光学ユニット。
【0013】
当初請求項7に記載の光学系の利点は、本発明による照明光学ユニットを参照して上記で説明したものに対応する。
[当初請求項7]
当初請求項1から当初請求項6のいずれか1項に記載の照明光学ユニットを含み、
結像される物体(5)が、物体視野(3)に配置可能であり、
前記物体視野(3)を基板(8)が配置可能である像視野(7)内に結像するための投影光学ユニット(6)を含む、
ことを特徴とする光学系。
【0014】
当初請求項8に記載の入射瞳設計は、投影光学ユニットの光学設計を容易にする。
[当初請求項8]
前記投影光学ユニット(6)の入射瞳(17)が、前記物体視野(3)の下流のビーム経路に位置することを特徴とする当初請求項7に記載の光学系。
【0015】
当初請求項9に記載の照明系の利点は、本発明による照明光学ユニット及び本発明による光学系を参照して上記で説明したものに対応する。照明系の光源は、自由電子レーザ(FEL)として具現化することができる。光源は、10nmの領域内又はそれよりも短く、例えば、7nmの波長を有することができる。
[当初請求項9]
当初請求項1から当初請求項5のいずれか1項に記載の照明光学ユニットを含み、
照明光(9)を生成するためのEUV光源(2)を含む、
ことを特徴とする照明系(1)。
【0016】
本発明の更に別の目的は、瞳ファセットミラーを廉価な費用で製造することができるEUV投影リソグラフィのための照明系を指定することである。
【0017】
本発明により、この目的は、
当初請求項10に指定する特徴を有する照明系を用いて達成される。
[当初請求項10]
EUV投影リソグラフィのための照明系(1)であって、
下流結像光学ユニット(6)の物体視野(3)が配置され、この物体視野(3)には、次に、物体変位方向(y)に変位可能な物体(5)が配置可能である照明視野をEUV光源(2)の照明光(9)を用いて照明するための照明光学ユニット(10、23、24)を含み、
FELとして具現化された前記照明光(9)を生成するための光源(2)を含み、
前記照明光学ユニットは、
前記EUV照明光(9)のビームの部分ビーム(9i)の反射誘導のための複数の視野ファセット(23a)を含む視野ファセットミラー(23)と、
複数の瞳ファセット(25)を含む瞳ファセットミラー(24)であって、前記照明光(9)を用いて照明される瞳ファセット(25)の場所分布が、前記物体視野(3)における該照明光(9)の照明角度分布を予め定める前記瞳ファセットミラー(24)と、
を含み、
前記視野ファセット(23a)は、前記瞳ファセット(25)を通じて互いの上に重ね合わされる方式で前記物体視野(3)内に結像され、
前記瞳ファセット(25)は、互いから1つの瞳ファセットの直径(d)よりも大きく互いから空間的に分離される方式で配置された前記瞳ファセットミラー(24)上の場所領域(26、27、28)に配置される、
ことを特徴とする照明系(1)。
【0018】
本発明により、ファセットミラー区域全体が多かれ少なかれ密充填様式で瞳ファセットによって占有されない瞳ファセットミラーを設計することが可能であることが認識された。通例の照明設定は、対応する事前割り当ての部分集合を用いて達成することができ、すなわち、瞳ファセットミラー上の空間的に広範囲の場所領域を瞳ファセットなく保つことができることが認識されている。それによって瞳ファセットミラーに対する製造費用が廉価になる。照明系の光源の波長は、10nmの領域内にあるか又はそれよりも短いとすることができ、例えば、7nmとすることができる。瞳ファセットミラーは、物体視野の上流で照明光を案内するための照明光のビーム経路内で最後のミラーとすることができる。視野ファセットミラーの上流の照明光のビーム経路には、更にビーム成形デバイスを配置することができる。次に、ビーム成形デバイスに関して既に上記で提供した説明を当て嵌めることができる。
【0019】
当初請求項11に記載の少なくとも1つの場所領域は、一般的に必要とされる照明設定を生成するのに特に適することが見出されている。場所領域のうちの1つは、瞳ファセットミラー上で中心に配置することができる。瞳ファセットが内部に配置されるこの中心場所領域は、次に、瞳ファセットが同じく内部に配置される隣接場所領域から瞳ファセットの直径よりも大きく、特に中心場所領域全体の直径よりも大きいとすることができる距離の場所にある。リング形場所領域の場合に、瞳ファセットが内部に配置されるこのリング形場所領域と隣接場所領域の間の距離は、リング形場所領域の半径方向リング厚よりも大きいとすることができる。瞳ファセットミラーの外縁には、少なくとも1つのリング形場所領域を配置することができる。瞳ファセットミラーの外縁と中心領域の間には、少なくとも1つのリング形場所領域を配置することができる。
[当初請求項11]
前記場所領域の少なくとも1つ(27、28)が、前記瞳ファセットミラー(24)上のリングとして配置されることを特徴とする当初請求項10又は当初請求項11に記載の照明系。
【0020】
照明系は、20個よりも少ない視野ファセットを有する視野ファセットミラー、例えば、12個又は他に8個の視野ファセットを有する視野ファセットミラーを含むことができる。
【0021】
照明光学ユニット、光学系、又は照明系は、100個よりも少ない瞳ファセット、例えば、80個よりも少ない瞳ファセット、72個の瞳ファセット、70個よりも少ない瞳ファセット、60個よりも少ない瞳ファセット、50個よりも少ない瞳ファセット、例えば、48個の瞳ファセットを有する瞳ファセットミラーを含むことができる。更に、少ない個数の瞳ファセットも可能である。
[当初請求項12]
当初請求項1から当初請求項6のいずれか1項に記載の照明光学ユニットに、当初請求項7及び当初請求項8のいずれか1項に記載の光学系に、又は当初請求項9から当初請求項11のいずれか1項に記載の照明系に使用するための瞳ファセットミラー(24)であって、
100よりも少ない瞳ファセット(25)、
を特徴とする瞳ファセットミラー(24)。
【0022】
当初請求項13に記載の投影露光装置、
当初請求項14に記載の製造方法、及び
当初請求項15に記載の微細又はナノ構造化構成要素の利点は、本発明による照明光学ユニット、本発明による照明系、及び本発明による光学系を参照して上記で説明したものに対応する。
[当初請求項13]
当初請求項9又は当初請求項10に記載の照明系を含み、
物体視野(3)を基板(8)が配置可能である像視野(7)内に結像するための投影光学ユニット(6)を含む、
ことを特徴とする投影露光装置(4)。
[当初請求項14]
構造化構成要素を生成する方法であって、
当初請求項13に記載の投影露光装置(4)を与える段階と、
レチクル(5)を与える段階と、
前記レチクル(5)の物体視野(3)に配置された面をウェーハ(8)の感光層上に投影する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
[当初請求項15]
当初請求項14に記載の方法によって生成された構成要素。
【0023】
本発明の例示的実施形態を図面を参照して下記でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1にEUV照明系1をEUV放射線源2と照明視野又は物体視野3の間に略示している。EUV照明系1は、密集積半導体構成要素、特にナノメートル範囲の構造を含むメモリチップを製造するためのEUV投影露光装置4の一部である。
【0026】
照明系1は、照明視野の定められた照明に対して機能する。物体視野3が照明視野に配置されるように、照明視野は、実際の物体視野3よりも大きいとすることができる。これに代えて、照明視野は、物体視野3に対応することができる。更に別の変形では、照明視野は、物体変位方向又はレチクル変位方向に従って物体視野3よりも小さいとすることができる。照明視野は、物体変位方向と垂直に物体視野3よりも大きいとすることができる。
【0027】
図1に記載の実施形態において、
図2に記載の放射線源は、自由電子レーザ(FEL)である。
【0028】
物体視野3は矩形である。これに代えて、物体視野3は、リング形又は弓形様式に具現化することができる。
【0029】
物体視野3内にはリソグラフィマスクとも呼ぶ反射レチクル5が配置される。レチクル5は、レチクル変位デバイス5bに機械的かつ作動的に接続したレチクルホルダ5aによって担持される。
【0030】
物体視野3は、投影レンズ6を用いて像視野7に結像される。投影光学ユニット6の入射瞳は、物体視野3の下流のビーム経路に置くことができる。像視野7内には、放射線源2によって生成されるEUV照明光9に対して感光性を有する層を担持するウェーハ8の一区画が配置される。ウェーハ8を基板とも呼ぶ。ウェーハ8は、ウェーハ変位デバイス8bに機械的に接続したウェーハホルダ8aによって担持される。
【0031】
EUV投影露光装置4は、中央制御デバイス4aを有し、かつスキャナ方式で具現化される。この場合に、走査方向は、物体視野3及び照明視野7の短辺と平行に延びている。
【0032】
図1では投影露光装置4の構成要素を平面図に全て略示している。
【0033】
この平面図では、物体視野3及び像視野7は、直交座標系の座標x,yによって張られる。x方向は、
図1の右に向けて延びている。y方向は、
図1の上方に延びている。投影露光装置4内では、照明光9の実際の主ビーム方向がxy平面に対して実質的に垂直に延びている。
【0034】
放射線源2によって放出された照明光9は、最初にビーム成形デバイス10によって成形される。ビーム成形デバイス10は、放射線源2によって小さい発散で放出された照明ビームをx方向とy方向とに拡大するxyスキャナを含むことができる。ビーム成形デバイス10は、その下流において、照明光9のビームがどの程度有効なx広がりとどの程度有効なy広がりとを有するかを個々に選択することを可能にする。ビーム成形デバイス10の駆動は、照明光9のビーム経路内で続く光学要素のうちの1つ、特にビーム経路内の次の光学要素及び/又は物体視野5が、照明光9によって均一に照明されるように選択することができる。
【0035】
代替実施形態において、ビーム成形デバイス10は、照明光9を拡大する少なくとも1つの静止ミラーを含む。拡大は、照明光9のビーム経路内で続く光学要素のうちの1つ、特にビーム経路内の次の光学要素及び/又は物体視野5が、照明光9によって均一に照明されるように選択することができる。
【0036】
ビーム成形デバイス10がxyスキャナとして具現化される限り、この実施形態は、一時点で照明光9のビーム経路内でビーム成形デバイス10に続く光学要素のうちの1つのもの僅かな領域しか照明されないようなものとすることができる。その結果、非常にコヒーレントな光源が使用される場合に、特にFELが使用される場合はスペックルを低減することができる。
【0037】
照明光9は、5nmと30nmの間の範囲の波長、特に最大で10nm、例えば、7nmの波長を有する。
【0038】
照明光9のビーム経路内でビーム成形デバイス10の下流には、伝達ファセット12を含む伝達ファセットミラー11が配置される。伝達ファセット12は、
図1に例示的に1つを示す複数の傾斜アクチュエータ12aを用いて個々に切換可能であり、x軸と平行な傾斜軸及びy軸と平行な傾斜軸の周りに定義方式で個々に傾斜させることができる。伝達ファセット12は矩形である。物体視野3の境界形状が伝達ファセット12の境界形状に対応する必要はない。伝達ファセット12のx/yアスペクト比が物体視野3のx/yアスペクト比に対応する必要はない。
【0039】
伝達ファセット12のそれぞれのものによって反射された照明光部分ビーム9iは、伝達ファセットミラー11の下流の照明光9のビーム経路に配置された鏡面ファセットミラー14の鏡面ファセット13上に入射する。鏡面ファセットミラー14は、照明系1の鏡面反射器を構成する。伝達ファセットミラー11及び鏡面ファセットミラー14は、物体視野又は照明視野3を照明するための照明系1の照明光学ユニットの一部である。照明光学ユニット及び投影光学ユニット6は、投影露光装置4の光学系の一部である。
【0040】
鏡面ファセット13は、鏡面ファセットミラー14のxy配置平面に互いに
並んで配置される。鏡面ファセット13は、物体視野3に向けた照明光9のビーム全体のうちの部分ビーム9iの反射重ね合わせ誘導
のために機能する。伝達ファセット12と、照明部分ビーム9iの反射ビーム誘導によって割り当てられる下流の鏡面ファセット13とを通して、各場合に照明チャネルが予め定められる。これらの照明チャネルを通して、各場合に全体の物体視野3を照明光9によって照明することができる。物体視野照明チャネルのそれぞれのものには、各場合に正確に1つの伝達ファセット12及び各場合に正確に1つの鏡面ファセット13が割り当てられる。これに代えて、伝達ファセットのそれぞれを複数の照明チャネル、従って、複数の鏡面ファセット13に割り当てることができる。
【0041】
鏡面反射器に関する文献、例えば、DE 103 17 667 A1又はUS 2010/0231882 A1から一般に知られているように、鏡面ファセットミラー14は、その上のそれぞれの鏡面ファセット13の位置と、鏡面ファセットミラー14のそれぞれの鏡面ファセット13上での照明光部分ビーム9iの入射場所とが、物体視野3の視野点に対する照明方向を予め定めるように配置される。
【0042】
同時に、鏡面ファセットミラー14のそれぞれの鏡面ファセット13上の照明光部分ビーム9iの入射領域の縁部輪郭、すなわち、鏡面ファセット13上の全体入射の場合の鏡面ファセット13自体の縁部輪郭は、物体視野3の視野形状を予め定める。従って、輪郭構成、並びに鏡面ファセットミラー14上の鏡面ファセット13の配置は、物体視野3の照明に関する「照明角度」情報と「視野形状」情報の両方を含む。
【0043】
鏡面ファセット13の各々は、連続静止反射面15を有する。鏡面反射器に関する上記に挙げた公報とは異なり、鏡面ファセット13は、それ自体が複数の個々のミラーに再分割されることはなく、各場合に単一の一体形成ミラーを構成する。
【0044】
鏡面ファセットミラー14は、投影露光装置4の瞳内又は投影露光装置4の視野平面内のいずれにも配置されない。
【0045】
鏡面ファセット13は、小さい角度帯域幅を有する入射角での入射を受ける。この角度帯域幅は、2°よりも小さいとすることができる。この角度帯域幅は、照明光部分ビーム9iがそれぞれの鏡面ファセット13上で有する入射角の全角度帯域幅の半分に等しい。一例として、照明光部分ビーム9iが鏡面ファセット13のうちの1つの上に3°と7°の間の入射角で入射する場合に、全角度帯域幅は4°であり、従って、この鏡面ファセット13上の角度帯域幅は2°である。
【0046】
鏡面ファセット13上の入射角の角度帯域幅は、局所入射角に関連付けることができる。次に、鏡面ファセット13のそれぞれのものの上の各場所に関して、照明光9の最大入射角と最小入射角が決定される。2°と4°の間の入射角を有する照明光部分ビーム9iが鏡面ファセット13のうちの1つの上の場所に入射し、10°と12°の間の入射角を有する照明光部分ビーム9iがこの鏡面ファセット13上の別の場所に入射する場合に、この鏡面ファセット13上の局所全角度帯域幅は2°であり、従って、局所角度帯域幅は1°である。これらの局所帯域幅値は、鏡面ファセット13上で考慮される他の場所における角度帯域幅の大きさに対しては何も説明しない。鏡面ファセット上のいずれかの他の角度帯域幅が、この鏡面ファセットの特定の場所に存在する局所角度帯域幅よりも有意に大きい場合に、この鏡面ファセット13の高反射コーティングの性質を鏡面ファセット13上の場所に依存する方式で選択することができる。この場合に、鏡面ファセット13全体にわたって決定される角度帯域幅ではなく、局所角度帯域幅に依存する鏡面ファセットの反射率を達成することができる。
【0047】
図1に記載の照明系1の実施形態の場合に、鏡面ファセットミラー14は、物体視野3の上流の照明系1内で照明光9を案内する最後の光学構成要素である。照明系1の他の実施形態(例示していない)の場合に、照明光9のビーム経路内で鏡面ファセットミラー14と物体視野の間にかすめ入射ミラーが置かれる。このかすめ入射ミラーは、屈折力を持たない平面ミラーとして具現化することができるが、これに代えて、凸又は凹の曲面ミラーとして具現化することができる。
【0048】
図1は、それぞれの伝達ファセット12によって照明部分ビーム9iを用いて照明される鏡面ファセットミラー14の鏡面ファセット13への伝達ファセットミラー11の伝達ファセット12の割り当てを対応するハッチング記号を用いて示している。
図1には4つの伝達ファセット12を例示的に示しているので、
図1に示す合計で8つの鏡面ファセット13のうちの4つをそれを照明する伝達ファセット12と同じ手法でハッチングしている。他の鏡面ファセット13は、他の伝達ファセット12(例示していない)によって照明されないか又は照明されるかのいずれかである。
【0049】
実際には、伝達ファセット12の個数及び鏡面ファセット13の個数は、
図1に記載の概略図にあるものよりもかなり多い。実際の個数の鏡面ファセットの概要を
図7によって提供しており、この図に対しては以下で更に説明する。
【0050】
図2は、鏡面ファセットミラー14の鏡面ファセット13の縁部輪郭成形の1つの変形を示している。
図2に記載の実施形態の場合に、鏡面ファセット13は、各場合に、完全な入射時にそのそれぞれの矩形縁部輪郭と、そのそれぞれの反射面15の形状とにより、各視野点に対する照明方向と、物体視野3に対する視野形状の両方を予め定めるように成形される。
【0051】
鏡面ファセット13の代替の成形を
図4に示している。次に、鏡面ファセット13は、各場合に、x方向に、すなわち、視野3及び7の長視野座標軸に沿って等しい広がりを有するように具現化される。
図4に記載の実施形態の場合に、xオフセットなくy方向に互いに
並んで配置される。第1に各視野点に対する照明方向を第2に物体視野3に対する視野形状を予め定めるために、
図4に記載の実施形態の場合の鏡面ファセット13は、照明光部分ビーム9iによる入射を異なる入射領域内で受ける。
図4には1つのそのような入射領域16をハッチング方式で強調表示している。入射領域16は、入射を受ける鏡面ファセット13よりも小さい。
図4に示す例の場合に、入射領域16は、全体の関連鏡面ファセット13よりも小さいx広がりを有する。
【0052】
鏡面ファセット13のy/xアスペクト比、すなわち、鏡面ファセット13の短辺長/長辺長の比は、物体視野3の対応するy/xアスペクト比よりも小さいとすることができる。
【0053】
鏡面ファセット13は、2つの鏡面ファセット13がy方向に沿って、すなわち、走査方向又は物体変位方向に対応する座標軸に沿って互いに重なることのないように鏡面ファセットミラー14上に配置される。従って、全ての鏡面ファセット13は、y方向に沿って互いに
並んで位置合わせされる。各場合に、任意のy座標において最も多くても正確に1つの鏡面ファセット13しか存在しない。
【0054】
図3は、照明系1の瞳17内の照明光9の強度分布を略示している。
図1に記載のものに対応するハッチングは、この場合にもそれぞれの照明光部分ビーム9iが鏡面ファセット13のうちのどれを通してどの瞳箇所18を照明するかを示している。
図3では、瞳スポット18の広がりを有意に誇張した方式で例示している。
【0055】
図3は、例えば、反射光学構成要素上の照明光入射の強度分布ではなく、合計で4つの照明光部分ビームの通過中の瞳17が配置された瞳平面を通る瞳スポット18の場所における強度分布を示している。瞳スポット18は、走査方向yに対して垂直な方向、すなわち、x方向よりも走査方向yと平行に大きい広がりを有する。瞳スポット18は楕円形の断面を有する。
【0056】
図3に記載の瞳スポット分布の場合に、全体の物体視野3が、
図3に記載の瞳17内の4つの瞳スポット18の位置に対応する4つの異なる方向から照明されることになる。4つの瞳スポット18の位置は、それぞれの鏡面ファセット13の位置又はそれぞれの鏡面ファセット18上の入射領域16の位置に対応する。
【0057】
中央制御デバイス4aは、制御される投影露光装置4の構成要素、例えば、放射線源2、ビーム成形デバイス10、伝達ファセット12に対する傾斜アクチュエータ12a、並びに変位デバイス5b及び8bに信号接続される。制御デバイス4aを使用することにより、照明設定、すなわち、瞳17上の瞳スポット18の様々な可能な分布のうちの1つを予め定めることができる。更に、制御デバイス4aは、走査投影露光中の各場合にy方向に沿うレチクル5とウェーハ8との同期変位を予め定める。
【0058】
図5は、瞳17内の瞳スポット18の全体配置を示している。明瞭化のために、この場合にも瞳17内には照明系1の物理的な光学構成要素が配置されないことに注意しなければならない。
図3及び
図5に記載の図は、瞳17の平面内、すなわち、瞳平面内の照明光の強度分布を示している。
図5では、瞳スポット18を有意に拡大した方式で例示している。実際には、小さい角度帯域幅、すなわち、FEL2によって放出される放射線の小さい発散に起因して、光源像と見なすことができる瞳スポット18は、瞳全体17の広がりに対して
図5に示すものよりも非常に小さい。
【0059】
拡大した図であるので、
図5に記載の瞳スポット18の全体配置からは、個々の瞳スポット18が全て異なるy座標を有することを推察することができない。
【0060】
図3は、瞳平面を通過し、かつ走査方向yに拡張された物体視野3の領域を照明する照明光部分ビーム9iの強度分布を示すのに対して、
図5は、各場合に物体視野3の非常に小さい領域しか照明しない照明光部分ビーム9iの強度分布を示している。この小さい照明物体視野領域は、特に走査方向yに沿って計った物体視野3の中心を含む。従って、
図3の瞳スポット18は、走査方向yと平行に
図5の瞳スポット18よりも大きい広がりを有する。
【0061】
図5は、合計で48個の瞳スポット18の配置を示している。瞳スポットのうちの8つ18zは、瞳17の中心Zの近くで互いに対して近接して配置される。瞳スポットのうちの16個18mは、瞳17の中心Zと縁部領域の間の中央半径領域に配置される。瞳スポットのうちの更に別の24個は、瞳17の縁部に近い外側半径領域に配置される。次に、中央半径領域内の瞳スポット18mは、瞳17の中心Zと外縁の間のほぼ半分の距離の場所に配置される。
【0062】
図6は、
図5に記載の瞳スポット18の全体配置から選択することができる
各場合に8つの瞳スポット18の合計で27タイプの異なる配置を示している。
図6に記載のこれらの異なる配置aa、ab、...az、及びbaは、照明系1の異なる照明設定を構成し、各場合に物体視野照明チャネルを通して8つの伝達ファセット12を有する伝達ファセットミラー11から、それぞれ選択される瞳スポット18に対応する鏡面ファセットミラー14の鏡面ファセット13に反射された照明光部分ビーム9iによって照明することができる。従って、
図6に記載の異なる瞳スポット配置は、照明光9を所定瞳スポット18に向けて反射する鏡面ファセット13が照明されるように各場合に瞳スポット18の所定配置の選択種に対して相応に傾斜された8つの伝達ファセット12を有する1つの同じ伝達ファセットミラー11によって生成することができる。鏡面ファセット13は、この目的で傾斜可能又はあらゆる他の手法で変位可能である必要はない。従って、鏡面ファセットミラー14を全体的に一体形成で製造することができる。
【0063】
図6に記載の異なる照明設定は、異なる二重極アラインメントを有する二重極照明設定、例えば、照明設定6aa、6ab、6ae、及び6af、異なる絶対照明角度を有する環状照明設定、例えば、照明設定6ac、6ad、6g、異なる絶対照明角度と異なる極アラインメントとを有する四重極照明設定、例えば、照明設定6ai、6aj、6ak、6am、6an、6ao、並びに更に別の照明設定、特に、各場合に瞳の中心の周りの円周方向に90°だけ互いに対してオフセットされた方式で向けられた領域が異なる絶対照明角度を有する四重極照明設定を含み、更に一部の事例では特異照明設定を含む。
【0064】
図5に記載の瞳スポット18の配置に関連付けられた鏡面ファセットミラー14は、48個の鏡面ファセット13を有し、これを
図7に例示している。
図7に記載の鏡面ファセットミラー14の鏡面ファセット13の配置は、
図5に記載の全体瞳スポット配置と物体視野3との折り返しであると理解することができる。鏡面ファセット13上の入射領域のいずれかの割合にある縁部輪郭は、丸形の瞳スポット18と矩形の物体視野3との折り返しであると理解することができるので、個々の入射領域又は他に鏡面ファセット13自体は、正及び負のx方向に角張ってではなく楕円形に湾曲して終端する縁部領域20を有する。特に光源としてFELが使用される場合に、瞳スポット18を非常に小さくすることができるので、縁部領域20の示す丸みを無視することができる。
【0065】
図7に記載の鏡面ファセットミラー14の個々の鏡面ファセット13は、y方向に間隙なく互いに
並んで配置されることはなく、瞳スポット18は、
図5に記載の瞳17の対応するy座標に沿って実際に配置される場所にのみ配置される。言い換えれば、鏡面ファセットミラー14上の鏡面ファセット13の集塊の間に複数の間隙領域19を見つけることができる。これらの間隙領域19は、y方向に、個々の鏡面ファセット13の複数のy広がりに対応する広がりを有する。
【0066】
物体視野3上の照明角度分布、すなわち、照明方向の分布の事前定義は、照明瞳、すなわち、瞳17内の強度分布の事前定義に対応する。物体視野3内で走査方向yに対して実質的に垂直に延びる線に沿う、すなわち、x方向の照明角度分布の事前定義は、関連鏡面ファセット13上で同じく走査方向yに対して実質的に垂直な線に沿う照明角度分布を予め定める。鏡面ファセット13に割り当てられた伝達ファセット12の与えられた形状及び位置に対して、この事前定義は、走査方向yに対して垂直なこの線に沿う鏡面ファセット13の面形状をもたらす。言い換えれば、走査方向yに対して実質的に垂直に延びる線に沿って、瞳17内の照明光9の強度分布を幅広い範囲で自由に予め定めることができる。瞳17内の強度分布のそのような自由な事前定義は、特に、所定線が走査方向yと垂直に延び、瞳17内の瞳スポット18が走査方向yに沿って互いに重なることができない場合に可能である。異なる鏡面ファセット13に対して、
図5に記載の瞳17内で達成することができる照明スポット18の全分布に対応する照明スポット18は、瞳17内で予め定めることができる。
【0067】
物体視野3の縁部領域における重なり効果を回避するために、鏡面ファセット13は、特に走査方向yと平行なその広がりに関して、必要とされる照明角度分布を予め定めるのに必要になるものよりも小さい広がりを有するように具現化することができる。次に、物体視野3上の場所への物体視野3上の照明角度分布の弱い依存性、特にy座標への照明角度分布の依存性をこの場合許容できる。
【0068】
微細又はナノ構造化半導体構成要素を生成するために投影露光装置1の代わりに使用することができる投影露光装置の更に別の実施形態21を
図8を参照して以下に説明する。
図1から
図7に記載の投影露光装置1及びその構成要素を参照して上記で説明したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0069】
図8に記載の例示的実施形態の場合に示すように、ビーム成形デバイス10は反射ミラーを有することができる。ビーム成形デバイス10のビーム成形面、特に反射ミラーは、自由曲面として具現化することができる。
【0070】
照明系1の代わりに使用することができる投影露光装置21の照明系22は、視野ファセットミラー23と瞳ファセットミラー24を有する。
【0071】
視野ファセットミラー23は、物体視野3内に互いの上に重ね合わされる方式で結像される複数の視野ファセット23aを有する。
【0072】
投影露光装置21の瞳平面の領域に配置される瞳ファセットミラー24は、複数の瞳ファセット25を有する。瞳ファセット25は、視野ファセット24の対応する傾斜調節を用いて形成することができる対応する物体視野照明チャネルに沿って放射線源2の像としてもたらされる可能な瞳スポットの場所に配置される。各場合に照明光部分ビーム9iによって照明される瞳ファセット25の場所分布は、物体視野3内の照明光9の照明角度分布を予め定める。
図1に記載の照明系1とは対照的に、
図8に記載の照明系21の場合に、反射光学構成要素、すなわち、瞳ファセットミラー24は瞳平面に配置される。
【0073】
物体視野3における視野ファセット23aの重ね合わせ結像は、瞳ファセット25を通して実施される。
【0074】
瞳ファセット25は、瞳ファセットミラー24上で互いから1つの瞳ファセットの直径dよりも大きく互いから空間的に分離される方式で配置された異なる場所領域26、27、28に配置される。この配置を
図9を参照して下記でより詳細に説明する。
【0075】
図9に記載の瞳ファセットミラー24は、合計で72個の瞳ファセット25を有する。12個の内側瞳ファセット25zが、瞳ファセットミラー24の中心場所領域26に配置される。中心場所領域26は、瞳ファセットミラー24の中心Zの周りの半径領域[0;r
z]内で延びている。12個の更に別の瞳ファセット25mが、瞳ファセットミラー24上の中央リング形場所領域27に配置される。この中央場所領域27は、半径r
miとr
maの間の領域[r
mi;r
ma]内で延びている。更に別の48個の瞳ファセット25aが、瞳ファセットミラー24の中心Zの周りの半径領域[r
ai;r
aa]内で延びる同じくリング形の外側場所領域28に配置される。
【0076】
中央瞳ファセット25mは、瞳ファセットミラー24上で場所領域27内に円周方向に均等に分離される方式で配置される。
【0077】
外側瞳ファセット25aは、瞳ファセットミラー24上で場所領域28内に円周方向に均等に分離される方式で配置される。
【0078】
次式が成り立つ。
d<r
mi−r
zかつ
d<r
ai−r
ma
【0079】
従って、場所領域26から28は、互いから1つの瞳ファセットの直径dよりも大きく互いから空間的に分離される方式で配置される。
【0080】
原理的には、距離r
mi−r
z及びr
ai−r
maに関して、これらの半径距離は、中心場所領域26の直径よりも大きいことが成り立つことができる。
【0081】
一方のリング厚r
ma−r
mi及び他方のリング厚r
aa−r
aiは、隣接する場所領域26、27及び27、28それぞれの間の半径方向距離よりも小さい。
【0082】
合計で12個の視野ファセット23aを有する視野ファセットミラー23に対応する視野ファセットミラーを含む照明系22を使用すると、
図10に示す照明瞳ファセット25の配置、すなわち、照明設定を
図9に記載の全体瞳ファセット配置を有する瞳ファセットミラー24を用いて設定することができる。全体的に、
図10は、27タイプの異なる照明設定aa、ab、ac...az、及びbaを示している。
図9のハッチングは、どの瞳ファセット25がどの視野ファセット23aに割り当てられるかを示している。視野ファセット23aのうちの2つが、瞳ファセットミラー24上で点対称に配置された2つの瞳ファセット25を照明するので、同じハッチングは、各場合にこれらの2つの視野ファセット23aに割り当てられている。
【0083】
図10は、
図9に記載の全体瞳ファセット配置を用いて全て設定可能な前と同じく異なるタイプの照明設定、すなわち、特に二重極照明設定、環状照明設定、多重極照明設定、四重極照明設定、及び中心Zの周りに互いに対して90°だけ回転された異なる半径方向広がりの極を有する四重極照明設定を原理的に
図6と同等な方式で示している。これらのタイプの照明設定は、レチクル5上の対応する全ての構造タイプをウェーハ8上に良好な品質で結像することを可能にするのに十分である。少数の視野ファセット23a及び瞳ファセット25にも関わらず、瞳ファセット25の変位可能構成を必要とせずにこれら全ての照明設定を設定することができる。各場合に
図10に記載の照明設定によって照明される正確に2つの瞳ファセット25が、
図9において等しいハッチングを有する瞳ファセット25である。
【0084】
図11は、合計で48個の瞳ファセット25を有する瞳ファセットミラー24の変形上の更に別の全体瞳ファセット配置を
図9と類似の図に示している。
図9に記載の瞳ファセットミラー24を参照して上記で説明したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0085】
図11に記載の全体配置の場合に、瞳ファセットのうちの8つ25zが中心場所領域26に配置される。瞳ファセットのうちの16個25mが中央場所領域27に配置される。瞳ファセットのうちの24個25aが、
図11に記載の瞳ファセットミラー24の外側場所領域28に配置される。
【0086】
図11に記載の瞳ファセットミラー25の場合にも、瞳ファセット25m及び25aは、場所領域27及び28内に円周方向に均等に分離される方式で配置される。
【0087】
図12は、合計で8つの視野ファセット23aを有する視野ファセットミラー23のタイプの視野ファセットミラーを用いて
図11に記載の全体瞳ファセット配置を通して選択することができる異なる照明設定aa、ab、ac...az、及びbaを示している。それによって前と同じく例えば二重極照明設定、環状照明設定、多重極照明設定、四重極照明設定、及び中心Zの周りの円周方向に互いに対して90°だけ回転された異なる半径方向広がりの極を有する四重極照明設定がもたらされる。
【0088】
瞳ファセットミラーを持たない照明系では、必ずしも光学構成要素を置く必要がない瞳平面の照明光による照明の強度分布によって照明瞳が決定される。DE 103 17 667 A1又はUS 2010/0231882 A1から公知であるような鏡面反射器を含む照明系の場合には、照明系の光学要素が瞳平面に置かれることはない。本明細書に説明する瞳ファセットミラーの使用を有する構成と類似の設定可能な照明瞳の構成は、鏡面反射器の第2のファセット付き構成要素を静止状態で具現化することを可能にする。次に、第2のファセット付き要素のファセットの変位機能は必要ではない。
【0089】
ナノ構造化又は微細構造化構成要素、例えば、半導体メモリチップを製造するために、最初に、レチクル5と、照明光9に対して感光性を有するコーティングを有するウェーハ8とが与えられる。次いで、レチクル5の少なくとも1つの区画が、投影露光装置1又は21を用いてウェーハ8上に投影される。その後に、照明光9によって露光されたウェーハ8上の感光層が現像される。
【0090】
レチクル5上の構造配置又は必要とされる分解能性能に基づいて、対応する照明設定は、照明を受ける鏡面ファセット13又は瞳ファセット25の対応する選択によって選択される。この選択は、中央制御デバイス4aを用いた伝達ファセット11又は視野ファセット23aの傾斜角の対応する事前定義によって実施される。