(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリア浮揚システムによって前記キャリアを非接触で浮揚させることであって、前記第1の距離及び前記第2の距離は、前記キャリアが非接触で浮揚している間に測定される、前記キャリアを非接触で浮揚させること、又は
機械的支持体(140)によって、前記キャリアを機械的に支持することであって、前記第1の距離及び前記第2の距離は、前記キャリアが機械的に支持されている間に測定される、前記キャリアを機械的に支持すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記複数の磁石ユニットが、第3の磁石ユニットをさらに含み、前記第1の距離及び前記第2の距離のうちの少なくとも1つが、前記キャリアが第1の位置(532)にある間に測定され、前記方法が、
前記キャリアが第2の位置(534)にある間に、前記第3の磁石ユニットから前記キャリアへの第3の距離を測定することをさらに含み、
前記複数の磁石ユニットの前記整列が、少なくとも前記第1の距離、前記第2の距離、及び前記第3の距離、又はこれらの組み合わせから判断される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
整列を判断することが、少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記キャリアから前記複数の磁石ユニットのうちの磁石ユニットへの距離のための基準値を計算することを含み、特に前記基準値が平均化操作によって計算される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも部分的に前記判断された整列に基づいて、前記複数の磁石ユニットのうちの少なくとも1つの磁石ユニットの位置を調節することを含む、前記キャリア浮揚システムに対して整列操作を実行することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
前記第1の距離が、前記第1の磁石ユニットに設けられた第1の距離センサ(732)によって測定され、前記第2の距離が、前記第2の磁石ユニットに設けられた第2の距離センサ(734)によって測定される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記キャリア又はさらなるキャリアの非接触浮揚を制御するための前記第1の距離センサ及び/又は前記第2の距離センサを使用することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
複数の磁石ユニット(170)を含むキャリア浮揚システムであって、前記複数の磁石ユニットが、キャリア(110)を非接触で浮揚させるように適合され、第1の磁石ユニット(312)及び第2の磁石ユニット(314)を含む、キャリア浮揚システム、
第1の距離センサ(732)、
第2の距離センサ(734)、並びに
前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサに接続された制御ユニット(750)であって、少なくとも、前記第1の磁石ユニットから前記キャリアへの第1の距離、及び前記第2の磁石ユニットから前記キャリアへの第2の距離から、前記複数の磁石ユニットの整列を判断するように構成されている、制御ユニット(750)
を備えている装置(500)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、様々な実施形態が詳細に参照され、それらの1つ又は複数の例が図に示される。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各実施例は、単なる説明として提示されており、限定を意味するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示且つ説明される特徴は、他の実施形態で用いてもよく、或いは他の実施形態と併用してもよい。それにより、さらに別の実施形態が生み出される。本記載には、このような修正例及び変形例が含まれることが意図されている。
【0012】
本明細書に記載された実施形態は、キャリア(例えば、基板キャリア)の非接触的な浮揚及び/又は搬送に関する。本開示全体で使用される「非接触」という用語は、キャリアの重量が、機械的接触又は機械的力によって保持されず、磁力によって保持されるという意味と理解することができる。特に、機械的力の代わりに磁力を用いて、キャリアが浮揚又は浮遊状態で保持され得る。幾つかの実装形態では、浮揚中、且つ、例えばシステム内のキャリアの運動中、キャリアとそれ以外の装置との間の機械的接触は全くあり得ない。
【0013】
処理システム内でキャリアを誘導する機械的デバイスに比べて、さらなる利点は、非接触浮揚では、キャリアの運動の直線性及び/又は精度に影響を与える摩擦によって悩むことがないところにある。キャリアの非接触搬送によって、キャリアの無摩擦運動が可能となり、例えば、堆積プロセスにあるマスクに対するキャリアの位置を高精度に制御且つ維持することができる。さらに、浮揚によって、キャリアの素早い加速又は減速が可能となり、且つ又は、キャリア速度の微調節が可能となる。
【0014】
例えば、堆積プロセス中のキャリアの非接触浮揚又は搬送は、キャリアを搬送する間、キャリアと装置のセクション(機械的レールなど)との間の機械的接触によって粒子が発生しないという点において有益である。したがって、特に無接触浮揚を用いると粒子発生が最小限となるので、非接触浮揚又は搬送は、基板上に堆積される層の純度及び均一性の改善をもたらす。
【0015】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリアは、物体を運搬又は支持するように適合されたキャリアであり得る。キャリアは、平面、例えば、基板受容領域に対して実質的に平行な平面を画定し得る。
【0016】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリアは、1つの基板及び/又は複数の基板を運搬するように適合され得る。キャリアは、基板キャリアであり得る。例えば、キャリアは、大面積基板及び/又は複数の大面積基板を運搬するように適合され得る。
【0017】
実施形態によれば、大面積基板又は対応キャリアは、少なくとも0.67m
2のサイズを有し得る。このサイズは、約0.67m
2(0.73×0.92m−Gen4.5)から約8m
2であってもよく、より典型的には、約2m
2から約9m
2、又はさらに最大で12m
2であってもよい。例えば、大面積基板又はキャリアは、約0.67m
2の基板(0.73×0.92m)に対応するGEN4.5、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10であり得る。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代及びそれに相当する基板領域を同様に実装することができる。
【0018】
本発明で使用される「基板」という用語は、例えば、ガラス基板、ウエハ、サファイア又は同等物など水晶のスライス、或いはガラス板などの非フレキシブル基板、並びにウェブ又はホイルなどのフレキシブル基板の両方を含むものとする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、本明細書に記載された実施形態は、ディスプレイPVD、すなわち、ディスプレイ市場向けの大面積基板上のスパッタ堆積のために利用することができる。
【0019】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリアは、マスク(例えば、堆積プロセスにおける基板端部のコーティングを防ぐ端部除外マスク(edge exclusion mask))を運搬するように適合され得る。キャリアは、マスクキャリアであり得る。
【0020】
本明細書に記載された実施形態に係るキャリアは、基板キャリア又はマスクキャリアに限定される必要はない。本明細書に記載された方法は、他の種類のキャリア、すなわち、例えば基板又はマスク以外の物体又はデバイスを運搬するように適用されたキャリアにも適用される。
【0021】
正確性のために、図面は、垂直に配向されたキャリアを示す。本明細書に記載された実施形態は、垂直に配向されたキャリアに限定されない。キャリアの他の配向、例えば、水平配向を設けてもよい。
【0022】
本開示では、「実質的に平行(substantially parallel)」な方向という表現は、互いに10度まで又は15度までの小角度をなす複数の方向を含み得る。さらに、「実質的に直角(substantially perpendicular)」な方向という表現は、互いに90度未満(例えば、少なくとも80度、又は少なくとも75度)の角度をなす、複数の方向を含み得る。同様の考えが、実質的に平行又は直角な軸、平面、領域、配向などの概念に適用される。
【0023】
本明細書に記載された幾つかの実施形態は、「垂直方向(vertical direction)」という概念を伴う。垂直方向とは、重力の延在に沿った方向に対して平行な又は実質的に平行な方向と見なされる。垂直方向は、厳密な垂直性(重力によって規定される)から、例えば、最大15度の角度でずれる場合がある。
【0024】
本明細書に記載された実施形態は、「水平方向(horizontal direction)」という概念がさらに伴い得る。水平方向は、垂直方向と区別されると理解すべきである。水平方向は、重力によって画定された厳密な垂直方向に対して直角又は実質的に直角であり得る。
【0025】
本明細書に記載された実施形態は、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法に関する。実施形態の詳細な説明を提供する前に、正確性のために、本明細書に記載された実施形態に係る装置100の実施例を示す
図1を最初に参照する。本明細書に記載された方法の実施形態は、
図1に示す装置100を使用して実行され得る。本明細書に記載された方法は、
図1に示す装置100を使用して実行することに制限されない。
【0026】
図1に示す装置100は、キャリア110を含む。キャリア110は、基板120を支持する。キャリア110は、第1のパッシブ磁石ユニット150、例えば、強磁性材料のバーを含む。装置100は、複数の磁石ユニット170、例えば、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、又は超伝導磁石などのアクティブ磁石ユニットを含むキャリア浮揚システムを含む。複数の磁石ユニットの個々の磁石ユニットは、参照番号175で示される。キャリア浮揚システムは、第1の方向192に延在する。キャリア110は、複数の磁石ユニット170に沿って可動である。第1のパッシブ磁気ユニット150及び複数のアクティブ磁気ユニット170は、キャリア110を浮揚させる磁気浮揚力をもたらすよう構成されている。磁気浮揚力は、第2の方向194に延在する。
【0027】
図1に示す装置100は、複数の磁石ユニット170に設けられた複数の距離センサ(図示せず)を含み得る。距離センサは、複数の磁石ユニット170の各アクティブ磁石ユニットに設けられ得る。距離センサは、キャリアの非接触浮揚の間、複数の磁石ユニットとキャリアとの間の距離を測定するように構成され得る。
【0028】
図1に示す装置100は、磁気駆動構造体180を含む。磁気駆動構造体180は、さらなる複数の磁石ユニット、例えば、アクティブ磁石ユニットを含み得る。磁気駆動構造体の個々の磁石ユニットは、参照番号185で示される。キャリア110は、磁気駆動構造体180の磁気ユニットと相互作用する第2のパッシブ磁気ユニット160を含み得る。 磁気駆動構造体180の磁石ユニットは、例えば、第1の方向192に沿って、処理システム内のキャリアを駆動させる。例えば、第2のパッシブ磁気ユニット160は、極性が交互するように配置された複数の永久磁石を含み得る。第2のパッシブ磁気ユニット160の結果として生じた磁場は、磁気駆動構造体180の複数の磁石ユニットと相互作用して、キャリア110を浮揚させながら第1の方向192に移動させることができる。
【0029】
図1に示す装置100は、機械的支持体140、例えば、複数のローラー、保持器軸受、又は非常時軸受を含む。機械的支持体140は、浮揚したキャリアの下方に設けられる。機械的支持体140は、磁気駆動構造体180に装着される。機械的支持体140は、キャリア110を浮揚させるキャリア浮揚システムが故障した場合に、キャリア110を受け止めるように適合され得る。例えば、コーティングプロセス又はその他のプロセスでは、キャリア110は、複数の磁石ユニット170によって磁気的に浮揚させられ得る。例えば、電力の損失によってキャリア110の浮揚が突然中断した場合、最悪な場合でも、キャリア110は、磁気的に浮揚することを中止して落下してもよい。本明細書に記載された実施形態によると、キャリア110は、機械的支持体に着地することができる。機械的支持体は、キャリアを受け止め、キャリア又はシステムの他の部分への損傷を防ぐことができる。
【0030】
図1に示す装置は、堆積源(図示せず)を含み得る。堆積源は、浮揚したキャリア110によって支持された基板(例えば、垂直に配置された基板)をコーティングするように配置され得る。コーティングプロセスの間、非接触で浮揚したキャリア110は、磁気駆動構造体180によって第1の方向192に移動させられ得る。
【0031】
装置100は、制御ユニット130を含む。制御ユニット130は、複数の磁石ユニット170及び/又は距離センサに接続され得る。制御ユニット130は、キャリア110の磁気浮揚を制御するように構成され得る。制御ユニット130は、例えば、距離センサによって制御ユニット130に与えられた測定距離値に基づいて、キャリア110の浮揚の間、キャリア110と複数の磁石ユニット170との間の距離を制御するように構成され得る。磁気駆動構造体180は、制御ユニット130の制御の下でキャリア110を駆動させ得る。
【0032】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、制御ユニットは、複数のコントローラ(例えば、複数のローカルコントローラ)を含み得る。複数のコントローラの各コントローラは、複数の磁石ユニット170のそれぞれの磁石ユニットに接続され且つ/又は設けられ得る。複数のコントローラのうちのコントローラは、例えば、磁石ユニットに設けられた距離センサによってコントローラに与えられた測定距離値に基づいて、キャリア110の浮揚の間、キャリア110と磁石ユニットとの間の距離を制御するように構成され得る。
【0033】
本明細書に記載された実施形態は、複数の磁石ユニット170を含むキャリア浮揚システムの整列を判断する方法を提供する。本明細書に記載された実施形態は、機械的支持体140及び磁気駆動構造体180の整列の判断をさらに可能にする。当該方法の実施形態は、装置の制御ユニット130によって、又はさらなる制御ユニットによって実行され得る。
【0034】
図2a及び
図2bは、本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合された複数の磁石ユニット170を示す。
図2a及び
図2bは、キャリア110をキャリア搬送方向に駆動させるさらなる複数の磁石ユニットを含む磁気駆動構造体180を示す。複数の磁石ユニット170は、第1の方向192に配置される。磁気駆動構造体180は、第1の方向192に配置される。複数の磁石ユニット170及び磁気駆動構造体180のさらなる複数の磁石ユニットは、長方形として概略的に示されている。破線で示したキャリア110は、複数の磁石ユニット170によって、非接触で浮揚させられ、且つ/又は、搬送させられ得る。
【0035】
図2aに示す複数の磁石ユニット170の磁石ユニットは、よく整列している。
図2aに示す磁気駆動構造体180の磁石ユニットは、よく整列している。例えば、複数の磁石ユニット170を示す長方形は、すべて同じ角度配向を有し、各長方形の底端部は、第1の方向192に延在する第1の基準線212と整列する。第1の基準線212は、複数の磁石ユニット170の目標の整列を示す。磁気駆動構造体180の複数の磁石ユニット180を示す長方形は、すべて同じ角度配向を有し、各長方形の上端部は、第1の方向192に延在する第2の基準線222と整列する。第2の基準線222は、磁気駆動構造体の目標の整列を示す。
【0036】
図2bに示す複数の磁石ユニット170及び磁気駆動構造体180については、整列の乱れがある。図示されているように、複数の磁石ユニット170のうちの幾つかの底端部は、第1の基準線212と整列しておらず、第1の基準線212に対して一定の角度を有しており、且つ/又は、第1の基準線212から一定の距離を有している。磁気駆動構造体180の磁石ユニットのうちの幾つかの上端部は、第2の基準線222と整列しておらず、第2の基準線222に対して一定の角度を有しており、且つ/又は、第2の基準線222から一定の距離を有している。
図2bに示す整列の乱れは、理解を容易にするために強調されて示されている。
【0037】
本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア浮揚システムの整列を判断するために、レーザートラッカー又は精密スケールを使用した測定が用いられ得る。このような測定は、複雑であり、時間がかかる場合がある。このような方法では、磁石ユニットの位置に関して要求されるデータを収集する測定点に到達することは困難であり得る。
【0038】
図3a及び
図3bは、本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法を示す。
【0039】
図3a及び
図3bは、キャリア110を示す。キャリア110は、例えば、基板又はマスクを支持するように適合され得る。他の種類のキャリアも考慮してよい。
図3a及び
図3bに示す装置は、複数の磁石ユニット170を含むキャリア浮揚システムを含む。
【0040】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア浮揚システムは、キャリア110を非接触で浮揚させ且つ/又は搬送するように適合され得る。キャリア浮揚システムは、キャリア110を第1の方向192に搬送するように適合され得る。
【0041】
複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314を含む。幾つかの実施形態では、複数の磁石ユニット170は、さらなる磁石ユニット、例えば、破線で示された磁石ユニット316を含み得る。複数の磁石ユニット170は、第1の方向192に配置され得る。複数の磁石ユニット170は、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合される。
【0042】
図3a及び
図3bに示すように、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322が測定される。第1の距離322は、第1の磁石ユニット312に設けられた第1の距離センサ(図示せず)によって測定され得る。第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324が測定される。第2の距離324は、第2の磁石ユニット314に設けられた第2の距離センサ(図示せず)によって測定され得る。複数の磁石ユニット170からキャリア110への1つ又は複数のさらなる距離が測定され得る。第3の磁石ユニット(例えば、磁石ユニット316のうちの1つ)からキャリア110への第3の距離が測定され得る。第3の距離は、第3の磁石ユニットに設けられた第3の距離センサによって測定され得る。複数の磁石ユニット170のうちの第4の磁石ユニットからキャリア110への第4の距離が測定され得る。第4の距離は、第4の磁石ユニットに設けられた第4の距離センサによって測定され得る。複数の磁石ユニット170からキャリア110へのまたさらなる距離が測定され得る。
【0043】
図3aに示す例示的な実施形態では、第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が磁気浮揚状態にある間に測定される。
図3aに示すキャリア110は、上向きの矢印390によって示されているように、キャリア浮揚システムによって非接触で浮揚させられる。キャリア110と装置の他の部分(例えば、機械的支持体140)との間に機械的接触はない。
図3aに示すキャリア110は、機械的に支持されていない。
【0044】
図3aに示すように、キャリア110が第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314によって磁気的に浮揚させられている間、第1の距離322及び第2の距離324が測定され得る。
図3aに示す例示的な実施形態では、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314が共同でキャリア110を非接触で浮揚させる。他の実施形態では、例えば、考慮される用途に応じて、キャリア110は、単一の磁石ユニットによって、又は、複数の磁石ユニット170のうちの3つ以上の磁石ユニットによって、非接触で浮揚させられ得る。
【0045】
第1の距離322及び第2の距離324を測定するために、キャリア110は磁気浮揚状態である必要はない。例えば、
図3bに示すように、第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が機械的に支持されている間に測定され得る。
【0046】
図3bに示す装置は、機械的支持体140を含む。機械的支持体140は、複数の支持要素142を含み得る。
図3bに示すキャリア110は、機械的支持体140によって機械的に支持されている。
図3bに示すキャリア110は、非接触浮揚状態ではない。
図3bに示す例示的な実施形態では、第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が機械的支持体140によって支持されている間に測定される。
【0047】
本明細書に記載された実施形態に従って測定された、第1の距離322及び第2の距離324、並びに複数の磁石ユニット170からキャリア110への任意のさらなる距離は、複数の磁石ユニット170の整列に関する情報を提供する。例えば、第1の距離322が第2の距離324と実質的に同一である場合、
図2aに示すように、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314がよく整列していると判断することができる。第1の距離322が第2の距離324と実質的に異なる場合、
図2bに示すように整列の乱れが存在する場合があり得る。測定距離を用いると、整列の乱れの可能性を検出することができる。
【0048】
以上の観点から、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法が提供される。キャリア浮揚システムは、複数の磁石ユニット170を含む。複数の磁石ユニット170は、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合される。複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314を含む。当該方法は、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322を測定することを含む。当該方法は、第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324を測定することを含む。当該方法は、少なくとも第1の距離322及び第2の距離324から、キャリア浮揚システムの整列を判断することを含む。
【0049】
例えば、当該方法は、
図3a及び
図3bに関連して説明された実施形態に従って実行され得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、キャリア浮揚システムによって、キャリア110を非接触で浮揚させることを含み得る。第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が非接触で浮揚している間に測定され得る。代替的に又は追加的に、当該方法は、機械的支持体140によって、キャリアを機械的に支持することを含み得る。第1の距離322及び第2の距離324は、キャリアが機械的に支持されている間に測定され得る。
【0050】
さらなる実施形態によると、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法が提供される。キャリア浮揚システムは、複数の磁石ユニット170を含む。複数の磁石ユニット170は、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合される。複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314を含む。当該方法は、複数の磁石ユニット170のうちの1つ又は複数の磁石ユニットによって、キャリア110を非接触で浮揚させることを含み得る。当該方法は、キャリアが少なくとも第1の磁石ユニット312によって非接触で浮揚されている間に、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322を測定することを含む。当該方法は、キャリアが少なくとも第2の磁石ユニット314によって非接触で浮揚されている間に、第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324を測定することを含む。当該方法は、少なくとも第1の距離322及び第2の距離324から、キャリア浮揚システムの整列を判断することを含む。
【0051】
さらなる実施形態によると、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法が提供される。キャリア浮揚システムは、複数の磁石ユニット170を含む。複数の磁石ユニット170は、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合される。複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314を含む。当該方法は、機械的支持体140によって、キャリア110を機械的に支持することを含み得る。当該方法は、機械的支持体140によってキャリア110が機械的に支持されている間に、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322を測定することを含む。当該方法は、機械的支持体140によってキャリア110が機械的に支持されている間に、第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324を測定することを含む。当該方法は、少なくとも第1の距離322及び第2の距離324から、機械的支持体140及び/又はキャリア浮揚システムの整列を判断することを含む。
【0052】
本明細書に記載された実施形態には、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断するために、キャリアそれ自体を使用することが関わる。
【0053】
その利点は、整列を測定するために、レーザートラッカー、リフレクタ、又は傾斜センサなどの追加のデバイスが必要ではないことである。本明細書に記載された方法は、例えば、レーザ測定を用いた方法のような他の方法に比べて、さほど複雑ではなく、時間がかからない単純で効率良い方法を提供する。
【0054】
磁石ユニットからキャリア110への距離は、距離センサを用いて測定され得る。例えば、距離センサは、装置が実行する磁気浮揚プロセスの制御を支援するため、複数の磁石ユニット170の内部又は側面にある場合がある。本明細書に記載された実施形態に従って、例えば、第1の距離322及び第2の距離324を測定するために同じ距離センサをさらに使用してもよい。場合によっては、複数の磁石ユニット170の整列を判断するために、非接触浮揚を制御するシステム内に既に存在している距離センサ以外には、追加の距離センサは必要ではない場合がある。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の距離322は、第1の磁石ユニット312に設けられた第1の距離センサによって測定され得る。第2の距離324は、第2の磁石ユニット314に設けられた第2の距離センサによって測定され得る。当該方法は、キャリア110又はさらなるキャリアの非接触浮揚を制御するための第1の距離センサ及び/又は第2の距離センサを使用することを含み得る。
【0055】
本明細書に記載された方法は実行することは容易であるので、当該方法を周期的に実行して、長期間にわたって磁石ユニットがよく整列していることを確実なものとすることができる。第1の整列を実行した後、ある時点で、磁石ユニットの整列が乱れる場合がある。このことは、例えば、種々の処理サイクルにわたって真空を繰り返しオンとオフに切り替えた結果、例えば、システムの諸部品が互いに対して経時的に小さな運動を行うという観点で起こり得ることである。非接触浮揚の間、キャリアから磁石ユニットへの距離が非常に短い(例えば、1から8mm、より具体的には、1から4mm(例えば、2から3mm))という事実を考えると、諸部品のこのような小さな運動は、磁石ユニットの整列に対して影響を及ぼす場合があり得る。定期的に磁石ユニットの高精度の整列をもたらすことは、有益である。単純で効率良い本明細書に記載された方法は、それを可能にする。例えば、レーザートラッカーに基づく他の方法は、複雑且つ煩雑であるので、それを頻繁に実行することは有益ではない。
【0056】
本明細書に記載された実施形態に従って整列を判断することによって、例えば、
図2bに示す整列の乱れを避けることができる。磁石ユニットがよく整列していることにより、キャリアの非接触浮揚及び搬送の優れた操作を確実なものとすることができ、整列が乱れた磁石ユニットの任意の不利な効果を避けることができる。例えば、このような不利な効果とは、(浮揚したキャリアとキャリア浮揚システムとの間の短い距離を考慮すると)浮揚したキャリアが、整列が乱れた磁石ユニットと衝突することを含み得る。これにより、粒子の生成、或いは、キャリア又は磁石ユニットへの損傷が起きる場合がある。整列が乱れた磁石ユニットの他の不利な効果には、磁気浮揚プロセスの制御における飽和効果(saturation effects)が含まれ、最悪の場合、浮揚したキャリアの落下を引き起こす場合がある。本明細書に記載された実施形態は、非接触浮揚の間のキャリアの正確な位置付けを確実にもたらす。
【0057】
さらに有利なことは、キャリア110が機械的に支持されている間の磁石ユニットからキャリア110への距離の測定が関わる実施形態によって、複数の磁石ユニット170に対する機械的支持体140の整列の判断を可能にすることである。機械的支持体140(例えば、複数の保持器軸受)は、磁気駆動構造体180に機械的に接続(例えば、装着)され得る。例えば、機械的支持体140の支持要素は、磁気駆動構造体180に固定され得る。機械的支持体140と磁気駆動構造体180との間の機械的接続を考えると、機械的支持体140の整列を判断することによって、磁気駆動構造体180の磁石ユニットの整列を判断することを可能にすることができる。本明細書に記載された実施形態は、装置内のキャリアの非接触浮揚及び搬送に関わるすべての部分の相対的な整列を判断することを可能にする。
【0058】
キャリア110が機械的に支持されている間の、磁石ユニットからキャリア110への距離の測定に関わる実施形態は、磁石ユニットの整列が実質的に乱れていても、このような実施形態を実行することができるという利点をさらに提供する。このような場合、キャリア110が非接触で浮揚している間に、第1の距離322及び第2の距離324を測定することは困難であり得る。例えば、実質的に整列の乱れがある場合、例えば、浮揚制御回路の飽和効果に起因して、キャリアを非接触で浮揚させることが可能ではない場合がある。キャリアが機械的に支持されている間の、第1の距離322及び第2の距離324の測定に関連する実施形態は、磁石ユニットがかなりの程度乱れている場合でも実行され得る。
【0059】
さらなる利点は、本明細書に記載された方法は、真空条件下で実行され得ることである。後者は、幾つかの他の方法(例えば、レーザ測定又は傾斜センサに基づく方法)では、実行可能ではない。真空条件下で第1の距離322及び第2の距離324を測定することの利点は、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断するために、真空条件から生じる結果(例えば、磁石ユニット又はシステムの他の部品の変形)を考慮することができることである。言い換えると、磁石ユニットによって浮揚したキャリアにおける基板を真空処理する際に存在する処理条件と同じ処理条件下で整列を判断することができる。
【0060】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の距離322、第2の距離324、及び/又はキャリアから本明細書に記載された実施形態に係る磁石ユニットへの任意の他の距離は、真空条件下で測定することができる。真空がキャリアを含む処理チャンバに適用されている間、距離が測定され得る。「真空」という用語は、例えば、10mbar未満の真空圧を有する技術的真空(technical vacuum)を意味すると理解することができる。本明細書に記載された実施形態に係る装置は、真空チャンバ内で真空を発生させるために真空チャンバに接続された、ターボポンプ及び/又はクライオポンプなどの1つ又は複数の真空ポンプを含み得る。
【0061】
本明細書に記載された実施形態は、キャリア浮揚システムの整列を判断することに関わる。キャリア浮揚システムの整列を判断することは、磁石ユニットの測定位置を、1つ又は複数のさらなる磁石ユニット測定位置又は1つ又は複数の基準位置と比較することが関わり得る。
【0062】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア浮揚システムの整列を判断することは、複数の磁石ユニット170のうちの2つ以上の磁石ユニットの相対的整列を判断することと、第2の磁石ユニット314に対する第1の磁石ユニット312の相対的整列を判断することと、複数の磁石ユニット170のうちのさらなる磁石ユニットに対する第1の磁石ユニット312の相対的整列を判断することと、複数の磁石ユニット170のうちのさらなる磁石ユニットに対する第2の磁石ユニット314の相対的整列を判断することと、1つ又は複数の基準位置に対する、第1の磁石ユニット312、第2の磁石ユニット314、又は複数の磁石ユニット170のうちの任意のさらなる磁石ユニットの整列を判断することと、第1の距離322、第2の距離324、及び/又は磁石ユニットからキャリア110への任意のさらなる距離を基準距離と比較することとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0063】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア浮揚システムの整列を判断することは、少なくとも第1の距離322及び第2の距離324から、キャリア110から複数の磁石ユニット170のうちの磁石ユニットへの距離のための基準値を計算することを含み得る。基準値は、平均化操作(averaging operation)によって計算され得る。複数の磁石ユニットからキャリアへの2つ以上の測定距離を平均化することによって、基準値が計算され得る。例えば、基準値は、少なくとも第1の距離と第2の距離とを平均化することによって計算することができる。
【0064】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア浮揚システムの整列を判断することは、第1の距離322、第2の距離324、及び任意選択的に第3の距離、並びに/或いは任意のさらに測定された距離を、計算された基準値と比較することを含み得る。計算された距離を計算された基準値と比較することにより、磁石ユニットがよく整列しているか否かを判断することができ、整列の乱れの可能性がある場合、それぞれの偏差がどの位大きいかを判断することができる。
【0065】
キャリア浮揚システムの整列の乱れは、幾つかの可能な方法によって修正することができる。例えば、第1の磁石ユニット312及び/又は第2の磁石ユニット314の位置は、複数の磁石ユニット170を整列させるために機械的に調節することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、キャリア浮揚システム及び/又は磁気駆動構造体に対する整列作業を行うことを含み得る。整列作業は、機械的整列作業であってもよい。キャリア浮揚システムに対する整列作業は、少なくとも部分的に判断された整列に基づいて、キャリア浮揚システムの複数の磁石ユニットのうちの少なくとも1つの磁石ユニットの位置を調節することを含み得る。磁気駆動構造体に対する整列作業は、少なくとも部分的に判断された整列に基づいて、磁気駆動構造体の複数の磁石ユニットのうちの少なくとも1つの磁石ユニットの位置を調節することを含み得る。
【0066】
例えば、
図2aに示すように、調節後、磁石ユニットが第1の基準線212又は第2の基準線222のそれぞれと整列するように、1つ又は複数の磁石ユニットの位置を調節することができる。
【0067】
代替的な例では、磁石ユニットの位置が変更されない場合がある。例えば、第1の距離322及び第2の距離324が測定された後に行われるコーティングプロセスにおいて、後続のキャリアの非接触浮揚又は搬送におけるキャリア浮揚システムの制御によって、第1の距離322及び第2の距離324に対して測定された値が考慮され、検出された整列の乱れが補正され得る。例えば、第1の距離322及び第2の距離324の測定値に応じて、制御ユニットは、後続の浮揚プロセスにおけるそれぞれの磁石ユニットから浮揚したキャリアへの距離を個別に制御して、検出された整列の乱れを補正し得る。
【0068】
本明細書に記載されたさらなる実施形態と組み合わせることができる他の実施形態によると、当該方法は、複数の磁石ユニットによって、キャリア又はさらなるキャリアを非接触で浮揚させることを含み得る。当該方法は、少なくとも部分的に決定された整列に基づいて、第1の浮揚距離及び第2の浮揚距離を制御することを含み得る。第1の浮揚距離は、第1の磁石ユニットから非接触浮揚したキャリア(例えば、キャリア110又はさらなるキャリア)への距離であり得る。第2の浮揚距離は、第2の磁石ユニットから非接触浮揚したキャリアへの距離であり得る。制御は、第1の浮揚距離及び第2の浮揚距離を個別に制御することを含み得る。制御は、第1の浮揚距離に対して第1の目標値を設定し、第2の浮揚距離に対して第2の目標値を設定することを含み得る。第1の目標値は、第2の目標値と異なり得る。
【0069】
検出された整列の乱れを補正するために、非接触浮揚の間に磁石ユニットからキャリアへの距離を個別に制御することは、例えば、磁気浮揚プロセスの制御における飽和効果を減らしたり、又はさらに防いだりすることができるという利点をもたらし、より広範な帯域幅が可能となる。より正確な浮揚プロセスが提供され得る。
【0070】
図4は、本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法を示す。
【0071】
図4に示すように、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322は、キャリア110が第1の位置532にあるときに測定され得る。第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324は、キャリア110が第1の位置532にあるときに測定され得る。第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が同じ位置にあるときに測定され得る。
【0072】
本明細書に記載されたさらなる実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、第1の磁石ユニット312及び/又は第2の磁石ユニット314は、第1の位置においてキャリア110に対向し得る。第1の位置は、処理チャンバ内の位置であり得る。キャリア110は、機械的に支持された状態で第1の位置で保持され得る。第1の位置におけるキャリア110は、本明細書に記載された実施形態に係る、機械的支持体140によって機械的に支持され得る。
【0073】
代替的又は追加的に、キャリア110は、磁気的に浮揚した状態で第1の位置で保持され得る。第1の位置におけるキャリア110は、複数の磁石ユニット170のうちの少なくとも1つの磁石ユニットによって非接触で浮揚し得る。第1の位置でキャリア110を磁気的に浮揚させるのに使用される磁石ユニットの数は、幾つかの要因(例えば、キャリアのサイズ、寸法、及び重量)に依存し得る。
【0074】
図5a及び
図5bは、本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア浮揚システムの整列を判断する方法を示す。
【0075】
他の実施形態によると、且つ、
図5a及び
図5bで示されているように、第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110の種々の位置で測定され得る。
図5aは、キャリア110が第1の位置532にあるときに第1の距離322を測定することを示す。第1の距離322が測定されている間、第1の位置532におけるキャリア110は、本明細書に記載された実施形態に従って、磁気的に浮揚させられるか、又は機械的に支持され得る。例えば、第1の位置532におけるキャリアは、第1の磁石ユニット312によって磁気的に浮揚させられ得る。第1の距離322を測定した後、キャリア110は、
図5aに示す第1の位置532から
図5bに示す第2の位置534に移動してもよい。
【0076】
図5bは、キャリア110が第2の位置534にあるときに第2の距離324を測定することを示す。第2の距離324が測定されている間、第2の位置534におけるキャリア110は、本明細書に記載された実施形態に従って、磁気的に浮揚させられるか、又は機械的に支持され得る。例えば、第2の位置534におけるキャリアは、第2の磁石ユニット314によって磁気的に浮揚させられ得る。
【0077】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322は、キャリア110が第1の位置532にあるときに測定され得る。第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324は、キャリア110が第2の位置534にあるときに測定され得る。
【0078】
例えば、第1の距離を測定した後、キャリア110は、第1の位置532から第2の位置534へと移動し得る。第1の位置532から第2の位置534への運動は、第1の方向192の運動であり得る。第1の位置532から第2の位置534への運動は、並進運動であり得る。第1の位置532から第2の位置534への運動は、磁気駆動構造体によってもたられ、且つ/又は誘導され得る。代替的に又は追加的に、第1の位置532から第2の位置534への運動は、機械的支持体によってもたられ、且つ/又は誘導され得る。
【0079】
第1の磁石ユニット312及び/又は第2の磁石ユニット314は、第2の位置534においてキャリアに対向し得る。第2の位置534は、処理チャンバ内の位置であり得る。第2の位置におけるキャリア110は、機械的支持体によって機械的に支持され得る。代替的又は追加的に、第2の位置534におけるキャリア110は、キャリア浮揚システムによって非接触で浮揚させられ得る。
【0080】
例えば、キャリア110が第1の位置532にある間、複数の磁石ユニット170のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの磁石ユニットがキャリア110に対向し得る。キャリア110に対向する磁石ユニットの数は、例えば、磁石ユニットとキャリア110の長さとの間の間隔に依存し得る。当該方法は、第1の位置にあるキャリアに対向する各磁石ユニットから第1の位置にあるキャリアへの距離を測定することを含み得る。
【0081】
例えば、キャリア110が第2の位置534にある間、複数の磁石ユニットのうちの2つ、3つ、又はそれより多くの磁石ユニットがキャリア110に対向し得る。当該方法は、第2の位置534にあるキャリア110に対向する各磁石ユニットから第2の位置534にあるキャリア110への距離を測定することを含み得る。
【0082】
図6a〜
図6cは、本明細書に記載された実施形態に係る、複数の磁石ユニット170を含む装置500を示す。例示的な実施形態では、複数の磁石ユニット170は、磁石ユニット512、514、516、及び518を含む。堆積500は、処理チャンバ550を含む。
【0083】
図6aは、第1の位置532にあるキャリア110を示す。2つの磁石ユニット512及び514が、第1の位置532にあるキャリア110に対向する。磁石ユニット512から第1の位置532におけるキャリア110への距離521が測定される。磁石ユニット514から第1の位置532におけるキャリア110への距離522が測定される。距離521及び522が測定された後、キャリア110は、
図6aに示す第1の位置532から
図6bに示す第2の位置534に移動する。
【0084】
図6bは、第2の位置534でキャリア110に対向する2つの磁石ユニット514及び516を示す。磁石ユニット514から第2の位置534におけるキャリア110への距離523が測定される。磁石ユニット516から第2の位置534におけるキャリア110への距離524が測定される。距離523及び524が測定された後、キャリア110は、
図6bに示す第2の位置534から
図6cに示す第3の位置536に移動し得る。
【0085】
図6cは、第3の位置536でキャリア110に対向する2つの磁石ユニット516及び518を示す。磁石ユニット516から第3の位置536におけるキャリア110への距離525が測定される。磁石ユニット518から第3の位置536におけるキャリア110への距離526が測定される。
【0086】
距離521、522、523、524,525、及び526は、キャリア110がキャリア浮揚システムによって非接触浮揚させられている間、又は、キャリア110が機械的支持体によって機械的に支持されている間、測定され得る。測定距離521、522、523、524、525、及び526は、表に集計されてもよい。測定距離521、522、523、524、525、及び526、又はこれらの任意の組み合わせは、本明細書に記載された実施形態に係る、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列の判断に使用され得る。
【0087】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、キャリア110を、処理チャンバ(例えば、
図6a〜
図6cに示す処理チャンバ550)内に設けることを含み得る。
【0088】
キャリア浮揚システム、第1の磁石ユニット312、第2の磁石ユニット314、及び/又は複数の磁石ユニット170が、処理チャンバ内にあり得る。機械的支持体140は、処理チャンバ内に存在し得る。本明細書に記載された実施形態に係る、第1の距離センサ732、第2の距離センサ734、及び/又は任意のさらなる距離センサは、処理チャンバ.内に存在し得る。
【0089】
当該方法は、キャリア110が処理チャンバ内にある間、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322、第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324、及び/又は磁石ユニットからキャリア110への任意の他の距離を測定することを含み得る。
【0090】
処理チャンバは、真空チャンバであり得る。処理チャンバは、真空堆積チャンバであリ得る。処理チャンバは、処理チャンバ内で基板をコーティングするための1つ又は複数の堆積源を含み得る。
【0091】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、複数の磁石ユニット170からキャリア110への第3の距離を測定することを含み得る。第3の距離は、第1の磁石ユニット312からキャリア110への距離、第2の磁石ユニット314からキャリア110への距離、又は複数の磁石ユニット170のうちの第3の磁石ユニットからキャリア110への距離であり得る。当該方法は、少なくとも第1の距離、第2の距離、及び第3の距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0092】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、複数の磁石ユニット170からキャリア110への複数の距離を測定することを含み得る。複数の距離の各距離は、複数の磁石ユニット170の磁石ユニットからキャリア110への距離であり得る。複数の距離は、第1の距離322、第2の距離324、第3の距離、第4の距離、第5の距離、及びまたさらなる距離を含み得る。複数の距離は、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの距離、例えば、最大20以上の距離を含み得る。当該方法は、複数の距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。当該方法は、複数の距離のうちの少なくとも2つ以上の距離、少なくとも3つ以上の距離、少なくとも4つ以上の距離、又は少なくとも5つ以上の距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0093】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数の磁石ユニット170は、第3の磁石ユニットを含み得る。当該方法は、第3の磁石ユニットからキャリアへの第3の距離を測定することを含み得る。第3の距離は、本明細書に記載された実施形態に従って、キャリアが第1の位置532又は第2の位置534にあるときに測定され得る。キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列は、少なくとも第1の距離、第2の距離、及び第3の距離、又はこれらの組み合わせから判断され得る。
【0094】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数の磁石ユニット170は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個以上(例えば、24個以上)の磁石ユニットを含み得る。複数の磁石ユニット170は、2列の磁石ユニット、例えば、最大12個又はそれ以上の磁石ユニットを2列含み得る。
【0095】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、複数の距離を測定することを含み得る。複数の磁石ユニットの各磁石ユニットからキャリアへの距離が測定され得る。当該方法は、複数の測定距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0096】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の磁石ユニットからキャリアへの第1の距離、及び第2の磁石ユニットからキャリアへの第2の距離は、キャリアが第1の位置532にあるときに測定され得る。当該方法は、キャリアが第2の位置534にあるとき、第2の磁石ユニットからキャリアへの第3の距離を測定することを含み得る。例えば、本明細書に記載された実施形態に係る、第1の磁石ユニット及び第1の距離は、
図6aに示すように、磁石ユニット512及び距離521それぞれに対応し得る。本明細書に記載された実施形態に係る、第2の磁石ユニット、第2の距離、及び第3の距離は、
図6a〜
図6bに示すように、磁石ユニット514、距離522、及び距離523それぞれに対応し得る。当該方法は、少なくとも第1の距離、第2の距離、及び第3の距離、又はこれらの組み合わせから、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0097】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の磁石ユニットからキャリアへの第1の距離(例えば、
図6aに示す距離521)、及び/又は第2の磁石ユニットからキャリアへの第2の距離(例えば、距離522)は、第2の磁石ユニットが第1の位置にあるときに測定され得る。複数の磁石ユニットは、第3の磁石ユニット(例えば、
図6aから
図6cに示す磁石ユニット516)を含み得る。当該方法は、キャリアが第2の位置534にあるとき、第3の磁石ユニットからキャリアへの第3の距離(例えば、
図6bに示す距離524)を測定することを含み得る。当該方法は、キャリアが第2の位置にあるとき、第2の磁石ユニットからキャリアへの第4の距離(例えば、
図6bに示す距離523)を測定することを含み得る。当該方法は、少なくとも第1の距離、第2の距離、第3の距離、及び第4の距離、又はこれらの組み合わせから、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0098】
例えば、各磁石ユニットにつき1つの距離しか測定されない方法に比べて、キャリアの種々の位置に対して、同じ磁石ユニットからキャリアへの幾つかの距離を測定することにより、磁石ユニットの整列に関する情報をより多く得ることができる。したがって、整列又は整列の乱れの可能性をより正確に判断することができる。
【0099】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された方法で使用されるキャリア110は、複数の磁石ユニットからキャリアへの距離を測定するように構成された(例えば、特に構成された)キャリアである。本明細書に記載された方法で使用されるキャリア110は、測定用キャリアであり得る。測定用キャリアは、処理キャリア、すなわち、あるプロセス(例えば、堆積プロセス)でキャリア浮揚システムによって浮揚させられたキャリアに比べて、異なる種類のキャリアであり得る。例えば、測定用キャリア110は、処理キャリアに比べて、より正確に製造され得る。測定用キャリアは、処理キャリアに比べて、異なる寸法(例えば、高さ及び/又は長さ)を有し得る。測定用キャリアは、処理キャリアより長いか、又は短い場合がある。測定用キャリアは、例えば、調節可能なサイズ、例えば、調節可能な長さ及び/又は高さを有し得る。
【0100】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、本明細書に記載された方法は、種々のキャリアを用いて何度か繰り返すことができる。
【0101】
例えば、一回目では、比較的小さいサイズのキャリア(例えば、測定用キャリア)を使用してもよい。具体的には、キャリアの高さは、処理キャリアに比べて低い場合があり、キャリアからキャリア浮揚システムへの距離は、処理キャリアからの距離よりも大きくなる。これにより、特に複数の磁石ユニットの整列の乱れが比較的大きい場合、キャリアは、システムを通って移動する際に、システムの磁石ユニット又は他の部品と確実に接触又は衝突しないようになる。このようなキャリアについては、磁石ユニットからキャリアへの距離が測定され得、本明細書に記載された実施形態に従って、整列が判断され得る。一回目に測定された距離に基づいて、磁石ユニットの整列を判断した後、機械的な整列作業がキャリア浮揚システムに適用され得る。例えば、キャリア浮揚システムを整列させるために、幾つかの磁石ユニットの位置が調節され得る。整列作業の後、方法の2回目が実行され得る。2回目では、例えば、より大きなサイズをもつ第2のキャリアを使用することができる。より大きなサイズを有するキャリアは、磁石ユニットと衝突しない場合がある。なぜなら、後者は、既に1回目の整列を経験しているからである。このような第2のキャリアでは、磁石ユニットからキャリアへの距離は、さらに本明細書に記載されたように測定され得る。これらの距離に基づいて、整列についての2度目の判断がなされ得る。方法を数回繰り返すことにより、方法の各回において、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列をさらに改善することができる。
【0102】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、キャリア110は、第1のキャリアである。当該方法は、第1の磁石ユニットから第2のキャリアへの第3の距離を測定することを含み得、第2のキャリアは、第1のキャリアと異なるサイズを有する。当該方法は、第2の磁石ユニットから第2のキャリアへの第4の距離を測定することを含み得る。当該方法は、少なくとも第3の距離及び第4の距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断することを含み得る。
【0103】
本明細書に記載された実施形態に係る、磁石ユニットからキャリアへの測定距離は、垂直方向、例えば、第2の方向194における距離であり得る。例えば、第1の距離322及び/又は第2の距離324は、第2の方向194における距離であり得る。第1の距離322、第2の距離324、又は磁石ユニットからキャリアへの任意のさらなる距離は、第1の方向192に対して直角な又は実質的に直角な方向における距離であり得る。
【0104】
磁石ユニットからキャリアへの測定距離は、磁石ユニットからキャリアの外部分(例えば、キャリアの上端部)への距離であり得る。
【0105】
第1の距離、第2の距離、及び/又は本明細書に記載された実施形態に従って測定された磁石ユニットからキャリア110への任意のさらなる距離は、キャリアが垂直配向に保持されている間に測定され得る。
【0106】
第1の距離322、第2の距離324、又は本明細書に記載された実施形態に従って測定された磁石ユニットからキャリア110への任意の他の距離は、1から8mm、より具体的には、1から4mm(例えば、2から3mm)であり得る。
【0107】
第1の距離322は、
図7に示す第1の距離センサ(例えば、第1の距離センサ732)によって測定され得る。第1の距離322が測定されている間、第1の距離センサは、キャリア110の上方にあるか且つ/又はキャリア110に対向し得る。第1の距離センサは、第1の磁石ユニット312に接続されているか、装着されているか、且つ/又は第1の磁石ユニット312の一部であり得る。第2の距離324は、
図7に示す第2の距離センサ(例えば、第2の距離センサ734)によって測定され得る。第2の距離324が測定されている間、第2の距離センサ734は、キャリア110の上方にあるか且つ/又はキャリア110に対向し得る。第2の距離センサ734は、第2の磁石ユニット314に接続されているか、装着されているか、且つ/又は第2の磁石ユニット314の一部であり得る。
【0108】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、当該方法は、磁気駆動構造体180からキャリア110への複数の距離、特に複数の垂直距離を測定することを含み得る。磁気駆動構造体180からキャリア110への複数の距離を測定するために、複数の距離センサが、磁気駆動構造体180に設けられるか、又は装着されてもよい。キャリア110が浮揚している間、且つ/又はキャリア110が機械的支持体140によって支持されている間、複数の距離センサは、キャリア110の下方に配置され得る。複数の距離センサは、第1の方向192において互いから離間され得る。当該方法は、少なくとも第1の距離322、第2の距離324、及び磁気駆動構造体180からキャリアへの複数の距離から、機械的支持体140の整列を判断することを含み得る。
【0109】
さらなる実施形態によると、且つ
図7に示すように、装置500が提供される。装置500は、複数の磁石ユニット170を含むキャリア浮揚システムを含み、複数の磁石ユニット170は、キャリア110を非接触で浮揚させるように適合されている。複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312及び第2の磁石ユニット314を含む。装置500は、第1の距離センサ732を含む。第1の距離センサ732は、第1の磁石ユニット312からキャリア110への第1の距離322を測定するように適合され得る。装置500は、第2の距離センサ734を含む。第2の距離センサ734は、第2の磁石ユニット314からキャリア110への第2の距離324を測定するように適合され得る。装置500は、第1の距離センサ732及び第2の距離センサ734に接続された制御ユニット750を含む。制御ユニット750は、少なくとも第1の距離322及び第2の距離324から、キャリア浮揚システムの整列を判断するように構成されている。
【0110】
図7に示す第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が、キャリア浮揚システムによって非接触で浮揚させられている間、又は、装置500内に含まれる機械的支持体によって支持されている間、測定され得る。
【0111】
本明細書に記載された装置の実施形態は、本明細書に記載された方法の実施形態の任意の方法の特徴、特に、従属方法請求項に記載された任意の特徴を実行するように適合される。本明細書に記載された制御ユニットは、本明細書に記載された方法の実施形態の任意の方法の特徴、特に、従属方法請求項に記載された任意の特徴を実行するように適合され得る。例えば、制御ユニット750は、本明細書に記載された任意の実施形態に係る、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体の整列を判断する方法の特徴を実行するように構成され得る。
【0112】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の磁石ユニット312、第2の磁石ユニット314、及び/又は複数の磁石ユニット170のうちの任意の磁石ユニットは、アクティブ磁石ユニットであってもよい。
【0113】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、アクティブ磁石ユニットは、垂直方向(例えば、図面で示す第2の方向194)に延在する磁気浮揚力を供給するための磁界を生成するように構成され得る。アクティブ磁石ユニットは、調節可能な磁界を供給するために制御され得る。調節可能な磁界は、静磁界又は動磁界であってもよい。アクティブ磁石ユニットは、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超伝導磁石、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された要素であってもよく、又は、かかる要素を含んでもよい。
【0114】
「アクティブ(active)」磁石ユニットという用語は、本明細書では、「パッシブ(passive)」磁石ユニットという概念と区別するために使用される。パッシブ磁石ユニットは、少なくとも装置の動作中以外においては、能動的な制御又は調節の影響を受けない磁気特性を有する要素のことであり得る。例えば、パッシブ磁石ユニット(例えば、
図1に示す第1のパッシブ磁石ユニット150又は第2のパッシブ磁石ユニット160)の磁気特性は、キャリアが装置を通って動く間、能動的な制御の対象ではない場合がある。パッシブ磁石ユニットは、磁性材料(強磁性材料等)、永久磁石であってもよく、又は永久磁石特性を有してもよい。
【0115】
パッシブ磁気ユニットに比べると、アクティブ磁石ユニットは、アクティブ磁石ユニットが生成する磁界の調節性と制御性を考えると、より大きな柔軟性及び精度をもたらす。
【0116】
図8は、本明細書に記載された実施形態に係る装置500を示す。装置500は、複数の磁石ユニット170を含むキャリア浮揚システムを含む。複数の磁石ユニット170は、第1の磁石ユニット312、第2の磁石ユニット314、第3の磁石ユニット816、及び第4の磁石ユニット818を含む。装置500は、第1の距離センサ732、第2の距離センサ734、第3の距離センサ836、及び第4の距離センサ838を含む。装置500は、制御ユニット750を含む。装置500は、機械的支持体140を含む。装置は、磁気駆動構造体180を含む。
【0117】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1の距離センサ732は、第1の磁石ユニット312に接続され得る。第2の距離センサ734は、第2の磁石ユニット314に接続され得る。第3の距離センサ836は、第3の磁石ユニット816に接続され得る。第4の距離センサ838は、第4の磁石ユニット818に接続され得る。
【0118】
制御ユニット750は、第1の距離センサ732、第2の距離センサ734、第3の距離センサ836、及び/又は第4の距離センサ838に接続され得る。制御ユニット750は、装置500の距離センサによって測定された、磁石ユニットからキャリアへの2つ以上の距離から、キャリア浮揚システム及び/又は機械的支持体140の整列を判断するように構成され得る。
【0119】
図8に示す例示的な実施形態では、第1の距離322及び第2の距離324は、キャリア110が機械的支持体140によって支持されている間に測定される。同じ装置500は、キャリア110が非接触で浮揚している間、第1の距離及び第2の距離、並びに本明細書に記載された実施形態に係る、磁石ユニットからキャリアへの任意の他の距離を測定するためにさらに使用され得る。
【0120】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、装置500は、キャリアをキャリア搬送方向192に駆動させる磁気駆動構造体180を含み得る。磁気駆動構造体180は、
図8に示す複数の磁石ユニット(例えば、アクティブ磁石ユニット185)を含み得る。本明細書に記載された実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、アクティブ磁石ユニットは、第1の方向192に延在する磁気駆動力を付与するように構成され得る。
【0121】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、装置500は、機械的支持体140を含み得る。機械的支持体140は、キャリア110を機械的に支持するように適合され得る。機械的支持体140は、第1の磁石ユニット312の下方、第2の磁石ユニット314の下方、及び/又は複数の磁石ユニット170の下方に配置され得る。非接触浮揚したキャリア及び/又は機械的に支持されたキャリアは、機械的支持体の上方及び/又は複数の磁石ユニットの下方にあり得る。
【0122】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、機械的支持体140は、1つ以上の(例えば、複数の)支持要素142を含み得る。機械的支持体140は、キャリア110を支持するように適合された複数のローラー又は軸受を含み得る。複数のローラー又は軸受は、平面(例えば、水平面)に配置され得る。各ローラー又は軸受は、回転軸を有し得る。回転軸は、水平方向に延在し得る。回転軸は、第1の方向192に対して直角な又は実質的に直角な方向に延在し得る。
【0123】
図面では、機械的支持体140は、複数の別々の支持要素として示される。本明細書に記載された実施形態は、このような機械的支持体に限定されない。例えば、機械的支持体は、互いに連結された複数の支持要素を含み得る。
【0124】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、機械的支持体140は、複数の保持器軸受又は非常時軸受を含み得る。機械的支持体140は、キャリアの非接触浮揚又は搬送の間に、キャリア浮揚システムが故障した場合、キャリア110を受け止めるように適合され得る。例えば、コーティングプロセス又はその他のプロセスでは、キャリアは、複数の磁石ユニット170によって磁気的に浮揚し得る。例えば、電力の損失によってキャリアの非接触浮揚が突然中断した場合、最悪な場合でも、キャリア110は、磁気的に浮揚することを中止して落下してもよい。本明細書に記載された実施形態によると、キャリアは、機械的支持体、特に保持器軸受又は非常時軸受に着地し得る。機械的支持体140は、キャリアを受け止めることができ、キャリア又はシステムのその他の部分への損傷を防ぐことができる。
【0125】
第1の距離センサ732、第2の距離センサ734、第3の距離センサ、及び/又は第4の距離センサは、機械的支持体140の上方に配置され得る。
【0126】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、機械的支持体140は、磁気駆動構造体180に固定され得る。機械的支持体140は、磁気駆動構造体180に機械的に接続されるか、又は装着され得、それにより、機械的支持体140の整列が、磁気駆動構造体180の整列に影響を与えるか、且つ/又は、磁気駆動構造体180の整列を決定することができる。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、機械的支持体140の整列の判断が、磁気駆動構造体180の整列の判断を可能にするように、機械的支持体は、磁気駆動構造体180を含むか、又は磁気駆動構造体180に機械的に接続されている。
【0127】
本明細書に記載された実施形態は、磁気駆動構造体の磁石ユニットの整列を判断且つ修正することができるという利点を提供する。
【0128】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、装置500は、処理チャンバ550を含み得る。複数の磁石ユニット170、キャリア110、機械的支持体140、及び/又は磁気駆動構造体180は、処理チャンバ550内に存在し得る。第3の磁石ユニット816からキャリア110へのさらなる距離及び第4の磁石ユニット818からキャリア110へのさらなる距離を測定することができるように、
図8に示すキャリア110を、処理チャンバ550内で、例えば、第1の方向192に移動させることができる。
【0129】
図9は、本明細書に記載された実施形態に係る装置500を示す。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、制御ユニット750は、磁気駆動構造体180に接続され得る。制御ユニット750は、機械的支持体及び/又は磁気駆動構造体の判断された整列に基づいて、磁気駆動構造体を整列させるように構成され得る。磁気駆動構造体の整列は、自動整列であり得る。磁気駆動構造体の整列は、磁気駆動構造体の1つ又は複数の磁石ユニットの位置の調節を含み得る。制御ユニット750は、キャリア浮揚システムの判断された整列に基づいて、キャリア浮揚システムを整列させることを含み得る。キャリア浮揚システムの整列は、自動整列であり得る。キャリア浮揚システムの整列は、キャリア浮揚システムの1つ又は複数の磁石ユニットの位置の調節を含み得る。
【0130】
図7、
図8、及び
図9に示す装置500には、
図1に示す装置100の任意の部品が含まれてもよく、逆も然りである。
【0131】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、複数の磁石ユニット170は、第1の方向192に配置され得る。複数の磁石ユニット170は、第1の方向192に延在する磁石ユニットの直線状アレイであり得る。複数の磁石ユニット170によって非接触浮揚又は搬送させられるキャリアは、第1の方向192に延在し得る。
【0132】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、機械的支持体140は、第1の方向192に延在する長さを有し得る。機械的支持体140は、キャリアを第1の方向192に誘導するように適合され得る。機械的支持体140は、少なくとも、第1の方向におけるキャリア浮揚システムの長さに沿って、第1の方向192に延在し得る。複数の磁石ユニット170の各磁石ユニットは、機械的支持体140に対向し得る。
【0133】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、磁気駆動構造体180は、第1の方向192にキャリアを駆動させるように適合され得る。第1の方向192は、キャリア搬送方向192であり得る。第1の方向192は、水平方向であり得る。
【0134】
以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって判断される。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
複数の磁石ユニット(170)を備えたキャリア浮揚システムの整列を判断する方法であって、前記複数の磁石ユニットが、キャリア(110)を非接触で浮揚させるように適合され、第1の磁石ユニット(312)及び第2の磁石ユニット(314)を含み、前記方法が、
前記第1の磁石ユニットから前記キャリアへの第1の距離(322)を測定することと、
前記第2の磁石ユニットから前記キャリアへの第2の距離(324)を測定することと、
少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記キャリア浮揚システムの整列を判断することと
を含む方法。
(態様2)
前記キャリア浮揚システムによって前記キャリアを非接触で浮揚させることであって、前記第1の距離及び前記第2の距離は、前記キャリアが非接触で浮揚している間に測定される、前記キャリアを非接触で浮揚させることと、又は
機械的支持体(140)によって、前記キャリアを機械的に支持することであって、前記第1の距離及び前記第2の距離は、前記キャリアが機械的に支持されている間に測定される、前記キャリアを機械的に支持することと
をさらに含む、態様1に記載の方法。
(態様3)
複数の磁石ユニット(170)を備えたキャリア浮揚システムの整列を判断する方法であって、前記複数の磁石ユニットが、キャリア(110)を非接触で浮揚させるように適合され、第1の磁石ユニット(312)及び第2の磁石ユニット(314)を含み、前記方法が、
少なくとも前記第1の磁石ユニットによって前記キャリアが非接触で浮揚している間に、前記第1の磁石ユニットから前記キャリアへの第1の距離(322)を測定することと、
少なくとも前記第2の磁石ユニットによって前記キャリアが非接触で浮揚している間に、前記第2の磁石ユニットから前記キャリアへの第2の距離(324)を測定することと、
少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記キャリア浮揚システムの整列を判断することと
を含む方法。
(態様4)
複数の磁石ユニット(170)を備えたキャリア浮揚システムの整列を判断する方法であって、前記複数の磁石ユニットが、キャリア(110)を非接触で浮揚させるように適合され、第1の磁石ユニット(312)及び第2の磁石ユニット(314)を含み、前記方法が、
機械的支持体(140)によって前記キャリアが機械的に支持されている間に、前記第1の磁石ユニットから前記キャリアへの第1の距離(322)を測定することと、
前記機械的支持体によって前記キャリアが機械的に支持されている間に、前記第2の磁石ユニットから前記キャリアへの第2の距離(324)を測定することと、
少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記キャリア浮揚システム及び/又は前記機械的支持体の整列を判断することと
を含む方法。
(態様5)
前記機械的支持体が、前記キャリアをキャリア搬送方向(192)に駆動させるために、磁気駆動構造体(180)を含むか、又は、前記磁気駆動構造体(180)に機械的に接続され、それにより、前記機械的支持体の整列を判断することが、前記磁気駆動構造体の整列を判断することを可能にする、態様2又は4に記載の方法。
(態様6)
前記第1の距離及び前記第2の距離が、真空条件の下で測定される、態様1から5のいずれか一項に記載の方法。
(態様7)
前記複数の磁石ユニットが、第3の磁石ユニットをさらに含み、前記第1の距離及び前記第2の距離のうちの少なくとも1つが、前記キャリアが第1の位置(532)にある間に測定され、前記方法が、
前記キャリアが第2の位置(534)にある間に、前記第3の磁石ユニットから前記キャリアへの第3の距離を測定することをさらに含み、
前記キャリア浮揚システムの前記整列が、少なくとも前記第1の距離、前記第2の距離、及び前記第3の距離、又はこれらの組み合わせから判断される、態様1から6のいずれか一項に記載の方法。
(態様8)
整列を判断することが、少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記キャリアから前記複数の磁石ユニットのうちの磁石ユニットへの距離のための基準値を計算することを含み、特に前記基準値が平均化操作によって計算される、態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
(態様9)
少なくとも部分的に前記判断された整列に基づいて、前記複数の磁石ユニットのうちの少なくとも1つの磁石ユニットの位置を調節することを含む、前記キャリア浮揚システムに対して整列操作を実行することをさらに含む、態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
(態様10)
前記複数の磁石ユニットによって、前記キャリア又はさらなるキャリアを非接触で浮揚させることと、
少なくとも部分的に前記判断された整列に基づいて、前記第1の磁石ユニットから非接触浮揚した前記キャリアへの第1の浮揚距離、及び前記第2の磁石ユニットから非接触浮揚した前記キャリアへの第2の浮揚距離を制御することと
をさらに含む、態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
(態様11)
前記キャリアが第1のキャリアであり、
前記第1の磁石ユニットから第2のキャリアへの第3の距離を測定することであって、前記第2のキャリアが、前記第1のキャリアと異なるサイズを有する、第3の距離を測定することと、
前記第2の磁石ユニットから前記第2のキャリアへの第4の距離を測定することと、
少なくとも前記第3の距離及び前記第4の距離から、前記キャリア浮揚システムの整列を判断することと
をさらに含む、態様1から10のいずれか一項に記載の方法。
(態様12)
前記第1の距離が、前記第1の磁石ユニットに設けられた第1の距離センサ(732)によって測定され、前記第2の距離が、前記第2の磁石ユニットに設けられた第2の距離センサ(734)によって測定される、態様1から11のいずれか一項に記載の方法。
(態様13)
前記キャリア又はさらなるキャリアの非接触浮揚を制御するための前記第1の距離センサ及び/又は前記第2の距離センサを使用することをさらに含む、態様12に記載の方法。
(態様14)
複数の磁石ユニット(170)を含むキャリア浮揚システムであって、前記複数の磁石ユニットが、キャリア(110)を非接触で浮揚させるように適合され、第1の磁石ユニット(312)及び第2の磁石ユニット(314)を含む、キャリア浮揚システム、
第1の距離センサ(732)、
第2の距離センサ(734)、並びに
前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサに接続された制御ユニット(750)であって、少なくとも、前記第1の磁石ユニットから前記キャリアへの第1の距離、及び前記第2の磁石ユニットから前記キャリアへの第2の距離から、前記キャリア浮揚システムの整列を判断するように構成されている、制御ユニット(750)
を備えている装置(500)。
(態様15)
前記キャリアを機械的に支持するように適合された機械的支持体(140)、及び
前記キャリアをキャリア搬送方向(192)に駆動させるための磁気駆動構造体(180)をさらに備え、
前記機械的支持体が、前記磁気駆動構造体を含むか、又は、前記磁気駆動構造体に機械的に接続され、前記制御ユニットが、少なくとも前記第1の距離及び前記第2の距離から、前記磁気駆動構造体の整列を判断するように構成されている、態様14に記載の装置。