(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロマティック共焦点センサによる高精度の測定を実現するためには、センサの位置決めや測定箇所の確認等が重要となる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高い精度で被測定物を測定することが可能なクロマティック共焦点センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るクロマティック共焦点センサは、光源部と、対物レンズと、出射口と、位置算出部と、観察部と、ビームスプリッタとを具備する。
前記光源部は、互いに波長の異なる複数の光を出射する。
前記対物レンズは、前記複数の光の各々を互いに異なる合焦位置に収束させる。
前記出射口は、前記複数の光のうち前記合焦位置にて被測定物により反射された測定光を出射する。
前記位置算出部は、前記出射された測定光に基づいて前記被測定物の位置を算出する。
前記観察部は、観察光を出射する観察用光源、及びイメージセンサを有する。
前記ビームスプリッタは、前記対物レンズを通過する前記測定光の少なくとも一部を前記出射口へ出射し、前記対物レンズを通過する前記被測定物により反射された前記観察光の少なくとも一部を前記イメージセンサへ出射する。
【0007】
このクロマティック共焦点センサでは、観察用光源及びイメージセンサを有する観察部と、ビームスプリッタとが設けられる。ビームスプリッタにより、被測定物に反射されて対物レンズを通過する測定光及び観察光が出射口及びイメージセンサに向けてそれぞれ出射される。イメージセンサの出力に基づいた画像等により、位置決めの精度を向上させることが可能となり、また測定箇所を容易に確認することが可能となる。この結果、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。
【0008】
前記ビームスプリッタは、前記対物レンズと前記出射口との間に配置され、前記光源部から出射された前記複数の光及び前記観察用光源から出射された前記観察光を、前記対物レンズに向けて同じ光軸に沿って出射してもよい。
これにより対物レンズを用いた同軸観察が可能となり、測定精度を向上させることが可能となる。
【0009】
前記光源部は、所定の波長帯域に含まれる複数の波長光を出射してもよい。この場合、前記観察用光源は、前記所定の波長帯域に含まれない波長光を出射してもよい。また前記ビームスプリッタは、前記光源部から出射される複数の波長光と、前記観察用光源から出射される波長光とを分離するダイクロイックミラーであってもよい。
これにより測定光及び観察光の各々の光量の損失を抑制することが可能となり、高精度の測定及び観察が可能となる。
【0010】
前記観察部は、ユニットとして構成されてもよい。この場合、前記クロマティック共焦点センサは、さらに、前記ビームスプリッタの位置を基準として設けられ前記観察部が取り外し可能に接続される接続部を具備してもよい。
これにより他の種類の観察部や他のユニットへの交換を容易に行うことが可能となり、目的に応じた観察やガイド光の照射等を実現することが可能となる。
【0011】
前記クロマティック共焦点センサは、さらに、前記接続部に接続可能な、ガイド光を出射するレーザ光源を有しユニットとして構成されたガイド光照射部を具備してもよい。この場合、前記ビームスプリッタは、前記接続部に接続された前記ガイド光照射部の前記レーザ光源から出射される前記ガイド光を、前記対物レンズに向けて出射してもよい。
ガイド光により測定箇所を容易に視認することが可能となり、位置決めの精度を向上させることが可能となる。この結果、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。
【0012】
前記被測定物に照射される前記ガイド光のスポット形状は、リング形状であってもよい。
これにより測定ポイントの周囲にリング形状のガイド光を照射することが可能となり、高い測定精度を実現することが可能となる。
【0013】
前記観察光は、可視光であってもよい。
これにより観察光をガイド光として用いることが可能となり、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。
【0014】
前記光源部は、白色光を出射してもよい。この場合、前記観察用光源は、赤外光を出射してもよい。
これにより高い精度で被測定物を測定することが可能となる。
【0015】
前記ガイド光は、可視光であってもよい。
これにより高い精度で被測定物を測定することが可能となる。
【0016】
前記観察用光源は、前記光源部と同じ光を出射してもよい。この場合、前記ビームスプリッタは、ハーフミラーであってもよい。
これにより測定及び観察を同じ光で実行することが可能となり、測定精度を向上させることが可能となる。
【0017】
前記光源部及び観察用光源は、白色光を出射してもよい。
これにより測定箇所のフルカラーの画像を生成することが可能となり、測定精度を向上させることが可能となる。
【0018】
前記観察部は、前記対物レンズにより発生する前記被測定物により反射された前記観察光の収差を補正する補正レンズを有してもよい。
これにより高い精度で観察を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るクロマティック共焦点センサの構成例を示す概略図である。クロマティック共焦点センサは、クロマティックポイントセンサ(CPS:chromatic confocal point sensor)とも呼ばれる。以下の説明では、クロマティックセンサと記載して説明を行う。
【0023】
クロマティックセンサ100は、光学ヘッド10と、コントローラ20と、光ファイバ部30とを有する。コントローラ20は、光源部40と、分光器50と、信号処理・制御部(以下、単に制御部と記載する)60とを有する。
【0024】
なお
図1に示す光学ヘッド10については、クロマティックセンサ100の測定原理を説明するための模式的な図示となっており、詳細な構成については後に改めて説明する。
【0025】
光源部40には、測定用光源として白色LED41が設けられる。従って光源部40からは、青色波長域から赤色波長域までの互いに波長の異なる複数の可視光を含む白色光Wが出射される。本実施形態では、約450nm〜約660nmの波長帯域に含まれる複数の波長光を含む白色光Wが出射されるが、具体的な波長帯域は限定されない。なおLED等の固体光源に代えて、水銀ランプ等が用いられてもよい。
【0026】
光ファイバ部30は、複数の光ファイバ31と、ファイバスプリッタ32とを有する。複数の光ファイバ31は、光学ヘッド10に接続された光ファイバ31aと、光源部40に接続された光ファイバ31bと、分光器50に接続された光ファイバ31cとを有する。これら光ファイバ31a〜31cは、ファイバスプリッタ32に接続される。
【0027】
ファイバスプリッタ32は、光ファイバ31aから導入された光を分岐して、光ファイバ31cに導出する。またファイバスプリッタ32は、光ファイバ31bから導入された光を、光ファイバ31aに導出する。
【0028】
従って光源部40から出射される白色光Wは、光ファイバ部30を介して、光学ヘッド10に導かれる。また光ファイバ部30を介して、光学ヘッド10から出射される測定光M(詳しくは後述する)が、分光器50に導かれる。なおファイバスプリッタ32に代えて、光ファイバカプラ等が用いられてもよい。
【0029】
光学ヘッド10は、長手方向を光軸Aとするペン形状の筐体部11と、この筐体部11内に設けられた対物レンズ12とを有する。筐体部11の後端の略中央の接続口13に、光ファイバ31aが接続され、筐体部11の内部に白色光Wが出射される。光ファイバ31aから出射された白色光Wは、対物レンズ12を通って、筐体部11の前端の照射面14から被測定物Oに向けて照射される。
【0030】
対物レンズ12は、クロマティックセンサ用に設計されたレンズであり、軸上色収差を発生させる。すなわち対物レンズ12は、光学ヘッド10に入射する光を、光軸A上の波長λに応じた合焦位置Pに収束させる。従って本実施形態では、対物レンズ12により、白色光Wに含まれる複数の可視光の各々が、波長λに応じた互いに異なる合焦位置Pに収束される。
【0031】
図1に示すように、白色光Wに含まれる複数の可視光が互いに分離されて、筐体部11の照射面14から被測定物Oに向けて出射される。なお
図1では、対物レンズ12により分光された複数の可視光を代表して、RGBの3色の光が図示されている。もちろん他の色(他の波長)の光も出射されている。
【0032】
図1に示す波長λ1及び合焦位置P1は、複数の可視光のうち最も波長が短い可視光の波長及び合焦位置を表し、例えば青色光Bが該当する。波長λn及び合焦位置Pnは、最も波長が長い可視光の波長及び合焦位置を表し、例えば赤色光Rが該当する。波長λk及び合焦位置Pkは、複数の可視光のうちの任意の可視光についての波長及び合焦位置を表し、
図1は、緑色光Gが例示されている(k=1〜nである)。
【0033】
また対物レンズ12は、合焦位置Pkにて被測定物Oにより反射された可視光を、光ファイバ31aに収束させる。すなわち筐体部11の後端の接続口13は、被測定物O上で合焦して反射される可視光が、対物レンズ12により収束されるときの共焦点の位置に設けられる。当該接続口13に光ファイバ31aを接続することで、複数の可視光のうち合焦位置Pkにて被測定物Oにより反射された可視光を、測定光Mとして選択して出射することが可能となる。
【0034】
図1では、対物レンズ12から光ファイバ31aまでの間に、被測定物Oにより反射されたRGBの3色の光が図示されている。
図1に示す例では、合焦位置Pk(図中では緑色光Gの合焦位置)に被測定物Oが存在する。従って被測定物Oにより反射された緑色光Gが、光ファイバ31aに収束される。この結果、緑色光Gの反射光が、測定光Mとして光ファイバ31aを介して出射される。このように出射される測定光Mの波長と、光軸A上における被測定物Oの位置は、1対1に対応する。
【0035】
なお光ファイバ31aが接続される接続口13は、本実施形態において、測定光Mを出射する出射口に相当する。測定光Mを選択して出射するために、ピンホールやアパーチャ等が用いられてもよい。また筐体部11内の共焦点光学系の構成は限定されず、適宜設計されてよい。
【0036】
分光器50は、光学ヘッド10により光ファイバ31aを介して出射された測定光Mの波長を検出するためのブロックである。測定光Mは、光ファイバ31a、ファイバスプリッタ32、及び光ファイバ31cを介して、分光器50内に照射される。
【0037】
分光器50には、測定光Mが入射される側から順番に、コリメータレンズ51、回折格子52、結像レンズ53、及びリニアセンサ55が配置される。コリメータレンズ51は、光ファイバ31cから出射された測定光Mを回折格子52上に略均一に照射する。
【0038】
回折格子52は、略均一に照射された測定光Mを回折する。結像レンズ53は、回折格子52により回折された回折光Lを、リニアセンサ55上にてスポット状に結像する。典型的には、+1次の回折光Lがリニアセンサ55上に結像されるが、−1次の回折光等、他の回折光が結像されてもよい。なお回折格子52の具体的な構成は限定されない。
【0039】
リニアセンサ55は、一方向に並ぶ複数のピクセル(受光素子)56を有する。各ピクセル56は、受光した光の強度に応じた信号を出力する。リニアセンサ55の具体的な構成は限定されず、例えばCMOSラインセンサやCCDラインセンサ等が用いられる。
【0040】
なお結像レンズ53は、色収差が小さいレンズであり、測定光Mの波長にかかわらず、回折光Lをリニアセンサ55上にスポット状に結像することができる。一方で、回折格子52から出射される回折光Lの出射角は、測定光Mの波長に依存する。従ってリニアセンサ55上のスポットの位置は、測定光Mの波長に依存するパラメータとなる。
【0041】
リニアセンサ55により出力された信号は、信号ケーブル57を介して制御部60に送信される。なおスポット位置の検出対象となる回折光L以外の回折光がリニアセンサ55に入射しないように、遮光機構等が設けられてもよい。また回折格子52やリニアセンサ55の配置角度等が適宜調整されてもよい。
【0042】
制御部60は、本実施形態において位置算出部として機能し、リニアセンサ55から受信した信号をもとに被測定物Oの位置を算出する。例えば所定の基準位置にて光学ヘッド10が保持され、被測定物Oに白色光Wが出射される。そしてリニアセンサ55からの信号をもとに、基準位置を基準とした被測定物Oの位置が算出される。
【0043】
また被測定物Oの位置として、光学ヘッド10から被測定物Oまでの距離が算出されてもよい。また被測定物Oが移動する場合でも、当該移動に応じて出力されるリニアセンサ55からの信号をもとに、被測定物Oの移動量を算出することも可能である(
図1に示す矢印Y参照)。
【0044】
光学ヘッド10が、被測定物Oの上方から使用される場合には、被測定物Oの高さが被測定物Oの位置として算出される。もちろんこれに限定されず、任意の方向にて光学ヘッド10が使用され、当該方向における位置が算出されてもよい。
【0045】
このような位置算出により、例えばmmオーダーの輪郭・形状の測定、μmオーダーの微細形状の測定、ワークの表面性状の測定等、様々な測定が可能となる。
【0046】
制御部60は、例えばCPU、メモリ(RAM、ROM)、I/O(Input/Output)等が1チップに収められたマイコン(マイクロコンピュータ)により実現可能である。マイコンによる種々の処理は、チップ内のCPUがメモリに記憶された所定のプログラムに従って動作することで実行される。これに限定されず、制御部60を実現するために、他のIC(集積回路)等が適宜用いられてもよい。
【0047】
図2は、制御部60による被測定物Oの位置の算出例を示すチャートである。まずリニアセンサ55から出力される信号をもとに、信号強度のピーク値を出力するピクセル56の位置(ピークピクセル位置)が検出される。ピークピクセル位置は、センサにより受光される回折光Lの受光位置に相当し、本実施形態では、ピクセルナンバーにより表される。
【0048】
検出されたピクセルナンバーをもとに、被測定物Oの位置(ここでは距離Distと記載する)が算出される。
図2に示すように、距離Distは、校正テーブルを用いることで算出される。校正テーブルは、例えば距離Distを調整しながらクロマティックセンサ100を動作させることで予め作成され、制御部60のメモリ等に格納される。校正テーブルの作成方法及び作成するタイミング等は限定されない。
【0049】
距離Distの算出は、校正テーブルが用いられる方法に限定されない。例えばメモリ等に所定の演算式が格納され、当該演算式を用いてピクセルナンバーから距離Distへの演算が実行されてもよい。あるいはピクセルナンバーから測定光Mの波長が算出されてもよい。そして校正テーブルや演算等により、波長から距離Distが算出されてもよい。
【0050】
図3は、光学ヘッド10の詳細な構成例を示す外観図である。
図4は、光学ヘッド10の内部の構成例を示す模式図である。
図1を参照して説明した通り、光学ヘッド10は、筐体部11と、色収差を有する対物レンズ12と、光ファイバ31aが接続される接続口13とを有する。また光学ヘッド10は、光軸A上で分離された複数の可視光を被測定物Oに向けて照射する照射面14を有する。
【0051】
さらに光学ヘッド10は、筐体部11内に設けられたダイクロイックミラー15と、観察ユニット70と、観察ユニット70を筐体部11に接続するための接続部17とを有する。
【0052】
ダイクロイックミラー15は、対物レンズ12と接続口13との間の、光軸A上に配置される。ダイクロイックミラー15は波長選択性を有し、光ファイバ31aから出射される白色光Wを透過する。すなわち本実施形態では、約450nm〜約660nmの波長帯域に含まれる光を透過する。
【0053】
一方で、ダイクロイックミラー15は、観察ユニット70内に設けられた観察用光源71から出射される観察光N(約680nmの単波長)を反射する。ダイクロイックミラー15の具体的な構成は限定されず適宜設計されてよい。
【0054】
被測定物Oにより反射された測定光Mは、対物レンズ12を通過してダイクロイックミラー15に入射する。ダイクロイックミラー15は、測定光Mを接続口13へ向けて透過する。すなわちダイクロイックミラー15は、対物レンズ12を通過する測定光Mを、接続口13へ出射する。
【0055】
観察ユニット70は、観察用光源71と、照明レンズ72と、ハーフミラー73と、結像レンズ74と、イメージセンサ75と、これらを収容する筐体部76とを有する。観察ユニット70は、1つのユニットとして構成され、例えば筐体部76を保持することで一体的に取り扱うことが可能である。なお
図3及び
図4の両方において、筐体部76の外形が異なっているが、筐体部76の外形は限定されず適宜設計されてよい。
【0056】
観察用光源71は、波長が約680nmの観察光Nを出射するLEDである。観察光Nの波長は限定されず、白色光Wの波長帯域に含まれない任意の波長光を採用可能である。例えば短波長側に外れた約430nmの単波長光が用いられてもよい。また観察用光源として、他の固体光源やランプ等が用いられてもよい。
【0057】
図4に示すように、観察用光源71の光軸B1に沿って、照明レンズ72及びハーフミラー73が配置される。照明レンズ72及びハーフミラー73の具体的な構成は限定されず、適宜設計されてよい。
【0058】
照明レンズ72を通過する観察光Nの約50%が、ハーフミラー73により、略直交する方向に反射される。当該反射された観察光Nが、図示を省略した出射口から外部へ出射される。その出射される観察光Nの光軸(ハーフミラーにより反射された観察光Nの光軸)B2に沿って、ハーフミラー73の背後側に結像レンズ74及びイメージセンサ75が配置される。ハーフミラー73の背後側とは、観察光Nが出射される側とは反対側のことである。
【0059】
従って光軸B2に沿ってハーフミラー73に観察光Nが入射する場合には、ハーフミラー73を透過する約50%の観察光Nが、結像レンズ74を介してイメージセンサ75に入射する。結像レンズ74の具体的な構成は限定されず、適宜設計されてよい。イメージセンサ75としては、例えばCMOSエリアセンサやCCDエリアセンサ等が用いられる。
【0060】
本実施形態では、観察ユニット70は、観察用光源及びイメージセンサを含む観察部に相当する。観察ユニット70内の観察光学系の構成は、上記で説明したものに限定されず、任意に設計されてよい。
【0061】
接続部17は、筐体部11内に配置されるダイクロイックミラー15の位置を基準として設けられ、観察ユニット70が取り外し可能に接続される。
図4に示すように、観察ユニット70から出射された観察光Nが、ダイクロイックミラー15により対物レンズ12に向けて光軸Aに沿って反射されるように、観察ユニット70が筐体部11に接続される。このような接続を実現するために、接続部17が構成される。
【0062】
例えばダイクロイックミラー15の位置に応じて、筐体部11に開口(図示省略)が形成される。当該開口に観察ユニット70の出射口が合わせられ固定される。例えば開口付近に係合孔や係合溝が形成され、観察ユニット70の出射口が形成された先端部分が当該係合孔等に嵌め込められる。そしてネジ等により両方の部材が固定される。その他、異なる部材を接続するための任意の構成が採用されてよいが、それらの任意の構成が本技術に係る接続部に含まれる。
【0063】
観察用光源71が駆動すると、観察ユニット70からダイクロイックミラー15に向けて、光軸B2に沿って観察光Nが出射される。ダイクロイックミラー15は、観察光Nを対物レンズ12に向けて、光軸Aに沿って反射する。すなわちダイクロイックミラー15は、白色光W及び観察光Nを、対物レンズ12に向けて同じ光軸に沿って出射する。
【0064】
対物レンズ12に向けて反射された観察光Nは、対物レンズ12を介して被測定物Oに照射される。
図4に示す例では、観察光Nと測定光M(白色光W)とが同じ光束で図示されているが、これに限定されない。例えば対物レンズ12による収差特性により、被測定物Oに照射される観察光Nの照射スポットの径が、合焦時と比べて若干大きくなる場合もある。その場合でも、例えば観察光Nの波長等を適宜設定することで、十分な観察精度を発揮することが可能である。
【0065】
被測定物Oにより反射された観察光Nは、対物レンズ12を通過してダイクロイックミラー15に入射する。ダイクロイックミラー15は、観察光Nを観察ユニット70に向けて光軸B2に沿って反射する。光軸B2に沿って反射された観察光Nは、ハーフミラー73及び結像レンズ74を介して、イメージセンサ75に入射する。従ってダイクロイックミラー15は、被測定物Oにより反射された観察光Nを、イメージセンサ75へ出射することが可能である。本実施形態において、ダイクロイックミラー15は、ビームスプリッタに相当する。
【0066】
観察用光源71及びイメージセンサ75の駆動は、例えばコントローラ20の制御部60により制御される。制御部60と、観察用光源71及びイメージセンサ75とが、有線又は無線等により接続される。そして制御部60により、観察用光源71の発光量や発光タイミングを含む制御信号が出力され、観察用光源71が駆動される。
【0067】
またイメージセンサ75からの出力信号が、制御部60に送信され、測定箇所の画像等が生成され外部のモニタ等に出力される。本実施形態では、単波長光である観察光Nに基づいて、濃淡により表現された画像が生成される。もちろん制御部60とは別のブロック等により、観察用光源71やイメージセンサ75の制御や、画像の生成等が実行されてもよい。
【0068】
なお観察光Nとして、近赤外光や赤外光等の不可視光が用いられる場合でも、イメージセンサ75の出力に基づいて測定部位の画像を生成することが可能である。いずれにせよ位置測定に用いられる光(以下、測定用光と記載する)の波長帯域に含まれない波長光を用いることで、ビームスプリッタとしてダイクロイックミラー15を用いることができる。これにより測定光M及び観察光Nの光量の損失を抑制することが可能となり、高精度の測定及び観察が可能となる。
【0069】
以上、本実施形態に係るクロマティックセンサ100では、筐体部11内の共焦点光学系にダイクロイックミラー15が配置され、その位置に合わせて観察ユニット70が接続される。これによりCPS用の対物レンズ12を用いた同軸観察が可能となり、測定箇所のモニタリング機能を実現することが可能となる。
【0070】
例えばイメージセンサ75の出力に基づいた画像により、光学ヘッド10の位置決めの精度を向上させることが可能となり、また測定箇所を容易に確認することが可能となる。これにより高い精度で被測定物Oを測定することが可能となる。また本実施形態のように観察光Nを可視光とすることで、観察光Nをガイド光として使用することが可能である。これにより位置測定の操作作業性や測定精度を向上させることが可能となる。
【0071】
コントローラ20の光源部40と、観察ユニット70の観察用光源71を同時に駆動させることで、測定箇所の画像をモニタで確認しながら、測定操作やプログラミングを実行することも可能である。またパートプログラムに従って動作するクロマティックセンサ100の測定状況を、モニタの映像によりリアルタイムで確認することも可能である。この結果、プログラムの修正等を即座に実行することが可能となり、非常に高い測定精度を容易に実現することが可能となる。
【0072】
なお白色光W及び観察光Nを同時に照射する場合に限定されず、各光の照射タイミングは適宜制御されてよい。例えば観察光Nを照射して測定箇所の観察が行われた後に、観察光Nに代えて白色光Wを照射して被測定物Oが測定されてもよい。
【0073】
また本実施形態では、ダイクロイックミラー15の位置を基準として、ユニットを取り外し可能に接続することが可能な接続部17が構成されるので、他の種類の観察ユニットや他のユニットへの交換を容易に行うことが可能となる。従って目的に応じた観察やガイド光の照射等を容易に実現することが可能となる。
【0074】
図5は、観察ユニット70に代えて、ガイド光ユニットが接続された場合の構成例を示す模式図である。
図6は、被測定物に照射されるガイド光の照射スポットを示す模式図である。ガイド光ユニット80は、本実施形態において、ガイド光照射部に相当する。
【0075】
接続部17に接続されるユニットの変更は、手動により実行されてもよいし、制御部60等の制御により自動で実行されてもよい。自動でユニットが変更される場合には、例えばユニットを保持して取外し/取付けを実行する保持アーム等を含む取付け機構が構成される。当該保持機構は、クロマティックセンサ100内に構成されてもよいし、外部に構成されてもよい。
【0076】
ガイド光ユニット80は、ガイド光(レーザ光)Lを出射するレーザ光源81と、出射されたガイド光Lをリレーするレンズ82とを有する。ガイド光Lとしては、目視で確認可能なように、可視光のレーザ光が用いられる。ガイド光Lの具体的な波長は限定されないが、本実施形態では、位置測定用の白色光Wの波長帯域(約450nm〜約660nmの波長帯域)に含まれない波長のレーザ光が用いられる。例えば約680nm又は約430nmの波長のレーザ光が用いられる。
【0077】
ガイド光ユニット80が接続部17に接続されると、光軸Cに沿って出射されるガイド光Lが、ダイクロイックミラー15に入射する。ダイクロイックミラー15は、ガイド光Lを対物レンズ12に向けて、光軸Aに沿って反射する。従ってガイド光Lは、白色光Wと同じ光軸に沿って、被測定物Oに出射される。これにより
図6に示すように、被測定物Oの測定箇所にガイド光Lが照射され、照射スポットSが視認可能となる。
【0078】
このようにガイド光ユニット80を取付けることで、ガイド機能を実現することが可能となり、測定箇所を容易に視認することが可能となる。この結果、高い精度で被測定物Oを測定することが可能となる。また測定操作やプログラミングの作業性を大幅に向上させることが可能となる。なお典型的には、光源部40とレーザ光源81とを同時に駆動させ、ガイド光Lを照射しながら測定が実行される。もちろんこれに限定される訳ではなく、白色光W及びガイド光Lの照射タイミングが適宜制御されてよい。
【0079】
図7は、ガイド光ユニットの他の構成例を示す模式図である。
図8は、被測定物に照射されるガイド光の照射スポットを示す模式図である。
【0080】
このガイド光ユニット90は、被測定物Oに照射されるガイド光Lのスポット形状を整形する整形機構を有する。具体的には、レーザ光源91から出力されるガイド光Lの光軸D上に配置されたコーンミラー92と、その周囲に配置された反射ミラー93とを有する。
【0081】
図7に示すように整形機構により、ガイド光Lの断面の形状がリング形状に整形される。これにより被測定物O上に照射されるガイド光Lのスポット形状が、リング形状となる。当該ガイド光Lの照射スポットSの内部領域95が、複数の可視光が照射される測定領域となる。
【0082】
本ガイド光ユニット80を取付け、ガイド光Lの投影パターンをリング形状とすることで、レーザサイト機能を実現することが可能となる。すなわち測定ポイント(測定箇所)の周囲にガイド光Lを照射することが可能となり、位置測定に影響を与えることなく、位置決めや測定箇所の確認が可能となる。この結果、高い測定精度を実現することが可能となる。なお測定ポイントにガイド光Lが照射される場合に、必ず位置測定に影響があるという訳ではなく、その可能性を十分に排除できるという意味である。
【0083】
整形される照射スポットSの形状は限定されず、任意の形状が採用されてよい。また照射スポットSの形状を整形する整形機構の構成も限定されず、任意に設計されてよい。
【0084】
共焦点(コンフォーカル)光学系により発生する色収差を積極的に利用した波長コンフォーカル方式の非接触変位計は、mmオーダーの輪郭・形状の測定、μmオーダーの微細形状の測定、ワークの表面性状の測定等、様々な測定が可能である。一方で、その測定原理から、同軸での測定ワークの観察が困難であった。
【0085】
ワークを観察出来ないため、特にμmオーダーのワークを測定する場合、位置決めや測定箇所の確認に時間を要していた。また光の色分散をスケールとし、距離・変位を測定する原理のため、軸上色収差を持つ対物レンズを使用しての同軸観察は極めて困難であり、さらに同軸外の観察は、ワークが急斜面の場合などで、観察困難であった。
【0086】
本実施形態では、
図4に例示する観察ユニット70を追加することで、モニタリング機能が実現され、測定ワークの同軸観察が可能となる。これにより、位置決めや測定箇所の確認が容易になり、測定の高速化が可能となり、測定精度の向上を図ることが可能となる。また観察光Nの波長を可視光とすることで、ガイド光としても使用可能となる。これにより目視により大まかな位置決めが可能となり、より測定の高速化が可能となる。また測定ワークの状態が観察できるため異常データを検出したとき等において、ゴミ、キズ、汚れ等の判別が可能となり、使い勝手の向上、及び信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0087】
また
図5及び
図7に例示するガイド光ユニット80及び90を取付けることで、ガイド光機能及びレーザサイト機能を実現することが可能となる。この結果、測定操作の作業性の向上、及び測定精度の向上を十分に図ることが可能となる。
【0088】
また本実施形態では、共焦点光学系内の色収差を有する対物レンズ12と、接続口13との間にダイクロイックミラー15が配置される。当該ダイクロイックミラー15を基準として、観察ユニット70やガイド光ユニット80及び90が取付けられる。これにより波長コンフォーカル方式の測定精度を高く維持したまま、他の観察光学系やレーザ光学系を組み合わせることが可能となり、その設計も容易となる。また対物レンズ12から被測定物Oまでの間に光学部材等を追加する必要がないので、作動距離(対物レンズ12から被測定物Oまでの距離)を十分に確保することが可能となり、高い作業性を発揮することが可能となる。
【0089】
例えば上記特許文献1に記載の、顕微鏡とクロマティック共焦点センサとが一体化した構造では、顕微鏡の対物レンズが共通して用いられている。この場合、アフォーカル分散レンズの色収差により軸上で分離された複数の光の各々の光路が、対物レンズの波長依存性等により乱されてしまう場合があり得る。この結果、高さ測定の精度が著しく低下してしまう可能性も高い。これに対して本技術に係るクロマティックセンサでは、共焦点光学系を基準として、他の光学系が追加されているので、高い測定精度を発揮することが可能である。
【0090】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0091】
上記では、位置測定用の光(上記では白色光W)の波長帯域に含まれない波長光が、観察光及びガイド光として用いられたが、これに限定されない。例えば位置測定用の光と同じ波長帯域の光が、観察光等として用いられてもよい。
【0092】
例えば
図4に例示する光学ヘッド10を参照して、観察用光源71として、白色LEDが用いられてもよい。この場合、ビームスプリッタとして、ダイクロイックミラー15の代わりにハーフミラーが用いられる。これにより、イメージセンサ75の出力に基づいて、測定箇所のカラー画像を生成することが可能となる。この結果、測定箇所の観察精度が十分に向上し、高い測定精度が発揮される。なおこの場合、光源部40及び観察用光源71による白色光の発光タイミングが適宜制御される。
【0093】
なお観察用光源71として白色LEDが用いられる場合に、被測定物Oにより反射された観察光(白色光)が対物レンズ12を通過する際に発生する色収差を補正する補正レンズが配置されてもよい。例えば
図4に示す結像レンズ74に、当該補正機能を備えさせてもよい。例えば対物レンズ12とは逆の収差特性を有する結像レンズ74が配置される。これにより観察光の色収差を補正することが可能となり、精度の高い観察箇所の画像を生成することが可能となる。
【0094】
なお筐体部11内にハーフミラーを配置し、観察ユニット70の観察用光源を省略する構成もあり得る。この場合、被測定物Oにより反射された白色光(複数の可視光)から測定光Mを除く光が、イメージセンサ75に入射する。これにより生成された画像を用いて、測定箇所を観察することが可能であるが、観察できる被測定物O上の領域はそれほど広くはない。
【0095】
その他、位置測定用の光の波長帯域と重複する波長帯域を有する観察光が用いられてもよい。これらの光を分割するビームスプリッタを適宜設計して配置することで、被測定物Oの位置測定及び観察箇所の観察が可能となる。ガイド光についても、位置測定用の光の波長帯域に含まれる可視光が用いられてもよい。例えばハーフミラーを用いることで、当該ガイド光を被測定物Oに照射することが可能である。
【0096】
図9は、他の実施形態に係る光学ヘッドの内部の構成例を示す模式図である。この光学ヘッド210では、対物レンズ212と接続口213との間に、コリメータレンズ218と、リレーレンズ219とが配置される。コリメータレンズ218は、接続口213の近傍に配置され、筐体部211内に出射される白色光Wを平行化する。リレーレンズ219は、対物レンズ212の近傍に配置され、平行化された白色光Wを対物レンズ212に向けて収束する。
【0097】
測定光Mを透過し、観察光Nを反射するダイクロイックミラー215は、コリメータレンズ218とリレーレンズ219との間に配置される。これにより光線(光束)が光軸Aと平行となる位置で光を分離することが可能となり、光軸ずれの発生等を十分に防止することが可能となる。またダイクロイックミラー215の角度依存性を抑えることが可能となる。この結果、ダイクロイックミラー215の追加による、波長コンフォーカル方式の測定への影響を抑制することが可能となる。なおコリメータレンズ218やリレーレンズ219等が用いられない構成において、ダイクロイックミラー215の追加による影響が必ず発生するという訳ではない。
【0098】
図4に示す例では、1つのユニットとして構成された観察ユニット70が用いられた。これに限定されず、観察用光源71と、イメージセンサ75とが互いに独立して配置されてもよい。例えば筐体部11の接続部17には、イメージセンサ75及び結像レンズ74を収容する撮像ユニットが接続される。そして観察用光源71は、筐体部11の照射面14の近傍に配置される。このような構成でも、測定箇所の画像を生成することが可能である。
【0099】
また観察光ユニット70の観察用光源71が配置されている部分が、さらに取り外し可能なユニット構成を有していてもよい。そしてその部分に、レーザ光を備える光源ユニットが取り付けられてもよい。これにより観察光及びガイド光の切り替えが容易に可能となる。
【0100】
図4に示す観察ユニット70が、筐体部11に一体的に構成されてもよい。すなわち取り外し可能な接続構成が実現されていなくてもよい。この場合でも、上記したモニタリング機能が発揮されるので、高い精度で被測定物を測定することが可能となる。ガイド光ユニットも同様に、筐体部に一体的に構成されてもよい。
【0101】
また上記では、位置測定用の複数の可視光を含む光として白色光が用いられた。これに限定されず、広帯域の他の光が用いられる場合でも本発明は適用可能である。すなわち各々波長の異なる複数の光として、不可視光である紫外線や赤外線等が出射されてもよい。例えば紫外線を出射するLED等を、本発明に係る光源部として使用することが可能である。
【0102】
以上説明した本発明に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせる
ことも可能である。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定される
ものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。