特許第6705190号(P6705190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705190
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】増幅反応を利用した測定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20200525BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   C12Q1/6844 ZZNA
   !C12N15/10 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-18515(P2016-18515)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-118860(P2017-118860A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-37514(P2015-37514)
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-254066(P2015-254066)
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武藤 悠
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−525174(JP,A)
【文献】 特開2002−345476(JP,A)
【文献】 特開2002−345474(JP,A)
【文献】 特表2008−545416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q1/00−1/70
G01N33/532
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・会合部位と一本鎖DNAを有するプローブA、及び
・会合部位と一本鎖DNAを有するプローブB、
を用いた、ホモジニアス系で行われる測定対象の測定方法であって、
(i)二重鎖形成配列がプローブA及びプローブBの一本鎖DNAに含まれており、
プロモーター配列と増幅配列は、それぞれプローブA又はプローブBの一本鎖DNAに含まれており、
(ii)プローブAの会合部位とプローブBの会合部位を測定対象と会合させ、
(iii)プローブAの二重鎖形成配列とプローブBの二重鎖形成配列をハイブリダイズさせて、DNAの二重鎖を形成させ、
(iv)それを起点としてDNAポリメラーゼによってDNAを伸長させることにより、プロモーター配列の二重鎖を形成させ、
(v)RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを増幅させ、
(vi)増幅したRNAを検出する、
ことを特徴とする、RNA増幅が一定温度条件下で行われる測定方法。
【請求項2】
プローブAとプローブBにおいて、一方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合しており、他方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プローブAとプローブBにおいて、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プローブAとプローブBにおいて、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プローブA及び/又はプローブBの会合部位と一本鎖DNAとがスペーサーを介して結合している、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
スペーサーがDNA鎖である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅反応を利用した測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酵素免疫分析法(ELISA)の原理を用いた測定法は、臨床診断や基礎研究の分野で広く用いられている。しかし、ELISAによる測定では、標識化合物の非特異吸着を除去するための洗浄工程(B/F分離)が必要であり、操作に時間がかかること、また洗浄操作に耐えることのできない弱い相互作用のホスト分子は使用できないなどの問題があった。そのため、B/F分離を必要としないホモジニアスアッセイ方法が、生物医学研究の現場でのハイスループットスクリーニングに用いられる(非特許文献1)。従来のホモジニアスアッセイにおける検出方法は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)、蛍光偏光(FP)などの手法を用いて検出される。これらの検出系は、ELISAなどの酵素を用いた検出系と異なり、反応系中でシグナルの増幅が行われないため、検出感度が問題となることがあった。
【0003】
例えば非特許文献2では、一本鎖抗体(ScFv)の抗原結合領域近傍に修飾した蛍光分子がタンパク中のトリプトファンによる消光を受けることを利用して、抗原結合により蛍光回復するプローブを開発している。また非特許文献3では、ホスト分子と蛍光色素のピレンで修飾された2つのDNA鎖が、ゲスト分子との会合により二重鎖形成をして、結果としてピレンが近接位にくることで、ピレン由来の発光のスイッチングが起こるプローブを開発している。これらの測定方法は、どちらもB/F分離を必要としないホモジニアスな系で機能するが、シグナル増幅系を有する測定系ではなかった。
【0004】
シグナル増幅の機能を有し、ホモジニアスな系で働く測定方法の例として、特許文献1に記載のルシフェラーゼの半反応を利用したものがあげられる。しかし、この測定方法ではバックグランドのシグナルが高いことが課題となっていた。また、分子量の大きいルシフェラーゼをホスト分子に修飾しなければならない点も、プローブ作製時の課題となることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268793号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】化学と生物 Vol.38 No.8, 2000.555
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,2011,133(43),17386
【非特許文献3】Bioconjugate Chem.,2008,19,1132
【非特許文献4】Nucleic Acids Res, 2009、Vol.37,No.3 e20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、シグナルの増幅が可能で、プローブの作製が容易な測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みてなされた本発明は、以下の態様を包含する。
(1)・会合部位と一本鎖DNAを有するプローブA、及び
・会合部位と一本鎖DNAを有するプローブB、
を用いた測定対象の測定方法であって、
(i)二重鎖形成配列がプローブA及びプローブBの一本鎖DNAに含まれており、
プロモーター配列と増幅配列は、それぞれプローブA又はプローブBの一本鎖DNAに含まれており、
(ii)プローブAの会合部位とプローブBの会合部位を測定対象と会合させ、
(iii)プローブAの二重鎖形成配列とプローブBの二重鎖形成配列をハイブリダイズさせて、DNAの二重鎖を形成させ、
(iv)それを起点としてDNAポリメラーゼによってDNAを伸長させることにより、プロモーター配列の二重鎖を形成させ、
(v)RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを増幅させ、
(vi)増幅したRNAを検出する、
ことを特徴とする、測定方法。
(2)プローブAとプローブBにおいて、一方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合しており、他方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合している、(1)に記載の方法。
(3)プローブAとプローブBにおいて、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合している(1)に記載の方法。
(4)プローブAとプローブBにおいて、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合している(1)に記載の方法。
(5)ホモジニアス系で行われる、(1)〜(4)いずれかに記載の方法。
(6)RNAの増幅が一定温度条件下で行われる、(1)〜(5)いずれかに記載の方法。
(7)プローブA及び/又はプローブBの会合部位と一本鎖DNAとがスペーサーを介して結合している、(1)〜(6)いずれかに記載の方法。
(8)スペーサーがDNA鎖である、(7)に記載の方法。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
(1)測定方法
本発明の測定方法は、測定対象の有無を測定する定性測定であってもよく、また測定対象の量を測定する定量測定であってもよい。本発明の測定方法は、B/F分離を必要としない、いわゆるホモジニアス系で行われることが好ましい。
【0011】
(2)プローブ
本発明に用いられるプローブA及びプローブBは、会合部位と一本鎖DNAを有するものである。会合部位とDNA鎖の結合は3’末端側、5’末端側のどちらで行っても良く、反応原理に応じて適宜選択すればよい。例えばプローブAとプローブBにおいて、一方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合しており、他方のプローブは会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合しているものをあげることができ、これは例えば後述の測定原理1に用いることができる。またプローブAとプローブBにおいて、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの5’末端側とが結合しているものをあげることができ、また同様に、いずれのプローブも会合部位と一本鎖DNAの3’末端側とが結合しているものをあげることができる。これらは例えば後述の測定原理2、3、4に用いることができる。
【0012】
会合部位と一本鎖DNAとは直接結合されていてもよく、またスペーサー等を介して間接的に結合されていてもよい。その結合方法は特に限定されないが、例えば、非特許文献3に記載のように、会合部位をホスホロアミダイト化して、DNA固相合成に組み込むことで一本鎖DNAと結合させてもよいし、固相合成により一本鎖DNA鎖中にアミノ基、チオール基などの反応性の官能基を導入し、会合部位と反応させてもよい。スペーサーの種類も特に限定されないが、例えばポリオキシエチレン(PEG)鎖をスペーサーとして用いてもよいし、DNA鎖をスペーサーとして用いてもよい。このスペーサーとして用いられるDNA鎖は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖の場合は会合部位と結合している側のDNA鎖に二重鎖形成配列を有する一本鎖DNAが結合していてもよく、また反対に会合部位と結合しているDNA鎖の相補鎖側に二重鎖形成配列を有する一本鎖DNAが結合していてもよい。
【0013】
(3)会合部位
会合部位は、プローブAとプローブBに含まれるものであり、測定対象と会合しうるものであればよく特に限定されない。例えば、会合部位としては、ホスト分子として用いられる小分子(シクロデキストリン、クラウンエーテル、ボロン酸など)や、測定対象と親和性を有するタンパク(レクチン、抗体など)または親和性を有する核酸(アプタマーなど)、アビジン又はビオチン等を用いればよい。プローブAとプローブBが共に測定対象に会合した状態をとることができる限り、プローブAとプローブBの会合部位は同一のものであっても異なっていてもよい。またプローブAとプローブBの会合部位は、測定対象に対してどちらを先に会合させてもよく、また同時に会合させてもよい。
【0014】
(4)二重鎖形成配列
本発明における二重鎖形成配列は、プローブAとプローブBの一本鎖DNA中にそれぞれ存在するものであるが、それぞれの一本鎖DNA中の位置は特に限定されるものではない。それらは互いに相補的な配列を有するものであり、そのDNA鎖長は特に限定されないが、好ましくは3〜10塩基、さらに好ましくは4〜6塩基である。
【0015】
(5)プロモーター配列
本発明においてプロモーター配列は、プローブA又はプローブBの一本鎖DNAに含まれるものであるが、その位置は特に限定されるものではない。その配列は特に限定されず、RNAポリメラーゼ存在下でRNAへの転写を行うことが可能なプロモーターであればよい。具体的には、T7プロモーター、SP6プロモーター、T3プロモーターなどがあげられる。特に、本発明ではT7プロモーターを用いることが好ましい。
【0016】
(6)増幅配列
本発明における増幅配列は、プローブA又はプローブBの一本鎖DNAに含まれるものであるが、その位置は特に限定されるものではない。その配列はRNA合成の鋳型となるアンチセンス鎖又はセンス鎖であればよく、特に限定されない。
【0017】
(7)検出
本発明におけるシグナルの検出は、RNAポリメラーゼによって生産・増幅されたRNA鎖を検出することで行えばよく、特に限定されない。例えばRNAの検出にはモレキュラービーコンやINAFプローブなどの配列特異的に結合し、蛍光変化する検出系を用いてもよいし、SYBRgreenなどインターカレーター性の蛍光色素を用いてもよい。また、合成されるRNA配列がRNAzyme活性を有するように配列を設計し、その酵素活性を測定することでシグナルの検出を行なってもよい。また核酸クロマトの方法を用いて、目視による検出を行ってもよい。
【0018】
検出装置を必要とする場合は、リアルタイムPCR装置を用いればよい。また本実施例で用いた、TRCRリアルタイムモニター(TRCRapid−160 東ソー製)を用いてもよい。
【0019】
(8)酵素
本発明の測定方法には、DNAポリメラーゼ活性を有する酵素及びRNAポリメラーゼ活性を有する酵素を用いる。その際、DNAポリメラーゼ活性及びRNAポリメラーゼ活性を兼ね備えた酵素を用いてもよいし、それぞれのポリメラーゼ活性を有する異なる酵素をそれぞれ用いてもよい。例えばDNAポリメラーゼとしては、phi29、Bst、Csa、96−7などを用いればよく、RNAポリメラーゼとしては、T7、SP6、T3などを用いればよい。特に本発明では、DNAポリメラーゼとしては96−7を、RNAポリメラーゼとしてはT7を用いることが好ましい。
【0020】
(9)測定原理1
本発明の測定原理の一例を模式図(図1)に示す。プローブAは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に二重鎖形成配列を含み、プローブBは一本鎖DNAの3’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの5’側に向かって二重鎖形成配列、プロモーター配列、増幅配列を含む場合を例として説明するが、各プローブの構成、配列の順序はこれに限定されるものではない。
(9−1)プローブAとプローブBの会合部位を、測定対象物質と会合させる。
(9−2)その結果、プローブAとプローブB中の二重鎖形成配列が、近接位置に配置されることとなり、DNA二重鎖が形成される。
(9−3)それを起点として、DNAポリメラーゼによって、DNAの伸長が行われ、その結果、プロモーター配列の二重鎖、増幅配列の二重鎖が形成される。
(9−4)プロモーター配列の二重鎖が形成されたことで、RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(9−5)増幅されたRNAをモレキュラービーコンなどで検出する。
【0021】
(10)測定原理2
本発明の測定原理の一例を模式図(図2)に示す。プローブAは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に向かってプロモーター配列、二重鎖形成配列を含むものである。プローブBはスペーサーとして一本鎖部分と二本鎖部分とを有するDNA鎖を用い、その5’末端に会合部位が結合し、その3’側に二重鎖部分とそれにつながる一本鎖DNA(二重鎖形成配列及び増幅配列を有するもの)を含むものである。以下、このような場合を例として説明するが、各プローブの構成、配列の順序はこれに限定されるものではない。
(10−1)プローブAとプローブBの会合部位を、測定対象物質と会合させる。
(10−2)その結果、プローブAとプローブB中の二重鎖形成配列が、近接位置に配置されることとなり、DNA二重鎖が形成される。
(10−3)それを起点として、DNAポリメラーゼによって、DNAの伸長が行われ、その結果、プロモーター配列の二重鎖、増幅配列の二重鎖が形成される。
(10−4)プロモーター配列の二重鎖が形成されたことで、RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(10−5)増幅されたRNAをモレキュラービーコンなどで検出する。
【0022】
(11)測定原理3
本発明の測定原理の一例を模式図(図5)に示す。プローブAは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に向かってプロモーター配列、二重鎖形成配列を含み、プローブBは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に向かって、増幅配列、二重鎖形成配列を含む場合を例として説明するが、各プローブの構成、配列の順序はこれに限定されるものではない。
(11−1)プローブAとプローブBの会合部位を、測定対象物質と会合させる。
(11−2)その結果、プローブAとプローブB中の二重鎖形成配列が、近接位置に配置されることとなり、DNA二重鎖が形成される。
(11−3)それを起点として、DNAポリメラーゼによって、DNAの伸長が行われ、その結果、プロモーター配列の二重鎖、増幅配列の二重鎖が形成される。
(11−4)プロモーター配列の二重鎖が形成されたことで、RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(11−5)増幅されたRNAをモレキュラービーコンなどで検出する。
【0023】
(12)測定原理4
本発明の測定原理の一例を模式図(図8)に示す。DNAの3’末端に会合部位を有するプローブA、DNAの3’末端に会合部位を有するプローブBを使用する。プローブAにおけるDNAは、一部に相補的な配列を有するDNA配列その1(3’末端に会合部位を有する)及びDNA配列その2で構成し、DNA配列その1の5’末端はDNA配列その2の5’末端と相補的な配列であり、更にDNA配列その2は3’末端に向かってプロモーター配列、二重鎖形成配列を含む。一方、プローブBにおけるDNAは、一部に相補的な配列を有するDNA配列その3(3’末端に会合部位を有する)及びDNA配列その4で構成し、DNA配列その3の5’末端はDNA配列その4の5’末端と相補的な配列であり、更にDNA配列その4は3’末端に向かって増幅配列、二重鎖形成配列を含む。
【0024】
以下、このような場合を例として説明するが、各プローブの構成、配列の順序はこれに限定されるものではない。
(12−1)プローブAとプローブBの会合部位を、測定対象物質と会合させる。
(12−2)その結果、プローブAとプローブB中の二重鎖形成配列が、近接位置に配置されることとなり、DNA二重鎖が形成される。
(12−3)それを起点として、DNAポリメラーゼによって、DNAの伸長や、例えば鎖置換反応が行われ、その結果、プロモーター配列の二重鎖、増幅配列の二重鎖が形成される。
(12−4)プロモーター配列の二重鎖が形成されたことで、RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(12−5)増幅されたRNAをINAFプローブなどで検出する。
【0025】
(13)測定原理5
本発明の測定原理の一例を模式図(図12)に示す。プローブAは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に向かってプロモーター配列、二重鎖形成配列を含み、プローブBは一本鎖DNAの5’側末端に会合部位が結合し、一本鎖DNAの3’側に向かって、増幅配列、二重鎖形成配列を含む。また反応系中に、プロモーター配列を有し増幅されるRNAの一部と相同的な配列を有する第一のプライマー(Promoter Primer)、増幅されるRNAの一部と相補的な配列を有する第二のプライマー(RT Primer)、逆転写酵素、及びRNaseH活性を有する酵素を含む場合を例として説明するが、各プローブの構成、配列の順序はこれに限定されるものではない。
【0026】
(13−1)プローブAとプローブBの会合部位を、測定対象物質と会合させる。
(13−2)その結果、プローブAとプローブB中の二重鎖形成配列が、近接位置に配置されることとなり、DNA二重鎖が形成される。
(13−3)それを起点として、DNAポリメラーゼによって、DNAの伸長が行われ、その結果、プロモーター配列の二重鎖、増幅配列の二重鎖が形成される。
(13−4)プロモーター配列の二重鎖が形成されたことで、RNAポリメラーゼにより、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(13−5)増幅されたRNAをモレキュラービーコンで検出する。また増幅されたRNAと第二のプライマーの二重鎖形成を起点として、逆転写酵素活性によりRNA配列に相補的なDNA鎖が合成される。
(13−6)RNaseH活性により、DNA−RNAハイブリッド二本鎖のRNA鎖が分解され、一本鎖となったDNA鎖と第一のプライマーが二重鎖形成する。
(13−7)DNAポリメラーゼ活性により、第一のプライマーのプロモーター二重鎖が形成されることで、プロモーター配列下流の増幅配列のアンチセンス鎖を鋳型としてRNAを繰り返し合成・増幅させる。
(13−8)RNA鎖の検出と、増幅されたRNAをテンプレートとした(13−5〜7)のRNA増幅反応が繰り返し行われ、RNA量が指数関数的に増幅する。
【発明の効果】
【0027】
ホモジニアス系で行われる測定においても、シグナル増幅ができないために、目標の感度に達しないことがある。本発明の測定法では、RNAポリメラーゼにより合成されたRNAを測定するため、シグナルを増幅して検出することが可能である。このため、高感度な測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の測定方法の概要を示す図である。
図2】本発明の測定方法の概要を示す図である。
図3】実施例1でストレプトアビジンの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図4図3の蛍光強度が小さい領域の拡大図である。
図5】実施例2の測定方法の概要を示す図である。
図6】実施例2でストレプトアビジンの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図7図6の蛍光強度が小さい領域の拡大図である。
図8】実施例3の測定方法の概要を示す図である。
図9】実施例3でストレプトアビジンの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図10】実施例4の測定方法の概要を示す図である。
図11】実施例4でBNPの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図12】実施例5,6の測定方法の概要を示す図である。
図13】実施例5でBNPの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図14】実施例6でストレプトアビジンの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
図15】実施例7でMACSストレプトアビジンマイクロビーズの検出を行った際の時間あたりの蛍光強度変化を示す図である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を、会合部位としてビオチンを用いた場合の実施例によって具体的に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
実施例1
(1)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号1)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号2)の3’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブBは、それぞれグライナー社による受託合成により作製した。プローブAにおけるDNA配列は二重鎖形成配列(配列番号1の5〜10位)を含むように設計し、プローブBにおけるDNA配列は二重鎖形成配列(配列番号2の47〜52位)、プロモーター配列(配列番号2の30〜49位)、増幅配列(配列番号2の4〜29位)を含むよう設計した。
【0031】
(2)モレキュラービーコン作製
配列番号3のDNA配列の5’末端をFAM、3’末端をDarkQuencherで修飾したモレキュラービーコンは、非特許文献2の配列を参考に、ニッポンジーン社へ依頼して作製した。
【0032】
(3)ストレプトアビジンの測定
ビオチンと会合することで知られるストレプトアビジンをプローブA、プローブB、モレキュラービーコンを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0033】
T7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)144U/assay、96−7DNAポリメラーゼ(ニッポンジーン製)8U/assay、T7RNAポリメラーゼBuffer(タカラバイオ製)、DTT 5mM、NTP 3mM、dNTP 0.25mM、RNaseInhibitor 0.2U/μL、DMSO 20%、プローブA 50nM、プローブB 50nM、モレキュラービーコン 20nM。反応温度42℃。
【0034】
上記測定溶液中に図3に示す各濃度のストレプトアビジンを添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図3、4に示す。図4には、図3の蛍光強度が小さい領域の拡大図を示す。その結果、ストレプトアビジン濃度に応じて、時間あたりの蛍光強度の増幅が大きくなることが確認された。これは、ストレプトアビジンと各プローブ中のビオチンの会合によって形成されるプロモーター配列の二重鎖の量が増加したためと考えられる。
【0035】
以上の結果から、本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0036】
実施例2 5’末端標識プローブ
実施例2における測定原理の模式図を図5に示す。
【0037】
(1)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号4)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号5)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブBは、それぞれグライナー社による受託合成により作製した。プローブAにおけるDNA配列はプロモーター配列(配列番号4の7〜34位)、二重鎖形成配列(配列番号4の59〜64位)を含むように設計し、プローブBにおけるDNA配列は増幅配列(配列番号5の28〜47位)、二重鎖形成配列(配列番号5の48〜53位)を含むよう設計した。
【0038】
(2)モレキュラービーコン作製
配列番号6のDNA配列の5’末端をFAM、3’末端をBHQ1で修飾したモレキュラービーコンは、グライナー社へ依頼して作製した。
【0039】
(3)ストレプトアビジンの測定
ビオチンと会合することで知られるストレプトアビジンをプローブA、プローブB、モレキュラービーコンを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0040】
T7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)150U/assay、96−7DNAポリメラーゼ(ニッポンジーン製)8U/assay、T7RNAポリメラーゼBuffer(タカラバイオ製)、DTT 5mM、NTP 3mM、dNTP 0.25mM、RNaseInhibitor 0.2U/μL、DMSO 15%、プローブA 250nM、プローブB 250nM、モレキュラービーコン 300nM。反応温度42℃。
【0041】
上記測定溶液中に図6、7に示す各濃度のストレプトアビジンを添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図6、7に示す。図7には、図6の蛍光強度が小さい領域の拡大図を示す。その結果、ストレプトアビジン濃度に応じて、時間あたりの蛍光強度の増幅が大きくなることが確認された。これは、ストレプトアビジンと各プローブ中のビオチンの会合によって形成されるプロモーター配列の二重鎖の量が増加したためと考えられる。
【0042】
以上の結果から、DNA5’末端に会合部位を有する2つのプローブ(プローブA、プローブB)を用いた本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0043】
実施例3 3’末端標識プローブ
実施例3における測定原理の模式図を図8に示す。
【0044】
(1)プローブ作製
DNAの3’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブA、DNAの3’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブBは、それぞれグライナー社による受託合成により作製した。プローブAにおけるDNAは、一部に相補的な配列を有する配列番号7(3’末端をビオチン修飾)及び配列番号8のDNAで構成し、配列番号7の1〜20位は配列番号8の1〜20位と相補的な配列であり、プロモーター配列(配列番号8の21〜43位)、二重鎖形成配列(配列番号8の67〜72位)を含むように設計し、プローブBにおけるDNAは、一部に相補的な配列を有する配列番号9(3’末端をビオチン修飾)及び配列番号10のDNAで構成し、配列番号9の1〜21位は配列番号10の1〜21位と相補的な配列であり、DNA配列は増幅配列(配列番号10の42〜61位)、二重鎖形成配列(配列番号10の62〜67位)を含むよう設計した。
【0045】
(2)INAFプローブ
配列番号11のINAFプローブは特開2006−340664号公報に記載のプローブを用いた。
【0046】
(3)ストレプトアビジンの測定
ビオチンと会合することで知られるストレプトアビジンをプローブA、プローブB、INAFプローブを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0047】
T7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)144U/assay、96−7DNAポリメラーゼ(ニッポンジーン製)8U/assay、T7RNAポリメラーゼBuffer(タカラバイオ製)、DTT 5mM、NTP 3mM、dNTP 0.25mM、RNaseInhibitor 0.2U/μL、DMSO 20%、プローブA 200nM、プローブB 200nM、INAFプローブ 50nM。反応温度42℃。
【0048】
上記測定溶液中に図9に示す各濃度のストレプトアビジンを添加し、INAFプローブ由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図9に示す。その結果、ストレプトアビジン濃度に応じて、時間あたりの蛍光強度の増幅が大きくなることが確認された。これは、ストレプトアビジンと各プローブ中のビオチンの会合によって形成されるプロモーター配列の二重鎖の量が増加したためと考えられる。
【0049】
以上の結果から、DNA3’末端に会合部位を有する2つのプローブ(プローブA、プローブB)を用いた本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0050】
実施例4 会合部位にBNP(brain natriuretic peptide)認識抗体を用いた測定系
実施例4における測定原理の模式図を図10に示す。
【0051】
(1)BNP認識抗体
BNPのC末認識抗体は、特許5810514号公報に記載のBC23−11抗体を用いた。またBNPの環状部位認識抗体は特開2012−140331号公報に記載のBM33−28抗体を用いた。
【0052】
(2)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号12)の5’末端にBC23−11(会合部位)を修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号13)の5’末端にBM33−28(会合部位)を修飾したプローブBは、それぞれ以下に示す方法で作製した。
【0053】
3nmolの各抗体と500nmolのSM(PEG)24(Thermofisher Scientific社製)を室温、PBS中で1時間反応させた後、Amicon Ultra 0.5mL(30K)(Merck Millipore社製)で限外濾過することで、未反応のSM(PEG)24を除いた。そこに5’末端をチオール修飾したDNA(配列番号12及び配列番号13、グライナー社で受託合成)をそれぞれ添加し、室温で30分反応させた後、ゲル濾過精製(G3000swxlカラム、東ソー社製)を行うことで、プローブA、プローブBを得た。
【0054】
プローブAにおけるDNA配列はプロモーター配列(配列番号12の7〜34位)、二重鎖形成配列(配列番号12の59〜64位)を含むように設計し、プローブBにおけるDNA配列は増幅配列(配列番号13の28〜47位)、二重鎖形成配列(配列番号13の48〜53位)を含むよう設計した。
【0055】
(3)モレキュラービーコン
モレキュラービーコンは実施例2に記載の配列番号6と同じものを用いた。
【0056】
(4)BNPの測定
BNPをプローブA、プローブB、モレキュラービーコンを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0057】
T7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)144U/assay、96−7DNAポリメラーゼ(ニッポンジーン製)8U/assay、T7RNAポリメラーゼBuffer(タカラバイオ製)、DTT 5mM、NTP 3mM、dNTP 0.25mM、RNaseInhibitor 0.2U/μL、プローブA 200nM、プローブB 200nM、モレキュラービーコン 300nM。反応温度42℃。
【0058】
上記測定溶液中に図11に示す各濃度のBNPを添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図11に示す。その結果、BNP濃度に応じて、時間あたりの蛍光強度の増幅が大きくなることが確認された。これは、BNPと各プローブ中の抗体の会合によって形成されるプロモーター配列の二重鎖の量が増加したためと考えられる。
【0059】
以上の結果から、会合部位として抗体を用いた2つのプローブ(プローブA、プローブB)を用いた本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0060】
実施例5 RNA量が指数関数的に増幅する測定系(会合部位にBNP認識抗体を用いた測定系)
実施例5における測定原理の模式図を図12に示す。
(1)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号12)の5’末端にBC23−11(会合部位)を修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号13)の5’末端にBM33−28(会合部位)を修飾したプローブBは、実施例4で用いたプローブと同様のものを用いた。
(2)モレキュラービーコン
モレキュラービーコンは実施例2と同じものを用いた。
(3)プライマー
5’末端側にプロモーター配列を有する第一のプライマー(配列番号14)及び、第二のプライマー(配列番号15)はグライナー社による受託合成により作製した。第一のプライマーにおけるDNA配列はプロモーター配列(配列番号14の1〜28)を含むよう設計した。
【0061】
(4)BNPの測定
BNPをプローブA、プローブB、モレキュラービーコン、第一のプライマー、第二のプライマーを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0062】
18mM MgCl、60mM Tris−HCl 、1mM DTT, 0.25mM dNTP、3mM NTP、 3.06mM ITP、0.12mg/mL BSA、2% sorbitol、 40mM KCl、0.2U/μL RNase Inhibitor、8U/30μL 96−7 DNA polymerase、144U/30μL T7 RNApolymerase、7.4U/30μL AMV(逆転写酵素、RNaseH活性有) 、プローブA 200nM、プローブB 200nM、第一のプライマー1μM、第二のプライマー 1μM。反応温度42℃。
【0063】
上記測定溶液中に図13に示す各濃度のBNPを添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図13に示す。その結果、BNP濃度に応じて蛍光強度が増幅することが確認され、その増幅曲線がシグモイドのカーブを描くことが確認された。これは、増幅されたRNAが鋳型となり第一のプライマーと第二のプライマーにより新たなRNA合成プロモーター二重鎖が形成され、RNA量が指数関数的に増幅したためと考えられる。
【0064】
以上の結果から、RNA量が指数関数的に増幅する測定系を用いた本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0065】
実施例6 RNA量が指数関数的に増幅する測定系(会合部位にビオチンを用いた測定系)
実施例6における測定原理の模式図を図12に示す。
(1)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号4)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号5)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブBは、実施例2で用いたプローブと同様のものを用いた。
(2)モレキュラービーコン
モレキュラービーコンは実施例2と同じものを用いた。
(3)プライマー
5’末端側にプロモーター配列を有する第一のプライマー(配列番号14)及び、第二のプライマー(配列番号15)は実施例5で用いたものと同様のものを用いた。
【0066】
(4)ストレプトアビジンの測定
ストレプトアビジンをプローブA、プローブB、モレキュラービーコン、第一のプライマー、第二のプライマーを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0067】
18mM MgCl、60mM Tris−HCl 、1mM DTT, 0.25mM dNTP、3mM NTP、 3.06mM ITP、0.12mg/mL BSA、2% sorbitol、 40mM KCl、0.2U/μL RNase Inhibitor、8U/30μL 96−7 DNA polymerase、144U/30μL T7 RNApolymerase、7.4U/30μL AMV(逆転写酵素、RNaseH活性有) 、プローブA 2nM、プローブB 2nM、DMSO 13%,第一のプライマー1μM、第二のプライマー 1μM。反応温度43℃。
【0068】
上記測定溶液中に図14に示す各濃度のストレプトアビジンを添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図14に示す。その結果、ストレプトアビジン濃度に応じて蛍光強度が増幅することが確認され、その増幅曲線がシグモイドのカーブを描くことが確認された。これは、増幅されたRNAが鋳型となり第一のプライマーと第二のプライマーにより新たなRNA合成プロモーター二重鎖が形成され、RNA量が指数関数的に増幅したためと考えられる。
【0069】
以上の結果から、RNA量が指数関数的に増幅する測定系を用いた本発明の方法により、測定対象を測定できることが確認された。
【0070】
実施例7 測定対象が微粒子である場合の測定系
実施例7における測定原理は、図5と同様である。
(1)プローブ作製
一本鎖DNA(配列番号4)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブA、一本鎖DNA(配列番号5)の5’末端にビオチン(会合部位)修飾したプローブBは、実施例2で用いたプローブと同様のものを用いた。
(2)モレキュラービーコン
モレキュラービーコンは実施例2と同じものを用いた。
(3)測定対象微粒子
測定対象の微粒子には50nmの微粒子表面にストレプトアビジンが固定化された、MACSストレプトアビジンマイクロビーズ(MACS社、オーダーNo.130−048−102)を用いた。
【0071】
(3)微粒子の測定
MACSストレプトアビジンビーズをプローブA、プローブB、モレキュラービーコンを用いて測定した。測定溶液中の酵素濃度、基質濃度などの詳細を以下に示す。
【0072】
T7RNAポリメラーゼ(タカラバイオ製)144U/assay、96−7DNAポリメラーゼ(ニッポンジーン製)8U/assay、T7RNAポリメラーゼBuffer(タカラバイオ製)、DTT 5mM、NTP 3mM、dNTP 0.25mM、RNaseInhibitor 0.2U/μL、プローブA 200nM、プローブB 200nM、モレキュラービーコン 300nM。反応温度43℃。
【0073】
上記測定溶液中に図15に示す希釈倍率の微粒子を添加し、モレキュラービーコン由来の蛍光強度を時間経過ごとにTRCRapid−160(東ソー製)を用いて測定した。結果を図15に示す。その結果、微粒子濃度に応じて、時間あたりの蛍光強度の増幅が大きくなることが確認された。これは、微粒子表面上のストレプトアビジンと各プローブ中のビオチンの会合によって形成されるプロモーター配列の二重鎖の量が増加したためと考えられる。
【0074】
以上の結果から、DNA5’末端に会合部位を有する2つのプローブ(プローブA、プローブB)を用いた本発明の方法により、測定対象微粒子を測定できることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]