特許第6705338号(P6705338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6705338ウエハの異常を検査する装置及びその検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705338
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ウエハの異常を検査する装置及びその検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20200525BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20200525BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
   G01B11/02 H
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-161160(P2016-161160)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-29154(P2018-29154A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘顕
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−084811(JP,A)
【文献】 特開平09−266156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/02
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハの外周部の異常の有無を検査する装置であって、
前記外周部を撮影する撮影部と、
前記外周部を照らす照明部と、
前記ウエハを回転させる回転駆動部と、
前記撮影部が撮影した画像に基づいて前記外周部の異常の有無を判定する制御部と、を備え、
前記撮影部は、前記ウエハの半径方向に沿って延びる視野を有し、
前記制御部は、前記視野内において前記ウエハの半径方向に並ぶ所定値以上の輝度値を有する画素の数に基づいて前記外周部の異常の有無を判定し、
前記撮影部の光軸は、前記半径方向に直交する、
装置。
【請求項2】
オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハの外周部の異常の有無を検査する装置であって、
前記外周部を撮影する撮影部と、
前記外周部を照らす照明部と、
前記ウエハを回転させる回転駆動部と、
前記撮影部が撮影した画像に基づいて前記外周部の異常の有無を判定する制御部と、を備え、
前記撮影部は、前記ウエハの半径方向に沿って延びる視野を有し、
前記撮影部の光軸は、前記半径方向に直交し、
前記制御部は、前記撮影部が撮影した複数の画像のそれぞれから前記外周部にある面取り部の幅を算出し、算出した複数の幅の代表値に対する比率が閾値以下となる幅を有する面取り部に異常があると判定するように構成される、
置。
【請求項3】
前記撮影部の光軸は、前記ウエハの主面に垂直である、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記撮影部は、ラインセンサカメラであり、第1時点で前記ウエハの中心から前記外周部までの半径方向距離が最小となる位置にある前記外周部を撮影し、第2時点で前記半径方向距離が最大となる位置にある前記外周部を撮影するように設置される、
請求項1乃至3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハの外周部の異常の有無を検査する装置であって、
前記外周部を照らす照明部と、
所定の固定範囲を撮影する撮影部と、
前記ウエハを回転させる回転駆動部と、
前記撮影部が撮影した画像に基づいて前記外周部の異常の有無を判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記所定の固定範囲内において前記ウエハの半径方向に並ぶ所定値以上の輝度値を有する画素の数に基づいて前記外周部の異常の有無を判定し、
前記撮影部は、ラインセンサカメラであり、第1時点で前記ウエハの中心から前記外周部までの半径方向距離が最小となる位置にある前記外周部を撮影し、第2時点で前記半径方向距離が最大となる位置にある前記外周部を撮影するように設置される、
装置。
【請求項6】
前記撮影部は、前記外周部の全周にわたって前記外周部にある面取り部を合焦範囲内に含むように設置される、
請求項1乃至5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記撮影部は、前記外周部を一方の側から撮影する第1撮影部と、他方の側から撮影する第2撮影部とを含み、
前記照明部は、前記外周部を一方の側から照明する第1照明部と、他方の側から照明する第2照明部とを含む、
請求項1乃至6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハの外周部の異常の有無を検査する方法であって、
回転駆動部によって回転させられ且つ照明部によって照らされた前記ウエハの前記外周部を含む所定の固定範囲を撮影部が撮影する工程と、
前記撮影部が撮影した複数の画像のそれぞれから前記外周部にある面取り部の幅を制御部が算出する工程と、
算出した複数の幅の代表値を前記制御部が算出する工程と、
前記複数の幅のそれぞれの前記代表値に対する比率に基づいて前記外周部の異常の有無を前記制御部が判定する工程と、を有する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶ウエハの外周部の異常を検出可能な検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等で用いられる電子部品は、小型化、薄型化と同時に低コスト化が要求されてきている。これら電子部品に用いられるウエハとしては、例えば、ICチップに用いられるシリコンウエハ、圧電素子や表面弾性波フィルタに用いられる人工セラミックウエハ、発光ダイオードに用いられるガリウムリンウエハ、サファイアウエハ等がある。これらのウエハはコストダウン等の要求により大口径化が進められてきている。現在では、8インチ径のウエハも実用化されている。
【0003】
ウエハの大口径化に伴い、ウエハ外周部の欠けによる不具合が頻発するようになってきた。ウエハ外周部は、一般的に、面取り加工等により面取りされ、角部が取り除かれて傷等の発生が抑えられている。しかし、面取り加工、ウエハ搬送時の接触等により細かなチッピングが発生する場合がある。このチッピングの大きさは50μmから100μmである。ウエハ径が小径の場合、このような微細なチッピングは大きな問題にはならなかった。しかし、ウエハ径が大口径化すると、このような微細なチッピングでも後工程でウエハ割れ等の不具合を発生させる場合がある。従来、ウエハ外周部に対しては目視検査が行われているが、上述のような微細なチッピングを目視検査で検出することは困難であった。
【0004】
そこで、画像処理によるウエハ外周部の検査が検討されてきている。例えば、特許文献1には、ウエハ外周部を斜め上又は斜め下からCCDカメラで撮影し、その画像を良品の画像と比較することで外観の良否を判定する検査装置が記載されている。また、特許文献2には、ウエハ外周部を拡散照明手段で照らすことで洗浄液残りや表面荒れ等の誤認識を防止できる検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−114329号公報
【特許文献2】特開2006−017685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、単結晶ウエハには、半導体装置等による製造工程中にウエハの向きを特定するために、オリエンテーション・フラット(以下、「オリフラ」と略称する。)が形成されている。オリフラは、ウエハ外周部の一部が直線形状となった部分である。製造工程では、このオリフラを検知することでウエハの向きが認識され、ウエハの搬送、設置等が適切に行われる。このようなオリフラはSEMI規格等により規格化されている。また、ウエハの品種を識別するために、このオリフラが形成される位置とは別の位置に、より小さいサイズの別のオリフラが形成される場合もある。これらオリフラは、ウエハ外周部の円弧部分よりもウエハの半径方向に1mm〜3mmだけウエハの中心に近い位置に形成される。そして、ウエハ外周部はオリフラ部分にも面取り加工が施される。そのため、オリフラ部分も円弧部分と同様に異常の有無が検査されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の検査装置では、ウエハ外周部は斜め上又は斜め下からCCDカメラで撮影される。そして、オリフラ部分は円弧部分からウエハの半径方向に1mm〜3mmだけ離れた位置にある。CCDカメラは、円弧部分に焦点が合うように設置されているため、オリフラ部分に焦点を合わせることができない。
【0008】
なお、特許文献1には、矩形ウエハの輪郭にしたがってCCDカメラを移動させながら撮影することも記載されているが、CCDカメラの焦点をウエハ外周部に合わせながらCCDカメラを移動させるには複雑で高度な技術が必要とされる。
【0009】
そこで、本発明は、オリフラ部分を含むウエハ外周部の異常をより簡単な構成でより高精度に検査する検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る検査装置は、オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハの外周部の異常の有無を検査する装置であって、前記外周部を撮影する撮影部と、前記外周部を照らす照明部と、前記ウエハを回転させる回転駆動部と、前記撮影部が撮影した画像に基づいて前記外周部の異常の有無を判定する制御部と、を備え、前記撮影部は、前記ウエハの半径方向に沿って延びる視野を有し、前記制御部は、前記視野内において前記ウエハの半径方向に並ぶ所定値以上の輝度値を有する画素の数に基づいて前記外周部の異常の有無を判定し、前記撮影部の光軸は、前記半径方向に直交する。

【発明の効果】
【0011】
上述の手段により、オリフラ部分を含むウエハ外周部の異常をより簡単な構成でより高精度に検査する検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る検査装置の概略図である。
図2】ウエハ外周部の側面図である。
図3】ウエハの上面図である。
図4図3の点線円部分の拡大図である。
図5】ウエハ外周部異常検査方法の説明図である。
図6図5(A)の点線円部分の拡大図である。
図7】異常検査処理のフローチャートである。
図8】撮影部とウエハの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る検査装置100の一例を示す概略図である。検査装置100は、例えば、ウエハWの外周部における面取り部のチッピング等の異常を検査する。図1に示すように、検査装置100は、主に、撮影部1、照明部2、回転駆動部3、制御部4等で構成される。
【0015】
検査対象であるウエハWは、例えば、ICチップに用いられるシリコンウエハ、圧電素子若しくは表面弾性波フィルタに用いられる人工セラミックウエハ、発光ダイオードに用いられるガリウムリンウエハ若しくはサファイアウエハ等の単結晶ウエハである。結晶材料に限定はない。図1の例では、ウエハWは円形であり、その直径は例えば8インチである。
【0016】
ウエハWの外周部は、欠けの防止等のため、研削加工、研磨加工等により面取り部が形成されている。図2は、ウエハWの外周部の側面図である。図2に示すように、面取り部C1の幅D1は、例えば0.1mm〜0.2mm程度である。面取り部C1は、ウエハWの上面側(+Z側)に形成される上側面取り部C1Uと、ウエハWの下面側(−Z側)に形成される下側面取り部C1Lとを含む。上側面取り部C1Uは、例えば、内側(−X側)の端部と外側(+X側)の端部にR面が形成され、その間にC面(テーパ面)が形成される。下側面取り部C1Lについても同様である。面取り部C1には、製造加工や搬送時の接触等により微細なチッピングが発生することがある。チッピングの幅は、例えば0.05mm〜0.1mm程度である。検査装置100は、面取り部のチッピングの有無を検査する。
【0017】
撮影部1は、ウエハWの外周部を撮影する機能要素であり、例えばエリアセンサカメラ、ラインセンサカメラ(ラインスキャンカメラ)等で構成される。図1の例では、ラインセンサカメラが用いられている。ラインセンサカメラは、エリアセンサカメラに比べ、高い分解能での撮影が可能である点、及び、複雑な同期処理を行うことなく同一領域を通過する被写体を連続的に撮影できる点でウエハ外周部の撮影に適している。
【0018】
撮影部1は、上側面取り部C1Uを撮影する上側撮影部1Uと、下側面取り部C1Lを撮影する下側撮影部1Lとを含む。図1の例では、上側撮影部1Uは、その光軸L1がウエハWの上面に対して垂直で、且つ、ウエハ外周部の真上となるように設置されている。同様に、下側撮影部1Lは、その光軸L2がウエハWの下面に対して垂直で、且つ、ウエハ外周部の真下となるように設置されている。
【0019】
照明部2は、ウエハWの外周部を照らす機能要素であり、望ましくは、拡散照明である。拡散照明は、例えば、発光ダイオード、蛍光灯、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等で構成される。照明部2は、定常発光タイプであってもよく、ストロボ発光タイプであってもよい。
【0020】
照明部2は、上側面取り部C1Uを照らす上側照明部2Uと、下側面取り部C1Lを照らす下側照明部2Lとを含む。図1の例では、上側照明部2Uは、上側面取り部C1Uで反射した光が直接的に上側撮影部1Uに入射するようにウエハWの斜め上に設置されている。同様に、下側照明部2Lは、下側面取り部C1Lで反射した光が直接的に下側撮影部1Lに入射するようにウエハWの斜め下に設置されている。上側照明部2Uは、上側面取り部C1Uの面取り角度αUに応じてその取り付け角度が調整できるように構成されてもよい。同様に、下側照明部2Lは、下側面取り部C1Lの面取り角度αLに応じてその取り付け角度が調整できるように構成されてもよい。
【0021】
回転駆動部3は、ウエハWを回転させる機構である。図1の例では、回転駆動部3は、ステージ3a、スピンドル3b、モータ3c等で構成される。
【0022】
ステージ3aは、ウエハWを支持する部材であり、望ましくは、真空吸着ステージである。ステージ3aは、スピンドル3bを介してモータ3cに連結される。モータ3cは、例えば、制御部4からの制御指令に応じて鉛直軸(Z軸)回りにステージ3aを回転させる。
【0023】
制御部4は、検査装置100を制御する機能要素である。図1の例では、制御部4は、CPU、揮発性記憶媒体、不揮発性記憶媒体、入出力インタフェース等を備えたコンピュータである。
【0024】
制御部4は、撮影部1が撮影した画像を処理する画像処理装置として機能する。そして、その画像処理結果に基づいてウエハWの外周部における異常の有無を判定する。
【0025】
制御部4は、撮影部1の撮影タイミング、照明部2の発光タイミング、回転駆動部3のモータ3cの回転速度等を制御してもよい。
【0026】
次に、図3及び図4を参照し、ウエハWの外周部の異常の有無を検査する方法について説明する。図3は、ウエハWの上面図である。図4は、図3の点線円R1で示す部分の拡大図である。
【0027】
図3に示すように、ウエハWには上面視で幅D2のオリフラ部分OFが形成されている。ウエハWの中心P1と円弧部分の端点P2との距離であるウエハ半径は距離D3であり、中心P1とオリフラ部分OFの中央部の端点P3との距離は距離D4である。距離D3と距離D4との差(図4参照。以下、「半径方向距離変動幅D5」とする。)は、例えば、1mm〜3mmである。図4の一点鎖線は、オリフラ部分OFと比較できるように、円弧部分を円周方向に延長した仮想線を示す。また、図3の矢印AR1は回転駆動部3によって回転させられるウエハWの回転方向を示す。
【0028】
特許文献1及び特許文献2のそれぞれに記載されるような検査装置を用いた場合、そのCCDカメラは、ウエハWの外周部における円弧部分を斜め上方向又は斜め下方向から撮影する。そのため、CCDカメラは、その焦点を円弧部分の面取り部に合わせることで円弧部分の面取り部を高精度に撮影できる。しかし、オリフラ部分OFの中央部の端点P3は、円弧部分の端点P2よりも1mm〜3mmだけ中心P1寄りにある。そのため、固定的に設置されているCCDカメラは、その焦点をオリフラ部分OFの中央部における面取り部に合わせることができない。オリフラ部分OFの中央部における面取り部とCCDカメラとの距離が、円弧部分における面取り部とCCDカメラとの距離より大きいためである。
【0029】
そこで、本発明の実施形態に係る検査装置100は、ウエハWの外周部における上側面取り部C1Uの真上に取り付けられた上側撮影部1Uとしての上側ラインセンサカメラで上側面取り部C1Uを撮影する。
【0030】
真上から撮影すると、斜め上方向から撮影する場合に比べ、オリフラ部分OFにおける上側面取り部C1Uと上側ラインセンサカメラとの距離が、円弧部分における上側面取り部C1Uと上側ラインセンサカメラとの距離にほぼ等しくなるためである。ウエハWの外周部における下側面取り部C1Lの真下に取り付けられた下側撮影部1Lとしての下側ラインセンサカメラについても同様である。
【0031】
ラインセンサカメラは、所定の固定範囲を撮影するように固定的に取り付けられている。例えば図4に示すように、上側ラインセンサカメラの視野V1は、ウエハWがどのような回転角度の位置にある場合であっても外周部の上側面取り部C1Uを撮影できるように設定される。ウエハWの回転角度はZ軸回りの0〜360度の角度である。
【0032】
図4の例では、視野V1は、ウエハWの半径方向(X軸方向)に沿って延びる。そして、ウエハWの中心P1からの半径方向距離が最大となる位置にある外周部と、その半径方向距離が最小となる位置にある外周部とを別々のタイミングで撮影できる幅D6を有する。半径方向距離が最大となる位置にある外周部は円弧部分の外周部であり、半径方向距離が最小となる位置にある外周部はオリフラ部分OFの中央部における外周部である。例えば、半径方向距離の最大値は、ウエハWの中心P1と円弧部分における上側面取り部C1Uの右側(+X側)の端点P2との距離である。また、半径方向距離の最小値は、ウエハWの中心P1とオリフラ部分OFの中央部における上側面取り部C1Uの左側(−X側)の端点P3aとの距離である。なお、端点P2aは円弧部分における上側面取り部C1Uの左側(−X側)の端点であり、端点P3はオリフラ部分OFの中央部における上側面取り部C1Uの右側(+X側)の端点である。
【0033】
ラインセンサカメラが撮影した画像は、ウエハWの半径方向(X軸方向)に沿って画素が列状に並ぶように生成される。そして、円弧部分の外周部が右端(+X側端)寄りの画素で表示され、オリフラ部分OFの外周部が左端(−X側端)寄りの画素で表示される。
【0034】
この構成により、上側ラインセンサカメラは、回転駆動部3によって回転させられるウエハWの外周部をウエハWの全周にわたって視野V1から逸脱させることなく連続的に撮影できる。また、上側ラインセンサカメラは、円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uを合焦範囲内に含むように取り付けられる。すなわち、ウエハWの外周部の全周にわたって円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uに焦点を合わせることができる。そのため、上側ラインセンサカメラは、焦点距離を変更することなく、ウエハWの全周にわたって上側面取り部C1Uに焦点を合わせることができる。
【0035】
なお、図1の例では、上側ラインセンサカメラは、その光軸L1がウエハWの上面に対して垂直で、且つ、ウエハ外周部の真上となるように設置されている。しかしながら、円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uを合焦範囲内に含めることができるのであれば、その光軸L1はウエハWの上面に対して垂直である必要はなく、ウエハ外周部の真上となるように設置される必要もない。下側ラインセンサカメラについても同様である。
【0036】
また、照明部2は、ウエハWの回転角度に応じてその取り付け角度が動的に自動調整されてもよい。視野V1内における円弧部分の上側面取り部C1Uとオリフラ部分OFの上側面取り部C1Uとの位置の違いによる反射光の輝度不足を防止するためである。
【0037】
次に図5を参照し、ラインセンサカメラが撮影した画像からチッピング等の異常の有無を検査する方法(以下、「ウエハ外周部異常検査方法」とする。)について説明する。図5は、ウエハ外周部異常検査方法の説明図である。具体的には、図5(A)は、上側ラインセンサカメラが撮影した画像をつなぎ合わせた合成画像を示す図であり、時間の経過と共に合成画像が下方に延びる様子を示す。図5(B)は、ウエハWの上面図であり、7つの時刻のそれぞれにおける視野V1とウエハWとの位置関係を示す。
【0038】
図5(A)の点線で示す画像G1〜G7は、時刻t1〜時刻t7のそれぞれにおいて上側ラインセンサカメラが撮影した画像である。時刻t1〜時刻t7は、説明のために適当に選ばれた不連続な時刻であり、時刻t1〜時刻t7の間で7つの画像が撮影されることを意味するものではない。すなわち、時刻t1と時刻t2との間においても多数の画像が撮影される。
【0039】
図5(B)に示す7つの上面図は、時刻t1〜時刻t7のそれぞれにおける視野V1とウエハWとの位置関係を示す。具体的には、最も上の図が時刻t1における視野V1とウエハWとの位置関係を示し、最も下の図が時刻t7における視野V1とウエハWとの位置関係を示す。そして、時刻t2における位置関係は、オリフラ部分OFが視野V1に進入したときの位置関係を示し、時刻t4における位置関係は、オリフラ部分OFの中央部が視野V1に進入したときの位置関係を示す。また、時刻t6における位置関係は、オリフラ部分OFが視野V1から退出したときの位置関係を示す。
【0040】
図5(A)の合成画像中の白い部分(高輝度部分)は上側面取り部C1Uを示し、上側面取り部C1Uの左側の黒い部分(低輝度部分)はウエハ上面WsUを示し、上側面取り部C1Uの右側の黒い部分(低輝度部分)は床面Fを示す。床面Fは、例えば、回転駆動部3のモータ3cが設置される面である。
【0041】
時刻t1付近において、上側ラインセンサカメラの視野V1内にウエハWの外周部の円弧部分が存在する場合、合成画像中の上側面取り部C1Uは、図5(A)に示すように右端(+X側端)に近い位置で下方(−Y方向)に真っ直ぐに延びる。時刻t2付近において、視野V1内にオリフラ部分OFが進入すると、合成画像中の上側面取り部C1Uは、図5(A)に示すように左側(−X側)に徐々に移動しながら下方(−Y方向)に延びる。その後、時刻t4付近において、視野V1内にオリフラ部分OFの中央部が進入すると、合成画像中の上側面取り部C1Uは、図5(A)に示すように最も左側(−X側)の位置に達し、その後は図5(A)に示すように右側(+X側)に徐々に移動しながら下方(−Y方向)に延びる。その後、時刻t6付近において、視野V1内からオリフラ部分OFが退出すると、合成画像中の上側面取り部C1Uは、図5(A)に示すように再び右端(+X側端)に近い位置で下方(−Y方向)に真っ直ぐ延びる。このように、合成画像において、上側面取り部C1Uを表す部分は、円弧部分及びオリフラ部分OFを通じて連続的となるように形成される。
【0042】
制御部4は、各画像中の白い部分(高輝度部分)の幅を上側面取り部C1Uの幅として算出する。例えば、制御部4は、視野V1の幅方向に並ぶ所定値以上の輝度値を有する画素の数を上側面取り部C1Uの幅を表す幅データとして検出する。上側面取り部C1Uにチッピング等の異常がある場合、高輝度部分の幅は狭くなり、上側面取り部C1Uの幅を表す幅データ(画素数)も小さくなる。そこで、制御部4は、幅データに基づいてチッピング等の異常の有無を判定する。幅データは、画素数から算出される長さ(例えば、μmの単位で表される長さ)であってもよい。
【0043】
例えば、制御部4は、上側ラインセンサカメラが撮影した各画像から検出した上側面取り部C1Uの幅データの平均値を算出する。そして、各幅データの平均値に対する比率を算出する。例えば、画像G1における上側面取り部C1Uの幅データの比率は、画像G1の幅データ(画素数)を平均値(画素数)で除した値である。なお、制御部4は、平均値の代わりに中央値、最頻値等の他の代表値を用いてもよい。
【0044】
制御部4は、例えば、閾値以下の比率の幅データを有する上側面取り部C1Uにチッピングが存在すると判定する。すなわち、閾値で定める比率だけ平均値より小さい幅データを有する上側面取り部C1Uにチッピングが存在すると判定する。閾値は、例えば、制御部4の記憶媒体内に事前に設定される値である。
【0045】
この判定処理では、ウエハWの面取り部C1の幅D1がそれぞれ異なる複数品種のウエハを検査する場合であっても共通の閾値を利用できる。各幅データの平均値に対する比率という相対的な値を判定に用いるためである。そのため、ウエハ品種毎に異なる閾値の管理を行う必要が無い。また、円弧部分及びオリフラ部分を含む外周部の全周にわたって面取り部C1を撮影できる限り、オリフラ部分OFの数、幅D2、半径方向距離変動幅D5等が異なる複数のウエハWを検査する場合であっても共通の閾値を利用できる。そのため、ウエハ品種毎に判定処理を切り替える必要も無い。また、良品に関するデータを取得する必要もない。良品に関するデータを比較対象として用いることなく異常の有無を判定できるためである。
【0046】
図6は、上側面取り部C1Uにチッピングがあるときの画像を示す。具体的には、図6(A)は図5(A)の点線円R2で示す部分の拡大図であり、図6(B)は図5(A)の点線円R3で示す部分の拡大図である。図6(A)及び図6(B)は、ウエハWの外周部における円弧部分の上側面取り部C1Uを示す。図6(C)は図5(A)の点線円R4で示す部分の拡大図であり、図6(D)は図5(A)の点線円R5で示す部分の拡大図である。図6(C)及び図6(D)は、ウエハWの外周部におけるオリフラ部分OFの上側面取り部C1Uを示す。図6(A)〜図6(D)のそれぞれにおける斜線ハッチング部分はチッピングT1〜T4を表し、図6(A)〜図6(D)のそれぞれにおける双方向矢印は、各画像における上側面取り部C1Uの幅データの大きさを表す。なお、図6(A)〜図6(D)では、各画像は点線で区切られている。チッピングがあると、図6(A)〜図6(D)に示すように、高輝度部分である上側面取り部C1Uの一部の幅が欠損した状態で示される。
【0047】
なお、合成画像中の上側面取り部C1Uは、円弧部分では視野V1の長辺に対してほぼ垂直に延びるが、オリフラ部分OFでは視野V1の長辺に対して斜めに延びる。そのため、オリフラ部分OFにおける上側面取り部C1Uの幅データは、円弧部分における幅データよりも大きく検出される。この幅データの差は、オリフラ部分OFのどの部分における上側面取り部C1Uを撮影しているかによって変化する。また、上側面取り部C1Uの幅D1の大きさ、オリフラの幅D2の大きさ等によっても変化する。そこで、制御部4は、撮影時のウエハWの回転角度、上側面取り部C1Uの幅D1の大きさ、オリフラの幅D2の大きさ等に応じ、オリフラ部分OFにおける上側面取り部C1Uの幅データを補正してもよい。
【0048】
次に図7を参照し、ウエハWの外周部における面取り部C1の異常の有無を検査する処理(以下、「異常検査処理」とする。)について説明する。図7は異常検査処理のフローチャートである。検査装置100は、例えば、回転駆動部3のステージ3aにウエハWが吸着される度にこの以上検査処理を実行する。
【0049】
最初に、検査装置100は、ウエハWの外周部の画像を撮影する(工程ST1)。検査装置100は、例えば、回転駆動部3に制御指令を出力し、ウエハWをZ軸回りに回転させる。また、照明部2に制御指令を出力し、照明部2を点灯させてウエハWの面取り部C1に照明光を照射させる。また、撮影部1に制御指令を出力し、ウエハWの面取り部C1を連続的に撮影させる。
【0050】
本実施形態では、検査装置100は、ウエハWをZ軸回りに1回転させる間、視野V1で上側面取り部C1Uを繰り返し撮影する。すなわち、ウエハWの外周部の全周にわたって上側面取り部C1Uを撮影する。例えば、撮影部1は、ウエハWが1度回転する度に上側面取り部C1Uを撮影し、ウエハWがZ軸回りに1回転する間に360枚の画像を取得する。
【0051】
その後、検査装置100は、各画像における面取り部C1の幅を算出する(工程ST2)。例えば、検査装置100の制御部4は、撮影部1が撮影した360枚の画像のそれぞれに対し、視野V1の幅方向に並ぶ所定値以上の輝度値を有する画素の数を上側面取り部C1Uの幅を表す幅データとして検出する。
【0052】
制御部4は、撮影部1が上側面取り部C1Uを撮影する度に幅データを検出してもよく、撮影部1がウエハWの外周部の全周にわたって上側面取り部C1Uを撮影した後で各画像の幅データをまとめて検出してもよい。
【0053】
その後、検査装置100は、面取り部C1の幅の平均値を算出する(工程ST3)。検査装置100の制御部4は、例えば、撮影部1が撮影した360枚の画像のそれぞれに関する幅データの平均値を面取り部C1の幅の平均値として算出する。この場合、制御部4は、撮影部1がウエハWの外周部の全周にわたって上側面取り部C1Uを撮影した後で面取り部C1の幅の平均値を算出する。制御部4は、直近の所定枚数の画像に関する幅データの平均値(例えば移動平均値)を面取り部C1の幅の平均値として算出してもよい。この場合、制御部4は、撮影部1が上側面取り部C1Uを撮影する度に、直近の画像の幅データと共に、面取り部C1の幅の平均値を算出してもよい。
【0054】
その後、検査装置100は、各画像における面取り部C1の幅の平均値に対する比率を算出する(工程ST4)。検査装置100の制御部4は、例えば、360枚の画像のそれぞれに関する幅データ(画素数)の平均値(画素数)に対する比率を算出する。撮影部1が上側面取り部C1Uを撮影する度に平均値を算出する場合、制御部4は、その平均値と共に、直近の画像に関する幅データ(画素数)の平均値(画素数)に対する比率を算出してもよい。
【0055】
その後、検査装置100は、ウエハWの外周部に異常が存在するか否かを判定する(工程ST5)。検査装置100の制御部4は、例えば、360枚の画像のそれぞれに関する幅データ(画素数)の平均値(画素数)に対する比率の何れかが閾値以下の場合、ウエハWの外周部にチッピング等の異常が存在すると判定する。一方、360枚の画像のそれぞれに関する幅データ(画素数)の平均値(画素数)に対する比率の全てが閾値より大きい場合、ウエハWの外周部に異常が存在しないと判定する。
【0056】
制御部4は、平均値に対する比率が閾値以下となる幅を有する上側面取り部C1Uを撮影した時刻から、その異常の位置を特定できる。この場合、制御部4は、例えば、オリフラ部分OFの中央部の位置に対するZ軸回りの回転角度を用いて異常の位置を特定できる。
【0057】
ウエハWの外周部に異常が存在すると判定した場合(工程ST5のYES)、制御部4は、異常有りの判定結果を出力する(工程ST6)。制御部4は、例えば、ブザー、スピーカ等の音声出力装置を用いてウエハWの外周部に異常が存在することを作業者等に通知する。液晶ディスプレイ、LED等の表示装置を用いて通知してもよい。
【0058】
ウエハWの外周部に異常が存在しないと判定した場合(工程ST5のNO)、制御部4は、異常無しの判定結果を出力する(工程ST7)。なお、制御部4は、異常無しの判定結果の出力を省略してもよい。
【0059】
このように、検査装置100は、オリフラ部分OFを含むウエハWの外周部の異常をより簡単な構成でより高精度に検査できる。
【0060】
具体的には、オリエンテーション・フラットが形成された略円形のウエハWの外周部の異常の有無を検査する検査装置100は、ウエハWの半径方向(X軸方向)に沿って延びる視野V1を有し、上側撮影部1Uの光軸L1がその半径方向(X軸方向)に直交するように構成される。そのため、回転駆動部3のステージ3a上でウエハWがZ軸回りに1回転する間、上側撮影部1Uは、ウエハWの外周部をウエハWの全周にわたって視野V1から逸脱させることなく連続的に撮影できる。また、上側撮影部1Uは、円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uを合焦範囲内に含めることができる。すなわち、円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uに焦点を合わせることができる。そのため、上側撮影部1Uは、焦点距離を変更することなく、ウエハWの全周にわたって上側面取り部C1Uに焦点を合わせることができる。下側撮影部1Lについても同様である。
【0061】
また、上側撮影部1Uは、望ましくは、光軸L1がウエハWの主面の1つであるウエハ上面WsUに垂直となるように取り付けられる。ウエハWの主面は、各種素子が形成される面であり、表面(上面)及び裏面(下面)を含む。なお、上側撮影部1Uは、光軸L1が上側面取り部C1Uの平面(C面又はテーパ面)に垂直となるように取り付けられてもよい。円弧部分及びオリフラ部分OFのそれぞれにおける上側面取り部C1Uが合焦範囲内に含まれ易くなるようにするためである。言い換えれば、より狭い合焦範囲を有する撮影部1を利用できるようにするためである。下側撮影部1Lについても同様である。
【0062】
また、上側撮影部1Uは、第1時点でウエハWの中心P1から外周部までの半径方向距離が最小となる位置にある外周部を撮影し、第2時点で半径方向距離が最大となる位置にある外周部を撮影できるように取り付けられる。そして、半径方向距離が最小となる位置にある外周部はオリフラ部分OFの中央部における上側面取り部C1Uを含み、半径方向距離が最大となる位置にある外周部は円弧部分における上側面取り部C1Uを含む。そのため、ウエハWの外周部をウエハWの全周にわたって視野V1から逸脱させることなく連続的に撮影できる。
【0063】
また、制御部4は、撮影部1が撮影した複数の画像のそれぞれからウエハWの外周部にある面取り部C1の幅を算出し、算出した複数の幅の平均値に対する比率が閾値以下となる幅を有する面取り部C1に異常があると判定するように構成される。すなわち、平均値に対する比率という相対的な値を判定に用いる。そのため、ウエハWの面取り部C1の幅D1がそれぞれ異なる複数品種のウエハを検査する場合であっても共通の閾値を利用でき、ウエハ品種毎に異なる閾値の管理を行う必要が無い。また、円弧部分及びオリフラ部分を含む外周部の全周にわたって面取り部C1を撮影できる限り、オリフラ部分OFの数、幅D2、半径方向距離変動幅D5等が異なる複数のウエハWを検査する場合であっても共通の閾値を利用できる。また、良品に関するデータを取得する必要もない。良品に関するデータを比較対象として用いることなく異常の有無を判定できるためである。
【0064】
また、撮影部1は、ウエハWの外周部を上側から撮影する上側撮影部1Uと、下側から撮影する下側撮影部1Lとを含み、照明部2は、ウエハWの外周部を上側から照明する上側照明部2Uと、下側から照明する下側照明部2Lとを含む。そのため、検査装置100は、ウエハWの上面側に形成される上側面取り部C1Uと、ウエハWの下面側に形成される下側面取り部C1Lとの双方における異常の有無を一括して判定できる。
【0065】
また、上側照明部2Uは拡散照明を採用する。そのため、上側撮影部1Uの視野V1の幅方向に対する上側面取り部C1Uの延長方向の角度が円弧部分とオリフラ部分OFとで異なる場合であっても、上側面取り部C1Uを適切に照らすことができる。すなわち、上側面取り部C1Uで反射した光を十分な光量で上側撮影部1Uに入射させることができる。その結果、上側撮影部1Uが取得する画像中における上側面取り部C1Uの輝度がウエハWの外周部の全周にわたって十分な輝度となるように上側面取り部C1Uを照らすことができる。下側照明部2Lについても同様である。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明は上述のような特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0067】
例えば、図1の例では、上側撮影部1Uは、その光軸L1がウエハWの上面に対して垂直で、且つ、ウエハ外周部の真上となるように設置される。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、上側撮影部1Uは、図8に示すように、その光軸L1がX軸に垂直で、且つ、XY平面に対して傾斜するように取り付けられてもよい。下側撮影部1Lについても同様である。なお、図8(A)はウエハW及び上側撮影部1Uを+X側から見た側面図であり、図8(B)はウエハW及び上側撮影部1Uを+Z側から見た上面図である。
【0068】
また、上側撮影部1Uは、円弧部分及びオリフラ部分を含む外周部の全周にわたって上側面取り部C1Uを合焦範囲に含むことができるのであれば、その光軸L1をX軸に対して傾斜させてもよい。下側撮影部1Lについても同様である。
【実施例】
【0069】
次に本発明の実施例について説明する。検査対象として、圧電素子、表面弾性波フィルタ等の製造に用いられる6インチ径の人工セラミックウエハを採用した。ウエハWの外周部の面取り部C1の幅D1を0.13mmとし、半径方向距離変動幅D5を3mmとした。
【0070】
実施例では、撮影部1としてラインセンサカメラを使用した。そして、ラインセンサカメラの画素数を2048画素とし、視野V1の幅(長辺の長さ)を5mmとした。ラインセンサカメラは、円弧部分及びオリフラ部分を含む外周部の全周にわたって面取り部C1を撮影できるように、上側面取り部C1Uのほぼ直上と、下側面取り部C1Lのほぼ直下の2ヶ所に設置された。
【0071】
照明部2としては発光ダイオードを光源とする拡散照明を採用した。そして、ラインセンサカメラの位置に合わせ、ウエハWの面取り部C1を斜め上方向及び斜め下方向の2方向から照らすように設置した。照明部2の設置位置及び設置角度については、面取り部C1の画像が明確になるように適宜調整した。
【0072】
回転駆動部3としては電動モータ駆動の回転テーブルを採用した。また、ラインセンサカメラの撮影間隔を電動モータの回転速度に合わせて設定した。
【0073】
ウエハWのチッピングの検査では、ラインセンサカメラが撮影した画像から面取り部C1の幅データを検出し、この幅データに基づいてチッピングの有無を判定した。具体的には、撮影した複数の画像のそれぞれから面取り部C1の幅データを検出した後でその平均値を算出した。そして、1つ1つの幅データについて平均値に対する比率を算出した。そして、平均値より38%以上小さい幅データが指し示す部位を幅50μm以上のチッピングが存在する部位であると判定した。すなわち、面取り部C1の幅が平均的な幅よりも38%以上狭い部位を、幅50μm以上のチッピングが存在する部位であると判定した。また、平均値より77%以上小さい幅データが指し示す部位を幅100μm以上のチッピングが存在する部位であると判定した。すなわち、面取り部C1の幅が平均的な幅よりも77%以上狭い部位を、幅100μm以上のチッピングが存在する部位であると判定した。なお、38%、77%は事前に設定した閾値である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・撮影部 1L・・・下側撮影部 1U・・・上側撮影部 2・・・照明部 2L・・・下側照明部 2U・・・上側照明部 3・・・回転駆動部 3a・・・ステージ 3b・・・スピンドル 3c・・・モータ 4・・・制御部 C1・・・面取り部 C1L・・・下側面取り部 C1U・・・上側面取り部 F・・・床面 G1〜G7・・・画像 OF・・・オリフラ部分 T1〜T4・・・チッピング V1・・・視野 W・・・ウエハ WsU・・・ウエハ上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8