(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1半導体レーザ素子と前記第2半導体レーザ素子とは、前記第1半導体レーザ素子の光出射面と前記第2半導体レーザ素子の光出射面とが斜向いに位置するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
前記第1半導体レーザ素子の光出射面及び前記基体の上面に垂直な面と、前記基体の上面、前記第1光反射部の前記第1領域、及び前記第1光反射部の前記第2領域に垂直な面と、は非平行であり、
前記第2半導体レーザ素子の光出射面及び前記基体の上面に垂直な面と、前記基体の上面、前記第2光反射部の前記第3領域、及び前記第2光反射部の前記第4領域に垂直な面と、は非平行であることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
前記第1半導体レーザ素子の光出射面及び前記基体の上面に垂直な面と、前記基体の上面、前記第1光反射部の前記第1領域、及び前記第1光反射部の前記第2領域に垂直な面と、がなす角度は10度〜60度の範囲内にあり、
前記第2半導体レーザ素子の光出射面及び前記基体の上面に垂直な面と、前記基体の上面、前記第2光反射部の前記第3領域、及び前記第2光反射部の前記第4領域に垂直な面と、がなす角度は10度〜60度の範囲内にあることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。本明細書では、発光装置からの光の取出し側(
図3の上側)を上方といい、反対側(
図3の下側)を下方という。
【0009】
<第1実施形態>
図1に第1実施形態に係る発光装置200の斜視図を示し、
図2に発光装置200の上面図を示し、
図3に
図2のIII−IIIにおける断面図を示す。また、
図4は発光装置200に含まれる第1光反射部21の斜視図であり、
図5は基体50の凹部の内部を説明するための上面図であり、
図6は第1半導体レーザ素子11(以下、「半導体レーザ素子」を「LD素子」ともいう。)から照射された第1放射光が第1光反射部21で反射されて蛍光部30の下面に照射されるまでの第1放射光の行路を示す模式図である。
【0010】
図1〜
図6に示すように、発光装置200は、基体50と、基体50の上面に配置された、第1放射光を発する第1LD素子11と、基体50の上面に配置された、第1放射光を上方に向けて反射する第1光反射部21と、第1放射光が照射される下面と、光取出し面となる上面と、を有する蛍光部30と、蛍光部30の側方を取り囲むように設けられた遮光部40と、を備える。第1光反射部21は、第1放射光の一部が照射される第1領域21aと、第1領域21aよりも第1LD素子11から離れた位置に設けられ、第1放射光の他の一部が照射される第2領域21bと、を含み、第1領域21a及び第2領域21bは、第1領域21aで反射された光のうちの第2領域21bに近い側で反射された光と第2領域21bで反射された光のうちの第1領域21aに近い側で反射された光とが、蛍光部30の下面に達するまでに交わり、蛍光部30の下面における照射領域の両端部に照射されるように形成されている。
【0011】
発光装置200によれば、蛍光部30の変換効率の低下を低減しながら、蛍光部30から取り出される光の発光強度のむらを低減することができると考えられる。以下で詳細を説明する。
【0012】
従来の発光装置では、第1LD素子からの光は、蛍光部の下面において、照射領域における中心部の光強度が中心部から遠い部分(照射領域の外縁近傍)の光強度よりも高い。従来の発光装置は、例えば、LD素子から放射された放射光を45度傾斜させた光反射面で反射させて蛍光部の下面に照射している。このとき、光強度分布が維持されたまま蛍光部の下面に照射される。この場合は、光強度の高い領域における蛍光部の発熱量が周囲の発熱量に比べて多くなることにより、蛍光部の変換効率の低下が生じる。また、蛍光部に照射される放射光の強度の違いに起因して、蛍光部から取り出される光の強度にむらが生じる可能性がある。
【0013】
そこで発光装置200においては、蛍光部30の下面の照射領域(1以上のLD素子からの放射光が照射される領域)において、照射領域の中心における第1放射光の強度が照射領域の端部の光強度に比べて高くなりすぎないようにしている。具体的には、
図6に示すように、第1光反射部21に第1領域21aと第2領域21bとを設け、第1領域21aで反射された光のうちの光強度の高い光(
図6に示す第1領域21aの左端近傍で反射された光)と第2領域21bで反射された光のうちの光強度の高い光(
図6に示す第2領域21bの右端近傍で反射された光)とが、蛍光部30の下面に当たる前に交差し、照射領域における遮光部40に近い側に照射されるように、第1光反射部21は構成されている。これにより、蛍光部30の照射領域において、その中心の発光強度が高くなりすぎることを抑制することができるため、蛍光部30の変換効率の低下を低減しながら、蛍光部30における発光強度のむらを低減した発光装置とすることができると考えられる。ここでは、第1LD素子11から出射された光のうちの光強度の高い領域(ここでいう「光強度の高い領域」とは、ファーフィールドパターン(FFP)において、光強度が一番低いところを0%とし光強度が一番高いところを100%とした場合の70%以上の光強度の部分をさす)が第1領域21aと第2領域21bとの界面に照射されるように、第1LD素子11が配置されている。なお、ここでいうFFPとは、第1LD素子11の光出射面からある程度離れており且つ光出射面と平行な面において放射光の光強度分布を測定したものであり、例えば、ピーク強度値の1/e
2等の任意の強度における形状として特定される。
【0014】
以下、発光装置200の構成要素について説明する。
【0015】
(基体50)
基体50は、第1LD素子11を実装するものである。ここでは、凹部が設けられた基体50を用い、凹部の内側において基体50の上面(凹部の底面となる第1上面)に第1LD素子11が配置されている。
【0016】
基体50の凹部は、第1上面、第1上面よりも上方で且つ凹部の内側に位置する第2上面と、を有する。つまり、凹部は、第1上面から階段状に、1段目の第2上面と、2段目の第3上面と、を有する。そして、第1上面、第2上面、及び第3上面は、基体50の下面に対して実質的に平行である。第2上面には、透光性の材料からなる蓋体80が配置されており、蓋体80の上面に蛍光部30及び遮光部40が固定されている。なお、基体50として第2上面を有しないものを用いてもよい。この場合は、基体50の第3上面に相当する面に蓋体80が配置される。
【0017】
図5に示すように、凹部が設けられた基体50は、絶縁体からなる本体部51と、基体50の第3上面及び第1上面において本体部51から露出した配線部52a、52bと、基体50の第3上面及び第1上面において本体部51から露出し、サーミスタ100と電気的に接続される第2配線部53a、53bと、第2上面において本体部51から露出したメタライズ部と、を有する。外部と電気的に接続する配線部52a、52bや第2配線部53a、53bを本体部51の下面以外の面から露出させることにより、基体50の下面の全面をヒートシンク等の放熱部材に実装する面とすることができるため、発光装置で生じる熱を放熱部材に発散させやすくなる。
【0018】
本体部51には、セラミックスを主成分とするものを用いることができる。セラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、又は炭化ケイ素が挙げられ、排熱性の観点から、窒化アルミニウムを主成分とする本体部51を用いることが好ましい。配線部52a、52b及び第2配線部53a、53bには、金、銀、アルミニウム、パラジウム等の金属材料を用いることができ、メタライズ部には金等の金属材料を用いることができる。
【0019】
なお、基体50としては、基部と基部の上面に配置された枠部とを備えるものを用いてもよい。この場合は、基部の上面で且つ枠部の内側に第1LD素子11が配置される。また、基体50として基部と枠部とを備えるものを用いる場合は、配線部52a、52bは、発光装置の放熱性を考慮して、枠部の外側において基部の上面に設けられることが好ましい。
【0020】
(第1半導体レーザ素子11)
第1LD素子11の第1放射光は、第1LD素子11の光出射面と平行な面において、活性層を含む複数の半導体層の積層方向の長さがそれに垂直な方向の長さよりも長い、楕円形状のFFPを有する。第1LD素子11は、その光出射面が基体50の下面と垂直であり、FFPの楕円形の長手方向が基体50の下面と垂直になるように配置されている。これにより、第1LD素子11における面積の大きな面を基体50の下面と平行に配置することができるため、第1LD素子11で生じる熱を基体50やヒートシンクに発散しやすくなる。なお、ここでいう「垂直」には、実装時のずれ程度の傾きは含まれることとする。例えば、±10度程度の傾きは含まれる。
【0021】
第1LD素子11としては、発光ピーク波長が、320nm〜530nmの範囲内、典型的には、430nm〜480nmの範囲内にあるものを用いることができる。前述の範囲のLD素子は、比較的高エネルギーの放射光を発するため、蛍光部30の変換効率の低下が生じやすく、発光強度むら低減の効果が顕著となるためである。前述の範囲のLD素子としては、例えば、窒化物半導体を含む材料を用いることが好ましく、GaN、InGaN、及びAlGaNの少なくとも1つを含むものが挙げられる。
【0022】
第1LD素子11は、第1サブマウント61を介して基体50に実装されている。これにより、第1LD素子11の光出射面における発光点から基体50における第1LD素子11の実装面(
図3では、凹部の第1上面)までの距離を第1サブマウント61の厚み分だけ大きくすることができるため、第1LD素子11の放射光を効率よく第1光反射部21に照射することができる。第1LD素子11は、Au−Sn等の導電層を用いて第1サブマウント61に固定することができる。
【0023】
第1サブマウント61としては、基体50の熱膨張率と第1LD素子11の熱膨張率との間の熱膨張率を有するものを用いることが好ましい。これにより、第1LD素子11の剥がれや、第1サブマウント61の剥がれを抑制することができる。第1LD素子11として窒化物半導体を含む材料を用いる場合は、第1サブマウント61として、例えば、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。
【0024】
第1LD素子11は、ワイヤ70(金属細線)により、基体50の配線部52a、52bと電気的に接続されている。
【0025】
ここでは、1つの基体に1つのLD素子が配置されているが、複数のLD素子が配置されていてもよい。複数のLD素子が配置される場合は、蛍光部の下面の照射領域に照射される光の全体において、中心部における光の強度が端部における光の強度よりも高くなりすぎないようにする。
【0026】
(第1光反射部21)
第1光反射部21は、第1LD素子11からの第1放射光を蛍光部30に向けて反射するものである。発光装置200のように、第1LD素子11からの第1放射光を第1光反射部21で反射させることにより、透過型のレンズで第1放射光の発光強度を均等にする場合に比較して、発光装置200の厚み(
図3の上下方向における長さ)を小さくしながら、蛍光部30の照射領域に照射される第1放射光において、中心部の光強度が高くなりすぎることを抑制することができる。
【0027】
第1光反射部21としては、主材が石英若しくはBK7等のガラス、又はアルミニウム等の金属等の熱に強い材料からなり、光反射面が金属、誘電体多層膜等の反射率の高い材料からなるものを用いることができる。
【0028】
第1光反射部21は、
図6に示すように、第1放射光の一部が照射される第1領域21aと、第1領域21aよりも第1LD素子11から離れた位置に設けられ、第1放射光の他の一部が照射される第2領域21bと、を含む。そして、第1領域21a及び第2領域21bは、第1領域21aで反射された光のうちの第2領域21bに近い側で反射された光と第2領域21bで反射された光のうちの第1領域21aに近い側で反射された光とが、蛍光部30の下面に達するまでに交わり、蛍光部30の下面における照射領域の両端部に照射されるように形成されている。
【0029】
第1領域21a及び第2領域21bは、蛍光部30の下面における照射領域において、遮光部40に近い側の光強度が中心における光強度よりも高くなるようにすることが好ましい。つまり、蛍光部30の下面における照射領域において、長手方向の両端部における光強度が中央部における光強度よりも高いことが好ましい。蛍光部の照射領域における第1放射光の光強度を均一に近づけて照射し、蛍光部の上面側から光強度分布を測定した写真を
図7に示す。
図7からわかるように、光強度を均一に近づけた第1放射光を蛍光部に照射したとしても、遮光部に近い側(蛍光部の周縁部)から取り出される光の強度が遮光部から遠い側(蛍光部の中心部)から取り出される光の強度に比べて低くなった。これは、遮光部近傍における光が遮光部で反射され、中心部に集中することにより起こると考えられる。これに対して、遮光部40に近い領域における放射光の光強度を高くすることにより、蛍光部30から取り出される光の強度を均等に近づけることができると考えられる。例えば、
図6に示すように、第1領域21aで反射された光のうちの比較的光強度が高い部分と、第2領域21bで反射された光のうちの比較的光強度が高い部分とを行路中で交差させて、蛍光部30の下面において重ならないようにすることにより、蛍光部30の照射領域における長手方向の両端部における光強度を中央部における光強度よりも高くすることができる。なお、蛍光部30の下面における照射領域において、均等な光強度で照射されるように第1領域21a及び第2領域21bが設けられていてもよい。この場合であっても、中心部の光強度が高い従来の発光装置に比べれば、一定の効果を得ることができる。
【0030】
発光装置200では、第1領域21a及び第2領域21bは、第1光反射部21に照射される楕円形状の長手方向における光強度分布のみを変えるように設けられている。つまり、短手方向における光強度分布を変えずに、長手方向における光強度分布が中央部において高くなりすぎないように、第1領域21a及び第2領域21bは設けられている。第1LD素子11のFFPは特に長手方向において広がりやすく、長手方向における光強度分布を制御することでより大きな効果が得られるためである。なお、短手方向における光強度分布を変えることもできるが、第1光反射部21の第1領域21a及び第2領域21bの作製精度や、第1光反射部21と第1LD素子11との位置合わせ精度を考慮すると、第1領域21a及び第2領域21bは、第1放射光の楕円形状の長手方向の光強度分布のみを変えるように設けられることが好ましい。
【0031】
第1領域21a及び第2領域21bは平面である。つまり、第1光反射部21の光反射面は2つの平面で構成されている。これにより、第1光反射部21の設計が容易となるだけでなく、実装ズレの許容範囲にも余裕が生じる。また、第1領域21a及び第2領域21bが平面であることにより、第1光反射部21を形成しやすくなる。なお、ここでは2つの平面により光反射面が構成されているが、3つ以上の平面で構成されていてもよい。蛍光部30の照射領域の両端部における光強度を中央部の光強度よりも高くする場合は、偶数個の平面により光反射面は構成される。また、第1領域21a及び第2領域21bはそれぞれ曲面であってもよい。
【0032】
第1光反射部21を載置する面(発光装置200では基体50の第1上面)に平行な面と第1領域21aとがなす角度Aは、第1光反射部21を載置する面に平行な面と第2領域21bとがなす角度Bよりも小さい。例えば、基体50の上面と第1光反射部21の第1領域21aとがなす角度は、15度よりも大きく45度よりも小さく、基体50の上面と第1光反射部21の第2領域21bとがなす角度は45度よりも大きく75度よりも小さい。
【0033】
(蓋体80)
蓋体80は、基体50と組み合わせて第1LD素子11が配置される空間を気密にしている。これにより、LD素子の光出射面への有機物等の集塵を抑制することができる。ここでは、蓋体80としてサファイアからなるものを用いている。そして、蓋体80における基体50と固定される領域にメタライズ膜を形成し、第2上面の一部であるメタライズ膜同士をAu−Sn等の半田を用いて固定している。サファイアは、比較的、第1放射光を透過しやすく、熱伝導率も高い材料であるため、蛍光部30で生じる熱を基体50に発散できる。また、Au−Sn等の半田を用いて固定することにより、シーム溶接や抵抗溶接により固定する場合に比べて第1光反射部21から蛍光部30の下面までの距離を小さくすることができるため、輝度を高くすることができる。なお、蓋体80としては、石英、炭化ケイ素、又はガラス等を含む透光性の材料からなるものを用いてもよい。
【0034】
(蛍光部30)
蛍光部30は、第1光反射部21で反射された第1放射光が照射される下面と、光取出し面となる上面と、を有する。
図3に示すように、蛍光部30は蓋体80の上方に固定されている。
【0035】
蛍光部30は、蛍光体を含み、第1放射光が照射されることにより、蛍光を発する。蛍光体としては、YAG蛍光体、LAG蛍光体、αサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、耐熱性の高いYAG蛍光体を用いることが好ましい。蛍光部30は、無機材料からなる。これにより、有機材料を含む場合に比較して、熱や光に強いので、信頼性を向上させることができる。無機材料からなる蛍光部30としては、蛍光体セラミックスや蛍光体の単結晶を用いることができる。蛍光体セラミックスとしては蛍光体の粒子とバインダーとして機能する添加材との焼結体を用いることができる。YAG蛍光体の蛍光体セラミックスを用いる場合は、添加材として酸化アルミニウムを用いることができる。なお、第1放射光に対する耐光性を備えるものであれば、有機材料を含む蛍光体であってもよい。
【0036】
図1及び
図2に示すように、蛍光部30の上面は、一方向に長い形状であり、蛍光部30の下面も、一方向に長い形状である。また、蛍光部30の下面における照射領域は、一方向に長い形状である。そして、蛍光部30の下面における長手方向と照射領域における長手方向とが平行になるように、第1LD素子11及び第1光反射部21は配置されている。これにより、蛍光部30下面において、照射領域から蛍光部30の外縁までの距離が短くなるため、蛍光部30で生じる熱を遮光部40に発散させやすくなる。したがって、蛍光部30の変換効率の低下を低減しやすくなる。なお、
図1及び
図2においては、蛍光部30の量産性の観点から蛍光部30の上面及び下面を長方形としているが、楕円形にしてもよい。
【0037】
ここでは、基体50の上面と平行な面における、第1LD素子11の発光点から第1光反射部21の光反射面までの距離を0.48mmとした。また、基体の上面と垂直な面における、第1光反射部21における光反射点から蛍光部30の下面までの長さを1.3mmとした。また、角度Aを33.5度とし、角度Bを56.5度とした。このとき、基体50の上面、第1領域21a、及び第2領域21bに垂直な面において、第1領域21aの長さ(
図6の第1光反射部21における下側の斜面の長さ)を0.36mm、第2領域21bの長さ(
図6の第1光反射部21における上側の斜面の長さ)を0.6mmとした。さらに、蛍光部の下面は長手方向を1mmとし、短手方向を0.5mmとした。
【0038】
(遮光部40)
遮光部40は、蛍光部30の側方を取り囲むように設けられている。つまり、蛍光部30の上面側から視て、蛍光部30を完全に取り囲むように遮光部40が設けられている。遮光部40が設けられることにより蛍光部30の上面以外から光が出ることを低減することができる。遮光部40は、蛍光部30と直接接して設けられている。これにより、樹脂やガラス等の熱伝導率が比較的低い材料により接合される場合に比較して、蛍光部30で生じる熱を発散しやすくできる。
【0039】
蛍光部30がYAG蛍光体を含む場合は、遮光部40として、酸化アルミニウムを主成分として含むセラミックスを用いることが好ましい。蛍光部30と遮光部40とは焼結法により直接結合されている。このとき、遮光部40のうちの蛍光部30に近い領域には空隙が存在する。蛍光部30からの光は酸化アルミニウム等の粒子と空隙との界面で反射されるため、遮光部40は光を透過しにくくなっている。蛍光部30と遮光部40とを一体になるように焼結しており、遮光部40の蛍光部30近傍に空隙があることにより、蛍光部30と遮光部40との接合力を高くしながら、蛍光部30からの光を遮光することができる。遮光部40は、蛍光部30に近い領域における空隙が、遮光部40の周縁部に近い領域における空隙よりも多いことが好ましい。つまり、蛍光部30に近い領域の焼結密度が、遮光部40の周縁部に近い領域の焼結密度よりも低いことが好ましい。これにより、蛍光部30からの光反射率の低下を低減しつつ、遮光部40の強度の低下を低減することができる。遮光部40としては、酸化アルミニウムの他に窒化アルミニウム等を用いてもよい。
【0040】
(第2遮光部90)
蓋体が透光性の材料から成る場合は、
図3に示すように、蓋体80の上面の一部及び蓋体80の側面を覆うように第2遮光部90が設けられることが好ましい。これにより、蓋体80又は後述する放熱体110の側方から、第1放射光や蛍光等が抜けることを抑制することができる。第2遮光部90としては、酸化チタン等の光散乱粒子が含有された樹脂が挙げられる。
【0041】
(サーミスタ100)
図5に示すように、発光装置200は、サーミスタ100を有する。サーミスタ100が設けられていることにより、LD素子の温度を測定することができるため、LD素子に流す電流を温度変化に対応させながら変えることができる。サーミスタ100の材料としては、例えばセラミックスを用いることができる。サーミスタ100はAu−Sn等の半田材料により基体50の上面に配置されている。サーミスタ100は、ワイヤを介して第2配線部53bと電気的に接続されている。
【0042】
<第2実施形態>
図8に第2実施形態に係る発光装置300の斜視図を示し、
図9に
図8の上面図を示し、
図10に発光装置300の凹部の内部を説明するための上面図を示し、
図11に
図10の点線枠内の拡大図を示す。発光装置300は、次に説明する事項以外は、発光装置200で説明した事項と実質的に同一である。
【0043】
発光装置300は、基体50の上面(本実施形態では、基体50の第1上面)に配置された、第2放射光を発する第2LD素子12と、基体50の上面に配置された、第2放射光を蛍光部30の下面に向けて反射する第2光反射部22と、を備える。これにより、蛍光部30から取り出される光の強度を高くすることができる。第2光反射部22は、第2放射光の一部が照射される第3領域22aと、第3領域22aよりも第2LD素子12から離れた位置に設けられ、第2放射光の他の一部が照射される第4領域22bと、を含む。そして、第3領域22a及び第4領域22bは、第3領域22aで反射された光のうちの第4領域22bに近い側で反射された光と第4領域22bで反射された光のうちの第3領域22aに近い側で反射された光とが、蛍光部30の下面に達するまでに交わり、照射領域の両端部に照射されるように形成されている。第2光反射部22は、第1光反射部21の構成と同様の構成とすることができる。
【0044】
第2LD素子12は、第1LD素子11と同様に、第2サブマウント62の上面に導電層を介して固定されている。第2LD素子12、第2サブマウント62のそれぞれは、第1LD素子11、第1サブマウント61と同様の構成とすることができる。
【0045】
図10及び
図11に示すように、第1LD素子11の光出射面及び基体50の上面(本実施形態では、基体の第1上面)に垂直な面と、基体50の上面、第1光反射部21の第1領域21a、及び第1光反射部21の第2領域21bに垂直な面と、は非平行である。また、第2LD素子12の光出射面及び基体50の上面に垂直な面と、基体50の上面、第2光反射部22の第3領域22a、及び第2光反射部22の第4領域22bに垂直な面と、は非平行である。つまり、上面視において、第1LD素子11と第1光反射部21とが斜めに配置されおり、同様に、第2LD素子12と第2光反射部22とが斜めに配置されている。これにより、各光反射部における光反射面を複雑な構成にすることなく、各LD素子からの光を、基体50の上面に垂直な方向以外の方向に反射させることができるため、2つのLD素子からの光を1つ蛍光部30に照射することができる。
図10を用いて説明すると、第1LD素子11からの光が左側から第1光反射部21に照射され、紙面手前下方向に反射されて蛍光部30の下面に照射され、第2LD素子12からの光が右側から第2光反射部22に照射され、紙面手前上方向に反射されて蛍光部30の下面に照射される。
【0046】
図11に示すように、第1LD素子11の光出射面及び基体50の上面に垂直な面と、基体50の上面、第1光反射部21の第1領域21a、及び第1光反射部21の第2領域21bに垂直な面と、がなす角度(以下「角度α」という。)は、10度〜60度の範囲内にあることが好ましく、第2LD素子12の光出射面及び基体50の上面に垂直な面と、基体50の上面、第2光反射部22の第3領域22a、及び第2光反射部22の第4領域22bに垂直な面と、がなす角度(以下「角度β」という。)は、10度〜60度の範囲内にあることが好ましい。角度α及び角度βを、10度以上の角度にすることにより、蛍光部30の下面において第1放射光と第2放射光の中心とを重なりにくくすることができるため、蛍光部30の下面の中心における光強度が高くなることを抑制できる。また、角度α及び角度βを、60度以下の角度にすることにより、各光反射部で反射される光が広がりすぎることを抑制できる。より効果的には、角度α及び角度βを、30度〜40度の範囲内とする。
【0047】
第2光反射部22が配置された面(本実施形態では、基体50の上面)と第2光反射部22の第3領域22aとがなす角度は15度より大きく45度より小さく、基体50の上面と第2光反射部22の第4領域22bとがなす角度は45度より大きく75度より小さい。これにより、蛍光部30の下面において照射領域の中心における強度が外縁近傍における強度に比べて高くなりすぎることを抑制できる。
【0048】
図10及び
図11に示すように、第1LD素子11と第2LD素子12とは、第1LD素子11の光出射面と第2LD素子12の光出射面とが斜向いに位置するように配置されている。これにより、
図8及び
図9に示すように、蛍光部30を発光装置300の中心部に配置することができるため、蛍光部30で生じる熱を比較的均等に発散させることができる。
【0049】
図12に、発光装置300における、蛍光部30の下面に照射される第1放射光及び第2放射光における光強度分布をシミュレーションして測定した図を示し、
図13に
図12のXIII-XIIIを結ぶ直線における光強度分布を表す図を示す。また、
図14に、蛍光部30の下面に照射される第1放射光における光強度分布をシミュレーションして測定した図を示す。以下、
図10及び
図11を参照しながら、シミュレーションの条件を説明する。
【0050】
第1LD素子11、第1光反射部21、及び蛍光部30は第1実施形態と同様の構成とした。基体50の上面と平行な面において、第2LD素子12の発光点から第2光反射部22の光反射面までの距離を0.64mmとした。また、基体50の上面と第2光反射部22の第3領域22a領域とがなす角度を、33.5度とし、基体50の上面と第2光反射部22の第4領域22bとがなす角度を、56.5度とし、α及びβのそれぞれを34度とした。このとき、基体50の上面、第3領域22a、及び第4領域22bに垂直な面において、第第3領域22aの長さを0.36mmとし、第4領域22bの長さを0.6mmとした。
【0051】
図14に示すように、第1LD素子11からの光の強度分布は、蛍光部30の中心において屈曲している。そして、第2LD素子12からの光の強度分布は、蛍光部30の長手方向(
図14の縦方向)と平行な中央線を軸として、第1LD素子11の光の強度分布と線対称となるように屈曲している。つまり、各半導体レーザ素子からの光が、中心において重なりにくくなるようにしており、照射領域における両端部で部分的に重なるようにしている。これにより、照射領域の両端部における光強度が中心の光強度に比べて少し高くなるため、蛍光部30から均一な発光強度の光を得やすくできると考える。本実施形態では、第1光反射部21の光反射面及び第2光反射部22の光反射面がそれぞれ多面であること、並びに、第1LD素子11及び第1光反射部21、第2LD素子12及び第2光反射部22のそれぞれを斜めに配置していることにより、第1放射光及び第2放射光のそれぞれが屈曲して蛍光部30の下面に照射されている。なお、ここでは、照射領域の両端部における光強度が高くなるようにしているが、照射領域の中心部及び両端部において光強度が均等に近づくように、第1LD素子11、第1光反射部21、第2LD素子12、及び第2光反射部22が設けられていてもよい。
【0052】
<第3実施形態>
図15に第3実施形態に係る発光装置400の斜視図を示し、
図16に発光装置400の上面図を示し、
図17に発光装置400の凹部の内側を説明するための上面図を示し、
図18に
図16のXVIII-XVIIIにおける端面図を示す。発光装置400は、次に説明する事項以外は、発光装置300で説明した事項と実質的に同一である。
【0053】
発光装置400は、基体50として第2上面が設けられていないものを用いている。また、金属からなる支持部81と、透光部82と、を含む蓋体80により第1LD素子11等が配置された空間を気密封止された空間としている。支持部81と透光部82とは、接合材83により接合されている。さらに、基体50における蓋体80と接する部分が金属部材からなる。そして、第1光反射部21で反射された第1放射光が蓋体80の透光部82を通過するように、蓋体80の支持部81と基体50とが溶接により固定されている。
【0054】
支持部81と、基体50における蓋体80と接する部分とは、主成分として鉄を含む材料で構成する。ここでいう「主成分として含む」とは、全体の重量の50%を超えてある材料を含むことをいう。また、透光部82は、ガラスを含む材料で構成する。そして、支持部81の上方であって、蛍光部30及び遮光部40の下方に放熱体110が設けられている。放熱体110としては、サファイア、石英、又は、窒化ケイ素を用いることができ、好ましくはサファイアを用いる。
【0055】
本実施形態では、第1光反射部21と蛍光部30との間の距離が、蓋体80の厚み分だけ長くなるため、角度α及び角度βは、発光装置300における角度α及び角度βよりも小さい。例えば、角度α及び角度βを、30度としている。また、第1光反射部21及び第2光反射部22のそれぞれは、3つの平面からなる光反射面を有する。
【0056】
なお、発光装置400としてはサーミスタを含まないものを一例として挙げているが、発光装置200や発光装置300のように、発光装置400にはサーミスタが含まれていてもよい。