(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて詳細に説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解を容易にする等のために誇張している場合がある。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
【0010】
本明細書中および図面中において、X方向は、横方向を示し、右方向(X
+方向)および左方向(X
−方向)の双方を含む。また、Y方向は、縦方向を示し、上方向(Y
+方向)および下方向(Y
−方向)の双方を含む。
【0011】
また、以下に説明する実施形態において、「パッケージ」等の用語は発光素子やワイヤ等を設ける前と後において同じ用語を適宜用いることがある。
【0012】
(第1実施形態)
図1Aは第1実施形態に係る発光装置100の模式的上面図であり、
図1Bは発光装置100の模式的下面図であり、
図1Cないし
図1Fは発光装置100の模式的側面図であり、
図1Gは
図1A中の1G−1G線における模式的端面図である。
図1Aでは、凹部2の内部が分かりやすいように封止部材40を省略して図示し、さらに第1透光性部材15等が発光素子の上面上に位置するため第1発光素子10および第2発光素子20の外縁を破線で図示する。発光装置100は、第1発光素子10および第2発光素子20と、第1発光素子10の上面上に配置される第1透光性部材15と、第2発光素子20の上面上に配置される第2透光性部材25とを備える。第1透光性部材15および第2透光性部材25は、封止部材40で被覆される。第1実施形態に係る発光装置100は、さらに凹部2を有するパッケージ1を備え、第1発光素子10および第2発光素子20は凹部2の底面に配置される。
【0013】
パッケージ1は、第1発光素子10および第2発光素子20を配置するための基台である。パッケージ1は、第1リード51、第2リード52および第3リード53を含む複数のリード50と、複数のリード50と一体に形成された樹脂部30とを備える。また、パッケージ1は凹部2を有し、凹部2の底面において、第1リード51、第2リード52および第3リード53の上面の一部が位置する。
【0014】
図1Aおよび
図1Bで示すパッケージ1は、上面80および上面80と反対側に位置する下面81とを有する。また、パッケージ1は、上面視において略矩形の外形形状を有し、第1外側面82、第1外側面82と反対側に位置する第2外側面83、第3外側面84、および第3外側面84と反対側に位置する第4外側面85を有する。
図1Cないし
図1Fは、第1外側面82、第2外側面83、第3外側面84および第4外側面85をそれぞれ順に示す。第1リード51は、第1外側面82、第3外側面84および第4外側面85において、樹脂部30から露出し、第1リード51と樹脂部30とは略同一面になっている。第2リード52は、第2外側面83および第4外側面85において、樹脂部30から露出し、第2リード52と樹脂部30とは略同一面になっている。第3リード53は、第2外側面83および第3外側面84において、樹脂部30から露出し、第3リード53と樹脂部30とは略同一面になっている。このように、4つの外側面において、第1リード51、第2リード52および第3リード53が樹脂部30から外側に延出しないことで、占有面積の小さい小型の発光装置100を提供することができる。
【0015】
パッケージ1の下面81は、発光装置100を実装基板に実装する実装面として機能する。また、パッケージ1の下面81において、第1リード51、第2リード52および第3リード53は、樹脂部30から露出している。これにより、第1発光素子10および第2発光素子20から発生する熱を、パッケージ1の下面81から効率的に放熱することができる。また、パッケージ1の下面81において、複数のリード50の下面と樹脂部30の下面とは略同一面に形成されている。
【0016】
第1発光素子10および第2発光素子20は、発光装置100の光源として機能し、さらに後述する蛍光体の励起源となる。第1発光素子10および第2発光素子20は、430nm〜480nmの発光ピーク波長を有する。第1発光素子10および第2発光素子20が、近紫外領域よりも長波長の発光ピーク波長を有することで、近紫外領域の光の問題(例えば、人体や照射物に悪影響を及ぼしたり、発光装置の構成部材が劣化し発光装置の発光効率が大幅に低下するという問題)を抑制することができる。
【0017】
第1発光素子10および第2発光素子20は並列に接続される。これにより、第1発光素子10および第2発光素子20に流す電流値を個別に設定することができ、例えば、第1発光素子10および第2発光素子20に流す電流値を異ならせて駆動させることができる。
図1Aで示す発光装置100では、第1発光素子10および第2発光素子20は第1リード51の上面に配置されている。第1発光素子10は上面に正負の電極を有し、正負の電極のうち一方の電極はワイヤを介して第2リード52と電気的に接続され、他方の電極はワイヤを介して第1リード51と電気的に接続されている。第2発光素子20も同様に、上面に正負の電極を有し、正負の電極のうち一方の電極はワイヤを介して第3リード53と電気的に接続され、他方の電極はワイヤを介して第1リード51と電気的に接続されている。このように、発光装置100が3つのリードを備えることで、各発光素子を独立に駆動させることができる。さらに、複数のリード50を独立駆動を可能とする最小限のリード数とすることで、リードにより形成されるパッケージ1の界面を少なくすることが可能である。その結果、発光装置の強度が低下することを抑制することができる。
【0018】
第1発光素子10および第2発光素子20は、それらの間に壁等の仕切り部材が配置されていないことが好ましい。これにより、発光装置100の混色性を向上させることができる。具体的には、
図1Aで示す発光装置100では、第1発光素子10および第2発光素子20は、一の収容部内(凹部2内)に配置され、第1発光素子10と第2発光素子20との間には壁等の仕切り部材が配置されていない。これにより、第1発光素子10の近傍の光と、第2発光素子20の近傍の光とが容易に混色され、混色性の優れた発光装置とすることができる。なお、例えば、灯具等の他の部材で発光装置100の光を混色させる場合は、第1発光素子10と第2発光素子20との間に壁等の仕切り部材が配置されていてもよい。
【0019】
図1Aで示す発光装置100では、第1発光素子10および第2発光素子20は、上面視において離間して配置されている。第1発光素子10の中心は、上面視において、第2発光素子20の中心とX方向およびY方向の双方向でずれて配置されることが好ましい。換言すると、パッケージ1の第1外側面82から第1発光素子10の中心までの最短距離と、第1外側面82から第2発光素子20の中心までの最短距離とが異なり、且つ、第3外側面84から第1発光素子10の中心までの最短距離と、第3外側面84から第2発光素子20の中心までの最短距離とが異なることが好ましい。上面視において第1発光素子10および第2発光素子20をずれて配置することで、一方の発光素子が発する光が他方の発光素子に吸収される割合を低減させることができ、光取出しが良好な発光装置とすることができる。
【0020】
発光装置100は、第1発光素子10の上面に配置される第1透光性部材15と、第2発光素子20の上面に配置される第2透光性部材25とを備える。第1実施形態に係る発光装置100では、第1透光性部材15は第1蛍光体61を含み、第2透光性部材25は蛍光体を含まない。これにより、第1透光性部材15から出射される出射光の色度と、第2透光性部材25から出射される出射光の色度とを容易に異ならせることができる。
【0021】
第1蛍光体61は、例えば、赤色の光を発する赤色蛍光体である。1931CIE色度図上における光の色度は、一般的に赤色成分が多いと色度のx値が大きくなる傾向がある。そのため、第1蛍光体61として赤色蛍光体を用いることで、第1透光性部材15から出射される出射光の色度(特にx値)と第2透光性部材25から出射される出射光の色度とを容易に異ならせることができる。第1蛍光体61は、例えば、半値幅の広い赤色蛍光体を用いることが好ましい。これにより、発光装置100の演色性を向上させることができる。赤色蛍光体の半値幅は、例えば、例えば80nm以上100nm以下であり、85nm以上95nm以下が好ましい。このような第1蛍光体61として、例えば、下記式(1)で表される組成を有する赤色蛍光体を用いることができる。
(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu(1)
式(1)で表される組成を有する赤色蛍光体を用いることで、発光装置の演色性を向上させつつ、発光装置の光取出しを向上させることができる。
また、第1蛍光体61の含有量は、例えば、第1透光性部材15の全重量に対して50〜150重量%である。
【0022】
第2透光性部材25は蛍光体を有しない。そのため、第2透光性部材25の出射光の大部分は、青色成分の多い第2発光素子20の光(発光ピーク波長が430nm〜480nmの光)となる。これにより、第2透光性部材25から出射される出射光は、色度のx値が相対的に小さい光となり、第1透光性部材15から出射される出射光の色度と、第2透光性部材25から出射される出射光の色度とを容易に異ならせることができる。
また、第2発光素子20の上面に第2透光性部材25を設けることで、第2発光素子20の上方に位置する第3蛍光体63の量を少なくすることができる。これにより、第2発光素子20の上方に出る光は、第3蛍光体63で励起される割合が少なくなる。そのため、例えば、第3蛍光体63が黄〜赤色蛍光体を含む場合、第2透光性部材25を有さない発光装置と比べて、第2発光素子20の上方に出る光を色度のx値が相対的に小さい光とすることができる。その結果、第1透光性部材15から出射される出射光の色度と、第2透光性部材25から出射される出射光の色度とをさらに容易に異ならせることができる。
【0023】
第1透光性部材15および第2透光性部材25は、発光素子の上面のみを被覆することが好ましい。換言すると、第1透光性部材15および第2透光性部材25は、発光素子の上面を被覆し、且つ、発光素子の側面を被覆しないことが好ましい。これにより、例えば、封止部材40内の第3蛍光体63として励起効率の高い蛍光体を用いた場合に。発光素子から側方に出る光を効率的に励起することができる。その結果、光取出しの良好な発光装置とすることができる。
また、第1透光性部材15および第2透光性部材25となる液状の樹脂材料を発光素子の上面に塗布する場合、発光素子の上面の縁部で表面張力が働き、樹脂材料の広がりを発光素子の縁部内に留めることができる。これにより、複数の発光装置を製造する場合に、第1透光性部材15および第2透光性部材25の形状を安定して形成することができ、製造の歩留りを向上させることができる。また、第1透光性部材15および第2透光性部材25が安定して形成されることで、所望の配光等を有する発光装置とすることができる。
なお、第1透光性部材15および第2透光性部材25は種々の方法で形成される。例えば、第1透光性部材15等は、樹脂材料を印刷、ポッティング又はスプレー法等で形成してもよく、また、シート状またはブロック状の樹脂部材を接着剤等により貼り付けて形成してもよい。また、蛍光体を含む透光性部材は、例えば、電気泳動堆積法等で形成してもよい。
【0024】
図1Gで示す発光装置100では、第1透光性部材15と第2透光性部材25とはそれぞれ離間している。第1透光性部材15と第2透光性部材25との間には封止部材40の一部が配置している。第1透光性部材15および第2透光性部材25を1つの連続した部材としないことで、第1光源(第1発光素子10および第1透光性部材15)が発する光と、第2光源(第2発光素子20および第2透光性部材25)が発する光とが互いに干渉することを抑制することができる。その結果、第1光源および第2光源それぞれの色度を、独立して容易に調整することができる。
【0025】
封止部材40は、第1透光性部材15および第2透光性部材25を被覆する。
図1Gで示す発光装置100では、封止部材40は、凹部2内に位置し、第1透光性部材15の上面、第2透光性部材25の上面、第1発光素子10の側面および第2発光素子20の側面を被覆している。
【0026】
封止部材40は、第3蛍光体63を含有する。第3蛍光体63は、1種の蛍光体であってもよいし、複数種の蛍光体であってもよい。複数種の蛍光体を用いることで、発光装置100の演色性を向上させることができる。第3蛍光体63は、例えば、下記式(2)で表される組成を有する蛍光体と、下記式(3)で表される組成を有する赤色蛍光体を含む。
(Y,Lu,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce(2)
(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu(3)
【0027】
発光装置100は、第1発光素子10だけを駆動させた場合、例えば、色温度1800〜5000Kの光を発することが可能である。また、発光装置100は、第2発光素子20だけを駆動させた場合は、例えば、第1発光素子10だけを駆動させた場合の色温度よりも高く設定され、色温度3500〜7000Kの光を発することが可能である。さらに、発光装置100は、第1発光素子10および第2発光素子20それぞれに流す電流値を調整することで、色温度1800〜7000Kの発光色の光を発することができる。これにより、発光色として幅広い相関色温度の光を発光可能な発光装置とすることができる。
【0028】
図2は、1931CIE色度図上における発光装置100の色度の一例を示す図である。
図2では、第1発光素子10および第2発光素子20に流す電流値を6つの条件でそれぞれ駆動させて発光させた発光装置100の色度を示している。6つの条件は、それぞれ、第1条件(第1発光素子:65mA、第2発光素子:0mA)、第2条件(第1発光素子:52mA、第2発光素子:13mA)、第3条件(第1発光素子:26mA、第2発光素子:39mA)、第4条件(第1発光素子:39mA、第2発光素子:26mA)、第5条件(第1発光素子:13mA、第2発光素子:52mA)および第6条件(第1発光素子:0mA、第2発光素子:65mA)である。第1条件における発光装置の色度は第1発光素子10のみを駆動させたときの発光装置100の色度を示し、第6条件における発光装置の色度は第2発光素子20のみを駆動させたときの発光装置100の色度を示す。
【0029】
第1条件の場合、発光装置100は色温度2700〜3000Kの光を発し、第6条件の場合、発光装置100は色温度5000〜6500Kの光を発する。さらに、発光装置100は、第1発光素子10および第2発光素子20それぞれに流す電流値を調整することで、色温度2700〜6500Kの発光色の光を発することができる。これにより、発光色として幅広い相関色温度の光を発光可能な発光装置とすることができる。
【0030】
以下、本発明の発光装置100に用いる各部材について詳細に説明する。
【0031】
(パッケージ)
パッケージ1は、発光素子を配置するための基台である。パッケージ1は、母体と複数のリード(複数の電極部)とを少なくとも有する。パッケージ1の母体となる材料は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックス、樹脂(例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等)、パルプ、ガラス、又はこれらの複合材料等である。パッケージ1の母体は、単層構造でもよいし、複数の層を含む多層構造でもよい。
【0032】
パッケージ1の例としては、
図1Aの発光装置100で用いられた樹脂部30と複数のリード50とを備えるパッケージを好適に用いることができる。これにより、放熱性が高く安価な発光装置とすることができる。なお、
図1Aで示す発光装置100では、パッケージ1の外側面において、複数のリード50は樹脂部30から外側に延出していないが、本実施形態の発光装置はこれに限られない。つまり、パッケージ1の外側面において、複数のリード50は樹脂部30から外側に延出していてもよい。これにより、発光素子が発する熱を効率的に外側に放熱することができる。
【0033】
また、
図1Gで示す発光装置100では、複数のリード50の下面は樹脂部30の下面と略同一面になっているが、本発明の発光装置はこれに限られない。例えば、
図3Aで示すように、パッケージ1の下面81において、複数のリード50の下面は樹脂部30の下面よりも高い位置に位置していてもよい。これにより、パッケージ1の下面81において、複数のリード50の下面と樹脂部30により窪み部3が形成される。窪み部3が形成されることで、各リードと接合する接合部材を各窪み部3内に位置させることができ、それぞれの接合部材が互いに接触し電気的にショートとなる可能性を抑制することができる。また、
図3Bで示すように、パッケージ1の下面81において、複数のリード50の下面は樹脂部30の下面よりも低い位置に位置していてもよい。これにより、パッケージ1の下面81において、複数のリード50の下面と側面の一部が樹脂部30から露出する。その結果、接合部材が複数のリード50の下面とともに側面の一部も被覆することができるので、接合部材の接合強度が向上する。
【0034】
パッケージ1の外形形状および凹部2の開口形状は、上面視において、矩形、その他の多角形、円形、楕円形等の形状とすることができる。また、凹部2の開口形状は、
図1Aで示すように、上面視において、凹部2の矩形の開口の1つの角部を面取りするなど、開口形状の一部を変形させることができる。これにより、開口の一部をアノードマークまたはカソードマークなどリードの極性を示すマークとして機能させることができる。
【0035】
パッケージ1の別の例としては、
図4Aおよび
図4Bで示すように、平板状の基板7と、基板7の上面に設けられた光反射性樹脂からなる枠体状の樹脂部30とを有するパッケージを用いることができる。
図4Aはパッケージ1の模式的上面図であり、
図4Bは
図4A中の4B−4B線における模式的端面図である。
図4Aでは、封止部材40、第1透光性部材15および第2透光性部材25等は省略して図示している。枠体状の樹脂部30は、光を反射するリフレクタとしての役割と、封止部材40を充填させるための壁としての役割を備える。基板7は、上面に複数のリード(例えば、第1リード51、第2リード52、第3リード53および第4リード54)を有する。このようなパッケージ1の大きさは、配置する発光素子数、目的および用途に応じて適宜設定される。基板7の材料としては、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子等から放出される光や外光等が透過しにくい材料を用いることが好ましい。また、パッケージ1の光反射性を高めるために、発光素子載置面に反射部材を設けても良い。反射部材は、例えば、酸化チタン等の反射性粒子と、有機物または無機物のバインダーとを混錬したものである。いわゆる白色レジストや白色インク、セラミックスインク等が該当する。有機物のバインダーとしては、耐熱性・耐光性に優れたシリコーン樹脂を用いることが特に好ましい。これにより、基板7の表面で光を反射して、光取り出し効率の高い発光装置とすることができる。
【0036】
図4Aおよび
図4Bで示す発光装置では、第1発光素子10および第2発光素子20が交互に配置されている。これにより、第1発光素子10および第2発光素子20から出射される光を十分に混色させることができ、上面視における発光装置の色むらを抑制することができる。なお、第1発光素子10および第2発光素子20の配置はこれに限らない。例えば、第1発光素子10および第2発光素子20は、X方向またはY方向に同一の発光素子からなる発光素子群が列状に配置することができ、または、同心円状に配置することもできる。
【0037】
また、パッケージ1は、凹部2を有しない形態であってもよい。例えば、パッケージ1は、長尺状の基板を用いることができる。このようなパッケージ1は、例えば可撓性を有し、リールなどによってロール状に巻き取った状態で保管できるとともに、曲面に沿わせて取り付けることができる。基板の材料として、例えば、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの絶縁性樹脂を好適に用いることができる。また、基板の厚みは、例えば、10μm〜200μm程度とすることができる。
【0038】
(複数のリード)
複数のリード50は、導電性を有し、発光素子に給電するための電極として機能する。複数のリード50は、母材として、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、ニッケル、又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅などの金属を用いることができる。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。特に、母材には安価で放熱性が高い銅を用いることが好ましい。また、複数のリード50は、母材の表面に金属層を有していてもよい。金属層は、例えば、銀、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、銅、又はこれらの合金などを含む。なお、金属層は、複数のリード50の全面に設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。また、金属層は、リードの上面に形成される領域と、リードの下面に形成される領域とで異なる層にすることができる。例えば、リードの上面に形成される金属層は、ニッケルおよび銀の金属層を含む複数層からなる金属層であり、リードの下面に形成される金属層は、ニッケルの金属層を含まない金属層である。また、例えば、リードの上面に形成される銀等の金属層は、リードの下面に形成される銀等の金属層よりも厚くすることができる。
【0039】
複数のリード50の最表面に銀を含む金属層が形成される場合は、銀を含む金属層の表面に酸化ケイ素等の保護層を設けることが好ましい。これにより、銀を含む金属層が大気中の硫黄成分等によって変色することを抑制することができる。保護層の成膜方法は、例えばスパッタ等の真空プロセスによって成膜することができるが、その他の既知の方法を用いてもよい。
【0040】
複数のリード50は、少なくとも第1リード51、第2リード52および第3リード53を備える。複数のリード50が少なくとも3つのリードを有することで、複数の発光素子をそれぞれ独立して駆動させることができる。なお、複数のリード50は、4つ以上のリードを備えていてもよく、例えば、第1リード51、第2リード52および第3リード53に加えて第4リードを備えることができる。第4リードは、放熱部材として機能してもよいし、第1リード51等と同様に電極として機能してもよい。
【0041】
(樹脂部)
樹脂部30は、母材となる樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物等の硬化体、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、エポキシ樹脂組成物や変性シリコーン樹脂組成物の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、樹脂部30の樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたシリコーン樹脂組成物(例えばSMC樹脂)を用いることが好ましい。
【0042】
樹脂部30は、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等である。
【0043】
また、樹脂部30は、発光装置100のコントラストを向上させるために、発光装置100の外光(多くの場合、太陽光)に対して光反射率が低い充填剤を含有してもよい。この場合、樹脂部30は、例えば、黒色ないしそれに近似した色である。充填剤としては、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物、もしくは有色有機顔料などを目的に応じて利用することができる。
【0044】
なお、本発明の発光装置は、パッケージ1を備えていなくてもよい。
図5Aは発光装置の一例を示す模式的上面図であり、
図5Bは
図5A中の5B−5Bにおける模式的端面図である。
図5Aおよび
図5Bで示す発光装置100Aは、パッケージ1を備えていない。発光装置100Aは、第1発光素子10および第2発光素子20と、第1発光素子10の上面上に配置された第1透光性部材15と、第2発光素子20の上面上に配置された第2透光性部材25と、各発光素子の側面に配置された透光層8と、透光層8の外面を覆う樹脂部30とを備える。第1透光性部材15内には第1蛍光体61が含有される。また、
図5Bで示す発光装置100Aでは、透光層8は発光素子の上面を被覆している。
【0045】
透光層8は、各発光素子の側面を覆っており、各発光素子の側面から出射される光を発光装置の上面方向に導光する。つまり、各発光素子の側面に到達、した光の一部は側面で反射され発光素子内で減衰するが、透光層8は、その光を透光層8を通して発光素子の外側に取り出すことができる。透光層8は、樹脂部30で例示した樹脂材料を用いることができ、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。なお、透光層8は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、透光層8に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。
【0046】
樹脂部30は、各発光素子の側面に設けられた透光層8の外面と、各発光素子の側面の一部とを覆っている。樹脂部30は、例えば、透光層8と各発光素子との熱膨張率差(これを「第1の熱膨張率差ΔT30」と称する)と、樹脂部30と各発光素子との熱膨張率差(これを「第2の熱膨張率差ΔT40」と称する)とを比較したときに、ΔT40<ΔT30となるように、樹脂部30となる樹脂材料が選択される。これにより、各発光素子から透光層8が剥離することを抑制することができる。
【0047】
また、
図5Cで示す発光装置100Bは、発光装置100Aの変形例である。発光装置100Bでは、前述の透光層が第1透光性部材15および第2透光性部材25に対応する。つまり、第1蛍光体61は、前述の透光層に含まれていてもよい。これにより、発光装置100Aと比較して、部材数を減らすことができ安価な発光装置とすることができる。また、発光装置100Bの封止部材40は、板状の蛍光体を用いることができる。板状の蛍光体は、例えば、蛍光体の焼結体やガラス又はセラミック等に蛍光体を含有させたものを用いることができる。これにより、発光装置100Bは、例えば、高出力の発光装置として利用することができる。
【0048】
(第1発光素子、第2発光素子)
第1発光素子10および第2発光素子20は、発光装置100の光源として機能し、さらに蛍光体の励起源となる。第1発光素子10および第2発光素子20には、発光ダイオード素子などを用いることができ、可視域の発光が可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
第1発光素子10および第2発光素子20は、それぞれの発光ピーク波長が430nm〜480nmである。第1発光素子10および第2発光素子20が近紫外領域よりも長波長側の発光ピーク波長を有することで、近紫外領域の光の問題(例えば、人体や照射物に悪影響を及ぼしたり、発光装置の構成部材が劣化し発光装置の発光効率が大幅に低下するという問題)を抑制することができる。発光装置100は、少なくとも2つの発光素子を備えていればよく、3つ以上の発光素子を備えていてもよい。
【0049】
(第1透光性部材、第2透光性部材)
第1透光性部材15は第1発光素子10の上面上に位置し、第2透光性部材25は第2発光素子20の上面上に位置する。第1透光性部材15は、第1蛍光体61を含む。第1透光性部材15等は、発光素子の上面と直接接して配置していてもよいし、発光素子の上方に位置し、第1透光性部材15等と発光素子の上面との間に別の部材(例えば、上述した保護層)が位置していてもよい。
また、第1透光性部材15および第2透光性部材25は、発光素子の側面をさらに被覆することができる。第1透光性部材15等が発光素子の上面および側面を被覆することで、発光素子の上方に出射する光と側方に出射する光との色ムラを抑制することができる。なお、第1透光性部材15および第2透光性部材25の双方が発光素子の上面および側面を被覆することができ、また、例えば、片方の透光性部材のみが発光素子の上面および側面を被覆することもできる。
図6では、第1透光性部材15は、第1発光素子10の上面上に配置し、第1発光素子10の側面は被覆していない。第2透光性部材25は、第2発光素子20の上面および側面を被覆し、さらに第1発光素子10の側面および第1透光性部材15を被覆している。これにより、第1発光素子10および第2発光素子20から出射される光を十分に混色することができ、例えば、発光装置100Bを上方から見たときの色むらを抑制することができる。
【0050】
第1透光性部材15および第2透光性部材25は、種々の形状とすることができる。特に、第1透光性部材15および第2透光性部材25は、
図1Gで示すように、略半球状または略半楕円体であることが好ましい。換言すると、第1透光性部材15および第2透光性部材25は、上面の全てが曲面となることが好ましい。これにより、第1発光素子10等から出射される光が、第1透光性部材15等の表面で反射されて第1発光素子10等側に戻ることを抑制することができる。
【0051】
第1透光性部材15および第2透光性部材25は、高さ方向において、同じ高さであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、高さ方向において、第1透光性部材15は第2透光性部材25よりも高くすることができる。これにより、例えば、第1透光性部材15中に含有させる第1蛍光体61の含有量を増加させることができる。これにより、第1透光性部材15から出射される光の色度と、第2透光性部材25から出射される光の色度とを容易に異ならせることができる。
【0052】
第1透光性部材15および第2透光性部材25は、母材となる樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。母材となる樹脂材料は、樹脂部30の母材として用いることができる樹脂材料を用いることができる。特に、シリコーン樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物を用いることが好ましい。また、第1透光性部材15および第2透光性部材25には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの光散乱粒子を分散させることができる。また、第1透光性部材15の母材となる樹脂材料と、第2透光性部材25の母材となる樹脂材料とは屈折率を異ならせることができる。
【0053】
第1蛍光体61は、第1発光素子10の光で励起する蛍光体であればよく、例えば、(Ca,Sr,Ba)
5(PO
4)
3(Cl,Br):Eu、(Sr,Ca,Ba)
4Al
14O
25:Eu、(Ca,Sr,Ba)
8MgSi
4O
16(F,Cl,Br)
2:Eu、(Y,Lu,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、3.5MgO・0.5MgF
2・GeO
2:Mn、(x-s)MgO・(s/2)Sc
2O
3・yMgF
2・uCaF
2・(1-t)GeO
2・(t/2)M
t2O
3:zMn、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、CaSc
2O
4:Ce、(La,Y)
3Si
6N
11:Ce、(Ca,Sr,Ba)
3Si
6O
9N
4:Eu、(Ca,Sr,Ba)
3Si
6O
12N
2:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si
2O
2N
2:Eu、(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、(Ca,Sr,Ba)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)Ga
2S
4:Eu、K
2(Si,Ti,Ge)F
6:Mnの蛍光体を用いることができる。
【0054】
なお、第1透光性部材15又は第2透光性部材25は、樹脂材料以外に、セラミック、ガラスまたは蛍光体の焼結体等から形成されてもよい。これにより、高出力の発光装置において発光装置の信頼性を向上させることができる。
【0055】
(封止部材)
発光装置100は、第1透光性部材15および第2透光性部材25を被覆する封止部材40を備える。封止部材40は、発光素子等を外力や埃、水分などから保護することができる。封止部材40は、発光素子から出射される光の60%以上を透過するもの、さらに90%以上を透過するものが好ましい。封止部材40の母材としては、樹脂部30で用いられる樹脂材料を用いることができる。母材となる樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができ、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはこれらを1つ以上含む樹脂を用いることができる。封止部材は単一層から形成することもでき、また、複数層から構成することもできる。また、封止部材40には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの光散乱粒子を分散させることができる。
【0056】
封止部材40は、発光素子からの光の波長を変換する第3蛍光体63を含む。第3蛍光体63は、1種の蛍光体であってもよいし、複数種の蛍光体であってもよい。第3蛍光体63として複数種の蛍光体を用いることで、発光装置100の演色性等を向上させることができる。第3蛍光体63としては、第1蛍光体61で用いられる蛍光体を用いることができる。第3蛍光体63として、半値幅の広い蛍光体を用いることが好ましく、例えば、(Y,Lu,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ceを用いることが好ましく、さらに、(Y,Lu,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ceと(Sr,Ca)AlSiN
3:Euとを混合したものを用いることがさらに好ましい。これにより、演色性の高い発光装置とすることができる。また、第3蛍光体63は、第1蛍光体61と同等の波長の光を発する蛍光体、又は、第1蛍光体61よりも短波の光を発する蛍光体であることが好ましい。これにより、第1蛍光体61から発する光が第3蛍光体63に吸収される割合を抑制することができる。
【0057】
光散乱粒子および/又は蛍光体の含有量は、例えば、封止部材40の全重量に対して10〜150重量%程度であることが好ましい。
【0058】
なお、封止部材40は、樹脂材料以外に、セラミック、ガラスまたは蛍光体の焼結体等から形成されてもよい。これにより、高出力の発光装置において発光装置の信頼性を向上させることができる。また、高出力の発光装置の場合は、第1透光性部材15、第2透光性部材25および封止部材40をセラミック、ガラスまたは蛍光体の焼結体等で形成することができる。
【0059】
(保護素子)
発光装置100は、静電耐圧を向上させるために保護素子を備えることができる。
図1Aで示す発光装置100では、保護素子11は第2リード52の上面に位置している。保護素子は、1つであってもよいし、複数あってもよい。例えば、発光装置100は、1つの発光素子に対して1つの保護素子を配置することができる。発光装置100では、各発光素子の導電路が別になっているので、それぞれの発光素子に対して1つの保護素子を配置することで、発光装置100の静電耐圧をより向上させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
図7Aは第2実施形態に係る発光装置200の模式的上面図であり、
図7Bは発光装置200の模式的下面図であり、
図7Cは
図7A中の7C−7C線における模式的端面図である。
図7Aでは、凹部2の内部が分かりやすいように封止部材40および光反射性部材5を省略して図示している。発光装置200は、素子載置領域を取り囲む溝部4を備える点と光反射性部材5を備える点で、第1実施形態に係る発光装置100と主に異なる。従って、発光装置200について、溝部4および光反射性部材5を中心に説明する。
【0061】
発光装置200は、
図7Aで示すように、素子載置領域を取り囲む溝部4を有する。溝部4は、後述する光反射性部材5となる樹脂材料を堰き止める堰き止め部として機能する。溝部4は、凹部2の底面において、光反射性部材5が形成される領域(外周領域)と素子載置領域との間に配置される。
【0062】
溝部4は、連続する1つの溝であってもよいし、断続的に形成された複数の溝であってもよい。溝部4が断続的に形成された複数の溝である場合、各溝の離間距離は、狭い距離に設定されることが好ましい。これにより、光反射性部材5となる樹脂材料が発光素子の側面に達することを抑制することができる。各溝の離間距離は、例えば、1μm〜100μmであり、好ましくは10μm〜50μmである。
【0063】
光反射性部材5は、凹部2内において光反射面を形成し、第1発光素子10および第2発光素子20等の光を効率よく上方に取り出す機能を有する。光反射性部材5の光反射面は、凹部2の内側面と溝部4との間に位置する。発光装置200は、光反射性部材5を備えることで、発光装置の光取り出しを高めることができる。
【0064】
光反射性部材5は発光素子からの光や外光などに対して透過や吸収が起こりにくい部材が好ましい。光反射性部材5は、白色であることが好ましい。光反射性部材5の母材となる樹脂材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジンや、PPAやシリコーン樹脂などを用いることができる。光反射性部材5は、これらの母材となる樹脂材料に光反射性物質を含有する。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムである。光反射性部材5は、未硬化の状態の粘度が樹脂部30の未硬化の状態の粘度よりも低いことが好ましい。これにより、凹部2内において、光反射性部材5の流動が良好となり、光反射性部材5が充填不足となる可能性を抑制することができる。光反射性部材5の未硬化の状態の粘度は、1pa・s〜20pa・sであることが好ましく、5pa・s〜15pa・sであることがより好ましい。また、光反射性部材5は、未硬化の状態でチクソ性が高いことが好ましい。
【0065】
光反射性部材5は、樹脂部30よりも光反射率が高いことが好ましい。例えば、光反射性部材5に含有される光反射性物質(例えば酸化チタン)の含有量は、樹脂部30に含有される光反射性物質(例えば酸化チタン)の含有量よりも多い。具体的には、光反射性部材5に含有される光反射性物質の含有量は、樹脂部30に含有される光反射性物質の含有量の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、2.5倍以上であることがさらに好ましい。例えば、光反射性部材5には、未硬化の樹脂材料の全重量のうち酸化チタンが30〜75重量%含有されており、樹脂部30には、未硬化の樹脂材料の全重量のうち酸化チタンが15〜20重量%含有されている。
【0066】
(第3実施形態)
図8Aは第3実施形態に係る発光装置300の模式的上面図であり、
図8Bは発光装置300の模式的下面図である。発光装置300は、第4リード54をさらに備える点と保護素子を複数備える点で、第1実施形態に係る発光装置100と主に異なる。従って、発光装置300について、発光装置100と異なる点を中心に説明する。
【0067】
発光装置300は、複数のリード50として第4リード54をさらに備える。
図8Aで示す発光装置300では、第1発光素子10は第1リード51の上面に配置され、第2発光素子20は第2リード52の上面に配置されている。そして、第1発光素子10の正負の電極のうち一方の電極は、ワイヤにより第1リード51と接続され、他方の電極はワイヤにより第3リード53と接続される。また、第2発光素子20の正負の電極のうち一方の電極は、ワイヤにより第2リード52と接続され、他方の電極はワイヤにより第4リード54と接続される。これにより、第1発光素子10の導電路(第1リード51および第3リード53)と第2発光素子20の導電路(第2リード52および第4リード54)とを完全に分離することができる。そのため、第1発光素子10および第2発光素子20それぞれに流れる電流値を自由度高く調整することができる。
【0068】
発光装置300は、保護素子を複数備える。
図8Aで示す発光装置300は、第1保護素子11と第2保護素子12とを備える。第1保護素子11は第3リード53の上面に配置され、第2保護素子12は、第4リード54の上面に配置されている。発光装置300では、第1発光素子10の導電路と第2発光素子20の導電路とが独立しているので、それぞれの発光素子に対して1つの保護素子を配置することで、発光装置300の静電耐圧をさらに向上させることができる。
【0069】
また、
図8Cで示すように、発光装置300は、凹部2の底面に位置する樹脂部30の上面に凹み部9を有することが好ましい。発光装置300が凹み部9を有することで、樹脂部30と封止部材40との密着性を向上させることができる。凹み部9は、種々の形状とすることができ、例えば、上面視において、第1リード51と第2リード52との間、第1リード51と第3リード53との間、第2リード52と第4リード54との間、又は、第3リード53と第4リード54との間に形成することができ、さらに、それらの領域に連続して形成することができる。
図8Cでは、凹み部9は、上面視において、第1リード51と第2リード52との間、第1リード51と第3リード53との間および第2リード52と第4リード54との間に連続して形成されている。
【0070】
図8Dは、発光装置300を実装する実装基板の配線120を示す模式的上面図である。また、図中の破線で示す部分は発光装置300の外縁を示す。
図8Dで示す実装基板の配線120は、第1配線部70a、第2配線部70b、第3配線部70cおよび第4配線部70dを有している。また、第1配線部70a等は、第1幅h1を有する幅狭部71と、第1幅h1よりも幅が広い第2幅h2を有する幅広部72とを有している。発光装置300の下面に位置する複数のリード50は、接合部材を介して、実装基板側の配線120と電気的に接続される。具体的には、第1配線部70aの幅狭部71上に第1リード51が位置し、第2配線部70bの幅狭部71上に第2リード52が位置し、第3配線部70cの幅狭部71上に第3リード53が位置し、第4配線部70dの幅狭部71上に第4リード54が位置する。各幅狭部71上に位置するリードの幅を幅狭部71の第1幅h1と対応させることで、発光装置300のセルフアライメント性を向上させることができる。また、発光装置300の外縁が各配線部の幅広部72上に位置するように発光装置300を配置することで、発光装置300が回転した場合に幅広部72の外縁でセルフアライメントを働かせることができる。その結果、発光装置300のセルフアライメント性をさらに向上させることができる。
【0071】
次に、
図8Eにおいて実装基板の配線120上に接合部材を形成した様子を示す。実装基板の配線120上の接合部材は、例えば、開口部75を備えたマスクを用い、開口部内に接合部材を配置することで形成することができる。マスクの厚みは、例えば、50〜200μmであり、75〜150μmであることが好ましく、90〜120μmであることがより好ましい。これにより、適切な接合部材の量を配線上に配置することができ、例えば、接合部材の量が過剰になることで発光装置が傾いて配置されたり、発光装置300のセルフアライメントが働きにくかったりする可能性を低減することができる。
図8Eにおいて、ハッチングを施した領域がマスクの開口部75(接合部材が形成される領域)である。マスクの開口部75の外縁は、上面視において、各配線部の外縁と一致していてもよく、また各配線部の外縁と一致していなくてもよい。
図8Eで示す開口部75の外縁は、一部が配線部の外縁と一致し、その他の一部が配線部の外縁よりも内側に位置している。具体的には、上面視において、開口部75と隣接する開口部75との離間距離は、対応する配線部と配線部との離間距離よりも大きくなるように各開口部75を配置している。これにより、接合部材が溶融した際に、接合部材が各配線部に跨って広がり、電気的に短絡する可能性を低減することができる。これにより、接合部材の量を少なくしつつ、各配線部に接合部材が広がりやすくなる。また、開口部75は、
図8Eで示すように、幅狭部76と、幅広部77と、幅狭部76と幅広部77との間にある中間部78を備えることが好ましい。中間部78の幅(図中の左右の幅)は、幅狭部76の幅よりも広く、幅広部77の幅よりも狭い。開口部75が中間部78を備えることで、接合部材が開口部75内に広がりやすくすることができる。
また、マスクの各開口部75の平面積の合計は、実装基板の各配線部の平面積の合計に対して30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、接合部材の量が不足して、発光装置300と実装基板との接合強度が低下する可能性を低減することができる。また、マスクの各開口部75の平面積の合計は、実装基板の各配線部の平面積の合計に対して100%未満であることが好ましい。これにより、接合部材が溶融した際に、接合部材が各配線部に跨って広がり、電気的に短絡する可能性を低減することができる。
【0072】
次に、
図8Fに発光装置300の変形例として発光装置300Aを示す。発光装置300Aは、凹部2の側壁の一部に凸部9aを有する。凸部9aは、パッケージ1の外側面からパッケージ1の内側に向かう方向に突出する形状を有する。凸部9aは、複数のリード50のうち少なくとも2つのリードに跨って形成されることが好ましい。これにより、少なくとも2つのリード間の強度が高くなり、パッケージ1の強度が向上する。
図8Fで示す発光装置300Aでは、凸部9aは、第1リード51と第2リード52との間に跨って形成され、また、第3リード53と第4リード54との間に跨って形成されている。これにより、パッケージ1の強度を向上させることができる。また、発光装置300Aのように、各リードの離間領域が凹部2の側壁から対向する側壁まで直線上に形成されている場合、パッケージ1の強度は低くなることがある。このような発光装置300Aの場合に、各リードの離間領域の直線上に凸部9aを配置することで、パッケージ1の強度の低下を抑制することができる。発光装置300Aでは、凸部9aは、各リードの離間領域(第1リード51と第2リード52との離間領域および第3リード53と第4リード54との離間領域)の直線上に形成されている。これにより、パッケージ1の強度を効果的に向上させることができる。
【0073】
また、発光装置300Aは、凹部2の側壁に第1凹部9bを有することが好ましい。発光装置300Aは、第1凹部9bを有することで封止部材40との密着強度が向上する。また、発光素子や保護素子と接続するワイヤの一端を第1凹部9bの近傍に接続することで、ワイヤを接続する領域を大きく確保することができ、ワイヤの接続不良等の可能性を低減することができる。
図8Fで示す発光装置300Aでは、第1保護素子11および第2保護素子12と接続するワイヤの一端がそれぞれ第1凹部9bの近傍に接続されている。
【0074】
発光装置300Aは、保護素子を被覆する光反射性部材5を有することが好ましい。これにより、発光素子からの光が保護素子に吸収される可能性を低減することができる。
また、発光装置300Aは、保護素子の近傍のリードの上面に第2凹部9cを有することが好ましい。第2凹部9cは、一のリードの上面において、発光素子と接続するワイヤの一端が接続する領域と、保護素子との間に位置することが好ましい。これにより、保護素子を接合する接合部材が、発光素子と接続するワイヤの一端が接続する領域に拡がることを抑制することができ、ワイヤの接続不良等を起こす可能性を低減することができる。また、第2凹部9cは、上面視において、直線形状、曲線形状または直線又は曲線を組み合わせた形状であってもよい。第2凹部9cは、例えば、上面視において
図8Fで示すように屈曲する形状とすることができる。屈曲する形状は、例えば、L字状である。これにより、保護素子を接合する接合部材や上述の光反射性部材5が発光素子のワイヤの一端が接続する領域側に流れた場合に、接合部材等と接する第2凹部9cの接触面積を大きくすることができる。その結果、発光素子のワイヤが接続不良になる可能性を低減することができ、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0075】
次に、
図8Gにおいて、発光装置300Aの変形例として発光装置300Bを示す。発光装置300Bは、凹部2の側壁の一部に第1凸部9aaと、平面視において第1凸部9aaの幅と異なる幅を有する第2凸部9abとを有する。第1凸部9aaおよび第2凸部9abの平面視における形状を異ならせることで、例えば、発光装置300Bのリードの極性を示すマークとして機能させることができる。なお、
図8Gで示す発光装置300Bでは、第1凸部9aaおよび第2凸部9abは凹部2の底面から樹脂パッケージ1の上面80まで形成されている。また、第1凸部9aaおよび第2凸部9abは樹脂部30の一部になっている。
【0076】
発光装置300Bは、凹部2の側壁において、保護素子のワイヤの一端および発光素子のワイヤの一端の近傍に第1凹部9bを有する。発光装置300Bは、複数の第1凹部9bを有することで封止部材40との密着強度が向上する。また、発光素子および保護素子と接続するワイヤの一端を第1凹部9bの近傍に接続することで、ワイヤを接続する領域を大きく確保することができる。特に、
図8Hで示すように、発光素子10、20と接続するワイヤYの一部が透光性部材15、25内に位置する場合、透光性部材15、25とワイヤYの傾斜部X(
図8Hにおいては、ワイヤYの屈曲部と、ワイヤYとリードとの接続部との間の部分)との離間距離を容易に大きくすることができる。これにより、例えば、発光素子の上方に透光性部材となる樹脂材料を塗布した際に、その樹脂材料がワイヤを伝って流動する可能性を低減することができる。その結果、所望の形状を有する透光性部材を形成することができる。
図8Gで示す発光装置300Bでは、第1発光素子10、第2発光素子20、第1保護素子11および第2保護素子12と接続するワイヤの一端が第1凹部9bの近傍に接続されている。
【0077】
また、
図8Jおよび
図8Kにおいて、ワイヤYの別の形状を示す。
図8Jにおいて、ワイヤYは、透光性部材15、25の内側から外側に延びる直線部Zを有する。そして、直線部Zは、直線部Zと透光性部材15、25の上面の法線とで形成される角度θが90度±15度になるように形成される。これにより、例えば、発光素子10、20の上方に透光性部材15、25となる樹脂材料を塗布した際に、その樹脂材料がワイヤを伝って流動する可能性を低減することができる。その結果、所望の形状を有する透光性部材を形成することができる。また、発光素子の電極とワイヤYとの接続部分Cは、発光素子の電極の位置や電極形状等により種々変更がなされる。このような場合は、
図8Kで示すように、接続部分Cと直線部Zとの間に複数の屈曲点を形成し、直線部Zの始点と終点との位置を調整してもよい。これにより、直線部Zと透光性部材とで形成される角度θを所望の角度にすることができる。
図8Kでは、ワイヤYは、3つの屈曲点R、S、Tを有し、接続部分Cから屈曲点Rまで上方向に延びる第1ワイヤ部YAと、屈曲点Rから屈曲点Sまで延びる第2ワイヤ部YBと、屈曲点Sから屈曲点Tまで延びる直線部Zと、屈曲点Tからリードの上面まで延びる第3ワイヤ部YCとを有している。高さ方向において、屈曲点Sの位置は、屈曲点Rおよび屈曲点Tの位置よりも低いことが好ましい。これにより、例えば、ワイヤYのループ形状が形成しやすくなり、また、ワイヤYの耐久性を向上させることができる。
【0078】
図8Iは、発光装置300Bの複数のリード50を示す模式的上面図である。発光装置300Bは複数のリード50を備える。
図8Iで示す複数のリード50は、第1リード51、第2リード52、第3リード53および第4リード54を備えている。複数のリード50は、上面に樹脂部30の一部が入り込む第3凹部9dを備えることが好ましい。これにより、複数のリード50と樹脂部30との密着性を向上させることができる。第3凹部9dは、複数のリード50のうち、すべてのリードの上面に設けられてもよく、また一部のリードの上面にのみ設けられてもよい。また、第3凹部9dは、1つのリードの上面において、1つのみであってもよく、また2つ以上であってもよい。
図8Iで示す複数のリード50では、第1リード51および第2リード52の上面に複数の第3凹部9dが形成されている。また、第1リード51および第2リード52の上面のうち、
図8Gで示す第1凹部9bが位置する領域の近傍には第3凹部9dが形成されていない。
【0079】
図8Iの破線で囲まれている領域は、発光装置300Bの下面において、樹脂部30から露出する部分である。
図8Iで示す複数のリード50は、下面に下面凹部9eを有している。複数のリード50が下面凹部9eを有することで、下面凹部9eに樹脂部30の一部が入り込み、複数のリード50と樹脂部30との密着性を向上させることができる。また、第3凹部9dは、下面凹部9eの上方に位置しないことが好ましい。これにより、第3凹部9dと下面凹部9eとが連結(貫通)し、リードの強度が低下することを抑制することができる。
【0080】
また、発光装置300は、複数のリード50を
図9Aおよび
図9Bで示すように配置することができる。
図9Aおよび
図9Bで示す発光装置300は、凹部2の底面に角部6a、6b、6c、6dを備え、角部6aの近傍に第1発光素子10が位置し、角部6bの近傍に第1保護素子11が位置し、角部6cの近傍に第2発光素子20が位置し、角部6dの近傍に第2保護素子12が位置する。つまり、第1発光素子10および第2発光素子20は対角に配置されており、第1保護素子11および第2保護素子12は対角に配置されている。発光装置300において複数のリード50を上記のように配置することで、例えば、
図9Cで示すように実装基板側の配線パターンの引き回しを容易にする。
図9Cでは、例えば、一の列に配列された発光装置300の第1発光素子10と、一の列と隣接する別の列に配列された発光装置300の第2発光素子20とは直列に接続され、一の発光装置300内に位置する第1発光素子10および第2発光素子20は独立に駆動される。なお、実装基板側の配線パターンは種々のパターンとすることができる。
【0081】
(第4実施形態)
図10Aは第4実施形態に係る発光装置400の模式的上面図であり、
図10Bは発光装置400の模式的下面図である。発光装置400は、第2透光性部材25が第2蛍光体62を備える点で、第1実施形態に係る発光装置100と主に異なる。従って、発光装置400について、第2透光性部材25および第2蛍光体62を中心に説明する。
【0082】
発光装置400では、第1透光性部材15は第1蛍光体61を含み、第2透光性部材25は第2蛍光体62を含む。第2透光性部材25が第2蛍光体62を含むことで、第1透光性部材15から出射される出射光の色度と、第2透光性部材25から出射される出射光の色度とをさらに容易に異ならせることができる。
【0083】
第2蛍光体62の一例としては、第2蛍光体62は第1蛍光体61と同一組成の蛍光体である。第1蛍光体61および第2蛍光体62として同一組成の蛍光体を用いる場合、第1透光性部材15に含まれる第1蛍光体61の含有量は、第2透光性部材25に含まれる第2蛍光体62の含有量と異なる。例えば、第1蛍光体61および第2蛍光体62として同一組成の赤色蛍光体を用いる場合は、それぞれの蛍光体の含有量を異ならせることで、赤色蛍光体の含有量が多いほうの出射光の色度のx値を相対的に大きくすることができる。お互いに同一組成の蛍光体を用いることで、各透光性部材から出射される光の色度の調整が容易になり、混色された後の発光装置400の光を効率よく所望の光とすることができる。
【0084】
また、第2蛍光体62の別の一例としては、第1蛍光体61は長波の光を発する蛍光体であり、第2蛍光体62は短波の光を発する蛍光体である。例えば、第1蛍光体61として赤色の光を発する赤色蛍光体を用い、第2蛍光体62として青〜緑色の光を発する蛍光体を用いる。これにより、第1透光性部材15から出射される出射光の色度のx値を相対的に大きくすることができ、さらに、第2透光性部材25から出射される出射光の色度のx値を相対的に小さくすることができる。
【0085】
第1発光素子10および第2発光素子20は、それぞれの発光ピーク波長を略同等(例えば誤差5nmの範囲内)とすることができる。これにより、例えば、第1蛍光体61および第2蛍光体62として異なる種類の蛍光体を用いた場合、第1透光性部材15から出射される光の色度と第2透光性部材25から出射される光の色度とを容易に異ならせることができる。
【0086】
また、第1発光素子10および第2発光素子20は、それぞれの発光ピーク波長を10nm以上異なるようにすることができる。これにより、例えば、第1蛍光体61および第2蛍光体62として同一組成の蛍光体を略同じ含有量で用いたとしても、それぞれの色度を容易に異ならせることができる。
【0087】
なお、第1実施形態から第4実施形態で説明をした各発光装置の特徴部は他の実施形態にも好適に適用可能である。また、第1実施形態等では、第1発光素子10の上方に出射される光の色度のx値は、第2発光素子20の上方に出射される光の色度のx値よりも大きくなる場合を主に説明をしたが、これに限られない。