(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向と前記長手方向と直交する短手方向に延長する正面と、前記正面の反対側に位置する背面と、前記正面と隣接し、前記正面と直交する上面と、前記上面の反対側に位置する下面と、前記背面と前記下面とに開口する複数の窪み、を有する基材と、前記正面に配置される第1配線と、前記第1配線と電気的に接続され前記複数の窪みのそれぞれに配置される第2配線と、を有する基板と、前記第1配線と電気的に接続され、前記第1配線上に載置される少なくとも1つの発光素子と、を備える発光装置を準備する工程と、
支持基材と、前記支持基材の上面に接合領域を含む第1配線パターンと、前記接合領域を囲む絶縁領域と、を備える支持基板を準備する工程と、
前記絶縁領域上に位置する半田の体積が前記接合領域上に位置する半田の体積よりも大きくなるように前記接合領域及び前記絶縁領域上に半田を配置する工程と、
上面視において、前記半田と前記下面近傍に位置する前記第2配線とを離間させて前記発光装置を前記支持基板に載置する工程と、
前記半田を加熱溶融し、前記発光装置の第2配線と前記支持基板の前記接合領域とを接合する工程と、
を含む光源装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。さらに、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0009】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る光源装置の製造方法を
図1Aから
図11に基づいて説明する。
【0010】
実施形態1の発光装置の製造方法は、
(1)長手方向と長手方向と直交する短手方向に延長する正面と、正面の反対側に位置する背面と、正面と隣接し、正面と直交する上面と、上面の反対側に位置する下面と、背面と下面とに開口する複数の窪み、を有する基材と、正面に配置される第1配線と、第1配線と電気的に接続され複数の窪みのそれぞれに配置される第2配線と、を有する基板と、第1配線と電気的に接続され、第1配線上に載置される少なくとも1つの発光素子と、を備える発光装置を準備する工程と、
(2)支持基材と、支持基材の上面に接合領域を含む配線パターンと、接合領域を囲む絶縁領域と、を備える支持基板を準備する工程と、
(3)絶縁領域上に位置する半田の体積が接合領域上に位置する半田の体積よりも大きくなるように接合領域及び絶縁領域上に半田を配置する工程と、
(4)上面視において、半田と下面近傍に位置する第2配線とを離間させて発光装置を支持基板に載置する工程と、
(5)半田を加熱溶融し、発光装置の第2配線と支持基板の接合領域とを接合する工程と、を含む
【0011】
以上のように構成された実施の形態の光源装置の製造方法によれば、基材の下面と、支持基板の上面と、の間に加熱溶融後の半田が形成されることを抑制することができる。これにより、発光装置が支持基板に対して傾いて接合されることを抑制できる。
【0012】
(発光装置を準備する工程)
図2Bに示すように、基板10と少なくとも1つの発光素子20と、を備えた発光装置1000を準備する。基板10は、基材11と、第1配線12と、第2配線13と、を備える。基材11は、長手方向と長手方向と直交する短手方向に延長する正面111と、正面の反対側に位置する背面112と、正面と隣接し、正面と直交する上面113と、上面の反対側に位置する下面114と、を有する。また、基材11は、背面112と下面114とに開口する複数の窪み16、を有する。第1配線12は基材11の正面111に配置される。第2配線13は、第1配線12と電気的に接続され複数の窪み16内にそれぞれ配置される。尚、本明細書において直交とは、90±3°程度の変動は許容されるものとする。また、本明細書において長手方向をX方向と呼び、短手方向をY方向と呼び、背面112から正面111方向をZ方向と呼ぶことがある。
【0013】
基板10の第2配線13と、支持基板の配線パターンの一部である接合領域と、は半田によって接合される。第2配線が複数の窪み内にそれぞれ配置されることで、発光装置は複数の第2配線13を有する。発光装置が複数の第2配線を有することで第2配線が1つの場合よりも発光装置と支持基板との接合強度を向上させることができる。
【0014】
複数の窪み16のそれぞれの深さは特に限定されないが、
図2Cに示すように、Z方向における複数の窪み16のそれぞれの深さは、上面113側の窪みの深さW2よりも下面114側の窪みの深さW1が深いことが好ましい。このようにすることで、Z方向において、窪みの上面113側に位置する基材11の厚みW5を窪みの下面側に位置する基材の厚みW6よりも厚くすることができる。これにより、基材の強度低下を抑制することができる。また、Z方向における窪み16の深さが上面113側よりも下面114側で深いことで、基材11の下面114における窪み16の開口部の面積を大きくすることができる。基材11の下面114と支持基板の上面と、が対向して、発光装置と支持基板とが半田により接合される。支持基板と対向する基材の下面における窪みの開口部の面積が大きくなることで、基材11の下面114側に位置する半田の面積を大きくすることができる。これにより、発光装置と支持基板との接合強度を向上させることができる。
【0015】
窪み16は、基材を貫通していてもよく、
図2B及び
図2Cに示すように、基材11を貫通していなくてもよい。窪み16が基材を貫通していないことで、基材を貫通する窪みを備える場合よりも基材の強度を向上させることができる。窪み16が基材を貫通していない場合には、Z方向における複数の窪みのそれぞれの深さの最大は、基材の厚みW3の0.4倍から0.8倍であることで好ましい。窪みの深さが基材の厚みの0.4倍よりも深いことで、窪み内に形成される半田の体積が増加させることができるので発光装置と支持基板の接合強度を向上させることができる。窪みの深さが基材の厚みの0.8倍よりも浅いことで、基材の強度を向上させることができる。
【0016】
断面視において、窪み16は、Z方向に延びる平行部161を備えていることが好ましい。平行部161を備えることで、背面112における窪み16の開口部の面積が同じでも基材における窪み16の体積を大きくすることができる。窪み16の体積を大きくすることで、窪み内に形成できる半田の量を増やすことができるので、発光装置1000と支持基板との接合強度を向上させることができる。尚、本明細書において平行とは、±3°程度の変動は許容されるものとする。また、断面視において窪み16は、基材の下面114から基材の厚みが厚くなる方向に傾斜する傾斜部162を備えていてもよい。傾斜部162は直線でも、湾曲していてもよい。傾斜部162が直線であることで、先端が尖ったドリルにより形成が容易になる。尚、傾斜部162における直線とは、±3μm程度の変動は許容されるものとする。
【0017】
図3に示すように、基材の下面において、複数の窪み16のそれぞれにおいて中央での深さR1が、Z方向における窪みの深さの最大であることが好ましい。このようにすることで、下面において、X方向の窪みの端部で、Z方向における基材の厚みR2を厚くすることができるので基材の強度を向上させることができる。尚、本明細書で中央とは、±5μm程度の変動は許容されるものとする。窪み16は、ドリルや、レーザー等の公知の方法で形成することができる。下面において、中央の深さが最大である窪みは、先端が尖ったドリルにより容易に形成することができる。また、ドリルを用いることで、最深部が略円錐形状であり、略円錐形状の底面の円形状から連続する略円柱形状を有する窪みを形成することができる。窪みの一部をダイシング等により切断することで、最深部が略半円柱形状であり、略半円形状から連続する略半円柱形状を有する窪みを形成することができる。このようにすることで、
図4Aに示すように、背面において、窪み16の開口形状を略半円形状にすることができる。窪みの開口形状が角部のない略半円形状であることで窪みに係る応力が集中することを抑制できるので、基材が割れることを抑制することができる。
【0018】
背面において、複数の窪み16のそれぞれの形状は異なっていてもよく、
図4Aに示すように、背面において、複数の窪み16のそれぞれの形状が同一であってもよい。複数の窪みのそれぞれの形状が同一であることで、窪みの形状がそれぞれ異なる場合よりも窪みの形成が容易になる。例えば、窪みをドリル工法により形成する場合では、複数の窪みのそれぞれの形状が同一であれば、1つのドリルにより窪みを形成することができる。尚、本明細書で同一とは、±5μm程度の変動は許容されるものとする。
【0019】
図4Aに示すように、背面において複数の窪み16のそれぞれがY方向に平行な基材の中心線C1に対して左右対称に位置することが好ましい。このようにすることで、発光装置を支持基板に半田を介して接合される際にセルフアライメントが効果的に働き、発光装置を支持基板に精度よく実装することができる。
【0020】
図2Bに示すように、基板10は基材11の背面112に配置される第3配線14を備えていてもよい。また、基板10は、第1配線12と第3配線14とを電気的に接続するビア15を備えていてもよい。ビア15は基材11の正面111と背面112とを貫通する孔内に設けられる。ビア15は基材の貫通孔の表面を被覆する第4配線151と第4配線151の内側に充填された充填部材152とを備える。充填部材152は、導電性でも絶縁性でもよい。充填部材152には、樹脂材料を使用することが好ましい。一般的に硬化前の樹脂材料は、硬化前の金属材料よりも流動性が高いので第4配線151の内側に充填しやすい。このため、充填部材に樹脂材料を使用することで基板の製造が容易になる。充填しやすい樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。充填部材として樹脂材料を用いる場合は、線膨張係数を下げるために添加部材を含有することが好ましい。このようにすることで、第4配線の線膨張係数と充填部材の線膨張係数との差異が小さくなるので、発光素子からの熱によって第4配線と充填部材との間に隙間ができることを抑制できる。添加部材としては、例えば酸化ケイ素が挙げられる。また、充填部材152に金属材料を使用した場合には、放熱性を向上させることができる。
【0021】
図2B及び
図4Aに示すように、ビア15と窪み16とは接していてもよく、
図4Bに示す発光装置1001のように、ビア15と窪み16とは離間していてもよい。ビア15と窪み16とが接することで、第4配線151と第2配線とが接することができるので発光装置の放熱性を向上させることができる。ビア15と窪み16とが離間することで、ビア15と窪み16とが接する場合よりも基材の強度を向上させることができる。
【0022】
図2Bに示すように、発光素子20は、第1配線12上に配置される。発光装置1000は、少なくとも1つの発光素子20を備えていればよい。発光素子20は、基板10と対向する載置面と、載置面の反対側に位置する光取り出し面201を備える。発光素子20は少なくとも半導体積層体23を含み、半導体積層体23には素子電極21、22が設けられている。発光素子20は、基板10にフリップチップ実装されていてもよい。これにより、発光素子の素子電極に電気を供給するワイヤが不要になるので発光装置を小型化することができる。発光素子20がフリップチップ実装されている場合は、発光素子20の素子電極21、22が位置する電極形成面203と、反対側の面を光取り出し面201とする。なお、本実施形態では発光素子20は素子基板24を有するが、素子基板24を備えていなくてもよい。発光素子20が基板10にフリップチップ実装されている場合は、発光素子の素子電極21、22が導電性接着部材60を介して第1配線12と電気的に接続される。
【0023】
発光素子20は、素子電極が位置する電極形成面と、反対側の面が基板に対向して配置されてもよい。このようにする場合は、電極形成面が光取り出し面となる。発光装置は、発光素子に電気を供給するために発光素子の素子電極と第1配線とを電気的に接合するワイヤを備えていてもよい。
【0024】
発光素子20が基板10にフリップチップ実装されている場合は、
図2B、
図5に示すように、第1配線12が凸部121を備えていることが好ましい。上面視において、第1配線12の凸部121は、発光素子20の素子電極21、22と重なる位置に位置する。このようにすることで、導電性接着部材60として溶融性の接着剤を用いた場合に、第1配線の凸部121と発光素子の素子電極21、22を接続する時に、セルフアライメント効果により発光素子と基板との位置合わせを容易に行うことができる。
【0025】
図2Bに示すように、発光装置1000は、発光素子20の素子側面202及び基材の正面111を被覆する反射部材40を備えていてもよい。発光素子20の素子側面202が反射部材に被覆されることで発光領域と非発光領域とのコントラストが高くなり、「見切り性」の良好な発光装置とすることができる。
【0026】
反射部材40の材料としては、例えば、母材中に白色顔料を含有させた部材を用いることができる。反射部材40の母材としては、樹脂を用いることが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂、などを用いることが好ましい。特に、反射部材40の母材として、耐熱性及び耐光性に優れているシリコーン樹脂を用いることが好ましい。また、反射部材40の母材として、シリコーン樹脂よりも硬度が高いエポキシ樹脂を用いてもよい。このようにすることで、発光装置の強度を向上させることができる。
【0027】
反射部材40の白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、などのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。白色顔料の形状は、適宜選択でき、不定形若しくは破砕状でもよいが、流動性の観点からは、球形状であることが好ましい。また、白色顔料の粒径は、例えば、0.1μm以上0.5μm以下程度であることが好ましいが、光反射性や被覆性の効果を高めるためには、白色顔料の粒径は、小さい程好ましい。白色顔料の含有量は、適宜選択できるが、光反射性及び液状時における粘度などの観点から、例えば10wt%以上80wt%以下が好ましく、20wt%以上70wt%以下がより好ましく、30wt%以上60wt%以下が更に好ましい。なお、「wt%」とは、重量パーセントであり、反射部材の全重量に対する当該材料の重量の比率を表す。
【0028】
図6に示すように、基材の下面114側に位置する反射部材40の長手方向の側面404は、Z方向において発光装置1000の内側に傾斜していることが好ましい。このようにすることで、発光装置1000を支持基板に実装する時に、反射部材40の側面404と支持基板との接触が抑えられ、発光装置1000の実装姿勢が安定しやすい。基材の上面113側に位置する反射部材40の長手方向の側面403は、Z方向において発光装置1000の内側に傾斜していることが好ましい。このようにすることで、反射部材40の側面と吸着ノズル(コレット)との接触が抑えられ、発光装置1000の吸着時の反射部材40の損傷を抑制することができる。このように、下面114側に位置する反射部材40の長手方向の側面404及び上面113側に位置する反射部材40の長手方向の側面403は、Z方向において発光装置1000の内側に傾斜していることが好ましい。反射部材40の傾斜角度θは、適宜選択できるが、このような効果の奏しやすさ及び反射部材40の強度の観点から、0.3°以上3°以下であることが好ましく、0.5°以上2°以下であることがより好ましく、0.7°以上1.5°以下であることがよりいっそう好ましい。
【0029】
図2Bに示すように、発光装置1000は、透光性部材30を備えていてもよい。透光性部材30は、発光素子20上に位置することが好ましい。発光素子20上に透光性部材30が位置することで、発光素子を外部応力から保護することができる。反射部材40は、透光性部材30の側面を被覆することが好ましい。このようにすることで、発光領域と非発光領域とのコントラストが高くなり、「見切り性」の良好な発光装置とすることができる。
【0030】
透光性部材30は、光取り出し面201に接していてもよく、
図2Bに示すように、導光部材50を介して光取り出し面201を被覆していてもよい。導光部材50は発光素子の光取り出し面201と、透光性部材30の間のみに位置して発光素子20と透光性部材30を固定してもよいし、発光素子の光取り出し面201から発光素子の素子側面202まで被覆して発光素子20と透光性部材30を固定してもよい。導光部材50は、反射部材40よりも発光素子からの光の透過率が高い。このため、導光部材が発光素子の側面まで被覆することで、発光素子の素子側面から出射される光が導光部材を通して発光装置の外側に取り出しやすくなるので光取り出し効率を高めることができる。
【0031】
透光性部材30は、波長変換粒子を含有していてもよい。このようにすることで、発光装置の色調整が容易になる。波長変換粒子は、発光素子20が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。透光性部材30に波長変換粒子を含有させることにより、発光素子が発する一次光と、波長変換粒子が発する二次光とが混色された混色光を出力することができる。例えば、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子にYAG等の蛍光体を用いれば、青色LEDの青色光と、この青色光で励起されて蛍光体が発する黄色光とを混合させて得られる白色光を出力する発光装置を構成することができる。また、発光素子20に青色LEDを、波長変換粒子に緑色蛍光体であるβサイアロン系蛍光体と、赤色蛍光体であるマンガン賦活フッ化物系蛍光体を用いて白色光を出力する発光装置を構成してもよい。
【0032】
波長変換粒子は透光性部材中に均一に分散させてもよいし、透光性部材30の上面よりも発光素子の近傍に波長変換粒子を偏在させてもよい。透光性部材30の上面よりも発光素子の近傍に波長変換粒子を偏在させることで、水分に弱い波長変換粒子を使用しても透光性部材30の母材が保護層の機能を果たすので波長変換粒子の劣化を抑制できる。また、
図2Bに示すように、透光性部材30が波長変換粒子を含有する層31、32と、波長変換粒子を実質的に含有しない層33と、を備えていてもよい。Z方向において、波長変換粒子を実質的に含有しない層33は、波長変換粒子を含有する層31、32よりも上側に位置する。このようにすることで、波長変換粒子を実質的に含有しない層33が保護層の機能を果たすので波長変換粒子の劣化を抑制できる。水分に弱い波長変換粒子としては、例えばマンガン賦活フッ化物蛍光体が挙げられる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られ色再現性の観点において好ましい部材である。「波長変換粒子を実質的に含有しない」とは、不可避的に混入する波長変換粒子を排除しないことを意味し、波長変換粒子の含有率が0.05重量%以下であることが好ましい。
【0033】
透光性部材30の波長変換粒子を含有する層は単層でもよく、複数の層でもよい。例えば、
図2Bに示すように透光性部材30が、第1波長変換層31と、第1波長変換層31を被覆する第2波長変換層32と、を備えていてもよい。第2波長変換層32は、第1波長変換層31を直接被覆してもよく、透光性の別の層を介して第1波長変換層31を被覆してもよい。尚、第1波長変換層31は、第2波長変換層32よりも発光素子20の光取り出し面201から近い位置に配置される。第1波長変換層31に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、第2波長変換層32に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長よりも短いことが好ましい。このようにすることで、発光素子に励起された第1波長変換層31からの光によって、第2波長変換層32の波長変換粒子を励起することができる。これにより、第2波長変換層32の波長変換粒子からの光を増加させることができる。
【0034】
第1波長変換層31に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、500nm以上570nm以下であり、第2波長変換層32に含有される波長変換粒子の発光ピーク波長は、610nm以上750nm以下であることが好ましい。このようにすることで、色再現性の高い発光装置とすることができる。例えば、第1波長変換層31に含有される波長変換粒子としてβサイアロン系蛍光体が挙げられ、第2波長変換層32に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体が挙げられる。第2波長変換層32に含有される波長変換粒子としてマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体を用いる場合には、特に、透光性部材30が、第1波長変換層31と、第2波長変換層32と、備えることが好ましい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体は輝度飽和を起こしやすいが、第2波長変換層32と発光素子20との間に第1波長変換層31が位置することで発光素子からの光が過度にマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体に照射されることを抑制することができる。これにより、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の劣化を抑制することができる。
【0035】
透光性部材は、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、禁制遷移により二次光を発する第1波長変換粒子と、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、許容遷移により二次光を発する第2波長変換粒子と、を備えていてもよい。一般的に、禁制遷移により二次光を発する第1波長変換粒子は、許容遷移により二次光を発する第2波長変換粒子より残光時間が長い。このため、透光性部材が第1波長変換粒子と、第2波長変換粒子と、を備えることで、透光性部材が第1波長変換粒子のみを備えている場合よりも残光時間を短くすることができる。例えば、第1波長変換粒子としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばK
2SiF
6:Mn)が挙げられ、第2波長変換粒子としては、CASN系蛍光体が挙げられる。透光性部材がCASN系蛍光体と、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体と、を含有することで、透光性部材がマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体のみを含有する場合よりも残光時間を短くすることができる。また、一般的にマンガン賦活フッ化珪酸カリウムは、CASN系蛍光体よりも半値幅が狭い発光ピークを有するので、色純度が高くなり色再現性が良好となる。このため、透光性部材がCASN系蛍光体と、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体と、を含有することで、透光性部材がCASN系蛍光体のみを含有する場合よりも色再現性が良好となる。
【0036】
例えば、透光性部材に含まれるマンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の重量は、CASN系蛍光体の蛍光体の重量の0.5倍以上6倍以下が好ましく、1倍以上5倍以下がより好ましく、2倍以上4倍以下が更に好ましい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の重量が増えることで発光装置の色再現性が良好となる。CASN系蛍光体の蛍光体の重量が増えることで残光時間を短くすることができる。
【0037】
マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の平均粒径は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。また、CASN系蛍光体の平均粒径は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体及び/又はCASN系蛍光体の平均粒径が30μm以下であることにより、発光素子からの光が波長変換粒子に拡散されやすくなるので、発光装置の配光色度ムラを抑制することができる。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体及び/又はCASN系蛍光体の平均粒径が5μm以上であることにより、発光素子からの光を取り出しやすくなるので発光装置の光取り出し効率が向上する。
【0038】
CASN系蛍光体と、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体とは、透光性部材の同じ波長変換層に含有されていてもよく、透光性部材が複数の波長変換層を備える場合には、異なる波長変換層に含有されていてもよい。マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体とCASN系蛍光体とが異なる波長変換層に含有されている場合には、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体と、CASN系蛍光体と、で光のピーク波長が短い波長変換粒子が発光素子に近くに位置することが好ましい。このようにすることで、光のピーク波長が短い波長変換粒子からの光によって、光のピーク波長が長い波長変換粒子を励起することができる。例えば、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体の光のピーク波長が631nm付近でCASN系蛍光体の光のピーク波長が650nm付近である場合には、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体が発光素子に近いことが好ましい。
【0039】
第2波長変換粒子としては、他にもSCASN系蛍光体、SLAN蛍光体(SrLiAl
3N
4:Eu)等が挙げられる。例えば、透光性部材は、SLAN蛍光体と、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体と、を含有していてもよい。また、透光性部材が赤色蛍光体である第1波長変換粒子及び第2波長変換粒子と、緑色蛍光体であるβサイアロン系蛍光体と、を含有していてもよい。このようにすることで、発光装置の色再現性が良好になる。
【0040】
(支持基板を準備する)
図7A、
図7Bに示すように、支持基材70と、支持基材70の上面701に接合領域810を含む第1配線パターン81と、接合領域810を囲む絶縁領域811と、を備える支持基板5000を準備する。支持基材70とは、絶縁性の部材である。支持基板の接合領域810とは、第1配線パターン81の一部であり、半田によって発光装置の第2配線と接合される部分である。接合領域810を囲む絶縁領域811とは、
図7Aに示すように支持基材70の上面701が外部に露出される場合には、支持基材70が上面701に絶縁領域811を備えている。接合領域810が絶縁領域811に囲まれることで溶融した半田が濡れ広がりを制御しやすくなる。これにより、セルフアライメント効果が大きくなり、発光装置の実装性が向上する。一般的に溶融した半田は、支持基材上よりも第1配線パターン上を濡れ広がりやすい。支持基材及び第1配線パターンは、公知の材料を用いることができる。
【0041】
図7Bに示すように支持基板5000に示すように支持基材の下面に位置する第2配線パターン82を備えていてもよい。支持基材の上面に位置する第1配線パターン81と、支持基材の下面に位置する第2配線パターン82と、はビアによって電気的に接続されていてもよい。また、基板の上面に電気を給電する給電部85を備えている場合には、給電部85と、第2配線パターン82と、がビアによって電気的に接続されていてもよい。
【0042】
図8A、
図8Bに示すように、支持基板5001は、支持基材70の上面701及び第1配線パターン81を被覆する絶縁層72を備えていてもよい。絶縁層72が第1配線パターン81の接合領域810を囲んでいる場合には、絶縁層72が絶縁領域811を備えている。一般的に溶融した半田は、絶縁層上よりも第1配線パターン上を濡れ広がりやすい。尚、第1配線パターンの接合領域を支持基材及び絶縁層で囲んでいる場合には、絶縁領域を支持基材及び絶縁層が備えていてもよい。
【0043】
(接合領域及び絶縁領域上に半田を配置する)
図9A、
図9Bに示すように、絶縁領域811上に位置する半田90の体積が接合領域810上に位置する半田90の体積よりも大きくなるように接合領域810及び絶縁領域811上に半田90を配置する。このようにすることで、接合領域810上に位置する半田90の体積を減少させることができる。これにより、後述する発光装置と支持基板とを半田により接合する時に、溶融した半田が基材の下面と支持基板の上面との間に侵入することを抑制することができる。このため、発光装置と、支持基板と、を接合した際に、基材の下面と支持基板との上面との間に加熱溶融後の半田が形成されることを抑制できるので、支持基板に対して発光装置が傾くことを抑制することができる。
【0044】
図9Aに示すように、上面視における絶縁領域上811に位置する半田90の最大幅D2が接合領域810上に位置する半田90の最大幅D1よりも広いことが好ましい。このようにすることで、絶縁領域811上に位置する半田90の体積が接合領域810上に位置する半田90の体積よりも大きくしやすくなる。尚、本明細書において半田90の最大幅とはX方向における半田の幅の最大値とする。
【0045】
図9Bに示すように、断面視における絶縁領域上811に位置する半田90の上面と接合領域810上に位置する半田90の上面とが面一でもよい。例えば、支持基板上に開口部を有するメタルマスクを配置し、スクリーン印刷法により、メタルマスクの開口部に半田を形成することで、絶縁領域上に位置する半田の上面と接合領域上に位置する半田の上面とを面一にすることができる。尚、本明細書において面一とは、±5μm程度の変動は許容されるものとする。
【0046】
断面視における絶縁領域上に位置する半田の最大厚みは、接合領域上に位置する半田の最大厚みと同じでもよく、断面視における絶縁領域上に位置する半田の最大厚みは、接合領域上に位置する半田の最大厚みよりも薄くてもよく、
図9B、
図9Cに示すように、断面視における絶縁領域上811に位置する半田90の最大厚みD4が接合領域810上に位置する半田90の最大の厚みD3よりも厚くてもよい。断面視における絶縁領域上811に位置する半田90の最大厚みD4が接合領域810上に位置する半田90の最大の厚みD3よりも厚いことにより、絶縁領域811上に位置する半田90の体積が接合領域810上に位置する半田90の体積よりも大きくしやすくなる。例えば、上面視において、絶縁領域上に位置する半田の面積が、接合領域上に位置する半田の面積よりも小さい場合でも、断面視における絶縁領域上に位置する半田の最大厚みが接合領域上に位置する半田の最大の厚みよりも厚くすることで、絶縁領域上に位置する半田の体積を接合領域810上に位置する半田90の体積よりも大きくすることができる。尚、本明細書において半田の最大厚みとはY方向における半田の厚みの最大値とする。
【0047】
図9Aに示すように、支持基板上に硬化前の接着樹脂92を形成してもよい。接着樹脂92は発光装置と支持基板とを接着する部材と用いることができる。接着樹脂を備えることで発光装置と支持基板の接合強度を向上させることができる。Y方向における接着樹脂の厚みは、発光素子と接すために後述する発光装置を支持基板に載置する時に基材の下面と支持基材の上面までの距離よりも厚い。接着樹脂には、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂等の公知の樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂は、耐熱性および耐光性に優れているので接着樹脂に用いることが好ましい。接着樹脂は接合領域から離間していてもよく、接合領域の一部と接していてもよい。接合領域上には半田が形成されるので上面視において接着樹脂は接合領域から離間することが好ましい。接着樹脂が接合領域から離間することで、発光装置と支持基板とを半田により接合する時に、溶融した半田が接合領域上を濡れ広がりやすくなる。
図9Aに示すように、X方向において1つの発光装置の第2配線と接合される一対の接合領域810の間に接着樹脂92が位置していることが好ましい。発光装置の第2配線と、支持基板の接合領域と、が半田によって接合されるので、X方向において発光装置の第2配線と接合される一対の接合領域810の間に接着樹脂が位置していることで、発光装置の基材に係る応力を抑えることができる。
【0048】
支持基板上に硬化前の接着樹脂を形成する方法としては、例えば、ディスペンス又はピン転写による塗布、インクジェット又はスプレーによる吹き付けなどが挙げられる。ディスペンス等で接着樹脂を形成する場合は、
図9Aに示すように、接着樹脂92が1点塗布されていてもよく、
図9D、
図9Eに示すように、接着樹脂92が複数点塗布されていてもよい。また、
図9Fに示すように複数点塗布された接着樹脂が繋がっていてもよい。また、接着樹脂92が複数点塗布されている場合には、Z方向に複数の接着樹脂が並ぶように形成してもよく、
図9Dに示すようにX方向に複数の接着樹脂が並ぶように形成してもよい。
【0049】
(発光装置を支持基板に載置する)
図10A、
図10Bに示すように、上面視において、半田90と、基材の下面114近傍に位置する第2配線13と、を離間させて発光装置1000を支持基板5000に載置する。本明細書において、基材の下面近傍に位置する第2配線とは、基材の下面114と面一である第2配線13の部分を意味する。半田90と、基材の下面114近傍に位置する第2配線13と、を離間させて発光装置を支持基板に載置することで、発光装置と支持基板とを半田により接合する時に、溶融した半田が基材の下面と支持基板の上面との間に侵入することを抑制することができる。これにより、後述する発光装置と、支持基板と、を接合した際に、基材の下面と支持基板との上面との間に加熱溶融後の半田が形成されることを抑制できるので、支持基板に対して発光装置が傾くことを抑制することができる。また、半田90と、基材の下面114近傍に位置する第2配線13と、を離間させて発光装置1000を支持基板5000に載置する時に、基材の下面114と支持基板の上面との間に加熱溶融前の半田は位置していない。
【0050】
図10Bに示すように、断面視において半田90と、第2配線13と、は離間していてもよく、
図10Cに示すように、断面視において半田90と、基材の下面114近傍以外に位置する第2配線13の少なくとも一部と、は接していてもよい。基材の下面114近傍以外に位置する第2配線13とは、基材の下面114と面一でない第2配線13の部分のことである。つまり、半田90と、基材の下面114と面一でない第2配線13の少なくとも一部と、が接していてもよい。
【0051】
図9Aに示すように、支持基板上に硬化前の接着樹脂92を形成している場合には、硬化前の接着樹脂と発光装置の一部とが接するように発光装置を支持基板に載置する。このようにすることで、発光装置と支持基板を硬化後の接着樹脂でも固定できるので発光装置と支持基板の接合強度が向上する。接着樹脂の位置は特に限定されない。例えば、
図10Aに示すように基材の複数の窪み16の間に接着樹脂92が位置していてもよい。基板10の複数の窪みにそれぞれ配置される第2配線13と、支持基板の配線パターンの接合領域と、が半田によって接合されるので、基材の複数の窪み16の間に接着樹脂92が位置することで、発光装置の基材に係る応力を抑えることができる。また、
図10Aに示すように、上面視において、基材の正面111と接着樹脂92の外縁の最短距離が、基材の正面111と半田90の外縁の最短距離よりも短いことが好ましい。このようにすることで、接着樹脂92によって基材の正面111側と支持基板とを接合することができるので、発光装置と支持基板の接合強度が向上する。尚、硬化前の接着樹脂を付けた発光装置を支持基板に載置してもよい。
【0052】
上面視における接着樹脂の大きさは特に限定されないが、上面視においてZ方向における接着樹脂の最大の幅D5が、Z方向における発光装置の最大の幅D6の0.2倍から0.7倍であることが好ましい。上面視においてZ方向における接着樹脂の最大の幅D5が、Z方向における発光装置の最大の幅D6の0.2倍以上であることで接着樹脂の体積が増えるので発光装置と支持基板との接合強度が向上する。上面視においてZ方向における接着樹脂の最大の幅D5が、Z方向における発光装置の最大の幅D6の0.7倍以下であることで接着樹脂が接合領域上に形成されにくくすることができる。
【0053】
上面視において、窪みの最大幅が接合領域の最大幅よりも狭いことが好ましい。このようにすることで、上面視において、接合領域上に位置する第2配線の面積を大きくしやすくなる。尚、窪みの最大幅とはX方向における窪みの幅の最大値であり、接合領域の最大幅とはX方向における接合領域の幅の最大値である。
【0054】
(発光装置の第2配線と支持基板の接合部とを接合する)
図11に示すように、半田90を加熱溶融し、発光装置の第2配線13と、支持基板5000の接合領域810と、を接合する。溶融された半田は、濡れ広がりやすい接合領域810上に集まる。これにより、接合領域上に位置する加熱溶融後の半田の体積は、絶縁領域上に位置する加熱溶融後の半田の体積よりも大きくすることができる。接合領域上に位置する加熱溶融後の半田の体積が大きいことで、第2配線13と、接合領域810と、が半田によって接合されやすくなる。これにより、発光装置と支持基板の接合強度が向上する。加熱溶融後の半田は、基材の下面と、支持基板の上面と、の間に形成されにくいので、支持基板に対して発光装置が傾いて接合されることを抑制できる。
図11に示すように、加熱溶融後の半田の全てが接合領域上に位置することが好ましい。
【0055】
支持基板上に硬化前の接着樹脂を形成している場合には、発光装置の第2配線と、支持基板5000の接合領域810と、を接合するために半田を加熱溶融する時に接着樹脂を硬化してもよい。このようにすることで、光源装置を製造する時間を短縮することができる。
【0056】
以上、説明したように上述の各工程を行うことにより、光源装置1000Aを製造することができる。
【0057】
<実施形態2>
実施形態2に係る光源装置の製造方法について説明する。実施形態2の光源装置の製造方法は、実施形態1の光源装置の製造方法とは、発光装置を準備する工程が異なる点以外は同様である。
【0058】
図13B示すように、基板10と、複数の発光素子と、を備える発光装置2000を準備する。実施形態1の発光装置と同様に基板10は、基材11と、第1配線12と、第2配線13と、を備える。実施形態1の発光装置は発光素子が1つであったが、実施形態2の発光装置2000は、第1発光素子20Aと、第2発光素子20Bの複数の発光素子を備える。尚、第1発光素子及び/又は第2発光素子を発光素子と呼ぶことがある。第1発光素子と、第2発光素子の発光ピーク波長は同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、第1発光素子と、第2発光素子の発光ピーク波長が同じ場合は、第1発光素子と第2発光素子の発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)であってもよい。また、第1発光素子と、第2発光素子の発光ピーク波長が異なる場合は、発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)にある第1発光素子と、発光のピーク波長が490nm以上570nm以下の範囲(緑色領域の波長範囲)にある第2発光素子と、であってもよい。このようにすることで発光装置の色再現性を向上させることができる。尚、発光ピーク波長が同じとは±10nm程度の変動は許容されるものとする。
【0059】
図13Bに示すように、第1発光素子20A及び第2発光素子20Bを被覆する透光性部材30を備えていてもよい。発光装置2000が、第1発光素子20Aの第1光取り出し面201A及び第2発光素子20Bの第2光取り出し面201Bを被覆する透光性部材30を備えることにより、第1発光素子と第2発光素子の間の輝度ムラを抑制することができる。また、第1発光素子及び第2発光素子の発光ピーク波長が異なる場合には、第1発光素子からの光と、第2発光素子からの光が導光部材に導光されることで、発光装置の混色性を向上させることができる。
【0060】
図13Bに示すように、導光部材50が第1発光素子20Aの第1素子側面202A及び第2発光素子20Bの第2素子側面202Bを連続して被覆してもよい。このようにすることで、第1発光素子と第2発光素子の間の輝度ムラを抑制することができる。
【0061】
図12B、
図13Bに示すように、発光装置2000は、第3配線14の一部を被覆する絶縁膜18を備えてもよい。絶縁膜18を備えることで、背面における絶縁性の確保及び短絡の防止を図ることができる。また、絶縁膜18を備えることにより、基材から第3配線が剥がれることを防止することができる。
【0062】
図14に示す発光装置2001のように第1発光素子20Aを被覆する第1透光性部材30Aと、第2発光素子20Bを被覆する第2透光性部材30Bとを、備えていてもよい。第1透光性部材と、第2透光性部材に含まれている波長変換粒子は同じでもよく、異なっていてもよい。発光のピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲(青色領域の波長範囲)にある第1発光素子と、発光のピーク波長が490nm以上570nm以下の範囲(緑色領域の波長範囲)にある第2発光素子と、を備える場合には、第1透光性部材30Aに赤色蛍光体を含有し、第2透光性部材30Bには波長変換粒子を実質的に含有させなくてもよい。このようにすることで、発光装置の色再現性を向上させることができる。また、第2発光素子からの光は波長変換粒子に遮られないので発光装置の光取り出し効率が向上する。第1透光性部材に含有させる赤色蛍光体としてはマンガン賦活フッ化物系蛍光体等が挙げられる。
【0063】
以下、本発明の一実施形態に係る発光装置における各構成要素について説明する。
【0064】
(基板10)
基板10は、発光素子を載置する部材である。基板10は、少なくとも、基材11と、第1配線12と、第2配線13と、を備えている。
【0065】
(基材11)
基材11は、樹脂若しくは繊維強化樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性部材を用いて構成することができる。樹脂若しくは繊維強化樹脂としては、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、若しくはこれらの混合物などが挙げられる。これらの基材のうち、特に発光素子の線膨張係数に近い物性を有する基材を使用することが好ましい。基材の厚さの下限値は、適宜選択できるが、基材の強度の観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。また、基材の厚さの上限値は、発光装置の厚さ(奥行き)の観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。
【0066】
(第1配線12)
第1配線は、基材の正面に配置され、発光素子と電気的に接続される。第1配線は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金で形成することができる。これらの金属又は合金の単層でも多層でもよい。特に、放熱性の観点においては銅又は銅合金が好ましい。また、第1配線の表層には、溶融性の導電性接着部材の濡れ性及び/若しくは光反射性などの観点から、銀、白金、アルミニウム、ロジウム、金若しくはこれらの合金などの層が設けられていてもよい。
【0067】
(第2配線13)
第2配線は、第1配線と電気的に接続され、基材の窪みの内壁を被覆する部材である。第2配線は、第1配線と同様の導電性部材を用いることができる。
【0068】
(発光素子20(第1発光素子、第2発光素子))
発光素子は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される既知の半導体素子を適用できる。発光素子としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子は、少なくとも半導体層を備え、多くの場合に素子基板をさらに備える。発光素子は、素子電極を有する。素子電極は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。発光素子の素子基板は、主として半導体積層体を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板であるが、結晶成長用基板から分離した半導体素子構造に接合させる接合用基板であってもよい。素子基板が透光性を有することで、フリップチップ実装を採用しやすく、また光の取り出し効率を高めやすい。素子基板の母材としては、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコン、炭化珪素、ガリウム砒素、ガリウム燐、インジウム燐、硫化亜鉛、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、ダイヤモンドなどが挙げられる。なかでも、サファイアが好ましい。素子基板の厚さは、適宜選択でき、例えば0.02mm以上1mm以下であり、素子基板の強度及び/若しくは発光装置の厚さの観点において、0.05mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
【0069】
(反射部材40)
反射部材は、発光素子20の素子側面202及び基材の正面111を被覆し、「見切り性」の良好な発光装置とする部材である。発光素子の発光ピーク波長における反射部材の光反射率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりいっそう好ましい。例えば、反射部材は、樹脂に白色顔料を含有させた部材を用いることができる。
【0070】
(透光性部材30)
透光性部材は発光素子の光取り出し面を被覆し、発光素子を保護する透光性の部材である。透光性部材の材料として、例えば、樹脂を用いることができる。透光性部材に用いることができる樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。透光性部材の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置の強度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。透光性部材は、波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。
【0071】
(波長変換粒子)
波長変換粒子は、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する。波長変換粒子は、以下に示す具体例のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。透光性部材が複数の波長変換層を備える場合には、各波長変換層に含有される波長変換粒子は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0072】
緑色発光する波長変換粒子としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)系蛍光体、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCa
8Mg(SiO
4)
4Cl
2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi
6−zAl
zO
zN
8−z:Eu(0<z<4.2))、SGS系蛍光体(例えばSrGa
2S
4:Eu)、アルカリ土類アルミネート系蛍光体(例えば(Ba,Sr,Ca)Mg
xAl
10O
16+x:Eu,Mn(但し、0≦X≦1))などが挙げられる。黄色発光の波長変換粒子としては、αサイアロン系蛍光体(例えばM
z(Si,Al)
12(O,N)
16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素)などが挙げられる。このほか、上記緑色発光する波長変換粒子の中には黄色発光の波長変換粒子もある。また例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、Yの一部をGdで置換することで発光ピーク波長を長波長側にシフトさせることができ、黄色発光が可能である。また、これらの中には、橙色発光が可能な波長変換粒子もある。赤色発光する波長変換粒子としては、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CASN又はSCASN)系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu)、SLAN蛍光体(SrLiAl
3N
4:Eu)などが挙げられる。このほか、マンガン賦活フッ化物系蛍光体(一般式(I)A
2[M
1−aMn
aF
6]で表される蛍光体である(但し、上記一般式(I)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH
4からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0<a<0.2を満たす))が挙げられる。このマンガン賦活フッ化物系蛍光体の代表例としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばK
2SiF
6:Mn)がある。
【0073】
(拡散粒子)
拡散粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。拡散粒子は、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、熱膨張係数の小さい酸化珪素が好ましい。また、拡散粒子として、ナノ粒子を用いることで、発光素子が発する光の散乱を増大させ、波長変換粒子の使用量を低減することもできる。なお、ナノ粒子とは、粒径が1nm以上100nm以下の粒子とする。また、本明細書における「粒径」は、例えば、D
50で定義される。
【0074】
(導光部材50)
導光部材は、発光素子と透光性部材を固定し、発光素子からの光を透光性部材に導光する部材である。導光部材の母材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。導光部材の材料として、エポキシ樹脂を用いることでシリコーン樹脂を用いた場合より発光装置の強度を向上させることができるので好ましい。また、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。導光部材は、上述の透光性部材と同様の波長変換粒子及び/又は拡散粒子を含有していてもよい。
【0075】
(導電性接着部材60)
導電性接着部材とは、発光素子の素子電極と第1配線とを電気的に接続する部材である。導電性接着部材としては、金、銀、銅などのバンプ、銀、金、銅、プラチナ、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダを含む金属ペースト、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系などの半田、低融点金属などのろう材のうちのいずれか1つを用いることができる。