(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)と、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)との固形分の質量割合[(A)/(B)]が、50/50〜95/5の範囲である請求項1記載のソルダーレジスト用樹脂材料。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)と、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)とを含有することを特徴とする。
【0011】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)とは、分子構造中に重合性不飽和結合を1つまたは複数有し、芳香環同士がエステル結合にて結合された構造部位を有する化合物を云い、その他の具体構造や分子量等は特に問われず、多種多様な化合物を用いることができる。
【0012】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)としては、例えば、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、カルボキシル基を有する芳香族化合物、その酸ハロゲン化物及び/またはそのエステル化物(本明細書において、カルボキシル基を有する芳香族化合物、その酸ハロゲン化物、及び/またはそのエステル化物を併せて「カルボキシル基を有する芳香族化合物等」と称することがある。)との反応生成物であり、前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物、及び、前記カルボキシル基を有する芳香族化合物等のいずれか1つが、重合性不飽和結合含有置換基を有するものが挙げられる。
【0013】
前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、例えば、フェノール性水酸基を2つ以上有する第1の芳香族化合物、フェノール性水酸基を1つ有する第2の芳香族化合物が挙げられる。
【0014】
前記第1の芳香族化合物としては、フェノール性水酸基を2つ以上有するものである。2つ以上のフェノール性水酸基を有することにより、後述する第3の芳香族化合物等または第4の芳香族化合物等と反応することでエステル構造を形成しうる。
【0015】
前記第1の芳香族化合物としては、特に制限されないが、例えば、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第1の芳香族環に2つ以上のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。
【0016】
前記炭素原子数3〜30の第1の芳香族環としては、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環、環集合芳香族環等が挙げられる。
【0017】
前記単環芳香族環としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。
【0018】
前記縮環芳香族環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等が挙げられる。
【0019】
前記環集合芳香族環としては、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等が挙げられる。
【0020】
前記炭素原子数3〜30の第1の芳香族環は置換基を有していてもよい。この際、「第1の芳香族環の置換基」としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、重合性不飽和結合含有置換基等が挙げられる。
【0021】
前記炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基が挙げられる。
【0022】
前記炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0024】
前記重合性不飽和結合含有置換基とは、重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する炭素原子数2〜30の置換基を意味する。この際、「不飽和結合」とは、炭素原子−炭素原子の二重結合、炭素原子−炭素原子の三重結合を意味する。前記不飽和結合含有置換基としては、アルケニル基やアルキニル基等が挙げられる。
【0025】
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、1−ウンデセニル基、1−ペンタデセニル基、3−ペンタデセニル基、7−ペンタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、1,3−ブタジエニル基、1,4−ブタジエニル基、ヘキサ−1,3−ジエニル基、ヘキサ−2,5−ジエニル基、ペンタデカ−4,7−ジエニル基、ヘキサ−1,3,5−トリエニル基、ペンタデカ−1,4,7−トリエニル基等が挙げられる。
【0026】
前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1,3−ブタジイニル基等が挙げられる。
【0027】
これらのうち、重合性不飽和結合含有置換基としては、炭素原子数2〜30のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数2〜10のアルケニル基であることがより好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニル基であることがさらに好ましく、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基であることが特に好ましく、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基であることが最も好ましい。
【0028】
上述の第1の芳香族環の置換基は、単独で含んでいても、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0029】
そして、上述のように第1の芳香族化合物は、上述の置換または非置換の炭素原子数3〜30の第1の芳香族環を構成する水素原子の少なくとも2つが水酸基に置換されてなるものである。
【0030】
前記第1の芳香族環が単環芳香族環である化合物(以下、単に「第1の単環芳香族環化合物」と称することがある)の具体例としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキシノール、フロログルシノール、ピロガロール、2,3−ジヒドロキシピリジン、2,4−ジヒドロキシピリジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−アリルピロカテコール等が挙げられる。
【0031】
前記第1の芳香族環が縮環芳香族環である化合物(以下、単に「第1の縮環芳香族環化合物」と称することがある)の具体例としては、例えば、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、1,2,4−ナフタレントリオール、1,4,5−ナフタレントリオール、9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン、2,4−ジヒドロキシキノリン、2,6−ジヒドロキシキノリン、5,6−ジヒドロキシインドール、2−メチルナフタレン−1,4−ジオール等が挙げられる。
【0032】
前記第1の芳香族環が環集合芳香族環である化合物(以下、単に「第1の環集合芳香族環化合物」と称することがある)の具体例としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,4,4’−トリヒドロキシビフェニル、2,2’,3−トリヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
【0033】
また、前記第1の芳香族化合物は、前記第1の芳香族環が連結基により連結された構造を有するものであってもよい。一実施形態において、第1の芳香族化合物は、下記化学式(1)で表される。
【0035】
上記化学式(1)において、Ar
1は、それぞれ独立して置換または非置換の第1の芳香族環基であり、Ar
2は、それぞれ独立して置換または非置換の第2の芳香族環基であり、Xは、それぞれ独立して酸素原子、硫黄原子、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、アラルキレンであり、nは0〜10の整数である。この際、前記Ar
1及び前記Ar
2を構成する水素原子の少なくとも2つが、水酸基に置換されてなる。なお、前記Xが連結基に相当する。
【0036】
前記Ar
1は、置換または非置換の第1の芳香族環基である。上記化学式(1)の記載からも明らかなように、上述の置換または非置換の芳香族環を構成する芳香族環の水素原子のうちの1つが「X」と結合することとなる。
【0037】
前記第1の芳香族環基としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等の単環芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたもの;ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等の縮環芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたもの等の芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。また、これらの芳香族化合物を複数組み合わせたものであってもよく、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等の環集合芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。
【0038】
この際、第1の芳香族環基は置換基を有していてもよく、この際、「第1の芳香族環基の置換基」とは、前記第1の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子の少なくとも1つと置換されるものである。前記「第1の芳香族環基の置換基」としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0039】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0040】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0041】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0042】
前記アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0044】
これらのうち、Ar
1は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、ビフェニル、ビナフタレン、クアテルフェニル、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、アリルナフタレン、ジアリルナフタレン、アリルビフェニル、ジアリルビフェニルから水素原子が1つ除かれたものであることが好ましく、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アリルベンゼン、ジアリルナフタレン、ジアリルビフェニルから水素原子が1つ除かれたものであることがより好ましい。
【0045】
前記Ar
2は、それぞれ独立して置換または非置換の第2の芳香族環基である。上記化学式(1)の記載からも明らかなように、上述の置換または非置換の芳香族環を構成する芳香族環の水素原子のうち2つが「X」と結合することとなる。
【0046】
前記第2の芳香族環基としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等の単環芳香族化合物から水素原子が2つ除かれたもの;ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等の縮環芳香族化合物から水素原子が2つ除かれたもの等の芳香族化合物から水素原子が2つ除かれたものが挙げられる。また、これらの芳香族化合物を複数組み合わせたものであってもよく、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等の環集合芳香族化合物から水素原子が2つ除かれたものが挙げられる。
【0047】
この際、第2の芳香族環基は置換基を有していてもよい。「第2の芳香族環基の置換基」としては、上述した「第1の芳香族環基の置換基」と同様のものが挙げられる。
【0048】
前記Xは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、アラルキレンである。
【0049】
前記アルキレンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、1−メチルメチレン、1,1−ジメチルメチレン、1−メチルエチレン、1,1−ジメチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、プロピレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレン、ヘキシレン等が挙げられる。
【0050】
前記シクロアルキレンとしては、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、シクロへプチレン、および下記化学式(2−1)〜(2−4)で表されるシクロアルキレン等が挙げられる。
【0052】
なお、上記化学式(2−1)〜(2−4)において、「*」はAr
1またはAr
2と結合する部位を表す。
【0053】
前記アラルキレンとしては、例えば、下記化学式(3−1)〜(3−8)で表されるアラルキレン等が挙げられる。
【0055】
なお、上記化学式(3−1)〜(3−8)において、「*」はAr
1またはAr
2と結合する部位を表す。
【0056】
前記アルキレン、前記シクロアルキレン、前記アラルキレンは置換基を有していてもよい。この際、「Xの置換基」としては、上述した「第1の芳香族環の置換基」と同様のものが挙げられる。
【0057】
上記化学式(1)中のnは、0〜10の整数であり、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜5の整数である。なお、上記化学式(1)で表される化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合、nはその平均値を意味する。
【0058】
そして、前記Ar
1及び前記Ar
2を構成する水素原子の少なくとも2つが、水酸基に置換されてなる。
【0059】
下記化学式(1)で表される化合物の具体例としては、特に制限されないが、例えば、各種のビスフェノール化合物や、下記化学式(4−1)〜(4−8)で表される化合物、及びこれらの芳香核上に1つまたは複数の重合性不飽和結合含有置換基を有するものが挙げられる。
【0061】
前記各種のビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールZ等が挙げられる。
【0062】
上記化学式(4−1)〜(4−8)において、nは0〜10の整数、好ましくは0〜5の整数である。この際、化学式(4−1)〜(4−8)で表される化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合、nはその平均値を意味する。なお、本明細書において、「オリゴマー」とは、繰り返し単位が1〜5である化合物を含むものを意味し、「ポリマー」とは、繰り返し単位が6以上である化合物を含むものを意味する。また、芳香環上の置換基である水酸基の置換位置については任意であり、ナフタレン環の場合において、他の構造と結合している環、結合していない環のいずれであってもよい。
【0063】
なお、一実施形態において、上述の第1の芳香族環が上記化学式(1)で表されるものは、第1の芳香族環を構成する水素原子の少なくとも1つが水酸基に置換されてなるものと、ジビニル化合物やジアルキルオキシメチル化合物との反応により合成することができる。
【0064】
この際、前記ジビニル化合物やジアルキルオキシメチル化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ペンタシクロペンタジエン、ヘキサシクロペンタジエン等の脂肪族ジエン化合物;ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル等の芳香族ジエン化合物;ジメトキシメチルベンゼン、ジメトキシメチルビフェニル、ビスフェノールAメトキシ付加物、ビスフェノールAエトキシ付加物、ビスフェノールFメトキシ付加物、ビスフェノールFエトキシ付加物等のジアルキルオキシメチル化合物等が挙げられる。
【0065】
上述のフェノール性水酸基を2つ以上有する第1の芳香族化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0066】
前記第1の芳香族化合物の水酸基当量としては、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、130〜500g/当量であることが好ましく、130〜400g/当量であることがより好ましい。
【0067】
前記第1の芳香族化合物が、上記化学式(1)で表されるものであって、nがオリゴマーまたはポリマーの場合における重量平均分子量は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、200〜3000であることが好ましく、200〜2000であることがより好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量」の値は以下の方法により測定された値を採用するものとする。すなわち、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を以下の条件により測定して得られた値を採用する。
【0068】
GPCの測定条件
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
標準:前記「GPC−8320 GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた
使用ポリスチレン
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
【0069】
前記第2の芳香族化合物としては、フェノール性水酸基を1つ有するものである。前記第2の芳香族化合物はフェノール性水酸基を1つ有することから、エステル化の反応を停止させる機能を有する。
【0070】
前記第2の芳香族化合物としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第2の芳香族環に1つのフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。
【0071】
前記炭素原子数3〜30の第2の芳香族環としては、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環、環集合芳香族環、アルキレンにより連結される芳香族環等が挙げられる。前記単環芳香族環、前記縮環芳香族環、前記環集合芳香族環としては、上述した第1の芳香族環と同様のものが挙げられる。
【0072】
前記アルキレンにより連結される芳香族環としては、例えば、ジフェニルメタン、ジフェニルエタン、1,1−ジフェニルエタン、2,2−ジフェニルプロパン、ナフチルフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジナフチルメタン、ジナフチルプロパン、フェニルピリジルメタン、フルオレン、ジフェニルシクロペンタン等が挙げられる。
【0073】
第2の芳香族化合物に係る炭素原子数3〜30の第2の芳香族環は置換基を有していてもよい。この際、「第2の芳香族環の置換基」としては、上述した「第1の芳香族環の置換基」と同様のものが挙げられる。
【0074】
そして、上述のように第2の芳香族化合物は、上述の置換または非置換の炭素原子数3〜30の第2の芳香族環を構成する水素原子の1つが水酸基に置換される。
【0075】
前記第2の芳香族化合物としては、例えば、下記化学式(5−1)〜(5−17)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
上記化学式(5−1)〜(5−17)において、R
1は、重合性不飽和結合含有置換基である。前記重合性不飽和結合含有置換基は上述したものと同様である。さらに、pは、0または1以上の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。なお、pが2以上の場合、芳香環上の結合位置は任意であり、例えば、化学式(5−6)のナフタレン環や化学式(5−17)の複素環においてはいずれの環上に置換していてもよく、化学式(5−9)等では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していても良いことを示し、1分子中における置換基の個数がpであることを示している。
【0078】
前記第2の芳香族化合物としては、より具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、オルトアリルフェノール、メタアリルフェノール、パラアリルフェノール、2,4−ジアリルフェノール、2,6−ジアリルフェノール、2−アリル−4−メチルフェノール、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−4−メトキシ−6−メチルフェノール、2−プロパルギルフェノール、3−プロパルギルフェノール、4−プロパルギルフェノール等の芳香族環が単環芳香族環である化合物(以下、単に「第2の単環芳香族環化合物」と称することがある);1−ナフトール、2−ナフトール、2−アリル−1−ナフトール、3−アリル−1−ナフトール、1−アリル−2−ナフトール、3−アリル−2−ナフトール、5−アリル−1−ナフトール、6−アリル−1−ナフトール、ジアリルナフトール、2−アリル−4−メトキシ−1−ナフトール、2−プロパルギル−1−ナフトール、3−プロパルギル−1−ナフトール、1−プロパルギル−2−ナフトール、3−プロパルギル−2−ナフトール等の芳香族環が縮環芳香族環である化合物(以下、単に「第2の縮環芳香族環化合物」と称することがある);アリルヒドロキシビフェニル、ヒドロキシプロパルギルビフェニル等の芳香族環が環集合芳香族環である化合物(以下、単に「第2の環集合芳香族環化合物」と称することがある)等が挙げられる。
【0079】
上述のうち、前記第2の芳香族化合物は、第2の単環芳香族環化合物、第2の縮環芳香族環化合物であることが好ましく、オルトアリルフェノール、メタアリルフェノール、パラアリルフェノール、2−アリル−1−ナフトール、3−アリル−1−ナフトール、1−アリル−2−ナフトール、3−アリル−2−ナフトール、5−アリル−1−ナフトール、6−アリル−1−ナフトールであることがより好ましい。
【0080】
また、別の一実施形態において、前記第2の芳香族化合物は、第2の縮環芳香族環化合物(縮環芳香族環化合物)であることが好ましく、2−アリル−1−ナフトール、3−アリル−1−ナフトール、1−アリル−2−ナフトール、3−アリル−2−ナフトール、5−アリル−1−ナフトール、6−アリル−1−ナフトールであることがより好ましい。第2の芳香族化合物は、縮環芳香族環化合物であると、立体障害により分子運動が抑制されることで、誘電正接が低下しうることから好ましい。また、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の高ハンドリング性、低粘度である観点においてはベンゼン環骨格を有する2−アリルフェノール等が好ましく、一方、得られる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能なことからナフタレン環骨格を有する2−アリル−1−ナフトール、1−アリル−2−ナフトール等が好ましい。
【0081】
なお、上述のフェノール性水酸基を1つ有する第2の芳香族化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0082】
前記カルボキシル基を有する芳香族化合物等としては、例えば、カルボキシル基を2つ以上有する第3の芳香族化合物、カルボキシル基を1つ有する第4の芳香族化合物、またはそれらの酸ハロゲン化物やエステル化物が挙げられる。
【0083】
前記第3の芳香族化合物、その酸ハロゲン化物、及び/またはそのエステル化物は、カルボキシル基を2つ以上有する芳香族化合物、またはその誘導体、具体的には酸ハロゲン化物、エステル化物である(本明細書において、第3の芳香族化合物、その酸ハロゲン化物、及び/またはそのエステル化物を併せて「第3の芳香族化合物等」と称することがある。)。第3の芳香族化合物等は、2以上のカルボキシル基等を有することにより、上述の第1の芳香族化合物または第2の芳香族化合物と反応することでエステル構造を形成しうる。
【0084】
前記第3の芳香族化合物等としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第3の芳香族環にカルボキシル基等を2つ以上有する化合物が挙げられる。
【0085】
前記「カルボキシル基等」とは、例えば、カルボキシル基;フッ化アシル基、塩化アシル基、臭化アシル基等のハロゲン化アシル基;メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基等が挙げられる。なお、ハロゲン化アシル基を有する場合、前記第3の芳香族化合物は酸ハロゲン化物であり、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基を有する場合、前記第3の芳香族化合物はエステル化物となりうる。これらのうち、前記第3の芳香族化合物はカルボキシル基、ハロゲン化アシル基、アリールオキシカルボニル基を有することが好ましく、カルボキシル基、ハロゲン化アシル基を有することがさらに好ましく、カルボキシル基、塩化アシル基、臭化アシル基を有することがさらに好ましい。
【0086】
前記炭素原子数3〜30の第3の芳香族環としては、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環、環集合芳香族環、アルキレンにより連結される芳香族環等が挙げられる。前記単環芳香族環、前記縮環芳香族環、前記環集合芳香族環、アルキレンにより連結される芳香族環としては、上述した第1の芳香族環および第2の芳香族環と同様のものが挙げられる。
【0087】
前記第3の芳香族化合物等に係る炭素原子数3〜30の第3の芳香族環は置換基を有していてもよい。この際、「第3の芳香族環の置換基」としては、上述した「第1の芳香族環の置換基」と同様のものが挙げられる。
【0088】
前記第3の芳香族化合物等としては、例えば、下記化学式(6−1)〜(6−15)で表される化合物が挙げられる。
【0090】
上記化学式(6−1)〜(6−15)において、R
1は、重合性不飽和結合含有置換基である。この際、前記重合性不飽和結合含有置換基は上述したものと同様である。また、R
2は、水酸基、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基である。また、pは0または1以上の整数であり、好ましくは0または1〜3であり、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。qは、2または3である。なお、p及びqが2以上の場合、芳香環上の結合位置は任意であり、例えば、化学式(6−5)のナフタレン環や化学式(6−15)の複素環においてはいずれの環上に置換していてもよく、化学式(6−7)等では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がp及びqであることを示している。
【0091】
前記第3の芳香族化合物等としては、より具体的には、イソフタル酸、テレフタル酸、5−アリルイソフタル酸、2−アリルテレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸;トリメリット酸、5−アリルトリメリット酸等のベンゼントリカルボン酸;ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、3−アリルナフタレン−1,4−ジカルボン酸、3,7−ジアリルナフタレン−1,4−ジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;2,4,5−ピリジントリカルボン酸等のピリジントリカルボン酸;1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリカルボン酸等のトリアジンカルボン酸;これらの酸ハロゲン化物、エステル化物等が挙げられる。これらのうち、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸であることが好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸クロリド、テレフタル酸クロリド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリドであることがより好ましく、イソフタル酸クロリド、テレフタル酸クロリド、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリドであることがさらに好ましい。
【0092】
上述のうち、芳香族環が単環芳香族環である第3の芳香族化合物等、芳香族環が縮環芳香族環である第3の芳香族化合物等であることが好ましく、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、これらの酸ハロゲン化物であることが好ましく、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、これらの酸ハロゲン化物であることがより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、これらの酸ハロゲン化物であることがさらに好ましい。
【0093】
なお、上述の第3の芳香族化合物等は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0094】
前記第4の芳香族化合物、その酸ハロゲン化物、及び/またはそのエステル化物は、カルボキシル基を1つ有する芳香族化合物、またはその誘導体、具体的には酸ハロゲン化物、エステル化物である(本明細書において、第4の芳香族化合物、その酸ハロゲン化物、及び/またはそのエステル化物を併せて「第4の芳香族化合物等」と称することがある。)。第4の芳香族化合物等は、カルボキシル基等を1つ有することから、エステル化反応を停止させる機能を有する。
【0095】
前記第4の芳香族化合物等としては、例えば、置換または置換の炭素原子数3〜30の第4の芳香族環にカルボキシル基等を1つ有する化合物が挙げられる。
【0096】
前記「カルボキシル基等」とは、上述した「カルボキシル基等」と同様のものが挙げられる。
【0097】
前記炭素原子数3〜30の第4の芳香族環としては、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環、環集合芳香族環、アルキレンにより連結される芳香族環等が挙げられる。前記単環芳香族環、前記縮環芳香族環、前記環集合芳香族環、アルキレンにより連結される芳香族環としては、上述した第1の芳香族環、第2の芳香族環及び第3の芳香族環と同様のものが挙げられる。
【0098】
前記第4の芳香族化合物等に係る炭素原子数3〜30の第4の芳香族環は置換基を有していてもよい。この際、「第4の芳香族環の置換基」としては、上述した「第1の芳香族環の置換基」と同様のものが挙げられる。
【0099】
前記第4の芳香族化合物等としては、例えば、下記化学式(7−1)〜(7−15)で表される化合物が挙げられる。
【0101】
上記化学式(7−1)〜(7−15)において、R
1は、重合性不飽和結合含有置換基である。この際、前記重合性不飽和結合含有置換基は上述したものと同様である。また、R
2は水酸基、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基である。また、pは、0または1以上の整数であり、好ましくは0または1〜3であり、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。qは、1である。なお、上記化学式における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、化学式(7−5)のナフタレン環や化学式(7−15)の複素環においてはいずれの環上に置換していてもよく、化学式(7−7)等では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がp及びqであることを示している。
【0102】
前記第4の芳香族化合物等としては、より具体的には、安息香酸、ベンジルクロライド、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンカルボニルクロリド等が挙げられる。
【0103】
[重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の構成]
前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物、及び、前記カルボキシル基を有する芳香族化合物等の少なくとも1つが、炭素原子数2〜30の重合性不飽和結合含有置換基を有する。すなわち、前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物、及び、前記カルボキシル基を有する芳香族化合物等の両方が重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよいし、前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物のみが重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよいし、前記カルボキシル基を有する芳香族化合物等のみが重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。また、2種以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物、2種以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物等を用いる場合には、その一部のみが重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。
【0104】
一実施形態において、少なくとも前記第2の芳香族化合物が重合性不飽和結合含有置換基を有することが好ましい。上述の通り、前記第2の芳香族化合物に由来する構造は、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の分子末端に位置することとなる。その結果、第2の芳香族化合物が有する重合性不飽和結合含有置換基もまた芳香族エステル化合物(A)の分子末端に配置されることとなる。この場合、得られる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能なことから好ましい。
【0105】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、上述のように、フェノール性水酸基を有する化合物と、カルボキシル基を有する芳香族化合物等との反応生成物であり、前記第1〜4の芳香族化合物等、種々の化合物を含みうるが、エステル化の反応を停止する機能を有することから、第2の芳香族化合物、及び第4の芳香族化合物のいずれか一方、または両方を必須として含有する。なお、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の構成については、前記第1〜4の芳香族化合物等の使用量、反応条件等を適宜変更することで制御することができる。
【0106】
一実施形態において、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、例えば、第1の芳香族化合物と、第4の芳香族化合物等との反応生成物である重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物;第1の芳香族化合物と、第2の芳香族化合物と、第3の芳香族化合物等との反応生成物である重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物;第1の芳香族化合物と、第3の芳香族化合物と、第4の芳香族化合物等との反応生成物である重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物;第1の芳香族化合物と、第2の芳香族化合物と、第3の芳香族化合物等と、第4の芳香族化合物等との反応生成物である重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物;第2の芳香族化合物と、第3の芳香族化合物との反応生成物である芳香族化合物;第2の芳香族化合物と、第4の芳香族化合物との反応生成物である重合性不飽和結合含有芳香族化合物などが挙げられる。
【0107】
なお、本形態に係る重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、原則として、得られる樹脂の分子中に水酸基を有さない。ただし、本発明の効果を阻害しない範囲において、反応生成物の副生物として水酸基を有する化合物を含んでもよい。
【0108】
一実施形態において、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、下記化学式(8)で表される化合物を含む。
【0110】
上記化学式(8)において、Ar
1は第1の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
2は第2の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
3は第3の芳香族化合物に由来する構造である。また、nは0〜10の整数である。なお、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)がオリゴマーまたはポリマーである場合、nはその平均値を表す。
【0111】
すなわち、上記化学式(8)中、Ar
1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第1の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたもの、または第1の芳香族環が連結基により連結された構造を有するものから水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0112】
また、上記化学式(8)中、Ar
2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第2の芳香族環から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。
【0113】
上記化学式(8)中、Ar
3は、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第3の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0114】
なお、Ar
1、Ar
2、及びAr
3の少なくとも1つが炭素原子数2〜30の重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。
【0115】
この際、前記第1の芳香族化合物がフェノール性水酸基を3つ以上有する場合には、Ar
1がさらに分岐した構造を有しうる。
【0116】
また、前記第3の芳香族化合物が3つ以上のカルボキシル基等を有する場合には、Ar
3がさらに分岐した構造を有しうる。
【0117】
一実施形態において、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、下記化学式(9)で表される化合物を含む。
【0119】
上記化学式(9)において、Ar
1は第1の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
2は第2の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
3は第3の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
4は第4の芳香族化合物に由来する構造である。また、nは0〜10の整数である。なお、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)がオリゴマーまたはポリマーである場合、nはその平均値を表す。
【0120】
すなわち、上記化学式(9)中、Ar
1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第1の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたもの、または第1の芳香族環が連結基により連結された構造を有するものから水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0121】
また、上記化学式(9)中、Ar
2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第2の芳香族環から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。
【0122】
上記化学式(9)中、Ar
3は、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第3の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0123】
上記化学式(9)中、Ar
4は、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第4の芳香族環から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。
【0124】
なお、Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4の少なくとも1つが炭素原子数2〜30の重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。
【0125】
この際、前記第1の芳香族化合物がフェノール性水酸基を3つ以上有する場合には、Ar
1がさらに分岐した構造を有しうる。
【0126】
また、前記第3の芳香族化合物等が3つ以上のカルボキシル基等を有する場合には、Ar
3がさらに分岐した構造を有しうる。
【0127】
一実施形態において、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、下記化学式(10)で表される化合物を含む。
【0129】
上記化学式(10)において、Ar
1は第1の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
3は第3の芳香族化合物に由来する構造であり、Ar
4は第4の芳香族化合物に由来する構造である。また、nは0〜10の整数である。なお、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)がオリゴマーまたはポリマーである場合、nはその平均値を表す。
【0130】
すなわち、上記化学式(10)中、Ar
1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第1の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたもの、または第1の芳香族環が連結基により連結された構造を有するものから水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0131】
また、上記化学式(10)中、Ar
3は、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第3の芳香族環から水素原子が2つ以上除かれたものが挙げられる。
【0132】
上記化学式(10)中、Ar
4は、置換または非置換の炭素原子数3〜30の第4の芳香族環から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。
【0133】
なお、Ar
1、Ar
3及びAr
4の少なくとも1つが炭素原子数2〜30の重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。
【0134】
この際、前記第1の芳香族化合物がフェノール性水酸基を3つ以上有する場合には、Ar
1がさらに分岐した構造を有しうる。
【0135】
また、前記第3の芳香族化合物等が3つ以上のカルボキシル基等を有する場合には、Ar
3がさらに分岐した構造を有しうる。
【0136】
一実施形態において、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)が含む化合物としては、例えば、下記化学式(11−1)〜(11−10)で表される化合物が挙げられる。
【0140】
上記化学式(11−1)〜(11−10)において、sは0〜10の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、rは1〜10の整数である。この際、化学式(11−1)〜(11−10)で表される化合物がオリゴマーまたはポリマーである場合、s、rはその平均値を意味する。なお、化学式中の破線は、Ar
3、並びにAr
1及び/またはAr
2に相当する化合物が反応して得られる構造である。
【0141】
また、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)は、一実施形態において、例えば、下記化学式(a1)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)や、下記化学式(a2)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)を含む。
【0142】
【化14】
〔式中、Ar
5は、それぞれ独立して、置換または非置換の芳香族環基であり、Ar
6は、それぞれ独立して、置換または非置換の第2の芳香族環基であり、前記Ar
5及び前記Ar
6の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有置換基を有するものである。nは、1〜3の整数である。〕
【0143】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)としては、前記化学式(a1)で表されるものである。
【0144】
前記化学式(a1)中のAr
5は、置換または非置換の第1の芳香族環基である。後述するように、前記化学式(a1)中のnは1〜3の整数であることから、第1の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子のうち1つ〜3つが「−C(O)OAr
6」に置換されることとなる。
【0145】
前記第1の芳香族環基としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等の単環芳香族化合物から水素原子が2つまたは3つ除かれたもの;ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等の縮環芳香族化合物から水素原子が2つまたは3つ除かれたものなどの芳香族化合物から水素原子が2つまたは3つ除かれたものが挙げられる。また、これらの芳香族化合物を複数組み合わせたものであってもよく、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等の環集合芳香族化合物から水素原子が2つまたは3つが除かれたもの;ジフェニルメタン、ジフェニルエタン、1,1−ジフェニルエタン、2,2−ジフェニルプロパン、ナフチルフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジナフチルメタン、ジナフチルプロパン、フェニルピリジルメタン、フルオレン、ジフェニルシクロペンタン等のアルキレンにより連結される芳香族化合物から水素原子が2つまたは3つ除かれたもの等が挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、Ar
5は置換または非置換のベンゼン環構造又はナフタレン環構造であることが好ましく、置換または非置換のベンゼン環構造であることがより好ましい。
【0146】
Ar
5に係る前記第1の芳香族環基は、置換基を有していてもよく、この際、第1の芳香族環基の置換基とは、前記第1の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子の少なくとも1つと置換されるものである。前記「第1の芳香族環基の置換基」としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0147】
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0148】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0149】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0150】
前記アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0151】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0152】
本発明の一実施形態において、前記Ar
5は重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。前記重合性不飽和結合含有置換基の具体例としては、アルケニル基やアルキニル基等が挙げられる。
【0153】
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、1−ウンデセニル基、1−ペンタデセニル基、3−ペンタデセニル基、7−ペンタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、1,3−ブタジエニル基、1,4−ブタジエニル基、ヘキサ−1,3−ジエニル基、ヘキサ−2,5−ジエニル基、ペンタデカ−4,7−ジエニル基、ヘキサ−1,3,5−トリエニル基、ペンタデカ−1,4,7−トリエニル基等が挙げられる。
【0154】
前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1,3−ブタジイニル基等が挙げられる。
【0155】
前記重合性不飽和結合含有置換基は、さらに、置換基を有していてもよい。前記置換基とは、前記重合性不飽和結合含有置換基を構成する水素原子の少なくとも1つと置換されるものである。前記置換基としては、例えば、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この際、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子としては上述したものが挙げられる。
【0156】
これらのうち、重合性不飽和結合含有置換基としては、置換または非置換の炭素原子数2〜30のアルケニル基であることが好ましく、置換または非置換の炭素原子数2〜10のアルケニル基であることがより好ましく、置換または非置換の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることがさらに好ましく、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基であることが特に好ましく、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基であることが最も好ましい。
【0157】
前記Ar
5の好ましい構造としては、例えば、下記式(12−1)〜(12−17)等が挙げられる。
【0159】
上記式(12−1)〜(12−17)において、「*」は、「−C(O)OAr
6」に結合する位置を示す。なお、「−*」は芳香環のどの位置に結合されていてもよい。
【0160】
これらのうち、式(12−1)〜(12−11)であることが好ましく、式(12−1)、(12−2)、(12−6)、(12−7)、(12−9)であることがより好ましく、式(12−1)、(12−2)、(12−6)、(12−7)であることがさらに好ましい。また、重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の高ハンドリング性、低粘度である観点においては式(12−1)、(12−2)であることが好ましく、一方、得られる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能なことから、式(12−6)、(12−7)であることが好ましい。
【0161】
なお、式(12−1)〜(12−17)の芳香族環の水素原子の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有基と置換していてもよい。
【0162】
前記化学式(a1)中のAr
6は、置換または非置換の第2の芳香族環基である。前記化学式(10)の記載からも明らかなように、第2の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子のうちの1つが「−OC(O)Ar
5」に置換されることとなる。
【0163】
前記第2の芳香族環基としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等の単環芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたもの;ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等の縮環芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたものなどの芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたものが挙げられる。また、これらの芳香族化合物を複数組み合わせたものであってもよく、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等の環集合芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたもの;ジフェニルメタン、ジフェニルエタン、1,1−ジフェニルエタン、2,2−ジフェニルプロパン、ナフチルフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジナフチルメタン、ジナフチルプロパン、フェニルピリジルメタン、フルオレン、ジフェニルシクロペンタン等のアルキレンにより連結される芳香族化合物から水素原子が1つ除かれたもの等が挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、Ar
6は置換または非置換のベンゼン環構造又はナフタレン環構造であることが好ましい。
【0164】
Ar
6に係る前記第2の芳香族環基は、置換基を有していてもよく、この際、第2の芳香族環基の置換基とは、前記第2の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子の少なくとも1つと置換されるものである。前記「第2の芳香族環基の置換基」としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この際、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子としては上述したものが挙げられる。
【0165】
本発明の一実施形態において、前記Ar
6は、上述したアルケニル基やアルキニル基等の重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。前記重合性不飽和結合含有置換基は、単独で有していても、2種以上が組み合わされて有していてもよい。
【0166】
前記Ar
6の好ましい構造としては、下記式(13−1)〜(13−17)が挙げられる。
【0168】
上記式(13−1)〜(13−17)において、「*」は、「−OC(O)Ar
5」に結合する位置を示す。なお、「−*」は芳香環のどの位置に結合されていてもよい。
【0169】
これらのうち、式(13−1)〜(13−11)であることが好ましく、式(13−1)、(13−6)、(13−9)であることがより好ましく、式(13−1)、(13−6)であることがさらに好ましい。
【0170】
なお、式(13−1)〜(13−17)の芳香族環の水素原子の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有基と置換していてもよい。
【0171】
一実施形態によれば、Ar
5が上記式(12−1)、(12−2)、(12−6)、(12−7)、(12−9)であり、Ar
6が上記式(13−1)、(13−6)、(13−9)であることがより好ましく、Ar
5が上記式(12−1)、(12−2)、(12−6)、(12−7)であり、Ar
6が上記式(13−1)、(13−6)であることがさらに好ましく、Ar
5が上記式(12−1)であり、Ar
6が上記式(13−1)、(13−6)であることが特に好ましい。
【0172】
上記化学式(a1)及び(a2)において、前記Ar
5及び前記Ar
6の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有置換基を有する。この際、Ar
5のみが重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよいし、Ar
6のみが重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよいし、Ar
5及びAr
6がともに重合性不飽和結合含有置換基を有していてもよい。
【0173】
一実施形態によれば、上記化学式(a1)において、Ar
6の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有置換基を有することが好ましく、すべてのAr
6が重合性不飽和結合含有置換基を有することがより好ましく、Ar
5が重合性不飽和結合含有置換基を有さず、かつ、すべてのAr
6が重合性不飽和結合含有置換基を有することがさらに好ましい。重合性不飽和結合含有置換基がAr
6に存在すると、高い光感度を有し、耐熱性と誘電特性のバランスに優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0174】
また、一実施形態によれば、上記化学式(a2)において、Ar
5の少なくとも1つが重合性不飽和結合含有置換基を有することが好ましく、すべてのAr
5が重合性不飽和結合含有置換基を有することがより好ましく、Ar
6が重合性不飽和結合含有置換基を有さず、かつ、すべてのAr
5が重合性不飽和結合含有置換基を有することがさらに好ましい。重合性不飽和結合含有置換基がAr
5に存在すると、高い光感度を有し、耐熱性と誘電特性のバランスに優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0175】
上記化学式(a1)及び(a2)において、nは、1〜3の整数である。すなわち、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)は、2つの芳香族環を結合するエステル結合を1つ〜3つ有する。
【0176】
以上のことから、前記化学式(a1)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)のより好ましい形態としては、下記化学式(a1−1)または(a1−2)で表される化合物が挙げられる。
【0177】
【化17】
〔式中R
1は、重合性不飽和結合含有置換基である。R
2は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。hは1〜3の整数であり、iはそれぞれ独立に1以上の整数であり、jはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、i+jは5以下の整数である。kは1〜3の整数であり、lはそれぞれ独立に1以上の整数であり、mはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、l+mは7以下の整数である。i、j、l、mが2以上の整数である場合、複数のR
1或いはR
2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(a1−2)においてR
1、R
2はナフタレン環上の何れの炭素原子上に置換していてもよい。〕
【0178】
前記式(a1−1)において、R
1の特に好ましいものとしては、前述の通り、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基が挙げられる。iは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0179】
前記式(a1−2)において、R
1の特に好ましいものとしては、前述の通り、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基が挙げられる。lは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0180】
上述の化学式(a1)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)の具体的な構造としては、特に制限されないが、例えば、下記化学式(14−1)〜(14−47)で表される化合物等が挙げられる。
【0185】
上記化学式(14−1)〜(14−44)中、化学式(14−1)〜(14−39)であることが好ましく、化学式(14−1)〜(14−3)、(14−10)〜(14−13)、(14−18)〜(14−39)であることがより好ましく、化学式(14−1)〜(14−3)、(14−12)、(14−13)、(14−19)〜(14−21)、(14−23)〜(14−26)、(14−29)、(14−30)、(14−32)〜(14−39)であることがさらに好ましく、化学式(14−1)、(14−2)、(14−12)、(14−13)、(14−26)、(14−32)、(14−37)であることが特に好ましい。
【0186】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)の製造方法は特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。
【0187】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)の製造方法としては、例えば、前記第2の芳香族化合物と、前記第3の芳香族化合物等とを反応させる方法が挙げられる。
【0188】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)としては、前記化学式(a2)で表されるものである。
【0189】
前記化学式(a2)中のAr
5は、置換または非置換の第1の芳香族環基である。後述するように、前記化学式(a2)中のnは1〜3の整数であることから、第1の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子のうち1つが「−C(O)OAr
6」に置換されることとなる。
【0190】
前記化学式(a2)中のAr
5としては、上述した「前記化学式(10)中のAr
6」における「第1の芳香族環基」と同様のものが挙げられる。
【0191】
前記化学式(a2)中のAr
6は、置換または非置換の第2の芳香族環基である。前記化学式(11)の記載からも明らかなように、第2の芳香族環基を構成する芳香族環の水素原子のうちの1つ〜3つが「−OC(O)Ar
5」に置換されることとなる。
【0192】
前記化学式(a2)中のAr
6としては、上述した「前記化学式(a1)中のAr
6」における「第2の芳香族環基」と同様のものが挙げられる。
【0193】
前記化学式(a2)において、nは、1〜3の整数である。すなわち、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)は、2つの芳香族環を結合するエステル結合を1つ〜3つ有する。
【0194】
以上のことから、前記化学式(a2)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)のより好ましい形態としては、下記化学式(1−3)または(1−4)で表される化合物が挙げられる。
【0195】
【化22】
〔式中R
1は、重合性不飽和結合含有置換基である。R
2は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。hは1〜3の整数であり、iはそれぞれ独立に1以上の整数であり、jはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、i+jは5以下の整数である。i、jが2以上の整数である場合、複数のR
1或いはR
2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。〕
【0196】
前記式(a2−1)において、R
1の特に好ましいものとしては、前述の通り、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基が挙げられる。iは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0197】
前記式(a2−2)において、R
1の特に好ましいものとしては、前述の通り、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基が挙げられる。lは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0198】
上述の化学式(a2)で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)の具体的な構造としては、特に制限されないが、例えば、下記化学式(15−1)〜(15−3)で表される化合物等が挙げられる。
【0200】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)の製造方法は特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。
【0201】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)の製造方法としては、例えば、前記第1の芳香族化合物と、前記第4の芳香族化合物等とを反応させる方法が挙げられる。
【0202】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の製造方法は、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。
【0203】
例えば、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物の水酸基のモル数に対するカルボキシル基を有する芳香族化合物のカルボキシル基等のモル数の比(カルボキシル基等/水酸基)は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、0.3〜3であることが好ましい。
【0204】
また、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の製造における、前記フェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、カルボキシル基を有する芳香族化合物の反応は、反応条件については特に制限されず、適宜公知の手法が採用され得る。
【0205】
反応時のpHは、特に制限されないが、11以上であることが好ましい。この際、pHの調整は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等の塩基が使用され得る。
【0206】
反応温度も特に制限されず、20〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。
【0207】
反応圧力も特に制限されず、常圧であることがより好ましい。
【0208】
反応時間も特に制限されず、0.5〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。
【0209】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)について説明する。
【0210】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)としては、酸基及び(メタ)アクリロイル基を有していればよく、その他の具体構造や分子量等は特に問われず、多種多様な樹脂を用いることができる。
【0211】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性を発現することから、カルボキシル基が好ましい。
【0212】
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)としては、例えば、〔1〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)、〔2〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)〔3〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)、〔4〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)、〔5〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(B−5)等が挙げられる。
【0213】
〔1〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)について説明する。
【0214】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)としては、例えば、エポキシ樹脂(b1−1)と、不飽和モノカルボン酸(b1−2)と、ポリカルボン酸無水物(b1−3)とを必須の反応原料として得られるもの等が挙げられる。
【0215】
前記エポキシ樹脂(b1−1)としては、樹脂中に複数のエポキシ基を有しているものであれば、その具体構造は特に限定されない。
【0216】
前記エポキシ樹脂(b1−1)としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0217】
前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)とは、一分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有する化合物をいい、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。これらの不飽和モノカルボン酸(b1−2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0218】
前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)のエステル化物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の窒素含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルホリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル等のその他(メタ)アクリル酸エステル化合物などが挙げられる。
【0219】
前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)の酸ハロゲン化物としては、例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等が挙げられる。
【0220】
前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)の酸無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸無水物等が挙げられる。
【0221】
前記ポリカルボン酸無水物(b1−3)は、一分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物であれば、いずれのものも用いることができる。前記ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物などが挙げられる。
【0222】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)の製造方法は、前記エポキシ樹脂(b1−1)、前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)、及び前記ポリカルボン酸無水物(b1−3)を必須の反応原料とするものであれば特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にエポキシ樹脂(b1−1)と不飽和モノカルボン酸(b1−2)とを反応させ、次いで、ポリカルボン酸無水物(b1−3)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、エポキシ樹脂(b1−1)と不飽和モノカルボン酸(b1−2)とをエステル化反応触媒の存在下、100〜150℃の温度範囲で反応させた後、反応系中にポリカルボン酸無水物(b1−3)を加え、80〜120℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
【0223】
前記エポキシ樹脂(b1−1)と不飽和モノカルボン酸(b1−2)との反応割合は、エポキシ樹脂(b1−1)中のエポキシ基1モルに対し、不飽和モノカルボン酸(b1−2)を0.9〜1.1モルの範囲で用いることが好ましい。また、前記ポリカルボン酸無水物(b1−3)の反応割合は、エポキシ樹脂(b1−1)中のエポキシ基1モルに対し、0.2〜1.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0224】
前記エステル化反応触媒としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0225】
前記反応触媒の添加量は、反応原料の合計100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
【0226】
前記エポキシ樹脂(b1−1)、前記不飽和モノカルボン酸(b1−2)、及び前記ポリカルボン酸無水物(b1−3)の反応は、必要に応じて有機溶剤中で行うこともできる。
【0227】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1〜5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
【0228】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、40〜120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ樹脂(B−1)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0229】
次に、〔2〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)について説明する。
【0230】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)と、環状カーボネート化合物(b2−2a)または環状エーテル化合物(b2−2b)と、不飽和モノカルボン酸(b2−3a)及び/またはN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)と、ポリカルボン酸無水物(b2−4)とを必須の反応原料として得られるもの等が挙げられる。
【0231】
前記フェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)とは、分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する樹脂をいい、例えば、芳香族ポリヒドロキシ化合物や、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種または2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂や、前記フェノール性水酸基を1つ有する化合物と下記構造式(x−1)〜(x−5)の何れかで表される化合物(x)とを必須の反応原料とする反応生成物等が挙げられる。
【0232】
【化24】
(式中hは、0または1である。R
1は、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1〜4の整数である。Zは、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは1〜4の整数である。)
【0233】
前記芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ビフェノール、テトラヒドロキシビフェニル、ビスフェノール等の他、これらの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有する化合物などが挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアラルキル基などが挙げられる。これらの芳香族ポリヒドロキシ化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高い絶縁信頼性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、ハロゲンを含有しない化合物が好ましい。
【0234】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種または2種以上と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で反応させて得られるものが挙げられる。
【0235】
前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、芳香核上に水酸基を1つ有する芳香族化合物であれば何れの化合物でもよく、例えば、フェノール或いはフェノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するフェノール化合物、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するナフトール化合物、アントラセノール或いはアントラセノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するアントラセノール化合物等が挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、それぞれの具体例は前述の通りである。これらのフェノール性水酸基を1つ有する化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0236】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、へキシルアルデヒド等のアルキルアルデヒド;サリチルアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド;2−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド等のヒドロキシ基とアルコキシ基の両方を有するベンズアルデヒド;メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド等のアルコキシベンズアルデヒド;1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド等のヒドロキシナフトアルデヒド;ブロムベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0237】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0238】
前記フェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)とを必須の反応原料とする反応生成物としては、例えば、前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)とを、酸性触媒下で80〜200℃程度の温度条件下で加熱撹拌する方法により得ることができる。前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物と前記化合物(x)との反応割合は、前記化合物(x)1モルに対して、前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物が、0.5〜5モルとなる割合であることが好ましい。
【0239】
前記酸性触媒としては、上述したものと同様である。
【0240】
前記環状カーボネート化合物(b2−2a)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの環状カーボネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートが好ましい。
【0241】
前記環状エーテル化合物(b2−2b)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの環状エーテル化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイド、またはプロピレンオキサイドが好ましい。
【0242】
前記不飽和モノカルボン酸(b2−3a)としては、上述の不飽和モノカルボン酸(b1−2)と同様のものを用いることができる。
【0243】
前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)としては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。また、これらのN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0244】
前記ポリカルボン酸無水物(b2−4)としては、上述のポリカルボン酸無水物(b1−3)と同様のものを用いることができる。
【0245】
前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)を用いる場合、前記ポリカルボン酸無水物(b2−4))との当量比[(b2−3b)/(b2−4))]は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、0.2〜7の範囲が好ましく、0.25〜6.7の範囲がより好ましい。
【0246】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にフェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)と、環状カーボネート化合物(b2−2a)または環状エーテル化合物(b2−2b)とを反応させて、次いで、不飽和モノカルボン酸(b2−3a)及び/またはN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)を反応させた後、ポリカルボン酸無水物(b2−4)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、前記フェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)と前記前記環状カーボネート化合物(b2−2a)または前記環状エーテル化合物(b2−2b)とを塩基性触媒の存在下、100〜200℃の温度範囲で反応させた後、酸性触媒の存在下、不飽和モノカルボン酸(b2−3a)及び/またはN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)を80〜140℃の温度範囲で反応させ、次いで、ポリカルボン酸無水物(b2−4)を加え、80〜140℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
【0247】
前記塩基性触媒としては、例えば、N−メチルモルフォリン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1,4−ジエチルイミダゾール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0248】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0249】
前記フェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)、前記環状カーボネート化合物(b2−2a)または前記環状エーテル化合物(b2−2b)、前記不飽和モノカルボン酸(b2−3a)及び/または前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)、並びに前記ポリカルボン酸無水物(b2−4)の反応は、必要に応じて有機溶剤中で行うこともできる。
【0250】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0251】
前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計100質量部に対して10〜500質量部の範囲が好ましい。
【0252】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)の具体的構造は特に限定されず、フェノール性水酸基含有樹脂(b2−1)と、環状カーボネート化合物(b2−2a)または環状エーテル化合物(b2−2b)と、不飽和モノカルボン酸(b2−3a)及び/またはN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2−3b)と、ポリカルボン酸無水物(b2−4)とを必須の反応原料とし、樹脂中に酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するものであればよいが、得られる前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)としては、例えば、下記構造式(a−1)で表される構造部位(I)と下記構造式(a−2)で表される構造部位(II)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有するものや、下記構造式(a−3)で表される構造部位(III)と下記構造式(a−4)で表される構造部位(IV)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有するものが挙げられる。
【0253】
【化25】
[式中R
2は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基である。R
3は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、nは、それぞれ独立に1または2である。R
4は、それぞれ独立にメチレン基または下記構造式(x’−1)〜(x’−5)の何れかで表される構造部位である。R
5、R
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、R
5とR
6とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
7は、炭素原子数1〜12の炭化水素基である。R
8は、水素原子またはメチル基である。xは、前記R
3で表される構造部位、或いは、構造式(a−1)で表される構造部位(I)または構造式(a−2)で表される構造部位(II)とが、*印が付されたR
4を介して連結する結合点である。]
【0254】
【化26】
[式中R
2は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基である。R
3は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、nは、それぞれ独立に1または2である。R
4は、それぞれ独立にメチレン基または下記構造式(x’−1)〜(x’−5)の何れかで表される構造部位である。R
5、R
6は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、R
5とR
6とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
7は、炭素原子数1〜12の炭化水素基である。R
8は、水素原子またはメチル基である。xは、前記R
3で表される構造部位、或いは、構造式(a−3)で表される構造部位(III)または構造式(a−4)で表される構造部位(IV)とが、*印が付されたR
4を介して連結する結合点である。]
【0255】
【化27】
[式中hは、0または1である。R
9は、それぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1〜4の整数である。R
10は、水素原子またはメチル基である。Wは、下記構造式(w−1)または(w−2)である。Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは、1〜4の整数である。]
【0256】
【化28】
(式中R
11は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基である。R
12、R
13は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、R
12とR
13とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R
14は、炭素原子数1〜12の炭化水素基である。R
15は、水素原子またはメチル基である。)
【0257】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリルアミド樹脂(B−2)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、40〜120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本発明において、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
【0258】
次に、〔3〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)について説明する。
【0259】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)としては、例えば、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b3−1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)とを必須の反応原料として得られるもの等が挙げられる。
【0260】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂(b3−1)の酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60〜350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61〜360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0261】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)の具体構造や製造方法は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
【0262】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、o−トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(i−1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体などが挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0263】
【化29】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、または構造式(i−1)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0または1〜3の整数であり、mは1以上の整数である。]
【0264】
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、高い溶剤溶解性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体が好ましく、脂環式ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体、脂肪族ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体がより好ましい。
【0265】
また、前記ポリイソシアネート化合物の総質量中における、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体の合計質量の割合が、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましい。
【0266】
また、脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体とを併用する場合には、両者の質量比が30/70〜70/30の範囲であることが好ましい。
【0267】
前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、分子構造中に複数のカルボキシル基を有する化合物またはその酸無水物であれば具体構造は特に問われず、多種多様な化合物を用いることができる。なお、前記アミドイミド樹脂(b3−1)がアミド基とイミド基の両方を有するためには、系中にカルボキシル基及び酸無水物基の両方が存在している必要があるが、本発明においては、分子中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有する化合物を用いてもよいし、カルボキシル基を有する化合物と酸無水物基を有する化合物とを併用してもよい。
【0268】
前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物等が挙げられる。
【0269】
前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
【0270】
前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
【0271】
前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、本発明では、カルボキシル基または酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
【0272】
前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。
【0273】
これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、或いは前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物が好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(b3−1)を効率的に製造できることから、分子構造中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有するトリカルボン酸無水物を用いることが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはトリメリット酸無水物を用いることが特に好ましい。更に、前記ポリカルボン酸またはその酸無水物の総質量に対する脂環式トリカルボン酸無水物と芳香族トリカルボン酸無水物との合計量の割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0274】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)が、前記ポリイソシアネート化合物と、前記ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料とするものである場合、所望の樹脂性能等に応じて、これら以外の反応原料を併用してもよい。この場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、アミドイミド樹脂(b3−1)の反応原料総質量に対する前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリカルボン酸またはその酸無水物との合計質量の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
【0275】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)が、ポリイソシアネート化合物とポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料とするものである場合、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、一般的なアミドイミド樹脂と同様の方法にて製造することができる。具体的には、ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基1モルに対し、0.5〜2.0モルのポリカルボン酸またはその酸無水物を用い、120〜180℃程度の温度条件下で撹拌混合して反応させる方法が挙げられる。
【0276】
前記ポリイソシアネート化合物とポリカルボン酸またはその酸無水物との反応は、必要に応じて、塩基性触媒の存在下で行うこともできる。また、該反応は、必要に応じて有機溶剤中で行うこともできる。
【0277】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0278】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0279】
前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計100質量部に対して10〜500質量部の範囲が好ましい。
【0280】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)としては、分子構造中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、分子量が1,000以下のものが好ましい。また、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)が、前記オキシアルキレン変性体やラクトン変性体である場合には、重量平均分子量(Mw)が1,000以下であることが好ましい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0281】
また、前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)としては、必要に応じて、前記アミドイミド樹脂(b3−1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)以外に、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)を反応原料として併用することもできる。また、前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)としては、必要に応じて、前記アミドイミド樹脂(b3−1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)以外に、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)及びポリカルボン酸無水物(b3−4)を反応原料として併用することもできる。
【0282】
前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物などが挙げられる。これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、その分子量は、500以下であることが好ましい。さらに、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)の総質量中の前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーの割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0283】
前記ポリカルボン酸無水物(b3−4)としては、上述のポリカルボン酸無水物(b1−3)として例示したものを用いることができ、前記ポリカルボン酸(b3−4)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0284】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)は、所望の樹脂性能等に応じて、前記酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b3−1)、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)及びポリカルボン酸無水物(b3−4)以外に、他の反応原料を併用することもできる。この場合、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−3)の反応原料総質量中の前記(b3−1)〜(b3−4)成分の合計質量の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0285】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、前記アミドイミド樹脂(b3−1)、及び前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)を含む反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。
【0286】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応は、主に、前記アミドイミド樹脂(b3−1)中の酸基及び/または酸無水物基と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)中の水酸基とを反応させるものである。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)は特に酸無水物基との反応性に優れることから、前述の通り、前記アミドイミド樹脂(b3−1)は酸無水物基を有していることが好ましい。なお、前記アミドイミド樹脂(b3−1)中の酸無水物基の含有量は、前述した2通りの酸価の測定値の差分、即ち、酸無水物基を開環させた条件での酸価と、酸無水物基を開環させない条件での酸価との差分から算出することができる。
【0287】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応割合は、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸基及び酸無水物基を有する場合、並びに前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸無水物基を有する場合、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が有する酸無水物基1モルに対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)が有する水酸基のモル数が、0.9〜1.1となる範囲で用いることが好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸基を有する場合、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が有する酸基1モルに対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)が有する水酸基のモル数が、0.01〜1.0となる範囲で用いることが好ましい。
【0288】
前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応は、必要に応じて、塩基性触媒または酸性触媒を用いてもよい。なかでも、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸基及び酸無水物基を有する場合、並びに前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸無水物基を有する場合は、塩基性触媒を用いることが好ましく、前記アミドイミド樹脂(b3−1)が酸基を有する場合は、酸性触媒を用いることが好ましい。
【0289】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものを用いることができ、前記塩基性触媒は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0290】
前記酸性触媒としては、上述の酸性触媒として例示したものを用いることができ、前記酸性触媒は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0291】
前記塩基性触媒または前記酸性触媒の添加量は、反応原料の合計質量100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0292】
また、前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応は、適当な触媒の存在下、80〜140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。
【0293】
該反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。なお、前記アミドイミド樹脂(b3−1)の製造と連続して行う場合には、前記アミドイミド樹脂(b3−1)の製造で用いた有機溶剤中でそのまま反応を続けてもよい。
【0294】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)が、反応原料として、前記アミドイミド樹脂(b3−1)、及び前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)以外に、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)を用いる場合、前記アミドイミド樹脂(b3−1)、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)、及び前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)を含む反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)とを反応させて得られた生成物(以下、「生成物(1)」と称することがある。)に、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)を反応させる方法で製造することが好ましい。
【0295】
前記生成物(1)と前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)との反応は、主に、前記生成物(1)中の酸基と前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)とを反応させるものである。その反応割合は、前記生成物(1)が有する酸基1モルに対する、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)が有するエポキシ基のモル数が、0.05〜1.1となる範囲で用いることが好ましい。該反応は、例えば、適当な塩基性触媒の存在下、90〜140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)との反応と連続して行う場合、塩基性触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、該反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。なお、前記塩基性触媒及び前記有機溶剤は、上述の塩基性触媒及び有機溶剤と同様のものを用いることができ、それらは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0296】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)が、反応原料として、前記アミドイミド樹脂(b3−1)、及び前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)以外に、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)及びポリカルボン酸無水物(b3−4)を用いる場合、前記アミドイミド樹脂(b3−1)、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)、及びポリカルボン酸無水物(b3−4)を含む反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、前記アミドイミド樹脂(b3−1)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)とを反応させて得られた生成物(1)に、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)を反応させ、得られた生成物(以下、「生成物(2)」と称することがある。)に、前記ポリカルボン酸無水物(b3−4)を反応させる方法で製造することが好ましい。
【0297】
前記生成物(2)と前記ポリカルボン酸無水物(b3−4)との反応は、主に、前記生成物(2)中の水酸基と前記多塩基酸無水物とを反応させるものである。この際、前記生成物(2)において、前記生成物(1)と前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)との反応割合は、前記生成物(1)が有する酸基1モルに対する、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)が有するエポキシ基のモル数は、0.1〜1.2となる範囲で用いることが好ましく、0.2〜1.1となることが更に好ましい。ここで、前記生成物(2)中には、例えば、前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)中のエポキシ基の開環により生じた水酸基等が存在する。前記ポリカルボン酸無水物(b3−4)の反応割合は、製造される酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)の酸価が50〜120mgKOH/g程度になるよう調整されることが好ましい。該反応は、例えば、適当な塩基性触媒の存在下、80〜140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。前記生成物(1)と前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(b3−3)との反応と連続して行う場合、塩基性触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、該反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。なお、前記塩基性触媒及び前記有機溶剤は、上述の塩基性触媒及び有機溶剤と同様のものを用いることができ、それらは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0298】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、40〜120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアミドイミド樹脂(B−3)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0299】
次に、〔4〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)について説明する。
【0300】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物や、前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるもの等が挙げられる。
【0301】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0302】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0303】
前記多塩基酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、オクテニル無水コハク酸、テトラプロぺニル無水コハク酸等が挙げられる。これらの多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0304】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0305】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0306】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0307】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、30〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、40〜120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂(B−4)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0308】
次に、〔5〕酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(B−5)について説明する。
【0309】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(B−5)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、カルボキシル基含有ポリオール化合物、及び必要に応じて多塩基酸無水物、前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたものや、ポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、多塩基酸無水物、及びカルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたものや、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0310】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物と同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0311】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b3−2)と同様のものを用いることができ、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0312】
前記カルボキシル基含有ポリオール化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0313】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0314】
前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0315】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂(b1−1)として例示したものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0316】
前記不飽和一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α−シアノ桂皮酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和一塩基酸のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。これらの不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0317】
前記酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(B−5)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0318】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0319】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0320】
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)と前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)を含有するものである。
【0321】
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物中の前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)の含有量は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、10〜90質量%の範囲が好ましい。
【0322】
また、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物中の前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)の含有量は、90〜10質量%の範囲が好ましい。
【0323】
前記重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A)と、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)との固形分の質量割合[(A)/(B)]は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、50/50〜95/5の範囲が好ましい。
【0324】
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、光重合開始剤を添加することにより硬化性樹脂組成物として用いることができる。
【0325】
前記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン等が挙げられる。
【0326】
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad−1173」、「Omnirad−184」、「Omnirad−127」、「Omnirad−2959」、「Omnirad−369」、「Omnirad−379」、「Omnirad−907」、「Omnirad−4265」、「Omnirad−1000」、「Omnirad−651」、「Omnirad−TPO」、「Omnirad−819」、「Omnirad−2022」、「Omnirad−2100」、「Omnirad−754」、「Omnirad−784」、「Omnirad−500」、「Omnirad−81」(IGM社製)、「カヤキュア−DETX」、「カヤキュア−MBP」、「カヤキュア−DMBI」、「カヤキュア−EPA」、「カヤキュア−OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア−10」、「バイキュア−55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア−PDO」、「クオンタキュア−ITX」、「クオンタキュア−EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure−1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
【0327】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物中に、1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0328】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B)以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られる、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
【0329】
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。前記各種の(メタ)アクリレートモノマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0330】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0331】
前記硬化剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中のカルボキシ基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が20〜120℃の範囲であるものが特に好ましい。
【0332】
前記硬化促進剤としては、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであり、前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合には、リン系化合物、アミン系化合物、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化剤100質量部に対し1〜10質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0333】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0334】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0335】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0336】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、10〜5,000mJ/cm
2であることが好ましく、50〜1,000mJ/cm
2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
【0337】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0338】
また、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、耐熱性及び誘電特性に優れることから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。
【0339】
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記硬化性樹脂組成物からなるものである。
【0340】
本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60〜100℃程度の温度範囲で有機溶剤を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140〜180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。
【0341】
前記基材としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などが挙げられる。
【実施例】
【0342】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0343】
本願実施例において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価はJIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定した。
【0344】
本願実施例において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量は下記条件のGPCにて測定した。
【0345】
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
標準:前記「GPC−8320 GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた
使用ポリスチレン
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
【0346】
(合成例1:重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコにオルトアリルフェノール268質量部(2.0mol)、トルエン1200質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、イソフタル酸クロリド203質量部(1.0mol)を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、テトラブチルアンモニウムブロミド0.6質量部を添加し、窒素ガスパージ処理を行いながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液412質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間撹拌した。反応終了後、静置分液により水層を除去した。得られたトルエン層にさらに水を投入して15分間撹拌し、静置分液により水層を除去した。この操作を水層のpHが7になるまで繰り返した。そして、加熱減圧乾燥することで、下記化学式で表される重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)を得た。この重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)のエステル基当量は、199g/当量であった。なお、前記エステル基当量は、仕込み比から算出した計算値である。
【0347】
【化30】
【0348】
(合成例2:重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−2)の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコにオルトアリルフェノール134質量部(1.0mol)、トルエン711質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、ベンジルクロライド140質量部(1.0mol)を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、テトラブチルアンモニウムブロミド0.4質量部を添加し、窒素ガスパージ処理を行いながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液205質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間撹拌した。反応終了後、静置分液により水層を除去した。得られたトルエン層にさらに水を投入して15分間撹拌し、静置分液により水層を除去した。この操作を水層のpHが7になるまで繰り返した。そして、加熱減圧乾燥することで、下記化学式で表される芳香族エステル化合物(A−2)を得た。この芳香族エステル化合物(A−2)のエステル基当量は、119g/当量であった。なお、前記エステル基当量は、仕込み比から算出した計算値である。
【0349】
【化31】
【0350】
(合成例3:芳香族エステル化合物(A−3)の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコにオルソクレゾール216質量部(2.0mol)、トルエン1200質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、イソフタル酸クロリド203質量部(1.0mol)を仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5質量部を添加し、窒素ガスパージ処理を行いながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液412質量部を3時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間撹拌した。反応終了後、静置分液により水層を除去した。得られたトルエン層にさらに水を投入して15分間撹拌し、静置分液により水層を除去した。この操作を水層のpHが7になるまで繰り返した。そして、加熱減圧乾燥することで、下記化学式で表される芳香族エステル化合物(A−3)を得た。この芳香族エステル化合物(A−3)のエステル基当量は、173g/当量であった。なお、前記エステル基当量は、仕込み比から算出した計算値である。
【0351】
【化32】
【0352】
(合成例4:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」、エポキシ当量:214)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応して、固形分が64.0質量%の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)の固形分酸価は85mgKOH/gであり、重量平均分子量は、8850であった。
【0353】
(合成例5:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−2)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート392質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T−1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)(以下、「T−1890」と略記する。)244質量部、無水トリメリット酸192質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.0質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。酸無水物基非開環条件で測定した固形分酸価は160mgKOH/gであった。メトキノン0.3質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM−306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)(以下、「M−306」と略記する。)172質量部及びトリフェニルホスフィン3.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート163質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸112質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート122質量部を加えて110℃で5時間反応させ、固形分が62.1質量%の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−2)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−2)の固形分酸価は79mgKOH/gであり、重量平均分子量は、3790であった。
【0354】
(実施例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得た重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)と、合成例4で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートと、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 907」)と、2−エチル−4−メチルイミダゾールと、フタロシアニングリーンとを表1に示す質量部で配合し、ロールミルにより混錬して酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(1)を得た。
【0355】
(実施例2〜7:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(2)〜(7)の調製)
表1に示す組成及び配合で実施例1と同様の方法にて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(2)〜(7)を得た。
【0356】
(比較例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C1)の調製)
合成例3で得た芳香族エステル化合物(A−3)と、合成例4で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートと、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 907」)と、2−エチル−4−メチルイミダゾールと、フタロシアニングリーンとを表1に示す質量部で配合し、ロールミルにより混錬して酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C1)を得た。
【0357】
(比較例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C2)の調製)
比較例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)の代わりに、合成例4で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−2)を用いた以外は、比較例1と同様にして酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C2)を得た。
【0358】
上記の実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0359】
[光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜上にコダック社製「ステップタブレットNo.2」を乗せ、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射した。これを1%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、ステップタブレット法に基づきステップタブレットの残存段数にて評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高いことを示す。
【0360】
実施例1〜7で調製した酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(1)〜(7)、並びに比較例1及び2で調製した酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C1)及び(C2)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0361】
【表1】
【0362】
表1中の比較例2の評価における「−」は、評価不可を示す。これは、芳香族エステル化合物と酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が相溶せず、混合した際に白濁したため、評価不可とした。
【0363】
(実施例8:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(8)の調製)
合成例1で得た重合性不飽和結合含有芳香族エステル化合物(A−1)と、合成例4で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」)と、硬化促進剤としてジメチルアミノピリジンと、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 907」)と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを表2に示す質量部で配合し、ロールミルにより混錬して酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(8)を得た。
【0364】
(実施例9〜14:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(9)〜(14)の調製)
表2に示す組成及び配合で実施例8と同様の方法にて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(9)〜(14)を得た。
【0365】
(比較例3:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C3)の調製)
合成例3で得た芳香族エステル化合物(A−3)と、合成例4で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」と、硬化促進剤としてジメチルアミノピリジンと、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 907」)と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを表2に示す質量部で配合し、ロールミルにより混錬して酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C3)を得た。
【0366】
(比較例4:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C4)の調製)
比較例3で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)の代わりに、合成例5で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−2)を用いた以外は、比較例3と同様にして酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C4)を得た。
【0367】
上記の実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0368】
[耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0369】
[誘電率の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電率を測定した。
【0370】
[誘電正接の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm
2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電正接を測定した。
【0371】
実施例8〜14で調製した酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(8)〜(14)、並びに比較例3及び4で調製した酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(C3)及び(C4)の組成及び評価結果を表2に示す。
【0372】
【表2】
【0373】
なお、表1及び2中の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(B−1)及び(B−2)の配合量は、固形分値である。
【0374】
表2中の比較例4の評価における「−」は、評価不可を示す。これは、芳香族エステル化合物と酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が相溶せず、混合した際に白濁したため、評価不可とした。
【0375】
なお、表1及び2中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」、エポキシ当量:214)を示す。
【0376】
表2中の「硬化促進剤」は、ジメチルアミノピリジンを示す。
【0377】
表1及び2中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。
【0378】
表1及び2中の「光重合開始剤」は、IGM社製「Omnirad−907」を示す。
【0379】
表1及び2に示した実施例1〜14は、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の例であるが、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は優れた光感度を有しており、また、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性を有しており、また、誘電率及び誘電正接ともに低く、誘電特性にも優れることが確認できた。
【0380】
一方、比較例1〜4は、重合性不飽和結合を有しない芳香族エステル化合物を用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の例であるが、この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物の硬化物は、誘電率及び誘電正接ともに高く、誘電特性が著しく不十分であることが確認できた。