【実施例】
【0011】
実施例に係るボンディング装置について
図1を用いて説明する。
図1は実施例に係るボンディング装置の構成を示す斜視図である。
図1では後述する多機能ロボットの複数の状態が示されている。
【0012】
実施例に係るボンディング装置1は、正面の幅がW、奥行きがD、高さがHの装置本体2を備える。装置本体2は、床ベース3と、天井ベース4と、それらの間に配置される中間ベース5とを備える。床ベース3の上には突き上げ用ロボット60が固定され、天井ベース4の下には多機能ロボット50が固定される。中間ベース5の上には背面側にウエハステージ10が固定され、それに隣接した正面側にボンディングステージ20が固定される。ウエハステージ10の下の中間ベース5には孔が開いている。ボンディングステージ20よりも正面側で中間ベース5よりも上方にウエハ11を保持するウエハリング14を格納するウエハカセット30が配置され、その上方に基板21を格納するマガジン40が配置される。例えば、ウエハ11の径が最大300mm(12インチ)、基板21の大きさが最大310x310mmの場合、装置本体2の大きさはW=450mm、H=1600mm、D=1500mmであるのが好ましい。
【0013】
次に、
図3を用いてウエハステージの詳細な構成を説明する。
図3は実施例に係るウエハステージの構成を示す断面図である。ウエハ11の裏面には、ダイアタッチフィルム(DAF)18が貼り付けられ、更にその裏側にダイシングテープ16が貼り付けられている。さらに、ダイシングテープ16の縁辺は、ウエハリング14に貼り付けられ、エキスパンダ15に挟み込まれて固定されている。エキスバンダ15はシリンダ等で構成され、逆L字状部分は回転可能であり、逆L字状部分は上下動可能である。すなわち、ウエハステージ10は、ウエハリング14を押し下げるエキスパンダ15と、ウエハリング14に保持され複数のダイD(ウエハ11)が接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を備える。このように、ダイDの薄型化に伴い、ダイボンディング用の接着剤は、液状からフィルム状に替わり、ウエハ11とダイシングテープ16との間に、ダイアタッチフィルム18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けた構造としている。ダイアタッチフィルム18を有するウエハ11では、ダイシングはウエハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。なお、ダイシングテープ16とダイアタッチフィルム18が一体化されたテープであってもよい。
【0014】
次に、多機能ロボット50の構成について
図4を用いて説明する。
図4は実施例に係る多機能ロボットの構成を示す斜視図である。実施例に係る多機能ロボット50は垂直型多自由度多関節ロボットである。多機能ロボット50は固定部51と可動部52とツール交換部53と力覚センサ54とビジョンカメラ55を備える。ツール接続部53は凸型(オス型)であり、後述する各種ツールの凹型(メス型)の接続部が接続される。各種ツールとしては、ウエハハンドリングツール70、基板ハンドリングツール80、ダイハンドリングツール90等である。各種ツールの格納部は多機能ロボット50の動作範囲でウエハ搬送、基板搬送およびピックアップ&プレースに障害にならない位置に配置される。
【0015】
次に、ウエハハンドリングツール70について
図5、6を用いて説明する。
図5は実施例に係るウエハハンドリングツールの構成を示す斜視図である。
図6は実施例に係る多機能ロボットにウエハハンドリングツールを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0016】
図5に示すように、ウエハハンドリングツール70はウエハチャック部71と接続部72とを備える。ウエハ把持部71はウエハリング14を把持する。接続部72は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。
図6に示すように、多機能ロボット50の先端に取り付けられたウエハハンドリングツール70はウエハリング14を把持し、ウエハカセット30に出し入れする。
【0017】
次に、基板ハンドリングツール80について
図7、8を用いて説明する。
図7は実施例に係る基板ハンドリングツールの構成を示す斜視図である。
図8は実施例に係る多機能ロボットに基板ハンドリングツールを取り付けた状態の斜視図である。
【0018】
図7に示すように、基板ハンドリングツール80は搭載部81と支持部82と接続部83とを備える。搭載部71は基板31同程度の大きさで平板状であり、基板31を載せる部分である。指示部82は円柱状で搭載部81と接続部82に接続されている。接続部82は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。
図8に示すように、多機能ロボット50の先端に取り付けられた基板ハンドリングツール80は基板21を載せ、ボンディングステージ20に置いたり取り除いたりする。
【0019】
次に、ダイハンドリングツール90について
図9、10を用いて説明する。
図9は実施例に係るダイハンドリングツールの構成を示す斜視図である。
図10は実施例に係る多機能ロボットにダイハンドリングツールを取り付けた状態の斜視図である。
【0020】
図9に示すように、ダイハンドリングツール90はヘッド部91と接続部92とを備える。ヘッド部91の先端にはコレット93が取り付けられ、ダイDを吸着する。接続部92は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。
図10に示すように、ダイハンドリングツール90は多機能ロボット50の先端に取り付けられる。
【0021】
次に、突き上げ用ロボット60の構成について
図11を用いて説明する。
図11は実施例に係る突き上げ用ロボットの構成を示す斜視図である。実施例に係る突き上げ用ロボット60は垂直型多自由度多関節ロボットである。突き上げ用ロボット60は固定部61と可動部62と突き上げツール部63とを備える。突き上げツール部63は品種別または製品別に応じて交換可能である。
【0022】
次に、ダイボンディング装置1の動作について
図12A、12B、13〜16を用いて説明する。
図12A、12Bは実施例に係るボンディング装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図13は実施例に係るボンディング装置のウエハ搬送時の動作を説明するための斜視図である。
図14は実施例に係るボンディング装置の基板搬送時の動作を説明するための斜視図である。
図15は実施例に係るボンディング装置のピックアップおよびボンド時の動作を説明するための斜視図である。
図16は実施例に係るボンディング装置のピックアップの動作を説明するための斜視図である。
【0023】
ダイボンディング装置1は図示しない制御装置を備え、制御装置は図示しないCPU(Central Processor Unit)、制御プログラムを格納するメモリやデータを格納するメモリ、コントロールバスをなど有し、多機能ロボット50や突き上げ用ロボット60等のダイボンディング装置1を構成する各要素を制御する。
【0024】
ダイボンディング装置1の動作は、イニシャライズ(ステップS1)、ウエハ搬送(ステップS2)、基板搬送(ステップS3)、ピックアップ&プレース(ステップS3)に分けられる。
【0025】
ステップS1:制御装置は多機能ロボット50や突き上げ用ロボット60等のダイボンディング装置1を構成する各要素を初期化する(イニシャライズ)。
【0026】
ステップS2のウエハ搬送は下記の動作を行う。
ステップS21:制御装置は多機能ロボット50にウエハハンドリングツール70を取り付ける(ウエハ用ツール交換)。
ステップS22:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハカセット30の有無を確認する(ウエハカセット有無確認)。
ステップS23:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハ11(ウエハリング14)の有無を確認する(ウエハ有無確認)。
ステップS24:制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、
図13に示すように、ウエハ11を保持するウエハリング14をウエハカセット30から取出してウエハステージ10に搬送する(ウエハ搬送)。
ステップS25:制御装置はウエハリング14をエキスバンダ15で押さえて、ウエハリング14に保持されているダイシングテープ16を引き伸ばす(ウエハエキスバンド)。これにより、ダイD同士の間隔が広がり、各ダイD同士の干渉・接触を防止し、個々のダイが離れ突上げ易くなる。
【0027】
ステップS3の基板搬送は下記の動作を行う。
ステップS31:制御装置は多機能ロボット50からウエハハンドリングツール70を取り外して基板ハンドリングツール80を取り付ける(基板用ツール交換)。
ステップS32:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてマガジン40の有無を確認する(マガジン有無確認)。
ステップS33:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いて基板21の有無を確認する(基板有無確認)。
ステップS34:制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、
図14に示すように、基板21をマガジン40Lから取出してボンディングステージ20に搬送する(基板搬送)。
【0028】
ステップS4のピックアップ&プレースは下記の動作を行う。
ステップS41:制御装置は多機能ロボット50から基板ハンドリングツール80を取り外してダイハンドリングツール90を取り付ける(ダイ用ツール交換)。
ステップS42:制御装置はダイハンドリングツール90の位置を補正する(ダイ用ツール位置補正)。
ステップS43:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハ11のアライメントを認識する(ウエハアライメント認識)。
ステップS44:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いて基板21のアライメントを認識する(ウエハアライメント認識)。
【0029】
ステップS45:制御装置は、
図15、16に示すように、突き上げ用ロボット60の突き上げ部61をダイD下方より突き上げ、多機能ロボット50のダイハンドリングツール90に取り付けてあるコレット93をダイD上方より下降して、ダイDをピックアップする。このとき、ピックアップと突き上げ動作に傾きを設けてもよい。多機能ロボット50および突き上げ用ロボット60はXYZ軸/αβθ軸の6自由度の動作が可能であり、コレット93はダイDを手で持ち上げるような柔軟な動きが可能である。突き上げ部61にダイシングテープ16を吸着保持できる機能を持たせ、突き上げるだけではなく、手で引き下げるような動作を行ってもよい。コレット93と突き上げ部61の両方を動作せさせることでより複雑で確実なピックアップが可能となる。
ステップS46:制御装置はステップS43で認識したウエハアライメント、ステップS44で認識した基板アライメントおよび力覚センサ54に基づいてピックアップしたダイDの位置を補正する。
ステップS47:制御装置はピックアップしたダイDの下方に位置するビジョンカメラ(不図示)を用いてダイDの外観を検査する(ダイ外観検査)。
ステップS48:制御装置はピックアップしたダイDを基板21の上または既にボンディングされたダイの上にボンディングする。
ステップS49:制御装置はボンディングステージ20上にボンディングする基板がないかどうかを判断する。YESの場合はステップS4Bに移動し、NOの場合はステップS4Aに移動する。
ステップS4A:制御装置はウエハ11にピックアップするダイがないかどうか判断する。YESの場合はステップS4Cに移動し、NOの場合はステップS45に戻る。
【0030】
ステップS4B:制御装置は基板を交換する。まず、制御装置は多機能ロボット50からダイハンドリングツール90を取り外して基板ハンドリングツール80を取り付ける。次に、制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、ボンディングステージ20から基板21を取り出して、ボンディング前に取り出したマガジン40Lとは異なるマガジン40Hに搬送する。次に、制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、次の基板をマガジン40Lから取出してボンディングステージ20に搬送する。その後、ステップS41に戻る。
【0031】
ステップS4C:制御装置はウエハを交換する。まず、制御装置は多機能ロボット50からダイハンドリングツール90を取り外してウエハハンドリングツール70を取り付ける。次に、制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、ウエハステージ10からウエハリング14を取り出して、ウエハカセット30に搬送する。次に、制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、次のウエハリングをウエハカセット30から取出してウエハステージ10に搬送する。制御装置はウエハリング14をエキスバンダ15で押さえて、ウエハリング14に保持されているダイシングテープ16を引き伸ばす。その後、ステップS41に戻る。
【0032】
次に、ボンデフィング装置1をフリップチップボンダとして使用する場合のダイハンドリングツールについて
図17〜20を用いて説明する。
図17は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第1状態を示す斜視図である。
図18は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第2状態を示す斜視図である。
図19は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第3状態を示す斜視図である。
図20は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第4状態を示す斜視図である。
【0033】
図17に示すように、フリップチップボンダ用ダイハンドリングツール100はピックアップヘッド部101とフリップヘッド部102とベース部103と接続部104とを備える。ピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102にはそれぞれダイDを吸着するコレット105、106を備える。ピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102は可動できるようになっている。
【0034】
図17はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が開いた状態(第1状態)である。第1状態では、ピックアップヘッド部101はコレット105でダイDをピックアップする。
【0035】
図18はピックアップヘッド部101が開いた状態で、フリップヘッド部102が閉じた状態(第2状態)である。ピックアップヘッド部101が閉じた状態で、フリップヘッド部102が開いた状態であってもよい。第2状態は第1状態の次の状態である。
【0036】
図19はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が閉じた状態(第3状態)である。第3状態では、フリップヘッド部102のコレット106でダイDを吸着し、ピックアップヘッド部101のコレット105でのダイDの吸着を解除する。第3状態は第2状態の次の状態である。
【0037】
図20はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が開いた状態(第4状態)である。第4状態ではピックアップヘッド部101からフリップヘッド部102にダイDが反転して受け渡され、フリップヘッド部102はコレット106で吸着しているダイDを基板等にプレース(ボンディング)する。第4状態は第3状態の次の状態である。
【0038】
実施例に係るボンディング装置は以下の効果を奏する。
【0039】
ロボットに多自由度多関節機構を用いるため、可動領域が広く姿勢を変化させる動作が可能のため、ウエハの払い出し、マガジンの収納等の多種の動作を兼用させることができる。これにより、機構部を減らすことができる。また、ウエハカセット/マガジン、ボンディングステージ、ウエハステージを一方向に並べて配置するというシンプルなレイアウト構成が可能になり、装置の軽量小型化が可能となる。
【0040】
また、装置の正面からのみウエハ(ウエハカセット)および基板(マガジン)の出し入れを行うようになっており、また装置の幅が狭くなっているので、装置を複数並列に配置し複数の装置を並列動作することにより、装置が占める面積の増加を抑えて、スループットを向上させることが可能である。
【0041】
また、多自由度多関節機構を用いるため、ピックアップ点とプレース点それぞれの面に合わせて搬送できるため調整が容易になる。
【0042】
また、ピックアップヘッドおよび突き上げ機構を駆動する機構に多自由度多関節機構を用い、ピックアップと突き上げを駆動する機構を協調動作させることで、ピックアップ/突き上げ動作に傾きを設けて動作させることが可能となる。ダイシングテープに貼付されているダイを剥離する場合、相対角度を角度変化させながら動作可能で直交座標系の機構では不可能な動作となるため、ピックアップ性能を改善することができる。
【0043】
また、ダイハンドリングツールを替えることにより、ダイボンダをフリップチップボンダに変更することが可能である。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0045】
実施例ではマガジンをウエハカセットの上に配置し、ボンディングステージ、ウエハステージを1方向に沿って配置した場合を説明したが、マガジンをウエハカセット横に配置するようにしてもよい。ウエハカセットまたはマガジンの上下方向に各種ツールの格納部を配置するようにしてもよい。また、クラスタツール的に多機能ロボットを中心に配置し、その周辺にウエハカセット、マガジン、ボンディングステージ、ウエハステージを配置するようにしてもよい。
【0046】
実施例では1つの多機能ロボットでウエハリング、基板、ダイを搬送したが、複数のロボットで搬送するようにしてもよい。
【0047】
実施例では垂直型多自由度多関節機構を用いた場合について説明したが、多自由度多関節機構は水平型でもパラレルリンク型であってもよい。
【0048】
実施例ではボンディング装置について説明したが、トレイをボンディングステージ上に置くことによりダイソータとしても使用可能である。