特許第6705668号(P6705668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6705668ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705668
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20200525BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
   H01L21/68 A
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-48988(P2016-48988)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-163121(P2017-163121A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−114281(JP,A)
【文献】 特開平11−354604(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/157134(WO,A1)
【文献】 特開2014−128855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52、58、67−683
H05K 3/30
H05K 13/00−08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイボンディング装置は、
装置本体と、
ウエハを保持するウエハリングを格納するウエハカセットと、
基板を格納するマガジンと、
前記ウエハリングを固定するウエハステージと、
前記ウエハからピックアップしたダイをボンディングするために基板を載置するボンディングステージと、
多自由度多関節機構を備え、前記ウエハリングと前記基板と前記ダイとを搬送する第1ロボットと、
を備え
前記第1ロボットは先端にツールが取り付けられ交換可能とされ、
前記ツールは、前記ウエハリングを把持するウエハハンドリングツール、前記基板を載せる基板ハンドリングツールまたは前記ダイをピックアップするダイハンドリングツールである。
【請求項2】
半導体装置の製造方法は、
(a)装置本体と、ウエハに貼られたダイシングテープを保持するウエハリングを格納するウエハカセットと、基板を格納するマガジンと、前記ウエハリングを固定するウエハステージと、前記ウエハからピックアップしたダイをボンディングするために基板を載置するボンディングステージと、多自由度多関節機構を備える第1ロボットと、を備えるダイボンディング装置を準備する工程と、
(b)前記第1ロボットの先端に前記ウエハリングを把持するウエハハンドリングツールを取り付ける工程と、
(c)前記ウエハハンドリングツールによって前記ウエハリングを前記ウエハカセットから前記ウエハステージに搬送する工程と、
(d)前記第1ロボットの先端の前記ウエハハンドリングツールから前記基板を載せる基板ハンドリングツールに取り替える工程と、
(e)前記基板ハンドリングツールによって前記基板を前記マガジンから前記ボンディングステージに搬送する工程と、
(f)前記第1ロボットの先端の前記基板ハンドリングツールから前記ダイをピックアップするダイハンドリングツールに取り替える工程と、
(g)前記ダイハンドリングツールによって前記ダイをピックアップする工程と、
(h)前記ダイハンドリングツールによって前記ピックアップしたダイを搬送し、前記ボンディングステージ上の基板にボンディングする工程と、
を備える。
【請求項3】
請求項2の半導体装置の製造方法において、さらに、
(i)前記第1ロボットの先端の前記ダイハンドリングツールから前記基板ハンドリングツールに取り替える工程と、
(j)前記基板ハンドリングツールによって前記ダイがボンディングされた基板を前記マガジンに搬送する工程と、
を備える。
【請求項4】
請求項のダイボンディング装置において、
前記ダイハンドリングツールは前記ダイをピックアップし、前記ピックアップしたダイを裏表反転する機構を備える。
【請求項5】
請求項のダイボンディング装置において、
前記第1ロボットは前記装置本体の天井に固定される垂直型多自由度多関節ロボットである。
【請求項6】
請求項2のダイボンディング装置において、
前記第ロボットはその先端にビジョンカメラを備える。
【請求項7】
ダイボンディング装置は、
装置本体と、
ウエハを保持するウエハリングを格納するウエハカセットと、
基板を格納するマガジンと、
前記ウエハリングを固定するウエハステージと、
前記ウエハからピックアップしたダイをボンディングするために基板を載置するボンディングステージと、
多自由度多関節機構を備え、前記ウエハリングと前記基板と前記ダイとを搬送する第1ロボットと、
を備え、
前記第1ロボットは先端にツールが取り付けられ交換可能とされ、
前記ウエハステージの下方に配置され、前記第1ロボットと協同して前記ダイをピックアップする第2ロボットを備える。
【請求項8】
請求項7のダイボンディング装置において、
前記第2ロボットは多自由度多関節機構を備え、その先端に前記ダイを突き上げるツールを備える。
【請求項9】
請求項8のダイボンディング装置において、
前記ツールは交換可能である。
【請求項10】
請求項8のダイボンディング装置において、
前記第2ロボットは前記装置本体の床に固定される垂直型多自由度多関節ロボットである。
【請求項11】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記ウエハカセットは前記装置本体の正面側に配置され、
前記マガジンは前記装置本体の正面側に配置され、
前記ウエハステージは前記装置本体の背面側に配置され、
前記ボンディングステージは前記ウエハカセットと前記ウエハステージとの間に配置され、
前記第1ロボットは前記ウエハ、前記基板および前記ダイを前記装置本体の前後方向に沿って搬送するよう構成される。
【請求項12】
請求項11のダイボンディング装置において、
前記装置本体の前記前後方向の長さは該装置本体の幅よりも長い。
【請求項13】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記マガジンは前記ウエハカセットの上下方向に配置される。
【請求項14】
請求項1のダイボンディング装置において、
記ツールの格納部は前記マガジンまたは前記ウエハカセットの上方に配置される。
【請求項15】
半導体装置の製造方法は、
(a)装置本体と、ウエハに貼られたダイシングテープを保持するウエハリングを格納するウエハカセットと、基板を格納する第1マガジンおよび第2マガジンと、前記ウエハリングを固定するウエハステージと、前記ウエハからピックアップしたダイをボンディングするために基板を載置するボンディングステージと、多自由度多関節機構を備える第1ロボットと、多自由度多関節機構を備える第2ロボットと、を備えるダイボンディング装置を準備する工程と、
(b)前記第1ロボットによって前記ウエハリングを前記ウエハカセットから前記ウエハステージに搬送する工程と、
(c)前記第1ロボットによって前記基板を前記第1マガジンから前記ボンディングステージに搬送する工程と、
(d)前記第1ロボットと前記第2ロボットと協同して前記ダイをピックアップする工程と、
(e)前記第1ロボットによって前記ピックアップしたダイを搬送し、前記ボンディングステージ上の基板にボンディングする工程と、
(f)前記第1ロボットによって前記ダイがボンディングされた基板を前記第2マガジンに搬送する工程と、
を備える。
【請求項16】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は前記第1ロボットの先端に前記ウエハリングを把持するウエハハンドリングツールを取り付ける工程を備え、
前記(c)工程は前記第1ロボットの先端の前記ウエハハンドリングツールから前記基板を載せる基板ハンドリングツールに取り替える工程を備え、
前記(d)工程は前記第1ロボットの先端の前記基板ハンドリングツールから前記ダイをピックアップするダイハンドリングツールに取り替える工程を備え、
前記(f)工程は前記第1ロボットの先端の前記ダイハンドリングツールから前記基板ハンドリングツールに取り替える工程を備える。
【請求項17】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は前記第1ロボットの先端のビジョンカメラで前記ウエハカセットの有無を確認する工程と、前記ビジョンカメラで前記ウエハリングの有無を確認する工程とを備え、
前記(c)工程は前記第1ロボットの先端のビジョンカメラで前記第1マガジンおよび前記第2マガジンの有無を確認する工程と、前記ビジョンカメラで前記基板の有無を確認する工程とを備え、
前記(d)工程は前記第1ロボットの先端の基板ハンドリングツールから前記ダイをピックアップするダイハンドリングツールに取り替える工程を備え、
前記(f)工程は前記第1ロボットの先端のビジョンカメラで前記ウエハのアライメントを確認する工程と、前記ビジョンカメラで前記基板のアライメントを認識する工程とを備える。
【請求項18】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程は、前記第1ロボットの先端のウエハハンドリングツールを所定の角度を設けて前記ダイに接触させ、前記第2ロボットの先端部を所定の角度を設けて前記ダイシングテープを接触させて、前記ダイをピックアップする。
【請求項19】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は前記ウエハリングを前記ウエハカセットから前記ウエハステージに前記装置本体の前後方向に沿って搬送し、
前記(c)工程は前記基板を前記第1マガジンから前記ボンディングステージに前記装置本体の前後方向に搬送し、
前記(e)工程は前記ピックアップしたダイを前記装置の前後方向に搬送し、前記ボンディングステージ上の基板にボンディングし、
前記(f)工程は前記ダイがボンディングされた基板を前記第2マガジンに前記装置本体の前後方向に搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えば多自由度多関節ロボットを備えるダイボンディング装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
基板に半導体チップを実装するダイボンダなどの実装装置は上記基板をX方向にピッチ搬送して所定の実装位置で位置決めする送り機構を有するガイドレールが設けられている。このガイドレールによって搬送位置決めされた基板には実装ツールによって上記半導体チップが実装される。半導体チップはウエハリングに保持されている。すなわち、ウエハリングには樹脂製シートに貼着された半導体ウエハが保持され、この半導体ウエハが賽の目状に分断されて上記半導体チップとなっている上記ウエハリングはカセットに収納されていて、このカセットからチャックによって取り出されてY方向に搬送してウエハリングホルダ上に供給載置される。ウエハリングホルダはX、Y方向の所定の動作範囲で駆動され、ウエハリングに保持された半導体チップのうち、ピックアップする半導体チップをピックアップ位置に位置決めする。ピックアップ位置に位置決めされた半導体チップは突き上げピンによって突き上げられる。突き上げられた半導体チップが上記実装ツールによって吸着されて上記基板に実装される。(特開2008−53531号公報(特許文献1))
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような実装装置では、基板がX方向に搬送され、ウエハはY方向に搬送され、ウエハリングホルダはX、Y方向の所定の動作範囲で駆動されるため、搬送や駆動のスペースは必要であり、装置をコンパクトにすることができない。
本開示の課題は、装置をコンパクトにすることができるダイボンディン装置を提供することである。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、多自由度多関節機構を備え、ウエハを保持するウエハリングと基板とダイを搬送するロボットを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記ボンディング装置によれば、装置をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係るボンディング装置の構成を説明するための斜視図
図2】実施例に係るボンディング装置の構成を説明するための平面図
図3】実施例に係るウエハステージの構成を説明するための断面図
図4】実施例に係る多機能ロボットを説明するための斜視図
図5】実施例に係るウエハハンドリングツールを説明するための斜視図
図6】実施例に係る多機能ロボットにウエハハンドリングツールを取り付けた場合の斜視図
図7】実施例に係る基板ハンドリングツールを説明するための斜視図
図8】実施例に係る多機能ロボットに基板ハンドリングツールを取り付けた場合の斜視図
図9】実施例に係るダイハンドリングツールを説明するための斜視図
図10】実施例に係る多機能ロボットにダイハンドリングツールを取り付けた場合の斜視図
図11】実施例に係る突き上げ用ロボットを説明するための斜視図
図12A】実施例に係るボンディング装置の動作を説明するためのフローチャート
図12B】実施例に係るボンディング装置の動作を説明するためのフローチャート
図13】実施例に係るボンディング装置のウエハ搬送時の動作を説明するための斜視図
図14】実施例に係るボンディング装置の基板搬送時の動作を説明するための斜視図
図15】実施例に係るボンディング装置のピックアップおよびボンド時の動作を説明するための斜視図
図16】実施例に係るボンディング装置のピックアップの動作を説明するための斜視図
図17】実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールを説明するための斜視図
図18】実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールを説明するための斜視図
図19】実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールを説明するための斜視図
図20】実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールを説明するための斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)からダイを分割する工程と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程とがある。ボンディング工程に使用される製造装置がダイボンダやフリップチップボンダ等のボンディング装置である。
【0009】
ボンディング装置は、はんだ、金メッキ、樹脂を接合材料として、ダイを基板または既にボンディングされたダイの上にボンディング(搭載して接着)する装置である。ダイを、例えば、基板の表面にボンディングするボンディング装置においては、コレットと呼ばれる吸着ノズルを用いてダイをウエハから吸着してピックアップし、基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。コレットは、吸着孔を有し、エアを吸引して、ダイを吸着保持する保持具であり、ダイと同程度の大きさを有する。
【0010】
実施形態に係るボンディング装置は、正面側にウエハリングを格納するウエハカセットおよび基板を格納するマガジンを配置し、背面側にウエハステージを固定して配置し、ウエハカセットとウエハステージの間にボンディングステージを配置する。ウエハ、基板、およびダイは一つのロボットにより搬送され、その水平方向の搬送方向は同じ方向である。これにより、装置をコンパクトにすることができる
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例】
【0011】
実施例に係るボンディング装置について図1を用いて説明する。図1は実施例に係るボンディング装置の構成を示す斜視図である。図1では後述する多機能ロボットの複数の状態が示されている。
【0012】
実施例に係るボンディング装置1は、正面の幅がW、奥行きがD、高さがHの装置本体2を備える。装置本体2は、床ベース3と、天井ベース4と、それらの間に配置される中間ベース5とを備える。床ベース3の上には突き上げ用ロボット60が固定され、天井ベース4の下には多機能ロボット50が固定される。中間ベース5の上には背面側にウエハステージ10が固定され、それに隣接した正面側にボンディングステージ20が固定される。ウエハステージ10の下の中間ベース5には孔が開いている。ボンディングステージ20よりも正面側で中間ベース5よりも上方にウエハ11を保持するウエハリング14を格納するウエハカセット30が配置され、その上方に基板21を格納するマガジン40が配置される。例えば、ウエハ11の径が最大300mm(12インチ)、基板21の大きさが最大310x310mmの場合、装置本体2の大きさはW=450mm、H=1600mm、D=1500mmであるのが好ましい。
【0013】
次に、図3を用いてウエハステージの詳細な構成を説明する。図3は実施例に係るウエハステージの構成を示す断面図である。ウエハ11の裏面には、ダイアタッチフィルム(DAF)18が貼り付けられ、更にその裏側にダイシングテープ16が貼り付けられている。さらに、ダイシングテープ16の縁辺は、ウエハリング14に貼り付けられ、エキスパンダ15に挟み込まれて固定されている。エキスバンダ15はシリンダ等で構成され、逆L字状部分は回転可能であり、逆L字状部分は上下動可能である。すなわち、ウエハステージ10は、ウエハリング14を押し下げるエキスパンダ15と、ウエハリング14に保持され複数のダイD(ウエハ11)が接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を備える。このように、ダイDの薄型化に伴い、ダイボンディング用の接着剤は、液状からフィルム状に替わり、ウエハ11とダイシングテープ16との間に、ダイアタッチフィルム18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けた構造としている。ダイアタッチフィルム18を有するウエハ11では、ダイシングはウエハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。なお、ダイシングテープ16とダイアタッチフィルム18が一体化されたテープであってもよい。
【0014】
次に、多機能ロボット50の構成について図4を用いて説明する。図4は実施例に係る多機能ロボットの構成を示す斜視図である。実施例に係る多機能ロボット50は垂直型多自由度多関節ロボットである。多機能ロボット50は固定部51と可動部52とツール交換部53と力覚センサ54とビジョンカメラ55を備える。ツール接続部53は凸型(オス型)であり、後述する各種ツールの凹型(メス型)の接続部が接続される。各種ツールとしては、ウエハハンドリングツール70、基板ハンドリングツール80、ダイハンドリングツール90等である。各種ツールの格納部は多機能ロボット50の動作範囲でウエハ搬送、基板搬送およびピックアップ&プレースに障害にならない位置に配置される。
【0015】
次に、ウエハハンドリングツール70について図5、6を用いて説明する。図5は実施例に係るウエハハンドリングツールの構成を示す斜視図である。図6は実施例に係る多機能ロボットにウエハハンドリングツールを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0016】
図5に示すように、ウエハハンドリングツール70はウエハチャック部71と接続部72とを備える。ウエハ把持部71はウエハリング14を把持する。接続部72は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。図6に示すように、多機能ロボット50の先端に取り付けられたウエハハンドリングツール70はウエハリング14を把持し、ウエハカセット30に出し入れする。
【0017】
次に、基板ハンドリングツール80について図7、8を用いて説明する。図7は実施例に係る基板ハンドリングツールの構成を示す斜視図である。図8は実施例に係る多機能ロボットに基板ハンドリングツールを取り付けた状態の斜視図である。
【0018】
図7に示すように、基板ハンドリングツール80は搭載部81と支持部82と接続部83とを備える。搭載部71は基板31同程度の大きさで平板状であり、基板31を載せる部分である。指示部82は円柱状で搭載部81と接続部82に接続されている。接続部82は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。図8に示すように、多機能ロボット50の先端に取り付けられた基板ハンドリングツール80は基板21を載せ、ボンディングステージ20に置いたり取り除いたりする。
【0019】
次に、ダイハンドリングツール90について図9、10を用いて説明する。図9は実施例に係るダイハンドリングツールの構成を示す斜視図である。図10は実施例に係る多機能ロボットにダイハンドリングツールを取り付けた状態の斜視図である。
【0020】
図9に示すように、ダイハンドリングツール90はヘッド部91と接続部92とを備える。ヘッド部91の先端にはコレット93が取り付けられ、ダイDを吸着する。接続部92は凹型(メス型)で多機能ロボット50のツール接続部53と係合される。図10に示すように、ダイハンドリングツール90は多機能ロボット50の先端に取り付けられる。
【0021】
次に、突き上げ用ロボット60の構成について図11を用いて説明する。図11は実施例に係る突き上げ用ロボットの構成を示す斜視図である。実施例に係る突き上げ用ロボット60は垂直型多自由度多関節ロボットである。突き上げ用ロボット60は固定部61と可動部62と突き上げツール部63とを備える。突き上げツール部63は品種別または製品別に応じて交換可能である。
【0022】
次に、ダイボンディング装置1の動作について図12A、12B、13〜16を用いて説明する。図12A、12Bは実施例に係るボンディング装置の動作を説明するためのフローチャートである。図13は実施例に係るボンディング装置のウエハ搬送時の動作を説明するための斜視図である。図14は実施例に係るボンディング装置の基板搬送時の動作を説明するための斜視図である。図15は実施例に係るボンディング装置のピックアップおよびボンド時の動作を説明するための斜視図である。図16は実施例に係るボンディング装置のピックアップの動作を説明するための斜視図である。
【0023】
ダイボンディング装置1は図示しない制御装置を備え、制御装置は図示しないCPU(Central Processor Unit)、制御プログラムを格納するメモリやデータを格納するメモリ、コントロールバスをなど有し、多機能ロボット50や突き上げ用ロボット60等のダイボンディング装置1を構成する各要素を制御する。
【0024】
ダイボンディング装置1の動作は、イニシャライズ(ステップS1)、ウエハ搬送(ステップS2)、基板搬送(ステップS3)、ピックアップ&プレース(ステップS3)に分けられる。
【0025】
ステップS1:制御装置は多機能ロボット50や突き上げ用ロボット60等のダイボンディング装置1を構成する各要素を初期化する(イニシャライズ)。
【0026】
ステップS2のウエハ搬送は下記の動作を行う。
ステップS21:制御装置は多機能ロボット50にウエハハンドリングツール70を取り付ける(ウエハ用ツール交換)。
ステップS22:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハカセット30の有無を確認する(ウエハカセット有無確認)。
ステップS23:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハ11(ウエハリング14)の有無を確認する(ウエハ有無確認)。
ステップS24:制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、図13に示すように、ウエハ11を保持するウエハリング14をウエハカセット30から取出してウエハステージ10に搬送する(ウエハ搬送)。
ステップS25:制御装置はウエハリング14をエキスバンダ15で押さえて、ウエハリング14に保持されているダイシングテープ16を引き伸ばす(ウエハエキスバンド)。これにより、ダイD同士の間隔が広がり、各ダイD同士の干渉・接触を防止し、個々のダイが離れ突上げ易くなる。
【0027】
ステップS3の基板搬送は下記の動作を行う。
ステップS31:制御装置は多機能ロボット50からウエハハンドリングツール70を取り外して基板ハンドリングツール80を取り付ける(基板用ツール交換)。
ステップS32:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてマガジン40の有無を確認する(マガジン有無確認)。
ステップS33:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いて基板21の有無を確認する(基板有無確認)。
ステップS34:制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、図14に示すように、基板21をマガジン40Lから取出してボンディングステージ20に搬送する(基板搬送)。
【0028】
ステップS4のピックアップ&プレースは下記の動作を行う。
ステップS41:制御装置は多機能ロボット50から基板ハンドリングツール80を取り外してダイハンドリングツール90を取り付ける(ダイ用ツール交換)。
ステップS42:制御装置はダイハンドリングツール90の位置を補正する(ダイ用ツール位置補正)。
ステップS43:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いてウエハ11のアライメントを認識する(ウエハアライメント認識)。
ステップS44:制御装置は多機能ロボット50のビジョンカメラ55を用いて基板21のアライメントを認識する(ウエハアライメント認識)。
【0029】
ステップS45:制御装置は、図15、16に示すように、突き上げ用ロボット60の突き上げ部61をダイD下方より突き上げ、多機能ロボット50のダイハンドリングツール90に取り付けてあるコレット93をダイD上方より下降して、ダイDをピックアップする。このとき、ピックアップと突き上げ動作に傾きを設けてもよい。多機能ロボット50および突き上げ用ロボット60はXYZ軸/αβθ軸の6自由度の動作が可能であり、コレット93はダイDを手で持ち上げるような柔軟な動きが可能である。突き上げ部61にダイシングテープ16を吸着保持できる機能を持たせ、突き上げるだけではなく、手で引き下げるような動作を行ってもよい。コレット93と突き上げ部61の両方を動作せさせることでより複雑で確実なピックアップが可能となる。
ステップS46:制御装置はステップS43で認識したウエハアライメント、ステップS44で認識した基板アライメントおよび力覚センサ54に基づいてピックアップしたダイDの位置を補正する。
ステップS47:制御装置はピックアップしたダイDの下方に位置するビジョンカメラ(不図示)を用いてダイDの外観を検査する(ダイ外観検査)。
ステップS48:制御装置はピックアップしたダイDを基板21の上または既にボンディングされたダイの上にボンディングする。
ステップS49:制御装置はボンディングステージ20上にボンディングする基板がないかどうかを判断する。YESの場合はステップS4Bに移動し、NOの場合はステップS4Aに移動する。
ステップS4A:制御装置はウエハ11にピックアップするダイがないかどうか判断する。YESの場合はステップS4Cに移動し、NOの場合はステップS45に戻る。
【0030】
ステップS4B:制御装置は基板を交換する。まず、制御装置は多機能ロボット50からダイハンドリングツール90を取り外して基板ハンドリングツール80を取り付ける。次に、制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、ボンディングステージ20から基板21を取り出して、ボンディング前に取り出したマガジン40Lとは異なるマガジン40Hに搬送する。次に、制御装置は多機能ロボット50の基板ハンドリングツール80を用いて、次の基板をマガジン40Lから取出してボンディングステージ20に搬送する。その後、ステップS41に戻る。
【0031】
ステップS4C:制御装置はウエハを交換する。まず、制御装置は多機能ロボット50からダイハンドリングツール90を取り外してウエハハンドリングツール70を取り付ける。次に、制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、ウエハステージ10からウエハリング14を取り出して、ウエハカセット30に搬送する。次に、制御装置は多機能ロボット50のウエハハンドリングツール70を用いて、次のウエハリングをウエハカセット30から取出してウエハステージ10に搬送する。制御装置はウエハリング14をエキスバンダ15で押さえて、ウエハリング14に保持されているダイシングテープ16を引き伸ばす。その後、ステップS41に戻る。
【0032】
次に、ボンデフィング装置1をフリップチップボンダとして使用する場合のダイハンドリングツールについて図17〜20を用いて説明する。図17は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第1状態を示す斜視図である。図18は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第2状態を示す斜視図である。図19は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第3状態を示す斜視図である。図20は実施例に係るフリップチップ用ダイハンドリングツールの第4状態を示す斜視図である。
【0033】
図17に示すように、フリップチップボンダ用ダイハンドリングツール100はピックアップヘッド部101とフリップヘッド部102とベース部103と接続部104とを備える。ピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102にはそれぞれダイDを吸着するコレット105、106を備える。ピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102は可動できるようになっている。
【0034】
図17はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が開いた状態(第1状態)である。第1状態では、ピックアップヘッド部101はコレット105でダイDをピックアップする。
【0035】
図18はピックアップヘッド部101が開いた状態で、フリップヘッド部102が閉じた状態(第2状態)である。ピックアップヘッド部101が閉じた状態で、フリップヘッド部102が開いた状態であってもよい。第2状態は第1状態の次の状態である。
【0036】
図19はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が閉じた状態(第3状態)である。第3状態では、フリップヘッド部102のコレット106でダイDを吸着し、ピックアップヘッド部101のコレット105でのダイDの吸着を解除する。第3状態は第2状態の次の状態である。
【0037】
図20はピックアップヘッド部101およびフリップヘッド部102が開いた状態(第4状態)である。第4状態ではピックアップヘッド部101からフリップヘッド部102にダイDが反転して受け渡され、フリップヘッド部102はコレット106で吸着しているダイDを基板等にプレース(ボンディング)する。第4状態は第3状態の次の状態である。
【0038】
実施例に係るボンディング装置は以下の効果を奏する。
【0039】
ロボットに多自由度多関節機構を用いるため、可動領域が広く姿勢を変化させる動作が可能のため、ウエハの払い出し、マガジンの収納等の多種の動作を兼用させることができる。これにより、機構部を減らすことができる。また、ウエハカセット/マガジン、ボンディングステージ、ウエハステージを一方向に並べて配置するというシンプルなレイアウト構成が可能になり、装置の軽量小型化が可能となる。
【0040】
また、装置の正面からのみウエハ(ウエハカセット)および基板(マガジン)の出し入れを行うようになっており、また装置の幅が狭くなっているので、装置を複数並列に配置し複数の装置を並列動作することにより、装置が占める面積の増加を抑えて、スループットを向上させることが可能である。
【0041】
また、多自由度多関節機構を用いるため、ピックアップ点とプレース点それぞれの面に合わせて搬送できるため調整が容易になる。
【0042】
また、ピックアップヘッドおよび突き上げ機構を駆動する機構に多自由度多関節機構を用い、ピックアップと突き上げを駆動する機構を協調動作させることで、ピックアップ/突き上げ動作に傾きを設けて動作させることが可能となる。ダイシングテープに貼付されているダイを剥離する場合、相対角度を角度変化させながら動作可能で直交座標系の機構では不可能な動作となるため、ピックアップ性能を改善することができる。
【0043】
また、ダイハンドリングツールを替えることにより、ダイボンダをフリップチップボンダに変更することが可能である。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0045】
実施例ではマガジンをウエハカセットの上に配置し、ボンディングステージ、ウエハステージを1方向に沿って配置した場合を説明したが、マガジンをウエハカセット横に配置するようにしてもよい。ウエハカセットまたはマガジンの上下方向に各種ツールの格納部を配置するようにしてもよい。また、クラスタツール的に多機能ロボットを中心に配置し、その周辺にウエハカセット、マガジン、ボンディングステージ、ウエハステージを配置するようにしてもよい。
【0046】
実施例では1つの多機能ロボットでウエハリング、基板、ダイを搬送したが、複数のロボットで搬送するようにしてもよい。
【0047】
実施例では垂直型多自由度多関節機構を用いた場合について説明したが、多自由度多関節機構は水平型でもパラレルリンク型であってもよい。
【0048】
実施例ではボンディング装置について説明したが、トレイをボンディングステージ上に置くことによりダイソータとしても使用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:ボンディング装置
10:ウエハステージ
11:ウエハ
20:ボンディングステージ
21:基板
30:ウエハカセット
40、40L、40H:マガジン
50:多機能ロボット
51:固定部
52:可動部
53:ツール交換部
54:力覚センサ
55:ビジョンカメラ
60:突き上げ用ロボット
70:ウエハハンドリングツール
80:基板ハンドリングツール
90:ダイハンドリングツール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20