特許第6705765号(P6705765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファスフォードテクノロジ株式会社の特許一覧

特許6705765ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705765
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
【請求項の数】20
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-57075(P2017-57075)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160564(P2018-160564A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 明
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−058575(JP,A)
【文献】 特開2006−080154(JP,A)
【文献】 特開昭63−239953(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2001−0055843(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60−607
H01L 21/52
H01L 21/67−687
H01L 21/301
H05K 13/00−08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に設けたコレットの吸着面にダイの素子形成面側を吸着させてウェハから前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
前記吸着面の異物を除去するブラシと前記異物を吸引する吸引部と前記吸着面に沿って前記ブラシを回転させる駆動部とを有するクリーニング装置と、
前記ピックアップヘッドと前記クリーニング装置とを制御する制御部と、
を備え、
前記クリーニング装置は、さらに、前記ブラシを保持するブラシホルダを有し、
前記ブラシは、前記コレットと接触するブラシ部と、前記ブラシ部を保持するブラシ台と、を有し、
前記吸引部は前記ブラシホルダと前記ブラシ台との間の隙間で構成され、
前記ブラシのブラシ面は長方形状であり、
前記制御部は、前記ブラシと前記吸着面とを接触させ、前記コレットの吸着面を直線状にまたは前記コレットの吸着面の中心が円を描くように移動させせると共に前記ブラシを回転させ、前記吸引部により除去した異物を吸引するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項2】
先端に設けたコレットの吸着面にダイの素子形成面側を吸着させてウェハから前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
前記吸着面の異物を除去するブラシと前記異物を吸引する吸引部と前記吸着面に沿って前記ブラシを直線状に移動させる駆動部とを有するクリーニング装置と、
前記ピックアップヘッドと前記クリーニング装置とを制御する制御部と、
を備え、
前記クリーニング装置は、さらに、前記ブラシを保持するブラシホルダを有し、
前記ブラシは、前記コレットと接触するブラシ部と、前記ブラシ部を保持するブラシ台と、を有し、
前記吸引部は前記ブラシホルダと前記ブラシ台との間の隙間で構成され、
前記ブラシのブラシ面は長方形状であり、
前記制御部は、前記ブラシと前記吸着面とを接触させ、前記コレットの吸着面の中心が円を描くように移動させせると共に前記ブラシを直線状に移動させ、前記吸引部により除去した異物を吸引するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項において、
前記ブラシは、前記ブラシ台を前記吸着面とは垂直な面に沿って回転させる回転軸を有し、
前記ブラシ台の複数の面にブラシ部を有するダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ブラシホルダが前記ブラシ台と対向する面に前記ブラシ部をクリーニングする突起またはブラシ部を有するダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項において、
前記ブラシ台は前記ブラシ部にエアを噴き出す孔を有するダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記クリーニング装置は、前記ピックアップヘッドの可動範囲に設けられているダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記クリーニング装置は、前記ダイの前記ウェハからピックアップするピックアップ位置と前記ダイを載置する位置との間であって、前記吸着面の異物を除去する時に前記吸着面に対面する位置に設けられるダイボンディング装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記制御部は、前記コレット又は前記ブラシが昇降して前記吸着面に前記ブラシを接触させ、前記ブラシの押し込み量を0〜1mmとするダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記ブラシは十μmから数百μmの線幅を有する金属のブラシを複数束ねて構成されるダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記ブラシは、前記吸着面一辺の長さを長辺とするブラシ部を有するダイボンディング装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記ピックアップヘッドは、ボンディングヘッドを兼ね、前記ウェハから前記ダイを直接基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングするダイボンディング装置。
【請求項12】
請求項1において、
さらに、ピックアップしたダイを基板又は既にボンディングされたダイの上にボンディングするボンディングヘッドを備え、
前記ピックアップヘッドは中間ステージに前記ダイを一度載置し、前記ボンディングヘッドは前記中間ステージから該ダイをピックアップし、前記基板にボンディングするダイボンディング装置。
【請求項13】
先端に設けたコレットの吸着面にダイの素子形成面側を吸着させてウェハから前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
前記吸着面の異物を除去するブラシと前記異物を吸引する吸引部と前記吸着面に沿って前記ブラシを回転させる駆動部とを有するクリーニング装置と、
前記ピックアップヘッドと前記クリーニング装置とを制御する制御部と、
を備え、
前記ブラシのブラシ面は長方形状であり、
前記ブラシの回転中心部には所定の幅でブラシ面がない部分を設け
前記制御部は、前記ブラシと前記吸着面とを接触させ、前記コレットの吸着面を直線状にまたは前記コレットの吸着面の中心が円を描くように移動させせると共に前記ブラシを回転させ、前記吸引部により除去した異物を吸引するダイボンディング装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記所定の幅は1〜6mmとするダイボンディング装置。
【請求項15】
(a)請求項1乃至14のいずれか一つのダイボンディング装置を準備する工程と、
(b)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングホルダを搬入する工程と、
(c)基板を準備搬入する工程と、
(d)ダイをピックアップする工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングする工程と、
(f)前記クリーニング装置により前記コレットをクリーニングする工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項16】
(a)先端に設けたコレットの吸着面にダイの素子形成面側を吸着させてウェハから前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、前記吸着面の異物を除去するブラシと前記異物を吸引する吸引部と前記吸着面に沿って前記ブラシを回転させる駆動部とを有するクリーニング装置と、前記ピックアップヘッドと前記クリーニング装置とを制御する制御部と、を備え、前記ブラシのブラシ面は長方形状であり、前記制御部は、前記ブラシと前記吸着面とを接触させ、前記コレットの吸着面を直線状にまたは前記コレットの吸着面の中心が円を描くように移動させせると共に前記ブラシを回転させ、前記吸引部により除去した異物を吸引するよう構成されるダイボンディング装置を準備する工程と、
(b)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングホルダを搬入する工程と、
(c)基板を準備搬入する工程と、
(d)ダイをピックアップする工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングする工程と、
(f)前記クリーニング装置により前記コレットをクリーニングする工程と、
(g)前記ブラシをクリーニングする工程を備え、
前記(g)工程は、
(g1)突起またはブラシ部を有するブラシクリーニング板を前記ピックアップヘッドに
装着する工程と、
(g2)前記ブラシクリーニング板と前記ブラシを接触させる工程と、
(g3)前記ピックアップヘッドまたは前記ブラシを移動させる共に、前記吸引部により吸引して前記ブラシをクリーニングする工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16において、さらに、
(h)前記ブラシを交換する工程を備え、
前記(h)工程は、
(h1)ブラシ交換治具を前記ピックアップヘッドに装着する工程と、
(h2)前記ブラシ交換治具により前記ブラシを把持しブラシホルダから取り出す工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16において、さらに、
(h)前記ブラシのブラシ面を交換する工程を備え、
前記ブラシは、前記コレットと接触するブラシ部と、前記ブラシ部を保持するブラシ台と、前記ブラシ台を前記吸着面とは垂直な面に沿って回転させる回転軸と、を有し、
前記(h)工程は、前記回転軸を回転させてブラシ面を交換する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項15において、
前記(d)工程は前記ダイシングテープ上の前記ダイを前記ピックアップヘッドでピックアップし、
前記(e)工程は前記ピックアップヘッドでピックアップしたダイを前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項15において、
前記(d)工程は、
(d1)前記ダイシングテープ上のダイをピックアップヘッドでピックアップする工程と、
(d2)前記ピックアップヘッドでピックアップしたダイを中間ステージに載置する工程、
を有し、
前記(e)工程は、
(e1)前記中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドでピックアップする工程と、
(e2)前記ボンディングヘッドでピックアップしたダイを前記基板に載置する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えばコレットクリーニング装置を備える半導体製造装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという。)からダイを分割する工程(ダイシング工程)と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程とがある。ボンディング工程に使用される半導体製造装置がダイボンダ等のダイボンディング装置である。
【0003】
ダイボンダは、はんだ、金メッキ、樹脂を接合材料として、ダイを基板または既にボンディングされたダイの上にボンディング(搭載して接着)する装置である。ダイを、例えば、基板の表面にボンディングするダイボンダにおいては、コレットと呼ばれる吸着ノズルを用いてダイをウェハから吸着してピックアップし、基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。コレットは吸着孔を有し、エアを吸引して、ダイを吸着保持する保持具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−58575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した一連の動作において、ダイをコレットに吸着させる必要があるため、ダイとコレットの先端部(吸着面)との間隙に、例えばダイシング工程で生じたウェハの切り屑を主体とした異物が付着する場合がある。その付着量が所定の量以上になるとダイの素子部や保護膜の破壊、または配線が断線する可能性があった。
本開示の課題は、コレットに付着する異物の飛散を低減し、異物を除去可能なダイボンディング装置を提供することである。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、先端に設けたコレットの吸着面にダイの素子形成面側を吸着させてウェハから前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、前記吸着面の異物を除去するブラシと前記異物を吸引する吸引部と前記吸着面に沿って前記ブラシを回転させる駆動部とを有するクリーニング装置と、前記ピックアップヘッドと前記クリーニング装置とを制御する制御部と、を備える。前記ブラシのブラシ面は長方形状である。前記制御部は、前記ブラシと前記吸着面とを接触させ、前記コレットの吸着面を直線状にまたは前記コレットの吸着面の中心が円を描くように移動させると共に前記ブラシを回転させ、前記吸引部により除去した異物を吸引する。
【発明の効果】
【0007】
上記ダイボンディング装置によれば、コレットに付着する異物の飛散を低減し、異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係るダイボンダの構成を示す概略上面図
図2図1の矢印A方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図
図3図1のピックアップ装置の外観斜視図
図4図1のピックアップ装置の主要部を示す概略断面図
図5図1のコレットクリーニング装置の構成を示す図
図6図5のブラシの構成を示す図
図7図1のダイボンダのボンディング動作およびコレットクリーニング動作を示すフローチャート
図8図1のコレットクリーニング装置のブラシクリーニングおよびブラシ交換を示すフローチャート
図9】ブラシクリーニング動作の状態を示す図
図10】変形例1に係るコレットクリーニング装置の構成を示す図
図11図10のブラシおよびブラシホルダを示す図
図12図10のコレットクリーニング装置のコレットクリーニング動作を示す図
図13図10のコレットクリーニング装置のブラシクリーニングを説明するための図
図14図10のコレットクリーニング装置のブラシ交換を説明するための図
図15】変形例2に係るコレットクリーニング装置を説明する図
図16】変形例3に係るコレットクリーニング装置を説明する図
図17】変形例4に係るコレットクリーニング装置を説明する図
図18】変形例5に係るコレットクリーニング装置を説明する図
図19】変形例6に係るコレットクリーニング装置を説明する図
図20図19のブラシおよびブラシホルダを示す図
図21】変形例7に係るダイボンダの構成を示す概略上面図である。
図22図21の矢印G方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図
図23】回転するブラシの軌跡を示す模式図
図24】実施形態に係るコレットクリーニングのブラシおよびコレットの様子を示す模式図
図25】実施形態に係るコレットクリーニングのブラシおよびコレットの様子を示す模式図
図26】実施形態に係るコレットクリーニングのブラシおよびコレットの様子を示す模式図
図27】変形例8に係るコレットクリーニング装置を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、実施例および比較例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
本願発明者はブラシを回転させてコレットをクリーニングすることについて検討した。図23は回転するブラシの軌跡を示す模式図である。図23に示すように、回転するブラシをコレットに当てるだけでは中心部はブラシの移動が少なく、異物を除去することができないことがある。
【0011】
また、円形ブラシ(ブラシ面が円形である円盤型ブラシ)の場合、コレットから除去した異物は、そのあと回転しながら連続的にブラシ面が来るため、ブラシに巻き込まれる(残る)形となる。
【0012】
次に、実施形態に係るコレットクリーニングについて図24〜26を用いて説明する。図24〜26は実施形態に係るコレットクリーニングのブラシおよびコレットの移動の様子を示す模式図である。
【0013】
実施形態では、図24に示すように、長方形状のブラシをブラシの中心を軸に回転(自転)させると共にコレットを移動させることにより、ブラシの回転中心をコレットに対してずらす(相対的に移動する)ことができるので、コレット全体の異物を除去することができる。
【0014】
コレットの移動は、左右(Y方向)一方向のみ、左右(Y方向)往復、前後(X方向)一方向のみ、前後(X方向)往復、X方向およびY方向等の直線移動の他に、図25に示すように、コレットの向きを変えずにコレットの中心からずれた軸を中心にコレットを回転移動(公転)させてもよい。また、図26に示すように、コレットをコレットの中心を軸に回転(自転)させると共にブラシを移動させてもよい。ブラシの移動はコレットの移動と同様に、左右(Y方向)一方向のみ、左右(Y方向)往復、前後(X方向)一方向のみ、前後(X方向)往復、X方向およびY方向等の直線移動の他に、ブラシを公転させてもよい。
【0015】
また、長方形状ブラシの周辺に吸引部を設けると、ブラシで除去した異物はそのあとブラシ面がないためブラシ外周の吸引部の吸引により吸い込まれブラシ面からも離れ、異物の再付着も防止することができる。
【0016】
また、円形ブラシの直径と長方形状ブラシの長辺の長さが同一の場合、長方形状ブラシの方がブラシ部の面積が小さいので吸引面積(吸引部が吸引するブラシ部の面積)を小さくすることができ、効率的に吸引することができる。
【実施例】
【0017】
図1は実施例に係るダイボンダの概略上面図である。図2は、図1において矢印A方向から見たときに、ボンディングヘッド41の動作を説明する図である。
ダイボンダ10は、大別して、基板Pに実装するダイDを供給するダイ供給部1と、ダイ供給部1からダイをピックアップし、ピックアップされたダイDを基板P又は既にボンディングされたダイの上にボンディングするボンディング部4と、コレット6のダイ吸着面の異物をクリーニングするコレットクリーニング装置60と、基板Pをボンディング位置に搬送する搬送部5、搬送部5に基板Pを供給する基板供給部9Kと、実装された基板Pを受け取る基板搬出部9Hと、各部の動作を監視し制御する制御部7と、を有する。
【0018】
まず、ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するピックアップ装置12とウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突上げユニット13とを有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向(水平方向)に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。
【0019】
ボンディング部4は、ウェハ11からダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングするボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、搬送されていた基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディングすべきダイDのボンディング位置を認識する基板認識カメラ44と、ウェハ11からピックアップしたダイDの姿勢を検出するダイ姿勢認識カメラ45と、を有する。図2に示すように、ボンディングヘッド41はその先端にコレット6を着脱可能に保持するコレットホルダ6hを有する。コレット6は、ボンディングヘッド41を介して吸引ポンプ(図示せず)に接続される吸着孔(図示せず)を有し、吸着孔でダイDを吸着保持する。コレット6は、平面視で四角形状であり、ダイDと同程度の大きさである。
【0020】
コレットクリーニング装置60は、ウェハ11からダイDをピックアップするピックアップ位置と、ダイを載置し押しつけてボンディングするボンディング位置との間に設けられ、後述するように、ブラシ61でコレット6のダイDの吸着面の異物を除去し、クリーニングする。
【0021】
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ダイ姿勢認識カメラ45の撮像データに基づいてダイDの姿勢を補正し、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板Pにダイをボンディングし、再びウェハ11のピックアップ位置に戻る、図2おいて細い破線で示すボンディング動作を行う。
【0022】
また、ボンディングヘッド41は、適切な時期、例えば、一連のボンディング動作を開始後、動作中あるいは終了後に、コレットクリーニング装置60の位置に移動し、コレット6のクリーニングを行う太い破線で示すクリーニング動作を行う。
従って、コレットクリーニング装置60の好適の設置位置は、ボンディング動作中のボンディングヘッド41の移動ルートの、妨げにならない位置に設けることが望ましい。しかしながら、ボンディング動作の妨げになる、または設置場所が十分に取れないときは、通常のルートの両端外側、または通常のルートの基板の搬送方向にオフセットした位置でもよい。要は、ボンディングヘッド41の可動範囲に設けられていればよい。
【0023】
搬送部5は、一枚又は複数枚の基板(図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備し、並行して設けられた同一構造の第1、第2搬送部とを有する。基板搬送パレット51は、基板搬送パレット51に設けられたナット(図示せず)をパレットレール52に沿って設けられたボールネジ(図示せず)で駆動することによって移動する。
【0024】
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部9Kで基板Pが載置され、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部9Hまで移動して、基板搬出部9Hに基板Pを渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51に載置された基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板Pを搬出し、基板供給部9Kに戻り、新たな基板Pを載置するなどの準備を行なう。
【0025】
制御部7は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。制御部7は、基板認識カメラ44及びダイ姿勢認識カメラ45からの画像情報、ボンディングヘッド41の位置などの各種情報を取り込み、ボンディングヘッド41のボンディング動作およびクリーニング動作、ならびにコレットクリーニング装置60のクリーニング動作など各構成要素の各動作を制御する。
【0026】
次に、図3および図4を用いてピックアップ装置12の構成を説明する。図3図1のピックアップ装置の外観斜視図を示す図である。図4図1のピックアップ装置の主要部を示す概略断面図である。図3図4に示すように、ピックアップ装置12はウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、支持リング17の内側に配置されダイDを上方に突き上げるための突上げユニット13とを有する。突上げユニット13は、図示しない駆動機構によって、上下方向に移動するようになっており、水平方向にはピックアップ装置12が移動するようになっている。
【0027】
ピックアップ装置12は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔を広げ、突き上げユニット13によりダイ下方よりダイDを突き上げて行い、ダイDのピックアップ性を向上させている。ダイD(ウェハ11)とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(以下、DAFと略す)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。DAF18を有するウェハ11では、ダイシングはウェハ11(ダイD)とDAF18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とDAF18をダイシングテープ16から剥離する。
【0028】
ダイシングの際に、主としてウェハ(シリコンSi)のSi屑の異物が発生し、剥離工程の際にコレット6に付着する。コレット6の吸着面はダイDの素子形成面と接触するため、その付着量が所定の量以上になるとダイの素子部や保護膜の破壊、または配線が断線する可能性がある。
【0029】
次に、コレットクリーニング装置60について説明する。
【0030】
図5は、図1のコレットクリーニング装置の構成を示す図である。図5(a)は、コレットクリーニング装置を図1において矢印Aの方向から見た図である。図5(b)は、図5(a)において、コレットクリーニング装置を矢印Bの方向から見た図である。図5(c)、図5(d)は、それぞれ図5(a)、図5(b)に対応する図で、ボンディングヘッド41が降下し、ブラシ61に接触し、クリーニング動作の状態を示す図である。図6はブラシの構成を示す図である。図6(a)は上面図であり、図6(b)は図6(a)において矢印A1の方向から見た側面図であり、図6(c)は図6(a)において矢印A2の方向から見た側面図である。
【0031】
コレットクリーニング装置60は、コレット6のダイDの吸着面をクリーニングするブラシ61、ブラシ61の下部に設けられたブラシ61内のシリコン(Si)屑などの除去した異物を吸引する吸引部63、ブラシ61及び吸引部63を固定し、内部にナット62nを有する移動枠部62と、ブラシ61を移動する駆動部65と、これら構成要素をダイボンダ10の機構部(図示せず)に固定する固定部66と、を有する。
【0032】
ブラシ61は極細金属ブラシが好ましく、毛材の金属としては、SUS(ステンレス鋼)のような柔軟性があるものが望ましい。また、ブラシ61の毛材の径としては、ある程度腰が保てる径が望ましい。SUSのような柔軟性があれば、線径が十μmから数百μm程度でもよい。
【0033】
より具体的には、ブラシ61は、例えば、線径30μm、長さ6mmのSUS製のワイヤを長方形状のブラシ台61Bに、例えば格子状や千鳥状に植毛して、平面視で長方形状のブラシ部61Hを構成する。長方形状は、角が丸みを帯び、少なくとも長辺がコレット6の幅の形状を有する。長辺方向のブラシ有効部の長さ(LB)は少なくともコレット6の幅の長さを有する。要は、前述したようにワイヤの所定の腰を持つようにワイヤの線径、長さ及び長方形の短辺の長さを決定する。所定の腰は、又はワイヤの線径、長さ及び長方形状の短辺の長さは、予め実験的に求めておくことで決定することができる。なお、ブラシ61の短辺の延在方向はブラシ61の移動方向(Y方向)であり、ブラシ61のブラシ有効部の短辺の長さ(幅(WE))はコレット6のY方向の長さよりも短く、できるだけ短くすることが好ましい。除去した異物がブラシ61の移動により、再びコレット6に付着することを避けるためである。
【0034】
ブラシ61は、コレット6のダイDの吸着面に押しつけても除去率が向上せず、軽く接触する程度(ブラシ部61Hをコレット6に接触してからのブラシ61の押し込み量は0〜1mm程度)が好ましい。ブラシ61は導電性の金属であれば、ブラシ61を接地することで、コレット6に帯電している電荷を除去(除電)することができる。ブラシ台61Bは上から下に貫通する孔を多数有し、吸引部63と連通している。
【0035】
吸引部63は、移動枠部62内に形成され、駆動用のボールジョイント65bの両側に設けられた吸引孔部63aと、2つの吸引孔部63aを連結する連結部63bと、吸引ポンプ(図示せず)から配設された柔軟な接続配管63hと、接続配管が接続される接続栓63sを有する。
【0036】
駆動部65は、移動枠部62に固定されたナット62nと係合し、固定部66に支持されたボールジョイント65bと、ボールジョイントを回転させるモータ65mと、移動枠部62に形成された凹状部が摺動する固定部66の両側に設けられ2本のガイドレール65gとを、有する。
【0037】
ボンディングヘッド41による基板Pへのボンディング動作及びコレットクリーニング装置60によるコレット6のクリーニング動作について図2、7、8を用いて説明する。図7図1のダイボンダのボンディング動作およびコレットクリーニング動作を示すフローチャートである。図8図1のコレットクリーニング装置のブラシクリーニングおよびブラシ交換を示すフローチャートである。図9(a)、図9(b)は、それぞれ図5(c)、図5(d)に対応する図で、ボンディングヘッドが降下してブラシに接触し、ブラシクリーニング動作の状態を示す図である。
【0038】
まず、ボンディングに先立つ動作および終了後の動作について説明する。ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部7はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Pを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部7は基板供給部9Kで基板Pを基板搬送パレット51に載置する。
【0039】
ボンディング終了後、制御部7は基板搬出部9Hで基板搬送パレット51からダイDがボンディングされた基板Pを取り出す。ダイボンダ10から基板Pを搬出する。
【0040】
次に、ボンディング動作について説明する。通常は、図2において細い破線で示すボンディング動作が繰り返して行われる。ボンディング動作では、制御部7はウェハ11から突上げユニット13によって突き上げられたダイDをボンディングヘッド41の先端に装着されたコレット6によって吸着し、ピックアップする(ステップB1)。ピックアップされたダイDがボンディング位置に移動する途中で、制御部7はダイ姿勢認識カメラ45でダイDの姿勢を認識し、認識結果に基づいてボンディングヘッド41によってコレット6を回転させてダイDの姿勢を補正する(ステップB2)。制御部7はパレットレール52で搬送された基板PにダイDをボンディングする(ステップB3)。制御部7はボンディングヘッド41をウェハ11からダイDのピックアップ位置に戻す(ステップB4)。
【0041】
上述したボンディング動作時において、所定のボンディング回数毎に、ステップB4のピックアップ位置に戻る動作に向かう途中において、制御部7はコレット6の吸着面をダイ姿勢認識カメラ45で撮像し、コレット6のクリーニングの要否を判断する(ステップJ1、J2)。このクリーニングの要否判断は、ボンディング毎にコレットをクリーニングするのではなく、できるだけクリーニングの回数を少なくし、クリーニング時間の短縮(スループットの向上)をするためである。要否の判断は、吸着面のうち一部所定の領域におけるSi屑などの異物の数又は大きさなどを判断して行う。所定の領域とは、例えば段差のある汚れ易い領域を指定する。もちろん吸着面の全領域で判断してもよい。画像処理に時間がかかる場合は、一旦撮像し、次のボンディング処理後又は次の次のボンディング処理後等までに画像処理を行い、コレット6のクリーニング要否を判断してもよい。制御部7はコレット6のクリーニング否と判断したら、ステップB4に移る。
【0042】
制御部7はコレット6のクリーニング要と判断したら、図2に示す太い破線で示すクリーニング動作に入る。制御部7はコレット6(ボンディングヘッド41)をコレットクリーニング装置60の上部に移動し降下させて、図5(c)(d)に示すように、ブラシ61に接触させる(ステップC1)。その後、制御部7は、ボンディングヘッド41をコレット6の中心を軸として回転動作させ、モータ65mを制御しブラシ61を、例えば矢印Cに示すように、例えば、1往復、必要ならば数往復移動させてコレットの吸着面をクリーニングする(ステップC2)。なお、片道動作だけ所定のクリーン度が得られれば片道動作だけでもよい。その後、制御部7はボンディングヘッド41を上昇させて、ダイDのピックアップ位置に戻り(ステップC3)、ボンディング動作に戻る。
制御部7は上記のフローを予定しているダイ数をボンディングするまで繰り返す(ステップJ3)。
【0043】
なお、コレット6のクリーニングを繰り返すと、ブラシ61にコレット6から除去した異物が溜まる。そこで、図8に示すように、制御部7はブラシ61のクリーニングまたは交換の要否を判断する(ステップJ4、J5)。ブラシ61のクリーニングの要否の判断は、例えばコレット6のクリーニング動作が所定回数実施されたどうかで判断(ステップJ4)する。ブラシ61の交換の要否の判断は、例えばブラシ61のクリーニングが所定回数実施されたかどうかで判断する(ステップJ5)。ステップJ4の判断が否の場合はステップC3に戻り、ステップJ4の判断が要の場合はステップJ5に進む。ステップJ5の判断が否の場合はブラシ61をクリーニングし(ステップC4)、要の場合はブラシ61を交換し(ステップC5)、図7のステップC1に移る。ブラシ61のクリーニングは、例えば、図9に示すように、ブラシ61の上にブラシ、凹凸を有する板または平板等で構成されたブラシクリーニング板6Cを装着したボンディングヘッド41を移動し、吸引部63で吸引を行いながらブラシ61を直線移動すると共に、ブラシクリーニング板6Cを回転させて(コレットクリーニング装置60でコレットのクリーニング動作と同様な動作を行って)実施する。
【0044】
上記フローにおいて、所定のボンディング回数毎、言い換えればウェハ11からダイDの所定のピックアック回数毎に、撮像データを基にコレット6のクリーニングの要否を判断したが、判断せずに所定のピックアック回数毎に定期的に行ってもよい。また、上記フローにおいて撮像データを基に所定のボンディング回数毎にコレット6のクリーニングの要否を判断したが、その後毎回クリーニングの要否を判断せず、安全サイド、タクトタイムの向上の観点から、その後の判断サイクルを所定のボンディング回数より短くしてもよい。
さらに、コレット6のクリーニングを行うタイミングとしては、ダイが複数行に亘り保持されているウェハ11上のダイの行が変わる毎に、または2行おきにコレットクリーニングを自動的に実行するようにしてもよい。また、作業者が、必要な時にダイボンダを操作して随時実行するようにしてもよい。
【0045】
さらにまた、上記説明では、コレット6のクリーニング動作時にボンディングヘッド41を降下させてクリーニングさせたが、コレットクリーニング装置60を上昇させてクリーニングしてもよい。
【0046】
実施例によれば、コレット6の回転運動とブラシ61の直線運動を組み合わせることにより異物を除去できる。また、吸引部63を設けることで、除去した異物を回収することができ、安全に基板にダイをボンディングすることができる。さらに、ブラシ61に金属を用いることでコレット6の除電することができ、ダイの静電破壊を防ぐことができる。
【0047】
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施例にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施例と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施例における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0048】
(変形例1)
実施例ではコレット6を回転させブラシ61を直線移動させたが、変形例1ではコレット6を直線移動させブラシ61を回転させる。
図10は、変形例1に係るコレットクリーニング装置を示す図である。図10(a)は、図1において矢印Aの方向から見た図である。図10(b)は、図10(a)において矢印A3の方向から見た図である。図11(a)は、コレットクリーニング装置のブラシおよびブラシホルダの上面図である。図11(b)は、図11(a)のA4−A5線における断面図である。図11(c)は、図11(a)のA6−A7線における断面図である。図12図10(a)に対応する図で、コレットクリーニング装置の本体を上昇させてピックアップヘッドに接触させ、クリーニング動作の状態を示す図である。
【0049】
コレットクリーニング装置60は、ブラシ61とブラシ61を保持するブラシホルダ64と駆動部65と固定部66に支持された昇降装置67とを備える。
【0050】
ブラシホルダ64は、長方形状の底面部64aと、長辺側の側面部64d、64eと、短辺側の側面部64b、64cと、底面部64aの短辺側に設けられブラシ台61Bの底面を支える凸部64fと、四隅に設けられブラシ台61Bの側面を支える凸部64gと、底面部64aの中央から下方に伸びる配管部64hと、を有する。これにより、ブラシ61の長辺側の側面とブラシホルダ64の長辺側の側面部64d、64eとの間に形成される隙間およびブラシ61の底面とブラシホルダ64の底面部64aとの間に形成される隙間によって吸引部63の一部が形成される。
【0051】
言い換えると、吸引部63は、ブラシホルダ64の内側とブラシ61との間に形成され、ブラシ61の両側に設けられた吸引溝63cと、2つの吸引溝63cを連結する連結部63d(配管部64h)と、吸引ポンプ(図示せず)から配設された柔軟な接続配管63hと、接続配管が接続される接続栓63sを有する。
【0052】
駆動部65は、ブラシホルダ64と係合された回転軸と、回転軸を回転させるモータと、連結部63dを接続栓63sに接続する配管と、を有する。
【0053】
変形例1のコレットクリーニング装置60の実施例と異なる主な点は、次の3点である。
【0054】
第1に、実施例ではコレット6を回転させブラシ61を直線移動させて吸着面の異物を除去したのに対し、変形例1ではブラシ61を回転させボンディングヘッド41を図16に示す矢印J方向に左右に移動させて吸着面の異物を除去している点である。矢印J方向はボンディングヘッド41がクリーニングの目的とは別の他の目的(通常のボンディング)で左右に移動する方向(Y方向)であり、クリーニングを実施することで、余計な機能を付与する必要はない。
【0055】
第2に、実施例ではボンディングヘッド41が降下しコレット6の吸着面をブラシ61に接触させたのに対し、変形例1でH方向に昇降機能を有する昇降装置67によってブラシ61を上昇させコレット6の吸着面にブラシ61を接触させている点である。ブラシ61に昇降機能を付けることで、ボンディングヘッド41がブラシ61の上方に移動したことに合わせて、ブラシ61の昇降を実施してボンディングヘッド41に接触させることができ、スループットの向上が可能である。なお、第2の点は、変形例1において駆動軸を低減させるために、実施例同様にボンディングヘッド41を降下させてもよい。
【0056】
第3に、実施例では吸引部63の吸引孔部63aはブラシ台61Bに形成された孔であるのに対し、変形例1ではブラシホルダ64とブラシ台61Bとの間に形成された細長い溝である。
【0057】
次に、変形例1に係るコレットクリーニング装置60によるコレット6のクリーニング動作について図7を用いて説明する。なお、ボンディング動作は実施例と同様である。
【0058】
制御部7はコレット6のクリーニング要と判断したら、図2に示す太い破線で示すクリーニング動作に入る。制御部7はコレット6(ボンディングヘッド41)をコレットクリーニング装置60の上部に移動し、昇降装置67を制御しブラシ61を上昇させて、図12に示すように、コレット6にブラシ61を接触させる(ステップC1)。その後、制御部7は、駆動部65を制御しブラシ61を回転動作させると共に、ボンディングヘッド41を制御しコレット6を、矢印Jに示すように、例えば、1往復、必要ならば数往復移動させてコレットの吸着面をクリーニングする(ステップC2)。なお、片道動作だけ所定のクリーン度が得られれば片道動作だけでもよい。その後、制御部7はボンディングヘッド41を上昇させて、ダイDのピックアップ位置に戻り(ステップC3)、ボンディング動作に戻る。
【0059】
次に、ブラシクリーニング(ステップC4)について図13を用いて説明する。図13は変形例1に係るコレットクリーニング装置のブラシのクリーニングを説明するための図である。図13(a)は図11(b)に対応する図であり、ブラシにブラシクリーニング板を接触させブラシクリーニング動作の状態を示す断面図である。図13(b)は、図11(c)に対応する図、ブラシにブラシクリーニング板を接触させブラシクリーニング動作の状態を示す断面図である。
【0060】
ブラシの奥まで到達する櫛状の突起やブラシ、溝等の表面突起が付いたブラシクリーニング板6Cをコレット6と同様にボンディングヘッド41のブラシクリーニング用ホルダ6Chに装填し、コレットクリーニング動作をさせる。ブラシクリーニング用ホルダ6Chはブラシホルダ64よりも少し大きくしている。図13(b)に示すように、制御部7は、駆動部65を制御しブラシ61の長辺方向をX方向(短辺方向をY方向)に合わせた後、ボンディングヘッド41を制御してブラシクリーニング板6Cを上下方向(Z方向)および左右方向(Y方向)に小刻みに移動させると共に、吸引部63から排気して、ブラシクリーニングを行う。ブラシクリーニング板6Cをブラシクリーニング用ホルダ6Chの下端よりも下方に突き出して構成し、制御部7は、コレットクリーニングと同様に、駆動部65を制御しブラシ61を回転すると共に、ボンディングヘッド41を制御してブラシクリーニング板6CをY方向に移動させて、吸引部63から排気しながらブラシクリーニングを行ってもよい。
【0061】
通常、ブラシ61の奥(ブラシ部61Hのブラシ台付近(毛の根元))に溜まる異物が多く、これを有効に除去することができる。
【0062】
次に、ブラシ交換(ステップC5)について図14を用いて説明する。図14は変形例1に係るクリーニング装置のブラシ交換を説明するための図である。図14(a)は図11(b)に対応する図であり、ブラシに交換アームを把持させブラシ交換動作の状態を示す断面図である。図14(b)は、図11(c)に対応する図であり、ブラシに交換アームを把持させブラシ交換動作の状態を示す断面図である。図14(c)は図14(b)に対応する図であり、交換アームの正面図である。
【0063】
専用交換アーム6Ahは、ブラシ台61Bの長辺側の両側面とブラシホルダ64の側面部64d、64eとの間の吸引溝63cに挿入可能な把持部を備え、ブラシクリーニング用ホルダ6Chと同様に、ボンディングヘッド41に装填され、ブラシ61を交換する。
【0064】
制御部7は駆動部65を制御しブラシ61の長辺方向をX方向(短辺方向をY方向)に合わせ、ボンディングヘッド41を制御して専用交換アーム6Ahの把持部をX方向に合わせた後、ボンディングヘッド41を制御して把持部を吸引溝63cに挿入してブラシ台61Bを把持して、ブラシ61をブラシホルダ64から抜き出して、ブラシ61を交換する。
【0065】
専用交換アーム6Ahはコレットタイプの治具(コレットと交換可能なブラシハンドリング冶具)であり、ボンディングヘッド41を利用して交換することができる。
【0066】
以上説明したコレットクリーニング装置の変形例1によれば、ブラシ61を回転させ吸引部を用いることで、異物を周囲に飛散させることなく、より異物を除去できる。また、ブラシ61をクリーニングまたは交換することができる。
【0067】
(変形例2)
変形例2に係るブラシはエアブロー機能を備える。図15は変形例2に係るコレットクリーニング装置を説明する図であり、図11(c)に対応する断面図である。
【0068】
変形例2に係るブラシ61のブラシ台61Bはエアを噴き出す複数の孔61aと孔61aと接続される空洞部61bと空洞部61bにエアを供給する配管61cとを備える。連結部63dの中に配管61cが伸びていることを除き、変形例2に係るブラシホルダ64は変形例1と同様である。
【0069】
変形例2に係る駆動部65は、ブラシホルダ64と係合された回転軸と、回転軸を回転させるモータと、連結部63dを接続栓63sに接続する配管と、配管61cをエア供給部に接続する配管と、を有する。
【0070】
制御部7は、コレットクリーニングまたはブラシクリーニングの際に、エア供給部を制御してブラシの植毛部(ブラシ台61Bの複数の孔61a)よりエアブローする。これにより、ブラシ部61H(ブラシ部61Hの奥(植毛部))に異物が付着しづらくすることができる。
【0071】
(変形例3)
変形例3に係るブラシは垂直面に沿って回転することによりブラシ面の新面を交換する。図16は変形例3に係るコレットクリーニング装置を説明する図である。図16(a)は、図11(b)に対応する断面図である。図16(b)は、図11(c)に対応する断面図である。
【0072】
ブラシ61のブラシ台61Bは横に長い直方体状で、直方体の長手方向に沿う方向の中心軸(回転軸棒61C)を軸として回転可能である。ブラシ台61Bの4面にブラシ部61Hが形成されている。
【0073】
ブラシホルダ64の側面部64b、64cは回転軸棒61Cを回転可能に支持する。よって、ブラシホルダ64は、変形例1の凸部64f、64gを備えていない。
【0074】
吸引部63は、変形例1、2と同様に、ブラシホルダ64の内側とブラシ61との間に形成され、ブラシ61の両側に設けられた吸引溝63cと、2つの吸引溝63cを連結する連結部63dと、を有する。変形例3に係るクリーニング装置は、ブラシおよびブラシホルダを除いて、変形例1と同様である。また、変形例3に係るクリーニング装置のコレットクリーニング動作およびブラシクリーニング動作は、動作変形例1と同様である。
【0075】
制御部7は、図示しない駆動部を制御して回転軸棒61Cを回転させ、ブラシ交換(ブラシ面を交換)する(ステップC5)。
【0076】
ロータリー式で複数面を回転させブラシが汚れる毎に新しい面で清掃を行う。ブラシ61の回転の要否は所定のクリーニング回数で判断してもよいし、クリーニング認識カメラでブラシの汚れを確認するようにしてもよい。変形例3ではブラシは4面として説明したが、2面でも3面、5面以上でもよい。
【0077】
(変形例4)
変形例3ではブラシをクリーニングする特別な機構を有していないが、変形例4ではブラシをクリーニングする機構を有する。図17は変形例4に係るコレットクリーニング装置を説明する図である。図17(a)は、図16(a)に対応する断面図である。図17(b)は、図16(b)に対応する断面図である。
【0078】
変形例4に係るクリーニング装置は、ブラシホルダ64の側面部64b、64cの内側に、突起またはブラシ部62Cを設ける。これ以外は、変形例3と同様な構成である。コレットクリーニング動作は変形例1と同様である。制御部7は図示しない駆動部を制御しブラシ61の回転軸棒61Cを回転させ、新しい面を出す毎にブラシ61のブラシ部61Hをブラシホルダ64の内側に設けた突起またはブラシ部64Cでクリーニングし、クリーニングされたブラシで再度コレットクリーニングを行う。その際に吸引部63から排気を行う。なお、ブラシ61およびブラシホルダ64の構造を変形例2と同様にしてエアを吹き出す構造にし、ブラシクリーニングの際、さらにエアブローも行ってもよい。変形例1と同様なブラシクリーニングをさらに行ってもよい。
【0079】
(変形例5)
変形例5のブラシ61のブラシ部61Hの毛丈(HH)は実施例および変形例1よりも長くしている。変形例5に係るコレットクリーニング装置について図18を用いて説明する。図18(a)は、コレットクリーニング装置のブラシの上面図である。図18(b)は、図18(a)のB1−B2線における断面図である。図18(c)は、図18(a)のB3−B4線における断面図である。
【0080】
変形例5のブラシ61のブラシ部61Hの毛丈(HH)は10mm程度であり、これに伴って、ブラシホルダ64の高さも高くしている。ブラシ部61Hの上端はブラシホルダ64の上端よりも高く、ブラシ台61Bの上端からブラシホルダ64の上端までの高さをHFとすると、HHとHFとの差は、例えば、1〜2mm程度である。これ以外は、変形例1と同様な構成である。
【0081】
変形例5によれば、HHとHFの隙間が狭く、効率的に排気が可能となり異物を周囲に飛散させることなく、より異物を除去できる。また、通常、ブラシ61の奥(ブラシ部61Hのブラシ台付近(毛の根元))に溜まる異物が多く、この部分がブラシホルダの奥に配置されるため、さらに異物の飛散を防止しながら効率的にこれを除去することができる。
【0082】
(変形例6)
変形例1ではブラシ61と共に吸引溝63c(ブラシホルダ64)を回転させたが、変形例6では吸引部63(枠部62)を回転させずブラシ61を回転させる。図19は変形例6に係るコレットクリーニング装置の構成を示す図である。図19(a)は、コレットクリーニング装置を図1において矢印Aの方向から見た図である。図19(b)は、図19(a)において、コレットクリーニング装置を矢印B5の方向から見た図である。図19(c)、図19(d)は、それぞれ図19(a)、図19(b)に対応する図で、コレットクリーニング装置の本体を上昇させてボンディングヘッド41に接触させ、クリーニング動作の状態を示す図である。図20(a)は、コレットクリーニング装置の上面図である。図20(b)は、図20(a)において矢印B6の方向から見た図である。図20(c)は、図20(a)において矢印B7の方向から見た図である。
【0083】
変形例6に係るコレットクリーニング装置60は、ブラシ61と枠部62と駆動部65と固定部66に支持された昇降装置67と吸引部63とを備える。
【0084】
ブラシホルダ64は、長方形状の底面部64aと、長辺側の側面部64d、64eと、短辺側の側面部64b、64cと、底面部64aの中央から下方に伸びる接続部64jと、を有する。ブラシホルダ64の長辺側の側面部64d、64eは、ブラシ61の交換のため、ブラシ台61Bの一部が露出している。ブラシホルダ64の短辺側の側面部64b、64cは、ブラシ61の交換のため、ブラシ台61Bの一部が露出していてもよいし、露出していなくてもよい。
【0085】
吸引部63は、円筒状の枠部62の内側と、円柱状の駆動部65と、の間に形成され、吸引ポンプ(図示せず)から配設された柔軟な接続配管63hと、接続配管が接続される接続栓63sを有する。変形例1ではブラシホルダ64および吸引部63(吸引溝63c)はブラシ61と一緒に回転するが、変形例6では枠部62および吸引部63は回転しない。駆動部65は、ブラシ61と係合された回転軸と、回転軸を回転させるモータと、を有する。
【0086】
変形例6に係るボンディング動作、コレットクリーニング動作、ブラシクリーニング動作およびブラシ交換動作は変形例1と同様である。
【0087】
(変形例7)
変形例7ではダイ供給部1とボンディング部4との間にピックアップ部2を備える。図21は、変形例7に係るダイボンダの構成を示す概略上面図である。図22は、図21において矢印G方向から見たときに、ピックアップヘッドおよびボンディングヘッド41の動作を説明する図である。
【0088】
変形例7に係るダイボンダ10は、実施例に係るダイボンダ10に、ボンディングヘッド41とは別にウェハ11からピックアップするピックアップ部2と、ピックアップしたダイDを一旦載置する中間ステージ31とを更に設けた構成を有する。また、変形例7に係るダイボンダ10は、コレットクリーニング装置60を中間ステージ31とダイDのピックアップ位置の間に有する。コレットクリーニング装置60は実施例、変形例1〜6、8のいずれのコレットクリーニング装置であってもよい。
ピックアップヘッド21のコレット6にウェハ11から異物等が付着するので、上述したようにコレットクリーニング装置60は、中間ステージ31とダイDのピックアップ位置の間に設けられている点である。なお、中間ステージ31が存在するダイボンダにおいて、ボンディングヘッド41に関しても、同様にコレットクリーニングを行う必要がある場合には、中間ステージ31とダイDのボンディングの位置の間に設けてもよい。
【0089】
ピックアップ部2は、ウェハ11からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置するピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23とを有する。ピックアップヘッド21は、ボンディングヘッド41と同一構造を有し、Y駆動部23のほかコレット6を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0090】
実施例ではダイ姿勢認識カメラを用い異物の度合いを監視したが、変形例7では中間ステージ31にダイDを載置する時は、ボンディングする時のように正確なダイの姿勢を得る必要がないので、変形例7では、異物度合いを画像として監視せず、異物の度合いの監視をピックアップヘッド21によるウェハ11からのダイDのピックアップ回数で行う。もちろん、実施例と同様に、ピックアップヘッドのコレット6の吸着面を撮像する手段を設けて、撮像結果に基づいてクリーニングの要否を判断してもよい。
【0091】
(変形例8)
変形例8のブラシ61では、ブラシ部61Hの中央部の一部を取り除いている。変形例8に係るコレットクリーニング装置について図27を用いて説明する。図27(a)は、コレットクリーニング装置のブラシおよびブラシホルダの上面図である。図27(b)は、図27(a)のA4−A5線における断面図である。図27(c)は、図27(a)のA6−A7線における断面図である。
【0092】
変形例1〜6のブラシを回転させる方式においては、図27に示すように、回転ブラシの中央部(回転中心部)のブラシ部61Hおよびブラシダウ61Bを所定の幅で取り除くことが、清掃時にコレット6にダメージを与えないために有効である。これは、中心部においては他のブラシ接触部に比べ、4回転時に連続的にブラシが接触するためダメージが加速するのを防止するためである。また、ブラシを取り除く所定の幅(LW)は、通常1〜6mm程度が好ましい。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態、実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0094】
例えば、実施例ではブラシのクリーニングの要否の判断およびブラシ交換の要否の判断はクリーニング実施の回数で判断するようにしているが、クリーニング装置の上方にブラシ認識カメラを設け、ブラシを撮像してクリーニングの要否を判断するようにしてもよい。
【0095】
また、実施例ではコレットに接触してからのブラシの押し込み量を0〜1mm程度としているが、押し込み量で管理を行うのではなく、ブラシを押し当てる部分に圧力センサを設け、適正押圧で圧力管理及び押圧制御を行うようにしてもよい。
【0096】
また、コレットに平行にブラシを接触できるように、ブラシ部分または回転部分全体をフレキシブルに固定し、コレットに追従できるようにしてもよい。
【0097】
また、実施例ではウェハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
また、実施例ではピックアップヘッドおよびボンディングヘッドをそれぞれ1つ備えているが、それぞれ2つ以上であってもよい。また、実施例では中間ステージを備えているが、中間ステージがなくてもよい。この場合、ピックアップヘッドとボンディングヘッドは兼用してもよい。
【0098】
また、実施例ではダイの表面を上にしてボンディングされるが、ダイをピックアップ後ダイの表裏を反転させて、ダイの裏面を上にしてボンディングしてもよい。この場合、中間ステージは設けなくてもよい。この装置はフリップチップボンダという。フリップチップボンダにも適用する場合、コレットの吸着面が上に向くことがあるので、クリーニング装置をピックアップするヘッドの可動範囲の上側に設けてもよい。即ち、クリーニング装置を、吸着面に対面するように設ける。
【符号の説明】
【0099】
1:ダイ供給部
2:ピックアップ部
21:ピックアップヘッド
31:中間ステージ
4:ボンディング部
41:ボンディングヘッド
44:基板認識カメラ
45:ダイ姿勢認識カメラ
6:コレット
7:制御部
10:ダイボンダ
11:ウェハ
12:ピックアップ装置
13:突き上げユニット
18:ダイアタッチフィルム(DAF)
60:コレットクリーニング装置
61:ブラシ
62:枠部
63:吸引部
64:ブラシホルダ
65:駆動部
67:昇降装置
D:ダイ
P:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27