(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0012】
それゆえ、高い誘電異方性を、高い弾性定数、低い回転粘度および良好な低温安定性を同時に組み合わせて有する液晶媒体が、必要である。
【0013】
高いコントラスト比は、良好な黒色状態および/または高度な透過により達成することができる。それゆえ、上述のアプローチ、ならびに液晶媒体の以下の要件の随伴が、IPSディスプレイの最適化されたコントラストには望ましい:
・Δnに関する好適な値、および/または
・高い弾性定数、および/または
・誘電異方性に関する比較的高い値、
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性
【0014】
FFSディスプレイの場合において、以下の類似した要件が生じる:
・Δnに関する好適な値、および/または
・高い弾性定数、および/または
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性
【0015】
誘電異方性に関する比較的高い値は、FFSディスプレイの場合においては、電極間隔の増加がここでは限定された程度で透過の増大をもたらすにすぎないので、大抵は不要である。しかし、一般的に、液晶媒体の言及された類似の要件もまた、FFSディスプレイに適用する。
【0016】
驚くべきことにこれらの要件は、式I1〜I3で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物、および式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む液晶媒体の使用をとおして、好ましくは同時に、達成される。
【0017】
それゆえ本発明は、正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、式I1〜I3
【化3】
式中、
R
11は、非置換の、CNもしくはCF
3によって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、−O−、−S−、
【化4】
−C≡C−、−OC−O−または−COO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
R
11*は、15個までのC原子を有する非置換のアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、−O−、−S−、
【化5】
−C≡C−、−OC−O−または−COO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
【0018】
Z
0は、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2−O−、−O−CF
2−、−CH
2−CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CFH−CFH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−C≡C−または−CH=CF−、好ましくは−CH=CH−、−CH
2−CH
2−または−CF=CF−を示し、
Spは、O、非置換の、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換された、6個までのC原子を有する、アルキレン アルキレンオキシ、オキサアルキレンまたはアルケニレンラジカルを示し、
pは、0または1、好ましくは1を示し、
lおよびkは、0〜5を示す、
で表される1種または2種以上の化合物、および、
式II
【化6】
式中、
R
21およびR
22は、それぞれ、互いに独立して、非置換の、またはCNもしくはCF
3によって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、−O−、−S−、
【化7】
−C≡C−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよいを示し、およびR
22はまたX
21を示し、
Y
21およびY
22は、それぞれ、互いに独立して、HまたはF、好ましくは両方がF、または両方がHを示し、および
X
21は、F、Cl、CN、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカル、好ましくは、F、Cl、CN、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3またはCH=CF
2、特に好ましくはF、CN、OCHF
2またはOCF
3を示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、前記液晶媒体に関する。
【0019】
好ましい態様において、式I1〜I3で表される化合物は、式I1a〜I1g、I2a、I2bおよび/またはI3a〜I3c
【化8】
【0020】
式中、
R
11は、式Iの下で特定される意味の1つを有し、
R
11*は、式Iの下で特定される意味の1つを有し、
mは、1〜5を示し、および
k、lおよびnは0〜5を示す、
で表される化合物から選択される。
【0021】
式I1〜I3で表される化合物は、特に好ましくは式I1aおよびI1b、式中(n)は0、1または2に等しい、で表される化合物から、および式I1dで表される化合物から、およびさらにまた式I3a〜I3cで表される化合物から選択される。
【0022】
式I2a、I2bで表される化合物は、特に好ましくは、以下の副次式で表される化合物から選択される。
【化9】
【0023】
式IIで表される化合物は、特に好ましくは、式IIa〜IIi
【化10】
【0025】
【化12】
式中、R
21およびR
22は、それぞれ、互いに独立して、式IIの下で特定される意味の1つを有し、kおよびlは、それぞれ、互いに独立して0〜5を示す、
で表される化合物から選択される。
【0026】
式IIで表される化合物は、特に好ましくは、式IId、IIg、IIkおよび/またはIIj、式中、lは0に等しく、kは1または2に等しい、で表される化合物から選択される。
【0027】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は、式III
【化13】
式中、
R
31は、非置換の、CNもしくはCF
3によって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、−O−、−S−、
【化14】
−C≡C−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
X
31は、F、Cl、CN、1〜10個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜10個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示し、
Y
31およびY
32は、同時にFを示し、
Y
33およびY
34は、それぞれ、互いに独立して、HまたはFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0028】
さらなる好ましい態様において、式IIIで表される化合物は、式IIIa〜IIIc
【化15】
式中、R
31およびX
31は、それぞれ式IIの下で特定された意味の1つを有する、
で表される化合物から選択される。ここで、特に好ましいのは、式IIIbで表される化合物であって、式中、X
31がFに等しい、前記化合物である。
【0029】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV
【化16】
式中、
R
41は、1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
R
42は、R
41の意味の1つを有するか、またはX
41を示し、
【0030】
A
41は、
【化17】
を示し、
X
41は、F、Cl、CN、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカル、好ましくは、F、Cl、CN、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3またはCH=CF
2、特に好ましくはF、Cl、CN、OCHF
2またはOCF
3、殊に好ましくはFまたはCl、を示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0031】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式V
【化18】
式中、
R
51およびR
52は、それぞれ、互いに独立して1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカル、2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
Lは、HまたはF、好ましくはFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0032】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式VI
【化19】
式中、
R
61は、1〜15個のC原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、それぞれ、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖アルキルラジカルを示し、
【0033】
A
61、A
62は、それぞれ、互いに独立して、
【化20】
を示し、および
X
61は、F、Cl、CN、またはFによって単置換もしくは多置換された1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、好ましくはF、CF
3またはOCF
3を示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0034】
式VIで表される化合物は、特に好ましくは副次式VI−1〜VI−5、
【化21】
式中、R
61およびX
61は、それぞれ式IIの下で特定される意味の1つを有する、
から選択される。
ここで、式VIで表される化合物は、特に好ましくは、X
61がFまたはCF
3またはOCF
3に等しい、副次式VI−1〜VI−5から選択される。
【0035】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式VII
【化22】
【0036】
式中、
R
71は、非置換の1〜15個のC原子を有するアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、それぞれ、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖アルキルラジカルを示し、
A
71、A
72は、それぞれ、互いに独立して、
【化23】
を示し、
【0037】
L
71およびL
72は、それぞれ、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくは両方がFを示し、および
X
71は、F、Cl、CN、またはFによって単置換もしくは多置換された1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシを示し、好ましくはF、CF
3またはOCF
3を示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0038】
式VIIで表される化合物は、特に好ましくは副次式VII−1〜VII−5
【化24】
式中、R
71およびX
71は、それぞれ式VIIの下で特定される意味の1つを有する、
から選択される。
特に好ましいのは、副次式VII−1〜VII−5で表される化合物であって、式中X
71がFに等しい、前記化合物である。
【0039】
さらなる態様において、本発明の媒体は、式VIII
【化25】
【0040】
式中、
R
81は、非置換の、CNもしくはCF
3によって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカルを示し、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH
2基は、−O−、−S−、−C≡C−、−CH=CH−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよく、
L
81〜L
83は、互いに独立して、同一または異なって、HまたはFを示し、および
X
81は、F、Cl、1〜7個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2〜7個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0041】
特に好ましい式VIIIで表される化合物は、以下の副次式VIII−1およびVIII−2
【化26】
式中、n=1〜7である、
で表される化合物である。
【0042】
上の式においてR
11〜81またはR
11*がアルキルラジカルおよび/またはアルコキシラジカルを示す場合、これは直鎖であっても、または分枝であってもよい。好ましくは直鎖であり、1、2、3、4、5、6または7個のC原子を有し、および従って好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシを、さらにはメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデドキシを示す。
【0043】
R
11〜81またはR
11*がアルケニルラジカルを示す場合、表現「アルケニル」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルケニル基を、特に直鎖の基を包含する。好ましいアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニル、特にはC
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニルおよびC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般的には好ましい。
【0044】
R
11〜81がハロゲンで少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニルラジカルを示す場合、このラジカルは好ましくは直鎖であり、およびハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られるラジカルはまた、パーフッ素化ラジカルを含む。単置換の場合において、フッ素または塩素置換基は任意の所望の位置であることができるが、好ましくはω位にある。
【0045】
純粋な状態において、式I〜VIIIで表される化合物は無色であり、および電気光学使用のために好ましく配置される温度範囲において液晶性メソ相を形成する。これらは化学的に、熱的におよび光に対して安定である。
【0046】
本発明の媒体において用いることができる、上述の式およびそれらの副次式で表される個々の化合物は、公知であるか、または文献において(例えば標準的な著作物、例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie[有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartにおいて)記載される、自体公知の方法により、正確にはかかる反応に関して公知かつ好適な反応条件下で、製造することができるかの、いずれかである。ここでは詳細には述べない、自体公知の変形の使用もまた可能である。
【0047】
上述の式で表される化合物の最適な混合比は、実質的には、所望の特性に、上述の化学式で表される化合物の選択に、および任意に存在する他の構成成分の選択に、依存する。
【0048】
上に示される範囲内の好適な混合比は、場合に応じて容易に決定することができる。
【0049】
本発明の混合物における上述の化学式で表される化合物の総量は、重大ではない。それゆえ混合物は、さまざまな特性を最適化するために、1種または2種以上のさらなる成分を含んでもよい。しかし、混合物の特性の所望の改善に対する観察される効果は、上述の式で表される化合物の総濃度が高いほど、一般的にはより大きい。
【0050】
さらに好ましい態様は、以下に示すとおりである:
・媒体が、混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは3〜70重量%の式I1および/またはI2および/またはI3で表される化合物の割合の式I1および/またはI2および/またはI3で表される1種または2種以上の化合物、および式IIで表される1種または2種以上の化合物を含む、または
【0051】
・媒体が、式I1〜I3から選択される少なくとも2種の化合物、ここで好ましくは、該化合物の1種は、式I2a−1で表される化合物から、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で選択される、および式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む、または
【0052】
・媒体が、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で、および混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは5〜70重量%の式I2b−1で表される化合物の割合で、好ましくは、式I2a−1およびI2b−1から選択される、式I2で表される2種の化合物に加えて、式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む、または
【0053】
・媒体が、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で、および混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは5〜70重量%の式I2b−1で表される化合物の割合で、さらに混合物全体において、1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%の式I2b−3で表される化合物の割合で、好ましくは式I2a−1、I2b−1およびI2b−3で表される化合物から選択される、式I2で表される3種の化合物に加えて、式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0054】
上述の混合物概念は好ましくは以下
− 任意に、好ましくは式IIIbで表される化合物から選択される、式IIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式IIIで表される化合物の割合は55重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までである、および/または
【0055】
− 任意に、好ましくは式IVで表される化合物であって、式中、X
41がフッ素を示す、該化合物から選択される、式IVで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式IVで表される化合物の割合は40重量%まで、好ましくは30重量%までである、および/または
【0056】
− 任意に、式Vで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式Vで表される化合物の割合は40重量%まで、好ましくは30重量%まで、特に好ましくは25重量%までである、および/または
【0057】
− 任意に、式VIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式VIで表される化合物の割合は80重量%まで、好ましくは75重量%まで、特に好ましくは70重量%までである、および/または
【0058】
− 任意に、混合物全体において、50重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までの式VIIで表される化合物の割合で、式VIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、および/または
【0059】
− 任意に、混合物全体において、50重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までの式VIIIで表される化合物の割合で、式VIIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、
を含む、およびここで
【0060】
好ましくは式IIdおよび/またはIIgおよび/またはIIjおよび/またはIIkで表される化合物から選択される、式IIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物の割合は、混合物全体において、好ましくは1〜80重量%、特に好ましくは2〜70重量%、極めて特に好ましくは3〜60重量%である。
【0061】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式I2で表される少なくとも2種の化合物、式IIで表される少なくとも1種の化合物および式VIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0062】
さらなる好ましい態様において、媒体は、好ましくは、式I2で表される3種の化合物、式IIで表される少なくとも1種の化合物および式VIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0063】
慣用の液晶材料と混合された相対的に低い割合の式I1〜I3で表される化合物でさえ、弾性定数の顕著な増加、ここで同時に、迅速な応答時間を達成する観点での回転粘度に関する低い値、をもたらし、および誘電異方性に関する相対的に高い値が観察されることが見出された。同時に混合物は、極めて良好な低温安定性を呈する。
【0064】
本発明はまた、2つの平行平面外板、これはフレームとともにセルを形成する、該外板上の個々のピクセルを切り替えるための集積非線形素子、およびセルに配置されてなる正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物、これはこのタイプの媒体を含む、を有する、電気光学ディスプレイ、例えばSTNまたはMLCディスプレイなどに、およびこれらの媒体の電気光学目的のための使用に関する。
【0065】
本発明の液晶混合物は、利用可能なパラメーターの許容範囲の重要な拡大を促す。高い弾性定数、低い回転粘度および相対的に高い誘電異方性の達成可能な組み合わせは、従来技術からの先の材料をはるかに凌ぐ。
【0066】
本発明の混合物は、モバイル用途および低Δn TFT用途、例えば携帯電話およびPDAなどに、特に好適である。
【0067】
本発明の液晶媒体は同時に、誘電異方性値Δε≧+3、好ましくは≧+7、特に好ましくは≧+10、および−20℃までに低く、および好ましくは−30℃までに低く、特に好ましくは−40℃までに低くネマチック相を保持しながら達成されるべき比抵抗に関する高い値、および透明点≧80℃、好ましくは≧90℃、特に好ましくは≧100℃を実現し、優れたMLCディスプレイを達成させることができる。特に、混合物は、低い作動電圧を特徴とする。
【0068】
本発明の液晶混合物の閾値電圧は、好ましくは≦2.0V、特に好ましくは≦1.8Vである。
本発明の液晶混合物の複屈折Δnは、好ましくは≦0.14、特に好ましくは≦0.13、殊に好ましくは≦0.12である。
本発明の液晶混合物の20℃における回転粘度γ
1は好ましくは、≦150mPa・s、好ましくは≦120mPa・s、特に好ましくは≦100mPa・sである。
【0069】
本発明の液晶混合物のネマチック相範囲は好ましくは、少なくとも90°、特には少なくとも100°の幅を有する。この範囲は好ましくは、少なくとも、−40°〜+110℃に及ぶ。
【0070】
本発明の媒体の有利に高い弾性定数の観点において、対応する固有値がK
aveの値により決定される。
K
aveは、
K
ave=(K
11+K
22+K
33)/3
式中、K
22は、
K
22≒K
11/2
により近似することができる、
により計算される。
【0071】
本発明の液晶媒体のK
aveの値は、好ましくは≧10pN、特に好ましくは≧12pN、特には≧13pNである。
【0072】
言うまでもなく、本発明の混合物の成分の好適な選択により、より高い閾値電圧において達成されるべきより高い透明点(例えば100℃より上)、またはより低い閾値電圧において達成されるべきより低い透明点もまた、他の有利な特性を保ちながら達成することができる。同様に、より大きいΔεおよびひいては低い閾値を有する混合物が、相応してより低度に増加した粘度において得ることができる。本発明のMLCディスプレイは好ましくは、グーチ・タリー第1透過極小において作動し[C.H. Gooch and H.A. Tarry, Electron. Lett. 10, 2‐4, 1974; C.H. Gooch and H.A. Tarry, Appl. Phys., Vol. 8, 1575-1584, 1975]、ここで、第2極小における類似のディスプレイにおけるのと同じ閾値電圧を有しての、特に好ましい電気光学特性、例えば特性線の高い傾きおよびコントラストの低い角度依存性(ドイツ国特許30 22 818)に加えての、より低い誘電異方性が、ここで適切である。これにより、シアノ化合物を含む混合物の場合におけるよりも、第1極小における本発明の混合物を用いて達成される、顕著により高い比抵抗が実現される。当業者は、個々の成分およびそれらの重量割合の好適な選択により、単純な常法を用いて、MLCディスプレイの既定の層厚さに必要な複屈折を設定することができるであろう。
【0073】
液晶の再配向のための再配向層を有し、その
電界が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する、電気光学ディスプレイであって、誘電体として本発明の液晶媒体を含有する、前記ディスプレイもまた、本発明による。
【0074】
偏光板、電極基板および表面処理を有する電極からの本発明のMLCディスプレイの構築は、このタイプのディスプレイに関する慣用の設計に対応する。用語、慣用の設計は、本明細書においては広範に描写され、MLCディスプレイ、特にまたポリSi TFTまたはMIMに基づくマトリクスディスプレイ素子の全ての派生物および改変もまた包含する。
【0075】
しかし、本発明のディスプレイの、ねじれネマチックセルに基づく現在までの慣用のものとの本質的な差異は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0076】
本発明により用いることのできる液晶混合物は、自体慣用の方法により、例えば式I1〜I3で表される1種または2種以上の化合物を、式II〜Vで表される1種または2種以上の化合物と、またはさらなる液晶化合物および/または添加剤と混合することにより、調製される。一般的に、少量で用いる所望量の成分を、主要な構成成分を構成する成分中に、有利には昇温で溶解させる。有機溶媒中、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合すること、および完全に混合した後に、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することもまた、可能である。
【0077】
本願において、および以下の実施例において、液晶化合物の構造は略号により示され、ここで化学式への変換は表Aに従って行われる。全てのラジカルC
nH
2n+1およびC
mH
2m+1は、それぞれnおよびm個のC原子を有する直鎖のアルキルラジカルであり;n、mおよびkは好ましくは整数であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。表Bにおけるコード化は、自体自明である。表Aにおいて、基本構造に関する略号のみを示す。個々の場合において、基本構造に関する略号は、ダッシュにより分離されて、置換基R
1*、R
2*、L
1*およびL
2*に関するコードが後続する。
【0079】
好ましい混合物成分を、表AおよびBにおいて見出すことができる。
表A
【表2】
【0082】
表B
特に好ましいのは、式I1〜I3で表される化合物および式IIで表される化合物に加えて、表Bからの少なくとも1種、2種、3種、4種または5種以上の化合物を含む、液晶混合物である。
(n=1〜15;(O)C
nH
2n+1は、C
nH
2n+1またはOC
nH
2n+1を示す。)
【0091】
誘電体はまたさらに、当業者に公知である、および文献に記載される添加剤、例えば、UV安定剤、例えばCibaからのTinuvin(登録商標)など、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ナノ粒子などを含んでもよい。例えば、0〜15%の多色性色素、キラルドーパントおよび重合性ドーパントなどを添加してもよい。好適な安定化剤およびドーパントを、以下の表C、DおよびEに示す。
【0092】
表C
表Cは、本発明の混合物に一般的に添加される可能なドーパントを示す。混合物は好ましくは、0〜10重量%、特には0.01〜5重量%および特に好ましくは0.01〜3重量%のドーパントを含む。
【0096】
表D
例えば本発明の混合物に1〜10重量%の量で、添加することができる安定化剤を、以下に示す。
【表16】
【0106】
以下の実施例は、本発明を、それに限定することなく、説明することを意図する。
【0107】
本明細書において、パーセンテージは重量%を示す。全ての温度は摂氏度で示す。m.p.は融点を示し、cl.p.=透明点である。さらには、C=結晶相、N=ネマチック相、S=スメクチック相およびI=等方相。これらの符号の間の数字は転移温度を示す。さらには、
− Δnは、589nmおよび20℃における光学異方性を示し)、
− γ
1は、20℃における回転粘度(mPa・s)を示し、
− V
10は、10%透過(平板表面に垂直な視野角)に対する電圧(V)(閾値電圧)を示し、
− V
90は、90%透過(平板表面に垂直な視野角)に対する電圧(V)を示し、
− Δεは、20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε
││−ε
⊥、ここでε
││は分子の長軸に平行な誘電定数を示し、およびε
⊥はそれに垂直な誘電定数を示す)。
【0108】
電気光学データは、TNセルにおいて、他に明示的に示されなければ、20℃における第1極小において(つまり0.5μmのd・Δn値において)測定される。光学データは、他に明示的に示されなければ、20℃で測定される。全ての物性は"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals" Status Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyにより決定され、他に明示的に示されなければ、20℃の温度に対して適用する。
【0109】
比較例1
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物CM1を調製する。
【表26】
【0110】
例1
20重量%の化合物(1)を混合物CM1に添加し、混合物(M1)の物性を決定する。
【表27】
混合物M1を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0111】
例2
20重量%の化合物(2)を混合物CM1に添加し、混合物(M2)の物性を決定する。
【表28】
混合物M2を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0112】
例3
20重量%の化合物(3)を混合物CM1に添加し、混合物(M3)の物性を決定する。
【表29】
混合物M3を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0113】
例4
20重量%の化合物(4)を混合物CM1に添加し、混合物(M4)の物性を決定する。
【表30】
混合物M4を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0114】
例5
20重量%の化合物(5)を混合物CM1に添加し、混合物(M5)の物性を決定する。
【表31】
混合物M5を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0115】
例6
20重量%の化合物(6)を混合物CM1に添加し、混合物(M6)の物性を決定する。
【表32】
混合物M6を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0116】
例7
20重量%の化合物(7)を混合物CM1に添加し、混合物(M7)の物性を決定する。
【表33】
混合物M7を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0117】
例8
20重量%の化合物(8)を混合物CM1に添加し、混合物(M8)の物性を決定する。
【表34】
混合物M8を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0118】
例9
20重量%の化合物(9)を混合物CM1に添加し、混合物(M9)の物性を決定する。
【表35】
混合物M9を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0119】
例10
20重量%の化合物(10)を混合物CM1に添加し、混合物(M10)の物性を決定する。
【表36】
混合物M10を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0120】
例11
20重量%の化合物(11)を混合物CM1に添加し、混合物(M11)の物性を決定する。
【表37】
混合物M11を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0121】
例12
20重量%の化合物(12)を混合物CM1に添加し、混合物(M12)の物性を決定する。
【表38】
混合物M12を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0122】
例13
20重量%の化合物(13)を混合物CM1に添加し、混合物(M13)の物性を決定する。
【表39】
混合物M13を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0123】
例14
20重量%の化合物(14)を混合物CM1に添加し、混合物(M14)の物性を決定する。
【表40】
混合物M14を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0124】
例15
20重量%の化合物(15)を混合物CM1に添加し、混合物(M15)の物性を決定する。
【表41】
混合物M15を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0125】
例16
20重量%の化合物(16)を混合物CM1に添加し、混合物(M16)の物性を決定する。
【表42】
混合物M16を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0126】
例17
20重量%の化合物(17)を混合物CM1に添加し、混合物(M17)の物性を決定する。
【表43】
混合物M17を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0127】
例18
20重量%の化合物(18)を混合物CM1に添加し、混合物(M18)の物性を決定する。
【表44】
混合物M18を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0128】
例19
20重量%の化合物(19)を混合物CM1に添加し、混合物(M19)の物性を決定する。
【表45】
混合物M19を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0129】
例20
10重量%の化合物(20)を混合物CM1に添加し、混合物(M20)の物性を決定する。
【表46】
混合物M19を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0130】
例21
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M21を調製する。
【表47】
混合物M21を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0131】
例22
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M22を調製する。
【表48】
混合物M22を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0132】
例23
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M23を調製する。
【表49】
混合物M23を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0133】
例24
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M24を調製する。
【表50】
混合物M24を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0134】
例25
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M25を調製する。
【表51】
混合物M25を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0135】
例26
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M25を調製する。
【表52】
混合物M26を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0136】
例27
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M27を調製する。
【表53】
混合物M2/を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0137】
例28
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M28を調製する。
【表54】
混合物M28を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。