特許第6706066号(P6706066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706066液晶媒体および電気光学液晶ディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706066
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】液晶媒体および電気光学液晶ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/30 20060101AFI20200525BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20200525BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C09K19/30
   C09K19/20
   G02F1/13 500
【請求項の数】7
【全頁数】65
(21)【出願番号】特願2015-538326(P2015-538326)
(86)(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公表番号】特表2016-500735(P2016-500735A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】EP2013003195
(87)【国際公開番号】WO2014063817
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月21日
【審判番号】不服2018-16764(P2018-16764/J1)
【審判請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】102012020940.1
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ツァンタ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】斎藤いづみ
(72)【発明者】
【氏名】バラン,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスパー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リーツァウ,ラース
【合議体】
【審判長】 蔵野 雅昭
【審判官】 牟田 博一
【審判官】 日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−231197(JP,A)
【文献】 特開2010−53211(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090076(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/028368(WO,A1)
【文献】 特開2004−182884(JP,A)
【文献】 特開2013−1725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K19
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I2
【化1】
式中、
11*は、15個までのC原子を有する非置換のアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化2】
−C≡C−、−O(CO)−または−(CO)O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
lおよびkは、0〜5を示す、
で表される少なくとも1種の化合物、
式II
【化3】
式中、
21は、非置換の、CNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化4】
−C≡C−、−(CO)O−または−O(CO)−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
22は、X21を示し、
21およびY22は、それぞれ、互いに独立して、HまたはFを示し、および
21は、F、Cl、CNを示すか、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも1種の化合物、
式VI
【化5】
式中、
61は、1〜15個のC原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、それぞれ、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
61、A62は、それぞれ、互いに独立して、
【化6】
を示し、および
61は、F、Cl、CNを示すか、またはFによって単置換もしくは多置換された1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシを示す、
で表される少なくとも1種の化合物
式V
【化7】
式中、
51およびR52は、それぞれ、互いに独立して1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカル、2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
Lは、Fを示す、
で表される少なくとも1種の化合物、および、
式I1およびI3
【化8】
式中、
11は、非置換の、CNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有する、アルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化9】
−C≡C−、−O(CO)−または−(CO)O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
は、−(CO)O−、−O(CO)−、−CHO−、−OCH−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CFH−CFH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−C≡C−または−CH=CF−を示し、
Spは、Oを示すか、非置換の、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換された、6個までのC原子を有する、アルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレンまたはアルケニレンラジカルを示し、
pは、0または1を示し、
lおよびkは、0〜5を示す、
のいずれかで表される化合物の群から選択される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、液晶の電界による再配向のための再配向層を有し、その電界が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する電気光学ディスプレイのための、正の誘電異方性を有する液晶媒体。
【請求項2】
式I2で表される化合物が、式I2aおよびI2b
【化10】
式中、
11*は、式I2の下で示される意味の1つを有し、および
lは、0〜5を示す、
のいずれかで表される化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の液晶媒体。
【請求項3】
式I1およびI3のいずれかで表される化合物の群から選択される化合物が、式I1a〜I1gおよびI3a〜I3c
【化11】
式中、
11は、式I1またはI3の下で示される意味の1つを有し、
(O)は、−O−または単結合を示し、
mは、1〜5を示し、および
k、lおよびnは、0〜5を示す、
のいずれかで表される化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の液晶媒体。
【請求項4】
式IV
【化12】
式中、
41は、1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
42は、R41またはX41の意味の1つを有し、
41は、
【化13】
を示し、
41は、F、Cl、CNを示すか、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶媒体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶媒体の調製方法であって、請求項1において示される、式I2で表される1種または2種以上の化合物および式IIで表される1種または2種以上の化合物を、請求項1において示される、式VIで表される1種または2種以上の化合物および式Vで表される1種または2種以上の化合物、および/または1種または2種以上のさらなるメソゲン化合物および/または1種または2種以上の添加剤と混合することを特徴とする、前記方法。
【請求項6】
電気光学ディスプレイにおける、請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
【請求項7】
液晶の電界による再配向のための再配向層を有し、その電界が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する電気光学ディスプレイであって、誘電体として請求項1〜のいずれか一項に記載の液晶媒体を含むことを特徴とする、前記電気光学ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶の再配向のための再配向層を有し、その電界が再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する電気光学液晶ディスプレイであって、式I1〜I3
【化1】
で表される1種または2種以上の化合物、
および式II
【化2】
で表される少なくとも1種の化合物
式中、パラメーターR11、R11*、Z、Sp、k、l、p、Y21〜Y22、R21およびR22は請求項1に示される意味をそれぞれ有する、
を含むことを特徴とする、液晶媒体を含有する、前記電気光学液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
慣用の液晶ディスプレイ(TN、STN、OMI、AMD−TN)において、再配向のための電界は、液晶層に本質的に垂直に作り出される。
【0003】
国際特許出願WO 91/10936は、電気シグナルが、電界が液晶層に対し平行な重大な成分を有するように、作り出される(IPS、平面内スイッチング(in-plane switching))、液晶ディスプレイを開示する。かかるディスプレイを作動する原理は、例えば、R.A. Soref in Journal of Applied Physics, Vol. 45, No. 12, pp. 5466-5468 (1974)により記載されている。
【0004】
例えばEP 0 588 568は、電極の設計のための、およびかかるディスプレイのアドレスのための、さまざまな可能性を開示する。同様にDE 198 24 137は、かかるIPSディスプレイのさまざまな態様を記載する。
このタイプのIPSディスプレイのための液晶材料は、例えばDE 195 28 104、EP 2 100 944 A1、WO 2009/112153 A1、WO 2009/100810 A1、WO 2004/048501 A1およびWO 2009/103945 A1に記載されている。
【0005】
平面内スイッチング(IPS)およびフリンジ電界スイッチング(FFS)技術の典型的な用途は、モニター、ノートブック、テレビ、携帯電話、タブレットPC、およびここでは明示的には列挙しない、当業者に公知の多くのさらなる用途である。
【0006】
IPSおよびまたFFS技術の両方が、他のLCD技術、例えば垂直配向(VA)技術と比較して、広範な視野角を有する。しかし、現在までに公知のIPSおよびFFS技術は、限定された黒色状態および限定された光透過の不利を有する。
【0007】
この理由のため、さらなる液晶媒体、ならびに高度な透過、良好な黒色状態および高いコントラスト比を有するディスプレイにおけるその使用が、近代のIPSおよびFFS用途に関する中心となる挑戦である。加えて、近代の用途はまた、良好な低温安定性および迅速なアドレス時間を必要とする。
【0008】
現在、高度な透過、黒色状態および/または高いコントラスト比に対する異なる技術的概念が存在し、これらを詳細に記載する。
【0009】
良好な黒色状態は、液晶媒体の低度な光散乱により達成することができる。それゆえ好適な媒体は、スイッチング時間の要件を考慮して、相対的に高い弾性定数および好ましくは好適なΔnを有しなければならない。
【0010】
液晶媒体のこれらの要件は今までは、回転粘度の増加および/または大幅に低減された低温安定性を伴ってきているため、低い回転粘度および良好な低温安定性と同時に、好適なΔnおよび相対的に高い弾性定数を有するさらなる液晶媒体が必要である。
【0011】
IPSディスプレイの透過は、より小さな電極幅と組み合わせての増大した電極間隔により、良い影響を与えられ得る。しかし、増大した電極間隔のため、同一レベルでの作動電圧を維持するためには、媒体の高い誘電異方性を要する。しかし、高い誘電異方性はまた現在までは、高い回転粘度および/または大幅に限定された低温安定性を意味している。加えて、より高い誘電異方性により、低い弾性定数がもたらされ得、これにより黒色状態および反応時間を低減させる。さらに、弾性定数の顕著な増加により、黒色状態における改善および低温安定性の低減がもたらされる。
【発明の概要】
【0012】
それゆえ、高い誘電異方性を、高い弾性定数、低い回転粘度および良好な低温安定性を同時に組み合わせて有する液晶媒体が、必要である。
【0013】
高いコントラスト比は、良好な黒色状態および/または高度な透過により達成することができる。それゆえ、上述のアプローチ、ならびに液晶媒体の以下の要件の随伴が、IPSディスプレイの最適化されたコントラストには望ましい:
・Δnに関する好適な値、および/または
・高い弾性定数、および/または
・誘電異方性に関する比較的高い値、
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性
【0014】
FFSディスプレイの場合において、以下の類似した要件が生じる:
・Δnに関する好適な値、および/または
・高い弾性定数、および/または
・迅速な応答時間を達成する観点での、回転粘度に関する低い値、および
・良好な低温安定性
【0015】
誘電異方性に関する比較的高い値は、FFSディスプレイの場合においては、電極間隔の増加がここでは限定された程度で透過の増大をもたらすにすぎないので、大抵は不要である。しかし、一般的に、液晶媒体の言及された類似の要件もまた、FFSディスプレイに適用する。
【0016】
驚くべきことにこれらの要件は、式I1〜I3で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物、および式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む液晶媒体の使用をとおして、好ましくは同時に、達成される。
【0017】
それゆえ本発明は、正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、式I1〜I3
【化3】
式中、
11は、非置換の、CNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化4】
−C≡C−、−OC−O−または−COO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
11*は、15個までのC原子を有する非置換のアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化5】
−C≡C−、−OC−O−または−COO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
【0018】
は、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−CFH−CFH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−C≡C−または−CH=CF−、好ましくは−CH=CH−、−CH−CH−または−CF=CF−を示し、
Spは、O、非置換の、またはハロゲンによって単置換もしくは多置換された、6個までのC原子を有する、アルキレン アルキレンオキシ、オキサアルキレンまたはアルケニレンラジカルを示し、
pは、0または1、好ましくは1を示し、
lおよびkは、0〜5を示す、
で表される1種または2種以上の化合物、および、
式II
【化6】
式中、
21およびR22は、それぞれ、互いに独立して、非置換の、またはCNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化7】
−C≡C−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよいを示し、およびR22はまたX21を示し、
21およびY22は、それぞれ、互いに独立して、HまたはF、好ましくは両方がF、または両方がHを示し、および
21は、F、Cl、CN、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカル、好ましくは、F、Cl、CN、CF、CHF、OCF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CF、特に好ましくはF、CN、OCHFまたはOCFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、前記液晶媒体に関する。
【0019】
好ましい態様において、式I1〜I3で表される化合物は、式I1a〜I1g、I2a、I2bおよび/またはI3a〜I3c
【化8】
【0020】
式中、
11は、式Iの下で特定される意味の1つを有し、
11*は、式Iの下で特定される意味の1つを有し、
mは、1〜5を示し、および
k、lおよびnは0〜5を示す、
で表される化合物から選択される。
【0021】
式I1〜I3で表される化合物は、特に好ましくは式I1aおよびI1b、式中(n)は0、1または2に等しい、で表される化合物から、および式I1dで表される化合物から、およびさらにまた式I3a〜I3cで表される化合物から選択される。
【0022】
式I2a、I2bで表される化合物は、特に好ましくは、以下の副次式で表される化合物から選択される。
【化9】
【0023】
式IIで表される化合物は、特に好ましくは、式IIa〜IIi
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
式中、R21およびR22は、それぞれ、互いに独立して、式IIの下で特定される意味の1つを有し、kおよびlは、それぞれ、互いに独立して0〜5を示す、
で表される化合物から選択される。
【0026】
式IIで表される化合物は、特に好ましくは、式IId、IIg、IIkおよび/またはIIj、式中、lは0に等しく、kは1または2に等しい、で表される化合物から選択される。
【0027】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は、式III
【化13】
式中、
31は、非置換の、CNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカル、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、
【化14】
−C≡C−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を示し、
31は、F、Cl、CN、1〜10個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜10個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示し、
31およびY32は、同時にFを示し、
33およびY34は、それぞれ、互いに独立して、HまたはFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0028】
さらなる好ましい態様において、式IIIで表される化合物は、式IIIa〜IIIc
【化15】
式中、R31およびX31は、それぞれ式IIの下で特定された意味の1つを有する、
で表される化合物から選択される。ここで、特に好ましいのは、式IIIbで表される化合物であって、式中、X31がFに等しい、前記化合物である。
【0029】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は、式IV
【化16】
式中、
41は、1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
42は、R41の意味の1つを有するか、またはX41を示し、
【0030】
41は、
【化17】
を示し、
41は、F、Cl、CN、1〜6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカル、または2〜6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカル、好ましくは、F、Cl、CN、CF、CHF、OCF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CF、特に好ましくはF、Cl、CN、OCHFまたはOCF、殊に好ましくはFまたはCl、を示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0031】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式V
【化18】
式中、
51およびR52は、それぞれ、互いに独立して1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシラジカル、2〜10個のC原子を有するアルケニルラジカルを示し、
Lは、HまたはF、好ましくはFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0032】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式VI
【化19】
式中、
61は、1〜15個のC原子を有する非置換のアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、それぞれ、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖アルキルラジカルを示し、
【0033】
61、A62は、それぞれ、互いに独立して、
【化20】
を示し、および
61は、F、Cl、CN、またはFによって単置換もしくは多置換された1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシ、好ましくはF、CFまたはOCFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0034】
式VIで表される化合物は、特に好ましくは副次式VI−1〜VI−5、
【化21】
式中、R61およびX61は、それぞれ式IIの下で特定される意味の1つを有する、
から選択される。
ここで、式VIで表される化合物は、特に好ましくは、X61がFまたはCFまたはOCFに等しい、副次式VI−1〜VI−5から選択される。
【0035】
さらなる好ましい態様において、本発明の媒体は式VII
【化22】
【0036】
式中、
71は、非置換の1〜15個のC原子を有するアルキルラジカル、ここで加えて、このラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、それぞれ、互いに独立して、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよい、を、好ましくは2〜7個のC原子を有する直鎖アルキルラジカルを示し、
71、A72は、それぞれ、互いに独立して、
【化23】
を示し、
【0037】
71およびL72は、それぞれ、互いに独立してHまたはFを示し、好ましくは両方がFを示し、および
71は、F、Cl、CN、またはFによって単置換もしくは多置換された1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシもしくはアルコキシを示し、好ましくはF、CFまたはOCFを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0038】
式VIIで表される化合物は、特に好ましくは副次式VII−1〜VII−5
【化24】
式中、R71およびX71は、それぞれ式VIIの下で特定される意味の1つを有する、
から選択される。
特に好ましいのは、副次式VII−1〜VII−5で表される化合物であって、式中X71がFに等しい、前記化合物である。
【0039】
さらなる態様において、本発明の媒体は、式VIII
【化25】
【0040】
式中、
81は、非置換の、CNもしくはCFによって単置換された、またはハロゲンによって少なくとも単置換された、15個までのC原子を有するアルキルまたはアルケニルラジカルを示し、ここで加えて、これらのラジカルにおける1個または2個以上のCH基は、−O−、−S−、−C≡C−、−CH=CH−、−OC−O−または−O−CO−によって、O原子が互いに直接的に結合しないように置き換えられていてもよく、
81〜L83は、互いに独立して、同一または異なって、HまたはFを示し、および
81は、F、Cl、1〜7個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2〜7個のC原子を有するハロゲン化アルケニルラジカルを示す、
で表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0041】
特に好ましい式VIIIで表される化合物は、以下の副次式VIII−1およびVIII−2
【化26】
式中、n=1〜7である、
で表される化合物である。
【0042】
上の式においてR11〜81またはR11*がアルキルラジカルおよび/またはアルコキシラジカルを示す場合、これは直鎖であっても、または分枝であってもよい。好ましくは直鎖であり、1、2、3、4、5、6または7個のC原子を有し、および従って好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシを、さらにはメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデドキシを示す。
【0043】
11〜81またはR11*がアルケニルラジカルを示す場合、表現「アルケニル」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルケニル基を、特に直鎖の基を包含する。好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にはC〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般的には好ましい。
【0044】
11〜81がハロゲンで少なくとも単置換されているアルキルまたはアルケニルラジカルを示す場合、このラジカルは好ましくは直鎖であり、およびハロゲンは好ましくはFまたはClである。多置換の場合、ハロゲンは好ましくはFである。得られるラジカルはまた、パーフッ素化ラジカルを含む。単置換の場合において、フッ素または塩素置換基は任意の所望の位置であることができるが、好ましくはω位にある。
【0045】
純粋な状態において、式I〜VIIIで表される化合物は無色であり、および電気光学使用のために好ましく配置される温度範囲において液晶性メソ相を形成する。これらは化学的に、熱的におよび光に対して安定である。
【0046】
本発明の媒体において用いることができる、上述の式およびそれらの副次式で表される個々の化合物は、公知であるか、または文献において(例えば標準的な著作物、例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie[有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartにおいて)記載される、自体公知の方法により、正確にはかかる反応に関して公知かつ好適な反応条件下で、製造することができるかの、いずれかである。ここでは詳細には述べない、自体公知の変形の使用もまた可能である。
【0047】
上述の式で表される化合物の最適な混合比は、実質的には、所望の特性に、上述の化学式で表される化合物の選択に、および任意に存在する他の構成成分の選択に、依存する。
【0048】
上に示される範囲内の好適な混合比は、場合に応じて容易に決定することができる。
【0049】
本発明の混合物における上述の化学式で表される化合物の総量は、重大ではない。それゆえ混合物は、さまざまな特性を最適化するために、1種または2種以上のさらなる成分を含んでもよい。しかし、混合物の特性の所望の改善に対する観察される効果は、上述の式で表される化合物の総濃度が高いほど、一般的にはより大きい。
【0050】
さらに好ましい態様は、以下に示すとおりである:
・媒体が、混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは3〜70重量%の式I1および/またはI2および/またはI3で表される化合物の割合の式I1および/またはI2および/またはI3で表される1種または2種以上の化合物、および式IIで表される1種または2種以上の化合物を含む、または
【0051】
・媒体が、式I1〜I3から選択される少なくとも2種の化合物、ここで好ましくは、該化合物の1種は、式I2a−1で表される化合物から、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で選択される、および式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む、または
【0052】
・媒体が、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で、および混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは5〜70重量%の式I2b−1で表される化合物の割合で、好ましくは、式I2a−1およびI2b−1から選択される、式I2で表される2種の化合物に加えて、式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む、または
【0053】
・媒体が、混合物全体において、1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは5〜40重量%の式I2a−1で表される化合物の割合で、および混合物全体において、1〜80重量%、好ましくは2〜75重量%、特に好ましくは5〜70重量%の式I2b−1で表される化合物の割合で、さらに混合物全体において、1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、特に好ましくは5〜50重量%の式I2b−3で表される化合物の割合で、好ましくは式I2a−1、I2b−1およびI2b−3で表される化合物から選択される、式I2で表される3種の化合物に加えて、式IIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0054】
上述の混合物概念は好ましくは以下
− 任意に、好ましくは式IIIbで表される化合物から選択される、式IIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式IIIで表される化合物の割合は55重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までである、および/または
【0055】
− 任意に、好ましくは式IVで表される化合物であって、式中、X41がフッ素を示す、該化合物から選択される、式IVで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式IVで表される化合物の割合は40重量%まで、好ましくは30重量%までである、および/または
【0056】
− 任意に、式Vで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式Vで表される化合物の割合は40重量%まで、好ましくは30重量%まで、特に好ましくは25重量%までである、および/または
【0057】
− 任意に、式VIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、ここで混合物全体における式VIで表される化合物の割合は80重量%まで、好ましくは75重量%まで、特に好ましくは70重量%までである、および/または
【0058】
− 任意に、混合物全体において、50重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までの式VIIで表される化合物の割合で、式VIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、および/または
【0059】
− 任意に、混合物全体において、50重量%まで、好ましくは40重量%まで、特に好ましくは30重量%までの式VIIIで表される化合物の割合で、式VIIIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物、
を含む、およびここで
【0060】
好ましくは式IIdおよび/またはIIgおよび/またはIIjおよび/またはIIkで表される化合物から選択される、式IIで表される1種、2種、3種または4種以上の化合物の割合は、混合物全体において、好ましくは1〜80重量%、特に好ましくは2〜70重量%、極めて特に好ましくは3〜60重量%である。
【0061】
さらなる好ましい態様において、媒体は、式I2で表される少なくとも2種の化合物、式IIで表される少なくとも1種の化合物および式VIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0062】
さらなる好ましい態様において、媒体は、好ましくは、式I2で表される3種の化合物、式IIで表される少なくとも1種の化合物および式VIで表される少なくとも1種の化合物を含む。
【0063】
慣用の液晶材料と混合された相対的に低い割合の式I1〜I3で表される化合物でさえ、弾性定数の顕著な増加、ここで同時に、迅速な応答時間を達成する観点での回転粘度に関する低い値、をもたらし、および誘電異方性に関する相対的に高い値が観察されることが見出された。同時に混合物は、極めて良好な低温安定性を呈する。
【0064】
本発明はまた、2つの平行平面外板、これはフレームとともにセルを形成する、該外板上の個々のピクセルを切り替えるための集積非線形素子、およびセルに配置されてなる正の誘電異方性および高い比抵抗を有するネマチック液晶混合物、これはこのタイプの媒体を含む、を有する、電気光学ディスプレイ、例えばSTNまたはMLCディスプレイなどに、およびこれらの媒体の電気光学目的のための使用に関する。
【0065】
本発明の液晶混合物は、利用可能なパラメーターの許容範囲の重要な拡大を促す。高い弾性定数、低い回転粘度および相対的に高い誘電異方性の達成可能な組み合わせは、従来技術からの先の材料をはるかに凌ぐ。
【0066】
本発明の混合物は、モバイル用途および低Δn TFT用途、例えば携帯電話およびPDAなどに、特に好適である。
【0067】
本発明の液晶媒体は同時に、誘電異方性値Δε≧+3、好ましくは≧+7、特に好ましくは≧+10、および−20℃までに低く、および好ましくは−30℃までに低く、特に好ましくは−40℃までに低くネマチック相を保持しながら達成されるべき比抵抗に関する高い値、および透明点≧80℃、好ましくは≧90℃、特に好ましくは≧100℃を実現し、優れたMLCディスプレイを達成させることができる。特に、混合物は、低い作動電圧を特徴とする。
【0068】
本発明の液晶混合物の閾値電圧は、好ましくは≦2.0V、特に好ましくは≦1.8Vである。
本発明の液晶混合物の複屈折Δnは、好ましくは≦0.14、特に好ましくは≦0.13、殊に好ましくは≦0.12である。
本発明の液晶混合物の20℃における回転粘度γは好ましくは、≦150mPa・s、好ましくは≦120mPa・s、特に好ましくは≦100mPa・sである。
【0069】
本発明の液晶混合物のネマチック相範囲は好ましくは、少なくとも90°、特には少なくとも100°の幅を有する。この範囲は好ましくは、少なくとも、−40°〜+110℃に及ぶ。
【0070】
本発明の媒体の有利に高い弾性定数の観点において、対応する固有値がKaveの値により決定される。
aveは、
ave=(K11+K22+K33)/3
式中、K22は、
22≒K11/2
により近似することができる、
により計算される。
【0071】
本発明の液晶媒体のKaveの値は、好ましくは≧10pN、特に好ましくは≧12pN、特には≧13pNである。
【0072】
言うまでもなく、本発明の混合物の成分の好適な選択により、より高い閾値電圧において達成されるべきより高い透明点(例えば100℃より上)、またはより低い閾値電圧において達成されるべきより低い透明点もまた、他の有利な特性を保ちながら達成することができる。同様に、より大きいΔεおよびひいては低い閾値を有する混合物が、相応してより低度に増加した粘度において得ることができる。本発明のMLCディスプレイは好ましくは、グーチ・タリー第1透過極小において作動し[C.H. Gooch and H.A. Tarry, Electron. Lett. 10, 2‐4, 1974; C.H. Gooch and H.A. Tarry, Appl. Phys., Vol. 8, 1575-1584, 1975]、ここで、第2極小における類似のディスプレイにおけるのと同じ閾値電圧を有しての、特に好ましい電気光学特性、例えば特性線の高い傾きおよびコントラストの低い角度依存性(ドイツ国特許30 22 818)に加えての、より低い誘電異方性が、ここで適切である。これにより、シアノ化合物を含む混合物の場合におけるよりも、第1極小における本発明の混合物を用いて達成される、顕著により高い比抵抗が実現される。当業者は、個々の成分およびそれらの重量割合の好適な選択により、単純な常法を用いて、MLCディスプレイの既定の層厚さに必要な複屈折を設定することができるであろう。
【0073】
液晶の再配向のための再配向層を有し、その電界が、再配向に重要な、液晶層に平行な成分を有する、電気光学ディスプレイであって、誘電体として本発明の液晶媒体を含有する、前記ディスプレイもまた、本発明による。
【0074】
偏光板、電極基板および表面処理を有する電極からの本発明のMLCディスプレイの構築は、このタイプのディスプレイに関する慣用の設計に対応する。用語、慣用の設計は、本明細書においては広範に描写され、MLCディスプレイ、特にまたポリSi TFTまたはMIMに基づくマトリクスディスプレイ素子の全ての派生物および改変もまた包含する。
【0075】
しかし、本発明のディスプレイの、ねじれネマチックセルに基づく現在までの慣用のものとの本質的な差異は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0076】
本発明により用いることのできる液晶混合物は、自体慣用の方法により、例えば式I1〜I3で表される1種または2種以上の化合物を、式II〜Vで表される1種または2種以上の化合物と、またはさらなる液晶化合物および/または添加剤と混合することにより、調製される。一般的に、少量で用いる所望量の成分を、主要な構成成分を構成する成分中に、有利には昇温で溶解させる。有機溶媒中、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合すること、および完全に混合した後に、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することもまた、可能である。
【0077】
本願において、および以下の実施例において、液晶化合物の構造は略号により示され、ここで化学式への変換は表Aに従って行われる。全てのラジカルC2n+1およびC2m+1は、それぞれnおよびm個のC原子を有する直鎖のアルキルラジカルであり;n、mおよびkは好ましくは整数であり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を示す。表Bにおけるコード化は、自体自明である。表Aにおいて、基本構造に関する略号のみを示す。個々の場合において、基本構造に関する略号は、ダッシュにより分離されて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*に関するコードが後続する。
【0078】
【表1】
【0079】
好ましい混合物成分を、表AおよびBにおいて見出すことができる。
表A
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
表B
特に好ましいのは、式I1〜I3で表される化合物および式IIで表される化合物に加えて、表Bからの少なくとも1種、2種、3種、4種または5種以上の化合物を含む、液晶混合物である。
(n=1〜15;(O)C2n+1は、C2n+1またはOC2n+1を示す。)
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
誘電体はまたさらに、当業者に公知である、および文献に記載される添加剤、例えば、UV安定剤、例えばCibaからのTinuvin(登録商標)など、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、ナノ粒子などを含んでもよい。例えば、0〜15%の多色性色素、キラルドーパントおよび重合性ドーパントなどを添加してもよい。好適な安定化剤およびドーパントを、以下の表C、DおよびEに示す。
【0092】
表C
表Cは、本発明の混合物に一般的に添加される可能なドーパントを示す。混合物は好ましくは、0〜10重量%、特には0.01〜5重量%および特に好ましくは0.01〜3重量%のドーパントを含む。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
表D
例えば本発明の混合物に1〜10重量%の量で、添加することができる安定化剤を、以下に示す。
【表16】
【0097】
【表17】
【0098】
【表18】
【0099】
【表19】
【0100】
【表20】
【0101】
【表21】
【0102】
【表22】
【0103】
【表23】
【0104】
【表24】
【0105】
【表25】
【0106】
以下の実施例は、本発明を、それに限定することなく、説明することを意図する。
【0107】
本明細書において、パーセンテージは重量%を示す。全ての温度は摂氏度で示す。m.p.は融点を示し、cl.p.=透明点である。さらには、C=結晶相、N=ネマチック相、S=スメクチック相およびI=等方相。これらの符号の間の数字は転移温度を示す。さらには、
− Δnは、589nmおよび20℃における光学異方性を示し)、
− γは、20℃における回転粘度(mPa・s)を示し、
− V10は、10%透過(平板表面に垂直な視野角)に対する電圧(V)(閾値電圧)を示し、
− V90は、90%透過(平板表面に垂直な視野角)に対する電圧(V)を示し、
− Δεは、20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε││−ε、ここでε││は分子の長軸に平行な誘電定数を示し、およびεはそれに垂直な誘電定数を示す)。
【0108】
電気光学データは、TNセルにおいて、他に明示的に示されなければ、20℃における第1極小において(つまり0.5μmのd・Δn値において)測定される。光学データは、他に明示的に示されなければ、20℃で測定される。全ての物性は"Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals" Status Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyにより決定され、他に明示的に示されなければ、20℃の温度に対して適用する。
【0109】
比較例1
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物CM1を調製する。
【表26】
【0110】
例1
20重量%の化合物(1)を混合物CM1に添加し、混合物(M1)の物性を決定する。
【表27】
混合物M1を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0111】
例2
20重量%の化合物(2)を混合物CM1に添加し、混合物(M2)の物性を決定する。
【表28】
混合物M2を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0112】
例3
20重量%の化合物(3)を混合物CM1に添加し、混合物(M3)の物性を決定する。
【表29】
混合物M3を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0113】
例4
20重量%の化合物(4)を混合物CM1に添加し、混合物(M4)の物性を決定する。
【表30】
混合物M4を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0114】
例5
20重量%の化合物(5)を混合物CM1に添加し、混合物(M5)の物性を決定する。
【表31】
混合物M5を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0115】
例6
20重量%の化合物(6)を混合物CM1に添加し、混合物(M6)の物性を決定する。
【表32】
混合物M6を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0116】
例7
20重量%の化合物(7)を混合物CM1に添加し、混合物(M7)の物性を決定する。
【表33】
混合物M7を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0117】
例8
20重量%の化合物(8)を混合物CM1に添加し、混合物(M8)の物性を決定する。
【表34】
混合物M8を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0118】
例9
20重量%の化合物(9)を混合物CM1に添加し、混合物(M9)の物性を決定する。
【表35】
混合物M9を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0119】
例10
20重量%の化合物(10)を混合物CM1に添加し、混合物(M10)の物性を決定する。
【表36】
混合物M10を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0120】
例11
20重量%の化合物(11)を混合物CM1に添加し、混合物(M11)の物性を決定する。
【表37】
混合物M11を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0121】
例12
20重量%の化合物(12)を混合物CM1に添加し、混合物(M12)の物性を決定する。
【表38】
混合物M12を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0122】
例13
20重量%の化合物(13)を混合物CM1に添加し、混合物(M13)の物性を決定する。
【表39】
混合物M13を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0123】
例14
20重量%の化合物(14)を混合物CM1に添加し、混合物(M14)の物性を決定する。
【表40】
混合物M14を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0124】
例15
20重量%の化合物(15)を混合物CM1に添加し、混合物(M15)の物性を決定する。
【表41】
混合物M15を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0125】
例16
20重量%の化合物(16)を混合物CM1に添加し、混合物(M16)の物性を決定する。
【表42】
混合物M16を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0126】
例17
20重量%の化合物(17)を混合物CM1に添加し、混合物(M17)の物性を決定する。
【表43】
混合物M17を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0127】
例18
20重量%の化合物(18)を混合物CM1に添加し、混合物(M18)の物性を決定する。
【表44】
混合物M18を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0128】
例19
20重量%の化合物(19)を混合物CM1に添加し、混合物(M19)の物性を決定する。
【表45】
混合物M19を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0129】
例20
10重量%の化合物(20)を混合物CM1に添加し、混合物(M20)の物性を決定する。
【表46】
混合物M19を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0130】
例21
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M21を調製する。
【表47】
混合物M21を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0131】
例22
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M22を調製する。
【表48】
混合物M22を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0132】
例23
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M23を調製する。
【表49】
混合物M23を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0133】
例24
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M24を調製する。
【表50】
混合物M24を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0134】
例25
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M25を調製する。
【表51】
混合物M25を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0135】
例26
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M25を調製する。
【表52】
混合物M26を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0136】
例27
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M27を調製する。
【表53】
混合物M2/を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。
【0137】
例28
以下の物性および以下の組成を有するネマチック混合物M28を調製する。
【表54】
混合物M28を含有するIPSディスプレイは、適切なコントラストを有する。