(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記洗浄部は、前記基板の第1表面を物理洗浄する第1洗浄部と、前記第1表面の反対側の第2表面を物理洗浄する第2洗浄部とを有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の基板洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、気流の乱れを少なくし、基板の裏面(第2表面)側の洗浄を比較的容易に行うことができ、さらに粉塵が生じにくい基板洗浄装置及び基板洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基板洗浄装置は、
基板を保持する保持部と、
前記保持部に連結された被回転部と、
前記被回転部の周縁外方に設けられ、前記被回転部を回転させる回転部と、
前記保持部によって保持された前記基板を物理洗浄する洗浄部と、
前記保持部又は前記被回転部に連結された回転カップと、
を備える。
【0007】
本発明による基板洗浄装置において、
前記回転部は、前記被回転部と非接触な状態で前記被回転部を回転させてもよい。
【0008】
本発明による基板洗浄装置において、
前記洗浄部は、前記基板の第1表面を物理洗浄する第1洗浄部と、前記第1表面の反対側の第2表面を物理洗浄する第2洗浄部とを有してもよい。
【0009】
本発明による基板洗浄装置において、
前記洗浄部は0.3N以上3N以下で前記基板を物理洗浄してもよい。
【0010】
本発明による基板洗浄装置において、
前記洗浄部は、二流体を前記基板に噴射する流体ジェット洗浄部材を有してもよい。
【0011】
本発明による基板洗浄装置は、
前記回転カップの周縁外方に設けられた固定カップをさらに備え、
前記洗浄部は、前記基板の第1表面を物理洗浄する第1洗浄部を有し、
前記第1洗浄部は、第1揺動軸を中心として揺動する第1アームと、前記第1アームの先端側に設けられて前記基板側に向かって延びた第1洗浄部材と、を有し、
前記第1洗浄部材は、待機時に、前記基板の法線方向において前記固定カップの先端よりも前記基板から離れた位置であって前記固定カップの先端の周縁外方の位置に位置付けられてもよい。
【0012】
本発明による基板洗浄装置において、
前記洗浄部は、前記基板の第2表面を物理洗浄する第2洗浄部を有し、
前記第2洗浄部は、第2揺動軸を中心として揺動する第2アームと、前記第2アームの先端側に設けられて前記基板側に向かって延びた第2洗浄部材と、を有し、
前記第2洗浄部は、待機時に、前記基板の法線方向において前記被回転部よりも前記基板から離れた位置に位置付けられてもよい。
【0013】
本発明による基板洗浄方法は、
保持部によって基板を保持する工程と、
前記保持部に連結された被回転部を、前記被回転部の周縁外方に設けられた回転部で回転させる工程と、
前記回転部で回転されている前記基板を洗浄部で物理洗浄する工程と、
を備え、
前記保持部又は前記被回転部に回転カップが連結されている。
【0014】
本発明によれば、基板が保持部で保持され、この保持部自体を、被回転部を回転部によって回転させることで回転させる。このため、スピンドルのような基板との間にこすれが発生する機構を用いないので、粉塵を生じにくくすることができ、基板に対する逆汚染を少なくすることができる。また、本発明によれば、基板の裏面(第2表面)側に、特許文献1の
図1に示されるようなチャックを支持するような機構が設けられないので、気流の乱れを少なくすることもでき、また基板の裏面(第2表面)側の物理洗浄も比較的容易に行うことができる。また、本発明では、回転カップに保持部又は被回転部が連結されているので、基板と回転カップとを同じ回転数で回転させることができる。このため、基板から飛び散った洗浄液等が再び基板に跳ね返ってしまうことをより確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る基板洗浄装置を有する基板処理装置の実施の形態の1つについて、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図6は本発明の実施の形態を説明するための図である。
【0017】
図1に示すように、基板処理装置は、略矩形状のハウジング110と、多数の基板Wをストックする基板カセットが載置されるロードポート112と、を有している。ロードポート112は、ハウジング110に隣接して配置されている。ロードポート112には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板Wとしては、例えば半導体ウェハ等を挙げることができる。
【0018】
ハウジング110の内部には、複数(
図1に示す態様では4つ)の研磨ユニット114a〜114dと、研磨後の基板Wを洗浄する第1洗浄ユニット116及び第2洗浄ユニット118と、洗浄後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット120とが収容されている。研磨ユニット114a〜114dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット116、118及び乾燥ユニット120も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本実施の形態の基板処理装置によれば、直径300mm又は450mmの半導体ウエハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板Wを、研磨処理することができる。
【0019】
ロードポート112、ロードポート112側に位置する研磨ユニット114a及び乾燥ユニット120に囲まれた領域には、第1搬送ロボット122が配置されている。また、研磨ユニット114a〜114d並びに洗浄ユニット116、118及び乾燥ユニット120と平行に、搬送ユニット124が配置されている。第1搬送ロボット122は、研磨前の基板Wをロードポート112から受け取って搬送ユニット124に受け渡したり、乾燥ユニット120から乾燥後の基板Wを受け取ったりする。
【0020】
第1洗浄ユニット116と第2洗浄ユニット118との間に、これら第1洗浄ユニット116と第2洗浄ユニット118の間で基板Wの受け渡しを行う第2搬送ロボット126が配置され、第2洗浄ユニット118と乾燥ユニット120との間に、これら第2洗浄ユニット118と乾燥ユニット120の間で基板Wの受け渡しを行う第3搬送ロボット128が配置されている。さらに、ハウジング110の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部50が配置されている。本実施の形態では、ハウジング110の内部に制御部50が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング110の外部に制御部50が配置されてもよい。
【0021】
第1洗浄ユニット116として、洗浄液の存在下で、基板Wの直径のほぼ全長にわたって直線状に延びるロール洗浄部材を接触させ、基板Wに平行な中心軸周りに自転させながら基板Wの表面をスクラブ洗浄するロール洗浄装置が使用されてもよい。また、第2洗浄ユニット118として、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材の下端接触面を接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板Wの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄装置が使用されてもよい。また、乾燥ユニット120として、水平に回転する基板Wに向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板Wを乾燥させ、さらに基板Wを高速で回転させて遠心力によって基板Wを乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用されてもよい。
【0022】
なお、第1洗浄ユニット116としてロール洗浄装置ではなく、第2洗浄ユニット118と同様のペンシル洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。また、第2洗浄ユニット118としてペンシル洗浄装置ではなく、第1洗浄ユニット116と同様のロール洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。本発明の態様は、第1洗浄ユニット116にも第2洗浄ユニット118にも適用でき、ロール洗浄装置、ペンシル洗浄装置、及び/又は、二流体ジェット洗浄装置とともに用いることもできる。なお、
図2乃至
図6に示す態様では、典型的なものを示しており、ペンシル洗浄装置及び二流体ジェット洗浄装置に本発明の態様が用いられている。
【0023】
本実施の形態の洗浄液には、純水(DIW)等のリンス液と、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸等の薬液が含まれている。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液又は薬液のいずれかを意味している。
【0024】
図2に示すように、本発明の実施の形態による基板洗浄装置は、筐体5と、筐体5内で基板Wを保持するチャック等からなる保持部60と、保持部60に連結された被回転部30と、被回転部30の周縁外方に設けられ、被回転部30を回転させる回転部35と、保持部60によって保持された基板Wを物理洗浄する洗浄部10,20と、を有している。
図2に示すよう態様では、筐体5の内部に被回転部30が設けられ、筐体5の外部に回転部35が設けられているが、これに限られることはく、筐体5の内部に被回転部30と回転部35の両方が設けられてもよい。保持部60は、基板Wを保持していない場合には開又は閉状態となっており、基板Wを保持する場合には閉状態となっている。制御部50からの指令に基づいて保持部60の開閉を制御してもよいし、基板Wを載置することで自動的に保持部60が閉状態となり、基板Wを取り除くときに(一定以上の力が加わることで)自動的に開状態となるようにしてもよい。
【0025】
図2に示す態様では、保持部60が2つだけ示されているが、上方から見たときに、本実施の形態では4つの保持部60が均等に(回転中心を中心として90°の角度で)配置されている。なお、保持部60の数は、基板Wを安定的に支持できればよく、例えば3つとしてもよい。また、基板Wの周縁全体を保持部60が保持するようになっていてもよい。
図2では、水平方向に基板Wを支持した例を示したが、これに限定されず、例えば、縦方向(鉛直方向)に基板Wを支持する構成としてもよい。
【0026】
回転部35は、被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させてもよい。一例としては、回転部35がステーターとなり、被回転部30がローターとなってもよい。この場合、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有してもよい。逆に、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有してもよい。なお、回転部35は、筐体5の周縁全体を取り囲むようにして設けられてもよい。ちなみに、コイルへの配線の引き回し等を考慮すると、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様の方が有益である。
【0027】
なお、回転部35が被回転部30と接触した状態で被回転部30を回転させてもよい。一例としては、被回転部30及び回転部35の各々が歯車を有し、この歯車で互いに物理的に連結されており、回転部35が回転することで被回転部30が回転するようにしてもよい。
【0028】
洗浄部10,20は、基板Wの第1表面(
図2では上面)を物理洗浄する第1洗浄部10と、第1表面の反対側の第2表面(
図2では下面)を物理洗浄する第2洗浄部20とを有してもよい。なお、「第1表面」は一般的には「表面(おもて面)」とも呼ばれ、「第2表面」は一般的には「裏面」とも呼ばれる。
【0029】
保持部60に連結された回転カップ40が設けられてもよい。そして、この回転カップ40に被回転部30が設けられてもよい。一例としては、
図2に示すように、回転カップ40の下端に被回転部30が設けられてもよい。
【0030】
被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、回転カップ40及び被回転部35は筐体5のいずれにも接触せず、宙を浮いた状態で回転されることになる。本実施の形態の態様によれば、基板Wを例えば400rpm〜1250rpm、好ましくは500rpm〜1000rpmで回転させることもできる。ちなみに、回転数が高すぎると、気流の乱れが激しくなり、洗浄液の飛び散りが大きく、基板Wも乾燥しやすくなる。このため、1250rpmよりも大きくない方が好ましく、1000rpmより大きくない方がより好ましい。
【0031】
なお、スピンドル等の回転支持部を採用した場合には、回転支持部と基板Wとの間から発生する粉塵を防止するために、最大でも500rpmまでの回転数で回転させるものとなっていた。これに対して、本実施の形態によれば、好ましくは500rpm以上で回転させることもできるので、スピンドル等の回転支持部を採用した場合と比較して洗浄能力を高めることもできる。
【0032】
また、
図2に示すように、回転カップ40の内側に保持部60を支持する支持柱41が設けられており、この支持柱41の上端(基板Wの法線方向に沿った基板W側の端部)に保持部60が設けられてもよい。なお、
図2に示す態様では、保持部60の上端よりも回転カップ40の上端の方が、基板Wよりも遠い位置に位置付けられている。また、回転カップ40の下端(基板Wの法線方向に沿った基板Wと反対側の端部)に被回転部30を設け、被回転部30から延びた支持柱41の上端(基板Wの法線方向に沿った基板W側の端部)に保持部60を設ける態様を採用する場合には、より確実に、被回転部30を洗浄液で冷却しつつ、基板Wの周縁外方に回転カップ40を位置付けることができる点で有益である。
【0033】
回転カップ40の周縁外方には、固定カップ45が設けられてもよい。このような固定カップ45を採用することで、回転カップ40によって生じる気流の乱れを抑制できる点では有益である。
【0034】
回転カップ40には、回転カップ40で受けた洗浄液を排出するための1つ又は複数の図示しない排出部が設けられてもよい。排出部から排出された洗浄液は、ドレインに導かれ、排液処理がされてもよい。複数の排出部を設ける場合には、円周方向において均等に排出部を設けてもよい。また、
図2に示すように、固定カップ45と回転カップ40との間には、間隙が設けられており、固定カップ45で受けた洗浄液は、固定カップ45の内壁を伝ってドレインに導かれ、排液処理がされてもよい。
【0035】
洗浄部10,20は0.3N以上3N以下で基板Wを物理洗浄してもよい。なお、本実施の形態の「物理洗浄」には、閾値以上(例えば0.3N以上)の力を加える洗浄を意味し、閾値以上の力が加わるのであれば二流体ジェット洗浄のような流体を用いた洗浄も含まれている。3Nを超える力が加わった場合、例えば、スポンジ部材が基板に押し当てられてごみが抜けなくなることも想定される。あるいは、二流体ジェットからの噴流が基板にダメージを与えてしまう懸念も想定される。もちろん、3Nを大幅に超える力(例えば、10Nを超えるような力)が基板の重心から大きく離れた位置にたまたま加わることで、基板が宙を浮いて回転する基板W又は回転カップ40が傾く可能性も場合によってはありうる。このため、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、物理洗浄する際の力は3N以下とすることが好ましい。また、0.3N未満となると基板Wに対する洗浄力が劣ってしまう。このため、物理洗浄する際の力は0.3N以上とすることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、第1洗浄部10は、第1揺動軸16を中心として揺動する第1アーム15と、第1アーム15の先端側に設けられて基板W側に向かって延びた第1洗浄部材11,12と、を有してもよい。
図2に示す態様では、第1洗浄部材11,12が、第1流体ジェット洗浄部材12及び第1ペンシル洗浄部材11を有している。図示しない第1移動部として例えばアクチュエータ等が設けられ、第1流体ジェット洗浄部材12及び第1ペンシル洗浄部材11の各々が第1移動部によって、基板Wの第1表面に向かって近接させられたり、第1表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。また、第1アーム15自体が、基板Wの第1表面に向かって近接させられたり、第1表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。
【0037】
図2に示すように、第2洗浄部20は、第2揺動軸26を中心として揺動する第2アーム25と、第2アーム25の先端側に設けられて基板W側に向かって延びた第2洗浄部材21,22と、を有してもよい。
図2に示す態様では、第2洗浄部材21,22が、第2流体ジェット洗浄部材22及び第2ペンシル洗浄部材21を有している。図示しない第2移動部は例えばアクチュエータ等からなり、第2流体ジェット洗浄部材22及び第2ペンシル洗浄部材21の各々は第2移動部によって、基板Wの第2表面に向かって近接させられたり、第2表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。また、第2アーム25自体が、基板Wの第2表面に向かって近接させられたり、第2表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。
【0038】
また、第1表面に対して、薬液を供給する第1薬液供給ノズル91aと、リンス液を供給する第1リンス液供給ノズル91bが設けられてもよい。同様に、第2表面に対して、薬液を供給する第2薬液供給ノズル92aと、リンス液を供給する第2リンス液供給ノズル92bが設けられてもよい。
【0039】
第1ペンシル洗浄部材11は、第1アーム15の先端部で回転可能に設けられ、図示しない駆動機構によってその中心軸を回転軸として回転(自転)してもよい。この回転軸は例えば基板Wの法線方向に沿った軸である。第1ペンシル洗浄部材11の先端は、例えばPVAからなる。第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されると、第1アーム15の先端部に取り付けられた第1ペンシル洗浄部材11は、円弧状の軌跡を描いて基板Wの上を移動する。第1ペンシル洗浄部材11は、基板Wの中心を通過してもよい。また、第1ペンシル洗浄部材11は、基板Wの外周まで移動させられてもよい。また、第1アーム15が揺動することによる第1ペンシル洗浄部材11の移動軌跡は、第1アーム15の長さを半径とする円弧状となり、その移動範囲は、基板Wの外周から基板Wの中心を過ぎたところまでとなってもよい。
【0040】
同様に、第2ペンシル洗浄部材21は、第2アーム25の先端部で回転可能に設けられ、図示しない駆動機構によってその中心軸を回転軸として回転(自転)してもよい。この回転軸は例えば基板Wの法線方向に沿った軸である。第2ペンシル洗浄部材21は、例えばPVAからなる。第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されると、第2アーム25の先端部に取り付けられた第2ペンシル洗浄部材21は、円弧状の軌跡を描いて基板Wの上を移動する。第2ペンシル洗浄部材21は、基板Wの中心を通過してもよい。また、第2ペンシル洗浄部材21は、基板Wの外周まで移動させられてもよい。また、第2アーム25が揺動することによる第2ペンシル洗浄部材21の移動軌跡は、第2アーム25の長さを半径とする円弧状となり、その移動範囲は、基板Wの外周から基板Wの中心を過ぎたところまでとなってもよい。
【0041】
なお、第1流体ジェット洗浄部材12及び第2流体ジェット洗浄部材22の各々は、液体及び気体を混合した2つの流体によって基板Wを洗浄するためのものである。
【0042】
図3に示すように、第1洗浄部10は、待機時に、基板Wの上方には位置しないようにしてもよい。このような態様を採用することで、待機時において、基板Wに第1洗浄部10から洗浄液が垂れてしまうことを未然に防止できる。また、第1洗浄部10が、待機時に、基板Wの法線方向(
図3では上方向)に位置しないようにすることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第1洗浄部10が障害になることを防止できる。さらに、基板Wの法線方向において固定カップ45の先端(
図3の上端)よりも基板Wから離れた位置であって固定カップ45の先端の周縁外方の位置に位置付けられてもよい。この位置に第1洗浄部10を位置付けることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第1洗浄部10が障害になることをより確実に防止できる。
【0043】
図3に示すように、第2洗浄部20は、待機時に、基板Wの法線方向(
図3では下方向)において被回転部30よりも基板Wから離れた位置(
図3では被回転部30よりも下方の位置)に位置付けられてもよい。この位置に第2洗浄部20を位置付けることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第2洗浄部20が障害になることをより確実に防止できる。ちなみに、基板Wを筐体5内に搬入する際に第2洗浄部20が障害とならないことがある。この場合には、
図3のような待機位置に第2洗浄部20を位置付ける必要はない。
【0044】
《方法》
本実施の形態の基板洗浄装置を用いた基板Wの洗浄方法(基板処理方法)の一例は、以下のようになる。なお、上記と重複することになるので簡単に説明するに留めるが、上記「構成」で述べた全ての態様を「方法」において適用することができる。また、逆に、「方法」において述べた全ての態様を「構成」において適用することができる。また、本実施の形態の方法を実施させるためのプログラムは記録媒体に記録されてもよく、この記録媒体をコンピュータ(図示せず)で読み取ることで、本実施の形態の方法が基板処理装置で実施されてもよい。
【0045】
まず、基板Wがチャック等の保持部60によって保持される。このとき、第1洗浄部10及び第2洗浄部20は
図3に示す待機位置に位置付けられている。
【0046】
次に、搬送ユニット124又は第2搬送ロボット126によって筐体5内に搬送された基板Wが保持部60によって保持されると、回転部35によって被回転部30が回転させられ、その結果、回転カップ40と一体となって保持部60によって保持された基板Wが回転される。
【0047】
このように基板Wが回転されている間に、基板Wの第1表面には第1薬液供給ノズル91aから薬液が供給され、基板Wの第2表面には第2薬液供給ノズル92aから薬液が供給される。このようの薬液が供給されている間に、第1ペンシル洗浄部材11によって基板Wの第1表面が物理洗浄され、第2ペンシル洗浄部材21によって基板Wの第2表面が物理洗浄される。より具体的には、第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されて、第1ペンシル洗浄部材11が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。同様に、第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されて、第2ペンシル洗浄部材21が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。この間、第1ペンシル洗浄部材11及び第2ペンシル洗浄部材21の各々は、0.3N以上3N以下(例えば2N)で基板Wに押し付けられつつ、回転されることになる。
【0048】
第1ペンシル洗浄部材11及び第2ペンシル洗浄部材21による洗浄が終了すると、第1ペンシル洗浄部材11及び第2ペンシル洗浄部材21の各々を基板Wから離隔させる。そして、薬液の供給を停止させると同時又は直前に、第1流体ジェット洗浄部材12及び第2流体ジェット洗浄部材22の各々を基板Wに対して近接位置に位置付け、基板Wの第1表面には第1流体ジェット洗浄部材12から二流体を噴射し、基板Wの第2表面には第2流体ジェット洗浄部材22から二流体を噴射する。なお、薬液の供給を停止させると同時又はその前に二流体が基板Wに噴射されるのが好ましい。なお、二流体ノズルは、液体と気体とを二流体ノズルのケーシング外で混合させて液体の液滴を形成する外部混合型のノズルとすることができる。あるいは、これに代えて、液体と気体とをノズル内部で混合させて液体の液滴を形成する内部混合型のノズルを二流体ノズルとして使用することも可能である。
【0049】
このように二流体が噴射されている間に、第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されて、第1流体ジェット洗浄部材12が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。同様に、第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されて、第2流体ジェット洗浄部材22が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。このような二流体を用いた洗浄でも基板Wには一定の圧力が働く。この圧力は0.3N以上3N以下であり、一例として1.5Nとなっている。
【0050】
二流体ジェット洗浄を停止させると同時又は直前に、基板Wの第1表面に第1薬液供給ノズル91aから薬液が供給され、基板Wの第2表面に第2薬液供給ノズル92aから薬液が供給される。このように薬液が供給されている間に、第1洗浄部10及び第2洗浄部20は
図3に示す待機位置に位置付けられる。
【0051】
基板Wの第1表面に第1リンス液供給ノズル91bからリンス液が供給され、基板Wの第2表面に第2リンス液供給ノズル92bからリンス液が供給される。リンス液が基板Wに到達するだけの時間又は十分な時間が経過した後で、第1薬液供給ノズル91a及び第2薬液供給ノズル92aの各々からの薬液の供給を停止させる。リンス液が基板Wに到達するだけの時間が経過したかは、予め測定された時間が用いられてもよい。この場合には、例えば、制御部50が図示しない記憶部に記憶されたレシピを読み出すことで、予定のタイミングで薬液の供給を停止させてもよい。
【0052】
所定の時間だけリンス液で基板Wの第1表面及び第2表面の各々を洗浄した後で、基板Wの回転を停止させる。より具体的には、回転部35による被回転部30の回転が停止され、その結果、回転カップ40と一体となって保持部60によって保持された基板Wの回転が停止される。
【0053】
基板Wを濡れた状態で、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128によって筐体5から取り出される。仕上げ洗浄であり、第2洗浄ユニット118で基板Wの洗浄が行われている場合には、第3搬送ロボット128によって筐体5から取り出されて、乾燥ユニット120内に基板Wが搬送されてもよい。そして、このように乾燥ユニット120内に基板Wが搬送されると、乾燥ユニット120によって基板Wが乾燥されることになる。
【0054】
なお、リンスによる洗浄の後、第1リンス液供給ノズル91b及び第2リンス液供給ノズル92bからのリンス液の供給を停止させ、保持部60によって保持された基板Wを高速で回転させることで、リンス液を振り切って乾燥させてもよい。本実施の形態では、例えば3000rpmまでの回転数で基板Wを回転させることができるので、このように乾燥させることも可能となる。この態様を採用した場合には、仕上げ洗浄から乾燥までを1つのユニット内で行える点で有益である。
【0055】
上述したように、基板Wの第1表面及び第2表面の両方を同時に、ペンシル洗浄部材11,21を用いつつ薬液で洗浄したり、二流体ジェット洗浄したりすることで、第1表面又は第2表面の一方だけを洗浄し反転させる態様と比較して、短時間で基板Wを洗浄できる点で有益である。
【0056】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「作用・効果」で記載された態様を、上記「構成」において適用することもできる。
【0057】
本実施の形態では、基板Wが保持部60で保持され、この保持部60自体を、被回転部30を回転部35によって回転させることで回転させる。このため、スピンドルのような基板Wとの間にこすれが発生する機構を用いないので、粉塵を生じにくくすることができ、基板Wに対する逆汚染を少なくすることができる。また、本実施の形態によれば、基板Wの裏面(第2表面)側に、特許文献1の
図1に示されるようなチャックを支持するような機構が設けられないので、気流の乱れを少なくすることもできるし、基板Wの裏面(第2表面)側の物理洗浄も比較的容易に行うことができる。
【0058】
とりわけ、
図2乃至
図6に示すように、回転部35が中空形状となっている態様を採用した場合には、第2表面側から問題なく第2洗浄部材21,22がアクセスできる。このため、第2表面についてもより容易に物理洗浄が可能となる。さらに、回転部35が中空形状となっている態様を採用した場合には、回転する部材の中央部に部材が設けられていない(羽根として機能するものが設けられていない)。このため、気流が乱れたり負圧が発生したりすることをより確実に防止できる。なお、気流が乱れたり負圧が発生したりすると、雰囲気中の洗浄液が舞い戻って基板Wに付着してしまい、最終的には汚れとなる可能性がある。この点、回転部35が中空形状となっている態様を採用することで、このような不都合が発生してしまうことを防止できる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、基板Wの第1表面及び第2表面の両方を同時に洗浄することも容易にできるので、第1表面又は第2表面の一方だけを洗浄し反転させる態様と比較して、短時間で基板Wを洗浄できる点でも有益である。また、基板Wを反転させると装置構成が大きくなってしまうのに対して、本実施の形態によれば、装置構成が大きくなることを極力避けることができる。
【0060】
また、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、被回転部30及び回転部35から一定程度の発熱が生じることがある。しかしながら、
図2乃至
図6に示すように被回転部30を洗浄液で冷却できる態様を採用することで、被回転部30による発熱によって不都合が発生する可能性を未然になくすことができる。回転部35が筐体5の内方に設けられている場合には洗浄液で回転部35を冷却でき、逆に、回転部35が筐体5の外方に設けられている場合には空冷によって回転部35を冷却することができる。
【0061】
回転部35が、被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させる態様を採用した場合には、回転部35と被回転部30からゴミが発生してしまうことを防止することができる点で有益である。つまり、被回転部30及び回転部35の各々が歯車を有し、この歯車で互いに物理的に連結され、回転部35が回転することで被回転部30が回転するような態様では、歯車に塗られるグリス等に起因して、ゴミが発生してしまうことがある。この点、前述した態様によれば、このようなゴミが発生してしまうことを未然に防止できる。
【0062】
なお、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、コイルに電流が供給されていないときに、回転部35の磁石と被回転部30としての磁石とが引き寄せられ、回転カップ40が筐体5のいずれかの内面と接触することになる。一般に、回転カップ40と筐体5とが接触しない方が好ましいことから、
図6に示すように、被回転部30としての磁石は回転カップ40よりも周縁外方に突出する突出部30aを有している態様を採用してもよい。このような突出部30aを設けることで、突出部30aと筐体5とが接触し、回転カップ40が筐体5と接触することを未然に防止できる。突出部30aは、周縁全体にわたって設けられてもよいし、断続的に設けられてもよいし、均等に数か所(例えば4か所〜12か所)で設けられてもよい。
【0063】
本実施の形態によれば粉塵を生じにくくすることができるので、仕上げ洗浄に向いている。一例としては、第1洗浄ユニット116で採用されたロール洗浄部材によって、基板Wの第1表面及び第2表面を比較的荒く洗浄し、第2洗浄ユニット118のペンシル洗浄部材11,21及び流体ジェット洗浄部材12,22によって、第1表面及び第2表面の仕上げ洗浄を行ってもよい。なお、ペンシル洗浄部材11,21よりも流体ジェット洗浄部材12,22の方が洗浄部材に起因する汚れが付きにくいことから、ペンシル洗浄部材11,21による洗浄を行った後で流体ジェット洗浄部材12,22による洗浄を行う方が有益である。
【0064】
なお、従来であれば、裏面である第2表面について高い洗浄度が求められていないこともあり、装置構成が大型化したり時間がかかったりすることから、第2表面については高い洗浄度による洗浄を行っていなかった。この点、本実施の形態によれば、これらのデメリットが存在しないことから、裏面である第2表面についても高い洗浄度を容易に実現できる点で有益である。
【0065】
回転カップ40を採用した場合には、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことを防止できる。つまり、回転カップ40が存在せず固定カップ45だけが存在する態様であれば、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことがあるが、回転カップ40を採用することで、そのような不都合が生じることを防止できる。
【0066】
とりわけ、回転カップ40に、保持部60に連結された被回転部30が設けられている態様を採用した場合には、基板Wと回転カップ40とを同じ回転数で回転させることができる。このため、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことをより確実に防止できる。なお、回転カップ40を採用した場合には重みが重くなることから、通常の当業者であれば、回転部35が被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させる態様を採用しようとは思わない。この点、回転部35と被回転部30からゴミが発生してしまうことを優先させ、基板Wへの影響を最小限に抑えることを目指した結果として、本実施の形態では、このような態様を採用することを示している。
【0067】
第1洗浄部材11,12によって力が加わる箇所と第2洗浄部材21,22によって力が加わる箇所とが、平面図において点対称となるように制御部50が制御してもよい(
図4参照)。このような態様を採用することで、基板Wの第1表面側から加わる力と第2表面側から加わる力を点対称とすることができ、ひいてはバランスよく相殺することを期待できる。よって、第1洗浄部材11,12及び第2洗浄部材21,22によって加わる力で、基板Wの回転が妨げられることを防止できる。とりわけ、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、基板Wが宙を浮いて回転することから、このような態様を採用することで、基板Wが傾くことを防止できる点で有益である。なお、この態様を採用する場合には、力を相殺するという観点からは、第1洗浄部材11,12によって加わる力と第2洗浄部材21,22によって加わる力とを同一又は略同一とすることが有益である。
【0068】
また、第1洗浄部材11,12によって力が加わる箇所と第2洗浄部材21,22によって力が加わる箇所とが、平面図において同じ箇所となるように制御部50が制御してもよい(
図5参照)。このような態様を採用することで、基板Wの第1表面側から加わる力と第2表面側から加わる力をより確実に相殺できる。よって、第1洗浄部材11,12及び第2洗浄部材21,22によって加わる力で、基板Wの回転が妨げられることを防止できる。とりわけ、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、基板Wが宙を浮いて回転することから、このような態様を採用することで、基板Wが傾くことをより確実に防止できる点で有益である。なお、この態様を採用する場合には、力を相殺するという観点からは、第1洗浄部材11,12によって加わる力と第2洗浄部材21,22によって加わる力とを同一又は略同一とすることが有益である。
【0069】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。例えば、本発明に係る基板洗浄装置を有する基板処理装置には、基板の端部を研磨するベベル研磨装置、基板の裏面を研磨処理する裏面研磨装置、あるいは、基板の表面に金属膜を形成するための基板めっき装置が含まれうる。また、本発明における基板には、半導体基板の他にも、液晶表示装置(LCD)用、プラズマディスプレイ(PDP)用、有機発光ダイオード(OLED)用、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)用、真空蛍光ディスプレイ(VFD)用、太陽電池パネル用等のガラス基板、磁気・光ディスク用のガラス、セラミック基板等の各種の基板が含まれる。