(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る熱分析装置1000の構成を示す斜視図、
図2は
図1のA−A線に沿う断面図である。
熱分析装置1000は熱重量/示差熱測定(TG/DTA)装置を構成し、筒状に形成されて先端部9aに縮径された排気口9bを有する筒状のファーナスチューブ9と、ファーナスチューブ9を外側から取り囲む筒状の加熱炉3と、ファーナスチューブ9の内部に配置されて試料S
1、S
2をそれぞれ保持する試料ホルダ41,42と、ファーナスチューブ9の軸方向Oの後端部9dに気密に接続される測定室30と、測定室30内に配置されて試料S
1、S
2の重量又は熱量変化を測定する重量/熱量検出器32と、を備えている。
【0017】
又、加熱炉3の下端から下方へ2つの支柱18が延び、支柱18は支持台20に接続されている。さらに、ファーナスチューブ9の後端部9dの外側にフランジ部7が固定され、フランジ部7下端から下方へ1つの支柱16が延び、支柱16も支持台20に接続されている。支持台20及び測定室30は基台10上に載置され、支持台20はリニアアクチュエータ22によってファーナスチューブ9の軸方向Oに進退可能になっている。
そして、加熱炉3は、試料ホルダ41,42をファーナスチューブ9の外側から加熱し、温度変化に伴う試料S
1、S
2の重量又は熱量変化を重量/熱量検出器32で検出可能になっている。
【0018】
ここで、試料ホルダ41,42に試料S
1、S
2をセットしたり、試料S
1、S
2を交換する際には、リニアアクチュエータ22によって支持台20をファーナスチューブ9の先端側(先端部9a側)に前進させ、支持台20に固定された加熱炉3及びファーナスチューブ9も前進させる。これにより、試料ホルダ41,42がファーナスチューブ9より後端側に露出し、試料S
1、S
2のセットや交換が行える。
リニアアクチュエータ22は、例えばボールねじとサーボモータ等から構成されるが、軸方向Oに直線的に駆動するあらゆる公知のアクチュエータを用いることができる。
【0019】
加熱炉3は、加熱炉3の内面を形成する円筒状の炉心管3cと、炉心管3cに外嵌されたヒータ3bと、両端に側壁を有する円筒状の外筒3aとを有する(
図2参照)。外筒3aの両側壁の中心には、炉心管3cを挿通するための中心孔が設けられている。外筒3aはヒータ3bを取り囲んで加熱炉3を保温するとともに、外筒3aに適宜調整孔(図示せず)を設けて加熱炉3の温度調整を行うこともできる。なお、炉心管3cの内径はファーナスチューブ9の外径より大きく、加熱炉3はファーナスチューブ9(及びその内部の試料S
1、S
2)を非接触で加熱するようになっている。
【0020】
ファーナスチューブ9は先端部9aに向かってテーパ状に縮径し、先端部9aは細長いキャピラリ状に形成されてその先端に排気口9bが開口している。そして、ファーナスチューブ9には適宜パージガスが後端側から導入され、このパージガスや、加熱による試料の分解生成物等が排気口9bを通じて外部に排気される。一方、ファーナスチューブ9の後端部9dの外側には、シール部材71を介してリング状のフランジ部7が取り付けられている(
図2参照)。
又、ファーナスチューブ9は透明材料により形成され、試料S
1、S
2をファーナスチューブ9の外側から観察可能である。ここで、透明材料とは、可視光を所定の光透過率で透過する材料であり、半透明材料も含む。又、透明材料としては石英ガラス又はサファイアガラスを好適に用いることができる。ファーナスチューブ9が金属材料等により形成されていてもよい。
【0021】
試料ホルダ41、42には、軸方向O後端側に延びる天秤アーム43、44がそれぞれ接続され、天秤アーム43、44は互いに水平方向に並んでいる。そして、各試料ホルダ41、42には、それぞれ
図3に示す試料容器100、100が載置され、試料容器100、100にはそれぞれ試料S
1、S
2が入れられている。ここで、試料S
1は測定試料(サンプル)であり、試料S
2は参照試料(基準物質;リファレンス)である。又、試料ホルダ41、42の直下には熱電対が設置され、試料温度を計測可能になっている。天秤アーム43、44、試料ホルダ41、42、及び試料容器100、100は、例えば白金で形成されている。又、1対の試料容器100,100は同一形状である。
【0022】
測定室30はファーナスチューブ9の後端に配置され、測定室30の先端部には、ファーナスチューブ9に向かって軸方向O先端側に延びる管状のベローズ34がシール部材73を介して取り付けられている。ベローズ34の先端側はフランジ部36を形成し、フランジ部36はフランジ部7にシール部材72を介して気密に接続されている。このようにして、測定室30とファーナスチューブ9の内部が連通し、各天秤アーム43、44の後端はファーナスチューブ9を通って測定室30内部まで延びている。なお、シール部材71〜73としては、例えばOリング、ガスケット等を用いることができる。
図2に示すように、測定室30内に配置された重量/熱量検出器32は、コイル32aと、磁石32bと、位置検出部32cとを備えている。位置検出部32cは例えばフォトセンサーからなり、各天秤アーム43、44の後端側に配置されて天秤アーム43、44が水平な状態であるか否かを検出する。一方、コイル32aは各天秤アーム43、44の軸方向中心(支点)に取り付けられ、コイル32aの両側に磁石32bが配置されている。そして、天秤アーム43、44が水平になるようにコイル32aに電流を流し、その電流を測定することにより、天秤アーム43、44先端の各試料S
1、S
2の重量又は熱量を測定するようになっている。なお、重量/熱量検出器32は、各天秤アーム43、44のそれぞれに設けられている。
【0023】
又、
図2に示すように、リニアアクチュエータ22、ヒータ3b及び重量/熱量検出器32はコンピュータ等からなる制御部80によって制御される。具体的には、制御部80はヒータ3bを通電制御し、所定の加熱パターンでファーナスチューブ9(各試料ホルダ41、42)を加熱すると共に、そのときの試料S
1、S
2の温度変化及び重量又は熱量変化を重量/熱量検出器32から取得する。又、制御部80はリニアアクチュエータ22の動作を制御して、加熱炉3及びファーナスチューブ9を移動させ、試料のセット及び測定を行う。
なお、フランジ部36とフランジ部7とが気密に接続され、加熱炉3がファーナスチューブ9の各試料ホルダ41、42(つまり、試料S
1、S
2)を覆う位置で、熱分析が行われる。
【0024】
<第1の態様>
次に、
図3、
図4を参照し、本発明の第1の態様の実施形態に係る試料容器100について説明する。
図3は試料容器100の軸方向Lに沿う断面図、
図4は試料容器100の上面図である。なお、
図3は、
図4のB−B線に沿う断面図である。
試料容器100は、有底円筒状の本体部102と、略円盤状の蓋部110とを備え、蓋部110は本体部102上面の開口102hに接して開口102hの全部を覆っている。
蓋部110は、開口102hの縁部(開口端部)102eに接する本体側蓋部112と、本体部102の軸方向Lに本体側蓋部112と離間した第2蓋部114とを有する。
【0025】
本体側蓋部112は、中央に円形の第2開口112hが開口する略皿状をなし、外周に向かってクランク状に曲げられ、外周端部112eが中央部よりも上方に位置している。そして、クランク状の折曲部112fが本体部102の内側に収容され、外周端部112eが縁部102eの上に接している。
第2蓋部114は、中央に開口102hよりも大径で円形の中央部114cを有し、中央部114cの周方向に120度ずつ離れた3か所から径方向外側に向かってそれぞれアーム部114aが延びている。アーム部114aは中央部114cから下方に向かって曲げられ、アーム部114aの外周端部114eは水平に延びている。
【0026】
そして、外周端部112e、114e同士が向き合うようにして接合され、第2蓋部114が本体側蓋部112の上方に隙間Gを介して離間するようになっている。
このようにして、本体部102に収容された試料S
1(又はS
2)は、本体側蓋部112の第2開口112h及び隙間Gを通る経路Fにより外部と連通するので、加熱分解反応を伴う熱重量測定又は熱量測定において、試料S
1の加熱分解によるガスが経路Fから外部にスムーズに排出される。これにより、試料S
1のガス(自生雰囲気)が試料容器100の内部に充満して周囲雰囲気との反応が阻害されることを抑制でき、試料の加熱分解反応を損なわずに熱重量測定又は熱量測定ができる。
(又、本体部102の開口102hの少なくとも一部を蓋部110が覆っているので、高温域で開口102hを介して直接加熱炉内面と試料面間で生じる輻射の影響を低減して測定精度を向上させることができる。)
【0027】
一般に二つの物体間の輻射による熱移動は、放射係数によって記述される。放射係数は、二つの物体間で、二つの面の間の幾何学的形状を表す2つの形態係数及びそれぞれの物体の放射率の関数で表されるが、二つの物体の配置等のあらゆる条件に対して放射係数を求める解析は、非常に複雑となる。
そこで、本発明においては、加熱炉3内面と試料S
1(又はS
2)の面との間の輻射による熱移動が、簡易的には試料面から見た加熱炉内面の立体角の大きさに依存すると考え、試料面に立体角Ωiの算出の基準点を定め、基準点からの立体角の大きさを求めることで輻射の影響を評価するものである。
基準点としては、例えば
図5において、試料高さhs=0.7hの試料S
1の表面中央の位置とした。
【0028】
ここで、試料容器100に対して加熱炉3は十分に大きいと考えられるので、加熱炉3からの輻射の程度は、試料容器100内の試料S
1(又はS
2)の表面上の各点から外部を臨む範囲(外側への拡がり)を表す立体角Ωiで表すことができる。
図5は、蓋部110を外して本体部102の開口102hを表出させたとき(従来技術に相当)の立体角Ωiを表す。
立体角Ωiは、ある点Piから見た空間領域を半径1の球面上に投影した面積であり、全球方向への拡がりを表す立体角は4π[sr](ステラジアン)である。そして、
図5に示すように拡がり角(開き角)が2ωiの時、立体角Ωi=2π(1−cosωi)で表される。
【0029】
ここで、本体部102の上面まで試料S
1を一杯に入れることはなく、通常は本体部102の内面の底部から開口102hまでの高さhの0.7程度の試料高さhsまで試料S
1を入れる。従って、立体角Ωiの算出の基準となる試料S
1の表面を、試料高さhs=0.7×hの位置とする。
そして、試料S
1の表面上の各点P1、P2・・・における拡がり角(開き角)2ωiは、本体部102の中心(重心)で幾何学的に最大となる。
詳しくは後述するが、本体部102の内面の直径r=5mm、高さh=2.5mmのとき、本体部102の中心P1での最大立体角Ω0=2π×0.712となる。
【0030】
一方、
図6は、蓋部110を取り付けたとき、本体部102の試料S
1の表面上の点P1から第2開口112h及び隙間Gを通して外部を臨む立体角Ωを表す。なお、拡がり角(開き角)2ωは、本体部102の中心(重心)で幾何学的に最大となる。そして、
図5に示すように、拡がり角(開き角)が2ω
11で、第2蓋部114で遮蔽される(外部が見えない)拡がり角(開き角)が2ω
12であるから、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。
なお、最大立体角Ωmの算出において、アーム部114aを無視している。
詳しくは後述するが、本体部102の内面の直径r=5mm、高さh=2.5mm、第2蓋部114の直径3.8mm、第2開口112hの直径2.5mm、本体側蓋部112と第2蓋部114との軸方向Lの距離0.8mmのとき、本体部102の中心P1での最大立体角Ωm=2π×0.118となる。
つまり、蓋部110が無い場合に比べ、最大立体角比(Ωm/Ω0)=約0.17となり、加熱炉からの輻射の影響を確実に低減できる。
【0031】
最大立体角比(Ωm/Ω0)が0.3以下であると、加熱炉からの輻射の影響を有効に低減できるので好ましい。
【0032】
図7は、第1の態様の実施形態に係る試料容器100の変形例を示す。
図7の例では、第2蓋部114が軸方向Lに本体側蓋部112よりも下方(試料S
1側)に配置されており、最大立体角Ωmとなる試料S
1の表面上の点P1は、本体部102内面の外周上に位置する。この場合も、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。
【0033】
<
参考例>
次に、
図8、
図9を参照し、
参考例に係る試料容器200について説明する。
図8は試料容器200の側面図、
図9は試料容器200の軸方向Lに沿う断面図である。なお、試料容器200のうち、第1の態様の実施形態に係る試料容器100と同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
試料容器200は、有底円筒状の本体部102と、略円盤状の蓋部120とを備え、蓋部120は本体部102上面の開口102hより大径で、軸方向Lから見たときに開口102hの全部を覆っている。
蓋部120の外周部の周方向に120度ずつ離れた3か所から軸方向Lの下方に向かってそれぞれアーム部120aが延びている。そして、各アーム部120aの下端が開口102hの縁部(開口端部)102eに接するようにして、蓋部120が軸方向Lに離間しつつ本体部102に取付けられている。
【0034】
従って、本体部102に収容された試料S
1(又はS
2)は、蓋部120と本体部102の隙間Gを介して外部と連通することができる。
なお、本例では、最大立体角Ωmとなる試料S
1の表面上の点P1は、本体部102の試料面の中心とした。この場合も、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。又、最大立体角Ωmの算出において、アーム部120aを無視している。
【0035】
<
参考例>
次に、
図10、
図11を参照し、
参考例に係る試料容器300について説明する。
図10は試料容器300の側面図、
図11は試料容器300の軸方向Lに沿う断面図である。なお、試料容器300のうち、第1の態様の実施形態に係る試料容器100と同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
試料容器300は、有底円筒状の本体部102と、有底円筒状の蓋部130とを備え、蓋部130は本体部102と略同一径で、軸方向Lから見たときに開口130hの全部を覆っている。
蓋部130は、底面部130sと、底面部130sの外周から軸方向Lの下方に向かって延びる筒部130cとを備えている。そして、筒部130cの面の周方向に等間隔でスリット状の第3開口130hが設けられている。蓋部130は、筒部130cの下端を開口102hの縁部(開口端部)102eに接するようにして本体部102に取付けられている。
【0036】
従って、本体部102に収容された試料S
1(又はS
2)は、第3開口130hを介して外部と連通することができる。
なお、本例では、最大立体角Ωmとなる試料S
1の表面上の点P1は、本体部102の試料面の中心とした。この場合も、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。又、最大立体角Ωmの算出においては、試料容器300の高さ方向に見て第3開口130hの形成部分に相当する筒部130cの全周の面積を求め、この全面積に対する第3開口130hの面積割合Sxを重み付けする。つまり、
図11のようにして求めた最大立体角Ωmに対し、Sxを乗じた値を最終的な最大立体角Ωmとして採用する。
【0037】
<
参考例>
次に、
図12、
図13を参照し、
参考例に係る試料容器400について説明する。
図12は試料容器400の側面図、
図13は試料容器400の軸方向Lに沿う断面図である。なお、試料容器400のうち、第1の態様の実施形態に係る試料容器100と同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
試料容器400は、有底円筒状の本体部102と、略円盤状の蓋部140とを備え、蓋部140は本体部102と略同一径で、軸方向Lから見たときに開口102hの全部を覆っている。そして、蓋部140は、開口102hの縁部102eに接するようにして本体部102に取付けられている。一方、本体部102の筒部の面の周方向に等間隔でスリット状の第4開口102h2が設けられている。
従って、本体部102に収容された試料S
1(又はS
2)は、第4開口102h2を介して外部と連通することができる。
なお、本例では、最大立体角Ωmとなる試料S
1の表面上の点P1は、本体部102の試料面の中心とした。この場合も、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。又、最大立体角Ωmの算出においては、本体部102の筒部のうち、試料S
1の表面に相当する試料高さhs(=0.7×h)より上方部分で、試料容器400の高さ方向に見て第4開口102h2の形成部分に相当する筒部の全周の面積を求め、この全面積に対する第4開口102h2の面積割合Syを重み付けする。つまり、
図13のようにして求めた最大立体角Ωmに対し、Syを乗じた値を最終的な最大立体角Ωmとして採用する。
【0038】
<
参考例に係る熱分析装置>
次に、
図14、
図15を参照し、
参考例に係る熱分析装置1100について説明する。
図14は熱分析装置1100のファーナスチューブ9の軸方向Oに沿う断面図、
図15は
図14の部分拡大断面図である。
熱分析装置1100は熱重量/示差熱測定(TG/DTA)装置を構成し、筒状に形成されて先端部9aに縮径された排気口9bを有する筒状のファーナスチューブ9と、ファーナスチューブ9を外側から取り囲む筒状の加熱炉3と、ファーナスチューブ9の内部に配置されて試料S
1、S
2をそれぞれ保持する試料ホルダ41,42と、ファーナスチューブ9の軸方向Oの後端部9dに気密に接続される測定室30と、測定室30内に配置されて試料S
1、S
2の重量又は熱量変化を測定する重量/熱量検出器32と、試料容器102と、後述する筒状の反射部材500と、を備えている。
熱分析装置1100は、試料容器102と反射部材500の他は第1の発明の実施形態に係る熱分析装置1000と同一であるので、同一の構成部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
試料容器102は、上記した
図3の試料容器100における本体部102と同一の有底円筒状で上面に開口部102hを有する形状であり、従来から用いられている蓋無しの容器である。
反射部材500は、加熱炉3の炉心管3cの内面よりも小径で、かつ試料容器102を覆うような径の筒状体であり、加熱炉3からの輻射を反射するため加熱炉3の表面よりも放射率の低い材料からなっている。反射部材500は、例えばPt板を筒状に曲げて形成することができる。一般に、Pt板は加熱炉の構成材であるアルミナよりも低放射率である。
そして、反射部材500は、試料容器102と加熱炉3との間で試料容器102を覆うような位置に配置されている。例えば加熱炉3内径と、自身の外径がほぼ同一のPt円筒を、そのまま加熱炉内に挿入して設置することができる。
【0040】
図15に示すように、反射部材500を取り付けたとき、試料容器102の試料S
1の表面上の点P1から開口102hを通して外部を臨む拡がり角(開き角)2ωは、本体部102の中心(重心)で幾何学的に最大となる。そして、拡がり角(開き角)が2ω
11で、反射部材500で遮蔽される(外部が見えない)拡がり角(開き角)が2ω
12であるから、最大立体角Ωm={2π(1−cosω
11)−2π(1−cosω
12)}で表される。
つまり、反射部材500を設けることで、試料容器102に蓋部が無くても、加熱炉3からの輻射の一部を反射部材500が遮蔽し、最大立体角ΩmがΩ0(
図5参照)より小さくなるので、加熱炉3からの輻射の影響を低減できる。
本発明の第2の発明の実施形態に係る熱分析装置1100においても、最大立体角比(Ωm/Ω0)が0.3以下であると、加熱炉3からの輻射の影響を確実に低減できるので好ましい。
【0041】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、試料容器や蓋部、各開口の形状、配置状態等は上記した例に限定されない。
又、本発明の熱分析装置は、JIS K 0129:2005 "熱分析通則"に定義される、上記した熱重量/示差熱測定(TG/DTA)装置の他、測定対象(試料)の温度をプログラム制御させた時の試料の物理的性質を測定するものであって、熱流差を検出する示差走査熱量測定(DSC)を搭載する熱分析装置に適用できる。
【実施例1】
【0042】
図3、
図4に示した試料容器100を作製し、
図1、
図2に示す熱分析装置1000に配置して、熱分析を行った。試料容器100内には、それぞれ試料としてアルミナ粉末、サファイアディスクを入れ、参照側は空容器とし、それぞれ示差熱測定(DTA)を行った。
アルミナ粉末、サファイアディスクの輻射率はそれぞれ約0.35、0.02以下であり、両者は輻射率が顕著に異なり、輻射率の低いサファイアディスク(サファイア試料)の場合、輻射の影響はほぼ無視できる。
【0043】
図16に結果を示す。
図16の「蓋無し」は、試料容器100の蓋部110を取り去り、本体部102に直接試料(アルミナ粉末、サファイアディスク)を入れた場合を示す。又、「蓋付き」は、本体部102にアルミナ粉末を入れ、蓋部110を被せた場合を示す。
図16の「蓋無し(サファイア試料)」は、輻射の影響をほぼ無視できるサファイアのDTA曲線を示し、この曲線が基準(輻射の影響が無い基準状態)を表している。
「蓋付き(アルミナ粉末試料)」のDTA曲線は、「蓋無し(サファイア試料)」のDTA曲線とほぼ一致し、蓋部110は、加熱炉3からの輻射の影響を有効に低減し、熱重量/示差熱測定の測定精度を向上できることがわかった。
一方、試料容器100から蓋部110を取って同様に測定した「蓋無し(アルミナ粉末試料)のDTA曲線は、「蓋無し(サファイア試料)」のDTA曲線と大きく異なり、加熱炉3からの輻射の影響を受けることがわかった。