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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706780
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】小型渦流燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/02 20060101AFI20200601BHJP
   F23C 3/00 20060101ALI20200601BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   F23D14/02 M
   F23C3/00 301
   F23D14/66 B
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-140030(P2016-140030)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9756(P2018-9756A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩之
(72)【発明者】
【氏名】下栗 大右
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−007346(JP,A)
【文献】 特開2013−019557(JP,A)
【文献】 実開昭60−055829(JP,U)
【文献】 特開平07−004616(JP,A)
【文献】 特開2004−093115(JP,A)
【文献】 特開2005−188774(JP,A)
【文献】 特開2016−118353(JP,A)
【文献】 特開昭61−280308(JP,A)
【文献】 特開2012−063132(JP,A)
【文献】 米国特許第06198038(US,B1)
【文献】 国際公開第2016/097687(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/119696(WO,A1)
【文献】 特開2008−039254(JP,A)
【文献】 特開2005−207625(JP,A)
【文献】 特開2018−009721(JP,A)
【文献】 特開2018−009755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/02
F23C 3/00
F23D 14/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に筒状の燃焼部を有する燃焼器本体部と、前記燃焼部の内面の接線方向に向けて燃料ガスを導入する燃料ガス導入部とから成り、前記燃料ガス導入部から前記燃焼部内に燃料ガスが導入されることで、この燃料ガスが前記燃焼部内で旋回流になって該燃焼部内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により被加熱部が加熱されるように構成された小型渦流燃焼器であって、前記燃焼部は、前記燃焼器本体部に形成された燃焼部形成孔に、前記燃焼器本体部と別体の筒状燃焼部形成部が配設されて形成されており、この燃焼部を形成している前記筒状燃焼部形成部は、前記燃料ガス導入部と熱伝導可能に連結されていると共に、この筒状燃焼部形成部内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部が、該筒状燃焼部形成部の前記渦流火炎を囲繞する位置に設けられており、前記燃料ガス導入部は、燃料ガス導入基体部に、前記筒状燃焼部形成部の内孔と連通する燃焼部連通孔と、この燃焼部連通孔の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部とが形成されて成ると共に、前記燃料ガス導入基体部が、前記燃焼部連通孔と前記筒状燃焼部形成部の内孔とが連通状態となるようにして、前記筒状燃焼部形成部と熱伝導可能に一体形成されており、この燃料ガス導入部と前記燃焼器本体部との間には導入部断熱部が設けられていることを特徴とする小型渦流燃焼器。
【請求項2】
前記燃焼器本体部が前記熱により加熱されるように構成されていて、この燃焼器本体部が前記被加熱部とされていること、または、前記燃焼器本体部と別体で設けられている接続被加熱部が前記熱により加熱されるように構成されていて、この接続被加熱部が前記被加熱部とされていることを特徴とする請求項1記載の小型渦流燃焼器。
【請求項3】
筒状の第二燃焼部を有し、この第二燃焼部内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により、前記燃料ガス導入部に導入される燃料ガスが加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の小型渦流燃焼器。
【請求項4】
前記第二燃焼部は、前記燃料ガス導入部に熱伝導可能に連結されていると共に、前記燃焼部に対して背向状態に設けられていることを特徴とする請求項記載の小型渦流燃焼器。
【請求項5】
前記第二燃焼部は、前記燃料ガス導入部に導入される燃料ガスが流通する燃料ガス導入用流路部で囲繞されており、前記燃料ガスは、この燃料ガス導入用流路部内で前記第二燃焼部内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の小型渦流燃焼器。
【請求項6】
内部に筒状の燃焼部を有する燃焼器本体部と、前記燃焼部の内面の接線方向に向けて燃料ガスを導入する燃料ガス導入部とから成り、前記燃料ガス導入部から前記燃焼部内に燃料ガスが導入されることで、この燃料ガスが前記燃焼部内で旋回流になって該燃焼部内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により被加熱部が加熱されるように構成された小型渦流燃焼器であって、前記燃焼部は、前記燃焼器本体部に形成された燃焼部形成孔に、前記燃焼器本体部と別体の筒状燃焼部形成部が配設されて形成されており、この燃焼部を形成している前記筒状燃焼部形成部は、前記燃料ガス導入部と熱伝導可能に連結されていると共に、この筒状燃焼部形成部内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部が、該筒状燃焼部形成部の前記渦流火炎を囲繞する位置に設けられており、且つ前記燃料ガス導入部に熱伝導可能に連結されていると共に、前記燃焼部に対して背向状態に設けられている筒状の第二燃焼部を有し、この第二燃焼部内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により、前記燃料ガス導入部に導入される燃料ガスが加熱されるように構成されていることを特徴とする小型渦流燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型渦流燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、超小型電子機器(例えばMEMS等)の発達に伴い、これらの電力源の小型化が課題とされているなか、エネルギー密度の高い炭化水素燃料を利用した小型燃焼器が注目を集めており、その中の一つに小型渦流燃焼器がある。
【0003】
この小型渦流燃焼器は、熱伝導率が高いアルミニウム等で形成された燃焼器本体内に、管状の燃焼部と、この燃焼部の一端に接線方向に向けて予混合気を導入する予混合気導入経路と、燃焼により生じた高温の燃焼ガスと熱交換する燃焼ガス熱交換経路とが形成されていて、予混合気導入経路から燃焼部内に接線方向に予混合気が導入されることで燃焼部内に高速の旋回流が発生して渦流火炎が形成され、この渦流火炎の高速な周方向回転速度によって火炎熱が燃焼部内壁を介して燃焼器本体部全体に素早く熱伝導されると共に、燃焼により生じた高温の燃焼ガスが燃焼ガス熱交換経路を通過することで燃焼器本体部と熱交換を行ない、これにより、発生したほぼ全ての燃焼熱を燃焼器本体部全体に熱伝導するように構成されているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱伝導率の高いアルミニウムやアルミニウム合金(例えばジュラルミン)を燃焼器本体の構成部材として用いている従来の小型渦流燃焼器は、燃焼部内で発生した渦流火炎の熱が直ちに渦流火炎の周囲の燃焼部壁面に伝導し、この燃焼部壁面を通じて燃焼器本体全体に熱伝導されるため、燃焼室内の渦流火炎温度が断熱火炎温度に比べて大きく低下し、この火炎温度の低下により燃焼反応が促進されず不完全燃焼が生じて一酸化炭素が発生してしまう虞がある。そのため、従来の小型渦流燃焼器は、この対策を講じなければならない問題を抱えている。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、燃焼部内に形成される渦流火炎の燃焼反応を促進することにより不完全燃焼が可及的に低減され、一酸化炭素の発生が可及的に抑制される安全性に優れた小型渦流燃焼器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
内部に筒状の燃焼部1を有する燃焼器本体部2と、前記燃焼部1の内面の接線方向に向けて燃料ガスを導入する燃料ガス導入部3とから成り、前記燃料ガス導入部3から前記燃焼部1内に燃料ガスが導入されることで、この燃料ガスが前記燃焼部1内で旋回流になって該燃焼部1内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により被加熱部4が加熱されるように構成された小型渦流燃焼器であって、前記燃焼部1は、前記燃焼器本体部2に形成された燃焼部形成孔5に、前記燃焼器本体部2と別体の筒状燃焼部形成部6が配設されて形成されており、この燃焼部1を形成している前記筒状燃焼部形成部6は、前記燃料ガス導入部3と熱伝導可能に連結されていると共に、この筒状燃焼部形成部6内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部7が、該筒状燃焼部形成部6の前記渦流火炎を囲繞する位置に設けられており、前記燃料ガス導入部3は、燃料ガス導入基体部8に、前記筒状燃焼部形成部6の内孔6Aと連通する燃焼部連通孔9と、この燃焼部連通孔9の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部10とが形成されて成ると共に、前記燃料ガス導入基体部8が、前記燃焼部連通孔9と前記筒状燃焼部形成部6の内孔6Aとが連通状態となるようにして、前記筒状燃焼部形成部6と熱伝導可能に一体形成されており、この燃料ガス導入部3と前記燃焼器本体部2との間には導入部断熱部13が設けられていることを特徴とする小型渦流燃焼器に係るものである。
【0008】
また、前記燃焼器本体部2が前記熱により加熱されるように構成されていて、この燃焼器本体部2が前記被加熱部4とされていること、または、前記燃焼器本体部2と別体で設けられている接続被加熱部4Aが前記熱により加熱されるように構成されていて、この接続被加熱部4Aが前記被加熱部4とされていることを特徴とする請求項1記載の小型渦流燃焼器に係るものである。
【0009】
また、筒状の第二燃焼部11を有し、この第二燃焼部11内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により、前記燃料ガス導入部3に導入される燃料ガスが加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の小型渦流燃焼器に係るものである。
【0010】
また、前記第二燃焼部11は、前記燃料ガス導入部3に熱伝導可能に連結されていると共に、前記燃焼部1に対して背向状態に設けられていることを特徴とする請求項記載の小型渦流燃焼器に係るものである。
【0011】
また、前記第二燃焼部11は、前記燃料ガス導入部3に導入される燃料ガスが流通する燃料ガス導入用流路部12で囲繞されており、前記燃料ガスは、この燃料ガス導入用流路部12内で前記第二燃焼部11内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により加熱されるように構成されていることを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の小型渦流燃焼器に係るものである。
【0012】
また、内部に筒状の燃焼部1を有する燃焼器本体部2と、前記燃焼部1の内面の接線方向に向けて燃料ガスを導入する燃料ガス導入部3とから成り、前記燃料ガス導入部3から前記燃焼部1内に燃料ガスが導入されることで、この燃料ガスが前記燃焼部1内で旋回流になって該燃焼部1内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により被加熱部4が加熱されるように構成された小型渦流燃焼器であって、前記燃焼部1は、前記燃焼器本体部2に形成された燃焼部形成孔5に、前記燃焼器本体部2と別体の筒状燃焼部形成部6が配設されて形成されており、この燃焼部1を形成している前記筒状燃焼部形成部6は、前記燃料ガス導入部3と熱伝導可能に連結されていると共に、この筒状燃焼部形成部6内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部7が、該筒状燃焼部形成部6の前記渦流火炎を囲繞する位置に設けられており、且つ前記燃料ガス導入部3に熱伝導可能に連結されていると共に、前記燃焼部1に対して背向状態に設けられている筒状の第二燃焼部11を有し、この第二燃焼部11内に形成される渦流火炎の熱若しくは前記渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により、前記燃料ガス導入部3に導入される燃料ガスが加熱されるように構成されていることを特徴とする小型渦流燃焼器に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、燃焼部内(筒状燃焼部形成部内)に形成される渦流火炎の熱の外部(例えば燃焼器本体部)への熱伝導が火炎温度保持部により可及的に抑制されることにより火炎温度の低下が抑制され、渦流火炎の火炎温度が高温状態を維持することで燃焼反応が促進されて不完全燃焼が低減される。
【0014】
更に、燃焼部に導入される燃料ガスの温度が上昇することにより、燃焼速度が速くなって燃焼反応時間が短縮されることで燃焼反応が促進されて不完全燃焼が低減される。
【0015】
このように、本発明は、渦流火炎の火炎温度の高温維持と、燃料ガスの高温化による燃焼反応時間短縮との相乗効果により、燃焼反応を可及的に促進することで、渦流火炎の不完全燃焼が低減されて、一酸化炭素の発生が可及的に抑制される安全性に優れた画期的な小型渦流燃焼器となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1を示す説明斜視図である。
図2】実施例1を示す説明平断面図である。
図3】実施例1を示す説明分解斜視図である。
図4】実施例1の一酸化炭素低減効果を示す図である。
図5】実施例2を示す説明斜視図である。
図6】実施例2を示す説明平断面図である。
図7】実施例2を示す説明分解斜視図である。
図8】実施例3を示す説明平断面図である。
図9】実施例4を示す説明平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
燃料ガスは、燃料供給部から燃料ガス導入部3を介して燃焼部1へ導入される。燃焼部1に導入された燃料ガスは、燃焼部1の内周面(例えば筒状燃焼部形成部6の内周面若しくは燃料ガス導入部3の筒状燃焼部形成部6と連通する燃焼部連通孔9の内周面)の接線方向より燃焼部1内に導入されることで旋回流となり、この旋回流状態の燃料ガスに着火することで燃焼部1内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスが燃焼部1から排出され、この燃焼部1から排出された燃焼ガスが被加熱部4と熱交換して被加熱部4を加熱する。
【0019】
本発明は、この燃焼部1内に形成される渦流火炎が火炎温度保持部7で囲繞されているから、渦流火炎の熱が燃焼器本体部2等の燃焼部1の外部へ熱伝導することが抑制されて、渦流火炎の火炎温度が低下しない。
【0020】
即ち、例えば、火炎温度保持部7が燃焼部1を形成する筒状燃焼部形成部6の外周に設けられている場合、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)から燃焼器本体部2への熱伝導が抑制され、言い換えると、渦流火炎の熱が燃焼部1を介して燃焼器本体部2へ流出してしまうことが抑制され、これにより、渦流火炎の火炎温度の高温状態が維持されることとなり、よって、渦流火炎の熱が燃焼反応に使用されて、燃焼反応が促進される。
【0021】
しかも、本発明は、渦流火炎が形成される筒状燃焼部形成部6と、燃焼部1内、即ち、この筒状燃焼部形成部6内に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入部3とが熱伝導可能に連結されているから、筒状燃焼部形成部6内で形成される渦流火炎の熱(例えば輻射熱)やこの渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱で筒状燃焼部形成部6が加熱され、この筒状燃焼部形成部6を加熱する熱が燃料ガス導入部3にも熱伝導して燃料ガス導入部3も加熱される。
【0022】
この燃料ガス導入部3が加熱されることにより、この燃料ガス導入部3を通じて燃焼部1内(筒状燃焼部形成部6内)に導入される燃料ガスが、この燃料ガス導入部3内で加熱されて温度が上昇することで燃焼速度が速くなり、この燃焼速度の向上により燃焼反応時間が短縮されて燃焼反応が促進される。
【0023】
即ち、本発明は、渦流火炎の火炎温度の高温維持と、燃料ガスの高温化による燃焼反応時間短縮との相乗効果により、燃焼反応が可及的に促進され、この燃焼反応の促進効果により、渦流火炎の不完全燃焼が低減されて、一酸化炭素の発生が可及的に抑制されることとなる。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について図1図4に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、図1,2に示すように、内部に筒状の燃焼部1を有する燃焼器本体部2と、燃焼部1の内面の接線方向に向けて燃料ガスを導入する燃料ガス導入部3とから成り、燃料ガス導入部3から燃焼部1内に燃料ガスが導入されることで、この燃料ガスが燃焼部1内で旋回流になって該燃焼部1内に渦流火炎が形成され、この渦流火炎の熱若しくは渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により被加熱部4としての燃焼器本体部2が加熱されるように構成され、更に、燃焼部1は、燃焼器本体部2に形成された燃焼部形成孔5に、燃焼器本体部2と別体の筒状燃焼部形成部6が配設されて形成されており、この燃焼部1を形成している筒状燃焼部形成部6は、燃料ガス導入部3と熱伝導可能に連結されていると共に、この筒状燃焼部形成部6内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部7が、筒状燃焼部形成部6の渦流火炎を囲繞する位置に設けられている小型渦流燃焼器である。
【0026】
具体的には、本実施例は、図3に示すように、燃焼器本体部2、一体形成された筒状燃焼部形成部6と燃料ガス導入部3、導入部断熱部13、本体部側閉塞板部14及びガス導入部側閉塞板部15の各部により構成されている。
【0027】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。
【0028】
本実施例の燃焼器本体部2は、この燃焼器本体部2自体が被加熱部4となる構成とされていて、そのため、熱伝導率の高い金属部材(例えばアルミニウムやアルミニウム合金等)で構成されている。
【0029】
また、本実施例の燃焼器本体部2は、後述する筒状燃焼部形成部6を挿入配設する燃焼部形成孔5と、燃焼によって生じた燃焼ガスを外部へ排出するための排気経路部16とが設けられている。
【0030】
具体的には、燃焼部形成孔5は、燃焼器本体部2の前後方向に貫通する貫通孔であり、内径寸法がこの燃焼部形成孔5内に挿入配設される筒状燃焼部形成部6の外径寸法よりも若干大径に設定されている。即ち、本実施例の燃焼器本体部2は、燃焼部形成孔5に筒状燃焼部形成部6を挿入配設すると、この挿入配設された筒状燃焼部形成部6と燃焼部形成孔5の内周面との間に隙間が形成されるように構成されていて、この隙間を、筒状燃焼部形成部6内に形成される渦流火炎の火炎温度の低下を抑制する火炎温度保持部7としての燃焼ガス流通空隙部7した構成とされている。
【0031】
また、本実施例の燃焼部形成孔5は、燃焼部1の燃焼ガス排出口17側、言い換えると、この燃焼部形成孔5に挿入配設される筒状燃焼部形成部6の先端部側が基端部側よりも大径に形成されていて、筒状燃焼部形成部6が挿入配設されることで、前述した燃焼ガス流通空隙部7よりも幅広の燃焼ガス誘導部18が形成されるように構成されている。この燃焼ガス誘導部18は、燃焼ガス流通空隙部7と同様、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)を囲繞するように環状に形成されると共に、燃焼ガス流通空隙部7と連通状態に形成されていて、本実施例は、燃焼部1から排出された燃焼ガスがこの燃焼ガス誘導部18に導入されることで燃焼ガス流通空隙部7へ誘導されるように構成されている。
【0032】
また、排気経路部16は、燃焼器本体部2の長さ方向(前後方向)を横断するように設けられていて、一端が前述した燃焼ガス流通空隙部7に接続され、他端が燃焼器本体部2の後面部に形成された排気口19に接続されている。即ち、本実施例は、この燃焼器本体部2を長さ方向に横断する排気経路部16を高温の燃焼ガスが流通することで、燃焼ガスと燃焼器本体部2とが熱交換し、燃焼器本体部2が燃焼ガスの熱により加熱される被加熱部4となる構成とされている。尚、排気経路部16の取り回し及び排気口19の配置は、本実施例に記載の構成に限定されるものでは無い。
【0033】
また、本実施例の筒状燃焼部形成部6は、燃焼器本体部2と同様、熱伝導率の高い金属部材(例えばアルミニウムやアルミニウム合金等)で、燃焼器本体部2とは別体に、燃料ガス導入部3と一体形成されている。
【0034】
具体的には、本実施例の筒状燃焼部形成部6は、外形寸法が燃焼器本体部2の燃焼部形成孔5の内径寸法よりも稍小径に設定された円筒状に形成されていて、基端部に燃料ガス導入部3が一体に設けられている。
【0035】
また、この筒状燃焼部形成部6と一体形成されている燃料ガス導入部3は、燃料ガス導入基体部8に、筒状燃焼部形成部6の内孔6Aと連通する燃焼部連通孔9と、この燃焼部連通孔9の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部10とが形成され、この燃料ガス導入基体部8に形成された燃焼部連通孔9と、筒状燃焼部形成部6の内孔6Aとが連通状態となるようにして、筒状燃焼部形成部6と一体形成されている。
【0036】
本実施例の燃料ガス導入部3について、更に具体的に説明すると、燃料ガス導入基体部8は、燃焼器本体部2の前面部と同形状の板状(ブロック状)に形成されていて、この燃料ガス導入基体部8を燃焼器本体部2の前面部に後述する導入部断熱部13を介して重合配設することで、筒状燃焼部形成部6が燃焼部形成孔5の所定位置(燃焼部形成孔5の中心軸と筒状燃焼部形成部6の中心軸とが一致する状態)に配設されるよう構成されている。
【0037】
即ち、本実施例の燃料ガス導入基体部8(燃料ガス導入部3)は、燃焼部形成孔5に対する筒状燃焼部形成部6の挿入配設位置を位置決めする位置決め用基板部にもなっていて、本実施例は、この燃料ガス導入基体部8を燃焼器本体部2の前面部に重合配設するようにして筒状燃焼部形成部6が燃焼部形成孔5に挿入配設されることで、燃焼器本体部2内に燃焼部1が形成されると共に、この燃焼部1を形成する筒状燃焼部形成部6の外側(具体的には、燃焼部形成孔5の内周面と筒状燃焼部形成部6の外周面との間)に、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)内に形成される渦流火炎の熱の外部流出(燃焼器本体部2への熱伝導)を抑制する火炎温度保持部7としての燃焼ガス流通空隙部7及び前述した燃焼ガス誘導部18が形成されているように構成されている。
【0038】
また、燃焼部連通孔9は、燃料ガス導入基体部8の板面中央部に、前後方向(板厚方向)に貫通する貫通孔であり、筒状燃焼部形成部6の内孔6Aと同径に設定され、左右両側にこの燃料ガス導入部3(燃焼部連通孔9)内に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部10が設けられている。
【0039】
この燃料ガス導入経路部10は、先端部に小径(数mm)の接線方向吹出口部20が設けられていて、この接線方向吹出口部20は、前述した燃焼部連通孔9の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するように構成されている。即ち、本実施例は、この燃料ガス導入経路部10の先端部に設けられた接線方向吹出口部20から燃焼部連通孔9内に燃料ガスが導入されることで、この燃焼部連通孔9内で燃料ガスが旋回流となって燃焼部1に向かって進み、そのまま、この燃焼部連通孔9と連通する燃焼部1内(具体的には、筒状燃焼部形成部6内)でも旋回流を保持し、これにより、渦流火炎が形成される構成とされている。尚、本実施例では燃料ガス導入部3に導入される燃料ガスは、予め空気と可燃性ガスとが混合された予混合気とされている。
【0040】
また、本実施例の導入部断熱部13は、前述した筒状燃焼部形成部6と一体形成されている燃料ガス導入部3と燃焼器本体部2との間に配設されるように構成されており、具体的には、板状に形成された断熱性部材若しくは低熱伝導性部材で構成されている。
【0041】
また、本実施例の本体部側閉塞板部14は、燃焼器本体部2の後面部と同形状の板状に形成されていて、燃焼器本体部2の後面部に重合配設され、この燃焼器本体部2に形成された燃焼部形成孔5の先端側開口部を閉塞する構成とされている。
【0042】
具体的には、本実施例の本体部側閉塞板部14は、板面中央部に燃焼部1内の渦流火炎を視認できるように耐熱ガラス等の耐熱性透明部材から成る渦流火炎視認部21が設けられ、また、この渦流火炎視認部21の外方に燃焼器本体部2の排気経路部16と連通する排気口19が設けられている。
【0043】
また、本実施例の本体部側閉塞板部14は、この燃焼器本体部2に形成された燃焼部形成孔5を閉塞するように配設されることから、燃焼部1の長さ方向延長線上に位置する構成とされており、これにより、燃焼部1の燃焼ガス排出口17から排出された燃焼ガスが衝突する構成とされている。
【0044】
即ち、本実施例は、燃焼ガスが本体部側閉塞板部14に衝突することで、進行方向を180°折り返し、この進行方向を折り返した燃焼ガスが燃焼ガス誘導部18へと導入され、この燃焼ガス誘導部18を介して燃焼ガス流通空隙部7へ導入されるように構成されている。
【0045】
また、ガス導入部側閉塞板部15は、燃料ガス導入部3と同形状の板状に形成されていて、この燃料ガス導入部3の板面に重合配設され、この燃料ガス導入部3に形成された燃焼部連通孔9の基端側開口部を閉塞する構成とされている。
【0046】
具体的には、本実施例のガス導入部側閉塞板部15は、板面中央部に燃焼部1内の渦流火炎を視認できるように耐熱ガラス等の耐熱性透明部材から成る渦流火炎視認部21が設けられている。尚、本体部側閉塞板部14及びガス導入部側閉塞板部15は、渦流火炎視認部21を設けない単なる板状部材としても良い。
【0047】
また、本実施例は、燃焼器本体部2の燃焼部形成孔5と、燃料ガス導入部3の燃焼部連通孔9とが夫々、貫通孔として形成されていることから、前述した本体部側閉塞板部14及びガス導入部側閉塞板部15を用いて夫々の開口部が閉塞される構成とされているが、燃焼部形成孔5及び燃焼部連通孔9の夫々を貫通孔とせずに有底孔として形成して、この燃焼部形成孔5の底部及び燃焼部連通孔9の底部を夫々本体部側閉塞板部14及びガス導入部側閉塞板部15とすることで、本体部側閉塞板部14及びガス導入部側閉塞板部15を別体で設けず、燃焼器本体部2及び燃料ガス導入部3と一体形成する構成としても良い。
【0048】
また更に、ガス導入部側閉塞板部15を燃料ガス導入部3に重合配設させる際に、このガス導入部側閉塞板部15と燃料ガス導入部3との間に、このガス導入部側閉塞板部15と燃料ガス導入部3との間の熱伝導を抑制するための断熱部材を介在させる構成としても良い。
【0049】
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
【0050】
本実施例は、燃料供給部から供給される燃料ガス(予混合気)が燃料ガス導入部3を介して燃焼部1へ導入され、この燃焼部1に導入された燃料ガスは、旋回流状態で導入され、この旋回流状態の燃料ガスに着火することで燃焼部1内に渦流火炎が形成され、この筒状燃焼部形成部6内で形成される渦流火炎の熱(輻射熱)によって筒状燃焼部形成部6が加熱される。
【0051】
また、この渦流火炎の燃焼によって生じた高温の燃焼ガスが燃焼部1(筒状燃焼部形成部6の燃焼ガス排出口17)から排出され、この燃焼部1から排出された燃焼ガスは、その進行方向に設けられている本体部側閉塞板部14、具体的には、本体部側閉塞板部14に設けられている渦流火炎視認部21に衝突して進行方向が180°折り返されて燃焼ガス誘導部18に誘導され、この燃焼ガス誘導部18を通じて燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)を囲繞するように設けられている火炎温度保持部7としての燃焼ガス流通空隙部7へと導入され、この燃焼ガス流通空隙部7へ導入された燃焼ガスが、筒状燃焼部形成部6と接触してこの筒状燃焼部形成部6と熱交換することによって、筒状燃焼部形成部6が加熱される。
【0052】
そして、この筒状燃焼部形成部6を加熱する熱が、この筒状燃焼部形成部6と一体形成されている燃料ガス導入部3にも熱伝導して、燃料ガス導入部3も筒状燃焼部形成部6同様、加熱されて高温となり、この燃料ガス導入部3が高温となることで、燃料ガス導入部3内を流通する燃料ガスが加熱され、燃料ガスの温度が上昇する。
【0053】
この燃料ガスの温度が上昇することで、この燃料ガスが燃焼部1内で燃焼する際の燃焼速度が速くなり、この燃焼速度の向上により燃焼反応時間が短縮されて燃焼反応が促進され、この燃焼反応が促進されることで、不完全燃焼が低減し、この不完全燃焼が低減することで一酸化炭素の発生が可及的に抑制される。
【0054】
また、本実施例は、これに加えて、燃焼部1、具体的には、筒状燃焼部形成部6を囲繞する燃焼ガス流通空隙部7の熱伝導抑制作用と、燃焼器本体部2と燃料ガス導入部3との間に設けられた導入部断熱部13の断熱作用とにより、燃焼部1内に形成される渦流火炎の熱の燃焼器本体部2への熱伝導が可及的に抑制されるので、渦流火炎の熱の燃焼器本体部2への流出が抑制されて渦流火炎の火炎温度が低下せず高温状態が維持され、この渦流火炎が高温状態を維持することで、燃焼反応が促進され、この燃焼反応が促進されることで、不完全燃焼が低減し、この不完全燃焼が低減することで一酸化炭素の発生が可及的に抑制される。
【0055】
即ち、本実施例は、渦流火炎の火炎温度の高温維持と、燃料ガスの高温化による燃焼反応時間短縮との相乗効果により、燃焼反応を促進させ、この燃焼反応の促進効果により、従来の問題点であった渦流火炎の不完全燃焼による一酸化炭素の発生が可及的に抑制されることとなる(図4参照)。
【0056】
また、本実施例は、高温の燃焼ガスが流通する燃焼ガス流通空隙部7が、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)と燃焼器本体部2との間に形成されていて、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)と共に、燃焼器本体部2とも熱交換することとなり、これにより、被加熱部4としての燃焼器本体部2もこの燃焼ガス流通空隙部7を流通する燃焼ガスにより加熱されることとなる。
【0057】
更に、本実施例は、この燃焼ガス流通空隙部7を通過した燃焼ガスが、燃焼器本体部2の長さ方向を横断するように形成された排気経路部16内を流通して燃焼器本体部2の後面部に設けられている本体部側閉塞板部14の排気口19から排気されるように構成されているので、この排気経路部16を流通する燃焼ガスと燃焼器本体部2との間でも熱交換が行なわれ、燃焼器本体部2全体が燃焼ガスにより効率的に加熱されることとなり、これにより、被加熱部4としての燃焼器本体部2を発熱体として用いることができる。
【0058】
このように、本実施例は、従来の問題点であった不完全燃焼による一酸化炭素の発生が可及的に抑制されると共に、高温の燃焼ガスの熱を有効利用することができる安全性、且つ実用性に優れた画期的な小型渦流燃焼器となる。
【実施例2】
【0059】
本発明の具体的な実施例2について図5〜7に基づいて説明する。
【0060】
本実施例は、実施例1において、燃焼部1とは別の筒状の第二燃焼部11を有し、この第二燃焼部11内に形成される渦流火炎の熱若しくは渦流火炎の燃焼によって生じた燃焼ガスの熱により、燃料ガス導入部3に導入される燃料ガスが加熱されるように構成されている場合である。
【0061】
即ち、実施例1は、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)と燃料ガス導入部3とを熱伝導可能に連結(実施例1では一体形成)して、渦流火炎の熱を、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)を介して燃料ガス導入部3に熱伝導させ、燃料ガス導入部3を加熱することでこの燃料ガス導入部3内を流通する燃料ガスを加熱し、この燃料ガス自体の温度を上昇させることで燃焼速度を向上させて燃焼反応の促進を図る構成とされているが、本実施例は、更に、燃料ガス導入部3に導入される前の燃料ガスも加熱し、より一層燃料ガスの温度を上昇させて、より一層燃焼反応の促進を図る構成とされているものである。
【0062】
具体的には、本実施例は、図5〜7に示すように、燃焼器本体部2、一体形成された筒状燃焼部形成部6と筒状第二燃焼部形成部22と燃料ガス導入部3、第二燃料ガス導入部23、導入部断熱部13及び本体部側閉塞板部14の各部により構成されている。
【0063】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。尚、燃焼器本体部2、筒状燃焼部形成部6、導入部断熱部13及び本体部側閉塞板部14については、実施例1と同様のため省略する。
【0064】
本実施例の燃料ガス導入部3は、燃料ガス導入基体部8に、筒状燃焼部形成部6の内孔6A及び筒状第二燃焼部形成部22の内孔22Aと連通する燃焼部連通孔9と、この燃焼部連通孔9の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部10とが形成されて成る構成とされている。
【0065】
具体的には、燃焼部連通孔9は、燃料ガス導入基体部8の板面中央部に、前後方向(板厚方向)に貫通する貫通孔であり、筒状燃焼部形成部6の内孔6A及び筒状第二燃焼部形成部22の内孔22Aと同径に設定され、左右両側にこの燃料ガス導入部3(燃焼部連通孔9)内に燃料ガスを導入するための燃料ガス導入経路部10が設けられている。
【0066】
この燃料ガス導入経路部10は、先端部に小径(数mm)の接線方向吹出口部20が設けられていて、この接線方向吹出口部20は、前述した燃焼部連通孔9の内周面の接線方向に向けて燃料ガスを導入するように構成されている。
【0067】
また、燃料ガス導入経路部10は、燃料ガス導入基体部8内で直角に折曲されていて、基端部側の開口部(ガス導入口)が、燃料ガス導入基体部8の前面部(燃焼器本体部2との重合面の反対側の面)に設けられている。
【0068】
即ち、実施例1では、外部から直接燃料ガス導入部3へ燃料ガスが導入される構成とされていたが、本実施例では、外部から後述する第二燃料ガス導入部23へ燃料ガスが導入され、この第二燃料ガス導入部23を通じて燃料ガスが燃料ガス導入部3に導入される構成とされている。
【0069】
また、この燃料ガス導入部3に筒状燃焼部形成部6と共に一体形成される筒状第二燃焼部形成部22は、外形寸法が後述する第二燃料ガス導入部23に形成される第二燃焼部形成孔24の内径寸法よりも小径に設定された円筒状に形成されていて、燃焼部1を形成する筒状燃焼部形成部6に対して背向状態に設けられている。そのため、筒状第二燃焼部形成部22には、燃料ガス導入経路部10(具体的には、接線方向吹出口部20)から燃焼部連通孔9に燃料ガスが導入される位置を基点として、筒状燃焼部形成部6に形成される渦流火炎とは反対方向に向かう渦流火炎が形成されることとなる。
【0070】
また、前述した燃料ガス導入部3に燃料ガスを導入する第二燃料ガス導入部23は、ブロック状に形成されると共に、中央部に第二燃焼部形成孔24が形成されていて、この第二燃焼部形成孔24に筒状第二燃焼部形成部22が挿入配設されることで、この第二燃料ガス導入部23内に第二燃焼部11が形成される構成とされている。
【0071】
具体的には、第二燃焼部形成孔24は、有底円形孔に形成されていると共に、内径寸法がこの第二燃焼部形成孔24内に挿入配設される筒状第二燃焼部形成部22の外径寸法よりも大径に設定されていて、本実施例は、この第二燃焼部形成孔24に筒状第二燃焼部形成部22を挿入配設することで、第二燃料ガス導入部23内に第二燃焼部11が形成されると共に、挿入配設された筒状第二燃焼部形成部22と第二燃焼部形成孔24の内周面との間に隙間が形成され、この隙間が、第二燃料ガス導入部23において、外部から供給される燃料ガスを燃料ガス導入部3(具体的には、燃料ガス導入経路部10)へ導入するための燃料ガス導入用流路部12となるように構成されている。
【0072】
また、第二燃焼部形成孔24の底部24Aには、外部から供給される燃料ガスを導入する燃料ガス導入孔25と、第二燃焼部11から排出される燃焼ガスを外部に排出するための第二排気口26とが設けられており、燃料ガス導入孔25は、前述した燃料ガス導入用流路部12と連通する位置に設けられていて、また、第二排気口26は、底部24Aの中心部に設けられている。
【0073】
本実施例の第二排気口26は、筒状第二燃焼部形成部22の内径寸法よりも小径に設定されていて、第二燃焼部11(筒状第二燃焼部形成部22)から排出される燃焼ガスが第二排気口26の周囲の底部24Aに接触する(衝突する)ように構成されている。即ち、本実施例は、第二燃焼部11(筒状第二燃焼部形成部22)から排出される燃焼ガスが第二排気口26の周囲の底部24Aに接触する(衝突する)ことで、この第二排気口26の周囲の底部24Aを燃焼ガスの熱により加熱し、この底部24Aを通じて第二燃料ガス導入部23全体を加熱し高温化して、燃料ガス導入用流路部12の流路壁となる第二燃料ガス導入部23に形成された第二燃焼部形成孔24の内周面が高温になるように構成されている。
【0074】
即ち、本実施例の燃料ガス導入用流路部12は、環状に形成されていて、内側流路壁が筒状第二燃焼部形成部22の外周面で形成され、また、外側流路壁が前述したように第二燃料ガス導入部23の第二燃焼部形成孔24の内周面で形成されていて、内側流路壁、即ち筒状第二燃焼部形成部22は、この筒状第二燃焼部形成部22内で形成される渦流火炎の熱により加熱されて高温になり、また、外側流路壁、即ち第二燃料ガス導入部23、具体的には、第二燃焼部形成孔24の内周面は、第二燃焼部11から排出される高温の燃焼ガスの熱により加熱されて高温になる構成とされており、本実施例は、この内外両側の流路壁が高温状態となっている燃料ガス導入用流路部12内に燃料ガスを導入して、燃料ガスをこの燃料ガス導入用流路部12内で加熱し温度を上昇させた状態で燃料ガス導入部3(燃料ガス導入経路部10)に導入するように構成されている。
【0075】
尚、第二燃焼部11に形成される渦流火炎の長さは、第二排気口26の口径によって変化するため、筒状第二燃焼部形成部22の長さは第二排気口26の口径を調節することによって変更することができる。例えば、第二排気口26の口径を大径にすると、渦流火炎の長さが長くなるため、筒状第二燃焼部形成部22を長くしたい場合は、第二排気口26の口径を大径に設定する。この筒状第二燃焼部形成部22の長さが長くなることで、筒状第二燃焼部形成部22より加熱される燃料ガス導入用流路部12の面積が増加する(流通距離が延長される)ため、この燃料ガス導入用流路部12を流通する燃料ガスの温度をより上昇させることができる。
【0076】
このように、本実施例は、燃料供給部から供給される燃料ガス(予混合気)を、第二燃料ガス導入部23(燃料ガス導入用流路部12)でも加熱するので、燃料ガスは、この第二燃料ガス導入部23と燃料ガス導入部3との双方のガス導入部で加熱されることとなる。
【0077】
従って、燃焼部1及び第二燃焼部11に導入されるまでに燃料ガスを十分に加熱し温度を上昇させることができるから、燃焼部内での燃焼速度が確実に速くなって燃焼反応時間が短縮されることとなり、これにより、より一層燃焼反応が促進され不完全燃焼による一酸化炭素の発生がより一層抑制されることとなる。
【0078】
しかも、本実施例は、第二燃焼部11(筒状第二燃焼部形成部22)が、第二燃料ガス導入部23に形成された第二燃焼部形成孔24の底部24Aにしか接しておらず、第二燃焼部11から第二燃料ガス導入部23への熱伝導が可及的に抑制され、しかも、この接触部は第二燃焼部11の渦流火炎が形成されない渦流火炎非形成領域部であるから、渦流火炎の燃焼への影響も殆ど無い。このように、第二燃焼部11においても、渦流火炎の熱の外部放出が抑制されて、渦流火炎の火炎温度の低下が抑制されるので、不完全燃焼による一酸化炭素の発生が抑制されることとなる。その余の構成は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0079】
本発明の具体的な実施例3について図8に基づいて説明する。
【0080】
本実施例は、実施例1において、火炎温度保持部7を燃焼ガスが流通しない空隙部7に構成した場合であり、具体的には、排気経路部16の構造(取り回し)が実施例1と異なる構成とされている。
【0081】
より具体的には、本実施例は、排気経路部16が、燃焼器本体部2の後面部側から前面部側に向かって、この燃焼器本体部2を横断するように設けられていて、一端が燃焼ガス誘導部18に接続され、他端が燃焼器本体部2の側面部に形成された排気口19に接続されている。
【0082】
即ち、実施例1は、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)から排出された燃焼ガスが本体部側閉塞板部14(渦流火炎視認部21)に衝突して進行方向を折り返して燃焼ガス誘導部18に向かい、この燃焼ガス誘導部18を通じて火炎温度保持部7としての燃焼ガス流通空隙部7に導入され、この燃焼ガス流通空隙部7を流通した後、排気経路部16を流通して排気口19より外部に排出される構成であるのに対し、本実施例は、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)から排出された燃焼ガスが本体部側閉塞板部14(渦流火炎視認部21)に衝突して進行方向を折り返して燃焼ガス誘導部18に向かい、この燃焼ガス誘導部18から排気経路部16に導入されて、この排気経路部16を流通して排気口19より外部に排出される構成とされている。その余の構成は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0083】
本発明の具体的な実施例4について図9に基づいて説明する。
【0084】
本実施例は、実施例1において、燃焼器本体部2が被加熱部4とされず、燃焼器本体部2と別体に設けられる接続被加熱部4Aが被加熱部4とされる場合である。
【0085】
具体的には、実施例1における本体部側閉塞板部14と、燃焼器本体部2内に形成される排気経路部16とが異なる構成であるとともに、被加熱部4としての接続被加熱部4Aが追加される構成とされている。
【0086】
以下、本実施例に係る上記の本体部側閉塞板部14、排気経路部16及び接続被加熱部4Aについて具体的に説明する。
【0087】
本実施例の本体部側閉塞板部14は、平板状に形成され、板面中央部に板厚方向に貫通する貫通孔27が形成されるとともに、この貫通孔27が複数の燃焼ガス通過孔28が形成されているガス折り返し板部29で閉塞されている構成とされている。
【0088】
また、排気経路部16は、筒状燃焼部形成部6の基端部側、言い換えると、燃焼ガス流通空隙部7の燃料ガス導入部3側で、この燃料ガス導入部3に沿設状態に配設されていて、一端が燃焼ガス流通空隙部7に接続され、他端が燃焼器本体部2の側面部に設けられた排気口19に接続されている構成とされている。
【0089】
また、被加熱部4となる接続被加熱部4Aは、箱状に形成され、燃焼器本体部2の後面部に設けられた本体部側閉塞板部14に形成されている貫通孔27と連通する本体側接続開口部30と、導入した燃焼ガスが排出される被加熱部側排気口31が設けられた構成とされている。
【0090】
即ち、本実施例は、図9に示すように、燃焼器本体部2の後面部にガス折り返し板部29を有する本体部側閉塞板部14が重合配設され、この本体部側閉塞板部14に被加熱部4となる接続被加熱部4Aが接続されている構成とされて、燃焼部1(筒状燃焼部形成部6)の燃焼ガス排出口17から排出された燃焼ガスが、その排出方向に配設されるガス折り返し板部29に向かって進み、このガス折り返し板部29に衝突して進行方向を折り返し燃焼ガス誘導部18へと誘導されるものと、燃焼ガス通過孔28を通過して被加熱部4となる接続被加熱部4Aへ導入されるものとに分かれ、燃焼ガス誘導部18に誘導された燃焼ガスは燃焼ガス流通空隙部7を流通して燃焼部1を形成する筒状燃焼部形成部6を加熱した後、排気経路部16を流通して排気口19から外部へ排出され、接続被加熱部4Aに導入された燃焼ガスはこの接続被加熱部4Aを加熱した後、この接続被加熱部4Aに設けられた被加熱部側排気口31から外部へ排出される構成とされている。その余の構成は実施例1と同様である。
【0091】
尚、本発明は、実施例1〜4に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0092】
1 燃焼部
2 燃焼器本体部
3 燃料ガス導入部
4 被加熱部
4A 接続被加熱部
5 燃焼部形成孔
6 筒状燃焼部形成部
6A 内孔
7 火炎温度保持部
8 燃料ガス導入基体部
9 燃焼部連通孔
10 燃料ガス導入経路部
11 第二燃焼部
12 燃料ガス導入用流路部
13 導入部断熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9