(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルミニウム系材料の被覆電線(以下、アルミニウム導体被覆電線という。)は、上述したように銅系材料と比べて軽いが、導体露出部(以下、アルミニウム導体露出部ともいう。)の表面に酸化被膜が形成される。このため、アルミニウム被覆電線を、アルミニウム系材料、銅系材料などからなる他の被覆電線と束ねて電気的に接続する場合、アルミニウム導体露出部は、他の被覆電線の導体露出部との導電性が著しく低下する。したがって、アルミニウム導体露出部は、他の被覆電線の導体露出部との導電性を確保するために、アルミニウム系材料に形成された酸化被膜を破壊しなければならない。
【0008】
ここで、アルミニウム導体露出部は、他の被覆電線の導体露出部と超音波接合することで、上記の酸化皮膜を破壊して導電性を確保することができる。しかしながら、当該接合構造を、例えば自動車のような長期間苛酷な環境に晒される電線接続構造体に適用することを想定した場合、長期間にわたって導電性を確保することができなかった。
【0009】
本発明の第1の目的は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、アルミニウム系材料の被覆電線と銅系材料の被覆電線と強固に接合可能な電線接続構造体を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、アルミニウム系材料の被覆電線同士を強固に接合可能な電線接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の第1態様に係る電線接続構造体は、絶縁被覆電線を複数本束ねて接続した電線接続構造体であって、銅系材料で構成された銅導体に絶縁被覆を被覆して、該絶縁被覆の先端側を所定長さだけ剥いで該銅導体を露出させた銅導体露出部を有する1以上の銅導体被覆電線と、アルミニウム系材料で構成されたアルミニウム導体に絶縁被覆を被覆して、該絶縁被覆の先端側を所定長さだけ剥いで該アルミニウム導体を露出させたアルミニウム導体露出部を有する1以上のアルミニウム導体被覆電線と、を備え、前記アルミニウム導体には、Niが0.050質量%以上0.500質量%未満添加されており、前記銅導体露出部と前記アルミニウム導体露出部とが接合した超音波接合部を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、アルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、酸化皮膜特性が変化して超音波接合時に酸化皮膜が破壊されやすくなる。また、超音波接合によるアルミニウム導体と銅導体との接合界面に、Niを多く含んだ化合物相が形成されることにより、CuとAlの化合物による接合界面よりも強固に接合されることとなる。
【0013】
ここで、CuとAlの化合物層は、接合界面にコブの様な形で形成され、結晶粒界や不純物が起点になり成長し、その分布は不均一であるため、何らかの負荷がかかった場合、接合界面の破壊の起点に成りやすい。一方、本様態で形成される化合物層は、界面全体に渡り極薄く均一に成長しやすいため、破壊の起点に成り難い。加えて、Niのイオン化傾向がCuとAlの間にあることから、界面の耐腐食性も向上する。
【0014】
このようにアルミニウム導体に適切な量のNiを添加して接合界面の特性を変化させることにより、アルミニウム材料の被覆電線と銅系材料の被覆電線とを強固に接合することができる。したがって、本態様によれば、例えば自動車のような長期間苛酷な環境に晒されるような場合でも、長期間に亘って導電性を確保することができる。
【0015】
(2)本発明の第2態様に係る電線接続構造体は、第1態様において、前記1以上の銅導体被覆電線と前記1以上のアルミニウム導体被覆電線とを束ねた電線束の外周に設けられたジョイント管を更に備え、前記ジョイント管は、超音波振動が前記超音波接合部に伝搬可能に、前記電線束と当接した当接部を有することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、ジョイント管により電線束が覆われているので、超音波接合時にアルミニウム導体が溶けて超音波接合装置のアンビルなどに貼りついてしまうことを防止することができる。
【0017】
(3)本発明の第3態様に係る電線接続構造体は、第1又は第2態様において、前記銅導体は、酸素量0.1〜10ppmかつ銅が99.99質量%以上である無酸素銅であることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、酸素量と銅含有率が所定の条件を満たす無酸素銅、言い換えれば純度が高い銅系材料を、銅導体に使用することにより、超音波接合時にアルミニウム導体と銅導体との拡散速度が上昇して、超音波接合による接合界面をより強固に接合することができる。
【0019】
(4)本発明の第4態様に係る電線接続構造体は、絶縁被覆電線を複数本束ねて接続した電線接続構造体であって、アルミニウム系材料で構成されたアルミニウム導体に絶縁被覆を被覆して、該絶縁被覆の先端側を所定長さだけ剥いで該アルミニウム導体を露出させたアルミニウム導体露出部を有する2以上のアルミニウム導体被覆電線と、を備え、前記2以上のアルミニウム導体被覆電線のうち、前記アルミニウム導体にNiが0.050質量%以上0.500質量%未満添加されているアルミニウム導体被覆電線が1本以上存在し、前記アルミニウム導体にNiが0.050質量%以上0.500質量%未満添加されているアルミニウム導体被覆電線のアルミニウム導体露出部が、他のアルミニウム導体被覆電線のアルミニウム導体露出部と接合した超音波接合部を有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、アルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、酸化皮膜特性が変化して超音波接合時に酸化皮膜が破壊されやすくなる。また、超音波接合によるアルミニウム導体同士の接合界面に、Niを多く含んだ化合物相が形成される。具体的には、AlとAlの接合界面において特定量のNiが存在することで、超音波接合印加時にアルミ二ウム導体同士での金属結合の形成が促進される。その結果、アルミニウム電線間の界面が消失し、強固な接合が形成される。このようにアルミニウム導体に適切な量のNiを添加して接合界面の特性を変化させることにより、アルミニウム材料の被覆電線同士とを強固に接合することができる。したがって、本態様によれば、例えば自動車のような長期間苛酷な環境に晒されるような場合でも、長期間に亘って導電性を確保することができる。
【0021】
(5)本発明の第5態様に係る電線接続構造体は、第4態様において、前記2以上のアルミニウム導体被覆電線を束ねた電線束の外周に設けられたジョイント管を更に備え、前記ジョイント管は、超音波振動が前記超音波接合部に伝番可能に、前記電線束と当接した当接部を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、ジョイント管により電線束が覆われているので、超音波接合時にアルミニウム導体が溶けて超音波接合装置のアンビルなどに貼りついてしまうことを防止することができる。
【0023】
(6)本発明の第6態様に係る電線接続構造体は、第1乃至第5態様において、前記アルミニウム導体には、Niが0.100〜0.125質量%添加されていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、アルミニウム導体に添加するNi添加量を0.100〜0.125質量%の範囲に限定することで、アルミニウム導体と銅導体との接合界面、又はアルミニウム導体同士の接合界面をより強固に接合することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、アルミニウム材料の被覆電線と銅系材料の被覆電線とを強固に接合可能な電線接続構造体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について具体例を示して説明する。本実施形態は、絶縁被覆電線を複数本束ねて接続した電線接続構造体に関するものである。
【0028】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電線接続構造体10の分解斜視図である。電線接続構造体10は、
図1に示すように、2本の銅導体被覆電線21と、2本のアルミニウム導体被覆電線22と、から構成される合計4本の被覆電線を束ねた電線束を、ジョイント管30で被覆したものである。
【0029】
このような構成からなる第1実施形態に係る電線接続構造体10では、後述する超音波接合装置40を用いることにより、銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22とを導通可能にすることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、
図1に示すとおり、銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22のそれぞれの長手方向Xにおける一方を先端側Xaとするとともに、他方を他端側Xbとし、後述する超音波接合装置40によって銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22とを加圧する方向を加圧方向Zとし、長手方向Xおよび加圧方向Zに直交する方向を幅方向Yとする。
【0031】
<1−1.銅導体被覆電線>
銅導体被覆電線21は、
図2に示すように、銅または銅合金からなる銅系材料で構成した素線を複数束ねて構成した銅導体211を、絶縁性を有する合成樹脂で構成した絶縁被覆212で被覆した電線である。
【0032】
銅導体211は、具体的には後述するとおり、酸素量0.1〜10ppmかつ銅が99.99質量%以上である無酸素銅を用いることが好ましい。なお、銅導体211は、無酸素銅などの純銅のみに限らず、他の銅合金を用いてもよい。
【0033】
また、銅導体被覆電線21は、絶縁被覆212の先端側Xaを所定長さだけ剥いでアルミニウム導体221を露出させた部位(以下、銅導体露出部213という。)を有している。本実施形態では、銅導体被覆電線21の具体例として、銅系材料で構成した素線を11本拠りし、断面積が0.75mm
2となるように円形圧縮した拠線を用いる。
【0034】
<1−2.アルミニウム導体被覆電線>
アルミニウム導体被覆電線22は、
図1に示すように、アルミニウム合金からなるアルミニウム系材料で構成した素線を複数束ねて構成したアルミニウム導体221を、絶縁性を有する合成樹脂で構成した絶縁被覆222で被覆した電線である。
【0035】
アルミニウム導体221は、具体的には後述するとおり、銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22とを強固に接合するため、Niが0.050質量%以上0.500質量%未満、より好ましくは0.100〜0.125質量%添加されている。
【0036】
また、アルミニウム導体221は、高強度を実現するために、次のような組成からなるアルミニウム合金素材(以下、他のアルミニウム合金素材と区別するため、高強度アルミニウム合金素材と呼ぶ。)を用いることが好ましい。高強度アルミニウム合金素材は、Mg:0.1〜1.0質量%、Si:0.1〜1.2質量%、Fe:0.1001〜1.40質量%、Ti:0〜0.100質量%、B:0〜0.030質量%、Cu:0〜1.00質量%、Ag:0〜0.50質量%、Au:0〜0.50質量%、Mn:0〜1.00質量%、Cr:0〜1.00質量%、Zr:0〜0.50質量%、Hf:0〜0.50質量%、V:0〜0.50質量%、Sc:0〜0.50質量%、Co:0〜0.50質量%、残部:Al、Niおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金素材である。ここで、残部であるNiは、上述の通り、0.050質量%以上0.500質量%未満、より好ましくは0.100〜0.125質量%である。
【0037】
上記組成からなる高強度アルミニウム合金素材は、[1]溶解、[2]鋳造、[3]熱間加工(溝ロール加工など)、[4]第1伸線加工、[5]第1熱処理(中間熱処理)、[6]第2伸線加工、[7]第2熱処理(溶体化熱処理)、および[8]第3熱処理(時効熱処理)の各工程を順次行うことを含む製造方法によって製造することができる。なお、溶体化熱処理前後、または時効熱処理の後に、撚り線とする工程や電線に樹脂被覆を行う工程を設けてもよい。以下、[1]〜[8]の工程について説明する。
【0038】
[1]溶解
溶解工程では、上述した高強度アルミニウム合金素材の組成になるように各成分の分量を調整した材料を用意し、それを溶解する。
【0039】
[2]鋳造および[3]熱間加工(溝ロール加工など)
次いで、鋳造工程では冷却速度を大きくし、Fe系化合物の晶出を適度に減少、微細化する。好ましくは鋳造時における溶湯温度から400℃までの平均冷却速度が20〜50℃/sで、鋳造輪とベルトを組み合わせたプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いれば、例えば直径5〜15mmの棒材を得ることができる。また、水中紡糸法を用いれば、30℃/s以上の平均冷却速度で、直径1〜13mmの棒材を得ることができる。鋳造及び熱間加工(圧延)は、ビレット鋳造及び押出法などにより行ってもよい。また、上記鋳造後や熱間加工後に再熱処理を施してもよく、本再熱処理を施す場合は、400℃以上に保持される時間が30分以下であることが好ましい。
【0040】
[4]第1伸線加工
次いで、表面の皮むきを実施して、例えば直径5〜12.5mmφの適宜の太さの棒材とし、これを冷間で伸線加工する。加工度ηは、1〜6の範囲であることが好ましい。ここで「加工度η」は、伸線加工前の線材断面積をArea0、伸線加工後の線材断面積をArea1とすると、η=ln(Area0/Area1)で表される。
【0041】
[5]第1熱処理(中間熱処理)
次に、冷間伸線した被加工材に第1熱処理を施す。この第1熱処理は、被加工材の柔軟性を取り戻し、伸線加工性を高めるために行うものである。なお、伸線加工性が十分であり、断線が生じなければ第1熱処理は行わなくてもよい。
【0042】
[6]第2伸線加工
上記第1熱処理の後、さらに冷間で伸線加工を施す。この際の加工度ηは1〜6の範囲が好ましい。加工度ηは、再結晶粒の形成及び成長に影響を及ぼす。なお、第1熱処理を行わない場合、第1伸線加工と第2伸線加工は連続で行ってもよい。
【0043】
[7]第2熱処理(溶体化熱処理)
伸線加工した加工材に第2熱処理を施す。第2熱処理は、具体的には、450〜580℃の範囲内の所定温度で加熱し、所定時間保持し、その後、少なくとも150℃の温度までは10℃/s以上の平均冷却速度で冷却する熱処理である。
【0044】
第2熱処理における加熱時の所定温度は450〜580℃の範囲とし、好ましくは450〜540℃、より好ましくは480〜520℃の範囲とする。また、第2熱処理における前記所定温度で保持する時間は、再熱処理や中間熱処理を行う場合には、再熱処理、中間熱処理と合わせて30分以内にすることが好ましい。
【0045】
第2熱処理を行う方法としては、例えば、バッチ焼鈍、ソルトバス(塩浴)でも、高周波加熱、通電加熱、走間加熱などの連続熱処理でもよい。
【0046】
ただし、高周波加熱や通電加熱を用いた場合、通常は線材に電流を流し続ける構造になっているため、時間の経過と共に線材温度が上昇する。そのため、電流を流し続けると線材が溶融してしまう可能性があるので、適正な時間範囲にて熱処理を行う必要がある。走間加熱を用いた場合においても、短時間の焼鈍であるため、通常、走間焼鈍炉の温度は線材温度より高く設定される。長時間の熱処理では線材が溶融してしまう可能性があるため、適正な時間範囲にて熱処理を行う必要がある。以下、各方法による熱処理を説明する。
【0047】
高周波加熱による連続熱処理は、高周波による磁場中を線材が連続的に通過することで、誘導電流によって線材自体から発生するジュール熱により熱処理するものである。急熱、急冷の工程を含み、線材温度と熱処理時間で制御し線材を熱処理することができる。冷却は、急熱後、水中又は窒素ガス雰囲気中に線材を連続的に通過させることによって行う。この熱処理における加熱保持時間は、0.01〜2secとすることが好ましく、0.05〜1secとすることがより好ましく、さらに好適には0.05〜0.5secである。
【0048】
連続通電熱処理は、2つの電極輪を連続的に通過する線材に電流を流すことによって線材自体から発生するジュール熱により熱処理するものである。急熱、急冷の工程を含み、線材温度と熱処理時間で制御し線材を熱処理することができる。冷却は、急熱後、水中、大気中又は窒素ガス雰囲気中に線材を連続的に通過させることによって行う。この熱処理における加熱保持時間は、0.01〜2sとすることが好ましく、0.05〜1secとすることがより好ましく、さらに好適には0.05〜0.5secである。
【0049】
連続走間熱処理は、高温に保持した熱処理炉中を線材が連続的に通過して熱処理させるものである。急熱、急冷の工程を含み、熱処理炉内温度と熱処理時間で制御し線材を熱処理することができる。冷却は、急熱後、水中、大気中又は窒素ガス雰囲気中に線材を連続的に通過させることによって行う。この熱処理における加熱保持時間は、0.5〜30secであることが好ましい。
【0050】
[8]第3熱処理(時効熱処理)
次いで、第3熱処理を施す。時効熱処理は、20〜250℃の範囲内の所定温度で加熱する。
【0051】
さらに、時効熱処理における加熱・保持時間は、温度によって最適な時間が変化する。低温では長時間、高温では短時間の加熱が引張強度、伸びを向上させる上で好ましい。長時間の加熱では、例えば10日間以内であり、短時間での加熱では、好ましくは15時間以下、更に好ましくは8時間以下である。なお、時効熱処理における冷却は、特性のバラつきを防止するために、可能な限り冷却速度を速くすることが好ましい。
【0052】
また、追加の工程として、鋳造工程後や、熱間加工後に、従来法で行われているような均質化熱処理を行なうことも可能である。均質化熱処理は、加熱温度を450℃〜600℃にて行なうことが好ましく、より好ましくは500〜600℃である。また、均質化加熱処理における冷却は、0.1〜10℃/分の平均冷却速度で徐冷することが、均一な化合物が得られやすくなる点で好ましい。
【0053】
なお、アルミニウム導体221は、上記[1]〜[8]の工程により製造される高強度アルミニウムに限らず、例えば、ECAL線などの純アルミニウム、MSAL等の希薄アルミニウム合金などの他のアルミニウム合金素材を用いてもよい。
【0054】
また、アルミニウム導体被覆電線22は、絶縁被覆222の先端側Xaを所定長さだけ剥いでアルミニウム導体221を露出させたアルミニウム導体露出部223を有している。ここで、本実施形態では、1本のアルミニウム導体被覆電線22の具体例として、銅系材料で構成した素線を11本拠りし円形圧縮した後に断面積0.75mm
2の拠線にしたものを用いるものとする。
【0055】
<1−3.ジョイント管>
ジョイント管30は、
図1に示すように、2本の銅導体被覆電線21と2本のアルミニウム導体被覆電線22とを束ねた電線束の導体露出部の外周に設けられた銅製の管状体である。また、ジョイント管30は、超音波振動が後述の界面250(超音波接合部260)に伝搬可能となる程度に、電線束と当接した当接部31を有する。
【0056】
<1−4.超音波接合装置>
図2は、超音波接合装置40を用いて、銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22とを束ね、銅導体露出部213とアルミニウム導体露出部223との界面250を超音波接合し、超音波接合部260を形成する工程を説明するための模式図である。
【0057】
超音波接合装置40は、ホーン41とアンビル42とで、
図2に示すような界面250が形成されるように、ジョイント管30を挟持する。例えば
図2に示すように、超音波接合装置40は、ホーン41でアルミニウム導体露出部223側のジョイント管30の部分を挟持して、アンビル42で銅導体露出部213側のジョイント管30の部分を挟持する。そして、超音波接合装置40は、ホーン41により、長手方向X(
図2中の矢印A1)に振動する超音波振動を発振させると同時に、アンビル42により銅導体露出部213側から加圧方向Z(
図2中の矢印A2)に加圧してジョイント管30がずれないように押さえ込む。本実施形態では、超音波エネルギー150Ws、加圧力1.2barの条件で超音波接合を施すものとする。
【0058】
このようにして超音波接合装置40が動作することにより、ホーン41から発振される超音波振動が、アルミニウム導体露出部223内部を加圧方向Z(
図2中の矢印A31、A32)に伝搬する結果、アルミニウム導体露出部223から界面250を介して銅導体露出部213内部を加圧方向Z(
図2中の矢印A32)に伝搬され、界面250周辺に超音波接合部260が形成されることになる。また、ジョイント管30により電線束の導体露出部(銅導体露出部213、アルミニウム導体露出部223)が覆われているので、超音波接合中に、アルミニウム導体が溶けてアンビル42に貼りついてしまうことを防止することができる。
【0059】
図3(A)は超音波接合を行う前の界面250の内部構造を示す断面図であり、
図3(B)は超音波接合を行った後の超音波接合部260の内部構造を示す断面図である。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、超音波接合により、銅導体211とアルミニウム導体221の内部構造が変化して、銅導体211とアルミニウム導体221とが強固に結合した超音波接合部260が形成される。このようにして、超音波接合部260が形成されることで、銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22との間で導電可能となる。
【0060】
以上のようにして銅導体被覆電線21とアルミニウム導体被覆電線22との間で導電可能となる電線接続構造体10では、次に説明する引張強度の試験結果から明らかなとおり、アルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、界面250を強固に接合して、超音波接合部260を形成することができる。
【0061】
なお、銅導体被覆電線の本数、およびアルミニウム導体被覆電線の本数については、上述した本数、すなわち2本ずつである場合に限らない。つまり、Niが0.050質量%以上0.500質量%未満添加されたアルミニウム導体被覆電線と、そのほかの導線(銅導体被覆電線)の本数については、強度が十分に得られるように被覆電線同士が接触可能な配置であれば、適宜変更することが可能である。例えば、次に示す実施例では、1本の銅導体被覆電線と1本のアルミニウム導体被覆電線とを束ねた場合について説明する。
【0062】
<1−5.実施例>
表1は、本実施形態に係る電線接続構造体10について、各種材料の成分について異なる12種類の条件を設定した実施例を示している。具体的には、実施例では、銅導体211として2種類の銅系材料を用いるとともに、アルミニウム導体221に添加するNi添加量質量%を、0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲から6種類の条件を設定した。さらに、実施例では、1本の銅導体被覆電線と1本のアルミニウム導体被覆電線とを束ねて、超音波エネルギー150Ws、加圧力1.2barの条件で超音波接合を施した。
【0063】
また、表1では、上述した実施例の比較対象、つまり比較例を複数示している。比較例は、実施例と同様に、1本の銅導体被覆電線と1本のアルミニウム導体被覆電線とを束ねて、超音波エネルギー150Ws、加圧力1.2barの条件で超音波接合を施したが、各種材料の成分条件が実施例と異なる。主として、比較例では、アルミニウム導体におけるNi添加量質量%が、実施例の範囲外、つまり、0.050質量%未満、または0.500質量%以上とした。
【0064】
【表1】
上記の表1の各項目について説明する。
【0065】
「銅電線」の欄は、銅導体の成分を表している。「C1100」は、JIS銅合金番号であって、銅の純度が99.90質量%以上であるタフピッチ銅を表している。「無酸素銅」とは、具体的には、酸素量0.1〜10ppmかつ銅が99.99質量%以上である無酸素銅を表している。
【0066】
「アルミ電線」の欄は、Niを除いたアルミニウム導体の成分を表している。「高強度アルミ」は、上述した「高強度アルミニウム合金素材」の略称を表している。具体的に、「高強度アルミニウム合金素材」の組成として、Mg:0.5質量%、Si:0.7質量%質量%、Fe:0.20質量%、Mn:0.15質量%、Ti:0.012質量%、Zr:0.15質量%、残部:Al、Niおよび不可避不純物からなる組成を用いた。また、「1050」、「6060」、「6061」及び「7003」は、それぞれJISアルミニウム合金番号がA1050、A6060、A6061及びA7003であるアルミニウム合金を表している。
【0067】
「Ni添加量質量%」の欄は、アルミニウム導体に添加されたNiの質量%を表している。なお、当該欄の「−」は、0.05質量%未満であることを表している。
【0068】
「引張強度」の「初期」の欄は、実施例および比較例それぞれの電線接続構造体に対して、後述する耐久試験前(初期)の強度特性であって、JIS Z 2241:2011に準じた引張試験で得られる強度特性を表している。具体的には、同一の条件の実施例及び比較例ごとに超音波接合したサンプルを5つ使用し、5つのサンプルにおける引っ張り強度の平均値により良否を判定した。評価指標としては、ワイヤハーネスの用途を想定し、車体への組み付け時や走行の振動などで断線することなく使用可能とするために、高い引張強度が求められていることから、50N以上を合格レベルとした。合格レベルに到達した条件については、引張強度が50Nでその良好な順に「◎」、「○」とした。合格レベルに到達しない条件、つまり引張強度が50Nに到達しなかった場合については「×」とした。
【0069】
「引張強度」の「耐久試験後」の欄は、実施例および比較例に係る電線接続構造体に対して、耐久試験後の強度特性を表している。具体的には、JIS C 60068−2−27に準じた温度衝撃試験として、超音波接合のサンプルに対して、120℃に1時間放置後、−40℃に1時間放置を1000回繰り返した。そして、温度衝撃試験後に「初期」と同様の引張試験を実施した。ワイヤハーネスの用途を想定し、環境による劣化後でも断線することなく使用可能とするために、「初期」の引張試験と同じ50N以上を合格レベルとした。合格レベルに到達した条件については、良好な順に「◎」、「○」とした。合格レベルに到達しない条件については「×」とした。
【0070】
次に、表1により得られた実施例および比較例の引張強度について、以下のとおり評価する。
【0071】
まず、実施例については、第1〜第12実施例のいずれについても、「初期」および「耐久試験後」の両方において、引張強度が合格レベルを満たしている。一方、比較例については、一部の比較例、具体的には第1比較例、第2比較例、第4比較例、および第5比較例で「初期」における引張強度が合格レベルを満たしたが、全ての比較例、つまり第1比較例〜第10比較例で「耐久試験後」の引張強度が合格レベルを満たさなかった。
【0072】
このように第1実施例〜第12実施例の引張強度が良好な値を実現できたのは、アルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、酸化皮膜特性が変化して超音波接合時に酸化皮膜が破壊されやすくなるからである。また、アルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、超音波接合によるアルミニウム導体と銅導体との接合界面に、Niを多く含んだ化合物相が形成され、CuとAlの化合物による接合界面よりも強固に接合されるからである。
【0073】
具体的に、
図4に、CuとAlとの接合界面の拡大図を示す。CuとAlの化合物層は、例えば
図4(A)に示すように、接合界面400にコブの様な形が形成され、結晶粒界や不純物が起点になり成長し、その分布は不均一であるため、何らかの負荷がかかった場合、接合界面の破壊の起点に成りやすい。これに対して、第1実施例〜第12実施例で形成される化合物層は、上述したようにNiを多く含んだ化合物相が形成されることから、
図4(B)に示すように接合界面450全体に渡り極薄く均一に成長しやすく、破壊の起点に成り難い。加えて、Niのイオン化傾向がCuとAlの間にあることから、界面の耐腐食性も向上することとなる。
【0074】
一方、第1比較例〜第10比較例の引張強度が良好な値を実現できないのは、Ni添加量が0.050質量未満ではNiの添加による効果が低くなってしまうからである。また、Ni添加量が0.500質量以上だと、アルミニウム導体に堅い化合物層が形成されてしまい、超音波接合に適さなくなってしまうからである。
【0075】
次に、第1実施例〜第12実施例を相互に比較して評価する。まず、アルミニウム導体にNiを0.100〜0.125質量%の範囲で添加した実施例(第3、第4、第9、および第10実施例)では、いずれも「初期」の引張強度が特に高く、より強固に界面を結合できた。また、銅導体が「無酸素銅」である実施例(第7〜第12実施例)では、いずれも「初期」の引張強度が特に高く、より強固に界面を結合できた。特に、アルミニウム導体にNiを0.100〜0.125質量%の範囲に限定し、かつ銅導体が「無酸素銅」である場合に該当する実施例(第9、第10実施例)では、「初期」だけでなく「耐久試験後」においても引張強度が特に高く、合計12種類の実施例の中でも最も強固に界面を結合できた。
【0076】
このような試験結果から明らかなとおり、本実施形態に係る電線接続構造体10によれば、アルミニウム導体にNiを0.100〜0.125質量%添加することで、アルミニウム導体と銅導体との接合界面をより強固に接合することができる。また、本実施形態に係る電線接続構造体10によれば、「タフピッチ銅」に比べて純度が高い銅系材料である「無酸素銅」を銅導体に用いることにより、超音波接合時にアルミニウム導体と銅導体との拡散速度が上昇して、超音波接合による接合界面をより強固に接合することができる。
【0077】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電線接続構造体について、
図5を参照して説明する。
図5は、第2実施形態の電線接続構造体50の分解斜視図である。電線接続構造体50は、
図5に示すように、4本のアルミニウム導体被覆電線61を束ねた電線束を、ジョイント管70で被覆したものである。
【0078】
このような構成からなる第2実施形態に係る電線接続構造体50では、第1実施形態と同様に、超音波接合装置を用いることにより、アルミニウム導体被覆電線61同士を導通可能にすることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、アルミニウム導体被覆電線61の長手方向Xにおける一方を先端側Xaとするとともに、他方を他端側Xbとし、超音波接合装置によってアルミニウム導体被覆電線61を加圧する方向を加圧方向Zとし、長手方向Xおよび加圧方向Zに直交する方向を幅方向Yとする。
【0080】
アルミニウム導体被覆電線61は、
図5に示すように、アルミニウム合金からなるアルミニウム系材料で構成した素線を複数束ねて構成したアルミニウム導体611を、絶縁性を有する合成樹脂で構成した絶縁被覆612で被覆した電線である。
【0081】
4本のアルミニウム導体被覆電線61のうち、1本以上のアルミニウム導体被覆電線61のアルミニウム導体611は、第1実施形態に係るアルミニウム導体221と同様に、Niが0.050質量%以上0.500質量%未満、より好ましくは0.100〜0.125質量%添加されている。また、アルミニウム導体611は、高強度を実現するために、第1実施形態に係るアルミニウム導体221と同様に、上述した高強度アルミニウム合金素材を用いることが好ましい。
【0082】
また、アルミニウム導体被覆電線61は、絶縁被覆612の先端側Xaを所定長さだけ剥いでアルミニウム導体611を露出させたアルミニウム導体露出部613を有している。ここで、本実施形態では、1本のアルミニウム導体被覆電線61の具体例として、アルミニウム系材料で構成した素線を11本拠りし円形圧縮した後に断面積0.75mm
2の拠線にしたものを用いるものとする。
【0083】
ジョイント管70は、
図5に示すように、4本のアルミニウム導体被覆電線61を束ねた電線束の外周に設けられた銅製の管状体である。また、ジョイント管70は、超音波振動が後述の界面350(超音波接合部360)に伝搬可能となる程度に、電線束と当接した当接部71を有する。
【0084】
次に、
図6を参照して、超音波接合装置を用いて超音波接合部360を形成する工程について説明する。
【0085】
超音波接合装置40は、ホーン41とアンビル42とで、
図6に示すような界面650が形成されるように、ジョイント管70を挟持する。例えば
図6に示すように、超音波接合装置40は、ホーン41で加圧方向Z下方のアルミニウム導体露出部613側のジョイント管70の部分を挟持して、アンビル42側で加圧方向Z上方のアルミニウム導体露出部613側のジョイント管70の部分を挟持する。そして、超音波接合装置40は、ホーン41により、長手方向X(
図6中の矢印A1)に振動する超音波振動を発振させると同時に、アンビル42によりアルミニウム導体露出部613を加圧方向Z(
図6中の矢印A2)に加圧してジョイント管70がずれないように押さえ込む。本実施形態では、第1実施形態と同様に、超音波エネルギー150Ws、加圧力1.2barの条件で超音波接合を施すものとする。
【0086】
このようにして超音波接合装置40が動作することにより、ホーン41から発振される超音波振動が、アルミニウム導体露出部613内部を加圧方向Z(
図6中の矢印A31、A32)に伝搬する結果、アルミニウム導体露出部613から界面350を介してアルミニウム導体露出部613内部を加圧方向Z(
図6中の矢印A32)に伝搬され、界面350周辺に超音波接合部360が形成されることになる。つまり、超音波接合部360を介して、加圧方向Zに並んだアルミニウム導体被覆電線61、61同士で導電可能となる。また、ジョイント管70により電線束が覆われているので、超音波接合中に、アルミニウム導体が溶けてアンビル42に貼りついてしまうことを防止することができる。
【0087】
以上のようにして加圧方向Zに並んだアルミニウム導体被覆電線61、61同士で導電可能となる電線接続構造体50では、次に説明する引張強度の試験結果から明らかなとおり、1本以上のアルミニウム導体被覆電線61のアルミニウム導体にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、界面350を強固に接合して、超音波接合部360を形成することができる。
【0088】
なお、アルミニウム導体被覆電線の本数については、上述した本数、すなわち4本に限らず、Niが0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲内で添加されたアルミニウム導体被覆電線が1本以上存在すればよい。つまり、当該範囲内でNiが添加されたアルミニウム導体被覆電線と、当該範囲外でNiが添加されたアルミニウム導体被覆電線の本数は、強度が得られるようにアルミニウム導体被覆電線同士が接触できるような配置にあれば、適宜変更することが可能である。例えば、次に示す実施例では、2本のアルミニウム導体被覆電線とを束ねるものとし、少なくとも1本のアルミニウム導体被覆電線についてはNiが0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲内で添加されているものとして説明する。
【0089】
<2−1.実施例>
表2では、本実施形態に係る電線接続構造体50の一つ実施例と、比較対象となる一つの比較例とを示している。
【0090】
【表2】
「一方のアルミ電線」と「他方のアルミ電線」は、それぞれ超音波接合される電線を表している。「電線材料」の欄は、Niを除いたアルミニウム導体の成分を表している。「高強度アルミ」は、上述した「高強度アルミニウム合金素材」の略称を表している。「1050」はJISアルミニウム合金番号がA1050であるアルミニウム合金を表している。ここで、本実施例では、接合対象となる加圧方向Zに並んだ2つのアルミニウム導体については、Niを除き、同一組成のものを用いた。
【0091】
「Ni添加量質量%」の欄は、アルミニウム導体に添加されたNiの質量%を表している。なお、当該欄の「−」は、0.05質量%未満であることを表している。
【0092】
さらに、「引張強度」の「初期」および「耐久試験後」の欄は、第1実施形態と同様の評価試験を行ったときの評価指標を示している。
【0093】
表2から明らかなとおり、実施例については、大きく2種類に分けることができる。まず、第1乃至6実施例は、「一方のアルミ電線」のNi添加量を0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲内で変化させ、「他方のアルミ電線」のNi添加量を0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲外である0.010質量%に固定したものである。また、第7乃至第9実施例は、「一方のアルミ電線」と「他方のアルミ電線」ともにNi添加量を0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲内で変化させたものである。
【0094】
これに対して、比較例では、「一方のアルミ電線」と「他方のアルミ電線」ともに、「高強度アルミ」以外のアルミニウム系材料として「1050」を用いて、Ni添加量を0.05質量%未満とした。
【0095】
表2により得られた実施例および比較例の引張強度から明らかなように、実施例では、「初期」および「耐久試験後」の両方において、引張強度が合格レベルを満たした。つまり、4本のアルミニウム導体被覆電線61のうち、1本以上のアルミニウム導体被覆電線61について、Ni添加量が0.050質量%以上0.500質量%未満の範囲内にあることで、「初期」および「耐久試験後」の両方において、引張強度が合格レベルを満たした。一方、比較例では、「耐久試験後」の引張強度が合格レベルを満たさなかった。
【0096】
上記の結果から明らかなとおり、電線接続構造体50では、アルミニウム導体611にNiを0.050質量%以上0.500質量%未満添加することで、酸化皮膜特性が変化して超音波接合時に酸化皮膜が破壊されやすくなり、強固な結合を形成することができる。これは、超音波接合によるアルミニウム導体同士の接合界面に、Niを多く含んだ化合物相が形成されるからである。具体的には、AlとAlの接合界面において特定量のNiが存在することで、超音波接合印加時にアルミ二ウム導体同士での金属結合の形成が促進される結果、アルミニウム電線間の界面が消失し、強固な接合が形成されるからである。
【0097】
このようにアルミニウム導体に適切な量のNiを添加して接合界面の特性を変化させることにより、アルミニウム材料の被覆電線同士とを強固に接合することができる。したがって、第2実施形態に係る電線接続構造体50によれば、例えば自動車のような長期間苛酷な環境に晒されるような場合でも、長期間に亘って導電性を確保することができる。
【0098】
<3.その他>
なお、本発明は、上述した実施形態ないし実施例に限定されず、種々の変形例が可能である。例えば、上述した実施形態では、銅導体被覆電線およびアルミニウム導体被覆電線のそれぞれについて、素線を11本拠りし円形圧縮した後に断面積0.75mm
2の拠線にしたものを使用したが、この使用条件に限定されず、任意の電線径であっても、超音波接合による接合界面をより強固に接合することができる。
【0099】
また、本発明が適用される電線接続構造体は、ワイヤハーネスの用途に限らず、苛酷な環境に晒されるような用途において、長期間に亘ってアルミニウム材料の被覆電線と銅系材料の被覆電線とを強固に接合し続けることができる。