特許第6706857号(P6706857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706857
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】電線接続構造体及び電線接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   H01R4/70 J
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-46393(P2016-46393)
(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公開番号】特開2017-162689(P2017-162689A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117010
【氏名又は名称】古河電工パワーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】飯島 晃一
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−001167(JP,A)
【文献】 特開平08−306406(JP,A)
【文献】 特開昭51−138883(JP,A)
【文献】 特開昭59−023480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 3/00 − 4/22
H01R 4/62
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電線が互いに松葉接続された電線対と、
前記電線対の接続側における導体露出部の全体を被覆する被覆手段と
を備え、
前記被覆手段は、少なくとも部分的に重ねて貼り付けられた複数枚の可撓性粘着シートであり、
前記複数枚の可撓性粘着シートは、前記導体露出部の上に貼り付けられた1枚の絶縁性シートと、前記絶縁性シートの上に貼り付けられた2枚の防水性シートからなり、
前記2枚の防水性シートは、互いにサイズが異なり、大サイズの防水性シートが、小サイズの防水性シートの外側から部分的に重なっている
ことを特徴とする電線接続構造体。
【請求項2】
前記小サイズの防水性シートは、前記導体露出部の少なくとも先端面を覆う位置に貼り付けられ、
前記大サイズの防水性シートは、前記導体露出部の少なくとも外周面を覆う位置に貼り付けられる
ことを特徴とする請求項に記載の電線接続構造体。
【請求項3】
2本の電線を互いに松葉接続し、電線対を形成する接続工程と、
前記電線対の接続側における導体露出部の全体を被覆する被覆工程と
を備え、
前記被覆工程では、前記導体露出部の上に可撓性粘着シートである1枚の絶縁性シートを貼り付け、互いにサイズが異なる可撓性粘着シートである2枚の防水シートのうち小サイズの防水性シートを前記絶縁性シートに重ねて貼り付け、前記絶縁性シート及び前記小サイズの防水シートに前記2枚の防水シートのうち大サイズの防水シートを少なくとも部分的に重ねて貼り付けることを特徴とする電線接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松葉接続された電線対を有する電線接続構造体及び電線接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビル等の建造物の屋内や、ケーブルラック上において配線ケーブルを接続(連結)する配線工事が行われる。配線ケーブルの接続のために十分に広い空間が常に提供されているとは限られず、狭い空間内で接続しなければならないこともある。ケーブル接続に提供されている作業空間が狭く限りがある場合、配線ケーブル同士の接続部分を小さくするための接続形態として、いわゆる松葉接続が知られている。
【0003】
特許文献1では、プラスチック樹脂製のキャップを用いて導体露出部を封止する松葉接続構造が提案されている。具体的には、C型コネクタにより電線対の導体部分同士が電気的に接続されると共に、C型コネクタの周囲が絶縁体により覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−34137号公報(図8、[0024])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1で提案される構造では、導体露出部の接続形状(例えば、コネクタの種類、導体部分の太さ、絶縁部材の形状)に応じて異なる種類のキャップを準備しなければならず、その分だけ部品点数が増加してしまう。つまり、部品点数の削減の観点で、改良の余地が残されている。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、導体露出部の接続形状にかかわらず共通部品を利用できると共に、十分な封止性を確保可能な電線接続構造体及び電線接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る「電線接続構造体」は、2本の電線が互いに松葉接続された電線対と、前記電線対の接続側における導体露出部の全体を被覆する被覆手段を備え、前記被覆手段は、少なくとも部分的に重ねて貼り付けられた複数枚の可撓性粘着シートである。
【0008】
導体露出部の被覆手段として可撓性粘着シートを用いる場合、導体露出部の接続形状に沿って巻きながら、導体露出部の凹凸が少なくなるように当該シートを貼り付けることができる。つまり、導体露出部の接続形状に応じた種類の部品を準備しなくても済む。
【0009】
また、複数枚の可撓性粘着シートを少なくとも部分的に重ねて貼り付けることで、導体露出部の上に直接貼り付ける場合と比べて両者間の接触面積が増加し、その分だけ密着性が向上する。これにより、導体露出部の接続形状にかかわらず共通部品を利用できると共に、十分な封止性を確保できる。
【0010】
また、前記複数枚の可撓性粘着シートは、前記導体露出部の上に貼り付けられた1枚の絶縁性シートと、前記絶縁性シートの上に貼り付けられた2枚の防水性シートからなることが好ましい。
【0011】
また、前記2枚の防水性シートは、互いにサイズが異なることが好ましい。これにより、作業者は防水性シートの差異を視覚的に把握できると共に、導体露出部の形状に適した貼り合わせが可能となる。
【0012】
また、前記2枚の防水性シートは、大サイズの防水性シートが、小サイズの防水性シートの外側から部分的に重なっていることが好ましい。大サイズの防水性シートによって外側から押さえ付ける構造となるので、小サイズの防水性シートが剥がれにくくなる。
【0013】
また、前記小サイズの防水性シートは、前記導体露出部の少なくとも先端面を覆う位置に貼り付けられ、前記大サイズの防水性シートは、前記導体露出部の少なくとも外周面を覆う位置に貼り付けられることが好ましい。導体露出部の各面のサイズに見合った防水性シートを用いることで、少ない所要面積でかつ効率的に導体露出部の全体を被覆できる。
【0014】
本発明に係る「電線接続方法」は、2本の電線を互いに松葉接続し、電線対を形成する接続工程と、前記電線対の接続側における導体露出部の全体を被覆する被覆工程を備え、前記被覆工程では、複数枚の可撓性粘着シートを少なくとも部分的に重ねて順次貼り付ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電線接続構造体及び電線接続方法によれば、導体露出部の接続形状にかかわらず共通部品を利用できると共に、十分な封止性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、本実施の形態に係る電線接続構造体の平面図であり、(b)は、本実施の形態に係る電線接続構造体の内部構造を示す透視図である。
図2図1(b)におけるII−II線上の部分断面図である。
図3】複数枚の可撓性粘着シートの寸法を説明する図である。
図4】(a)は、2本の電線を松葉接続するために露出した線材を接触させる工程を説明する図であり、(b)は、(a)における電線対の導体露出部をコネクタによって圧着する工程、及び被覆材に防水材を設ける工程を示す図であり、(c)は、結束部材によって各電線を互いに結束させる工程を示す図である。
図5】(a)は、導体露出部に絶縁性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、(b)は、(a)に示した工程後の電線対の部分断面図である。
図6】(a)は、絶縁性シートに重ねて小サイズの防水性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、(b)は、(a)に示した工程後の電線対の断面図である。
図7】(a)は、絶縁性シート及び小サイズの防水性シートの上に重ねて大サイズの防水性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、(b)は、(a)に示した工程後の電線対の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において種々の形態をとり得る。
【0018】
図1(a)は、本発明に係る電線接続構造体の平面図であり、図1(b)は、本発明に係る電線接続構造体の内部構造を示す透視図である。
【0019】
図2は、図1(b)におけるII−II線上において、特に導体露出部の領域を部分的に断面にした断面図である。
【0020】
<電線接続構造体の構成>
図1(a)、(b)に示すように、電線接続構造体1は松葉接続型の構造体である。電線接続構造体1は、JCAA(Japan Power Cable Accessories Association) A102性能規格に準拠している。ここで「松葉接続型」とは、接続しようとする2本の電線21の先端部を互いに拝み合わせるように接触させた接続方式のことである。例えば松葉接続された電線対2の各線材21aの先端面が同じ方向を向いた状態になっている。
【0021】
電線接続構造体1は、それぞれ後述する、2本の電線21が互いに松葉接続された電線対2と、電線対2の接続側における導体露出部23の全体を被覆する被覆手段4と、電線対2の基端側から被覆手段4内への湿分の浸入を防ぐ防水材6と、電線対2の各電線21をその基端側で結束する結束部材8と、を備えている。
【0022】
[電線対]
電線対2は、図1(b)に示すように、導電性の線材21aと、線材21aを被覆する絶縁材21bと絶縁性の被覆材21cとが同軸的に設けられている2本の電線21を備えている。線材21aは、絶縁材21b及び被覆材21cの先端部分を剥離することで外部に露出している。
【0023】
電線21の線材21aは、素線を複数本撚り合わせてなる撚り線である。素線は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅或いは銅合金からなる金属材料からなる。線材21aの形態は、撚り線に限られることなく単線であってもよい。
【0024】
絶縁材21bは、線材21aを外部から絶縁する物質であれば材料の種類は問わない。絶縁材21bは、例えば、架橋ポリエチレンからなる。
【0025】
被覆材21cは、線材21aを外部から絶縁する物質であれば材料の種類は問わない。被覆材21cは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂からなる。
【0026】
電線対2は、各電線21の絶縁材21b及び被覆材21cによって覆われていない露出した線材21aの先端部を互いに拝み合わした状態で接続するコネクタ22を有する。コネクタ22としては、例えば圧着金具であるC型コネクタ、P型コネクタが挙げられるが、特に限定されない。また、コネクタ22の材質は導電性であればよく、特に限定されない。
【0027】
コネクタ22は、電線21の露出した線材21a同士を導電可能に接続するための部材である。コネクタ22は、特に露出した線材21aの先端側で線材21a同士を圧着するようにして取り付けられている。各電線21はコネクタ22を介して松葉状に接続されている。
【0028】
電線対2には、露出している線材21aをコネクタ22により互いに接続した導体部分が形成されている。ここで、「導体部分」とは、外部に露出している線材21aのみならずコネクタ22を含む部分である。この導体部分は、絶縁材21bや被覆材21cによって被覆されていない部分であり、この部分を特に「導体露出部」23と称呼する。
【0029】
導体露出部23には、導体露出部23の包絡面、各線材21a同士の包絡面間の凹み、コネクタ22の表面形状、及びコネクタ22と各線材21aとの間における段差が原因となって凹凸のある接続形状が形成されている。
【0030】
[被覆手段]
被覆手段4は、電線対2の導体露出部23を全体的に被覆するものである。具体的に被覆手段4は、少なくとも部分的に互いに重ねて貼り付けられた複数枚の可撓性粘着シート41,42,43であり、被覆対象に対して巻付け可能に又は折り曲げ可能に貼り付けることができる。
【0031】
複数枚の可撓性粘着シートの内訳は、図2に示す実施の形態においては、導体露出部23に貼り付けられた1枚の絶縁性シート41と、絶縁性シート41の上に貼り付けられた互いにサイズの異なる2枚の防水性シート42,43と、である。具体的には、電線対2の導体露出部23側から、1枚の絶縁性シート41、1枚の小サイズの防水性シート42、1枚の大サイズの防水性シート43の順に、3枚の可撓性粘着シートが互いに少なくとも部分的に導体露出部23に重ねられている。
なお、図2において、実際にはシート毎に重ねて巻いているが、図示の便宜上、これらをまとめて、特に絶縁性シート41を単層として図示している。
【0032】
導体露出部23に貼り付けられる前の絶縁性シート41は平面視矩形状に形成されている(図3参照)ことが好ましい。絶縁性シート41は、絶縁性を有する材質を用いて形成されていればよい。絶縁性シート41は、例えば架橋ポリエチレン製で片面にはアクリル粘着剤が塗布されている。絶縁性シート41は、導体露出部23を外部に対して絶縁するために、電線対2の導体露出部23に少なくとも周方向から巻くようにして貼り付けられている。
【0033】
絶縁性シート41に重ねて導体露出部23の位置に貼り付けられる前の小サイズの防水性シート42は平面視矩形状に形成されている(図3参照)ことが好ましい。小サイズの防水性シート42は、例えば基材と粘着剤層からなる二層構造である。小サイズの防水性シート42の材質は、耐候性が必要とされる設置環境に応じて選択される。例えば、基材にはエチレンプロピレンゴムをベースとするものが選択され、粘着剤層にはブチルゴムをベースとするものが選択される。
【0034】
小サイズの防水性シート42は、外部、特に電線対2の先端側から絶縁性シート41への、つまりは導体露出部23への湿分の浸入を防止するためのものである。小サイズの防水性シート42は、導体露出部23の少なくとも先端面を覆う位置に貼り付けられている。
【0035】
導体露出部23の少なくとも外周面を覆う位置に貼り付ける前の大サイズの防水性シート43は、外部、特に電線対2の基端側及び周方向側から導体露出部23への湿分の浸入を防止するためのものである。大サイズの防水性シート43は、小サイズの防水性シート42の外側から部分的に重なる位置関係下にある。つまり大サイズの防水性シート43は、電線対2の周方向から小サイズの防水性シート42及び小サイズの防水性シート42と重なっていない絶縁性シート41の部分に巻くようにして貼り付けられている。
【0036】
大サイズの防水性シート43の巻付け回数は、少なくとも1周回以上あることが好ましい。大サイズの防水性シート43は、電線対2の延在方向において、小サイズの防水性シート42の先端部から、後述する防水材6にわたっている。なお、大サイズの防水性シート43の形状及び材質については、小サイズの防水性シート42と同じであるので説明を省略する。
【0037】
[防水材]
防水材6としては防水パテを使用することができ、防止材6の材質としては、耐候性が必要とされる環境に応じて選択され、例えばブチルゴム等が選択される。防水材6は、電線対2の基端側から複数枚の可撓性粘着シート41,42,43の内部、ひいては導体露出部23への湿分の浸入を防止するためのものである。
【0038】
防水材6は、図2に示すように、電線対2の絶縁材21bと被覆材21cとの境を含む部分に、電線21の各被覆材21cの全周を覆うようにして取り付けられている。具体的に、防水材6は、主に被覆材21cと大サイズの防水性シート43との間に設けられている。
【0039】
[結束部材]
結束部材8は、例えばナイロン製のものが挙げられるが特に限定しない。結束部材8は、各電線21を電線対2の基端側、具体的には防水材6よりも基端側で、各電線21が不都合に互いに離反しないように結束するためのものである。結束部材8の使用数は自由に設定可能である。
【0040】
<電線接続構造体の組立て>
次に、図3図7を用いて電線接続構造体の組立手順を説明する。
(0.前工程)
図3は、複数枚の可撓性粘着シート、具体的には、絶縁性シート、小サイズの防水性シート及び大サイズの防水性シートの寸法を説明する図である。
【0041】
まず、図3に示すような、導体露出部23を被覆する絶縁性シート41、小サイズの防水性シート42及び大サイズの防水性シート43を準備する。可撓性のシート41,42,43を用いることで、電線対2の各電線21の直径、具体的には各線材21aの直径寸法の相違による導体露出部23の接続形状に関係なく、各シート41,42,43を導体露出部23に巻き付けることができる。説明の便宜上、シートの長辺側の長さ(mm)をL、短辺側の幅(mm)をWとする。
【0042】
ここで、絶縁性シート41の長さをL、幅をWとする。絶縁性シート41は、図5(a)に示すように、長辺方向において導体露出部23に周方向から巻かれて、その端部同士が少なくとも重なる寸法を有している。つまり、長さLは、導体露出部23に巻き付けることができるに十分な寸法を有していればよい。また、幅Wは、導体露出部23の電線対2の延在方向での長さよりも大幅に大きな寸法を有していればよい。
【0043】
次に、小サイズの防水性シート42の長さをL、幅をW、大サイズの防水性シート43の長さをL、幅をWとする。この場合、小サイズ及び大サイズの防水性シート42,43の長さL,L及び幅W,Wは、以下の関係を満たすようになっていることが好ましい。
<L
≦W
≦L
<L
(L・W)<(L・W
サイズの異なる防水性シート42,43により、サイズの差異を視覚的に容易に把握することができるので、貼り間違えを防止することができる。
【0044】
上記の関係において小サイズの防水性シート42及び大サイズの防水性シート43の間に特定の比率はなく、実際の値は任意に設定可能である。なお、以下の関係を満たす場合、効率的に防水性シート42,43を断裁・分離することができる。
=W又はW=L
【0045】
小サイズの防水性シート42は先端側からその長さLを電線対2の延在方向に沿って折り曲げられて、導体露出部23の少なくとも先端面を覆う位置に先端側から貼り付けられる(図6(a)参照)。つまり、長さLは、電線対2の先端側から折り曲げられた状態で絶縁性シート41に十分に重なる寸法を有していればよい。また、幅Wは、導体露出部23の最大幅よりも大幅に大きな寸法を有していればよい。
【0046】
大サイズの防水性シート43は、図7(a)に示すように、長辺方向において導体露出部23の少なくとも外周面を覆う位置に周方向から巻かれて、端部同士が少なくとも重なる寸法を有している。つまり、長さLは、導体露出部23の位置で既に貼り付けられた絶縁性シート41及び小サイズの防水性シート42に重ねて少なくとも1周回以上巻くことができる十分な寸法を有していればよい。また、幅Wは、防水材6から小サイズの防水性シート42の先端部を覆い隠すに十分な寸法を有していればよい。
【0047】
なお、絶縁性シート41と小サイズの防水性シート42、及び絶縁性シート41と大サイズの防水性シート43の長さL、幅W、面積(L・W)の各寸法間に特定の比率はなく、各寸法は自由に設定可能である。
【0048】
(1.接続工程)
図4(a)は、2本の電線を松葉接続するために外部に露出した線材同士を接触させる工程を説明する図であり、図4(b)は、接触させられた線材の部分をコネクタによって圧着する工程を示す図である。
【0049】
先端部において絶縁材21b及び被覆材21cが剥がされて線材21aが露出した電線21を2本用意し、各電線21の基端側が同じ方位に位置するように揃えて、露出した線材21aの先端部同士を接触させる(図4(a)参照)。
【0050】
次いで、露出した線材21aの先端側に、コネクタ22を装着して各電線21同士を松葉接続する。これにより電線対2が形成されると共に、導体露出部23が形成される(図4(b)参照)。
【0051】
(2.防水処理工程)
図4(b)は、被覆材に防水材を設ける工程を示す図でもあり、図4(c)は、結束部材によって各電線を互いに結束させる工程を示す図である。
【0052】
接続工程の後、各電線21の絶縁材21bと、各電線21の被覆材21cとの隣接部分において、被覆材21cの外周面を完全に包むようにして防水材6を電線対2に取り付ける(図4(b)参照)。
【0053】
次いで、防水材6に対して電線対2の基端側で互いに離間自由な状態になっている電線21同士に結束部材8を取り付けて、互いに不都合に離間しないように2本の電線21を結束する。これにより、被覆材21c間に防水材6が挟まれて防水性が高まる(図4(c)参照)。
【0054】
(3.被覆工程)
図5(a)は、導体露出部に絶縁性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、図5(b)は、図5(a)に示した工程後の電線対の、特に導体露出部における領域を部分的に断面にした断面図である。
【0055】
図6(a)は、絶縁性シートに重ねて小サイズの防水性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、図6(b)は、図6(a)に示した工程後の電線対の、特に導体露出部における領域を部分的に断面にした断面図である。
【0056】
図7(a)は、絶縁性シート及び小サイズの防水性シートに重ねて大サイズの防水性シートを貼り付ける工程を説明する図であり、図7(b)は、図7(a)に示した工程後の電線対の、特に導体露出部における領域を部分的に断面にした断面図である。
【0057】
防水処理工程の後、複数枚の可撓性粘着シートを少なくとも部分的に重ねて順次貼り付ける。まず、図5(a)、(b)に示すように、電線対2の導体露出部23を覆い隠すように、長辺方向において周方向に導体露出部23に絶縁性シート41を巻いて貼り付ける。絶縁性シート41の巻付けは、絶縁性シート41の短辺方向に沿った端部同士が重なり合うように実施することが好ましい。電線対2の基端側において絶縁性シート41は、各電線21の絶縁材21bに部分的に重ねて貼り付けられている。
【0058】
導体露出部23は上記の凹凸のある接続形状のため、絶縁性シート41が実際に導体露出部23に接触する面積は限られている。そのため、絶縁性シート41の貼り付けは、上記の導体露出部23の凹凸を少なくするように覆うようにして行う。導体露出部23の外周に絶縁性シート41により滑らかな表面を形成する。
【0059】
次に、図6(a)、(b)に示すように、小サイズの防水性シート42を、長辺方向において電線対2の先端側から基端側に向かって折り曲げて絶縁性シート41上に貼り付けて、電線対2の先端側から絶縁性シート41を部分的に覆う。短辺方向において絶縁性シート41と重ならない小サイズの防水性シート42の部分は、小サイズの防水性シート42同士を互いに貼り合わせる。
【0060】
なお、小サイズの防水性シート42の長辺方向での折り曲げ部の角部は、図6(a)に示すように、重なり合うシート同士の間に折り込まれて角が取れた折込部42aを形成してもよい。折込部42aは、先端側及び周方向側においてシートに閉じた部分を形成する。
【0061】
最後に、大サイズの防水性シート43を、図7(a)、(b)に示すように、短辺方向において、小サイズの防水性シート42の先端部、特に折込部42aに部分的に重ね、かつ防水材6に部分的に重ねて巻いて貼り付ける。大サイズの防水性シート43の貼り付けは、当該シート43を引っ張りながら、小サイズの防水性シート42及び小サイズの防水性シート42から露出している絶縁性シート41に重ねて貼り付けていく。
【0062】
絶縁性シート41により形成された凹凸の少ない滑らかな面に重ねてさらに小サイズ及び大サイズの防水性シート42,43を貼り付けることで、両防水性シート42,43を導体露出部23に対応する位置において容易に貼り付けることができる。さらに、絶縁性シート41と小サイズ及び大サイズの防水性シート42,43との接触面積を大きく確保することができるので、導体露出部23における密着性が上がり封止性が向上する。
【0063】
前工程、接続工程、防水処理工程及び被覆工程をもって電線接続構造体1の組立が完了する。
【0064】
(作用、効果)
以上のような構成を有する電線接続構造体1によれば、導体露出部23は上記の凹凸のある接続形状を有し、絶縁性シート41が実際に導体露出部23に接触する面積は限られている。ここで、絶縁性シート41は、電線対2の導体露出部23の外表面における凹凸を少なくするように、周方向から導体露出部23に巻かれて貼り付けられている。そのため、絶縁性シート41により形成された凹凸の少ない滑らかな面に重ねてさらに防水性シート42,43を貼り付けることで、防水性シート42,43を導体露出部23に対応する位置において容易に貼り付けることができる。さらに、絶縁性シート41と防水性シート42,43との接触面積を大きく確保することができるので、導体露出部23における密着性が上がり封止性が向上する。
【0065】
さらに、電線対2の各電線21の直径、具体的には各線材21aの直径寸法の相違による導体露出部23の接続形状に左右されずに、共通の可撓性粘着シート、具体的には、絶縁性シート41、小サイズ及び大サイズの防水性シート42,43を用いることができる。これにより、導体露出部23の接続形状に応じた部品を用意する必要はなくなる。
【0066】
また、小サイズの防水性シート42の上に重ねて、小サイズの防水性シート42の絶縁性シート41との接着面の大部分を覆うようにして大サイズの防水性シート43を貼り付けるので、小サイズの防水性シート42が剥がれるのを効果的に防止することができる。さらに、サイズの異なる防水性シート42,43により、サイズの差異を視覚的に容易に把握することができるので、貼り間違えを防止することもできる。
【0067】
<その他>
なお、耐火性能を考慮して、導体露出部23と絶縁性シート41との間にマイカ製の耐火テープを設けることもできる。
絶縁性シート41の貼付後、絶縁性シート41が電線対2の先端方向に大幅に延びている場合には、余分な部分を電線対2の基端側に向かって折り曲げることが好ましい。折り曲げることにより、絶縁性シート41における先端側からの封止性が高まる。
各シート41,42,43の形状は、平面視楕円形等の他の形状であってもよい。
【0068】
<変形例1>
次に、図示はしないが、電線接続構造体の変形例1について説明する。変形例1においては、上記の実施の形態とは異なり、複数枚の可撓性粘着シートは、1枚の絶縁性シート41及び1枚の防水性シートを含み、互いに部分的に重ねて貼り付けられている。導体露出部23全体を覆う観点から、防水性シートとしては、大サイズの防水性シート43であることが好ましい。
【0069】
<変形例2>
次に、図示はしないが、電線接続構造体の変形例2について説明する。変形例2においては、上記の実施の形態とは異なり、複数枚の可撓性粘着シートは、1枚の絶縁性シート41及び3枚以上の防水性シートを含み、互いに部分的に重ねて貼り付けられている。防水性シートとしては、少なくとも小サイズ及び大サイズの防水性シートの両方を含んでいれば、3枚の防水性シートの組合せは自由に設定可能である。
【0070】
<変形例3>
次に、図示はしないが、電線接続構造体の変形例3について説明する。変形例3においては、上記の実施の形態とは異なり、複数枚の可撓性粘着シートは、複数枚の防水性シートのみである。複数の防水性シートとしては、少なくとも小サイズ及び大サイズの防水性シートの両方を含んでいることが好ましいが、特に限定されない。変形例3においては、絶縁性シートの代わりに他の絶縁部材によって導体露出部23を被覆するようになっており、他の絶縁部材の上に、複数枚の防水性シートが互いに部分的に重ねて貼り付けられている。
【符号の説明】
【0071】
1 電線接続構造体
2 電線対
4 被覆手段
21 電線
21a 線材
21b 絶縁材
21c 被覆材
22 コネクタ
23 導体露出部
41 絶縁性シート
42,43 防水性シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7