特許第6706861号(P6706861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706861
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20200601BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20200601BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   H02G3/16
   B60R16/02 610C
   H05K7/20 H
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-90814(P2016-90814)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-200369(P2017-200369A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 宗光
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂人
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−062724(JP,U)
【文献】 特開2009−254075(JP,A)
【文献】 実開平03−104023(JP,U)
【文献】 特開平06−217438(JP,A)
【文献】 特開2014−120536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/08−3/20
H05K 5/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が装着される箱本体と、
該箱本体の下方に配置される下部箱体と、
前記箱本体の上方に配置される蓋体とで構成され、
前記下部箱体に設けられ、外部に通じる下部側通気路と、
前記箱本体および前記蓋体の間に形成され、外部に通じる蓋側通気路と、
前記箱本体を貫通し、前記箱本体の下方と前記蓋側通気路を通気する本体側通気路とで構成される通気路が形成されるとともに、
該通気路の通気を促進させる送風手段が設けられ、
前記箱本体の略中央が前記蓋体側に突出する略錐台型に形成された
電気接続箱。
【請求項2】
前記送風手段は、前記本体側通気路における前記蓋体側に配置された電動ファンで構成され、
該電動ファンによる送風方向が、前記下部箱体から前記蓋体に向かう方向である
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記下部側通気路は、ワイヤハーネスを挿通するハーネス挿通部で構成された
請求項1または2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記ハーネス挿通部付近に、固定バンドを挿通するバンド挿通孔が形成された
請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記蓋側通気路から外部に通じる部分が、上下方向において前記下部側通気路と重なり合わないように配置された
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記下部側通気路が複数備えられた
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
電気部品が装着される箱本体と、
該箱本体の下方に配置される下部箱体と、
前記箱本体の上方に配置される蓋体とで構成され、
前記下部箱体に設けられ、外部に通じる下部側通気路と、
前記箱本体および前記蓋体の間に形成され、外部に通じる蓋側通気路と、
前記箱本体を貫通し、前記箱本体の下方と前記蓋側通気路を通気する本体側通気路とで構成される通気路が形成されるとともに、
該通気路の通気を促進させる送風手段が設けられ、
前記下部側通気路は、ワイヤハーネスを挿通するハーネス挿通部で構成された
電気接続箱。
【請求項8】
電気部品が装着される箱本体と、
該箱本体の下方に配置される下部箱体と、
前記箱本体の上方に配置される蓋体とで構成され、
前記下部箱体に設けられ、外部に通じる下部側通気路と、
前記箱本体および前記蓋体の間に形成され、外部に通じる蓋側通気路と、
前記箱本体を貫通し、前記箱本体の下方と前記蓋側通気路を通気する本体側通気路とで構成される通気路が形成されるとともに、
該通気路の通気を促進させる送風手段が設けられ、
前記蓋側通気路から外部に通じる部分が、上下方向において前記下部側通気路と重なり合わないように配置された
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車などの車両に搭載される電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載される電気接続箱は、内部に設けたバスバーに対してリレーなどの電気部品を接続する箱本体と、箱本体の下方に配置し、バスバーなどに接続されるワイヤハーネスを収容する下方内部空間を有する下部箱体と、箱本体の上部を囲繞する蓋体とで構成している。
【0003】
このように構成する電気接続箱において、箱本体のバスバーにワイヤハーネスを通じて電力が供給されると、バスバーや電気部品、あるいはバスバーと接続されるワイヤハーネスなどが発熱し、熱に対して脆弱な電気部品などが本来の機能を果たせなくなるおそれがある。
【0004】
このような発熱に対する熱対策のひとつとして、例えば特許文献1に記載の電気接続箱では、下部箱体に電動ファンを設け、下部箱体に形成した吸気口から下方内部空間内へ外気を取り込むことで、発熱する箱本体より下方の下方内部空間を冷却できるとされている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の電気接続箱は、箱本体よりも上方の空間と下方内部空間とが箱本体によって隔離されているため、吸気口と電動ファンを備えた下部箱体の下方内部空間、つまり箱本体の下面は冷却できるものの、電気部品を装着する箱本体の上面は十分に冷却することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−037017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、箱本体の全体を効率良く冷却できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、電気部品が装着される箱本体と、該箱本体の下方に配置される下部箱体と、前記箱本体の上方に配置される蓋体とで構成され、前記下部箱体に設けられ、外部に通じる下部側通気路と、前記箱本体および前記蓋体の間に形成され、外部に通じる蓋側通気路と、前記箱本体を貫通し、前記箱本体の下方と前記蓋側通気路を通気する本体側通気路とで構成される通気路が形成されるとともに、該通気路の通気を促進させる送風手段が設けられ、前記箱本体の略中央が前記蓋体側に突出する略錐台型に形成された電気接続箱を特徴とする。
【0009】
上記電気部品は、例えば、リレーやヒューズなどを含むものとする。
上記箱本体は、内部に備えたバスバーなどを含む接続端子を介して、上面から装着する前記電気部品と、下面から接続するワイヤハーネスとで電気回路を構成するものである。
【0010】
上記蓋側通気路は、例えば、前記箱本体に形成した貫通孔などを介して外部に間接的に通じる蓋側通気路や、前記箱本体と前記蓋体との隙間から外部に直接通じる蓋側通気路を含むものとする。
上記略錐台型は、例えばピラミッド状のような四角錐台型や、コーン状の円錐台型などを含むものとし、外面や内面が階段状のものや平面状のものを含む。
【0011】
上記送風手段は、例えば電動駆動する電動ファンや、前記電気接続箱の内部と外部との気圧差を利用する送風手段などを含み、外部から内部に外気を取り込むとともに、前記電気接続箱の内部の通気体を外部に排出するものである。なお、上記通気体は、前記電気接続箱の内部にもともとあった内気や、外部から内部に取り込まれた外気を含むものとする。
【0012】
この発明により、箱本体の全体を効率良く冷却できる。
詳述すると、前記電気接続箱に形成される前記通気路を、外部と通じる前記下部側通気路と前記蓋側通気路とが前記本体側通気路によって連結される態様となるため、前記送風手段によって外部から内部に外気を取り込むとともに、下方から上方、または上方から下方に向けて通気体を送風し、外部に排出することができる。
【0013】
換言すると、前記送風手段によって内部に外気を取り込むとともに、通電して発熱する前記電気部品などと熱交換しながら通気体が前記通気路を通気して外部に排出されるため、前記電気接続箱における前記箱本体より下方および上方にわたって換気でき、前記箱本体の全体を効率良く冷却することができる。
【0014】
また、例えば略中央が前記蓋体側に突出せず、単に本体側通気路を形成した箱本体と比較して、前記箱本体の略中央の突出部分における高さ成分だけ、前記通気路を通過する通気体と前記箱本体との接触面積を増大できるため、前記箱本体の全体をより効率良く冷却することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記送風手段は、前記本体側通気路における前記蓋体側に配置された電動ファンで構成され、該電動ファンによる送風方向を、前記下部箱体から前記蓋体に向かう方向とすることができる。
【0016】
この発明により、前記送風手段を簡素な構成とすることができるとともに、前記通気路を通気する通気体の送風条件を所望の条件とすることができ、さらには、前記箱本体の全体をすばやく冷却することができる。
【0017】
詳述すると、前記送風手段を前記電動ファンで構成することで、簡素な構成とすることができるとともに、前記通気路を通気する通気体の送風量や送風速度などの送風条件が適切な前記電動ファンを適宜選択することができる。
【0018】
さらに、前記箱本体の略中央を前記蓋体側に突出する略錐台型に形成した場合、送風方向を前記下部箱体から前記蓋体に向かう方向とすることで、前記通気路の通気を促進する前記電動ファンに加えて、前記下部箱体から前記蓋体に向けて高さを有する略錐台型に形成された前記箱本体の上方に向けて熱気が上昇するいわゆる煙突効果によって、熱交換により温められた通気体を前記蓋体側に効率良く送風し、外部に排出することができる。
【0019】
したがって、前記送風手段を簡素な構成とすることができるとともに、前記通気路を通気する通気体の送風条件を所望の条件とすることができ、さらには、前記箱本体の全体をすばやく冷却することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記下部側通気路を、ワイヤハーネスを挿通するハーネス挿通部で構成することができる。
この発明により、前記通気路として前記下部側通気路を別途設けることなく、前記ハーネス挿通部を前記通気路として用いることができるため、前記下部箱体の構成を簡素化できるとともに、前記下部箱体の剛性が低下することを防止でき、さらには、前記ハーネス挿通部から取り込む外気によって前記ワイヤハーネスも冷却することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記ハーネス挿通部付近に、固定バンドを挿通するバンド挿通孔を形成することができる。
この発明により、前記ハーネス挿通部におけるバンド挿通孔に前記ワイヤハーネスを引き寄せて固定できるため、前記ハーネス挿通部において前記ワイヤハーネスの配置状態がばらつかず、前記ハーネス挿通部から安定した効率の良い吸排気を行うことができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記蓋側通気路から外部に通じる部分を、上下方向において前記下部側通気路と重なり合わないように配置することができる。
この発明により、例えば、前記蓋側通気路から外部に通じる部分から排出された通気体が、外気として再び前記下部側通気路から吸気されることを抑制できる。つまり、外気と通気体との意図しない循環を抑制することができるため、前記箱本体の冷却効果を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記下部側通気路を複数備えることができる。
この発明により、前記下部側通気路をひとつのみ備えた場合と比較して、前記箱本体を広範囲にわたって冷却できるとともに、前記電気接続箱の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【0024】
詳述すると、前記電気接続箱は、前記下部側通気路を複数備えることで、外気を内部に取り込んだり、通気体を外部に排出したりする吸排気口を複数備えることとなり、一方向からだけでなく多方向からの吸排気を行うことができる。これにより、前記箱本体を広範囲にわたって効率良く冷却することができる。
【0025】
さらに、同じ開口面積をひとつの下部側通気路で構成した場合と比較して、複数の前記下部側通気路を形成した場合の方が開口面積を小さく形成することができる。これにより、前記電気接続箱の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【0026】
したがって、前記下部側通気路をひとつのみ備えた場合と比較して、前記箱本体を広範囲にわたって効率良く冷却できるとともに、前記電気接続箱の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、箱本体の全体を効率良く冷却できる電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】分解した状態のリレーボックスの概略斜視図。
図2】分解した状態のリレーボックスの概略拡大断面図。
図3】組み付けた状態のリレーボックスの概略斜視図。
図4】組み付けた状態のリレーボックスの概略拡大断面図。
図5】他の実施形態における分解した状態のリレーボックスの概略斜視図。
図6】他の実施形態における分解した状態のリレーボックスの概略拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を、以下図1から図4を用いて説明する。
図1はベース10、アンダカバー20、アッパカバー30を上下方向Zに分解した状態のリレーボックス1の概略斜視図を示し、図2は左右方向の中央部分において前後方向に沿って切断した分解状態のリレーボックス1の概略拡大断面図を示している。
【0030】
図3はベース10、アンダカバー20、アッパカバー30を組み付けた状態のリレーボックス1の概略斜視図を示し、図4図2と同様の位置で切断した組み付け状態のリレーボックス1の概略拡大断面図を示している。
なお、図1におけるベース10は、電動ファン14を分解した状態を示し、図2にのみワイヤハーネスWを破線であらわしている。
【0031】
また、本実施形態におけるリレーボックス1の構成の理解を容易にするために、図1における左手前側を前方とするとともに、右奥側を後方とし、左奥側を左側とするとともに、右手前側を右側とする。そして、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向Zとする。
【0032】
本実施形態におけるリレーボックス1は、リレーRやヒューズFを装着するベース10と、ベース10の下方Lに配置されるアンダカバー20と、ベース10の上方Uを囲繞するアッパカバー30とを上下方向Zに沿って組み付けて構成しており、外部から内部に取り込んだ外気を通気させる通気路40が形成されている。
まず、以下において、リレーボックス1を構成するベース10、アンダカバー20およびアッパカバー30について、図1から図3を用いて説明する。
【0033】
ベース10は、略四角錐台状に形成されたベース本体11と、ベース本体11の下方Lに鍔状に形成されたベース鍔部12とで略ハット状に形成されている。このベース10には、ベース本体11から下方Lに延設した略筒状のベース筒部13と、内部に取り込んだ外気の通気を促進させる電動ファン14とが設けられている。
【0034】
ベース本体11は、上方Uに向けて徐々に中心に向かう4段構造のピラミッド状に形成されており、上下方向Zに貫通するように形成された本体側内部空間S1によって板厚が略一定となるように形成されている。
このような4段構造のベース本体11の上段から順に第1段差部11a、第2段差部11b、第3段差部11c、第4段差部11dとする。
【0035】
第1段差部11aの上面にはリレーRを装着する複数のリレー挿入部111が設けられ、第2段差部11b〜第4段差部11dの上面にはヒューズFを装着する複数のヒューズ挿入部112が設けられている。なお、第1段差部11a〜第4段差部11dの下面には、各段差部11a〜11dの内部に備えた端子(図示省略)を介してリレーRやヒューズFと接続するワイヤハーネスWが接続されている。
【0036】
ベース鍔部12は、ベース本体11の下方Lの外周縁から前後方向および左右方向に沿って外部に突出し、上方Uからみて略長方形の環状となるように形成されている。このベース鍔部12には、上下方向Zに貫通する複数の鍔部側貫通孔121が外周縁に沿って形成されている。なお、ベース鍔部12の外周縁において、上下方向Zに沿う面を外周面122とする。
【0037】
鍔部側貫通孔121は、上方Uからみて後述するアンダカバー20のハーネス挿通部21と上下方向Zに重なり合わないように配置されている。鍔部側貫通孔121の配置位置について詳述すると、ベース鍔部12の前方における左側および右側に1つずつ配置されるとともに、後方における左側、中央および右側に1つずつ配置され、左側および右側における前方に1つずつ配置されている。つまり、鍔部側貫通孔121は、ベース鍔部12に7つ形成されている。
【0038】
ベース筒部13は、ベース本体11の下端から下方Lに延設されており、後述するアンダカバー20の内側に挿入される。
電動ファン14は、第1段差部11aに対応する本体側内部空間S1に配置され、リレーボックス1に取り込んだ外気を通気体として下方Lから上方Uに向けて送風する。なお、電動ファン14の電源は、ワイヤハーネスWから供給してもよいし、車両駆動用のバッテリを用いて供給してもよい。
【0039】
ベース10の下方Lに配置されるアンダカバー20は、上方Uからみた外形がベース本体11の外形より板厚分大きい略長方形となるように、上面が開口した内部中空状の略箱状に形成され、内部にワイヤハーネスWを収容する下方内部空間S2を有している。
このアンダカバー20には、ワイヤハーネスWを挿通するハーネス挿通部21と、下方内部空間S2に侵入した水分を外部に排出する水抜き孔22が形成されている。
【0040】
ハーネス挿通部21は、ワイヤハーネスWを挿通可能にアンダカバー20の上端から下方Lに向けて略U字状に切り欠き、外部に向けて突出形成されている。
このハーネス挿通部21の底面および側面には、挿通したワイヤハーネスWを結束バンド(図示省略)で結束固定するためのバンド挿通孔211が形成されている。
【0041】
このように構成するハーネス挿通部21は、アンダカバー20の前方の面における左右方向中央部分に1つ形成され、左側および右側の面における後方に1つずつ形成されている。つまり、左側および右側の面に形成されたハーネス挿通部21は左右対称形状に形成されている。
このように配置された全てのハーネス挿通部21は、上方Uからみて上述した鍔部側貫通孔121と上下方向Zに重なり合っていない。
【0042】
ベース10の上方Uを囲繞するアッパカバー30は、下面が開口した内部中空状の略箱状に形成されており、ベース本体11の上方Uを囲繞する上方蓋部31と、ベース鍔部12を周方向に囲繞する下方蓋部32とで構成されている。
【0043】
上方蓋部31は、ベース鍔部12の外形より僅かに小さく形成されている。つまり、上方蓋部31は、ベース鍔部12よりも上方Uからみた外形が小さいベース本体11よりもひと回り大きな略ピラミッド型に形成されている。
【0044】
下方蓋部32は、上方蓋部31から下方Lに向けて突出形成されている。
なお、この下方蓋部32の内周面321は、リレーボックス1の組み付け状態において、ベース鍔部12の外周面122と密着するように対向する。
【0045】
以上のように構成したベース10を囲繞するようにアンダカバー20とアッパカバー30とを組み付けて、図3に示すようなリレーボックス1を構成する。
次に、以下において、ベース10、アンダカバー20およびアッパカバー30を組み付けて構成したリレーボックス1と通気路40について、図4を用いて説明する。
【0046】
組み付け状態におけるリレーボックス1は、ベース10のベース筒部13がアンダカバー20の内側に挿入されるとともに、図示省略する下方固定手段によってベース10とアンダカバー20とが固定されており、同様に、アッパカバー30の下方蓋部32がベース鍔部12の外側に挿入されるとともに、図示省略する上方固定手段によってベース10とアッパカバー30とが固定されている。
【0047】
このように組み付けられたベース10とアッパカバー30との間には上方内部空間S3が形成され、下方内部空間S2と上方内部空間S3とが本体側内部空間S1を介して連通し、ハーネス挿通部21および鍔部側貫通孔121を介して外部に通じている。つまり、ハーネス挿通部21、下方内部空間S2、本体側内部空間S1、上方内部空間S3、および鍔部側貫通孔121で内部を通気する通気路40を形成している。
【0048】
そして、本体側内部空間S1の上方Uに配置された電動ファン14は、ハーネス挿通部21から取り込んだ外気が、通気体として下方内部空間S2、本体側内部空間S1および上方内部空間S3をこの順に通過して鍔部側貫通孔121から外部に排出されることを促進する。つまり、リレーボックス1は、外部から内部に取り込む外気と、通気路40を通じて外部に排出される通気体によって、内部を換気可能に構成している。
【0049】
上述のように構成したリレーボックス1は、アンダカバー20に設けられ、ハーネス挿通部21を介して外部に通じる下方内部空間S2と、ベース10およびアッパカバー30の間に形成され、鍔部側貫通孔121を介して外部に通じる上方内部空間S3と、ベース10を貫通し、下方内部空間S2と上方内部空間S3を通気する本体側内部空間S1とで構成される通気路40が形成されるとともに、通気路40の通気を促進させる電動ファン14を設けたことで、ベース10の全体を効率良く冷却できる。
【0050】
詳述すると、リレーボックス1に形成される通気路40を、ハーネス挿通部21を介して外部と通じる下方内部空間S2と、鍔部側貫通孔121を介して外部と通じる上方内部空間S3とが本体側内部空間S1によって連結される態様となるため、電動ファン14によって外部から内部に外気を取り込むとともに、下方Lから上方Uに向けて通気体を送風し、外部に排出することができる。
【0051】
換言すると、電動ファン14によって内部に外気を取り込むとともに、通電して発熱するリレーRやヒューズFと熱交換しながら通気体が通気路40を通気して外部に排出されるため、リレーボックス1における下方内部空間S2および上方内部空間S3にわたって換気でき、ベース10の全体を効率良く冷却することができる。
【0052】
また、ベース10の略中央を上方Uに突出する略ピラミッド型に形成することで、例えば孔略中央が上方Uに突出せず、単に本体側内部空間を形成したベースと比較して、ベース10の略中央における突出部分の高さ成分だけ、通気路40を通過する通気体とベース10との接触面積を増大できるため、ベース10の全体をより効率良く冷却することができる。
【0053】
また、送風手段として用いる電動ファン14を、本体側内部空間S1における上方Uに配置し、電動ファン14による送風方向を、下方Lから上方Uに向かう方向とすることで、ベース10の全体をすばやく冷却することができる。
【0054】
詳述すると、送風方向を下方Lから上方Uに向かう方向とすることで、通気路40の通気を促進させる電動ファン14に加えて、ベース10の略中央を上方Uに突出させた略ピラミッド型のベース10の上方Uに向けて熱気が上昇するいわゆる煙突効果によって、熱交換により温められた通気体を上方Uに効率良く送風し、外部に排出することができる。
したがって、電動ファン14と煙突効果との相乗効果によってベース10の全体をすばやく冷却することができる。
【0055】
また、外部から内部に外気を取り込む吸気口として、ワイヤハーネスWを挿通するハーネス挿通部21で構成することで、外気を取り込む吸気口を別途設けることなく、ハーネス挿通部21を通気口として用いることができるため、アンダカバー20の構成を簡素化できるとともに、アンダカバー20の剛性が低下することを防止でき、さらには、ハーネス挿通部21から取り込む外気によってワイヤハーネスWも冷却することができる。
【0056】
また、ハーネス挿通部21に、上記結束バンドを挿通するバンド挿通孔211を形成することで、ハーネス挿通部21におけるバンド挿通孔211、つまりハーネス挿通部21における下方LにワイヤハーネスWを引き寄せて固定できるため、ハーネス挿通部21においてワイヤハーネスWの配置状態がばらつかず、ハーネス挿通部21におけるワイヤハーネスWより上方Uから安定した効率の良い吸気を行うことができる。
【0057】
また、上方内部空間S3から外部に通じる鍔部側貫通孔121を、上下方向Zにおいてハーネス挿通部21と重なり合わないように配置することで、例えば、鍔部側貫通孔121から排出された通気体が、外気として再びハーネス挿通部21から吸気されることを抑制できる。つまり、外気と通気体との意図しない循環を抑制することができるため、ベース10の冷却効果を向上させることができる。
【0058】
また、ハーネス挿通部21を複数備えることで、ハーネス挿通部をひとつのみ備えた場合と比較して、ベース10を広範囲にわたって冷却できるとともに、リレーボックス1の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【0059】
詳述すると、リレーボックス1は、ハーネス挿通部21を複数備えることで、外気を内部に取り込む吸気口を複数備えることとなり、一方向からだけでなく多方向からの吸気を行うことができる。これにより、ベース10を広範囲にわたって効率良く冷却することができる。
【0060】
さらに、同じ開口面積をひとつのハーネス挿通部21で構成した場合と比較して、複数のハーネス挿通部21を形成した場合の方が開口面積を小さく形成することができる。これにより、リレーボックス1の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【0061】
したがって、ハーネス挿通部21をひとつのみ備えた場合と比較して、ベース10を広範囲にわたって効率良く冷却できるとともに、リレーボックス1の内部に粉塵や砂塵、水分などの異物の侵入を抑制することができる。
【0062】
仮に、下方内部空間S2に上記異物が侵入した場合であっても、アンダカバー20に形成した水抜き穴22から上記異物を排出することができるため、例えば、電気回路を構成するベース10の損傷を抑制することができる。もちろん、水抜き穴22から外気を内部に取り込むことができる。
【0063】
同様に、ベース鍔部12に鍔部側貫通孔121を形成したことで、仮に上方内部空間S3に上記異物が侵入した場合であっても、鍔部側貫通孔121から侵入した上記異物を排出することができる。
【0064】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の電気接続箱は、実施形態のリレーボックス1に対応し、
以下同様に、
箱本体は、ベース10に対応し、
下部箱体は、アンダカバー20に対応し、
蓋体は、アッパカバー30に対応し、
下部側通気路およびハーネス挿通部は、ハーネス挿通部21に対応し、
本体側通気路は、本体側内部空間S1に対応し、
蓋側通気路は、上方内部空間S3に対応し、
送風手段および電動ファンは、電動ファン14に対応し、
電気部品は、リレーRやヒューズFに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0065】
例えば、上述したような本実施形態のベース10を構成するベース鍔部12よりも、前後方向の長さを短く形成したベース鍔部12aで構成されたベース10aを用いてリレーボックス1aを構成してもよい(図5参照)。
なお、図5は分解した状態のリレーボックス1aの概略斜視図を示し、図6図2と同様の位置で切断した組み付け状態のリレーボックス1aの概略拡大断面図を示している。
【0066】
このように構成した組み付け状態のリレーボックス1aは、ベース鍔部12aの左側および右側における外周面122と、アッパカバー30の内周面321とが密着する一方で、図6に示すように、ベース鍔部12aの前方および後方における外周面122と、アッパカバー30の内周面321との間に隙間が形成される。
【0067】
これにより、前後方向に沿って送風される外気の通気路40aは、ハーネス挿通部21を介して外部と通じる下方内部空間S2、本体側内部空間S1、および上方内部空間S3で形成され、上方内部空間S3が外部に直接通じることとなる。
【0068】
したがって、上述したような本実施形態と同様に、通気路40を通じてリレーボックス1aの内部の換気を効率良く行うことができるため、ベース10aの全体を効率良く冷却することができる。さらには、上述した鍔部側貫通孔121よりも開口面積が拡大するため、通気路40に送風される外気の量が増大し、ベース10aの冷却効果を向上させることができる。
【0069】
さらに、上記隙間は、上方内部空間S3と外部とを連通することができればよく、上述のリレーボックス1aのように、前後方向の長さをベース鍔部12より短く形成したベース鍔部12aで構成されたベース10aを用いてベース鍔部12aの左側および右側における外周面122と、アッパカバー30の内周面321との間に形成することだけに限定しない。例えば、アッパカバー30の下方蓋部32と密着するベースの外周面122の一部やアンダカバーの側面の一部を、リレーボックスの内側に向けて窪ませることで隙間を形成してもよい。
【0070】
また、上述の本実施形態では、電動ファン14を第1段差部11aに対応する本体側内部空間S1に配置したが、例えば、電動ファンに第1段差部11aより上方Uに配置してもよい。この場合、電動ファンの下面に複数の脚部を設け、脚部と第1段差部とを固定させる構成が望ましく、さらには、ベース本体11を上下方向Zに貫通して本体側内部空間S1を形成できれば、第1段差部に孔部を複数設けてもよい。
【0071】
また、上述の本実施形態では、リレーボックス1について上述したが、リレーボックス1だけに限らず、例えば、発熱によって電気部品が本来の機能を果たせなくなるおそれがあるジャンクションボックスやヒューズボックスなどにも同様の構成を用いることができる。
【0072】
また、上述の本実施形態では、4段構造のピラミッド状に形成された略四角錐台型のベース本体11を用いたが、例えばコーン状に形成された略円錐台型のベース本体であってもよいし、3段構造や5段構造などの複数の段差構造のベース本体であってもよい。
【0073】
また、上述の本実施形態では、第1段差部11aにリレー挿入部111を設け、第2段差部11b〜第4段差部11dにヒューズ挿入部112を設けたが、第1段差部11a〜第4段差部11dのいずれにも、リレー挿入部111やヒューズ挿入部112を適宜配置することができる。
【0074】
また、上述の本実施形態のように、上方Uからみて鍔部側貫通孔121とハーネス挿通部21とが上下方向Zに重なり合わなければ、鍔部側貫通孔とハーネス挿通部との個数や配置位置を適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0075】
1,1a…リレーボックス
10,10a…ベース
14…電動ファン
20…アンダカバー
21…ハーネス挿通部
211…バンド挿通孔
30…アッパカバー
40,40a…通気路
S1…本体側内部空間
S3…上方内部空間
R…リレー
F…ヒューズ
W…ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6