(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転コネクタをコンビネーションスイッチに対して固定する突片および該突片が係止する被係止部を有し、前記突片の先端部には、横方向に張りだす係止爪が形成された回転コネクタの固定構造であって、
前記突片における前記係止爪に一体形成され、前記係止爪を変位させて係止方向に付勢する可撓性を有した付勢部と、
前記係止爪に形成され、前記被係止部に対して斜めに当接する当接面を備え、
前記突片は、前記回転コネクタのステータに一体形成された突片部材と、該突片部材の先端部に取り付ける係止爪部材で構成され、
前記係止爪部材に前記係止爪及び前記付勢部が備えられ、
前記突片部材に、厚さ方向に貫通する保持穴を有し、
前記係止爪部材に、前記係止爪、前記付勢部、前記保持穴に保持する2個の嵌合部、該嵌合部を支持する保持枠及び弾性支持部が備えられ、
前記保持枠及び前記弾性支持部は、前記係止爪部材における幅方向の中間部分に配置されるとともに、
前記保持枠は、嵌合部より先端側に延びて突片部材を挟んで連結されて、嵌合部同士を一体に連結し、
弾性支持部は、嵌合部より後方斜め外方に向けて延びたのち後方に延びており、
前記当接面を有する前記係止爪は、保持枠及び弾性支持部と隙間をあけて前記幅方向の左右両側に一対形成されるとともに、
当接面より先端側に延びるとともに、突片部材を挟んで対となり、先端で連結され、前記突片の先端を形成する爪先端側部と、
当接面より後方に延びるととともに、後端が弾性支持部と幅方向に一体化される後端側部とが設けられ、
前記付勢部が、一対の前記当接面をつなぐ爪先端側部と、弾性支持部とで形成された
回転コネクタの固定構造。
【背景技術】
【0002】
回転コネクタは例えばエアバッグシステム等の電気的接続手段として使用されるものである。回転コネクタはエアバッグを搭載するステアリングホイールに固定されるロテータと、このロテータを回転可能に支持するステータを有し、ロテータとステータで形成される内部空間にフレキシブルフラットケーブルを巻回状態で収納している。この構成により、ステアリングホイールの回転に伴ってロテータが回転しても電気的接続状態を維持できる。
【0003】
回転コネクタをコンビネーションスイッチに対して固定する固定構造には、ねじを用いる場合よりも簡単に固定作業ができるように係止が用いられている。つまり、
図17に示したように、回転コネクタ101のステータ102には突片103が形成され、コンビネーションスイッチのブラケットには
図18に示したように、突片103が係止する被係止部104が形成されている。
【0004】
突片103は横断面長方形の棒状で、先端部には、横方向に張りだすとともに被係止部104に対して相対移動して被係止部104を越えたときに被係止部104に係止する係止爪105が形成されている。
【0005】
固定に際して突片103は、係止爪105が被係止部104に係止する前段で弾性変形し、係止爪105が被係止部104を越えたのちに弾性復帰して常態に戻って、係止爪105を被係止部104の対向側に係止させる。
【0006】
しかし、このような係止構造では、弾性変形した突片103が元の形状に戻るようにするため、係止爪105とこれに対向する被係止部104との間に一定のクリアランスを設けておく必要がある。このため、突片103の差し込み方向でのガタつきが生じる難点がある。
【0007】
このようなガタつきが生じる状態であると異音が発生しやすい。しかも、回転コネクタ101は
図19に示したように、ステアリングホイール106とコンビネーションスイッチ107の間に設けられるものであり、回転コネクタ101には電気的接続のためのハーネスがステアリングホイール側とステアリングコラム側に接続されているため、ハーネスの配索状態によっては
図19に矢印で示したようにハーネスが回転コネクタ101を押し上げてしまうことがある。この場合には、押し上げられた回転コネクタ101がステアリングホイール106と接触しての異音の発生やその他の不都合を招来することがあった。
【0008】
回転コネクタのガタつきを防止するため、下記特許文献1のような技術が開示されている。この取付け構造は、ガタつきを防止するための変位吸収部材を備えるというもので、コンビネーションスイッチに対して弾性的に当たる弾性片やクッション材をステータに設けている。
【0009】
このような構成では、変位吸収部材が回転コネクタを押し上げきった状態にするので、回転コネクタが不測に浮き上がることを防止できる。しかしながら、回転コネクタとコンビネーションスイッチとの間にスペースが必要である上に、余分な材料や部材が必要となる。このため小型化や低コスト化はできない。また、特にクッション材を備える場合には材料の劣化やクッション材の脱落が考えられ、効果の持続の点で難がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0024】
まず、
図1に示した回転コネクタ11の概略構造を説明する。
【0025】
この回転コネクタ11は自動車のステアリングホイールとコンビネーションスイッチを電気的に接続するものである。
図1には回転コネクタ11の下面、つまり
図2に示したコンビネーションスイッチ21に対して固定する側の面をあらわしている。コンビネーションスイッチ21には固定のために複数の受け部22が形成されている。
【0026】
回転コネクタ11は、中央に円形の穴を有する略環状で、下面側に位置する固定側部材としてのステータ12と、上面側に位置する回転側部材としてのロテータ13を備える。ステータ12とロテータ13は合成樹脂製である。
【0027】
ステータ12は、略環状をなす固定側リング部材12aと、この固定側リング部材12aにおける外周側部位の上面に係合して一体化される平面視円形をなす外周筒部材12bとで構成されている。
【0028】
ステータ12の外周側には、外方に張りだす左右2個のコネクタハウジング14が形成されている。コネクタハウジング14にはコネクタが内蔵される。これらコネクタハウジング14の位置は、自動車への組み付け時に下側になる両側部分である。
【0029】
ステータ12の固定側リング部材12aの下面には、コンビネーションスイッチ21に固定するための突片15を有する。突片15は固定側リング部材12aの外周部位における3か所に、これらを結ぶと三角形をなすように配設される。3本の突片15の形成位置は、ステータ12における前述した2個のコネクタハウジング14の近傍位置12x,12yと、これらコネクタハウジング14から離れた位置12zである。
【0030】
ロテータ13は、図示しないフレキシブルフラットケーブルが収容される環状をなす収容空間をステータ12上に形成できるように、断面略逆L字状をなす環状に形成される。
図1中、13aはロテータ13に一体形成されたコネクタハウジングであり、ここにもコネクタが内蔵される。
【0031】
つぎに、回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と、この突片15が係止する被係止部22aを有した受け部22について説明する。
【0032】
突片15は受け部22との間の距離に基づいて設定された適宜長さの棒状で、先端部には係止爪31が形成されている。この係止爪31は、
図3に示したように横方向、つまり突片15の長手方向に対する横方向に張りだすとともに受け部22に対して相対移動して受け部22の被係止部22aを越えたのちに被係止部22aに係止するものである。
【0033】
係止爪31には、係止爪31を変位させて係止方向に付勢する可撓性を有した付勢部15aを一体に備える。また係止爪31には受け部22の係止側角部23に対して対向側から斜めに当接する当接面32が形成されている。この当接面32は、当接状態において付勢部15aを撓ませて受け部22に対して付勢力を発揮させる位置に形成されている。換言すれば、当接面32は受け部22の被係止部22aにおける係止側角部23と常態において干渉する位置に形成されている。
【0034】
図1、
図3に示した例では、係止爪31は突片15の本体である棒状部16の片側のみに張りだしている。具体的には、棒状部16は横断面長方形で基部から係止爪31まで同一の太さである。係止爪31は棒状部16の横断面における長辺を構成する一つの面に形成されている。係止爪31は
図3に示したように側面視略三角形状に張りだすもので、先端から後方に向けて張り出すように傾いている従動面33は外に向けて膨らむ凸曲面で形成されている。従動面33は固定に際して受け部22に当たって変形作用を受ける部分である。
【0035】
この従動面33の下端には棒状部16の方向に向かう水平面34が形成され、この水平面34と棒状部16との間に、前述の当接面32が形成されている。当接面32は平らな傾斜面で形成されている。当接面32は傾斜面ではなく凹状のアール面であってもよい。当接面32の傾斜角度は適宜設定されるが、たとえば棒状部16の長手方向に対して30度から60度、好ましくは45度くらいの角度であるとよい。
図1中、35は肉抜きのための凹部である。
【0036】
従動面33と水平面34が結合する角部分は、係止爪31における当接面32の差し込み方向先端位置の近傍で当接面32から180度より小さい角度で連続して係止爪31のうち横方向にもっとも張り出す突部36である。
【0037】
このような係止爪31を棒状部16の一側に備えた形状の突片15の場合には、棒状部16が係止爪31を有する方向とその反対の方向に弾性変形して撓んで係止爪31を変位させるので、棒状部16の全体、つまり突片15における係止爪31より基部側の全体が前述の付勢部15aを構成することになる。
【0038】
突片15の付け根部分における撓み方向側の部分には、隅アール面17が形成されている。
【0039】
係止爪31が係止する受け部22は、
図2、
図3に示したように、少なくとも係止爪31が係止する板状の被係止部22aを有する形状であればよく、四方が囲まれた穴状でなくてもよい。
【0040】
図2に示した3個の受け部22は、板状の被係止部22aの両側に、係止した係止爪31を規制する側壁24を備えている。3個の受け部22のうちステータ12のコネクタハウジング14に近い位置の受け部22は、
図3に示したように被係止部22aにおける裏側、つまり差し込み方向の面に係止爪31の先端側部分を規制する側壁24を有している。他の1個の受け部22は、被係止部22aの両側に外側に突出する側壁24を有して三方が囲まれた形状である。いずれの被係止部22aも差し込み側の縁に面取り面22bが形成されている。
【0041】
突片15の形成位置は、前述のように係止爪31の当接面32が受け部22における被係止部22aの係止側角部23に当接した時に受け部22に対して付勢力を発揮させるように、受け部22との関係において設定される。具体的には、
図3に仮想線で示したように、常態において当接面32と干渉する位置に受け部22の係止側角部23が位置するように双方の位置関係を設定する。干渉の程度は、付勢部15aの可撓性や係止爪31の大きさ、形状などに応じて適宜設定される。
【0042】
前述のような突片15の構成は、3か所の突片15のうち、少なくともコネクタハウジング14に近い位置の2本の突片15に採用する。これは、コネクタハウジング14にハーネスが接続されるためで、コネクタハウジング14に近い部分がハーネスの配索状態によって浮き上がる可能性が高いからである。すべての箇所の突片15に前述の構成の突片15を使用してもよい。
【0043】
このように構成された回転コネクタ11の固定構造では、回転コネクタ11をコンビネーションスイッチ21に対して移動させて突片15を受け部22に対して差し込むようにすることによって固定が行える。
【0044】
図3に実線で示したような状態から突片15を受け部22に向けて移動させると、突片15の係止爪31の従動面33が受け部22の面取り面22bにあたって付勢部15a、つまり棒状部16がのけ反るように撓む。この撓みによって、係止爪31は被係止部22aから離れて横方向に移動する。つまり変位した係止爪31が受け部22の被係止部22aを通過することが可能となり、係止爪31が被係止部22aを通過すると、付勢部15aが弾性復帰しようとする。このとき係止爪31の突部36が受け部22の係止側角部23から勢いよくはずれ、係止爪31が受け部22の被係止部22aを越えたことを振動と音によって認識できる。弾性復帰しようとする付勢部15aは、係止爪31を係止方向、つまり被係止部22aに向けて変位させ、
図4に示したように当接面32を被係止部22aの係止側角部23に当接させる。この当接によって突片15と受け部22との間の位置関係を保持する。このとき、当接面32が当接状態において付勢部15aを撓ませて被係止部22aの係止側角部23に対して付勢力を発揮させる位置に形成されているので、付勢部15aは常態に戻らず付勢部15aによる付勢力は作用し続けた状態である。
【0045】
このため、回転コネクタ11の浮き上がりが、ガタつきと共に防止される。しかも、当接面32は傾斜面であるため無段階で被係止部22aに係止するので公差などに関わりなく確実な固定ができるうえに、付勢部15aによる付勢力を良好に働かせ固定強度を確保することができる。
【0046】
係止爪31の突部36は、前述のように係止爪31が被係止部22aを通過したことを触覚と音で固定作業を行う者に知らせるとともに、被係止部22aをいったん越えた突部36は回転コネクタ11の一定以上の浮き上がりを確実に阻止する。
【0047】
突片15は係止爪31よりも基部側の部位を付勢部15aとした構成であり前述のように撓みながら傾倒するものであるので、付勢部の変形動作はシンプルで、突片15全体の形状を簡素にすることができる。このため、製造コストを抑え製作精度を高めることが可能である。
【0048】
回転コネクタ11を取り外すときには、係止爪31に形成された凹部35にドライバなどの適宜の治具をひっかけるなどして係止爪31を係止が外れる方向に変位させる。
【0049】
以上のように、回転コネクタ11の固定作業は、回転コネクタ11の突片15を受け部22に対して差し込むように移動させるだけでよく、非常に簡単である。そして係止状態は、係止爪31の当接面32が付勢部15aによる付勢力で押し付けられた状態で維持されるので、回転コネクタ11のガタつきはもちろん、不測の浮き上がりを防止できる。しかも、そのための構造は、突片15や係止爪31の構成と、突片15と受け部22との位置関係の設定、換言すれば当接面32と受け部22の干渉量の設定で得られるので、従来の変位吸収部材を用いる構造とは異なって、回転コネクタ11やこれを固定する部分の大型化、製造コストの上昇を抑えることができる。変位吸収部材としてクッション材を備えた場合のような材料の劣化のおそれもなく、所望の効果を長期間にわたって維持できるという効果もある。
【0050】
以下、回転コネクタ11の固定構造の他の例を説明する。この説明において、前述の構成と同一または類似する部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0051】
図5は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と受け部22の分離状態を示している。この固定構造における突片15は係止爪31の当接面32が横方向に一対形成されたものであり、受け部22は
図6に示したように穴状、すなわち四方が囲まれた形状である。
【0052】
突片15は、付勢部15aとしての棒状部16の先端に、横方向の左右両側に張りだす略ひし形枠状の係止爪31を備えている。係止爪31の基部側部分には、2本の爪後端側部37を同一傾斜で枝分かれするように備えている。爪後端側部37の傾斜角度は、突片15の長手方向に対して例えば30度くらいなどと適宜設定される。これら爪後端側部37の外側面が当接面32である。つまり、係止爪31の当接面32は横方向外側に向けて一対形成されている。図示例の当接面32は平らな傾斜面からなるが、凹状のアール面からなる当接面32であってもよい。
【0053】
先が開いた2本の爪後端側部37の先には爪先端側部38を延設し、これら爪先端側部38の先端同士は収束したのち互いに接している。爪先端側部38は突片15の先端を形成するものであって側面視略三角形状で先細り形状である。これら2本の爪先端側部38とこれに接する部位は棒状部16と共に付勢部15aである。つまり、棒状部16のほか、一対の当接面32をつなぐ部位である爪先端側部38とこれに接する部分も付勢部15aである。突片はこのような構成であるので、付勢部15aは突片15の長手方向に複数備えられたことになる。
【0054】
係止爪31における棒状部16の軸心上、つまり爪後端側部37と爪先端側部38の左右方向の中間位置には、それぞれ突片15の長手方向に延びる規制軸39が形成されている。それぞれの規制軸39は常態において接触しないように、換言すれば両者間に隙間ができる長さに形成されている。これら規制軸39は係止爪31を受け部22に差し込むときに係止爪31が必要以上に偏平に変形して差し込まれなくなるのを防止するためもので、これを実現できるように規制軸39の長さが設定されている。
【0055】
このような突片15の係止爪31を受ける受け部22は、
図6に示したように穴状である。つまり受け部22は正面視長方形の貫通穴22cを有し、この貫通穴22cの2つの長辺を横または略横に向けている。これらの長辺が、一個の穴における相対向する部分に設けた被係止部22aで、ここに係止爪31の当接面32が当接する。当接面32は、常態において受け部22の係止側角部23と適宜干渉するように設定されている。
【0056】
このような構成の回転コネクタ11の固定構造では、突片15の係止爪31を受け部22に対して差し込むと、係止爪31は受け部22の穴縁の被係止部22aに当たって爪先端側部38の従動面33によって細い形状に弾性変形しながら受け部22に進入する。係止爪31の先端、つまり爪先端側部38は三角形状であるので、差し込む位置がたとえずれても円滑な差し込みを実現できる。差し込みに際して爪先端側部38が偏平に広がろうとしても、規制軸39の端面同士が当接しあうことによって、そのような変形を阻止するため、係止爪31は当初の縦長のひし形に保たれる。このため受け部22に対する確実な挿入が可能である。
【0057】
挿入に従って爪先端側部38と爪後端側部37は幅狭に変形され、爪先端側部38と爪後端側部37の境界部分、つまり係止爪31のうちでもっとも横に張りだしている部分が受け部22の被係止部22aを通過すると、
図7に示したように爪後端側部37の外側面、つまり当接面32が受け部22の係止側角部23に当接する。そして爪先端側部38と爪後端側部37が弾性復帰しようとすることにより、当接面32は受け部22における被係止部22aの係止側角部23に強く当たり、突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持される。
【0058】
当接面32は、当接状態において付勢部15a、この場合には主に爪先端側部38とこれに接する部分を撓ませて被係止部22aに対して付勢力を発揮させる位置に形成されているので、当接状態では常に付勢力が作用している。しかもこのように付勢力が作用した状態での係止が横方向の両側の2箇所で同時に行える。このため、付勢力を高めることができるうえに固定時の安定性が良好で、より強い固定状態が得られる。したがって、ガタつきはもちろんのこと、ハーネスによって回転コネクタ11を浮かせる力が作用しても、これを強力に阻止することができる。
【0059】
そのうえ、当接面32は傾斜面であるので無段階で被係止部22aに係止する。このため製作誤差や公差に関わりなく確実な固定ができるうえに、付勢部15aによる付勢力を良好に働かせて固定強度を確保することができる。
【0060】
また係止爪31の先端、つまり爪先端側部38は三角形状で引っかかることのない差し込みやすい形である。このため、作業性は良好で、確実で良好な係止状態を容易に得られる。
【0061】
回転コネクタ11を取り外すときには、係止爪31に形成された空間、たとえば規制軸39の間の隙間などにドライバなどの適宜の治具をひっかけたり、係止爪31を挟み付けたりして係止爪31を係止が外れる方向に撓ませる。
【0062】
図8は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と受け部22の関係を示している。この固定構造における突片15は係止爪31の当接面32が横方向に一対形成されたものであり、受け部22は
図6に示したような穴状である。
【0063】
突片15は、付勢部15aとしての棒状部16の先端に、横方向の左右両側に張りだす係止爪31を備えている。係止爪31は棒状部16の先端から横方向に張りだしながら棒状部16の基部方向に向けて斜めに延びる爪先端側部38と、この爪先端側部38の後端から棒状部16に向けて斜めに延びる爪後端側部37を有する。爪後端側部37の後端は自由端となっており、爪後端側部37の先と棒状部16の間には弾性変形のための隙間がある。
【0064】
爪先端側部38とこれに隣接する爪後端側部37の基部は、係止爪31を変位させて係止方向に付勢する可撓性を有した付勢部15aを構成する。また爪後端側部37の外側面が当接面32であり、当接面32が横方向外側に向けて一対形成されることになる。これら当接面32は、常態において受け部22の係止側角部23と干渉するように設定されている。
【0065】
このような構成の回転コネクタ11の固定構造では、突片15の係止爪31を受け部22に対して差し込むと、係止爪31は受け部22の穴縁の被係止部22aにあたって左右の爪先端側部38を爪後端側部37と共に閉じる方向に弾性変形させながら受け部22に進入する。爪先端側部38が受け部22の被係止部22aを通過すると、
図8に示したように、爪先端側部38が開く方向に弾性復帰しようとして、爪後端側部37の当接面32を受け部22の係止側角部23に当接する。この当接状態を付勢部15aである爪先端側部38とこれに隣接する爪後端側部37の基部が付勢力をもって維持する。
【0066】
これによって、突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持され、回転コネクタ11の浮き上がりが防止される。このほか、
図7に示した固定構造と同様の効果を有する。
【0067】
回転コネクタ11を取り外すときには、係止爪31に形成された空間、つまり棒状部16と爪先端側部38との間の隙間にドライバなどの適宜の治具をひっかけたり、係止爪31を挟み付けたりして係止爪31を係止が外れる方向に変形させる。
【0068】
図9は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15の斜視図である。この突片15は、前述の2つの例、つまり
図5、
図7に示した例と、
図8、
図8に示した例と同様の係止構造を、2つの部材で構成した例である。
【0069】
突片15は、ステータ12に一体形成された突片部材41と、この突片部材41の先端部に取り付ける係止爪部材42で構成される。係止爪部材42が係止爪31を構成する部分である。
【0070】
突片部材41は
図10に示したように、細幅板状に延びる本体板部43と、この本体板部43の両側縁で本体板部43の表裏両面がわに切り立つ規制壁44を有する。本体板部43は、先端側部分に厚さ方向に貫通する保持穴45を有し、先端部は厚さが薄く形成されている。規制壁44は、保持する係止爪部材42の姿勢を規制するためのものである。規制壁44のうち、受け部22に対して差し込まれる先端側の部分44aは、受け部22に差し込まれるように高さが低く形成され、受け部22に差し込まれない後端側の部分44bは高さが高く形成されている。
【0071】
係止爪部材42は、
図11の側面図、
図11の平面図に示したように、突片部材41の本体板部43の表裏両面を覆う形状のものである。係止爪部材42は、本体板部43の保持穴45に保持される略直方体ブロック状をなす2個の嵌合部46を、隙間をあけて相対向して配設し、これら嵌合部46の保持穴45から出る部分のうち幅方向の中間部に、先端側に延びるとともに嵌合部46同士を一体に連結し、
図12に示したように本体板部43の保持穴45よりも先端側の部分に取り付けられる保持枠47を連設している。保持枠47の後端には、後方斜め外方に向けて延びたのち後方に延びる、係止爪31を係止方向に付勢するための付勢部15aとしての弾性支持部48が形成されている。
【0072】
弾性支持部48の先端の左右両側には、爪後端側部37が隙間をあけて連設され、爪後端側部37の先端には爪先端側部38が保持枠47との間に隙間を有しつつ形成されている。本体板部43を挟んで対となる爪先端側部38同士は先端において連結されている。爪後端側部37は先端側部分に外面が凹状のアール面からなる当接面32を有し、この当接面32を有する部分より後端側には、後方に向けて本体板部43との間に隙間を有する状態で本体板部43に沿って延びる後端側部49が延設されている。後端側部49の後端部は保持枠47とともに幅方向で一体に連設されており、中間部には上に凸の操作用凸部50が形成されている。
【0073】
一対の爪先端側部38は、先端側ほど先細りになるように傾く直線状の外面、つまり従動面33を有する。爪先端側部38は、弾性支持部48と共に係止爪31、具体的にはその当接面32を係止方向に付勢するための付勢部15aである。爪先端側部38と爪後端側部37の当接面32との間は曲面で形成されている。
【0074】
このような係止爪部材42は、嵌合部46を離間させて保持枠47を開いたのち
図12に示したように本体板部43に装着される。
図13に仮想線で示したように、係止爪部材42の当接面32は、受け部22の係止側角部23と干渉するように設定されている。
【0075】
このような構成の突片15を有する回転コネクタ11の固定構造では、突片15の先端側部を係止爪部材42と共に受け部22に対して差し込むと、係止爪部材42は受け部22の穴縁の被係止部22aに当たって左右の爪先端側部38を爪後端側部37と共に閉じる方向に弾性変形させながら受け部22内に進入する。弾性変形は主に爪先端側部38と弾性支持部48でなされる。爪先端側部38が受け部22を通過すると、
図13に示したように、爪先端側部38が開く方向に弾性復帰しようとして、爪後端側部37の当接面32を受け部22の係止側角部23に当接する。この当接状態を主に爪先端側部38と弾性支持部48が付勢力をもって維持する。
【0076】
これによって、突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持され、回転コネクタの浮き上がりが防止される。このほか、
図7、
図8に示した固定構造と同様の効果を有する。
【0077】
回転コネクタ11を取り外すときには、係止爪部材42を挟み付けたりして係止が外れる方向に撓ませる。
【0078】
図14は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と受け部22の関係を示している。この固定構造は、先端部に係止爪31を有する突片15を2本、隙間をあけて並設して、係止爪31の当接面32を横方向に一対設けており、受け部22は
図6に示したような穴状である。
【0079】
突片15は、付勢部15aとしての棒状部16の先端に、横方向の一方側に張りだす係止爪31を備えている。係止爪31は先端から、後方斜め外方に傾斜する平面状の従動面33と、前後方向に延びる平面状の最外面51と、棒状部16に向けて後方斜め内方に傾斜する平面状の当接面32を有する。
図14に仮想線で示したように、当接面32は常態において受け部22の係止側角部23と干渉する位置に形成されている。2本の突片15は係止爪31が横方向の外側に向くように背中合わせの状態で配設される。
【0080】
このような構成の回転コネクタ11の固定構造では、2本の突片15の係止爪31を受け部22に対して差し込むと、係止爪31の従動面33は受け部22の穴縁の被係止部22aに当たって突片15同士が近接する方向に弾性変形させながら受け部22内に進入する。係止爪31の最外面51が受け部22を通過すると、
図14に示したように、2本の突片15が開く方向に弾性復帰しようとして、係止爪31の当接面32を受け部22の係止側角部23に当接する。この当接状態を付勢部15aとしての棒状部16が付勢力をもって維持する。
【0081】
これによって、突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持され、回転コネクタ11の浮き上がりが防止される。このほか、
図7、
図8、
図13に示した固定構造と同様の効果を有する。
【0082】
回転コネクタ11を取り外すときには、2本の突片15の係止爪31を挟み付けたりして係止が外れる方向に撓ませる。
【0083】
図15は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と受け部22の関係を示している。この固定構造は、
図14の突片15と同様で、先端部に係止爪31を有する突片15を2本、隙間をあけて並設して、係止爪31の当接面32を横方向に一対設け、受け部22は
図6に示したような穴状である。
【0084】
突片15は、付勢部15aとしての棒状部16の先端に、横方向の一方側に張りだす係止爪31を備えている。係止爪31は先端側を略三角形状にして、先端から、後方斜め外方に傾斜する平面状の従動面33と、係止爪31のうち横方向にもっとも張り出す三角形状の突部36と、棒状部16に向けて後方斜め内方に傾斜する平面状の当接面32を有する。
【0085】
当接面32は横方向の外側に向けて一対設けるため、2本の突片15は係止爪31が外側に向くように背中合わせの状態で配設される。これら当接面32は、
図15に仮想線で示したように常態において受け部22の係止側角部23と干渉する位置に形成されている。
【0086】
2本の突片15の間にはこれら突片15の偏った変形を規制するための棒状の突起53を、隙間をあけて備えている。この突起53の長さは、突片15の弾性変形に際して係止爪31の形状との関係において突片15を受け止められる長さである。
【0087】
このような構成の回転コネクタ11の固定構造では、2本の突片15の係止爪31を受け部22に対して差し込むと、係止爪31の従動面33は受け部22の穴縁の被係止部22aに当たって突片15同士が近接する方向に弾性変形させながら受け部22内に進入する。係止爪31の突部36が受け部22を通過すると、突部36は振動と音によってそのことを作業者に知らせる。そして
図15に示したように、2本の突片15が開く方向に弾性復帰しようとして係止爪31の当接面32を受け部22の係止側角部23に当接する。この当接状態を付勢部15aとしての棒状部16が付勢力をもって維持する。
【0088】
これによって、突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持され、回転コネクタ11の浮き上がりが防止される。このほか、
図7、
図8、
図13、
図14に示した固定構造と同様の効果を有する。
【0089】
回転コネクタ11を取り外すときには、2本の突片15の係止爪31を挟み付けたりして係止が外れる方向に撓ませる。
【0090】
図16は回転コネクタ11の固定構造を構成する突片15と受け部22の関係を示している。この固定構造は、1本の突片15の先端側を、隙間をあけて2本に分割して枝部55を設け、これらの枝部55の先端部に係止爪31を形成して、一対の係止爪31を備えたものである。受け部22は
図6に示したような穴状である。
【0091】
突片15は、棒状の基部57を備え、この基部57の先に2本の枝部55を先端側に真っ直ぐ延設している。図示例では基部57を太くしているので、枝部55が付勢部15aとしての機能を果たす。枝部55の付勢力は、材質などのほか枝部55の長さによって調整することができる。
【0092】
枝部55の対向面同士の下端は凹状の曲面55aで連設されている。これら枝部55の先端部に、横方向の一方側に張りだす係止爪31を備えている。係止爪31は略三角形状で、先端から順に、先端側に突出する操作用の突出片59と、後方斜め外方に傾斜する平面状の従動面33と、枝部55に向けて後方斜め内方に傾斜する平面状の当接面32を有する。これら当接面32をつなぐ部位である枝部55と曲面55aが付勢部15aを構成する。
【0093】
当接面32は横方向の外側に向けて一対設けるため、2本の枝部55は係止爪31が外側に向くように背中合わせの状態で配設される。これら当接面32は、
図16に仮想線で示したように常態において受け部22の係止側角部23と干渉する位置に形成されている。
【0094】
このような構成の回転コネクタ11の固定構造では、突片15の係止爪31を受け部22に対して差し込むと、係止爪31の従動面33は受け部22の穴縁の被係止部22aに当たって枝部55同士が近接する方向に弾性変形しながら受け部22内に進入する。係止爪31の従動面33が受け部22を通過すると、
図16に示したように2本の枝部55が開く方向に弾性復帰しようとして、一対の係止爪31の当接面32を受け部22の係止側角部23に当接する。この当接状態を付勢部15aとしての枝部55が付勢力をもって維持する。
【0095】
これによって突片15と受け部22との間の位置関係がガタつきなく保持され、回転コネクタ11の浮き上がりが防止される。このほか、
図7、
図8、
図13、
図14、
図15に示した固定構造と同様の効果を有する。
【0096】
回転コネクタ11を取り外すときには、2つの係止爪31の先端に形成された突出片59を挟み付けたり、係止爪31の凹部35に適宜の治具をひっかけたりして枝部55を係止が外れる方向に撓ませる。
【0097】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態の構成であり、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用できる。
【0098】
たとえば、当接面を横方向に一対形成する場合、当接面を外側ではなく内側に向けて一対の当接面が相対向するようにしてもよい。