特許第6706931号(P6706931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706931
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20200601BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20200601BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20200601BHJP
【FI】
   H01L27/146 A
   H01L27/06 102A
   H01L27/088 B
   H01L27/088 331A
   H01L21/76 L
   H01L31/10 A
   H04N5/369
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-31962(P2016-31962)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2017-152470(P2017-152470A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】柴口 拓
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−031455(JP,A)
【文献】 特開平01−123468(JP,A)
【文献】 特開昭63−116460(JP,A)
【文献】 特開2008−252123(JP,A)
【文献】 特開2004−342836(JP,A)
【文献】 特開2007−299963(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/124976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/76
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 31/10
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面にゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板の表面に前記ゲート電極に隣接する凹部を形成する工程と、
前記凹部の底面および前記凹部の側面に沿ったpn接合を有するフォトダイオードを形成する工程と、
を含み、
前記フォトダイオードを形成する工程は、
前記凹部の底面に対して斜め方向から不純物イオンを照射することにより、前記半導体基板の深層側に前記凹部の底面および前記凹部の前記ゲート電極側の側面に沿って第1の導電型の第1の半導体領域を形成する工程と、
照射方向を回転させながら不純物イオンを照射することにより、前記半導体基板の表層側に前記凹部の底面および前記凹部の側面全体に沿って前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第2の半導体領域を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の内部に前記ゲート電極に隣接するフローティングディフュージョンを形成する工程を更に含む
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板の内部に前記凹部に隣接する素子分離領域を形成する工程を更に含み、
前記フォトダイオードを形成する工程において、前記凹部の底面および前記凹部の前記素子分離領域側の側面以外の側面に沿って前記pn接合を形成する
請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像装置に関する技術として例えば、以下のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、第1導電型の第1の半導体領域と第2導電型の第2の半導体領域とにより形成されるフォトダイオードと、第2の半導体領域の表面に絶縁膜を介してゲート電極が形成された第2導電型のトランジスタと、を含む固体撮像装置が記載されている。この固体撮像装置において、隣接するフォトダイオード間には、トレンチ内に絶縁膜を形成した素子分離領域が形成されており、素子分離領域の側壁に第1導電型の第3の半導体領域が形成され、素子分離領域の下部に第1導電型の第4の半導体領域が形成されている。
【0004】
特許文献2には、第1の導電型の半導体材料の基板層および第2の導電型の半導体材料のウエルによって構成されるpn接合を含む感光領域と、ウエルの一部分を覆い且つ入射光信号の少なくとも一部を感光領域中に通過させる絶縁領域と、を含むフォトダイオードが記載されている。
【0005】
特許文献3には、半導体基板と、半導体基板の内部に形成されたPN接合部を含む光電変換部と、半導体基板の表面に形成され、光電変換部にて生成された信号電荷を読み出し、当該信号電荷を電気信号として信号線に出力する複数のトランジスタと、を有する裏面照射型の固体撮像装置が記載されている。この固体撮像装置において、PN接合部は、半導体基板の深さ方向に対して傾斜する方向に延在する部分と、複数のトランジスタの少なくとも1つの下方に延在する部分とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−268814号公報
【特許文献2】特表2002−505035号公報
【特許文献3】特開2010−267709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、固体撮像装置における画素数の増大に伴って、画素サイズの微細化が進んでおり、フォトダイオードの面積の縮小が求められている。しかしながら、フォトダイオードの面積を縮小した場合には、フォトダイオードにおいて生成される電荷の量が減少し、ノイズや暗電流の影響を受けやすくなり、画質低下が問題となる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、固体撮像装置としての半導体装置において、フォトダイオードの形成領域の面積を拡大することなくフォトダイオードにおいて生成される電荷の量を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、表面に設けられた凹部が設けられた半導体基板の前記凹部の底面および前記凹部の側面に沿って形成されたpn接合を有するフォトダイオードと、前記半導体基板の表面において前記フォトダイオードに隣接して設けられたゲート電極と、を含む。
【0010】
本発明に係る他の半導体装置は、表面に複数の凹部が設けられた半導体基板の前記複数の凹部の各々の底面および側面に沿って形成されたpn接合を有するフォトダイオードと、前記半導体基板の表面において前記フォトダイオードに隣接して設けられたゲート電極と、を含む。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の表面にゲート電極を形成する工程と、前記半導体基板の表面に前記ゲート電極に隣接する凹部を形成する工程と、前記凹部の底面および前記凹部の側面に沿ったpn接合を有するフォトダイオードを形成する工程と、を含み、前記フォトダイオードを形成する工程は、前記凹部の底面に対して斜め方向から不純物イオンを照射することにより、前記半導体基板の深層側に前記凹部の底面および前記凹部の前記ゲート電極側の側面に沿って第1の導電型の第1の半導体領域を形成する工程と、照射方向を回転させながら不純物イオンを照射することにより、前記半導体基板の表層側に前記凹部の底面および前記凹部の側面全体に沿って前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第2の半導体領域を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フォトダイオードの形成領域の面積を拡大することなくフォトダイオードにおいて生成される電荷量を増大させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの等価回路図である。
図2】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの断面図である。
図3A】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図3B】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図3C】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図4A】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図4B】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図4C】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図5A】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図5C】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図6A】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図6B】本発明の実施形態に係るCMOSイメージセンサの製造方法を示す断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るCMOSイメージセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置としてのCMOSイメージセンサ100の1画素の構成を示す等価回路図である。
【0016】
CMOSイメージセンサ100は、フォトダイオード20、フローティングディフュージョン21、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、選択トランジスタ24、増幅トランジスタ25および電流源26を各々が有する複数の画素を備えている。
【0017】
フォトダイオード20は、照射された光の強度に応じた量の電荷を発生させる光電変換素子である。転送トランジスタ22は、オン状態となることによりフォトダイオード20において生成された電荷をフローティングディフュージョン21に転送する。フローティングディフュージョン21は、転送トランジスタ22から転送された電荷を一時的に蓄積しておくための電荷蓄積領域である。リセットトランジスタ23は、オン状態となることによりフローティングディフュージョン21における蓄積電荷を初期状態にリセットする。選択トランジスタ24は、電荷の読み出し対象とされる画素を選択するためのトランジスタであり、増幅トランジスタ25と直列接続されている。増幅トランジスタ25は、フローティングディフュージョン21に蓄積された電荷の量に応じた電圧を生成するためのトランジスタであり、電流源26とともにソースフォロワ回路を構成している。フォトダイオード20において生成された電荷の量に応じた信号電圧は、電流源26が接続された信号線27に読み出される。
【0018】
図2は、CMOSイメージセンサ100の上記の各構成要素のうち、フォトダイオード20、フローティングディフュージョン21および転送トランジスタ22を含む部分の断面構造を示す図である。なお、以下では、CMOSイメージセンサ100が、ホール転送型のイメージセンサである場合について説明する。
【0019】
半導体基板10は、例えば、p型のシリコン基板である。半導体基板10の内部には、n型のウェル領域12が設けられている。ウェル領域12の外周には、SiO等の絶縁体で構成される素子分離領域11が設けられている。ウェル領域12の表面の一部分には、半導体基板10の裏面側に向けて凹んだ凹部16が、素子分離領域11に隣接して設けられている。凹部16の深さは、例えば、10nm〜100nmであることが好ましい。
【0020】
フォトダイオード20は、ウェル領域12内の凹部16の形成位置に設けられており、凹部16の底面および側面に沿って形成されたpn接合を有する。具体的には、フォトダイオード20は、半導体基板10(ウェル領域12)の深層側において凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bに沿って設けられたp型半導体領域17と、半導体基板10(ウェル領域12)の表層側において凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bおよび素子分離領域11側の側面16Cを含む側面全体に沿って設けられたn型半導体領域18と、を有する。
【0021】
p型半導体領域17は、凹部16の素子分離領域11側の側面16Cに沿った領域には延在していない。フォトダイオード20を構成するp型半導体領域17が素子分離領域11に接触すると、暗電流が増大するおそれがある。凹部16の素子分離領域11側の側面16Cに沿ってp型半導体領域17を延在させないことにより、p型半導体領域17と素子分離領域11との接触を防止することができる。一方、半導体基板10の表層側に配置されるn型半導体領域18は、凹部16のゲート電極14A側の側面16Bおよび素子分離領域11側の側面16Cを含む、側面全体に形成することが可能である。
【0022】
転送トランジスタ22は、ウェル領域12の表面にフォトダイオード20に隣接して設けられたゲート電極14Aを有する。すなわち、ゲート電極14Aは、凹部16の近傍に設けられている。ゲート電極14Aと半導体基板10(ウェル領域12)との間には、SiO等の絶縁体で構成されるゲート絶縁膜13が設けられている。ゲート電極14Aの側面は、NSG(None-doped Silicate Glass)等の絶縁体で構成されるサイドウォール15Aで覆われている。フォトダイオード20は、サイドウォール15Aまたはゲート電極14Aと部分的にオーバラップしていてもよい。すなわち、フォトダイオード20の、凹部16の側面16Bに沿って設けられた部分が、サイドウォール15Aまたはゲート電極14Aの下方領域まで延在していてもよい。このように構成することで、転送トランジスタ22によるフォトダイオード20からフローティングディフュージョン21への電荷転送の、ゲート電極14Aに印加する電圧(ゲート電圧)による制御性を高めることができる。
【0023】
フローティングディフュージョン21は、ウェル領域12の表層部であってゲート電極14Aを間に挟んでフォトダイオード20と対向する位置に設けられたp型半導体で構成されている。
【0024】
半導体基板10の表面は、層間絶縁膜40で覆われている。層間絶縁膜40の表面には、ゲート電極14Aに接続された配線41およびフローティングディフュージョン21に接続された配線42が設けられている。
【0025】
以下に、上記の構成を有するCMOSイメージセンサ100の製造方法の一例を図3A図3C図4A図4C図5A図5Cおよび図6A図6Bを参照しつつ説明する。
【0026】
はじめに、p型のシリコンで構成される半導体基板10を用意する。続いて、半導体基板10にSiO等の絶縁体で構成される素子分離領域11を形成する(図3A)。素子分離領域11は、例えば公知のSTI(Shallow Trench Isolation)プロセスを用いて形成することができる。すなわち、半導体基板10の所定位置にエッチングによりトレンチを形成し、このトレンチにSiO等の絶縁体を埋め込むことで、素子分離領域11が形成される。なお、公知のLOCOS(local oxidation of silicon)プロセスを用いて素子分離領域11を形成してもよい。
【0027】
次に、公知のイオン注入法を用いて、半導体基板10の素子分離領域11の内側にn型のウェル領域12を形成する(図3B)。具体的には、n型の不純物であるP(リン)イオンを、例えば加速電圧2000keV、ドーズ量1.0×1013/cmで半導体基板10に注入する。その後さらに、P(リン)イオンを例えば加速電圧400keV、ドーズ量2.0×1012/cmで半導体基板10に注入することによりウェル領域12が形成される。
【0028】
次に、公知の熱酸化法によりSiOからなるゲート絶縁膜13を半導体基板10の表面に形成する。続いて、公知のCVD(chemical vapor deposition)法を用いてゲート絶縁膜13上にゲート電極を構成するポリシリコン膜14を形成する(図3C)。
【0029】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてポリシリコン膜14をパターニングすることによってゲート電極14Aを形成する(図4A)。ゲート電極14Aは、ウェル領域12上に配置される。
【0030】
次に、公知のCVD法を用いて、ゲート電極14Aの側面および上面を覆うように、半導体基板10の表面にNSG等の絶縁体で構成される絶縁膜15を形成する(図4B)。
【0031】
次に、垂直成分を主体とする異方性エッチングによりゲート電極14Aの側面を覆う部分を残して絶縁膜15を除去することで、ゲート電極14Aの側面を覆うサイドウォール15Aを形成する(図4C)。
【0032】
次に、フォトダイオードの形成位置に開口部50Aを有するレジスト50を半導体基板10の表面に形成する。続いて、レジスト50の開口部50Aにおいて露出している半導体基板10(ウェル領域12)の表面をエッチングすることにより、半導体基板10(ウェル領域12)の表面に、半導体基板10の裏面側に向けて凹んだ凹部16を形成する。凹部16は、フォトダイオードの形成位置となる素子分離領域11とゲート電極14Aとの間に設けられる。凹部16の深さは、10nm〜100nmとすることが好ましい(図5A)。
【0033】
次に、公知のイオン注入法を用いて、ウェル領域12の凹部16の形成位置にp型半導体領域17を形成する(図5B)。具体的には、レジスト50の開口部50Aにおいて露出している凹部16の表面に、p型の不純物であるB(ホウ素)イオンを、例えば加速電圧40keV、ドーズ量5.0×1012/cmで注入する。B(ホウ素)イオンは、凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bに注入されるように、凹部16の底面16Aに対して斜め方向から照射することが好ましい。B(ホウ素)イオンを照射する際のチルト角は、例えば30°としてもよい。これにより、ウェル領域12内において、凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bに沿ってp型半導体領域17が形成される。p型半導体領域17の、凹部16のゲート電極14A側の側面16Bに沿って形成された部分を、サイドウォール15Aまたはゲート電極14Aの下方領域まで延在させることが好ましい。一方、斜め方向からのイオン注入により、p型半導体領域17は、凹部16の素子分離領域11側の側面16Cに沿った領域には延在していない。これにより、p型半導体領域17と素子分離領域11との接触を防止することができる。
【0034】
次に、公知のイオン注入法を用いて、ウェル領域12の凹部16の形成位置にn型半導体領域18を形成する(図5C)。具体的には、レジスト50の開口部50Aにおいて露出している凹部16の表面に、n型の不純物であるAs(ヒ素)イオンを、例えば加速電圧10keV、ドーズ量1.0×1013/cmで注入する。As(ヒ素)イオンは、凹部16の底面16Aと、凹部16のゲート電極14A側の側面16Bおよび素子分離領域11側の側面16Cを含む側面全体に注入されるように、例えば、チルト角30°を維持して回転注入を行うことが好ましい。これにより、ウェル領域12内において、凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bおよび素子分離領域11側の側面16Cを含む側面全体に沿ってn型半導体領域18が形成される。
【0035】
p型半導体領域17は半導体基板10の深層側に配置され、n型半導体領域18は半導体基板10の表層側に配置される。p型半導体領域17とn型半導体領域18とによって凹部16の底面16Aおよび凹部16のゲート電極14A側の側面16Bに沿ったpn接合を有するフォトダイオード20が、ウェル領域12内に形成される。
【0036】
次に、フローティングディフュージョンの形成位置に開口部51Aを有するレジスト51を半導体基板10の表面に形成する。続いて、レジスト51の開口部51Aにおいて露出しているウェル領域12の表面に、公知のイオン注入法を用いてp型のフローティングディフュージョン21を形成する(図6A)。具体的には、p型の不純物であるBF(フッ化ホウ素)イオンを、例えば加速電圧20keV、ドーズ量1.0×1015/cmで注入する。フローティングディフュージョン21は、ゲート電極14Aを間に挟んでフォトダイオード20と対向する位置に設けられる。
【0037】
次に、公知のCVD法を用いて、半導体基板10の表面にSiO等の絶縁体からなる層間絶縁膜40を形成する。続いて、層間絶縁膜40にゲート電極14Aおよびフローティングディフュージョン21にそれぞれ達するコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホールを埋めるように、層間絶縁膜40の表面に導電膜を形成する。その後、公知のフォトリソグラフィー技術を用いてこの導電膜にパターニングを施すことで、ゲート電極14Aに接続された配線41およびフローティングディフュージョン21に接続された配線42を形成する。
【0038】
なお、上記の説明では、サイドウォール15Aの形成後に凹部16を形成する場合を例示したが、ゲート電極14Aの形成後であってサイドウォール15Aの形成前に凹部16を形成してもよい。しかしながら、この場合、サイドウォール15Aを構成する絶縁膜15のエッチングにおいて、凹部16側(フォトダイオード20側)とフローティングディフュージョン21側でエッチングする絶縁膜の量が変わり、サイドウォール15Aを形成するときの難易度が高くなるおそれがある。従って、サイドウォール15Aの形成後に凹部16を形成するのが好ましい。
【0039】
本実施形態に係るCMOSイメージセンサ100によれば、フォトダイオード20は、半導体基板10(ウェル領域12)の表面に形成された凹部16の底面および側面に沿って形成されたpn接合を有する。これにより単一の面に沿って設けられたpn接合を有する従来のフォトダイオードと比較して、面積あたりの電荷量を増大させることができる。すなわち、本実施形態に係るCMOSイメージセンサ100によれば、フォトダイオードの形成領域の面積を拡大することなくフォトダイオードにおいて生成される電荷の量を増大させることが可能となる。従って、画素サイズの微細化に伴う画質低下を抑制することが可能となる。
【0040】
また、凹部16の深さを10nm以上とすることで、フォトダイオード20において生成される電荷の量を増大させる効果が顕著となり、凹部16の深さを100nm以下とすることで、転送トランジスタ22による電荷転送の制御性を確保することができる。
【0041】
また、p型半導体領域17を、凹部16の素子分離領域11側の側面16Cに沿った領域に延在させないことにより、p型半導体領域17と素子分離領域11との接触による暗電流の増大を防止することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、ホール転送型のイメージセンサを例示したが、電子転送型のイメージセンサに本発明を適用することも可能である。この場合、イメージセンサを構成する各半導体領域の導電型を適宜変更すればよい。また、本実施形態に係るCMOSイメージセンサ100は、表面照射型および裏面照射型の双方に適用することが可能である。
【0043】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置としてCMOSイメージセンサ100Aの構成を示す断面図である。
【0044】
第2の実施形態に係るCMOSイメージセンサ100Aは、半導体基板10(ウェル領域12)の表面に複数の凹部16を含む凹凸構造が形成され、フォトダイオード20Aが、複数の凹部16の各々の底面および側面に沿ったpn接合を有する点が、上記の第1の実施形態に係るイメージセンサ100と異なる。すなわち、フォトダイオード20Aは、複数の凹部16の各々の底面および側面に沿って設けられたp型半導体領域17およびn型半導体領域18を含んで構成されている。複数の凹部16は、上面からみた場合に、例えば、ストライプ状のパターンで形成されていてもよく、円形また多角形の島状のパターンで形成されていてもよい。p型半導体領域17は、第1の実施形態の場合と同様、素子分離領域11と隣接する側面には、延在していないことが好ましい。
このように、半導体基板10(ウェル領域12)の表面に形成された凹凸構造に沿ってpn接合を形成する場合には、p型半導体領域17およびn型半導体領域18を形成するためのイオン注入を、凸部の影となる部分が生じることを考慮して、以下のように行ってもよい。すなわち、p型半導体領域17を形成する場合には、はじめに、チルト角0°で(すなわち、イオンビームの方向が半導体基板10の主面に対して90°となるように)イオン注入を行うことで凹部16の底面および凸部の上面にp型半導体領域を形成し、その後、例えば、チルト角30°とする斜め方向からのイオン注入を行うことで凹部16の側面にp型半導体領域を形成してもよい。n型半導体領域18を形成する場合にも同様に、はじめに、チルト角0°でイオン注入を行うことで凹部16の底面および凸部の上面にn型半導体領域を形成し、その後、例えば、チルト角30°を維持する回転注入によってイオン注入を行うことで凹部16の側面にn型半導体領域を形成してもよい。また、第1の実施形態と同様、フォトダイオード20は、サイドウォール15Aまたはゲート電極14Aと部分的にオーバラップしていてもよい。すなわち、フォトダイオード20の、ゲート電極14A側の端部が、サイドウォール15Aまたはゲート電極14Aの下方領域まで延在していてもよい。このように構成することで、転送トランジスタ22によるフォトダイオード20からフローティングディフュージョン21への電荷転送の、ゲート電極14Aに印加する電圧(ゲート電圧)による制御性を高めることができる。
【0045】
本実施形態に係るCMOSイメージセンサ100Aによれば、フォトダイオードのpn接合の面積を、第1の実施形態に係るCMOSイメージセンサ100よりも大きくすることができるので、電荷量を増大させる効果を更に促進することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 半導体基板
11 素子分離領域
14A ゲート電極
16 凹部
17 p型半導体領域
18 n型半導体領域
20、20A フォトダイオード
21 フローティングディフュージョン
100、100A CMOSイメージセンサ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7