(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交差する複数の分割予定ラインに沿って分割起点が形成された被加工物、または交差する複数の分割予定ラインに沿って個々のチップに分割された被加工物に粘着面を有したシートを貼着するとともに貼着された該シートを拡張して隣接するチップ間に間隔を形成する拡張装置であって、
ロール状に巻回された該シートを送り出す送り出しリールと、
送り出された該シートを巻き取る巻き取りリールと、
該送り出しリールと該巻き取りリールとの間の該シートを拡張する拡張手段と、
該拡張手段により拡張される該シートの上方側で該シートが貼着される被加工物の被貼着面を該シートの該粘着面に対面させた状態で保持する保持手段と、
該拡張手段により拡張される該シートの下方側に配設され該保持手段に保持された被加工物に該シートを貼着する貼着ローラと、
該拡張手段により拡張される該シートの上方側で中央に開口を有した環状フレームを、該開口内に該シートに貼着された被加工物が位置づけられるように保持するフレーム保持手段と、
被加工物が貼着される該シートの下方側に配設され該フレーム保持手段に保持された該環状フレームに該シートを貼着するフレーム用貼着ローラと、
被加工物が貼着される該シートの下方側に配設され該フレーム保持手段に保持された該環状フレームに沿って該シートを切断する切断手段と、を備え、
該拡張手段は、第一方向において該シートに貼着される被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれが該シートを挟持する第一挟持手段と第二挟持手段と、該第一方向に直交する第二方向において該シートに貼着される被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれが該シートを挟持する第三挟持手段と第四挟持手段と、該第一挟持手段と該第二挟持手段とを該第一方向において互いに離反する向きに移動可能とするとともに該第三挟持手段と該第四挟持手段とを該第二方向において互いに離反する向きに移動可能とする移動手段と、を備え、
該貼着ローラは、該第一挟持手段及び該第二挟持手段並びに該第三挟持手段及び該第四挟持手段で挟持された該シートに、該保持手段で保持された被加工物を貼着する
拡張装置。
交差する複数の分割予定ラインに沿って分割起点が形成された被加工物、または交差する複数の分割予定ラインに沿って個々のチップに分割された被加工物に粘着面を有したシートを貼着するとともに貼着された該シートを拡張して隣接するチップ間に間隔を形成する拡張方法であって、
一端でロール状に巻回された該シートを送り出すとともに送り出された該シートを他端で巻き取るシート送り出しステップと、
被加工物を保持手段で保持するとともに該シート送り出しステップで送り出された該シートの該粘着面に被加工物の被貼着面を対面させる被加工物対面ステップと、
被加工物対面ステップを実施した後、第一方向において被加工物を挟んで互いに対向した第一挟持手段と第二挟持手段とで該シートを挟持するとともに、該第一方向に直交する第二方向において被加工物を挟んで互いに対向した第三挟持手段と第四挟持手段とで該シートを挟持する挟持ステップと、
該挟持ステップを実施した後、該第一挟持手段及び該第二挟持手段並びに該第三挟持手段及び該第四挟持手段で挟持された該シートの該粘着面の反対側から該シートを押圧して該シートを該保持手段で保持した被加工物に貼着する貼着ステップと、
該貼着ステップを実施した後、該シートに貼着された被加工物を該保持手段から放すリリースステップと、
該リリースステップを実施した後、該第一挟持手段と該第二挟持手段とが該シートを挟持した状態で該第一挟持手段と該第二挟持手段とを互いに離反するよう移動させて該シートを該第一方向に拡張させる第一方向拡張ステップと、
該リリースステップを実施した後、該第三挟持手段と該第四挟持手段とが該シートを挟持した状態で該第三挟持手段と該第四挟持手段とを互いに離反するよう移動させて該シートを該第二方向に拡張させる第二方向拡張ステップと、
該第一方向拡張ステップと該第二方向拡張ステップとを実施した後、該第一挟持手段と該第二挟持手段と該第三挟持手段と該第四挟持手段とで該シートを挟持した状態で、該シートの該粘着面に、中央に開口を有した環状フレームを対面させるとともに該開口内に被加工物を位置づけるフレーム位置づけステップと、
該フレーム位置づけステップで該粘着面に対面して位置づけられた該環状フレームに該シートを貼着するフレーム貼着ステップと、
該フレーム貼着ステップを実施した後、該環状フレームに沿って該シートを切断するシート切断ステップと、
該シート切断ステップを実施した後、該環状フレームに該シートを介して被加工物が貼着されたフレームユニットを該シート上から搬出する搬出ステップと、を備えた拡張方法。
前記挟持ステップを実施した後前記貼着ステップを実施する前に、前記第一挟持手段と前記第二挟持手段とが前記シートを挟持した状態で該第一挟持手段と該第二挟持手段とを互いに離反するよう移動させて該シートを前記第一方向に拡張させて該第一方向における該シートの撓みを解消する事前第一方向拡張ステップと、
前記第三挟持手段と前記第四挟持手段とが該シートを挟持した状態で該第三挟持手段と該第四挟持手段とを互いに離反するよう移動させて該シートを前記第二方向に拡張させて該第二方向における該シートの撓みを解消する事前第二方向拡張ステップと、を更に備えた請求項2に記載の拡張方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1 拡張装置
図1に示す拡張装置1は、被加工物に貼着されるシート8を拡張することができる拡張装置の一例である。拡張装置1は、三階層構造となっており、一階層部分において第一方向に延在する装置ベース100aと、二階層部分において第一方向に延在する装置ベース100bと、三階層部分において第一方向に延在する一対のガイドベース103とを有している。装置ベース100bの中央部分には、装置ベース100a側と連通するための開口101が形成されている。一対のガイドベース103には、第一方向に延在するガイドレール104がそれぞれ敷設されている。装置ベース100a,100bの第一方向後方側には中央に
図2に示す開口3を有する環状フレーム2を複数収容するための環状フレーム供給ユニット4が連結されている。
【0016】
図2に示す拡張装置1は、各階層が連結される前の状態を示すとともに環状フレーム供給ユニット4が装置ベース100a,100bに連結される前の状態を示している。環状フレーム供給ユニット4は、環状フレーム2を積み重ねてストックするために、例えば箱型のフレームストッカー5を備えている。フレームストッカー5の内部には、環状フレーム2の内周面に接触する円柱部材5aがほぼ均等間隔に複数(
図2の例では3本)立設されている。フレームストッカー5には、複数のキャスター7が取り付けられた台車6が連結されている。台車6は、例えば、作業者の人力を動力源としてキャスター7が駆動されて走行可能となっている。
【0017】
装置ベース100bには、ロール状に巻回されたシート8を送り出す送り出しリール20と、送り出されたシート8を巻き取る巻き取りリール21と、送り出しリール20と巻き取りリール21との間のシート8を拡張する拡張手段10とを備えている。一対のガイドベース103には、被加工物を保持する保持手段40と、被加工物に貼着された保護テープを剥離する剥離ユニット50と、環状フレーム2を保持するフレーム保持手段60とを備えている。装置ベース100aには、拡張手段10により拡張されるシート8の下方側に配設され保持手段40に保持される被加工物にシート8を貼着する貼着ローラ30と、拡張手段10により拡張されるシート8を介して被加工物を保持するリリース手段31と、被加工物が貼着されるシート8の下方側に配設されフレーム保持手段60に保持された環状フレーム2にシート8を貼着するフレーム用貼着ローラ33a,33bと、被加工物が貼着されるシート8の下方側に配設されフレーム保持手段60に保持された環状フレーム2に沿ってシート8を切断する切断手段34と、被加工物に外力を付与することにより個々のチップに分割する分割手段35とを備えている。以下では、拡張装置1の各階層の構成について
図3〜5を参照しながら詳述する。
【0018】
図3に示す一階層目では、貼着ローラ30,リリース手段31,フレーム用貼着ローラ33a,33b,切断手段34及び分割手段35が装置ベース100aにおいて第一方向送り手段37により第一方向に移動可能に配設されている。第一方向送り手段37は、第一方向に延在するボールネジ370と、ボールネジ370の端部に接続されたモータ371と、ボールネジ370と平行に延在する一対のガイドレール372と、第一方向に水平に移動可能な移動基台373とを備えている。移動基台373の上に固定基台310及び第二方向送り手段38が配設されている。一対のガイドレール372には、移動基台373の一方の面が摺接し、移動基台373に形成されたナットにはボールネジ370が螺合している。そして、モータ371によって駆動されてボールネジ370が回動することにより、移動基台373がガイドレール372にガイドされて第一方向に移動し、貼着ローラ30,リリース手段31,フレーム用貼着ローラ33a,33b,切断手段34及び分割手段35を第一方向に移動させることができる。
【0019】
フレーム用貼着ローラ33a,33b,切断手段34及び分割手段35については、さらに移動基台373において第二方向送り手段38により第二方向に移動可能に配設されている。第二方向送り手段38は、第二方向に延在するボールネジ380と、ボールネジ380の端部に接続されたモータ381と、ボールネジ380と平行に延在する一対のガイドレール382と、第二方向に水平に移動可能な移動基台383とを備えている。移動基台383の上には回転テーブル36が配設されている。一対のガイドレール382には、移動基台383の一方の面が摺接し、移動基台383の中央部に形成されたナットにはボールネジ380が螺合している。そして、モータ381によって駆動されてボールネジ380が回動することにより、移動基台383がガイドレール382にガイドされて第二方向に移動し、フレーム用貼着ローラ33a,33b,切断手段34及び分割手段35を第二方向に移動させることができる。
【0020】
貼着ローラ30は、移動基台373上に固定された固定基台32の上面に配設されている。貼着ローラ30は、第一方向と直交する第二方向に延在しており、支持部300によって、第二方向の軸心を有する軸部301を中心として回転可能に支持されている。また、貼着ローラ30は、例えばエアシリンダ302とピストン303とにより構成される昇降機構によって昇降可能となっている。
【0021】
リリース手段31は、貼着ローラ30の近傍であって、固定基台32の上面に配設されている。リリース手段31は、被加工物を吸引保持するリリーステーブル311を備えている。リリーステーブル311には、図示していないが、吸引源が接続されており、被加工物をリリーステーブル311の上面で吸引保持することができる。リリーステーブル311の下部には、例えばエアシリンダ312とピストン313とにより構成される各昇降機構が接続されており、各昇降機構によりリリーステーブル311を昇降させることができる。
【0022】
フレーム用貼着ローラ33a,33bは、環状フレーム2に対してシート8を押し付ける押圧ローラであり、軸部330を中心として回転可能となっている。フレーム用貼着ローラ33a,33bの間には、切断手段34が配設されている。切断手段34は、例えばカッターであり、軸部340を中心として回転可能となっている。フレーム用貼着ローラ33a,33b及び切断手段34は、例えばエアシリンダとピストンとにより構成される昇降機構によって昇降可能となっている。フレーム用貼着ローラ33a,33b及び切断手段34は、回転テーブル36の上に配設され、回転テーブル36が回転することにより、フレーム用貼着ローラ33a,33b,切断手段34を例えば環状フレーム2に沿って周回させることができる。なお、フレーム用貼着ローラ33a,33b及び切断手段34の数は、本実施形態に示す構成に限定されない。
【0023】
分割手段35は、回転テーブル36の中央部に配設され第一方向と直交する第二方向に延在するスキージ350を備えている。スキージ350には、吸引源に接続されたスリット351が形成されている。スキージ350は、例えばエアシリンダ352とピストン353とにより構成される昇降機構によって昇降可能となっている。回転テーブル36が例えば90°回転すると、スキージ350の延在方向の向きを第一方向に向く被加工物の分割予定ラインと第二方向に向く被加工物の分割予定ラインとにそれぞれ合わせることができる。分割手段35では、スリット351を通じてスキージ350で被加工物の分割予定ラインを吸引することにより、被加工物を個々のチップに分割することができる。
【0024】
次に、
図4に示す二階層目の構成について説明する。装置ベース100bの第一方向後方側に送り出しリール20が配設され、装置ベース100bの第一方向前方側に巻き取りリール21が配設されている。送り出しリール20には、ロール状にシート8が巻回されている。送り出しリール20の下方側には、送り出しリール20から第一方向にシート8を送り出す送り出しローラ22が配設されている。巻き取りリール21には、送り出しリール20から送り出されたシート8がロール状に巻回されている。巻き取りリール21の下方には、送り出しローラ22により第一方向に送り出されたシート8を引き込んで巻き取りリール21に巻き取らせる引き込みローラ23,24が配設されている。
【0025】
装置ベース100bの上面であって、送り出しリール20と巻き取りリール21との間には拡張手段10が配設されている。拡張手段10は、第一方向においてシート8に貼着された被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれがシート8を挟持する第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bと、第一方向に直交する第二方向においてシート8に貼着された被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれがシート8を挟持する第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとを備えている。
【0026】
第一挟持手段10A及び第二挟持手段10Bは、シート8の下面を押圧する下側挟持機構11aと、シート8の上面を押圧する上側挟持機構12aと、装置ベース100bの上面に形成された凹部102aに沿って移動可能に配設された可動基台13aと、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとを第一方向において互いに離反する向きに移動させる第一方向移動手段14aとをそれぞれ備えている。
【0027】
第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dは、シート8の下面を押圧する下側挟持機構11bと、シート8の上面を押圧する上側挟持機構12bと、装置ベース100bの上面に形成された凹部102bに沿って移動可能に配設された可動基台13bと、第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとを第二方向において互いに離反する向きに移動させる第二方向移動手段14bとをそれぞれ備えている。
【0028】
下側挟持機構11aは、第二方向にのびる直方体の下側挟持部110と、一端が下側挟持部110に連結された断面略L字形のアーム部111とを備えている。下側挟持部110の上面側には、複数のローラ113が第二方向と平行な方向に整列して配設されている。下側挟持機構11aに備えた複数のローラ113は、第一方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、下側挟持部110の上面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0029】
上側挟持機構12aは、下側挟持部110と平行にのびる上側挟持部120と、一端が上側挟持部120に連結された断面略L字形のアーム部121とを備え、上側挟持部120の下面側には複数のローラ(図示せず)が第二方向と平行な方向に整列して配設されている。上側挟持機構12aに備えた複数のローラは、第一方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、上側挟持部120の下面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0030】
下側挟持機構11bは、第一方向にのびる直方体の下側挟持部110と、端部が下側挟持部110に連結され第二方向にのびるアーム部112とを備えている。下側挟持部110の上面側には、複数のローラ113が第一方向と平行な方向に整列して配設されている。下側挟持機構11bに備えた複数のローラ113は、第二方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、下側挟持部110の上面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0031】
上側挟持機構12bは、下側挟持部110と平行にのびる上側挟持部120と、一端が上側挟持部120に連結されアーム部112と平行にのびるアーム部122を備えている。上側挟持部120の下面側には複数のローラ(図示せず)が第一方向と平行な方向に整列して配設されている。上側挟持機構12bに備えた複数のローラは、第二方向と平行な回転軸を中心として回転可能であり、上側挟持部120の下面から外周面の半分程度が突出して装着されている。
【0032】
第一方向移動手段14aは、第一方向にのびるボールネジ140と、それぞれのボールネジ140の一端を回転可能に支持する軸受部141と、それぞれのボールネジ140の他端に接続されたモータ142とを備え、装置ベース100bにそれぞれ配設されている。第二方向移動手段14bは、第二方向にのびるボールネジ140と、それぞれのボールネジ140の一端を回転可能に支持する軸受部141と、それぞれのボールネジ140の他端に接続されたモータ142とを備え、それぞれ装置ベース100bに配設されている。
【0033】
可動基台13aは、下側挟持部110及び上側挟持部120を支持する支持部130と、支持部130の下部に連接され第一方向に移動可能なスライド部131と、支持部130の一方の面側に形成されたガイドレール132と、支持部130の一方の面側から他方の面側に貫通して形成されたガイド溝133とを備えている。スライド部131の内部に形成されたナットにボールネジ140が螺合しており、モータ142によりボールネジ140を駆動することでスライド部131を第一方向に往復移動させることができる。
【0034】
可動基台13bは、下側挟持部110及び上側挟持部120を支持する断面略L字形の支持部134を備えており、支持部134の下部には、第二方向に移動可能なスライド部135が連接されている。スライド部135の内部に形成されたナットにボールネジ140が螺合しており、モータ142によりボールネジ140を駆動することでスライド部135を第二方向に往復移動させることができる。
【0035】
可動基台13a及び可動基台13bには、下側挟持機構11a及び下側挟持機構11bを昇降させる下側昇降手段15と、上側挟持機構12a及び上側挟持機構12bを昇降させる上側昇降手段16とがガイド溝133に沿って配設されている。下側昇降手段15は、鉛直方向にのびるボールネジ150と、ボールネジ150の一端に接続された軸受部151と、ボールネジ150の他端に接続されたモータ152とを備えている。ボールネジ150は、アーム部111の基端部111a及びアーム部112の基端部112aに形成されたナットに螺合しており、モータ152によってボールネジ150を駆動することにより、下側挟持機構11a及び下側挟持機構11bを鉛直方向に昇降させることができる。
【0036】
上側昇降手段16も下側昇降手段15と同様の構成となっており、鉛直方向にのびるボールネジ160と、ボールネジ160の一端に接続された軸受部161と、ボールネジ160の他端に接続されたモータ162とを備えている。ボールネジ160は、アーム部121の基端部121a及びアーム部122の基端部122aに形成されたナットに螺合しており、モータ162によってボールネジ160を駆動することにより、上側挟持機構12a及び上側挟持機構12bを鉛直方向に昇降させることができる。
【0037】
このように構成される拡張手段10では、送り出しリール20から送り出されたシート8が下側挟持機構11a,11bと上側挟持機構12a,12bとの間を通過して巻き取りリール21に巻き取られた状態で、下側挟持機構11a,11bと上側挟持機構12a,12bによりシート8の上下面を挟持して、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dが第一方向及び第二方向において互いに離反する方向に移動することによりシート8を拡張することができる。
【0038】
次に、
図5に示す三階層目の構成について説明する。フレーム保持手段60は、一対のガイドベース103の第一方向後方側に配設されている。フレーム保持手段60は、
図2に示した環状フレーム2を保持する円形板状のフレーム保持部61を備えている。フレーム保持部61には、その全体を上下に昇降させる昇降部600が接続されている。昇降部600は、例えばエアシリンダとピストン、またはモータとガイドレールとを有する昇降機構であり、断面略L字形の走行部601に接続されている。走行部601には、開口602が形成されており、かかる開口602において昇降部600が上下に動いてフレーム保持部61を昇降させる構成となっている。走行部601は、一対のガイドレール104に沿って第一方向に走行可能となっている。そして、フレーム保持手段60では、
図2に示した環状フレーム供給ユニット4の上方側に移動してフレームストッカー5の内部に進入して、環状フレーム2の搬出及び搬入を行うことができる。
【0039】
保持手段40は、一対のガイドベース103の第一方向前方側に配設されている。保持手段40は、
図6に示すように、被加工物を保持する保持面41aを有する保持テーブル41と、保持テーブル41を回転させる回転テーブル42と、保持テーブル41及び回転テーブル42を下方から支持するベース43と、ベース43に軸通され保持テーブル41の保持面41aを反転させる回転軸44と、回転軸44の端部が回転可能に支持される門型の支持部45とを備えている。支持部45には、昇降部400が接続されている。昇降部400は、例えばエアシリンダとピストン、またはモータとガイドレールとを有する昇降機構であり、
図5に示す断面略L字形の走行部401に接続されている。走行部401には、図示していないが、開口が形成されており、かかる開口において昇降部400が上下に動いて保持テーブル41を昇降させることが可能となっている。
【0040】
図5に示すように、剥離ユニット50は、保持手段40とフレーム保持手段60との間に配設されている。剥離ユニット50は、被加工物に貼着された保護テープを剥離するためのテープ剥離ユニットである。剥離ユニット50は、保護テープを挟持する
図7に示すテープ保持手段50Aと、被加工物から剥離される保護テープを折り曲げる
図8に示す折り曲げローラ移動手段50Bと、被加工物から剥離される保護テープの剥離起点を生成する
図9に示す剥離起点部生成手段50Cとにより構成され、3つの手段は例えば枠体500内に収容されている。枠体500の下方側は開口している。枠体500には、昇降部501が接続されている。昇降部501は、例えばエアシリンダとピストン、またはモータとガイドレールとを有する昇降機構であり、断面略L字形の走行部502に接続されている。走行部502には、開口503が形成されており、かかる開口503において昇降部501が枠体500全体を昇降させることできる。
【0041】
図7(a)〜(c)に示すように、テープ保持手段50Aは、第1エアシリンダ51aと、第1エアシリンダ51aによって駆動され鉛直方向に延在する軸510aにより支持される保持ベース52と、保持ベース52の上面に立設された第2エアシリンダ51bと、第2エアシリンダ51bから保持ベース52の下面側に貫通し、第2エアシリンダ51bによって駆動されて進退自在な軸510bに支持される保持板53と、保持ベース52上に配設され、端部に挟持片511を備え水平方向に進退自在な軸510cを水平方向に進退させる第3エアシリンダ51cと、保持ベース52の下面側で、挟持片511と対向する位置に配置される挟持片512とにより構成されている。
【0042】
保持板53は内部が中空に構成され、下面には図示しない微孔が全面に多数設けられており、第2エアシリンダ51bと保持板53とを連結する軸510b内部を介して保持板53内部を吸引可能に構成され、微孔を介して保持板53の下面に負圧を生じさせることが可能となっている。
【0043】
保持ベース52は、第1エアシリンダ51aにより進退可能に駆動される軸510aとともに上下動可能に構成され、さらに、
図7(b)中の矢印に示すように、軸510aを中心にして水平方向に回転可能になっている。
【0044】
図8に示すように、折り曲げローラ移動手段50Bは、門型形状をなす支持フレーム54により構成され、支持フレーム54は、間隔を置いて並設された柱部540,540aと、柱部540、540aの下端に連結される支持部541と、支持部541の案内孔542に沿って支持部541内に内蔵された図示しない駆動機構により移動する折り曲げローラ55と、を備えている。折り曲げローラ55は、長手方向の軸中心を中心として回転可能であり、その長さは、少なくとも被加工物に貼着される保護テープの直径よりも長くなっている。
【0045】
図9に示すように、剥離起点部生成手段50Cは、第4エアシリンダ51dと、第4エアシリンダ51dから伸びて進退自在で高さ方向における位置を微調整可能な軸510dと、アーム部材56と、アーム部材56の先端に設けられた先端部材57と、先端部材57に取り付けられた先端針状部材58と、エアーノズル59とから構成されている。先端部材57は、上下に移動可能に構成され、その高さ位置が調整されることにより被加工物に貼着された保護テープの高さに先端針状部材58の先端部が位置づけ可能に構成されている。また、エアーノズル59は、第4エアシリンダ51d、軸510dを介して高圧エアーが供給され、必要に応じて高圧エアーを噴出可能に構成されている。
【0046】
このように、本発明にかかる拡張装置1は、ロール状に巻回されたシート8を送り出す送り出しリール20と、送り出されたシート8を巻き取る巻き取りリール21と、送り出しリール20と巻き取りリール21との間のシート8を拡張する拡張手段10と、被加工物を保持する保持手段40と、環状フレーム2を保持するフレーム保持手段60と、保持手段40に保持される被加工物にシート8を貼着する貼着ローラ30と、フレーム保持手段60に保持された環状フレーム2にシート8を貼着するフレーム用貼着ローラ33a,33bと、フレーム保持手段60に保持された環状フレーム2に沿ってシート8を切断する切断手段34とを備え、拡張手段10は、第一方向においてシート8に貼着された被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれがシート8を挟持する第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bと、第一方向に直交する第二方向においてシート8に貼着された被加工物を挟んで互いに対向して配設され、それぞれがシート8を挟持する第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとを備えたため、拡張装置1内で被加工物へのシート8の貼着及び被加工物が貼着されたシート8の拡張を行うことができ、従来に比べて作業性が向上する。また、被加工物にシート8を貼着する際には、被加工物が保持手段40に保持され、かつ、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dによってシート8の上下面が挟持されており、さらには、被加工物にシート8を貼着した後環状フレーム2にシート8が貼着されシート8が切断されるまでの間は、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dによってシート8の上下面を挟持する状態が維持されるため、被加工物が破損するおそれを低減することができる。
【0047】
2 拡張方法
次に、上記した拡張装置1を用いて、個々のチップに分割された被加工物にシート8を貼着するとともに、シート8を拡張して隣接するチップ間に間隔を形成する拡張方法について説明する。本発明の適用対象となる被加工物は、分割予定ラインに沿って分割起点(例えば改質層)が形成された被加工物、または分割予定ラインに沿って個々のチップに分割された被加工物である。
【0048】
(1)シート送り出しステップ
図10に示すように、送り出しローラ22により一端側の送り出しリール20からロール状に巻回されたシート8を第一方向に送り出すとともに、送り出されたシート8を引き込みローラ23,24によって引き込んで巻き取りリール21により巻き取る。このとき、送り出されたシート8の上向きに露出した上面が粘着性を有する粘着面8aとなっている。なお、本実施形態で使用されるシート8は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンやポリ塩化ビニル等の基材層に粘着層が積層されたエキスパンドシートを用いる。
【0049】
(2)被加工物搬入ステップ
図11に示すように、ウエーハWを保持手段40に搬入する。ウエーハWは、被加工物の一例であって、その表面Waに交差する複数の分割予定ラインにより区画された各領域にデバイスが形成されている。ウエーハWの表面Waには、デバイスを保護するための保護テープTが貼着されている。表面Waと反対側の裏面は、後述する貼着ステップでシート8に貼着される被貼着面Wbとなっている。本実施形態に示すウエーハWは、例えばレーザー光線の照射により分割予定ラインに沿った改質層がウエーハWの内部に形成され、例えば研削装置において薄化され改質層を起点に個々のチップに分割されている。
【0050】
例えば、ロボットハンド70によりウエーハWを保持手段40に搬入する。ロボットハンド70は、ウエーハWの被貼着面Wbを保持して保持手段40の上方側に移動する。このとき、保持手段40は、保持テーブル41の保持面41aを上向きの状態にして待機することが好ましい。これにより、研削・洗浄終了後に、ロボットハンド70がウエーハWの表裏を反転させることなく直接保持テーブル41に搬入することができるため、個々のチップに個片化された状態のウエーハWの破損リスクを低減することができる。なお、作業者がウエーハWを直接保持テーブル41に搬入してもよい。
【0051】
(3)被加工物対面ステップ
図12に示すように、ウエーハWを保持手段40で保持するとともに、シート送り出しステップで送り出されたシート8の粘着面8aにウエーハWの被貼着面Wbを対面させる。具体的には、保持テーブル41の保持面41aでウエーハWの表面Wa側を保持した状態で、
図6に示した回転軸44が回転し保持テーブル41の保持面41aを反転させウエーハWの被貼着面Wbを下向きに露出させる。次いで、保持手段40は、
図5に示した走行部401の走行により所望の位置に移動してから、昇降部400によって保持テーブル41を下降させてシート8から数mm程度上方の位置にウエーハWの被貼着面Wbを位置づけ、シート8の粘着面8aにウエーハWの被貼着面Wbを対面させる。なお、保持手段40は、保持テーブル41を反転させずに所望の位置に移動してから保持テーブル41を反転させて、シート8から数mm程度上方の位置にウエーハWの被貼着面Wbを位置づけるようにしてもよい。
【0052】
(4)挟持ステップ
被加工物対面ステップを実施した後、
図13に示すように、第一方向においてウエーハWを挟んで互いに対向した第一挟持手段10Aと第二挟持手段Bとでシート8を挟持するとともに、第一方向に直交する第二方向においてウエーハWを挟んで互いに対向した第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとでシート8を挟持する。まず、2つの第一方向移動手段14aを作動させ、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとが互いに接近するように
図4に示した各スライド部131を第一方向に水平移動させる。また、2つの第二方向移動手段14bを作動させ、第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとが互いに接近するように各スライド部135を第二方向に水平移動させる。このようにして、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dを互いに接近させる。
【0053】
このとき、第一方向に延在するシート8は、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dにおける
図4で示した各下側挟持部110と各上側挟持部120との間に位置づけられている。次いで、各下側昇降手段15が作動し、各下側挟持部110を上昇させるとともに、各上側昇降手段16が作動し、各上側挟持部120を下降させる。下側挟持部110のローラ113がシート8の下面を押圧するとともに、上側挟持部120のローラ123がシート8の上面を押圧することによって、シート8の上下面を挟持する。
【0054】
(5)事前第一方向拡張ステップ
挟持ステップを実施した後貼着ステップを実施する前に、第一方向においてシート8に撓みが発生している場合は、
図14に示すように、第一方向においてシート8を拡張させてシート8の撓みを解消する。具体的には、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとがシート8の上下面を挟持した状態で第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとを互いに離反するように移動させる。すなわち、
図13に示した2つの第一方向移動手段14aを作動させ、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとが互いに離反するように、
図4に示した各スライド部131を凹部102aにおいて第一方向に水平移動させ、各下側挟持部110のローラ113と各上側挟持部120のローラ123とによって挟持されたシート8をそれぞれ外側に向けて引っ張る。その結果、第一方向においてシート8が伸張されて撓みが解消される。
【0055】
(6)事前第二方向拡張ステップ
次いで、第二方向においてシート8に撓みが発生している場合は、
図15に示すように、第二方向においてシート8を拡張させてシート8の撓みを解消する。第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとがシート8の上下面を挟持した状態で第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとを互いに離反するように移動させる。すなわち、
図13に示した2つの第二方向移動手段14bを作動させ、第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとが互いに離反するように、
図4に示した各スライド部135を凹部102bにおいて第二方向に水平移動させ、各下側挟持部110のローラ113と各上側挟持部120のローラ123とによって挟持されたシート8をそれぞれ外側に向けて引っ張る。その結果、第二方向においてシート8が伸張されて撓みが解消される。
【0056】
本実施形態では、事前第一方向拡張ステップを実施した後に事前第二方向拡張ステップを実施しているが、この場合に限られず、事前第一方向拡張ステップと事前第二方向拡張ステップとを同時に実施してもよいし、第二方向にシート8を拡張してから第一方向にシート8を拡張してもよい。シート8の第一方向の拡張量と第二方向の拡張量とは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。もっとも、シート8の撓みの度合いに応じてシート8の第一方向の拡張量と第二方向の拡張量とを適宜設定するとよい。
【0057】
(7)貼着ステップ
挟持ステップを実施した後(事前第一方向拡張ステップ及び事前第二方向拡張ステップを実施した後はその後)、
図16に示すように、シート8の粘着面8aの反対側からシート8を押圧してシート8をウエーハWに貼着する。具体的には、エアシリンダ302においてピストン303が上昇することにより、貼着ローラ30をシート8の下面に接触させる。続いて貼着ローラ30を回転させながらシート8の下面を上方に押圧するとともに、
図3に示した第一方向送り手段37により移動基台373を第一方向に移動させ貼着ローラ30を転動させる。転動する貼着ローラ30の押圧にともない、シート8をウエーハWの被貼着面Wbに向けて押し付けることにより、被貼着面Wbの全面にシート8の粘着面8aを貼着する。その後、エアシリンダ302においてピストン303が下降し、シート8から貼着ローラ30を退避させる。このとき、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,
図15に示した第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dによりシート8の上下面は挟持されており、この状態は後述するシート切断ステップが完了するまで維持される。
【0058】
(8)リリースステップ
貼着ステップを実施した後、
図17に示すように、シート8に貼着されたウエーハWを保持手段40から放す。具体的には、
図3に示した第一方向送り手段37により移動基台373が第一方向に移動し、リリーステーブル311を第一方向に移動させる。続いてエアシリンダ312においてピストン313が上昇することによりリリーステーブル311を上昇させ、保持手段40と対向した位置にリリーステーブル311を位置づける。すなわち、リリーステーブル311がシート8を介して保持テーブル41が保持するウエーハWの被貼着面Wb側に接触する。その後、保持テーブル41がウエーハWの吸引を解除するとともに、リリーステーブル311によりウエーハWを吸引保持する。このようにして、保持テーブル41からリリーステーブル311へウエーハWの吸引保持を引き継ぐことで、ウエーハWに破損が生じるのを低減することができる。
【0059】
(9)テープ剥離ステップ
次に、剥離ユニット50を用いて保護テープTをウエーハWの表面Waから剥離する。まず、
図18に示すように、リリーステーブル311の上方にテープ保持手段50A及び剥離起点部生成手段50Cを移動させる。この際、ウエーハWに貼着された保護テープTの外周端部のわずかに外周部分を剥離起点部生成手段50Cにおける先端針状部材58の先端の直下に位置づける。その後、
図9に示した第4エアシリンダ51dを作動させて、先端針状部材58の先端を保護テープTの外周端部に近接する位置まで降下させる。
【0060】
先端針状部材58の先端が保護テープTの外周部分に近接するように、保護テープTの表面高さに合わせて先端針状部材58の先端の高さを微調整し、先端が近接した状態でテープ保持手段50A及び剥離起点部生成手段50Cをわずかに図中左方に移動させることにより、
図19に示すように、先端針状部材58の先端が該保護テープTの外周部分に突き当てる。なお、図示したように、保護テープTの周方向外側から先端針状部材58の先端を突き当てるようにしてもよいが、保護テープTの外周部分の上方から先端針状部材58の先端を突き当てるようにすることも可能である。
【0061】
先端針状部材58の先端が保護テープTの外周部分に突き当たった後、第4エアシリンダ51dを作動させて、先端針状部材58をわずかに上昇させることで、保護テープTの外周部分の一部が良好に剥離される。
【0062】
保護テープTの一部が剥離された後、
図20に示すように、先端部材57を上昇させるとともに、エアーノズル59から高圧エアーを噴射することにより、先端針状部材58の先端から保護テープTの外周部分が離反し、保護テープTの外周部分において先に剥離した一部を含む剥離領域が拡大し、テープ保持手段50Aにより挟持するのに適する剥離起点部TSが生成される。なお、剥離起点部生成工程における保持ベース52の高さは、剥離起点部TSがエアーノズル59からの高圧エアーにより剥離されたときに、剥離起点部TSが保持ベース52に設けられた挟持片511、512間に収まるように調整される。なお、エアーノズル59により高圧エアーを噴射して剥離領域を拡大する際に、上記した先端針状部材58をさらに突き当ててもよい。このようにして剥離起点部TSが好適に生成される。
【0063】
保護テープTの外周部分がエアーノズル59から噴射された高圧エアーにより持ち上げられたら、
図21に示すように、第3エアシリンダ50cの作動により挟持片512を挟持片511側に移動させて、剥離した保護テープTの外周部分を挟持片511と挟持片512とにより挟持する。そして、第1エアシリンダ51aを作動させることにより、挟持片511,512の下方に折り曲げローラ55を進入させることが可能な程度にテープ保持手段50A全体を上方に移動させる。
【0064】
テープ保持手段50Aを上方に移動させ、
図22に示すように、折り曲げローラ55をテープ保持手段50A側に移動させる。なお、折り曲げローラ55は、保護テープTのウエーハWに対する粘着面側に当接しながら剥離を進行させるため、長手方向の軸中心に回転可能で、且つ接触する保護テープTの粘着面が付着しないようにその表面にはフッ素樹脂がコーティングされている。
【0065】
本実施形態では、ウエーハW上の保護テープTは、
図23に示すように、剥離する方向(図中左方)に180度折り曲げられているが、折り曲げ角度は、必ずしも180度である必要はない。しかし、ウエーハWは研削されて極めて薄い板状に形成されるものであり、折り曲げ角度が小さいと保護テープTの剥離時にウエーハWの割れ、破損等を引き起こす恐れがあり、できるだけ180度、もしくは、それに近い角度で折り曲げられることが好ましい。
【0066】
図24に示すように、折り曲げローラ55が保持板53下面の図中左方側他端部まで移動すると、ウエーハWの表面Waから保護テープTが完全に剥離される。ウエーハWの表面Waから剥離された保護テープTは、保持板53により吸引保持される。そして、第3エアシリンダ51cの作動により挟持片512を挟持片511から離反させ保護テープTの外周部分を解放し、例えば廃棄容器に廃棄される。このようにしてテープ剥離ステップが完了する。
【0067】
(10)第一方向拡張ステップ
次に、
図25に示すように、第一方向においてシート8をさらに拡張して個々のチップC間の間隔を形成する。具体的には、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとがシート8を挟持した状態で第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとを第一方向において互いに離反するように移動させる。すなわち、
図4に示した2つの第一方向移動手段14aを作動させ、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとが互いに離反するように、各スライド部131を凹部102aにおいて第一方向に移動させ、各下側挟持部110のローラ113と各上側挟持部120のローラ123とによって挟持されたシート8をそれぞれ外側に引っ張る。シート8がさらに拡張することにともない、隣り合うチップCの間の間隔が大きくなり、各チップCの間に十分な間隔を形成することができる。これにより、ウエーハWの搬送時に隣り合うチップC同士が接触することを防止できる。
【0068】
(11)第二方向拡張ステップ
続いて、
図26に示すように、第二方向においてシート8をさらに拡張して個々のチップC間の間隔を形成する。具体的には、第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとがシート8を挟持した状態で第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとを第二方向において互いに離反するように移動させる。すなわち、
図4に示した2つの第二方向移動手段14bを作動させ、第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとが互いに離反するように、各スライド部135を凹部102bにおいて第二方向に移動させ、各下側挟持部110のローラ113と各上側挟持部120のローラ123とによって挟持されたシート8をそれぞれ外側に引っ張る。シート8がさらに拡張することにともない、隣り合うチップCの間の間隔が拡がり、各チップCの間に十分な間隔を形成することができる。これにより、第一方向拡張ステップと同様に、ウエーハWの搬送時に隣り合うチップC同士が接触することを防止できる。なお、本実施形態では、第一方向拡張ステップを実施した後に第二方向拡張ステップを実施しているが、この場合に限られず、第一方向拡張ステップと第二方向拡張ステップとを同時に実施してもよいし、第二方向の拡張をしてから第一方向の拡張を行ってもよい。また、シート8の第一方向の拡張量と第二方向の拡張量とは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
(12)未分割領域分割ステップ
ここで、第一方向拡張ステップ及び第二方向拡張ステップにより拡張されたウエーハWのうち、個々のチップCに分割されていない未分割領域(改質層を起点に分割されなかった領域)がある場合は、
図3に示した分割手段35によってウエーハWに外力を付与することにより、個々のチップCに分割する。例えば、第一方向においてウエーハWに未分割領域がある場合は、回転テーブル36を回転させることにより、スキージ350の延在方向を第一方向に合わせるとともに、第二方向送り手段38により移動基台383を第二方向に移動させ未分割領域に対応する位置にスキージ350を位置づける。続いて、スキージ350を上昇させてシート8を介してウエーハWに接触させスリット351を通じてウエーハWを吸引することにより、未分割領域を分割して個々のチップCに分割する。なお、未分割領域分割ステップは、少なくともフレーム貼着ステップを実施する前に行う。
【0070】
(13)フレーム位置づけステップ
第一方向拡張ステップと第二方向拡張ステップとを実施した後、
図27に示すように、フレーム保持手段60によって環状フレーム2をシート8に対面させる。まず、フレーム保持手段60は、
図2に示したフレームストッカー5に収容されている環状フレーム2をフレーム保持部61で吸引保持して搬出し、シート8の上方側に移動する。次いで、第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bと
図26に示した第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとでシート8を挟持した状態で、シート8の粘着面8aに環状フレーム2を対面させるとともに、環状フレーム2の開口3の内側にウエーハWを位置づける。
【0071】
(14)フレーム貼着ステップ
フレーム位置づけステップを実施したら、
図28に示すように、シート8の粘着面8aに対面して位置づけられた環状フレーム2にシート8を貼着する。具体的には、昇降機構によりフレーム用貼着ローラ33a,33bが上昇し、シート8の下面にフレーム用貼着ローラ33a,33bを接触させる。続いて
図3に示した回転テーブル36が少なくとも1回転することによりフレーム用貼着ローラ33a,33bを環状フレーム2に沿って転動させながらシート8の下面を上方に押圧することにより、環状フレーム2にシート8の粘着面8aを貼着する。環状フレーム2にシート8が貼着された後、フレーム用貼着ローラ33a,33bを下降させてシート8から退避させる。
【0072】
(15)シート切断ステップ
フレーム貼着ステップを実施した後、
図29に示すように、環状フレーム2に沿ってシート8を切断する。具体的には、昇降機構により切断手段34が上昇してシート8に切り込ませ、
図3に示した回転テーブル36が少なくとも1回転することにより、環状フレーム2に沿って切断手段34を円形に移動させることによりシート8を切断する。
【0073】
(16)搬出ステップ
シート切断ステップを実施した後、
図30に示すように、環状フレーム2にシート8を介してウエーハWが貼着されたフレームユニット9が形成される。そして、フレーム保持手段60はフレームユニット9を保持した状態で上昇することにより、シート8が切断された位置Pからフレームユニット9を搬出し、次工程(例えば実装工程)にフレームユニット9を移送する。
【0074】
このように、本発明にかかる拡張方法では、シート送り出しステップ及び被加工物対面ステップを実施した後、第一方向においてウエーハWを挟んで互いに対向した第一挟持手段10Aと第二挟持手段10Bとでシート8を挟持するとともに、第一方向に直交する第二方向においてウエーハWを挟んで互いに対向した第三挟持手段10Cと第四挟持手段10Dとでシート8を挟持する挟持ステップを実施してからシート8をウエーハWに貼着する貼着ステップに進むため、ウエーハWにシート8を貼着する際には、ウエーハWが保持手段40に保持され、かつ、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dによりシート8の上下面が挟持されているため、ウエーハWが破損するおそれを低減することができる。また、貼着ステップを実施した後シート切断ステップが完了するまでの間は、第一挟持手段10A,第二挟持手段10B,第三挟持手段10C及び第四挟持手段10Dによりシート8の上下面が挟持された状態が維持されるため、シート8の拡張時等においてウエーハWが破損するおそれを低減することができ、効率よくフレームユニット9を形成することができる。
さらに、本発明にかかる拡張方法では、シート8を拡張してチップ間の間隔を形成する前に、事前第一方向拡張ステップと事前第二方向拡張ステップを実施するため、シート8の撓みをあらかじめ解消した上で、第一方向拡張ステップと第二方向拡張ステップを行えることから、シート8の拡張量が不十分となるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
1:拡張装置 2:リングフレーム 3:開口 4:環状フレーム供給ユニット
5:フレームストッカー 6:台車 7:キャスター 8:シート 8a:粘着面
9:フレームユニット 10:拡張手段 10A:第一挟持手段 10B:第二挟持手段
10C:第三挟持手段 10D:第四挟持手段
11a,11b:下側挟持機構 12a,12b:上側挟持機構
13a,13b:可動基台 14a:第一方向移動手段 14b:第二方向移動手段
15:下側昇降手段 16:上側昇降手段
20:送り出しリール 21:巻き取りリール 22:送り出しローラ
23,24:引き込みローラ 30:貼着ローラ 31:リリース手段 32:固定基台
33a,33b:フレーム用貼着ローラ 34:切断手段 35:分割手段
36:回転テーブル 37:第一方向送り手段 38:第二方向送り手段
40:保持手段 41:保持テーブル 42:回転テーブル 43:ベース
44:回転軸 45:支持部
50:剥離ユニット 50A:テープ保持手段 50B:折り曲げローラ移動手段
50C:剥離起点部生成手段 51a:第1エアシリンダ 51b:第2エアシリンダ
51c:第3エアシリンダ 51d:第4エアシリンダ 511,512:挟持片
52:保持ベース 53:保持板 54:支持フレーム 55:折り曲げローラ
56:アーム部材 57:先端部材 58:先端針状部材 59:エアーノズル
60:フレーム保持手段 61:フレーム保持部 70:ロボットハンド