特許第6707278号(P6707278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707278
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】研削ホイール及び被加工物の研削方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 7/06 20060101AFI20200601BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20200601BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B24D7/06
   B24B7/04 A
   H01L21/304 631
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-174807(P2015-174807)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-47520(P2017-47520A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】不破 徳人
(72)【発明者】
【氏名】小山 真史
(72)【発明者】
【氏名】山下 真司
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−004172(JP,A)
【文献】 特表2014−513635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0102920(US,A1)
【文献】 実開昭56−094267(JP,U)
【文献】 特開平11−207636(JP,A)
【文献】 特開2001−096467(JP,A)
【文献】 特開2002−001671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 7/06
B24B 7/04
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア基板、SiC基板、半導体ウェーハ、樹脂基板又はセラミックス基板である板状の被加工物を研削するための研削ホイールであって、
研削の際に被加工物に対面する第1面を有する円盤状のホイール基台と、
該ホイール基台の該第1面に環状に配列される複数の研削砥石と、を備え、
該ホイール基台の周方向において隣接する2個の該研削砥石は、該ホイール基台の径方向において異なる位置に配置され、
該複数の研削砥石は、研削の際に形成される任意の該研削砥石の軌跡の一部と、別のいずれかの該研削砥石の軌跡の一部と、が重なり、且つ、全ての該研削砥石の軌跡が一体となように配列され
該複数の研削砥石は、該ホイール基台の径方向の外側から内側に向かって順に配列された複数の第1の研削砥石と、該ホイール基台の径方向の外側から内側に向かって順に配列された複数の第2の研削砥石と、を含み、
該ホイール基台の径方向の最も内側に配置されている該第2の研削砥石は、該ホイール基台の径方向の最も外側に配置されている該第1の研削砥石の隣に、該第1の研削砥石よりも該ホイール基台の径方向の内側に配置されていることを特徴とする研削ホイール。
【請求項2】
請求項1に記載の研削ホイールを装着した研削手段と、被加工物を保持するチャックテーブルと、を備える研削装置を用いて被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、
該ホイール基台の径方向において最も外側に配置されている研削砥石の軌跡が、該被加工物の中心を通るように該研削ホイールと被加工物との位置を合わせて研削を実施することを特徴とする被加工物の研削方法。
【請求項3】
被加工物は、サファイア基板又はSiC基板であることを特徴とする請求項2に記載の被加工物の研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被加工物を研削する際に用いられる研削ホイール、及び当該研削ホイールを用いた被加工物の研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)等の光デバイスを含むデバイスチップを製造する際には、機械的・熱的特性及び化学的安定性に優れたサファイア基板を使用するのが一般的である。サファイア基板は、例えば、表面の分割予定ライン(ストリート)で区画される各領域に光デバイスとなる発光層等が形成された後に、分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射され、分割の起点となる改質層が形成される。
【0003】
改質層が形成されたサファイア基板は、例えば、裏面側を研削されて薄化され、また、研削時の応力等によって、各光デバイスに対応する複数のデバイスチップへと分割される。分割後のデバイスチップは、携帯電話機をはじめとする電子機器や、各種の照明器具等に組み込まれる。
【0004】
上述したサファイア基板の研削は、例えば、回転軸となるスピンドルの先端部に研削ホイールが装着された研削装置を用いて実施される(例えば、特許文献1,2参照)。研削ホイールは、円盤状のホイール基台を備えており、ホイール基台の下面側には、研削用の複数の砥石(研削砥石)が環状に配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−29331号公報
【特許文献2】特開2011−40631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した研削ホイールを用いると、サファイア基板の周縁領域より中央領域で研削量が多くなって、平坦性が低下し易い。本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被加工物をより平坦に研削できる研削ホイール、及びこの研削ホイールを用いた被加工物の研削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、サファイア基板、SiC基板、半導体ウェーハ、樹脂基板又はセラミックス基板である板状の被加工物を研削するための研削ホイールであって、研削の際に被加工物に対面する第1面を有する円盤状のホイール基台と、該ホイール基台の該第1面に環状に配列される複数の研削砥石と、を備え、該ホイール基台の周方向において隣接する2個の該研削砥石は、該ホイール基台の径方向において異なる位置に配置され、該複数の研削砥石は、研削の際に形成される任意の該研削砥石の軌跡の一部と、別のいずれかの該研削砥石の軌跡の一部と、が重なり、且つ、全ての該研削砥石の軌跡が一体となように配列され、該複数の研削砥石は、該ホイール基台の径方向の外側から内側に向かって順に配列された複数の第1の研削砥石と、該ホイール基台の径方向の外側から内側に向かって順に配列された複数の第2の研削砥石と、を含み、該ホイール基台の径方向の最も内側に配置されている該第2の研削砥石は、該ホイール基台の径方向の最も外側に配置されている該第1の研削砥石の隣に、該第1の研削砥石よりも該ホイール基台の径方向の内側に配置されていることを特徴とする研削ホイールが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、上記研削ホイールを装着した研削手段と、被加工物を保持するチャックテーブルと、を備える研削装置を用いて被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、該ホイール基台の径方向において最も外側に配置されている研削砥石の軌跡が、該被加工物の中心を通るように該研削ホイールと被加工物との位置を合わせて研削を実施することを特徴とする被加工物の研削方法が提供される。
【0010】
本発明に係る被加工物の研削方法において、被加工物は、サファイア基板又はSiC基板でも良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る研削ホイールでは、ホイール基台の周方向において隣接する2個の研削砥石がホイール基台の径方向において異なる位置に配置されているので、周方向に隣接する2個の研削砥石が径方向の同じ位置(すなわち、同一の円周上)に配置されている従来の研削ホイールと比較して、被加工物と研削砥石とが接触する領域を分散できる。よって、中央領域の研削量を低減して、被加工物をより平坦に研削できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2】研削ホイールの構造を模式的に示す斜視図である。
図3】研削ホイールの構造を模式的に示す平面図である。
図4】被加工物が研削される様子を模式的に示す側面図である。
図5】研削時の被加工物と砥石との位置関係の例を模式的に示す図である。
図6】実験の結果を示すグラフである。
図7】変形例に係る研削ホイールの構造を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。はじめに、本実施形態に係る研削ホイールが使用される研削装置の構成例について説明する。図1は、研削装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の研削装置2は、各構造が搭載される直方体状の基台4を備えている。基台4の後端には、支持壁6が立てられている。
【0014】
基台4の上面には、X軸方向(前後方向)に長い矩形の開口4aが形成されている。この開口4a内には、X軸移動テーブル8、X軸移動テーブル8をX軸方向に移動させるX軸移動機構(不図示)、及びX軸移動機構を覆う防塵防滴カバー10が配置されている。また、開口4aの前方には、研削条件等を入力するための操作パネル12が設置されている。
【0015】
X軸移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール(不図示)を備えており、X軸ガイドレールには、X軸移動テーブル8がスライド可能に取り付けられている。X軸移動テーブル8の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレールと平行なX軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。
【0016】
X軸ボールネジの一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジを回転させることにより、X軸移動テーブル8はX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0017】
X軸移動テーブル8上には、板状の被加工物11(図4図5参照)を吸引、保持するチャックテーブル14が設けられている。チャックテーブル14は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル14は、上述したX軸移動機構によって、X軸移動テーブル8と共にX軸方向に移動する。
【0018】
チャックテーブル14の上面は、被加工物11を吸引、保持する保持面14aとなっている。この保持面14aは、チャックテーブル14の内部に形成された流路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル14に載せられた被加工物11は、保持面14aに作用する吸引源の負圧でチャックテーブル14に吸引、保持される。
【0019】
支持壁6の前面には、Z軸移動機構16が設けられている。Z軸移動機構16は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール18を備えており、このZ軸ガイドレール18には、Z軸移動プレート20がスライド可能に取り付けられている。
【0020】
Z軸移動プレート20の後面側(裏面側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール18に平行なZ軸ボールネジ22が螺合されている。Z軸ボールネジ22の一端部には、Z軸パルスモータ24が連結されている。Z軸パルスモータ24でZ軸ボールネジ22を回転させることにより、Z軸移動プレート20はZ軸ガイドレール18に沿ってZ軸方向に移動する。
【0021】
Z軸移動プレート20の前面(表面)には、前方に突出した支持構造26が設けられており、この支持構造26には、被加工物11を研削する研削ユニット(研削手段)28が支持されている。研削ユニット28は、支持構造26に固定されたスピンドルハウジング30を含む。スピンドルハウジング30には、回転軸となるスピンドル32が回転可能に収容されている。
【0022】
スピンドル32の下端部(先端部)は、スピンドルハウジング30から露出している。このスピンドル32の下端部には、円盤状のホイールマウント34が固定されている。ホイールマウント34の下面には、ホイールマウント34と概ね同径に構成された円盤状の研削ホイール1がボルト等で装着されている。
【0023】
スピンドル32の上端側(基端側)には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。研削ホイール1は、この回転駆動源から伝達される回転力によって、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。チャックテーブル14と研削ホイール1とを相対的に回転させつつ、研削ホイール1を下降させ、純水等の研削液を供給しながら被加工物11に接触させることで、被加工物11を研削できる。
【0024】
図2は、本実施形態に係る研削ホイール1の構造を模式的に示す斜視図であり、図3は、研削ホイール1の構造を模式的に示す平面図(底面図)である。図2及び図3に示すように、本実施形態に係る研削ホイール1は、ステンレス、アルミニウム等でなる円盤状(円環状)のホイール基台3を備えている。
【0025】
ホイール基台3は、概ね平坦かつ互いに平行な第1面3aと第2面3bとを有し、その中央部には、ホイール基台3を第1面3aから第2面3bまで貫通する円形の開口3cが形成されている。このホイール基台3の第2面3bを研削装置2のホイールマウント34に接触させることで、研削装置2に研削ホイール1を装着できる。一方、被加工物11を研削する際には、ホイール基台3の第1面3aが被加工物11に対面する。
【0026】
ホイール基台3の第1面3aには、複数の砥石(砥石部材)5が環状に配列されている。各砥石5は、例えば、金属、セラミックス、樹脂等の結合材(ボンド材)に、ダイヤモンド、CBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒を混合して直方体状に形成されている。なお、結合材や砥粒に制限はなく、被加工物11の種類等に応じて適切に選択、変更できる。また、ホイール基台3に配列される砥石5の数量も、ホイール基台3や被加工物11の大きさ等に合わせて適切に設定できる。
【0027】
図3に示すように、ホイール基台3の周方向(θ方向)において隣接する任意の2個の砥石5は、ホイール基台3の径方向(r方向)において異なる位置に配置されている。言い換えれば、隣接する任意の2個の砥石5は、ホイール基台3の回転軸3d上の点を中心として、半径が異なる同心円上に配置されている。
【0028】
砥石5をこのように配置することで、研削の際に被加工物11と砥石5とが接触する領域を分散できる。つまり、砥石5から被加工物11への応力は、被加工物11の特定の領域(例えば、中央領域)に集中し難くなる。これにより、特定の領域(中央領域)の研削量を低減して、被加工物11をより平坦に研削できる。
【0029】
また、この複数の砥石5は、研削の際に形成される任意の砥石5の軌跡の一部と、別のいずれかの砥石5の軌跡の一部と、が重なるように配列されている。すなわち、全ての砥石5の軌跡が一体になるので、ある砥石5の軌跡と、残りの砥石5の軌跡と、の間に隙間ができることはない。
【0030】
具体的には、図3に示すように、径方向(r方向)において最も外側に位置する砥石5aの軌跡の内側の一部が、径方向において内側に位置する砥石5bの軌跡の外側の一部と重なっている。また、砥石5bの軌跡の内側の一部が、より内側に位置する砥石5cの軌跡の外側の一部と重なっている。同様に、砥石5cの軌跡の内側の一部が、内側に位置する砥石5dの軌跡の外側の一部と重なっている。
【0031】
さらに、砥石5dの軌跡の内側の一部が、内側に位置する砥石5eの軌跡の外側の一部と重なっている。また、砥石5eの軌跡の内側の一部が、径方向8bで最も内側に位置する砥石5fの軌跡の外側の一部と重なっている。そして、その結果、全ての砥石5a,5b,5c,5d,5e,5fの軌跡が一体になっている。
【0032】
つまり、ある砥石5の軌跡の内側の一部と、この砥石5よりも径方向において内側に位置する砥石5の軌跡の外側の一部とが重なっている。または、ある砥石5の軌跡の外側の一部と、この砥石5よりも径方向において外側に位置する砥石5の軌跡の内側の一部とが重なっている。複数の砥石5をこのように配列することで、ある砥石5の軌跡と別の砥石5の軌跡との隙間で被加工物11の研削量が減少することはない。これにより、被加工物11の全面をより平坦に研削できる。
【0033】
次に、上述の研削ホイール1を用いた被加工物の研削方法について説明する。図4は、被加工物11が研削される様子を模式的に示す側面図であり、図5は、研削時の被加工物11と砥石5との位置関係の例を模式的に示す図である。なお、本実施形態では、被加工物11として、サファイア基板又はSiC基板を用いるが、他の半導体ウェーハや樹脂基板、セラミックス基板等を被加工物11として用いることもできる。
【0034】
被加工物11の第1面11a側を研削する場合には、図4に示すように、例えば、被加工物11の第2面11bをチャックテーブル14の保持面14aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、被加工物11は、第1面11a側が上方に露出した状態でチャックテーブル14に吸引、保持される。
【0035】
次に、チャックテーブル14を研削ホイール1の下方に移動させる。そして、図4に示すように、チャックテーブル14と研削ホイール1とをそれぞれ回転させて、純水等の研削液を供給しながら研削ユニット28を下降させる。研削ユニット28の下降量(送り速度)は、被加工物11の第1面11aに砥石5の下面が押し当てられる程度に調整される。これにより、被加工物11の第1面11a側を研削できる。
【0036】
この研削は、図5に示すように、ホイール基台3の径方向(r方向)において最も外側に位置する砥石5aの軌跡5gが、被加工物11の中心11cを通るように、研削ホイール1と被加工物11(チャックテーブル14)との位置を調整した状態で遂行される。これにより、被加工物11の第1面11aを適切に研削できる。
【0037】
次に、本実施形態に係る研削ホイール1の効果を確認するために行った実験について説明する。この実験では、上述した研削ホイール1(実施例)と、周方向に隣接する2個の砥石が径方向の同じ位置(すなわち、同一の円周上)に配置されている従来の研削ホイール(比較例)と、を用いて同じ条件でサファイア基板を研削し、研削後の被研削面の高さ(高さプロファイル)を測定した。
【0038】
具体的には、直径が4インチで厚さが650μmのサファイア基板を、100μmの厚さになるまで研削した。スピンドル32(研削ホイール)の回転数は1000rpm、チャックテーブル14の回転数は300rpm、研削ユニット28(研削ホイール)の下降量(送り速度)は0.2μm/sにそれぞれ設定した。
【0039】
図6は、実験の結果を示すグラフである。図6に示すように、従来の研削ホイール(比較例)では、サファイア基板の中央領域(例えば、測定位置が40mm〜60mmの領域)が凹状に研削されているが、本実施形態の研削ホイール1(実施例)では、概ね平坦に研削されている。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る研削ホイール1では、ホイール基台3の周方向(θ方向)において隣接する2個の砥石(研削砥石)5がホイール基台3の径方向(r方向)において異なる位置に配置されているので、周方向に隣接する2個の砥石が径方向の同じ位置(すなわち、同一の円周上)に配置されている従来の研削ホイールと比較して、被加工物11と砥石5とが接触する領域を分散できる。よって、中央領域の研削量を低減して、被加工物11をより平坦に研削できる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、砥石5の配列等は、発明の効果が得られる態様で任意に変更できる。図7は、変形例に係る研削ホイールの構造を模式的に示す平面図(底面図)である。
【0042】
変形例に係る研削ホイール21の基本的な構造は、上記実施形態に係る研削ホイール1の構造と同じである。すなわち、研削ホイール21は、図7に示すように、円盤状(円環状)のホイール基台3を備えている。ホイール基台3の第1面3aには、複数の砥石(砥石部材)5が環状に配列されている。
【0043】
この変形例に係る研削ホイール21でも、ホイール基台3の周方向(θ方向)において隣接する任意の2個の砥石5は、ホイール基台3の径方向(r方向)において異なる位置に配置されている。また、複数の砥石5は、研削の際に形成される任意の砥石5の軌跡の一部と、別のいずれかの砥石5の軌跡の一部と、が重なるように配列されている。
【0044】
よって、この変形例に係る研削ホイール21でも、上記実施形態の研削ホイール1と同様の効果を得ることができる。その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0045】
1,21 研削ホイール
3 ホイール基台
3a 第1面
3b 第2面
3c 開口
3d 回転軸
5,5a,5b,5c,5d,5e,5f 砥石(研削砥石)
5g 軌跡
2 研削装置
4 基台
4a 開口
6 支持壁
8 X軸移動テーブル
10 防塵防滴カバー
12 操作パネル
14 チャックテーブル
14a 保持面
16 Z軸移動機構
18 Z軸ガイドレール
20 Z軸移動プレート
22 Z軸ボールネジ
24 Z軸パルスモータ
26 支持構造
28 研削ユニット(研削手段)
30 スピンドルハウジング
32 スピンドル
34 ホイールマウント
11 被加工物
11a 第1面
11b 第2面
11c 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7