特許第6709487号(P6709487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709487イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709487
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20200608BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20200608BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   C07F15/00 ECSP
   C09K11/06 660
   H05B33/14 B
【請求項の数】12
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2015-224456(P2015-224456)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-88581(P2017-88581A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月5日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度 独立行政法人科学技術振興機構 復興促進プログラム(マッチング促進)「高性能有機EL燐光材料の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000136561
【氏名又は名称】株式会社フルヤ金属
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】今野 英雄
(72)【発明者】
【氏名】杉田 吉朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104178110(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104178103(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177425(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177411(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104178118(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177446(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177409(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104178111(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177424(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104177410(CN,A)
【文献】 特開2009−040728(JP,A)
【文献】 特開2012−019171(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024737(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104178116(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103012492(CN,A)
【文献】 Organometallics,2013, Vol.32 ,p.6427-6436
【文献】 Dalton Trans.,2014, Vol.43,p.5667-5679
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とするイリジウム錯体。
【化1】
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。XはC(R)または窒素原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、RとRの少なくとも1つが、アルキル基である。〜Rのアルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基はフッ素で置換されることはない。XがC(R)のときは、RとRとがアルキル基、または、Rが水素原子でRがアルキル基であり、Xが窒素原子のときは、Rが水素原子でRがアルキル基である。とR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。m=2〜3であり、n=0〜1であり、かつ、m+n=3である。Lはモノアニオン性2座配位子を表す。)
【請求項2】
〜Rが水素原子、または、アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
【請求項3】
とRがアルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のイリジウム錯体。
【請求項4】
XがC(R)であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【請求項5】
Xが窒素原子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【請求項6】
Lが含窒素ヘテロ環配位子またはジケトン配位子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【請求項7】
Lが一般式(2)〜(10)の中から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【化2】
(一般式(2)〜(10)中、R〜R64は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。また、隣接する置換基は結合して環構造を形成してもよい。XはC(R70)または窒素原子を表す。R65〜R67は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R68〜R70は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、R68とR69の少なくとも1つが、アルキル基、または、アルコキシ基である。R65とR66、R66とR67は各々結合して環構造を形成してもよい。)
【請求項8】
mが3であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【請求項9】
mが2でありnが1であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体を含むことを特徴とする発光材料。
【請求項11】
請求項10に記載の発光材料を含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項12】
一般式(11)で表される化合物。
【化3】
(一般式(11)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。XはC(R)または窒素原子を表す。Yはハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、RとRの少なくとも1つが、アルキル基である。〜Rのアルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基はフッ素で置換されることはない。XがC(R)のときは、RとRとがアルキル基、または、Rが水素原子でRがアルキル基であり、Xが窒素原子のときは、Rが水素原子でRがアルキル基である。とR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子(有機電界発光素子、有機電気化学発光素子等)の発光材料として有用な新規イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた有機発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機電界発光素子に代表される有機発光素子はディスプレイまたは照明技術として注目されており、実用化に向けた研究が活発に進められている。特に発光効率向上は重要な研究課題であり、現在では発光材料として、励起三重項状態からの発光を利用する燐光材料に注目が集まっている。
【0003】
励起一重項状態からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であるため発光性励起子の生成確率が25%であるとされている。また、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率の限界は5%とされている。一方で、これに励起三重項状態をも利用できると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となる。このような背景から、これまで燐光材料の開発が活発に行われてきた。
【0004】
例えば、化4に示す2−フェニルピリミジンイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。このイリジウム錯体は緑色発光性であり、当該イリジウム錯体を用いることで緑色発光素子を作製できることが開示されている。
【化4】
【0005】
また、化5に示す2−フェニルピリミジン配位子のフェニル基にフッ素置換基を導入した青色発光性イリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【化5】
【0006】
さらに、本発明と類似の化合物として、化6に示すイリジウムと炭素で結合するピリジン環またはピリミジン環にフッ素置換基を導入した青色発光性のピリミジンイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
【化6】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−40728号公報
【特許文献2】国際公開第2011/024737号パンフレット
【特許文献3】特開2012−19171号公報
【特許文献4】特開2009−40728号公報
【特許文献5】国際公開2011/024737号公報
【特許文献6】国際公開2012/166608号公報
【特許文献7】国際公開2010/056669号公報
【特許文献8】国際公開2010/111755号公報
【特許文献9】国際公開2012/158851号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Inorg.Chem.,2012,51,290−297.
【非特許文献2】J.Flu.Chem.,2009,130,640−649.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、従来公知の青色発光性のピリミジンイリジウム錯体は、フッ素置換基が導入されたものである。しかし、フッ素置換基が導入されたイリジウム錯体は加熱によりフッ素が脱離しやすいことが知られており(例えば、Inorg.Chem.,2012,51,290−297.(非特許文献1)および、J.Flu.Chem.,2009,130,640−649.(非特許文献2)を参照。)、熱的安定性に問題があることから、フッ素置換基を使用しない青色発光性のイリジウム錯体の開発が強く望まれている。
【0010】
本発明の目的は、有機電界発光素子や有機電気化学発光素子等に適用でき、可視光領域(特に青色領域)に良好な発光特性を示す新規イリジウム錯体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記実状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表される新規イリジウム錯体が、青色領域に強い発光を示すことを見出した。そして本発明のイリジウム錯体を用いることで、高い発光効率を示す青色有機発光素子を作製できることを実証し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
【0013】
本発明に係るイリジウム錯体は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
【化1】
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。XはC(R)または窒素原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、RとRの少なくとも1つが、アルキル基である。〜Rのアルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基はフッ素で置換されることはない。XがC(R)のときは、RとRとがアルキル基、または、Rが水素原子でRがアルキル基であり、Xが窒素原子のときは、Rが水素原子でRがアルキル基である。とR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。m=2〜3であり、n=0〜1であり、かつ、m+n=3である。Lはモノアニオン性2座配位子を表す。)
【0014】
本発明に係るイリジウム錯体では、R〜Rが水素原子、または、アルキル基であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るイリジウム錯体では、RとRがアルキル基であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るイリジウム錯体では、XがC(R)であることが好ましい。
【0018】
本発明に係るイリジウム錯体では、Xが窒素原子であることが好ましい。
【0019】
本発明に係るイリジウム錯体では、Lが含窒素ヘテロ環配位子またはジケトン配位子であることが好ましい。
【0020】
本発明に係るイリジウム錯体では、Lが一般式(2)〜(10)の中から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【化2】
(一般式(2)〜(10)中、R〜R64は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。また、隣接する置換基は結合して環構造を形成してもよい。XはC(R70)または窒素原子を表す。R65〜R67は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R68〜R70は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、R68とR69の少なくとも1つが、アルキル基、または、アルコキシ基である。R65とR66、R66とR67は各々結合して環構造を形成してもよい。)
【0021】
本発明に係るイリジウム錯体では、mが3であることが好ましい。
【0022】
本発明に係るイリジウム錯体では、mが2でありnが1であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る発光材料は、本発明に係る記載のイリジウム錯体を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る有機発光素子は、本発明に係る発光材料を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る化合物は、一般式(11)で表される。
【化3】
(一般式(11)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。XはC(R)または窒素原子を表す。Yはハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、RとRの少なくとも1つが、アルキル基である。〜Rのアルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基はフッ素で置換されることはない。XがC(R)のときは、RとRとがアルキル基、または、Rが水素原子でRがアルキル基であり、Xが窒素原子のときは、Rが水素原子でRがアルキル基である。とR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。)
【発明の効果】
【0026】
本発明は、有機電界発光素子および有機電気化学発光素子などに適用でき、可視光領域(特に青色領域)に優れた発光特性を示す新規構造のイリジウム錯体を提供することができる。
【0027】
本発明の新規イリジウム錯体は、室温下で主に青色領域に強い発光を示し、また熱的安定性に優れていることから、各種用途の発光素子材料として好適に用いることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、可視光領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライトまたは照明光源などの分野に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明化合物(Ir−53)のTHF中、アルゴン雰囲気下での発光スペクトルである。
図2】本発明化合物(Ir−59)のTHF中、アルゴン雰囲気下での発光スペクトルである。
図3】本発明化合物(Ir−53)とmCPとの共蒸着膜(5:95(質量%比))の発光スペクトルである。
図4】本発明化合物(Ir−59)とmCPとの共蒸着膜(5:95(質量%比))の発光スペクトルである。
図5】本発明化合物(Ir−59)を用いて作製した有機電界発光素子のELスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0030】
本発明の一般式の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
【0031】
本発明に係るイリジウム錯体は前記一般式(1)で表され、これらイリジウム錯体を真空蒸着法やスピンコート法等によって、有機発光素子の発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層に含有させることで、可視光領域(特に青色領域)に発光を示す有機発光素子が得られる。
【0032】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
本発明のイリジウム錯体は一般式(1)で表され、イリジウムと炭素で結合するピリジン環またはピリミジン環の置換基(すなわち、一般式(1)中のR〜R)にフッ素置換基を導入することなく青色領域に発光を示すという、従来技術にはない優位な特長がある。
【0034】
【化1】
【0035】
一般式(1)において、Lが一般式(2)〜(10)の中から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】
本発明の化合物は、一般式(11)で表され、イリジウム1原子あたり2分子の配位子が配位したイリジウム錯体がハロゲン原子で架橋して2量体を形成している。この化合物は、本発明に係るイリジウム錯体を合成するときの中間物質として好適である。
【0038】
【化3】
【0039】
一般式(1)〜(11)に記載した記号(N、Ir、X、X、m、n、L、Y、R〜R70)について以下に説明する。
【0040】
一般式(1)〜(11)中、Nは窒素原子を表す。
【0041】
一般式(1)〜(11)中、Irはイリジウムを表す。
【0042】
一般式(1)〜(11)中、XはC(R)または窒素原子を表す。
【0043】
一般式(1)〜(11)中、XはC(R70)または窒素原子を表す。
【0044】
一般式(1)〜(11)中、mは1〜3の整数であり、nは0〜2の整数であり、m+nは3である。すなわち、mが3のときはnが0であり、mが2のときはnが1であり、mが1のときはnが2である。このうち、mが3でありnが0である組合せ、mが2でありnが1である組合せがより好ましい。
【0045】
一般式(1)〜(11)中、Lはモノアニオン性2座配位子を表す。モノアニオン性2座配位子の中でも、含窒素ヘテロ環配位子またはジケトン配位子であることが好ましい。
【0046】
含窒素ヘテロ環配位子の中でも含窒素ヘテロ環2座配位子が好ましく、例えば、2−フェニルピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体、1−フェニルイソキノリン誘導体、3−フェニルイソキノリン誘導体、2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジン誘導体、2−チエニルピリジン誘導体、1−フェニルピラゾール誘導体、1−フェニル−1H−インダゾール誘導体、2−フェニルベンゾチアゾール誘導体、2−フェニルチアゾール誘導体、2−フェニルベンゾオキサゾール誘導体、2−フェニルオキサゾール誘導体、2−フラニルピリジン誘導体、2−(2−ベンゾフラニル)ピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、7,8−ベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾ[f,h]キノリン誘導体、ジベンゾ[f,h]キノキサリン誘導体、ベンゾ[h]−5,6−ジヒドロキノリン誘導体、9−(2−ピリジル)カルバゾール誘導体、1−(2−ピリジル)インドール誘導体、1−(1−ナフチル)イソキノリン誘導体、1−(2−ナフチル)イソキノリン誘導体、2−(2−ナフチル)キノリン誘導体、2−(1−ナフチル)キノリン誘導体、3−(1−ナフチル)イソキノリン誘導体、3−(2−ナフチル)イソキノリン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−(2−ナフチル)ピリジン誘導体、6−フェニルフェナントリジン誘導体、6−(1−ナフチル)フェナントリジン誘導体、6−(2−ナフチル)フェナントリジン誘導体、ベンゾ[c]アクリジン誘導体、ベンゾ[c]フェナジン誘導体、ジベンゾ[a,c]アクリジン誘導体、ジベンゾ[a,c]フェナジン誘導体、2−フェニルキノキサリン誘導体、2,3−ジフェニルキノキサリン誘導体、2−ベンジルピリジン誘導体、2−フェニルベンゾイミダゾール誘導体、3−フェニルピラゾール誘導体、4−フェニルイミダゾール誘導体、1−フェニルイミダゾール誘導体、4−フェニルトリアゾール誘導体、5−フェニルテトラゾール誘導体、2−アルケニルピリジン誘導体、5−フェニル−1,2,4−トリアゾール誘導体、イミダゾ[1,2−f]フェナントリジン誘導体、1−フェニルベンズイミダゾリウム塩誘導体、1−フェニルイミダゾリウム塩誘導体、ピコリン酸誘導体、ピリジンスルホン酸誘導体、または、ピラザボール誘導体がある。
【0047】
ジケトン配位子の中でもβ−ジケトン配位子が好ましく、例えば、アセチルアセトン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、ジピバロイルメタンなどがある。
【0048】
一般式(1)〜(11)中、Yはハロゲン原子を表す。ハロゲン子の中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子より好ましい。
【0049】
〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、または、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アミノ基、または、アルキル基である。特に好ましくは、水素原子、または、アルキル基である。なお、RとR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。
【0050】
〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基を表す。但し、RとRの少なくとも1つが、アルキル基、または、アルコキシ基である。R〜Rのアルキル基、アルコキシ基、または、アリールオキシ基はフッ素で置換されることはない。XがC(R)のときは、RとRとがアルキル基、Rが水素原子でRがアルキル基、または、RとRとがアルコキシ基であることが好ましい。Xが窒素原子のときは、Rが水素原子でRがアルキル基であることが好ましい。
【0051】
〜R64は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子を表す。また、隣接する置換基は結合して環構造を形成してもよい。R〜R64として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、またはアリール基である。
【0052】
65はR1と同義であり望ましい範囲も同様である。R66はRと同義であり望ましい範囲も同様である。R67はRと同義であり望ましい範囲も同様である。R68はRと同義であり望ましい範囲も同様である。R69はRと同義であり望ましい範囲も同様である。R70はRと同義であり望ましい範囲も同様である。
【0053】
がC(R70)のときは、R68とR69とがアルキル基、R68が水素原子でR69がアルキル基、または、R68とR69とがアルコキシ基であることが好ましい。Xが窒素原子のときは、R68が水素原子でR69がアルキル基であることが好ましい。
【0054】
前記アルキル基は、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0055】
前記アリール基は、アルキル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0056】
前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0057】
前記アルコキシ基は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0058】
前記アミノ基は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0059】
前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
【0060】
前記アルキル基は、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが最も好ましい。
【0061】
前記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、または3,5−テトラメチルシクロヘキシル基がある。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基である。より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
【0062】
前記アリール基は、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。
【0063】
前記アリール基として、例えば、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、m−クウォーターフェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基がある。好ましくは、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、またはメシチル基である。特にアルキル基で置換されたフェニル基は、イリジウム錯体の昇華性が向上することから特に好ましい。
【0064】
前記ヘテロ環基は、炭素数1〜30のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数1〜20のヘテロ環基であることがより好ましく、炭素数1〜10のヘテロ環基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のヘテロ環基であることが最も好ましい。
【0065】
前記ヘテロ環基として、例えば、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−ピラジル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、5−ピリダジニル基、キノリニル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾピリジニル基、1−インドリル基、2−ベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、1−イソキノリル基、1−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、1−フェナジニル基、2−チエニル基、1−ジベンゾフラニル基、1,3,5−トリアジニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基である。
【0066】
前記アルコキシ基は、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが最も好ましい。
【0067】
前記アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等があり、メトキシ基が好ましい。
【0068】
前記アリールオキシ基は、炭素数6〜30のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることが特に好ましい。
【0069】
前記アリールオキシ基として、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等があり、フェノキシ基が好ましい。
【0070】
ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子、臭素原子またはフッ素原子である。より好ましくは臭素原子またはフッ素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0071】
とR、RとRは各々結合して環構造を形成してもよい。RとR、RとRは各々結合して飽和または不飽和の6員環を形成することが好ましい。
【0072】
この中でもRとして好ましくは、水素原子、または、メチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
【0073】
この中でもRおよびRとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、または、ターシャルブチル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、または、エチル基である。
【0074】
この中でもRおよびRとして好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、または、ターシャルブチル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、または、ターシャルブチル基である。
【0075】
この中でもRとして好ましくは、水素原子、または、メチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
【0076】
およびRとしては、上記の中でもアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基が好ましく、メチル基またはt−ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0077】
、R10〜R29としては、上記の中でも水素原子、またはアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、または水素原子が好ましく、メチル基、または水素原子が特に好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0078】
30〜R46、R48〜R50、R52〜R56、R58〜R64としては、上記の中でも水素原子、アルキル基、またはアリール基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、または水素原子が好ましく、メチル基、または水素原子が特に好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0079】
47、R51としては、上記の中でもアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基が好ましく、メチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0080】
57としては、上記の中でも水素原子、または、アリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、または水素原子が好ましく、2,6−キシリル基、またはメシチル基が特に好ましい。
【0081】
65とR66、R66とR67は各々結合して環構造を形成してもよい。R65とR66、R66とR67は各々結合して飽和または不飽和の6員環を形成することが好ましい。
【0082】
この中でもR65として好ましくは、水素原子、または、メチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
【0083】
この中でもR66およびR67として好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、または、ターシャルブチル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、または、エチル基である。
【0084】
この中でもR68およびR69として好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、または、ターシャルブチル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、または、ターシャルブチル基である。
【0085】
この中でもR70として好ましくは、水素原子、または、メチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
【0086】
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の中でも、室温下、溶液中または薄膜状態での発光量子収率が、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましく、0.7以上であることが最も好ましい。
【0087】
溶液中の発光量子収率の測定は、溶存酸素を取り除くため、イリジウム錯体が溶解した溶液にアルゴンガスもしくは窒素ガスを通気した後に行うか、または、発光材料が溶解した溶液を凍結脱気した後に行うのが良い。発光量子収率の測定法としては、絶対法または相対法のどちらを用いてもよい。相対法においては、標準物質(キニン硫酸塩など)との発光スペクトルの比較によって、発光量子収率を測定することができる。絶対法においては、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920−02))を用いることで、固体状態または溶液中での発光量子収率の測定が可能である。溶液中での発光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記発光量子収率が達成されればよい。
【0088】
薄膜状態での発光量子収率の測定は、例えば石英ガラスの上に本発明のイリジウム錯体を真空蒸着し、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920))を用いて行うことができる。薄膜での発光量子収率は、本発明のイリジウム錯体を単独で蒸着するか、または種々のホスト材料と共蒸着し測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、いずれかの条件において上記発光量子収率が達成されればよい。
【0089】
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は主に可視光領域(特に青色領域)に発光を示すが、その波長領域は配位子の種類または構造に依存する。特に室温下、溶液中または薄膜での発光スペクトルの発光極大波長(発光極大波長が複数ある場合は、最も短波長側の発光極大波長)については、350nm〜800nmの範囲であることが好ましく、400nm〜600nmの範囲であることがより好ましく、450nm〜550nmの範囲であることが特に好ましく、450nm〜530nmの範囲であることがより特に好ましく、450nm〜500nmの範囲であることが最も好ましい。
【0090】
本発明に係る一般式(1)で表される中でも、特に好ましいイリジウム錯体は、例えば、式(A)〜(O)のうちいずれかのルートで製造することができる。
【0091】
m=3、n=0のケースは、例えば、式(A)のルートである。
【化7】
【0092】
m=2、n=1のケースは、例えば、式(B)〜(J)の各ルートである。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0093】
m=1、n=2のケースは、例えば、式(K)〜(O)の各ルートである。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0094】
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、この他にも、特開2009−40728号公報(特許文献4)、国際公開2011/024737号公報(特許文献5)、国際公開2012/166608号公報(特許文献6)、国際公開2010/056669号公報(特許文献7)、国際公開2010/111755号公報(特許文献8)、または国際公開2012/158851号公報(特許文献9)などの公知文献を参考に合成できる。
【0095】
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水若しくは有機溶媒を添加することによる晶析、または反応混合物からの溶媒を留去する操作などを単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華またはカラムクロマトグラフィーなどを単独あるいは組み合わせて行うことができる。
【0096】
以下に、本発明に係る、一般式(1)で示されるイリジウム錯体の代表例を表1〜表7に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
なお、前述したように本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、室温下で高効率に燐光を発光することが可能であるため、発光材料または有機発光素子の発光物質として利用できる。また本発明のイリジウム錯体からなる発光材料を用いて有機発光素子(好ましくは有機電界発光素子)を作製することができる。
【0105】
また、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。さらに消費電力が低い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。
【0106】
次に本発明の一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製される有機電界発光素子について説明する。有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、発光層の発光材料として、一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含有することが好ましい。また一般的に発光層は発光材料とホスト材料とから構成される。
【0107】
本発明の有機電界発光素子における代表的な素子構成としては、例えば以下の構成があるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0108】
また発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)を設けてもよい。また発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)を設けてもよい。
【0109】
以下、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について説明する。
【0110】
<発光層>
発光層は、電極から注入された電子および正孔が再結合し、励起子を経由して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0111】
発光層の膜厚としては、2nm〜1000nmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲であり、更に好ましくは3〜150nmの範囲である。
【0112】
本発明では、発光層は、発光材料とホスト材料とを含有することが好ましい。
【0113】
発光材料としては、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体が単独もしくは複数種含まれていてもよく、その他の発光材料が含まれてもよい。発光層に含有される化合物のうち、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の合計含有量は、質量比で1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましく、5〜20%であることが特に好ましい。
【0114】
その他の発光材料としては、具体的には、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、希土類錯体系化合物、イリジウム錯体、または白金錯体などが挙げられる。
【0115】
ホスト材料は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。発光層に含有される化合物のうち、ホスト材料の含有量の上限は、質量比で99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが特に好ましい。
【0116】
ホスト材料の励起状態エネルギー(T準位)は、同一層内に含有される本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の励起状態エネルギー(T準位)よりも高いことが好ましい。
【0117】
ホスト材料は、単独または複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷移動調整が可能であり有機電界発光素子を高効率化することができる。
【0118】
本発明で用いることができるホスト材料としては、特に制限はなく、低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよい。
【0119】
ホスト材料として、具体的には、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体若しくはルブレン等)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、若しくは有機プラチナ錯体等)、またはポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体若しくはポリ(アセチレン)誘導体などの高分子誘導体が挙げられる。
【0120】
<電子輸送層>
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
【0121】
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5000nmの範囲であり、より好ましくは2〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
【0122】
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、または正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0123】
電子輸送性材料として、具体的には、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体若しくはベンズオキサゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、または芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体若しくはトリフェニレン等)等が挙げられる。
【0124】
<正孔阻止層>
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
【0125】
正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
【0126】
正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
【0127】
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト材料も正孔阻止層の材料として好ましく用いられる。
【0128】
<電子注入層>
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことである。
【0129】
電子注入層の膜厚は0.1〜5nmの範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜1nmの範囲である。
【0130】
電子注入層に好ましく用いられる材料として、具体的には、金属(ストロンチウム若しくはアルミニウム等)、アルカリ金属化合物(フッ化リチウム若しくはフッ化ナトリウム等)、アルカリ土類金属化合物(フッ化マグネシウム若しくはフッ化カルシウム等)、金属酸化物(酸化アルミニウム等)、または金属錯体(リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等)などが挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。さらに電子注入材料としては、フェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)、またはフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)などが挙げられる。
【0131】
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。正孔輸送層は複数あってもよい。
【0132】
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5000nmの範囲であり、より好ましくは5〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
【0133】
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)としては、正孔の注入性または輸送性、または電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0134】
正孔輸送性材料として、具体的には、ポルフィリン誘導体;フタロシアニン誘導体;オキサゾール誘導体;フェニレンジアミン誘導体;スチルベン誘導体;トリアリールアミン誘導体;カルバゾール誘導体;インドロカルバゾール誘導体;アントラセン若しくはナフタレンなどのアセン系誘導体;フルオレン誘導体;フルオレノン誘導体;ポリビニルカルバゾール若しくは芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマー;ポリシラン;導電性ポリマーまたはオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
【0135】
<電子阻止層>
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0136】
電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、より好ましくは5〜30nmの範囲である。
【0137】
また、前述の正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
【0138】
<正孔注入層>
本発明では、正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことである。
【0139】
正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)若しくはポリチオフェンなどの導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体に代表されるシクロメタル化錯体、またはトリアリールアミン誘導体などが好ましい。
【0140】
本発明の有機電界発光素子は基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機電界発光素子において慣用されている、アルカリガラス、無アルカリガラス若しくは石英ガラスなどのガラス、または透明プラスチックなどが挙げられる。
【0141】
陽極を構成する材料として、具体的には、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム若しくはタングステンなどの金属単体またはこれらの合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)若しくは酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはポリフェニレンスルフィドなどの導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0142】
陰極を構成する材料として、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫またはクロムなどの金属単体が挙げられる。また、これらの金属を組み合わせて合金にしてもよい。例えば、リチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、またはマグネシウム−インジウムなどの合金が使用できる。さらに、酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構造でもよく、多層構造でもよい。
【0143】
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む有機発光素子は、真空蒸着法、溶液塗布法若しくはレーザーなどを用いた転写法、またはスプレー法によって作製することができる。特に、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む発光層を、真空蒸着法によって形成することが望ましい。
【0144】
真空蒸着法によってホール輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を形成する場合の真空蒸着条件は特に限定されないが、10−4〜10−5Pa程度の真空下で50〜500℃程度のボート温度、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度で蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を複数の材料を使用して形成する場合、材料を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【実施例】
【0145】
以降、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。なお、実施例に対応する化合物を「本発明化合物」といい、比較例に対応する化合物を「比較化合物」という。
【0146】
<実施例I−1>
本発明化合物(Ir−4)の合成
【0147】
ステップ1 化合物(A)の合成
【化22】
【0148】
3−ブロモ−2,6−ジメチルピリジン3.01g、ビス(ピナコラト)ジボロン4.30g、酢酸カリウム3.34g、および、脱水1,4−ジオキサン60mlを、三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.391gを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で17時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、2Mリン酸三カリウム水溶液20ml、エタノール6ml、2−クロロ−5−エチルピリミジン2.90g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.370g、および、トリフェニルホスフィン0.676gを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後に、セライトろ過を行い、得られた濾液に酢酸エチルを加え抽出し有機層を回収した。この溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、化合物(A)を収率74%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/Acetone−d)δ:8.76(s,2H),8.14(d,1H),7.16(d,1H),2.72−2.76(m,5H),2.49(s,3H),1.31(t,3H).
【0149】
ステップ2 化合物(B)の合成
【化23】
【0150】
3塩化イリジウムn水和物0.774g、化合物(A)1.30g、および、DMF30mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、化合物(B)を収率77%で得た。
【0151】
ステップ3 (Ir−4)の合成
【化24】
【0152】
化合物(B)0.314g、化合物(A)0.516g、炭酸カリウム0.314g、および、グリセリン3mlを三口フラスコへ入れ、アルゴン雰囲気下、150℃で14時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後に、ジクロロメタンと水を加え抽出した。有機層を減圧濃縮して析出した固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタン)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−4)を収率35%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.67(d,1H),8.58(d,2H),8.04(d,1H),7.84(d,1H),7.53(d,1H),6.59(s,1H),6.23(s,1H),6.08(s,1H),2.93−2.96(m,9H),2.46−2.50(m,6H),2.27−2.28(m,9H),1.07−1.13(m,9H).
【0153】
ステップ4 メリジオナル体(Ir−4)の光異性化反応
メリジオナル体である本発明化合物(Ir−4)0.5mgをジクロロメタン−d0.75mlに溶解させ、NMRチューブに入れた。これにUVランプ(波長:365nm)を5時間照射した。H−NMRで分析したところ、メリジオナル体は消失し、完全にフェイシャル体(Ir−4)に光異性化していることがわかった。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.73(d,1H),7.44(d,1H),6.54(s,1H),3.00(s,3H),2.52(q,2H),2.29(s,3H),1.13(t,3H).
【0154】
<実施例I−2>
本発明化合物(Ir−38)の合成
【化25】
【0155】
化合物(B)0.061g、ナトリウムアセチルアセトナート0.0364g、および、2−エトキシエタノール15mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で15時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンと酢酸エチル)を用いて精製し、(Ir−38)を収率53%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.75(d,2H),8.46(d,2H),5.99(s,2H),5.33(s,1H),2.93(s,6H),2.75(q,4H),2.22(s,6H),1.82(s,6H),1.33(t,6H).
【0156】
<実施例I−3>
本発明化合物(Ir−52)の合成
【化26】
【0157】
化合物(B)0.051g、ピコリン酸ナトリウム0.033g、DMF15mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し、水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、(Ir−52)を収率59%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/Acetone−d)δ:8.71−8.75(m,3H),8.27(d,1H),7.98(t,1H),7.75(d,1H),7.39−7.44(m,2H),6.10(s,1H),5.89(s,1H),2.96(s,3H),2.94(s,3H),2.69(q,2H),2.54(q,2H),2.28(s,3H),2.23(s,3H),1.27(t,3H),1.13(t,3H).
【0158】
<実施例I−4>
本発明化合物(Ir−60)の合成
【化27】
【0159】
化合物(B)0.072g、ピリジン−2−スルホン酸0.091g、炭酸カリウム0.080g、および、DMF20mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶し、(Ir−60)を収率47%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.06(s,1H),8.78(t,1H),8.72(s,1H),8.02−8.07(m,2H),7.71(s,1H),7.64(d,1H),7.38(t,1H),6.02(s,1H),5.81(s,1H),2.96(s,3H),2.92(s,3H),2.73(q,2H),2.60(q,2H),2.27(s,3H),2.21(s,3H),1.30(t,3H),1.18(t,3H).
【0160】
<実施例I−5>
本発明化合物(Ir−67)の合成
【化28】
【0161】
化合物(B)0.309g、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.128g、メタノール5ml、および、ジクロロメタン10mlを三口フラスコへ入れ、アルゴン雰囲気下、50℃で5時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去した。ここへ、2−フェニルピリジン0.104g、メタノール5ml、および、エタノール10mlを加え、アルゴン雰囲気下、80℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後に、溶媒を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−67)を収率70%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.54(t,2H),8.05(d,1H),7.98(d,1H),7.85(t,1H),7.78(d,1H),7.70−7.75(m,1H),7.60(d,1H),6.96−7.04(m,3H),6.82(dd,1H),6.31(s,1H),6.17(s,1H),2.98(s,3H),2.94(s,3H),2.38−2.51(m,4H),2.30−2.30(m,6H),1.08(t,3H),1.02(t,3H).
【0162】
ステップ2 メリジオナル体(Ir−67)の光異性化反応
メリジオナル体である本発明化合物(Ir−67)0.5mgをジクロロメタン−d0.75mlに溶解させ、NMRチューブに入れた。これにUVランプ(波長:365nm)を7時間照射した。H−NMRで分析したところ、メリジオナル体は消失し、完全にフェイシャル体(Ir−67)に光異性化していることがわかった。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.72(d,1H),8.68(d,1H),7.98(d,1H),7.71−7.76(m,2H),7.54(d,1H),7.44−7.47(m,2H),6.97−7.00(m,2H),6.86(t,1H),6.70(t,1H),6.58(s,2H),3.00(s,3H),2.98(s,3H),2.48−2.54(m,4H),2.27(s,3H),2.25(s,3H),1.15(t,3H),1.09(t,3H).
【0163】
<実施例I−6>
本発明化合物(Ir−42)の合成
【0164】
ステップ1 化合物(C)の合成
【化29】
【0165】
5−ブロモ−2−メチルピリジン3.09g、ビス(ピナコラト)ジボロン4.87g、酢酸カリウム5.64g、および、脱水1,4−ジオキサン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.213gを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、2Mリン酸三カリウム水溶液40ml、トルエン40ml、2−クロロ−5−エチルピリミジン2.44g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.407g、および、トリフェニルホスフィン0.744gを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で17時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後にセライトろ過を行い、濾液へ酢酸エチルを加え抽出し、有機層を回収した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)を用いて精製し、さらに減圧蒸留することで化合物(C)を収率82%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.49(d,1H),8.64(s,2H),8.54(dd,1H),7.26(d,1H),2.69(q,2H),2.63(s,3H),1.32(t,3H).
【0166】
ステップ2 化合物(D)の合成
【化30】
【0167】
3塩化イリジウムn水和物0.271g、化合物(C)0.301g、DMF15ml、および、炭酸カリウム0.271gをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却後に、溶媒を減圧留去した。得られた生成物をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物(D)を収率67%で得た。
【0168】
ステップ3 (Ir−42)の合成
【化31】
【0169】
化合物(D)0.159g、アセチルアセトン0.147g、炭酸カリウム0.313g、および、DMF20mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去し水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとメタノール)を用いて精製し、(Ir−42)を収率5%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.84(d,2H),8.73(s,2H),8.55(d,2H),6.20(s,2H),5.36(s,1H),2.83(q,4H),2.18(s,6H),1.77(s,6H),1.33(t,6H).
【0170】
<実施例I−7>
本発明化合物(Ir−53)の合成
【化32】
【0171】
化合物(D)0.20g、ピコリン酸0.20g、炭酸カリウム0.22g、および、DMF40mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し、水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、(Ir−53)を収率45%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCL)δ:8.87(d,2H),8.74(d,1H),8.69(dd,2H),8.30(d,1H),8.01(t,1H),7.80(d,1H),7.45−7.49(m,1H),7.34(d,1H),6.31(s,1H),6.17(s,1H),2.72(q,2H),2.56(q,2H),2.38(s,3H),2.36(s,3H),1.29(t,3H),1.14(t,3H).
【0172】
<実施例I−8>
本発明化合物(Ir−47)の合成
【0173】
ステップ1 化合物(E)の合成
【化33】
【0174】
5−ブロモ−2−ターシャル−ブチルピリミジン3.67g、ビス(ピナコラト)ジボロン4.54g、酢酸カリウム5.36g、および、脱水1,4−ジオキサン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.263gを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で17時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、2Mリン酸三カリウム水溶液30mL、トルエン20mL、2−クロロ−4−メチルピリミジン2.32g、および、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.314gを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後にセライトろ過を行い、濾液へ酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、化合物(E)を収率87%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.60(s,2H),8.65(d,1H),7.11(d,1H),2.59(s,3H),1.47(s,9H).
【0175】
ステップ2 化合物(F)の合成
【化34】
【0176】
3塩化イリジウムn水和物0.071g、化合物(E)0.10g、炭酸カリウム0.060g、および、DMF20mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を3分間照射した。室温まで冷却し、炭酸カリウム0.136gを加え、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物(F)を収率67%で得た。
【0177】
ステップ3 (Ir−47)の合成
【化35】
【0178】
化合物(F)0.739g、アセチルアセトン0.535g、炭酸カリウム0.731g、および、DMF80mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を40分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、(Ir−47)を収率40%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.65(d,2H),8.55(s,2H),7.43(d,2H),5.35(s,1H),2.76(s,6H),1.80(s,6H),1.06(s,18H).
【0179】
<実施例I−9>
本発明化合物(Ir−49)の合成
【0180】
【化36】
【0181】
化合物(F)0.1533g、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.0615g、アセトニトリル5ml、ジクロロメタン10mlを三口フラスコに入れ、50℃で3時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、セライトろ過した。濾液を減圧濃縮した。ここへ、トリフルオロアセチルアセトン0.0456g、炭酸カリウム0.1356g、および、エタノール10mlを入れ、アルゴンガス雰囲気下、50℃で5時間加熱反応させた。溶媒を減圧濃縮し得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタン)を用いて精製し、(Ir−49)を収率18%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.57(s,2H),8.42(d,1H),8.40(d,1H),7.18(d,1H),7.16(d,1H),5.72(s,1H),2.76(s,6H),2.01(s,3H),1.07(s,18H).
【0182】
<実施例I−10>
本発明化合物(Ir−59)の合成
【化37】
【0183】
化合物(F)0.61g、ピコリン酸0.60g、炭酸カリウム0.60g、および、DMF100mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し、水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)により精製し、(Ir−59)を収率45%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.66−8.72(m,3H),8.29(d,1H),7.99(dd,1H),7.83(d,1H),7.63(d,1H),7.48(dd,1H),7.14(d,1H),6.97(d,1H),2.71(s,3H),2.70(s,3H),1.15(s,9H),1.10(s,9H).
【0184】
<実施例I−11>
本発明化合物(Ir−22)の合成
【化38】
【0185】
酢酸イリジウム(ChemPur GmbH製)0.101g、化合物(E)0.3722g、および、ジエチレングリコール20mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、235℃で12時間、加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−22)を収率15%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.87(s,1H),8.81(s,1H),8.65(s,1H),8.14(d,1H),7.88(d,1H),7.75(d,1H),6.97(d,1H),6.85(d,1H),6.82(d,1H),2.63(s,3H),2.61(s,6H),1.26(s,9H),1.18(s,18H).
【0186】
<実施例I−12>
本発明化合物(Ir−48)の合成
【0187】
ステップ1 化合物(G)の合成
【化39】
【0188】
5−ブロモ−2−ターシャル−ブチルピリミジン3.87g、ビス(ピナコラト)ジボロン5.48g、酢酸カリウム2.11g、および、脱水1,4−ジオキサン50mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.602gを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で5時間加熱反応させた。室温まで冷却し、セライトろ過を行った後、溶媒を減圧留去させた。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、反応中間体を2.68g得た。この反応中間体2.68g、2Mリン酸三カリウム水溶液20mL、トルエン30mL、エタノール10mL、2−クロロ−5−エチルピリミジン1.29gを三口フラスコへ入れ、アルゴンガスを30分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.588gを入れ、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後にセライトろ過を行い、濾液へ酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンと酢酸エチル)を用いて精製し、化合物(G)を収率73%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.57(s,2H),8.69(s,2H),2.71(q,2H),1.46(s,3H),1.32(t,9H).
【0189】
ステップ2 化合物(H)の合成
【化40】
【0190】
3塩化イリジウムn水和物0.877g、化合物(G)1.20g、および、DMF50mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。さらに反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物(H)を収率77%で得た。
【0191】
ステップ3 (Ir−48)の合成
【化41】
【0192】
化合物(H)0.120g、ナトリウムアセチルアセトナート0.0414g、および、2−エトキシエタノール15mlを三口フラスコへ入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で17時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、反応溶液を濃縮し、水を入れ、析出物をろ過により回収した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンと酢酸エチル)を用いて精製し、(Ir−48)を収率60%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.85(d,2H),8.67(d,2H),8.53(s,2H),5.36(s,1H),2.85(q,4H),1.35(t,6H),1.81(s,6H),1.05(s,18H).
【0193】
<実施例I−13>
本発明化合物(Ir−56)の合成
【化42】
【0194】
化合物(H)0.100g、アセトニトリル10ml、および、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.0381gを三口フラスコへ入れ、アルゴン雰囲気下、50℃で3時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、濾液を減圧濃縮した。ここへピコリン酸ナトリウム0.0422g、アセトニトリル10mlを加え、アルゴン雰囲気下、5時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、(Ir−56)を収率19%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.77(d,1H),8.64−8.67(m,4H),8.31(d,1H),8.01(dd,1H),7.82(d,1H),7.61(d,1H),7.49(dd,1H),2.72(q,2H),2.52−2.60(m,2H),1.32(t,3H),1.17(t,3H),1.14(s,9H),1.08(s,9H).
【0195】
<実施例I−14>
本発明化合物(Ir−61)の合成
【化43】
【0196】
化合物(H)0.061g、ピリジン−2−スルホン酸0.0265g、炭酸ナトリウム0.0158g、および、DMF15mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、ろ過した。濾液を減圧濃縮し析出した固体をジクロロメタンに溶解し、不溶物をろ過により除去した。濾液を減圧濃縮して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとメタノール)で精製し、(Ir−61)を収率48%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:9.15(d,1H),8.89(dd,2H),8.61(d,2H),8.27(t,1H),8.17(s,1H),8.08(d,1H),7.88(d,1H),7.68(t,1H),2.83(q,2H),2.68(q,2H),1.35(t,6H),1.05(s,18H).
【0197】
参考例I−15>
本発明化合物(Ir−62)の合成
【0198】
ステップ1 化合物(I)の合成
【化44】
【0199】
2−クロロ−5−エチルピリミジン0.679g、2,6−ジメトキシピリジン−3−ボロン酸MIDAエステル1.406g、2Mリン酸三カリウム水溶液10ml、および、ジオキサン60mlを、三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.291gを加え、アルゴン雰囲気下、60℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、セライトろ過を行い、得られた濾液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、化合物(I)を収率69%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.65(s,2H),8.18(d,1H),6.43(d,1H),4.06(s,3H),3.98(s,3H),2.67(q,2H),1.31(t,3H).
【0200】
ステップ2 化合物(J)の合成
【化45】
【0201】
3塩化イリジウムn水和物0.294g、化合物(I)0.402g、炭酸カリウム0.068g、および、DMF30mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を5分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、炭酸カリウム0.250gを加え、マイクロ波(2450MHz、700W)をさらに25分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、化合物(J)を収率67%で得た。
【0202】
ステップ3 (Ir−62)の合成
【化46】
【0203】
化合物(I)0.308g、ピコリン酸0.266g、炭酸カリウム0.301g、および、DMF40mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとメタノール)を用いて精製し、(Ir−62)を収率40%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.67(d,1H),8.63(d,1H),8.59(d,1H),8.25(d,1H),7.95(dd,1H),7.89(d,1H),7.42(dd,1H),7.26(d,1H),5.37(s,1H),5.18(s,1H),4.05(s,3H),4.02(s,3H),3.81(s,3H),3.77(s,3H),2.63(q,2H),2.45(q,2H),1.23(t,3H),1.08(t,3H).
【0204】
参考例I−16>
本発明化合物(Ir−65)の合成
【0205】
ステップ1 化合物(K)の合成
【化47】
【0206】
2−クロロ−4−メチルピリミジン0.0799g、2,6−ジメトキシ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオギザボロラン−2−イル)ピリジン0.151g、2M炭酸カリウム水溶液20ml、SPhos0.0091g、および、トルエン20mlを、三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0051g、を加え、アルゴン雰囲気下、100℃で17時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、セライトろ過を行い、得られた濾液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)を用いて精製し、化合物(K)を収率85%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.66(d,1H),8.16(d,1H),7.01(d,1H),6.42(d,1H),4.04(s,3H),3.98(s,3H),2.57(s,3H).
【0207】
ステップ2 化合物(L)の合成
【化48】
【0208】
3塩化イリジウムn水和物0.339g、化合物(K)0.434g、炭酸カリウム1.03g、および、DMF40mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧濃縮した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、化合物(L)を収率78%で得た。
【0209】
ステップ3 (Ir−65)の合成
【化49】
【0210】
化合物(L)0.401g、ピコリン酸0.358g、炭酸カリウム0.403g、DMF40mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧濃縮し、水を加えた。析出した生成物をろ過により回収し、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとメタノール)を用いて精製し、(Ir−65)を収率86%で得た。
H−NMR(400MHz/CDCL)δ:8.53(d,1H),8.21(d,1H),7.92(t,1H),7.85(d,1H),7.38(dd,1H),7.34(d,1H),6.88(d,1H),6.71(d,1H),5.42(s,1H),5.24(s,1H),4.04(s,3H),4.02(s,3H),3.82(s,3H),3.78(s,3H),2.68(s,3H),2.65(s,3H).
【0211】
参考例I−17>
本発明化合物(Ir−25)の合成
【0212】
ステップ1 化合物(M)の合成
【化50】
【0213】
2−ブロモ−ピリミジン8.02g、2,6−ジメトキシ−3−ピリジンボロン酸9.95g、2M炭酸カリウム水溶液120mlおよびテトラヒドロフラン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.86g、を加え、アルゴン雰囲気下、70〜77℃で45時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(M)を収率32%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.82(d,2H),8.24(d,1H),7.15(t,1H),6.44(d,1H),4.06(s,3H),3.99(s,3H).
【0214】
ステップ2 化合物(N)の合成
【化51】
【0215】
3塩化イリジウムn水和物1.86g、化合物(M)2.50g、DMF50ml、および純水10mlをフラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W)を45分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これにメタノールおよび純水を投入後、これをろ過、純水で洗浄した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し減圧留去した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、化合物(N)を収率73%で得た。
【0216】
ステップ3 (Ir−25)の合成
【化52】
【0217】
化合物(N)0.60g、化合物(M)4.98gおよびジグリム46mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガス雰囲気下、180℃で48時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これにジエチルエーテル50ml投入し分散後、セライトろ過を行った。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとアセトン)を用いて精製し、粗生成物を0.172gを得た。この粗生成物0.105gを取り出し、THF100ml、純水25mlを投入した後、アルゴン雰囲気下、高圧水銀灯(400W)を用いて紫外可視光(>300nm)を45分間照射した。溶媒を減圧留去し、エタノールを投入し固体をろ過にて回収した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−25)を収率10.1%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.78(dd,3H),7.59(dd,3H),6.75(t,3H),5.99(s,3H),4.10(s,9H),3.81(s,9H).
【0218】
参考例I−18>
本発明化合物(Ir−50)の合成
【0219】
ステップ1 化合物(O)の合成
【化53】
【0220】
2−クロロ−5−エチルピリミジン2.44g、2,6−ジメトキシ−3−ピリジンボロン酸5.00g、2M炭酸カリウム水溶液60mlおよびテトラヒドロフラン50mlを、三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.86g、を加え、アルゴン雰囲気下、70〜77℃で23時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、化合物(O)を収率99%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.66(s,2H),8.19(d,1H),6.43(d,1H),4.06(s,3H),3.99(s,3H),2.67(q,2H),1.31(t,3H).
【0221】
ステップ2 化合物(P)の合成
【化54】
【0222】
3塩化イリジウムn水和物1.86g、化合物(M)2.86g、DMF60mlおよび純水12mlをフラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W)を40分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これに純水を投入し、懸濁液をろ過、純水で洗浄し、化合物(P)を収率83%で得た。
【0223】
ステップ3 (Ir−50)の合成
【化55】
【0224】
化合物(P)1.42g、(2,4−ペンタンジオナト)ナトリウム0.38gおよび2−エトキシエタノール75mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W)を15分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これに純水50ml投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。ジクロロメタンに溶解後、活性アルミナを充填したカラムを通し、溶媒を減圧留去した。これをメタノールに懸濁させ、ろ過し、(Ir−50)を収率58%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.71(d,2H),8.35(d,2H),5.31(s,2H),5.23(s,1H),4.07(s,6H),3.75(s,6H),2.68(q,4H),1.79(s,6H),1.29(t,6H).
【0225】
参考例I−19>
本発明化合物(Ir−51)の合成
【化56】
【0226】
化合物(N)0.54g、(2,4−ペンタンジオナト)ナトリウム0.15gおよび2−エトキシエタノール25mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、400W)を15分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これにメタノール10ml,純水10mlを投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させ、(Ir−51)を収率62%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.84(dd,2H),8.51(dd,2H),7.01(t,2H),5.32(s,2H),5.22(s,1H),4.08(s,6H),3.76(s,6H),1.79(s,6H).
【0227】
参考例I−20>
本発明化合物(Ir−66)の合成
【化57】
【0228】
化合物(N)0.38g、ピコリン酸ナトリウム0.10gおよび2−エトキシエタノール20mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を7分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧留去した。これに純水15mlを投入し懸濁させた後、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて3回再結晶させ、(Ir−66)を収率74%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.82−8.85(m,2H),8.78(d,1H),8.33(d,1H),7.95(t,1H),7.88(d,1H),7.49−7.52(m,1H),7.42(t,1H),7.01(t,1H),6.80(t,1H),5.44(s,1H),5.25(s,1H),4.13(s,3H),4.08(s,3H),3.84(s,3H),3.79(s,3H).
【0229】
参考例I−21>
本発明化合物(Ir−81)の合成
【化58】
【0230】
化合物(N)1.52g、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.62g、メタノール100mlおよびジクロロメタン150mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で36時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。ここへ2−フェニルピリジン0.37g、メタノール9mlおよびエタノール21mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で27時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。これにジクロロメタンを100ml加え、セライトろ過し、ろ液を10%炭酸カリウム水溶液で洗浄した後、有機層を回収し減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−81)を収率1.6%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.60−8.64(m,2H),8.13(dd,1H),7.95(d,1H),7.92(d,1H),7.73(d,1H),7.63−7.69(m,2H),6.98−7.04(m,3H),6.93(t,1H),6.61(q,2H),5.69(s,1H),5.47(s,1H),4.12(d,6H),3.84(s,3H),3.81(s,3H).
【0231】
参考例I−22>
本発明化合物(Ir−72)の合成
【化59】
【0232】
【化60】
【0233】
化合物(R)0.509g、化合物(E)0.294g、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.267g、エタノール20ml、および、ジクロロメタン10mlを三口フラスコへ入れ、アルゴン雰囲気下、62時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却後に減圧留去した。これをジクロロメタンに溶解させ、セライトろ過を行った。濾液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え洗浄した。溶媒を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとメタノール)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−72)を収率70%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.35(s,1H),8.19(d,1H),8.16(d,1H),8.12(d,1H),7.37−7.42(m,2H),7.24(d,1H),7.10−7.16(m,3H),7.03(dd,2H),6.96(d,1H),6.51−6.63(m,4H),2.75(s,3H),1.30(s,9H).
【0234】
<実施例I−23>
本発明化合物(Ir−46)の合成
【0235】
ステップ1 化合物(S)の合成
【化61】
【0236】
5−ブロモ−2−ターシャル−ブチルピリミジン0.936g、ビス(ピナコラト)ジボロン1.22g、酢酸カリウム1.45g、および、脱水1,4−ジオキサン20mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.0575gを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、2Mリン酸三カリウム水溶液20mL、トルエン20mL、2−クロロ−N,N,5−トリメチルピリミジン−4−アミン0.414g、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.0554g、SPhos0.0796gを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後にセライトろ過を行い、濾液へ酢酸エチルを加え抽出した。有機層を減圧濃縮し得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(S)を収率42%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.55(s,2H),8.10(s,1H),3.18(s,6H),2.34(s,3H),1.46(9H).
【0237】
ステップ2 化合物(T)の合成
【化62】
【0238】
3塩化イリジウムn水和物0.0603g、化合物(S)0.102g、炭酸カリウム0.077g、および、DMF15mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物(T)を収率86%で得た。
【0239】
ステップ3 (Ir−46)の合成
【化63】
【0240】
化合物(T)0.107g、アセチルアセトン0.0771g、炭酸カリウム0.0947g、および、DMF15mlをフラスコに入れ、アリーン冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンで溶解し、水で洗浄後に、溶液を減圧留去した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとジクロロメタン)を用いて精製し、(Ir−46)を収率30%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.43(s,2H),7.86(s,2H),5.23(s,1H),3.25(s,12H),2.35(s,6H),1.88(s,6H),1.09(s,18H).
【0241】
次に本発明に係るイリジウム錯体の溶液中の発光特性について記載する。
【0242】
<実施例II−1>
本発明化合物(Ir−4)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−4)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青緑色発光(発光極大波長:507nm)を示した。発光量子収率は0.62であった。
【0243】
参考例II−2>
本発明化合物(Ir−25)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−25)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青緑色発光(発光極大波長:492nm)を示した。発光量子収率は0.78であった。
【0244】
<実施例II−3>
本発明化合物(Ir−38)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−38)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青緑色発光(発光極大波長:496nm)を示した。発光量子収率は0.83であった。
【0245】
<実施例II−4>
本発明化合物(Ir−42)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−42)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青緑色発光(発光極大波長:489nm)を示した。発光量子収率は0.62であった。
【0246】
<実施例II−5>
本発明化合物(Ir−47)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−47)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:475,504nm)を示した。発光量子収率は0.55であった。
【0247】
<実施例II−6>
本発明化合物(Ir−48)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−48)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:476,504nm)を示した。発光量子収率は0.55であった。
【0248】
参考例II−7>
本発明化合物(Ir−50)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−50)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:481,504nm)を示した。発光量子収率は0.85であった。
【0249】
参考例II−8>
本発明化合物(Ir−51)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−51)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:478,500nm)を示した。発光量子収率は0.80であった。
【0250】
<実施例II−9>
本発明化合物(Ir−52)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−52)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青緑色発光(発光極大波長:480nm)を示した。発光量子収率は0.87であった。
【0251】
<実施例II−10>
本発明化合物(Ir−53)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−53)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、図1に示すように、青色発光(発光極大波長:471,497nm)を示した。発光量子収率は0.72であった。
【0252】
<実施例II−11>
本発明化合物(Ir−56)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−56)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:462,494nm)を示した。発光量子収率は0.53であった。
【0253】
<実施例II−12>
本発明化合物(Ir−59)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−59)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、図2に示すように、青色発光(発光極大波長:462,491nm)を示した。発光量子収率は0.53であった。
【0254】
<実施例II−13>
本発明化合物(Ir−60)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−60)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:470,500nm)を示した。発光量子収率は0.03であった。
【0255】
<実施例II−14>
本発明化合物(Ir−61)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−61)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:457,489nm)を示した。発光量子収率は0.03であった。
【0256】
参考例II−15>
本発明化合物(Ir−62)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−62)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:473,498nm)を示した。発光量子収率は0.88であった。
【0257】
参考例II−16>
本発明化合物(Ir−65)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−65)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:462,489nm)を示した。発光量子収率は0.81であった。
【0258】
参考例II−17>
本発明化合物(Ir−66)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−66)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:463,489nm)を示した。発光量子収率は0.83であった。
【0259】
<比較例II−1>
比較化合物(A)のTHF中の発光特性
国際公開第2011/024737号公報(特許文献5)に記載の比較化合物(A)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、緑色発光(発光極大波長:532nm)を示した。発光量子収率は0.67であった。
【化64】
【0260】
本発明化合物(Ir−42)および(Ir−48)と、比較化合物(A)の発光極大波長を比較すると、表8に示すように、本発明化合物の発光は43〜56nmブルーシフトしていることがわかる。したがって、本発明化合物の方が青色発光材料として優れていることが明らかとなった。
【表8】
【0261】
次に本発明に係るイリジウム錯体の薄膜中での発光特性について記載する。
【0262】
<実施例III−1>
本発明化合物(Ir−47)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−47)と1,3-ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(以降、mCPという)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:472,502nm)を示した。発光量子収率は0.89であった。
【0263】
参考例III−2>
本発明化合物(Ir−51)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−51)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:474,499nm)を示した。発光量子収率は0.89であった。
【0264】
<実施例III−3>
本発明化合物(Ir−52)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−52)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:474,501nm)を示した。発光量子収率は0.90であった。
【0265】
<実施例III−4>
本発明化合物(Ir−53)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−53)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、図3に示すように、青色発光(発光極大波長:468,496nm)を示した。発光量子収率は0.88であった。
【0266】
<実施例III−5>
本発明化合物(Ir−59)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−59)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、図4に示すように、青色発光(発光極大波長:460,489nm)を示した。発光量子収率は0.62であった。
【0267】
<実施例III−6>
本発明化合物(Ir−59)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−59)と2,7−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−カルバゾールとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:462,489nm)を示した。発光量子収率は0.74であった。
【0268】
参考例III−7>
本発明化合物(Ir−66)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−66)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:465,492nm)を示した。発光量子収率は0.72であった。
【0269】
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製した有機電界発光素子の特性について記載する。
【0270】
本実施例で使用した化合物(E−1)〜(E−9)の構造式を以下に示す。
【0271】
【化65】
【0272】
<実施例IV−1>
本発明化合物(Ir−47)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
陽極として、酸化錫インジウム(ITO)を100nmの膜厚で線幅2mmの櫛形にパターニングして成膜された無アルカリガラス基板(厚木ミクロ社製)を透明導電性支持基板として用いた。これを超純水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。次いで、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
【0273】
上記透明導電性支持基板上に、以下の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、ホスト材料層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層)を1×10−4Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で順次製膜し、次いでマスク交換して線幅2mmの電極層(電子注入層および金属電極層)を順次製膜して、有機電界発光素子を作製した。次いで、素子が大気に曝されないよう窒素雰囲気のグローブボックス内で封止する作業を行った。厚さ3mmのガラス板の中央部に1.5mmの掘り込みを付けた封止ガラス(泉陽商事社製)の周囲にUV硬化性エポキシ樹脂デナタイトR(ナガセケミテック社製)を塗布して蒸着済素子に被せ圧着した後、素子部分をアルミニウム板で覆ってマスキングしシャッター付きUV照射装置で1分間照射後1分間遮蔽のサイクルを5回繰り返して封止した。
【0274】
正孔注入層(10nm):化合物(E−1)
第1正孔輸送層(40nm):化合物(E−2)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−3)
発光層(20nm):本発明化合物(Ir−47)(質量濃度15%)と化合物(E−3)(質量濃度85%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−4)
電子輸送層(30nm):化合物(E−5)
電子注入層(1nm):化合物(E−6)
金属電極層(100nm):Al
【0275】
得られた有機電界発光素子を浜松ホトニクス社製のEL外部量子収率計測用積分球ユニットA10094のサンプルホルダーにセットし、Keithley社製ソースメーター2400を用いて、直流定電圧を印加し、発光させ、その輝度、発光波長およびCIE色度座標を、浜松ホトニクス社製マルチチャンネル分光器PMA−12を用いて測定した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.21,0.44)、発光ピーク波長が475,503nmの青色発光が得られ、最高輝度は34500cd/m、外部量子効率は4.8%(1000cd/cmのとき)の発光特性が得られた。
【0276】
<実施例IV−2>
本発明化合物(Ir−52)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例IV−1で用いた本発明化合物(Ir−47)の代わりに本発明化合物(Ir−52)を用いて、本発明化合物(Ir−52)と化合物(E−3)との質量濃度をそれぞれ5%と95%に変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.42)、発光ピーク波長が477,503nmの青色発光が得られ、最高輝度は30300cd/m、外部量子効率は4.9%(1000cd/cmのとき)の発光特性が得られた。
【0277】
<実施例IV−3>
本発明化合物(Ir−53)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例IV−1で用いた本発明化合物(Ir−47)の代わりに本発明化合物(Ir−53)を用いて、本発明化合物(Ir−53)と化合物(E−3)との質量濃度をそれぞれ5%と95%に変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.39)、発光ピーク波長が469,497nmの青色発光が得られ、最高輝度は21000cd/m、外部量子効率は5.4%(1000cd/cmのとき)の発光特性が得られた。
【0278】
<実施例IV−4>
本発明化合物(Ir−59)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例IV−1の発光素子を以下のような構成に変更し、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。
【0279】
正孔注入層(10nm):化合物(E−1)
第1正孔輸送層(30nm):化合物(E−7)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−3)
発光層(30nm):本発明化合物(Ir−59)(質量濃度15%)と化合物(E−8)(質量濃度85%)とを共蒸着
電子輸送層(30nm):化合物(E−9)
電子注入層(1nm):化合物(E−6)
金属電極層(100nm):Al
【0280】
その結果、CIE色度が(x,y)=(0.17,0.31)、図5に示すように発光ピーク波長が462,490nmの青色発光が得られ、最高輝度は4720cd/m、外部量子効率は10.1%(1000cd/mのとき)の発光特性が得られた。
【0281】
以上述べてきたように、本発明に係わる一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、熱的安定性および昇華性に優れ、可視光領域(特に青色領域)に高い発光量子収率を示す新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する有機発光素子を作ることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、可視光領域(特に青色領域)に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の分野に好適である。
図1
図2
図3
図4
図5