特許第6709560号(P6709560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6709560バッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6709560
(24)【登録日】2020年5月27日
(45)【発行日】2020年6月17日
(54)【発明の名称】バッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20200608BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200608BHJP
【FI】
   H02H7/18
   H02J7/00 S
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-223539(P2018-223539)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-134661(P2019-134661A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013576
(32)【優先日】2018年2月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】秦 京 必
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−166631(JP,A)
【文献】 特表2009−545283(JP,A)
【文献】 特表2017−538390(JP,A)
【文献】 特開2002−233063(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204334057(CN,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0015387(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0313402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの正極および負極と電気的に連結されるためのセル端子;
充電器または電子装置の正極および負極と電気的に連結されるための外部端子;
前記セル端子と前記外部端子の間である大電流経路に連結された放電FET;
前記セル端子と前記外部端子の間である大電流経路に連結され、前記放電FETと直列に連結された充電FET;
前記放電FETのゲート電極に第1端子が電気的に連結され、前記充電FETのゲート電極に第2端子が電気的に連結されて前記放電FETと前記充電FETの駆動を制御する制御部;
前記放電FETの制御電極と前記制御部の第1端子の間に電気的に連結された第1抵抗;
前記放電FETの制御電極と前記放電FETの第1電極の間に電気的に連結されたキャパシタ;および
前記放電FETの制御電極と前記放電FETの第2電極の間に電気的に連結されたトランジスタを含む、バッテリー保護回路。
【請求項2】
前記放電FETと前記充電FETの第1電極はドレーン電極であり、第2電極はソース電極であり、制御電極はゲート電極であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項3】
前記キャパシタは、第1電極が前記第1抵抗の第2電極と前記放電FETの制御電極の間に電気的に連結され、第2電極が前記放電FETの第1電極と前記充電FETの第1電極の間に電気的に連結されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項4】
前記第1抵抗は、第1電極が前記制御部の第1端子に電気的に連結され、第2電極が前記キャパシタは第1電極と前記放電FETの制御電極に電気的に連結されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項5】
前記制御部の第1端子と前記第1抵抗の第1電極に第1電極が電気的に連結され、前記トランジスタの制御電極に第2電極が電気的に連結された第2抵抗をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項6】
前記トランジスタは、制御電極であるベース電極が前記第2抵抗 の第2電極に電気的に連結され、エミッタ電極が前記放電FETの制御電極、前記キャパシタの第1電極および前記第1抵抗の第2電極と電気的に連結され、コレクタ電極が前記放電FETの第2電極と電気的に連結されたことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリー保護回路。
【請求項7】
前記トランジスタと前記第2抵抗は前記放電FETがターンオフされる場合、前記放電FETのオフ時間を減少させることを特徴とする、請求項6に記載のバッテリー保護回路。
【請求項8】
前記第1抵抗と前記キャパシタは前記放電FETがターンオンされる場合、前記放電FETの第1電極と第2電極の間の電圧が線形特性を長い間有するように遅延させることができることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項9】
前記充電FETは、第1電極が前記放電FETの第1電極と電気的に連結され、第2電極が前記外部端子に電気的に連結され、制御電極が前記制御部の第2端子に電気的に連結されたことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護回路。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載されたバッテリー保護回路を含むバッテリーパックにおいて、
前記バッテリー保護回路の前記セル端子に正極と負極が電気的に連結されたバッテリーを含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリーは、バッテリーの充電および放電を制御および管理するバッテリー保護回路とともにバッテリーパックの形態で電子装置に提供される。バッテリーパックは充電または放電過程でバッテリーに異常が発生され得るので、バッテリー保護回路はバッテリーの充電および放電を安定的に制御するために多様な装置を設けている。バッテリーパックは外部電源と連結されると外部電源が供給されて充電され得て、負荷(load)にバッテリーの電源を供給することができる。
【0003】
モーターを通じて動力を発生させる電子装置は、モーターの安定した駆動のために、バッテリーパックとモーター制御回路の間に数百または数千マイクロファラッドの大容量キャパシタが用いられる。このような電子装置は、バッテリーパックが装着されて、バッテリーパックから電圧が供給される時に、バッテリーパックの高電圧が大容量キャパシタに直接供給されて充電されるため、何の制限もない場合には、非常に大きな突入電流(in rush)が流れることになる。このような突入電流を制限しないと、バッテリーパックに備えられた保護素子であるフューズが損傷して異常にオープンされ得るので、保護回路の駆動素子に不良が発生する恐れがある。これを防止するために、大容量キャパシタをソフトに充電できる別途の回路が装着されている。
【0004】
しかし、大容量キャパシタをソフトに充電するために装着された回路構成によって初期駆動時にディレイタイムが発生するか、突入電流を小さくするために高性能素子を装着するための費用が増加し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0015387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した従来の問題点を克服するためのものであって、本発明の目的は、放電FETに第1抵抗とキャパシタを装着することによって初期放電時に負荷キャパシタをソフトに充電することができ、放電FETにトランジスタと第2抵抗を装着して過放電時に放電FETを早く遮断することによってバッテリーおよび放電FETの損傷を防止できる、バッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明によるバッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックは、バッテリーの正極および負極と電気的に連結されるためのセル端子と、充電器または電子装置の正極および負極と電気的に連結されるための外部端子と、前記セル端子と前記外部端子の間である大電流経路に連結された放電FETと、前記セル端子と前記外部端子の間である大電流経路に連結され、前記放電FETと直列に連結された充電FETと、前記放電FETのゲート電極に第1端子が電気的に連結され、前記充電FETのゲート電極に第2端子が電気的に連結されて前記放電FETと前記充電FETの駆動を制御する制御部と、前記放電FETの制御電極と前記制御部の第1端子の間に電気的に連結された第1抵抗と、前記放電FETの制御電極と前記放電FETの第1電極の間に電気的に連結されたキャパシタおよび前記放電FETの制御電極と前記放電FETの第2電極の間に電気的に連結されたトランジスタを含むことができる。
【0008】
前記放電FETと前記充電FETの第1電極はドレーン電極であり、第2電極はソース電極であり、制御電極はゲート電極であり得る。
【0009】
前記キャパシタは、第1電極が前記第1抵抗の第2電極と前記放電FETの制御電極の間に電気的に連結され、第2電極が前記放電FETの第1電極と前記充電FETの第1電極の間に電気的に連結され得る。
【0010】
前記第1抵抗は、第1電極が前記制御部の第1端子に電気的に連結され、第2電極が前記キャパシタは第1電極と前記放電FETの制御電極に電気的に連結され得る。
【0011】
前記制御部の第1端子と前記第1抵抗の第1電極に第1電極が電気的に連結され、前記トランジスタの制御電極に第2電極が電気的に連結された第2抵抗をさらに含むことができる。
【0012】
前記トランジスタは、制御電極であるベース電極が前記第2抵抗の第2電極に電気的に連結され、エミッタ電極が前記放電FETの制御電極、前記キャパシタの第1電極および前記第1抵抗の第2電極と電気的に連結され、コレクタ電極が前記放電FETの第2電極と電気的に連結され得る。
【0013】
前記トランジスタと前記第2抵抗は前記放電FETがターンオフされる場合、前記放電FETのオフ時間を減少させることができる。
【0014】
前記第1抵抗と前記キャパシタは前記放電FETがターンオンされる場合、前記放電FETの第1電極と第2電極の間の電圧が線形特性を長い間有するように遅延させることができる。
【0015】
前記充電FETは、第1電極が前記放電FETの第1電極と電気的に連結され、第2電極が前記外部端子に電気的に連結され、制御電極が前記制御部の第2端子に電気的に連結され得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるバッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックは、放電FETに第1抵抗とキャパシタを装着することによって初期放電時に負荷キャパシタをソフトに充電することができ、放電FETにトランジスタと第2抵抗を装着して過放電時に放電FETを早く遮断することによってバッテリーおよび放電FETの損傷を防止することができる。
【0017】
また、本発明によるバッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックは、安価な抵抗、トランジスタおよびキャパシタを通じて放電FETの駆動時間を制御して電子装置の負荷キャパシタをソフトに充電可能であるため、別途の充電回路を具備する必要がなく、コストを節減することができ、別途の回路を具備するための空間も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係るバッテリーパックの構成を図示した構成図。
図2図1に図示されたバッテリーパックに電子装置が装着された一例を図示した構成図。
図3図2の駆動シミュレーション波形。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。本発明の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多様な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。これらの実施例は、本開示をさらに忠実かつ完全なものとし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
また、図面における各層の厚さや大きさは説明の便宜のためおよび明確性のために誇張されたものであり、図面上で同一符号は同じ要素を指し示す。本明細書で使用されている用語「および/または」は、該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という意味は、A部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接に連結される場合も含む意味である。
【0021】
本明細書で使用されている用語は特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用されている単数の形態は文脈上異なる場合を明確に指摘していない限り、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使用されている「含む(comprise)」および/または「含む(comprising)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであって、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0022】
本明細書で第1、第2等の用語が多様な部材、部品、領域、層および/または部分を説明するために使用されているが、これら部材、部品、領域、層および/または部分はこれらの用語によって限定されるものではないことは自明である。これらの用語は、一つの部材、部品、領域、層または部分を他の領域、層または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で詳述する第1部材、部品、領域、層または部分は、本発明の範囲から逸脱することなく第2部材、部品、領域、層または部分を指し示すことができる。
【0023】
「下部(beneath)」、「下(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」、「上(upper)」のような空間に関連した用語が、図面に図示された一つの要素または特徴と異なる要素または特徴の容易な理解のために利用される。このような空間に関連した用語は、本発明の多様な工程状態または使用状態に応じて本発明の容易な理解のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。例えば、図面の要素または特徴をひっくり返すと、「下部」または「下」と説明された要素は「上部」または「上に」となる。したがって、「下」は「上部」または「下」を包括する概念である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るバッテリーパックの構成を図示した構造図が図示されている。
【0025】
図1に示したように、バッテリーパック100は大きくバッテリー110とバッテリー保護回路120を含む。ここでバッテリー保護回路120は、通常の印刷回路基板(PCB:Printed circuit board)に電気素子をスポット溶接、ハンダ付けの方法で配置させて形成される。そして、バッテリー110は充放電が可能な一つまたは複数個のベアセルが直列または並列に連結されて構成され得る。またバッテリー110のベアセルは、角形、円筒形またはパウチ型のうちいずれか一つの形状を有することができる。
【0026】
前記バッテリー保護回路120はバッテリー110の過放電および過充電時に大電流経路を遮断することができる。前記バッテリー保護回路120は、セル端子B+、B−、外部端子P+、P−、センシング抵抗Rs、制御部BIC、充放電FET Q1、Q2、キャパシタC1、第1抵抗R1、第2抵抗R2およびトランジスタT1を含んで構成される。
【0027】
まず、セル端子B+、B−はバッテリー110の正極および負極とそれぞれ電気的に連結されるための2つの端子を具備する。すなわち、セル端子B+、B−はバッテリー110の正極と連結された正極セル端子B+とバッテリー110の負極と電気的に連結された負極セル端子B−を含んで構成される。
【0028】
外部端子P+、P−は2つの端子からなっており、これは充電器または電子装置と電気的に接続され得る。このような外部端子P+、P−は充電器と電気的に連結されると、充電器を通じて印加される電流によってセル端子B+、B−に電気的に接続されたバッテリー110を充電させることができ、電子装置と連結されるとバッテリー110の放電によって出力される電圧によって電子装置を駆動させることができる。このような外部端子P+、P−はセル端子B+、B−と並列に連結され得る。
【0029】
センシング抵抗Rsはセル端子B+、B−と外部端子P+、P−の間の大電流経路に備えられた抵抗であって、大電流経路に流れる電流をセンシングするための抵抗である。センシング抵抗Rsは制御部BICと電気的に連結される。前記制御部BICはセンシング抵抗Rsの抵抗値に印加される電圧を感知してバッテリー110の充放電電流を感知することができる。また、制御部BICはバッテリー110と電気的に連結されてセル端子B+、B−の両端電圧を測定することによってバッテリー110の充放電電圧を測定することができる。
【0030】
制御部BICは測定された充放電電流および電圧により充放電FET Q1、Q2の駆
動を制御することによって、過充電および過放電からバッテリー110を保護することが
できる。
【0031】
充放電FET Q1、Q2はセル端子B+、B−と外部端子P+、P−の間である大電流経路に連結された放電FET Q1および充電FET Q2を含む。前記充放電FET Q1、Q2は、制御部BICに制御電極が電気的に連結されて制御部BICの制御により駆動される。
【0032】
まず充電FET Q2は、制御電極Gが制御部BICの第2端子PWM2に電気的に連結され、第2電極2が負極外部端子P−に電気的に連結され、第1電極1が放電FET Q1の第1電極1と電気的に連結される。また、充電FET Q2は過充電時に第2端子PWM2を通じて出力される制御信号によってオフされて大電流経路を遮断することができる。
【0033】
放電FET Q1は、制御電極が制御部BICの第1端子PWM1に電気的に連結され、第2電極2が負極セル端子B−に電気的に連結され、第1電極1が充電FET Q2の第1電極1に電気的に連結される。放電FET Q1は過放電時に制御部BICの第1端子PWM1を通じて出力される制御信号によってオフされて大電流経路を遮断することができる。
【0034】
ここで、放電FET Q1と充電FET Q2の制御電極Gはゲート電極であり得て、第1電極1はドレーン電極、第2電極2はソース電極であり得る。また、放電FET Q1と充電FET Q2はNチャネル電界効果トランジスタであり得る。
【0035】
また、放電FET Q1の制御電極Gと制御部BICの間には、さらに第1抵抗R1が電気的に連結され得る。すなわち第1抵抗R1は、第1電極が制御部BICの第1端子PWM1に電気的に連結され、第2電極が放電FET Q1の制御電極Gに電気的に連結される。また、放電FET Q1の制御電極Gと第1電極1の間にはキャパシタC1がさらに電気的に連結され得る。すなわち、キャパシタC1は、第1電極が第1抵抗R1の第2電極と放電FET Q1の制御電極Gに電気的に連結され、第2電極が放電FET Q1の第1電極1と充電FET Q2の第1電極に電気的に連結される。
【0036】
前記キャパシタC1は、放電FET Q1の第1電極1と第2電極2の間の電圧が線形特性を長い間有するように遅延させることができる。このような第1抵抗R1とキャパシタC1は放電FET Q1が初期にオンされる時間を遅延させることができる。このような第1抵抗R1とキャパシタC1の大きさを調節して、放電FET Q1の初期駆動時間を制御することができる。すなわち、第1抵抗R1とキャパシタC1の大きさを調節して、放電FET Q1の制御電極Gと第1電極1の間の充電時間を長く維持させることによって、放電FET Q1の第1電極1と第2電極2の間の電圧が線形特性を長く有するようにすることができる。
【0037】
また、放電FET Q1は制御電極Gと第2電極2の間にトランジスタT1がさらに電気的に連結され、トランジスタT1の制御電極Bと制御部BICの第1端子PWM1の間に第2抵抗R2がさらに電気的に連結され得る。前記トランジスタT1はPNPトランジスタで制御電極であるベース電極Bと、放電FET Q1の制御電極Gと電気的に接続されたエミッタ電極Eと、放電FET Q1の第2電極2と電気的に連結されたコレクタ電極Cを含む。前記トランジスタT1のベース電極Bは第2抵抗R2の第2電極に電気的に連結され、エミッタ電極Eは放電FET Q1の制御電極G、第1抵抗R1の第2電極およびキャパシタC1の第1電極に電気的に連結され、コレクタ電極Cはセンシング抵抗Rsと放電FET Q1の第2電極2に電気的に連結される。また、第2抵抗R2は第1電極が第1抵抗R1の第1電極と制御部BICの第1端子PWM1に電気的に連結され、第2電極がトランジスタT1のベース電極Bに電気的に連結される。
【0038】
このようなトランジスタT1と第2抵抗R2は放電FET Q1がオフされる時間を制御することができる。すなわち、トランジスタT1と第2抵抗R2の大きさを調節して放電FET Q1が早い時間内にオフされるようにして、過放電時に大電流経路を早く遮断することができる。
【0039】
このような放電FET Q1の動作は図2に図示された通り、バッテリーパック100の外部端子P+、P−にバッテリーパック100から提供される電気エネルギーによって駆動される電子装置200が装着された場合について説明する。ここで、電子装置200はモーター220を具備し、モーター220で生成した動力によって駆動され得る。
【0040】
図2に図示された通り、電子装置200はバッテリーパック100の外部端子P+、P−を通じて出力される電力の印加を受けてモーターを駆動させるモーター制御ユニット210と、電子装置200を駆動させるモーター220を含むことができる。
【0041】
ここで、モーター制御ユニット210は、外部端子P+、P−に並列に連結されてモーター220に安定して電源を供給するための大容量の負荷キャパシタCsと、外部端子P+、P−に出力されるバッテリー110の電源の印加を受けてモーター220の駆動を制御するモーター制御部MCを含む。ここで負荷キャパシタCsは一例として3300μFであり得る。
【0042】
そして、バッテリーパック100のバッテリー保護回路120は、放電FET Q1を通じて大容量の負荷キャパシタCsを損傷することなくソフト(soft)に充電するために、第1抵抗R1が3.6kΩであり得て、キャパシタC1が100nFに設定され得る。このような第1抵抗R1とキャパシタC1の大きさは電子装置200に備えられた負荷キャパシタCsの大きさに応じて設定することができるが、本発明でこれを限定するものではない。
【0043】
またバッテリー保護回路120は、放電FET Q1に第1抵抗R1とキャパシタC1のみが装着される場合、放電FET Q1のターンオン時間を遅延させるのと同じようにターンオフ時間も遅延されるため、過放電時に放電FET Q1が遮断される時間が遅延されてバッテリー110を損傷させる恐れがある。しかし、本発明では放電FET Q1にトランジスタT1と第2抵抗R2を装着して過放電時に放電FET Q1のターンオフ時間を減少させることによって、バッテリー110を保護することができる。
【0044】
第2抵抗R2は10kΩであり、トランジスタT1はPNPトランジスタであり得る。ここで、第2抵抗R2とトランジスタT1は負荷キャパシタCsの損傷を防止するために放電FET Q1の初期駆動時間を遅延させる場合、増加するオフ時間を再び減少させるための構成であって、第1抵抗R1とキャパシタC1の大きさに応じて設定することができる。
【0045】
また、図3を参照すると、図2のバッテリーパック100に電子装置200が装着された後の初期駆動時の負荷キャパシタCsの電圧Vcsと、負荷キャパシタCsを充電させる充電電流Icsと、放電FET Q1の電圧VQ1に対するシミュレーション結果が図示されている。ここで、第1時間aは制御部BICで放電FET Q1をターンオンさせるための信号が放電FET Q1に印加された後、負荷キャパシタCsの充電が完了するまでの時間を意味する。また、第2時間bは制御部BICで放電FET Q1をターンオフさせるための信号が放電FET Q1に印加された後、放電FET Q1のゲート電極Gとソース電極2の間の電圧が0となるまでの時間を意味する。
【0046】
例えば、バッテリーパック100に電子装置200を装着し、バッテリーパック100から電子装置200に電源を供給するために制御部BICで放電FET Q1をターンオンさせるための信号が印加されると、放電FET Q1が第1時間aの間に、徐々にターンオンされて突入電流(充電電流,Ics)が流れるようになり、負荷キャパシタCsを充電させるようになる。この時、突入電流Icsは放電FET Q1に装着された第1抵抗R1とキャパシタC1によって約72Aに制限され得て、約2.4msの間負荷キャパシタCsを充電させることができる。すなわち、負荷キャパシタCsは放電FET Q1にターンオン信号が入力された後から約2.4ms以内に充電され得るため、バッテリーパック100から出力される過度な電流によって電子装置200に備えられた負荷キャパシタCsが損傷することを防止できるだけでなく、負荷キャパシタCsの充電遅延も防止することができる。
【0047】
また、制御部BICから放電FET Q1をターンオフさせるための信号が印加されると、放電FET Q1は第2時間b以内にターンオフされる。ここで、放電FET Q1がターンオフされると、放電FET Q1のゲート電極Gとソース電極2の間の電圧が0となる。
【0048】
この時、放電FET Q1はトランジスタT1と第2抵抗R2によって、第2時間bの20μs以内に放電FET Q1を遮断することができる。すなわち、過放電などによってバッテリーパック100の大電流経路を遮断しなければならない場合、早期に放電FET Q1をオフさせることによって、バッテリー110および放電FET Q1が過放電によって損傷することを防止することができる。
【0049】
このようなバッテリーパック100は、第1抵抗R1、第2抵抗R2、キャパシタC1およびトランジスタT1を放電FET Q1に装着することによって、初期放電時に突入電流によって負荷キャパシタCsをソフトに充電することができ、過放電時に放電FET Q1を早く遮断することによってバッテリー110の損傷を防止することができる。またバッテリーパック100は、安価なトランジスタT1、第1抵抗R1、第2抵抗R2およびキャパシタC1を通じて放電FET Q1の駆動を制御することによって電子装置200の負荷キャパシタCsをソフトに充電可能であるため、別途の充電回路を具備する必要がなく、コストの低減が可能であり、別途の回路を具備するための空間も低減することができる。
【0050】
以上で説明したものは、本発明によるバッテリー保護回路およびそれを有するバッテリーパックを実施するための一つの実施例に過ぎないものであって、本発明は前記した実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的思想に属するものである。
【符号の説明】
【0051】
100;バッテリーパック
110;バッテリー
120;バッテリー保護回路
B+、B−;セル端子
P+、P−;外部端子
BIC;制御部
Q1;放電FET
Q2;充電FET
R1;第1抵抗
C1;キャパシタ
R2;第2抵抗
T1;トランジスタ
200;電子装置
210;モーター制御ユニット
Cs;負荷キャパシタ
220;モーター
図1
図2
図3