(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウエーハを保持するウエーハ保持手段と、リングフレームを保持するリングフレーム保持手段とを備え、ウエーハとリングフレームとを選択して搬送を可能とする搬送装置であって、
該ウエーハ保持手段は、ウエーハの面を吸引保持するウエーハ保持部と、該ウエーハ保持部を一方の端側で支持する第1のアームと、を備え、
該リングフレーム保持手段は、リングフレームを上下から挟持するリングフレーム挟持部と、該リングフレーム挟持部を一方の端側で支持する第2のアームとを、備え、
該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とのいずれかを選択する選択手段を備え、
該選択手段は、
該第1のアームの他方の端側に連結され該第1のアームを旋回させる第1の旋回軸と、該第1の旋回軸を回転させる第1の駆動モータと、該第1の旋回軸と同一軸上で該第2のアームの他方の端側に連結され該第2のアームを旋回させる第2の旋回軸と、該第2の旋回軸を回転させる第2の駆動モータと、を備え、該第1のアームと該第2のアームとを上下に配置し前記ウエーハ保持手段と前記リングフレーム保持手段とを上下に離間させて配設し、
ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより選択されたウエーハ又はリングフレームのどちらかの搬送物に対し該第1のアーム又は該第2のアームのどちらかのアームを旋回させることを選択し、選択したアームに対応する駆動モータを用いて該選択されたアームに連結された旋回軸を回転させる事によって該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とのいずれかを用いて該選択された搬送物を搬送する搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研削工程においてウエーハを搬送する搬送装置は、例えば、ウエーハを吸着する吸着面を備えており、搬送装置に接続される吸引源により生み出される吸引力により、ウエーハを吸着保持することができる。また、この搬送装置は、吸着面を反転させることができる反転手段を備えている。研削工程においては、ウエーハに保護テープが貼着されているだけであるため、カセット等へのウエーハの搬出入を行う場合には、ウエーハの吸着保持による搬送が好適である。
【0006】
例えば、研削後のウエーハを収納したカセットは、研削装置からテープマウンタへと搬送される。テープマウンタにおいて、ウエーハは搬送装置により吸着保持され、カセット内から貼り付けテーブルへと搬送される(この前に、保護テープを剥離するためのUV照射が行われる場合もある)。さらに、ウエーハを吸着保持して搬送する搬送装置とは別の搬送装置(例えば、リングフレームを挟持できる搬送装置)により、リングフレームが、その開口部の中心にウエーハが位置するように、貼り付けテーブル上へと載置される。そして、貼り付けテーブル上でプレスローラー等によりウエーハの裏面に粘着テープが押し付けられ貼着される。同時に、粘着テープの粘着面の外周部をリングフレームにも貼着することで、ウエーハは、粘着テープを介してリングフレームに支持された状態(フレームユニットとなった状態)となり、リングフレームを介したハンドリングが可能な状態となる。
【0007】
このフレームユニットは、例えば、カセット内に収容され、テープマウンタから切削装置へと搬送される。切削装置内において、フレームユニットは、リングフレームを保持して搬送する搬送装置によりチャックテーブル上に搬送され、チャックテーブル上に吸引保持された状態で、ウエーハに対する切削加工が施される。そして、ウエーハに対して切削加工が施されたフレームユニットは、ウエーハが分割されチップとなった状態となっているため、搬送装置によりリングフレームが保持された状態で搬送される。
【0008】
上記のように、従来は、各加工装置に、ウエーハを吸着保持できる搬送手段、若しくはリングフレームを挟持できる搬送手段のいずれか又は両方を備えることで、ウエーハの円滑なハンドリングを行っている。しかし、例えば、クラスター型半導体製造装置に、ウエーハ及びフレームユニット等のハンドリングを円滑に行うために、ウエーハを吸着保持して搬送するウエーハ搬送装置とリングフレームを挟持して搬送するリングフレーム搬送装置との両方を備えると、各搬送装置の配設位置の適切な設定が必要になり、また、各搬送装置を各々移動させる移動機構等も増設する必要があるため、装置構成の大型化を招くことにもなる。
【0009】
よって、例えば、研削加工から切削加工までの一連のウエーハの加工プロセス中に、搬送装置によって各装置間又は各装置上でウエーハを搬送する場合においては、ウエーハ、リングフレーム及びフレームユニットを搬送する搬送装置を備えることで装置構成が大きくなってしまうことを解消するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、ウエーハを保持するウエーハ保持手段と、リングフレームを保持するリングフレーム保持手段とを備え、ウエーハとリングフレームとを選択して搬送を可能とする搬送装置であって、該ウエーハ保持手段は、ウエーハの面を吸引保持するウエーハ保持部と、該ウエーハ保持部を
一方の端側で支持する第1のアームと、を備え、該リングフレーム保持手段は、リングフレームを上下から挟持するリングフレーム挟持部と、該リングフレーム挟持部を
一方の端側で支持する第2のアームとを、備え、該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とのいずれかを選択する選択手段を備え
、該選択手段は、該第1のアームの他方の端側に連結され該第1のアームを旋回させる第1の旋回軸と、該第1の旋回軸を回転させる第1の駆動モータと、該第1の旋回軸と同一軸上で該第2のアームの他方の端側に連結され該第2のアームを旋回させる第2の旋回軸と、該第2の旋回軸を回転させる第2の駆動モータと、を備え、該第1のアームと該第2のアームとを上下に配置し前記ウエーハ保持手段と前記リングフレーム保持手段とを上下に離間させて配設し、ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより選択されたウエーハ又はリングフレームのどちらかの搬送物に対し該第1のアーム又は該第2のアームのどちらかのアームを旋回させることを選択し、選択したアームに対応する駆動モータを用いて該選択されたアームに連結された旋回軸を回転させる事によって該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とのいずれかを用いて該選択された搬送物を搬送する搬送装置である。
【0011】
また、前記選択手段は、前記第1のアームを旋回させる第1の旋回軸と、該第1の旋回軸と同一軸で前記第2のアームを旋回させる第2の旋回軸とを備え、該第1のアームと該第2のアームとを上下に接続し前記ウエーハ保持手段と前記リングフレーム保持手段とを上下に離間させて配設し、ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより搬送物に対し該第1のアーム又は該第2のアームを旋回させることを選択し、選択したアームを旋回軸を軸に旋回させ該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とを選択するものとすると好ましい。
【0012】
または、前記選択手段は、前記ウエーハ保持手段と前記リングフレーム保持手段とを水平方向に離間させて配設する連結部と、該連結部を水平方向に旋回させる旋回軸と、を備え、ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより搬送物に対し該旋回軸で該連結部を旋回させ該ウエーハ保持手段と該リングフレーム保持手段とを選択するものとすると好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る搬送装置は、ウエーハを保持するウエーハ保持手段と、リングフレームを保持するリングフレーム保持手段とを備え、ウエーハとリングフレームとを選択して搬送を可能とする搬送装置であって、ウエーハ保持手段は、ウエーハの面を吸引保持するウエーハ保持部と、ウエーハ保持部を
一方の端側で支持する第1のアームと、を備え、リングフレーム保持手段は、リングフレームを上下から挟持するリングフレーム挟持部と、リングフレーム挟持部を
一方の端側で支持する第2のアームとを、備え、ウエーハ保持手段とリングフレーム保持手段とを選択する選択手段を備え
、選択手段は、第1のアームの他方の端側に連結され第1のアームを旋回させる第1の旋回軸と、第1の旋回軸を回転させる第1の駆動モータと、第1の旋回軸と同一軸上で第2のアームの他方の端側に連結され第2のアームを旋回させる第2の旋回軸と、第2の旋回軸を回転させる第2の駆動モータと、を備え、第1のアームと第2のアームとを上下に配置しウエーハ保持手段とリングフレーム保持手段とを上下に離間させて配設し、ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより選択されたウエーハ又はリングフレームのどちらかの搬送物に対し第1のアーム又は第2のアームのどちらかのアームを旋回させることを選択し、選択したアームに対応する駆動モータを用いて該選択されたアームに連結された旋回軸を回転させる事によってウエーハ保持手段とリングフレーム保持手段とのいずれかを用いて選択された搬送物を搬送することから、この搬送装置一つのみで、ウエーハ搬送とリングフレーム搬送とを選択的に行うことができ、搬送装置をクラスター型半導体製造装置に組み込んだ場合、各装置を接続した場合のいずれにおいても、全体として装置構成の小型化を図ることができる。すなわち、例えば、研削装置と、本発明に係る搬送装置と、テープマウンタとを並べることで、研削装置内でのウエーハ搬送並びにテープマウンタ内でのリングフレームの搬送及びテープマウンタ内でのウエーハ搬送を、本発明に係る搬送装置のみで円滑に実施することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
図1、2に示す搬送装置1は、ウエーハWを保持するウエーハ保持手段10と、リングフレームFを保持するリングフレーム保持手段11とを少なくとも備え、ウエーハWとリングフレームFとを選択して搬送することができる搬送装置である。搬送装置1は、例えば、並んで設置されている図示しない研削装置、テープマウンタ、及び切削装置の間に1つずつ配設されることで、各装置間及び各装置上において、ウエーハW若しくはリングフレームF、又はウエーハW及びリングフレームF等からなるフレームユニットの円滑なハンドリングを搬送装置1のみで行うことを可能にする。
【0016】
図1、2に示すウエーハ保持手段10は、少なくとも、ウエーハWの面(表面Wa又は裏面Wb)を吸引保持するウエーハ保持部100と、ウエーハ保持部100を支持する第1のアーム101とを備えている。ウエーハ保持部100は、例えば、略長方形の平板状に形成されており、その内部には、吸引路100fが長手方向に延びるように形成されている。吸引路100fの一端は、真空発生装置及びコンプレッサー等からなる吸引源90に連通しており、もう一端は、ウエーハ保持部100の先端側の吸引面100aにおいて開口(図示の例においては、2箇所で開口している吸引口100cとなる。)している。なお、吸引口100cには、ゴム樹脂等からなり吸着力を高めるための吸着パッドを配設していてもよい。
【0017】
ウエーハ保持部100の一端は、第1のアーム101に備えるホルダ101aにより保持されている(図示の例におけるホルダ101aは、ホルダ101aの内部に挿し込まれたウエーハ保持部100を挟持固定できるタイプのホルダである。)。
【0018】
図2に示すように、ホルダ101aには、軸方向がウエーハ保持部100の長手方向と同方向であるスピンドル101bの一端が接続されている。スピンドル101bは、ハウジング101cによって回転可能に支持されており、スピンドル101bのもう一端にはモータ101dが接続されている。第1のアーム101においては、モータ101dによりスピンドル101bを回転させることで、スピンドル101bにホルダ101aを介して接続されているウエーハ保持部100を回転させ、ウエーハ保持部100の吸引面100aと裏面100bとを上下に反転させることができる。
【0019】
図1、2に示すリングフレーム保持手段11は、少なくとも、
図1に示すリングフレームFを上下から挟持するリングフレーム挟持部110と、リングフレーム挟持部110を支持する第2のアーム111とを備えている。リングフレーム挟持部110は、例えば、そのプレート間にリングフレームFを挟み込むための上プレート110aと下プレート110bとを備えている。下プレート110bは、例えば、平板状の鋼板の外周の一部を略円弧状に切欠くことで、外周の一部が環状のリングフレームFの外周に略沿うような形に形成されている。
【0020】
図1に示す略環状のリングフレームFは、例えば、ステンレス等の金属材料で略円環板状に形成されており、中央には、表面から裏面までを貫通する開口部が形成されている。リングフレームFの外周には、その外周の一部をフラットに切欠くことで、位置決め用の平坦面Fcが形成されている(図示の例においては、3面形成されている)。
【0021】
図1に示すように、リングフレーム挟持部110の下プレート110bの上面(ウエーハWに接触する面)には、リングフレームFに突き当てられる突き当てブロック110c、110dが、下プレート110bの上面の中心線L1を基準として対称に1つずつ計2つ配設されている。金属、セラミック又は合成樹脂等からなる突き当てブロック110c、110dは、例えば、その外形が略直方体状に形成されており、リングフレームFが突き当てられる面(
図1に示す例においては、−X方向側の側面)は平坦に形成されている。リングフレーム保持手段11においては、リングフレームFの位置決め用の平坦面Fcに対して、突き当てブロック110c、110dの突き当て面を突き当てることで、リングフレームFの位置決めを行うことができる。
【0022】
下プレート110bの上面には、上プレート110aをリングフレームFに対して近づける方向(
図1の例においては、X軸方向)に送り出す上プレート送り出し手段112が配設されている。上プレート送り出し手段112は、例えばエアシリンダであり、内部に図示しないピストンを備える有底円筒状のシリンダチューブ112aと、シリンダチューブ112aに挿入され一端がピストンに取り付けられたピストンロッド112bとを備える。ピストンロッド112bのもう一端には、上プレート110aを支持する支持部材112cが接続されている。支持部材112cは、下プレート110bの上面上にピストンロッド112bと平行に配設された一対のガイドレール112dに対して、その底部が緩嵌合しており、一対のガイドレール112d上を摺接することができる。
【0023】
シリンダチューブ112aに図示しないエア供給源からエアが供給(または、排出)されシリンダチューブ112aの内部の内圧が変化することで、ピストンロッド112bがX軸方向に移動し、これに伴って支持部材112cがリングフレームFに対して接近又は離間する。なお、上プレート送り出し手段112は、エアシリンダに限定されるものではなく、例えば、モータ等によって動作するボールネジ機構であってもよい。
【0024】
支持部材112cの長手方向(図示の例においては、Y軸方向)の両端には、挟持シリンダ113がそれぞれ配設されている。挟持シリンダ113に備えるZ軸方向に可動な各ピストンロッドの下端には、平板状に形成された各上プレート110aの上面が接続されている。上プレート110aは、略長方形の外周の一部を円弧状に切欠くことで、その外周の一部がリングフレームFの外周に略沿うような形に形成されている。リングフレーム保持手段11は、上プレート110aと下プレート110bとの間にリングフレームFを位置づけ、挟持シリンダ113により上プレート110aを降下させることで、上プレート110aと下プレート110bとにより、リングフレームFを挟み込むことで保持することができる。
【0025】
上プレート110a及び下プレート110bは、例えば、鋼板やアクリル板等の樹脂板からなる。また、例えば、
図1に示すように、下プレート110bの略円弧状に切欠かれた外周の側面部分(すなわち、リングフレーム挟持部11の先端部分)に、リングフレームFの有無を確認するためのマッピングセンサ114を配設するものとしてもよい。マッピングセンサ114は、例えば、反射型又は透過型の光センサであり、投光器と受光器との間で投光・受光される光をリングフレームFが遮光するか否かによって、リングフレームFの有無を確認できる。
【0026】
リングフレーム挟持部110を支持する第2のアーム111は、ハウジング111aを備えており、ハウジング111aの前面にリングフレーム挟持部110が取り付けられている。
【0027】
搬送装置1は、ウエーハ保持手段10とリングフレーム保持手段11とを選択する選択手段12を備えており、例えば、選択手段12は、第1のアーム101を旋回させる第1の旋回軸121と、第1の旋回軸121と同一軸で第2のアーム111を旋回させる第2の旋回軸122とを備えている。
【0028】
図2に示すように、第2の旋回軸122は、例えば、第2のアーム111のハウジング111aと第1のアーム101のハウジング101cとの間に、両者を連結するように配設されている。すなわち、第2の旋回軸122は、その下端がハウジング101cの上面に固定され、ハウジング101c上から上方(+Z方向)に向かって延びハウジング111a内に軸受122aを介して挿通されている。よって、搬送装置1においては、第1のアーム101と第2のアーム111とは上下に接続されウエーハ保持手段10とリングフレーム保持手段11とが上下に離間して配設されており、リングフレーム保持手段11は、固定されている第2の旋回軸122を軸に旋回することができる。
【0029】
第2の旋回軸122の上端には、第2の旋回軸122に対して軸回転可能な小径先端部122bが形成されており、小径先端部122bには、従動プーリ111iが配設されている。小径先端部122bは、ハウジング111aに図示しない接続部材を介して接続されており、小径先端部122bに伝えられる旋回力をハウジング111aに対して伝達することができる。また、ハウジング111aの内部には、駆動モータ111eが固定して配設されており、駆動モータ111eには、軸方向が鉛直方向である駆動軸111fが接続されている。駆動軸111fの上端には駆動プーリ111gが取り付けられており、駆動プーリ111gには、無端状の駆動ベルト111hが巻回されている。駆動ベルト111hは、従動プーリ111iにも巻回されており、駆動モータ111eによって駆動軸111fが回転駆動することに伴って、従動プーリ111iも回転する。従動プーリ111iが回転することで生み出される回転力は、第2のアーム111を第2の旋回軸122を軸に矢印R1方向に旋回させるための旋回力として、ハウジング111aに対して伝えられる。
【0030】
第1の旋回軸121は、例えば、第1のアーム101のハウジング101cと、ウエーハ保持手段10及びリングフレーム保持手段11を所定の位置に移動させる駆動部14との間に、両者を連結するように配設されている。すなわち、第1の旋回軸121は、その下端が駆動部14を構成する第1の腕部141の上面に固定され、第1の腕部141上から上方(+Z方向)に向かって延びハウジング101c内に軸受121aを介して挿通されている。よって、搬送装置1においては、ウエーハ保持手段10は、固定されている第1の旋回軸121を軸に旋回することができる。
【0031】
第1の旋回軸121の上端には、第1の旋回軸121に対して軸回転可能な小径先端部121bが形成されており、小径先端部121bには、従動プーリ101iが配設されている。小径先端部121bは、ハウジング101cに図示しない接続部材を介して接続されており、小径先端部121bに伝えられる旋回力をハウジング101cに対して伝達することができる。また、ハウジング101cの内部には、駆動モータ101eが固定して配設されており、駆動モータ101eには、軸方向が鉛直方向である駆動軸101fが接続されている。駆動軸101fの上端には駆動プーリ101gが取り付けられており、駆動プーリ101gには、無端状の駆動ベルト101hが巻回されている。駆動ベルト101hは、従動プーリ101iにも巻回されており、駆動モータ101eによって駆動軸101fが回転駆動することに伴って、従動プーリ101iも回転する。従動プーリ101iが回転することで生み出される回転力は、第1のアーム101を第1の旋回軸121を軸に矢印R1方向に旋回させるための旋回力として、ハウジング101cに対して小径先端部121bを介して伝達される。
【0032】
選択手段12は、例えば、少なくともCPUとメモリ等の記憶素子とを有する指示部129を備えており、指示部129は、配線129aを介して第2のアーム111の駆動モータ111e、及び第1のアーム101の駆動モータ101eにそれぞれ接続されている。指示部129は、予めメモリに記録されたプログラムを実行することにより、ウエーハWを搬送するかリングフレームFを搬送するかにより搬送物に対し第1のアーム101又は第2のアーム111を旋回させることを選択し、選択内容を電気信号として駆動モータ101e又は駆動モータ111eに送信する。すなわち、例えば、駆動モータ101e(駆動モータ111e)が、パルス信号により、駆動軸101f(駆動軸111f)を所定の角度だけ回転させるパルスモータである場合には、指示部129から、駆動モータ101e(駆動モータ111e)に対して、所定量のパルス信号が送られる。
【0033】
第1の旋回軸121の下端には、ウエーハ保持手段10及びリングフレーム保持手段11を所定の位置に移動させる駆動部14が配設されている。駆動部14は、例えば、第1の腕部141と、第2の腕部142と、第1の腕部旋回手段143と、第2の腕部旋回手段144とから構成されており、プロセッサやメモリ等により構成される図示しない制御部によってその動作が制御されている。
【0034】
第1の旋回軸121の下端には、第1の腕部141の一端の上面が連結されている。第1の腕部141のもう一端の下面には、第1の腕部旋回手段143を介して、第2の腕部142の一端の上面が連結されている。第2の腕部142のもう一端の下面には、第2の腕部旋回手段144が連結されている。そして、第2の腕部旋回手段144は、移動手段2上に配設されている。
【0035】
搬送装置1において、第1の腕部旋回手段143は、図示しない旋回駆動源が発生させる回転力により、第1の腕部141を第2の腕部142に対して水平に旋回させるものである。第2の腕部旋回手段144は、図示しない旋回駆動源が発生する回転力により、第2の腕部142を移動手段2に対して水平に旋回させるものである。移動手段2は、搬送装置1をX軸方向に平行移動、又はZ軸方向に上下動させるものであり、保持対象となるウエーハW又はリングフレームFに対して、搬送装置1を所定の位置に位置づける役割を果たす。移動手段2は、例えば、モータ等によって動作するボールネジ機構で構成されている。
【0036】
以下に、
図1〜7を用いて、搬送装置1によりウエーハWとリングフレームFとを選択して搬送する場合における、搬送装置1の動作について説明する。
【0037】
図1に示すカセット8は、開口80を有しており、開口80からウエーハWを搬出入できる構成となっている。カセット8の内部には、複数の棚部81が上下方向に所定の間隔をあけて形成されており、棚部81においてウエーハWを水平な状態で一枚ずつ収容することが可能となっている。例えば、各棚部81は、その中央領域が略長方形状に切り欠かれた平板で形成されており、ウエーハWの外周部Wcを支持した状態でウエーハWをカセット8に収容できる。なお、カセット8は、例えば、図示しないカセットステージに載置された状態で、Z軸方向に往復移動が可能な構成となっていてもよい。カセット8に収容されているウエーハWは、例えば、例えば、外形が円形状の半導体ウエーハである。
【0038】
ウエーハ保持手段10が、ウエーハWを保持する場合について、以下に説明する。まず、
図1に示す移動手段2が、搬送装置1をX軸方向及びZ軸方向に移動させ、また、駆動部14が搬送装置1を旋回させて、搬送装置1をカセット8の開口80の正面に位置するように位置づける。
【0039】
さらに、搬送装置1によりウエーハWを搬送するため、選択手段12の指示部129から、
図2に示す駆動モータ101eに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。この電気信号によって駆動モータ101eにより生み出される回転駆動力により、第1のアーム101が第1の旋回軸121を軸に旋回し、ウエーハ保持部100の長手方向とカセット8のウエーハWの差込方向とを一致させる。
【0040】
ここでは、ウエーハWの直径とウエーハ保持部100の中心線とが一致するようにして、第1のアーム101が第1の旋回軸121を軸に旋回する。さらに、
図2に示すモータ101dがスピンドル101bを回転させ、ウエーハ保持部100の吸引面100aが上側を向いた状態にセットする。
【0041】
また、ウエーハ保持部100がカセット8の内部に進入していくのをリングフレーム保持手段11が妨げることを防止するために、選択手段12の指示部129から、駆動モータ111eに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。すなわち、この電気信号によって駆動モータ111eにより生み出される回転駆動力により、
図3に示すように第2のアーム111が第2の旋回軸122を軸に旋回して、例えば、リングフレーム挟持部110の突き出し方向(すなわち、上プレート110の進行方向)がウエーハ保持部100の長手方向に対して直交するように、リングフレーム挟持部110がウエーハ保持部100から離間する。
【0042】
次いで、移動手段2が、ウエーハ保持部100をカセット8に接近させて、ウエーハ保持部100が開口80からカセット8の内部の所定の位置まで進入していく。すなわち、例えば、2つの吸引口100cを結ぶ線分の中点がウエーハWの中心と略一致するように、ウエーハ保持部100がウエーハWに対して位置づけられる。
【0043】
そして、
図3に示すように、ウエーハ保持部100が上昇して、ウエーハWの裏面Wbに吸引面100aを接触させる。また、吸引源90が吸引することにより生み出された吸引力が、吸引路100fを通り吸引口100cまで伝達されることで、ウエーハ保持部100によりウエーハWが吸引保持される。なお、
図3においては、搬送装置1の駆動部14等、及びカセット8については省略して示している。
【0044】
次に、ウエーハWを吸引保持したウエーハ保持部100がカセット8の内部からカセット8の外部まで移動し、ウエーハWが搬送装置1によりカセット8の内部から搬出される。搬出されたウエーハWは、例えば、搬送装置1により、図示しないテープマウンタのテープ貼り付けテーブル等に搬送される。
【0045】
リングフレーム保持手段11がリングフレームFを保持する場合について、以下に説明する。例えば、リングフレームFは、図示しないフレームストッカ等に、リングフレームFの外周部をリングフレーム保持手段11が挟持保持できるように収容されている。まず、
図1に示す移動手段2が、搬送装置1をX軸方向及びZ軸方向に移動させ、また、駆動部14が搬送装置1を旋回させて、搬送装置1をリングフレームFの近傍に位置づける。
【0046】
さらに、搬送装置1によりリングフレームFを搬送するため、選択手段12の指示部129から、
図2に示す駆動モータ111eに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。この電気信号によって駆動モータ111eにより生み出される回転駆動力により、第2のアーム111が第2の旋回軸122を軸に旋回し、下プレート110bの上面の中心線L1とリングフレームFの直径とが略合致するように、リングフレーム挟持部110が位置づけられる。また、この位置づけにおいては、リングフレームFの位置決め用の平坦面Fcに対して、リングフレーム挟持部110の突き当てブロック110c、110dの突き当て面が対面する。
【0047】
また、リングフレーム挟持部110がリングフレームFを挟持するのをウエーハ保持手段10が妨げることを防止するために、選択手段12の指示部129から、駆動モータ101eに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。すなわち、この電気信号によって駆動モータ101eにより生み出される回転駆動力により、第1のアーム101が第1の旋回軸121を軸に旋回して、例えば、ウエーハ保持部100の長手方向がリングフレーム挟持部110の上プレート110aの進行方向に対して直交するように、ウエーハ保持部100がリングフレーム挟持部110から離間する。
【0048】
次いで、
図4(A)、(B)に示すように、リングフレームFの平坦面Fcに突き当てブロック110c、110dの突き当て面が接触するまで、リングフレーム挟持部110をリングフレームFに接近させていく(図示の例においては、−X方向にリングフレーム挟持部110が移動していく)。リングフレームFの平坦面Fcに突き当てブロック110c、110dの突き当て面が接触することで、リングフレーム挟持部110のリングフレームFに対する位置決めが行われ、また、リングフレーム挟持部110が停止する。なお、以下
図4〜
図7においては、搬送装置1のウエーハ保持手段10及び駆動部14等については省略して示している。
【0049】
さらに、
図4に示すように、上プレート送り出し手段112により、例えば、上プレート110aの先端位置(図示の例においては、−X方向における位置)が下プレート110bの略円弧状に切欠かれた外周の位置に至るまで、上プレート110aが下プレート110b上を−X方向に移動する。
【0050】
上プレート110aがX軸方向における所定の位置に至るまで移動した後、
図5に示すように、リングフレームFの下面に下プレート110bの上面が接触するまで、リングフレーム挟持部110が+Z方向に上昇する。
【0051】
次いで、
図6に示すように、挟持シリンダ113により上プレート110aを−Z方向に降下させることで、
図7に示すように、上プレート110aと下プレート110bとにより、リングフレームFを挟み込むことにより、リングフレーム挟持部110によるリングフレームFの保持が完了する。そして、リングフレーム挟持部110により挟持保持されたリングフレームFは、例えば、搬送装置1により、図示しないテープマウンタのテープ貼り付けテーブル等に搬送される。
【0052】
上記のように、本発明に係る搬送装置1は、ウエーハWを保持するウエーハ保持手段10と、リングフレームFを保持するリングフレーム保持手段11とを備え、ウエーハWとリングフレームFとを選択して搬送を可能とする搬送装置であって、ウエーハ保持手段10は、ウエーハWの面を吸引保持するウエーハ保持部100と、ウエーハ保持部100を支持する第1のアーム101と、を備え、リングフレーム保持手段11は、リングフレームFを上下から挟持するリングフレーム挟持部110と、リングフレーム挟持部110を支持する第2のアーム111とを備え、ウエーハ保持手段10とリングフレーム保持手段11とを選択する選択手段12を備えていることから、この搬送装置一つのみで、ウエーハWの搬送とリングフレームFの搬送とを選択的に行うことができ、装置構成(例えば、搬送装置1が備えられるクラスター型半導体製造装置の装置構成)の小型化を図ることができる。すなわち、例えば、研削装置と、搬送装置1と、テープマウンタとを並べることで、テープマウンタのテープ貼り付けテーブル上にリングフレームFをセットするために行うリングフレームFの搬送、リングフレームFがセットされているテープマウンタのテープ貼り付けテーブル上への研削装置内で研削されたウエーハWの搬送、及びテープマウンタで作製されたフレームユニット(リングフレームF、ウエーハW及び粘着テープからなるユニット)のハンドリング等を搬送装置1のみで円滑に行うことが可能となる。
【0053】
また、選択手段12は、第1のアーム101を旋回させる第1の旋回軸121と、第1の旋回軸121と同一軸で第2のアーム111を旋回させる第2の旋回軸122とを備え、第1のアーム101と第2のアーム111とを上下に接続しウエーハ保持手段10とリングフレーム保持手段11とを上下に離間させて配設するものとしたことで、ウエーハWを搬送するかリングフレームFを搬送するかにより搬送物に対し第1のアーム101又は第2のアーム111のいずれを旋回させるかを選択し、選択したアームを旋回軸を軸に旋回させウエーハ保持手段10とリングフレーム保持手段11とを選択することができ、ウエーハW及びリングフレームF等のハンドリングをより円滑に搬送装置1のみで行うことが可能になる。
【0054】
(実施形態2)
図8に示す搬送装置5は、ウエーハを保持するウエーハ保持手段50と、リングフレームを保持するリングフレーム保持手段11とを少なくとも備え、ウエーハとリングフレームとを選択して搬送を可能にする搬送装置である。リングフレーム保持手段11は、実施形態1において説明した搬送装置1に備えるリングフレーム保持手段と同一のものである。搬送装置5は、例えば、並んで設置されている図示しない研削装置、テープマウンタ、及び切削装置の間に1つずつ配設されることで、各装置間及び各装置上において、ウエーハ若しくはリングフレーム、又はフレームユニットの円滑なハンドリングを、搬送装置5のみで行うことを可能にする。
【0055】
図8に示すウエーハ保持手段50は、少なくとも、ウエーハWの面(表面Wa又は裏面Wb)を吸引保持するウエーハ保持部500と、ウエーハ保持部500を配設する第1のアーム501とを備えている。ウエーハ保持部500は、例えば、その外形が平板状略Y字状に形成され、その2つの先端の吸引面500aに、吸引口500cが開口している。図示の例において、吸引口500cは、各先端の吸引面500aにおいて、3つずつ並列に形成されている。なお、吸引口500cには、ゴム樹脂等からなる吸着力を高めるための吸着パッドを配設していてもよい。
【0056】
図8に示すように吸引口500cには、吸引路500fが連通している。吸引路500fは、例えば、ウエーハ保持部500の内部を通るようにしてウエーハ保持部500に配設されており、その一端が真空発生装置及びコンプレッサー等からなる吸引源90に接続されている。吸引源90が吸引することにより生み出された吸引力は、吸引路500fを通り吸引面500aに伝達される。
【0057】
ウエーハ保持部500が配設される第1のアーム501は、例えば、ホルダ501aを備えている。ウエーハ保持部500の基端側は、ホルダ501aにより挟持されており、ホルダ501aにはスピンドル501bの一端が接続されている。スピンドル501bの軸方向は、ウエーハ保持部500の突き出し方向と同方向となっている。スピンドル501bは、第1のアーム501に備えるハウジング501cによって回転可能に支持されており、スピンドル501bのもう一端には図示しないモータが接続されている。図示しないモータがスピンドル501bを回転させることに伴って、スピンドル501bに接続されているウエーハ保持部500が回転して、ウエーハ保持部500の表面(吸引面)500aとウエーハ保持部500の裏面500bとを上下に反転させることができる。なお、スピンドル501bは、例えば、ハウジング501cから水平方向に向かって移動可能に構成されていてもよい。
【0058】
搬送装置5は、ウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とのいずれかを選択する選択手段52を備えており、選択手段52は、ウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とを水平方向に離間させて配設する連結部520と、連結部520を水平方向に旋回させる旋回軸521とを備えている。
【0059】
旋回軸521は、実施形態1において説明した搬送装置1に備える駆動部と同一の駆動部14上に配設されている。本実施形態においては、例えば、駆動部14の第1の腕部141の内部にモータ521aが内蔵されており、旋回軸521の下端はこのモータ521aが接続されている。そして、旋回軸521は、第1の腕部141に図示しない軸受けを介して接続されており、軸方向がZ軸方向となっている。
【0060】
旋回軸521の上端には、連結部520が配設されている。連結部520は、例えば、外形が90度曲折したエルボブロック状に形成されており、その略中央部分には、旋回軸521が嵌挿又は螺合される挿入孔520aが設けられている。旋回軸521の上端に配設された連結部520の一端に、ウエーハ保持手段50の第1のアーム501が接続され、もう一端にリングフレーム保持手段11の第2のアーム111が接続されることで、ウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とを水平方向に離間させて配設した状態となる。モータ521aが旋回軸521を回転駆動することに伴って、連結部520に接続されたリングフレーム保持手段11及びウエーハ保持手段50が旋回する。なお、本実施形態においては、第2アーム111の内部に実施形態1において説明した駆動モータ111e等は配設されていない。
【0061】
選択手段52は、例えば、少なくともCPUとメモリ等の記憶素子とを有する指示部529を備えており、指示部529は、配線529aを介してモータ521aに接続されている。指示部529は、予めメモリに記録されたプログラムを実行することにより、ウエーハを搬送するかリングフレームを搬送するかにより、旋回軸521の旋回方向を選択し、この選択を電気信号としてモータ521aに送信する。
【0062】
搬送装置5は、実施形態1において説明した搬送装置1と同様に、駆動部14を介して移動手段2が接続されており、X軸方向に平行移動、又はZ軸方向に上下動が可能となっている。
【0063】
以下に、
図8を用いて、搬送装置5によりウエーハとリングフレームとを選択して搬送する場合における、搬送装置5の動作について説明する。
【0064】
ウエーハ保持手段50が、
図8に示すウエーハWを保持する場合について、以下に説明する。まず、移動手段2が、搬送装置5をX軸方向及びZ軸方向に移動させ、また、駆動部14が搬送装置5を旋回させて、搬送装置5を実施形態1において説明したカセット8の開口80の正面に位置するように位置づける。
【0065】
さらに、ウエーハ保持手段50によりウエーハWを搬送するため、選択手段52の指示部529から、モータ521aに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。この電気信号によってモータ521aにより生み出される回転駆動力により、第1のアーム501が旋回軸521を軸に旋回し、ウエーハ保持部500の先端をカセット8の8の開口80の正面に位置するようにし、かつ、ウエーハWの直径とウエーハ保持部500の中心線L2とが略一致するようウエーハ保持部500を位置づける。さらに、図示しないモータがスピンドル501bを回転させ、ウエーハ保持部500の吸引面500aが上側を向いた状態にセットする。この状態において、リングフレーム保持手段11は、ウエーハ保持部500から旋回軸521を軸として90度離間しているため、ウエーハ保持部500がカセット8の内部に進入していくのを、リングフレーム保持手段11が妨げることはない。
【0066】
次いで、移動手段2が、ウエーハ保持部500をカセット8に接近させて、ウエーハ保持部500が開口80からカセット8の内部の所定の位置まで進入していき、ウエーハ保持部500がウエーハWに対して位置づけられる。
【0067】
そして、ウエーハ保持部500が上昇して、ウエーハWの裏面Wbに吸引面500aを接触させる。また、吸引源90が吸引することにより生み出された吸引力が、吸引路500fを通り吸引口500cまで伝達されることで、ウエーハ保持部500によりウエーハWが吸引保持される。
【0068】
次に、ウエーハWを吸引保持したウエーハ保持部500がカセット8の内部からカセット8の外部まで移動し、ウエーハWが搬送装置5によりカセット8の内部から搬出される。搬出されたウエーハWは、例えば、搬送装置5により、図示しないテープマウンタのテープ貼り付けテーブル等に搬送される。
【0069】
リングフレーム保持手段11が、
図1に示すリングフレームFを保持する場合については、まず、
図8に示す移動手段2が、搬送装置5をX軸方向及びZ軸方向に移動させ、また、駆動部14が搬送装置5を旋回させて、搬送装置5をリングフレームFの近傍に位置するように位置づける。さらに、選択手段52の指示部529から、モータ521aに対して所定の電気信号(例えば、パルス信号)が送られる。この電気信号によってモータ521aにより生み出される回転駆動力により、第1のアーム501が旋回軸521を軸に旋回し、リングフレーム保持手段11の先端がリングフレームFに対して位置づけられる。その後のリングフレーム保持手段11の動作については、実施形態1の搬送装置1の動作において説明した動作と同様となる。
【0070】
上記のように、本発明に係る搬送装置5は、ウエーハWを保持するウエーハ保持手段50と、リングフレームFを保持するリングフレーム保持手段11とを備え、ウエーハWとリングフレームFとを選択して搬送を可能とする搬送装置であって、ウエーハ保持手段50は、ウエーハWの面を吸引保持するウエーハ保持部500と、ウエーハ保持部500を支持する第1のアーム501と、を備え、リングフレーム保持手段11は、リングフレームFを上下から挟持するリングフレーム挟持部110と、リングフレーム挟持部110を支持する第2のアーム111とを、備え、ウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とを選択する選択手段52を備えていることから、この搬送装置5一つのみで、ウエーハWの搬送とリングフレームFの搬送とを選択的に行うことができ、装置構成(例えば、搬送装置5が備えられるクラスター型半導体製造装置の装置構成)の小型化を図ることができる。すなわち、例えば、研削装置と、搬送装置5と、テープマウンタとを並べることで、例えば、テープマウンタのテープ貼り付けテーブル上にリングフレームFをセットするために行うリングフレームFの搬送、リングフレームFがセットされているテープマウンタのテープ貼り付けテーブル上への研削装置内で研削されたウエーハWの搬送、及びテープマウンタで作製されたフレームユニット(リングフレームF、ウエーハW及び粘着テープからなるユニット)のハンドリング等を搬送装置5のみで円滑に行うことが可能となる。
【0071】
また選択手段52は、ウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とを水平方向に離間させて配設する連結部520と、連結部520を水平方向に旋回させる旋回軸521と、を備えるものとしたことで、ウエーハWを搬送するかリングフレームFを搬送するかにより搬送物に対し旋回軸521で連結部520を旋回させウエーハ保持手段50とリングフレーム保持手段11とを選択することができ、ウエーハW及びリングフレームF等のハンドリングをより円滑に搬送装置5のみで行うことが可能になる。
【0072】
なお、本発明に係る搬送装置は上記実施形態1及び2に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている搬送装置の各構成の大きさや形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。例えば、搬送装置5において、ウエーハ保持手段50は、ベルヌーイの原理を利用してウエーハWを吸引保持する構成としてもよい。この場合においては、ウエーハ保持部500には、例えば、高圧気体供給源等が接続される。
【符号の説明】
【0073】
1:搬送装置
2:移動手段
10:ウエーハ保持手段
100:ウエーハ保持部 100a:ウエーハ保持部の吸引面
100b:ウエーハ保持部の裏面 100c:吸引口 100f:吸引路 90:吸引源
101:第1のアーム 101a:ホルダ 101b:スピンドル
101c:ハウジング 101d:モータ 101e:駆動モータ 101f:駆動軸 101g:駆動プーリ 101h:駆動ベルト 101i:従動プーリ
113:挟持シリンダ 114:マッピングセンサ
11:リングフレーム保持手段
110:リングフレーム挟持部 110a:上プレート 110b:下プレート
110c、110d:突き当てブロック
112:上プレート送り出し手段 112a:シリンダチューブ
112b:ピストンロッド 112c:支持部材 112d:ガイドレール
111:第2のアーム 111a:ハウジング 111e:駆動モータ
111f:駆動軸 111g:駆動プーリ 111h:駆動ベルト
111i:従動プーリ
113:挟持シリンダ 114:マッピングセンサ
12:選択手段 129:指示部 129a:配線
121:第1の旋回軸 121a:軸受け 121b:小径先端部
122:第2の旋回軸 122a:軸受け 122b:小径先端部
14:駆動部 141:第1の腕部 142:第2の腕部 143:第1の腕部旋回手段 144:第2の腕部旋回手段
W:ウエーハ Wa:ウエーハの表面 Wb:ウエーハの裏面
F:リングフレーム Fc:平坦面
8:カセット 80:開口 81:棚部
5:搬送装置
50:ウエーハ保持手段
500:ウエーハ保持部 500a:ウエーハ保持部の吸引面
500b:ウエーハ保持部の裏面 500c:吸引口 500f:吸引路
501:第1のアーム 501a:ホルダ 501b:スピンドル
501c:ハウジング
52:選択手段 520:連結部 521:旋回軸 521a:モータ 529:指示部 529a:配線