【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例の消耗品補充方式を適用した自動分析装置201の概略構成図である。
【0012】
図1において、自動分析装置201は、ラック202を搬送するラック搬送ライン203と、試薬保冷ユニット204と、インキュベータディスク(反応ディスク)205と、サンプル分注機構(試料分注機構)206と、試薬分注機構207と、消耗品搬送ユニット208と、検出部ユニット209とを備えている。以上の各構成要素をユニットと呼ぶこともある。
【0013】
ラック202は、血液や尿などの生体サンプル(サンプル)を収容する複数のサンプル容器(試料容器)210が収納されるものであり、サンプル容器210が収納された状態でラック搬送ライン203上を搬送される。
【0014】
試薬保冷ユニット204には、試薬容器保管部であってサンプル(試料)の分析に用いる種々の試薬が収容された複数の試薬容器211が収納・保冷されている。試薬保冷ユニット204の上面の少なくとも一部は試薬ディスクカバー212により覆われている。
【0015】
インキュベータディスク205は、サンプルと試薬を反応するための複数の反応容器213が配置される反応容器配置部214と、反応容器213の温度を所望の温度に調整する温度調整機構を有している。
【0016】
サンプル分注機構206は、回転駆動機構や上下駆動機構を有し、これらの駆動機構によりサンプル容器210からインキュベータディスク205に収容された反応容器213にサンプルを分注することが可能である。また、試薬分注機構207も同じく回転駆動機構や上下駆動機構を有し、これらの駆動機構により試薬容器211からインキュベータディスク205に収容された反応容器213に試薬を分注する。検出部ユニット209は、光電子増倍管や光源ランプ、分光器、フォトダイオードを備え、それらの温度を調整する機能を持ち、反応液の分析を行う。
【0017】
次に、上記自動分析装置201が備える消耗品搬送ユニット208の詳細について
図2に基づいて説明する。
【0018】
消耗品搬送ユニット208は、反応容器や分注チップなど試料の分析に用いられる消耗品を複数収納する消耗品収納容器216を保持する収納容器保持部217、これらの消耗品を一時的に保持する予備収納部218、消耗品を把持して搬送する搬送機構219から構成され、搬送機構219により消耗品収納容器216や予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215を所定の位置へ搬送する機能を有する。
【0019】
消耗品容器216は、マガジンとも呼ばれ、上面に複数の凹部または穴が設けられており、この凹部または穴に消耗品が1つずつ収納された状態でオペレータへ供給される。これらの消耗品は使い捨てのため、オペレータは定期的に消耗品容器216を自動分析装置に供給するとともに、すべての消耗品が消費された空の消耗品容器216を装置から排出する必要がある。
【0020】
搬送機構219は、X軸、Y軸、Z軸方向(図示せず)に設けられたレールに移動可能に設けられ、消耗品収納容器216や予備収納部218に収納された反応容器213をインキュベータディスク205に搬送したり、分注チップ215をチップ装着位置220に搬送する。また、インキュベータディスク205上の使用済み反応容器218を廃棄孔221に破棄する。さらに搬送機構219は消耗品収納容器216上の未使用の反応容器213や分注チップ215を予備収納部210へ搬送したり、予備収納部210上の反応容器213や分注チップ215をそれぞれインキュベータディスク207やチップ装着位置220へ搬送する。そのため、搬送機構219には反応容器や分注チップを掴むアーム構造を有する。
【0021】
予備収納部218は反応容器213や分注チップ215を消耗品収納容器216と同様の形態で保持する。搬送機構219は、反応容器213や分注チップ215を予備収納部218へ設置し、また、予備収納部218上に保持された反応容器213や分注チップ215をインキュベータディスク205や分注チップ供給位置220へ移送可能である。
【0022】
収納容器保持部217はその他の機構部と独立して装置前面、背面もしくは側面方向へ引き出すことが可能で、その他の機構が消耗品収納容器216へアクセスしない状態で使用者による消耗品収納容器216の交換を可能とする。なお、収納容器保持部217は扉や蓋を設け、これらの扉や蓋を開閉することでオペレータのアクセスを許容するものであってもよい。また、収納容器保持部217はロック機構を備え、ロック機構により搬送機構219などの機構が消耗品収納容器216へアクセスしている場合には引き出すことを防止することが可能である。さらに、収納容器保持部217は消耗品収納容器216が設置されているかを検知するためのセンサを有し、収納容器保持部217が引き出された際に消耗品収納容器216が交換されたかを検知することができる。
【0023】
なお、自動分析装置201のうち、以上で説明したラック搬送ライン202、試薬容器ディスク204、インキュベータディスク205、サンプル分注機構206、試薬分注機構207、消耗品搬送ユニット208、検出部ユニット209、等を分析動作部と称する。
【0024】
さらに、自動分析装置201は、以上で説明した分析動作部に加えて、自動分析装置201全体の動作を制御する制御装置(制御部)222と、操作部223と、を備えている。制御部222は例えばハードウェア基板からなり、コンピュータなどの制御装置224やハードディスクなどの記憶装置225に接続されている。操作部223は、例えばディスプレイである表示部や、マウス、キーボードなどの入力装置から構成されている。記憶装置225には例えば各ユニットに対応した温度範囲が記憶されている。制御部222、制御装置224は、専用の回路基板によってハードウェアとして構成されていてもよいし、自動分析装置201に接続されたコンピュータで実行されるソフトウェアによって構成されてもよい。ハードウェアにより構成する場合には、処理を実行する複数の演算器を配線基板上、または半導体チップまたはパッケージ内に集積することにより実現できる。ソフトウェアにより構成する場合には、コンピュータに高速な汎用CPUを搭載して、所望の演算処理を実行するプログラムを実行することで実現できる。このプログラムが記録された記録媒体により、既存の装置をアップグレードすることも可能である。また、これらの装置や回路、コンピュータ間は有線又は無線のネットワークで接続され、適宜データが送受信される。
【0025】
図3に測定動作中の搬送機構219の一般的な動作フローチャートを示す。
【0026】
搬送機構219は測定開始後、搬送機構219をホーム位置から消耗品収納容器216の上方へと水平移動させる(S301)。次に、消耗品収納容器216上の任意のポジションに対して下降して設置された反応容器をアームで把持してから(S302)、上昇する。次に、インキュベータディスク205の反応容器設置位置に水平移動し(S303)、当該位置に搬送した反応容器を設置する(S304)。
【0027】
次に、搬送機構219を再度消耗品収納容器216の上方に水平移動させ(S305)、任意のポジションに対して下降して設置された分注チップ215を把持してから(S306)上昇する。取り出された分注チップは搬送機構219によって分注チップ設置位置220へ搬送され(S307)、当該設置位置へ設置される(S308)。
【0028】
次に搬送機構219はインキュベータディスクの使用済み反応容器廃棄位置へと移動し、使用済みの反応容器を把持する(S310)。把持した使用済み反応容器をインキュベータディスク205から廃棄孔221へ移動し(S311)、廃棄孔221へと廃棄する(S312)。ここまでの動作を終了させると搬送機構219は廃棄孔221からホーム位置へと戻される(S313)。
【0029】
次に測定動作中に使用者が消耗品収納容器216を交換する場合の消耗品搬送ユニット208の動作フローチャートを
図4−1〜
図4−3にて示す。
【0030】
図4−1はスタンバイ状態からオペレータによる消耗品収納容器216の交換要求があるまでの動作フローチャートである。
【0031】
自動分析装置201はスタンバイ中(S401)に測定依頼を受け付けると(S402)、測定準備動作を開始する(S403)。測定前準備動作では各機構部のリセット動作やサンプル分注機構206や試薬分注機構207に接続しているシリンジや流路中のシステム水の入れ替え等を実施する。その際、消耗品搬送ユニット208は予備収納部218の充填状況のチェックを実施する(S404)。充填状況のチェックでは、搬送機構219を使用して予備収納部218上の反応容器213および分注チップ215といった消耗品の充填状態を確認する。具体的には、搬送機構219は予備収納部218の反応容器213や分注チップ215を保持する各ポジションに対して把持動作を実施し、実際に掴むことができればそのポジションに反応容器または分注チップが保持されており(充填状態)、掴むことができない場合はそのポジションは空いていると判定する。この動作は予備収納部218の全ポジションに対して実施してもよく、予め決められた複数のポジションのみを確認してもよい。また、搬送機構219による把持動作に替えて、予備収納部218上方にカメラを設置し、画像解析から消耗品の有無を確認してもよく、搬送機構219にレーザー変位計の様な距離計測機器を取付け、搬送機構219と予備収納部218との距離計測によって消耗品の有無を確認してもよい。
【0032】
制御部222は、予備収納部218の充填状況が、記憶装置が記憶している前回の充填状況と差異があるかの判定をする(S405)。記憶装置225は前回測定終了時の予備収納部218の充填状況を記憶しており、記憶装置225に記憶された充填状況と、搬送機構219により確認された充填状況とを比較し、充填状況が一致している場合は消耗品搬送ユニット208の測定前準備動作を終了する。
【0033】
一方、充填状況が異なっていた場合、予備収納部218内の分注チップや反応容器に対してなんらかの操作がされたと判断して、予備収納部218上に保持されているすべての消耗品を廃棄する(S406)。これは使用者により消耗品が操作されることにより、反応容器213が破損し、搬送機構219が把持を失敗する恐れや、分注チップ215の先端が閉塞し、サンプルの分注が正確に行われなくなる恐れがあるためである。
【0034】
消耗品搬送ユニット208およびその他のユニットの測定前準備動作が終了すると、自動分析装置201は測定動作を開始する(S407)。測定動作中、消耗品搬送ユニット208は、
図3に示した一般的な動作フローチャートを繰り返し実施する(S408〜S411)。制御部222は、装置動作サイクルごとに、使用者が操作部223や装置上に設けられた固定のボタンを入力することにより、消耗品収納容器216を交換する要求が発生したか否かをチェックする(S410)。
【0035】
交換要求がない場合、消耗品収納容器上の消耗品の残数をチェックし(S411)、次動作サイクルに消耗品を供給可能な場合はS407に戻ってS408からの動作を繰り返す。S411にて消耗品収納容器上の消耗品の残数がゼロと判断された場合は、反応容器および分注チップの供給を停止し、新規の測定を停止する(S412)。
【0036】
S410にて使用者による交換要求を受け付けると、
図4−2のフローチャートへ移行する。
【0037】
図4−2では、搬送機構219は、一般的な動作フローを実施しつつ(S413,S414)、消耗品収納容器216から予備収納部218へ反応容器213と分注チップ215を搬送する(S415,S416)。具体的には、搬送機構219は同一装置動作サイクル内で予め決められたタイミングAで消耗品収納容器216から反応容器213と分注チップ215をインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220へ搬送する(S413、S414)。さらに、S413,S414の動作がないタイミングBにて、消耗品収納容器216から反応容器213と分注チップ215を予備収納部218へ搬送する(S415、S416)。なお、タイミングAにて消耗品収納容器216からインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への消耗品搬送がスケジュールされなかった場合は、搬送装置はタイミングAでもS415およびS416の動作を実施する。
【0038】
S413からS416の動作は同一装置動作サイクルにて実施される。制御部222は装置動作サイクルごとに予備収納部218上の充填状況を確認し(S417)、反応容器213と分注チップ215が予備収納部218へ充填されるまでS413からS417の動作を繰り返す。
【0039】
所定量の反応容器213と分注チップ215が予備収納部218へ搬送されると、搬送機構219はインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への反応容器213と分注チップ215の供給元を消耗品収納容器216から予備収納部218へ変更する。供給元が変更されると制御部222は収納容器保持部217のロックを解除し、オペレータによる消耗品収納容器の交換が可能な状態にする(S418)。さらに、オペレータに対して、消耗品収納容器216が交換可能になった旨の通知を行う(S419)。通知としては、画面上に
図5に示すメッセージを出力してもよいし、ブザーなどのアラーム音で通知してもよいし、LEDやパトライト(登録商標)などの光による通知を行ってもよい。
【0040】
オペレータに対する通知が出されると、搬送機構219は予備収納部218から消耗品の供給を開始する(S420、S421)。
【0041】
制御部222は収納容器保持部217を監視し、装置動作サイクルごとに、オペレータによる消耗品収納容器の交換作業が実施されたか否かを判定する。交換作業の実施は公知の種々の手段を適用可能である。たとえば、収納容器保持部217が抽斗構造を有する場合は、その抽斗が引き出されたか否かをセンサにより監視して判定する。また収納容器保持部217が扉により開閉される場合は、当該扉の開閉状態を監視して判定してもよい。また、操作部223や固定のボタンによる使用者からの交換終了の合図をトリガーとして判定してもよい。いずれかの方法によってオペレータが消耗品収納容器の交換を実施したことを検知すると、新たに交換された消耗品収納容器216のチェック動作を実行すべく、
図4−3の動作フローチャートへ移行する。
【0042】
一方、S422にて収納容器保持部217が格納されたことが検知されなかった場合、予備収納部218上の反応容器213と分注チップ215の残数を確認し(S423)、残数がある場合はS420からS422の動作を繰り返す。一方、残量がない場合は、新規の測定を停止する(S424)。
【0043】
図4−3では、搬送機構219により、新たに供給された消耗品収納容器216が未使用のものかどうかをチェックする(S426)。S426では、搬送機構219は、予め決められた複数のポジションに対して、反応容器213と分注チップ215の把持動作を実行する事により消耗品収納容器216が未使用の物かを判別する。または、消耗品収納容器216上方にカメラを設置し、画像解析から消耗品の有無を確認してもよく、搬送機構219にレーザー変位計の様な距離計測機器を取付け、搬送機構219と消耗品収納容器216との距離計測によって消耗品の有無を確認してもよい。
【0044】
なお、S426は装置動作サイクルの空きタイミングに実施され、S427およびS428、S432およびS433の予備収納部218からインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への供給と平行して実施される。そのため、S426の動作により測定動作が中断されることはない。
【0045】
S426にて交換された消耗品収納容器216が未使用と判断された場合には、予備収納部218上の反応容器および分注チップを供給する(S427、S428)。予備収納部218上の反応容器および分注チップがすべて消費されたか否かをチェックし(S429)、予備収納部218が空になったと判定すると、新たに供給された消耗品収納容器216からインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220へ反応容器213や分注チップ215を供給する(S430、S431)。
【0046】
一方、S426にて交換された消耗品収納容器が未使用と判断されなかった場合(つまり、少なくとも一部が使用済みであると判断された場合)、予備収納部218上の消耗品の使用を継続する(S432、S433)。搬送機構219は、再度交換された消耗品収納容器216のチェックを実施する(S434)。このとき、S426でチェックした消耗品収納容器216上のポジションとは異なるポジションに対して、搬送機構219による把持動作を実施し、交換された消耗品収納容器は、収納容器保持部217に対して交換作業が実施される前に使用されていた消耗品収納容器216であるか、もしくはすでに使用済で空きポジションがある消耗品収納容器216かどうかをチェックする(S435)。この際S426でのチェック結果を使用してもよい。
【0047】
設置されている消耗品収納容器216が、収納容器保持部217に対する交換作業が実施される前に使用されていた消耗品収納容器216と判定された場合には、予備収納部218上の消耗品を消費するまで測定を継続する(S436、S438)。すべて使用した場合、供給元を予備収納部218から消耗品収納容器216へ変更し、消耗品のインキュベータディスク205および分注チップ装着位置220への供給を継続する(S441、S442)。
【0048】
一方、S435にて使用済みの消耗品収納容器が搭載されたと判断した場合、予備収納部218上の消耗品の残数を確認し(S443)、残量がある場合には予備収納部218から消耗品を供給する(S444、S445)。一方、S443にて残量がないと判断された場合は新規の測定を停止する。
【0049】
次に、
図6のフローチャートに基づいて、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215の管理について説明する。
【0050】
予備収納部218上に反応容器213や分注チップ215が充填された状態で、使用者が測定動作停止中に消耗品収納容器216を常に交換した場合、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215は使用されずに長期間放置された状態になる恐れがある。長期間放置されると、使用者がメンテナンスのために予備収納部218上を通過して、予備収納部218よりも背面側のユニットにアクセスしようとした場合に、意図せずに予備収納部218へ接触し、免疫反応やその他測定に必要な反応を阻害する物質が消耗品に付着する可能性がある。そのため、本実施例では測定動作中の消耗品収納容器216の交換が実施されずに、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215が長期間放置されることを防ぐため、反応容器213や分注チップ215が予備収納部218に充填されてから一定期間経過した場合には、消耗品収納容器216の交換が測定動作中に実施されなくても搬送装置219は予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215をインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220へ供給するようにすることが望ましい。
【0051】
測定動作が開始されると(S601)、制御部222は装置動作サイクルごとに、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215が予備収納部218へ充填されてからどれだけの時間経過したかを確認する(S602)。
【0052】
経過時間があらかじめ設定された時間Xを超過した場合、搬送装置219は消耗品収納容器216からインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への供給を停止し、予備収納部218からインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220へ消耗品を供給するように消耗品の供給元を切り替える(S605、606)。制御部222は装置動作サイクルごとに、予備収納部218上の消耗品の残数をチェックし(S607)する。
【0053】
S607で残数があると判定された場合はS605へ戻って予備収納部216上の消耗品がなくなるまで供給を継続する。予備収納部216上のすべての消耗品を消費した場合は、搬送機構219は同一装置動作サイクル内で予め決められたタイミングAで、消耗品収納容器216から反応容器213と分注チップ215をインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220へ搬送する(S608、S609)。さらに、S608およびS609の動作がないタイミングBで、消耗品収納容器216から反応容器213と分注チップ215を予備収納部218へ搬送する(S610、S611)。
【0054】
さらに、タイミングAにてインキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への消耗品搬送がスケジュールされなかった場合は、搬送装置219はタイミングAでもS610およびS611の動作を実施する。これらS608からS611の動作は同一装置動作サイクルにて実施される。
【0055】
制御部222は装置動作サイクルごとに予備収納部218上の充填状況を確認し(S612)、所定量の反応容器213と分注チップ215が予備収納部218へ充填されるまでS608からS612の動作を繰り返す。
【0056】
なお、
図6では1つの設定時間Xに基づいて動作を切り替える動作フローを示したが、複数の設定時間を持ってもよい。例えば、設定時間X1は予備収納部218から消耗品を使用開始するためのパラメータとして使用し、設定時間X2は予備収納部218から消耗品を使用せずに廃棄するためのパラメータとして使用することもできる。これにより、予備収納部216上に充填された反応容器213や分注チップ215を定期的に自動でリフレッシュ出来、予期せぬ汚染による再検査が発生するリスクを低減する事が出来る。
【0057】
以上より、実施例1では予備収納部218への消耗品の供給を使用者の消耗品収納容器216の交換要求時に行った。本実施例1によれば、使用者は消耗品収納容器216上の反応容器213や分注チップ215が無くなる前に、消耗品収納容器216を交換できるため、消耗品収納容器216が空になるまで使用者が交換を待つ必要がなく、使用者に都合の良いタイミングで消耗品の供給が可能となる。また、消耗品収納容器216の交換のために特別な機構を設ける必要がなく、簡素な機構により、測定動作中も測定動作を停止させることなく消耗品収納容器216を交換することができ、消耗品不足による結果報告遅延のリスクを低減させることが出来る。
【実施例2】
【0058】
次に実施例1の変形例である実施例2について説明する。実施例2では、装置が予備収納部218への消耗品の供給を、測定開始前の準備動作中や測定中といった、所定のタイミングで自動的に実施することにより、測定動作中に使用者が消耗品収納容器216の交換を要求した場合には直ちに供給元を消耗品収納容器216から予備収納部218へ切り替え、使用者の消耗品収納容器216の交換を可能にする。予備収納部218への消耗品の供給タイミングは測定開始前の準備動作中または測定動作開始直後、使用者による消耗品収納容器216交換終了直後である。
【0059】
図7に測定開始前の準備動作中に予備収納部218へ消耗品を供給する場合の動作フローを示す。
【0060】
自動分析装置201は測定依頼を受け付けると(S701)、測定前準備動作開始する(S702)。実施例1に記載した方法により予備収納部218の充填状況を確認し、すでに記憶されている充填状況に差異があるか否かを判定し(S703、S704)、差異がある場合には予備収納部上の反応容器および分注チップをすべて廃棄する(S705)。
【0061】
次に、予備収納部内に空きポジションがあるか否かをチェックする(S706)。空きポジションがある場合、搬送機構219は消耗品収納容器216から予備収納部218へ消耗品を搬送し、すべてのポジションが充填されるまでその動作を継続する(S707、S708)。すべてのポジションが充填されると、消耗品搬送ユニット208は測定前準備動作を終了して(S709)、その他のユニットの測定前準備動作が終了すると、測定動作を示す
図8へ移行する。搬送機構219は
図3に示した一般的な動作フローに従い、測定動作を実行する。
【0062】
次に、
図8に測定動作開始後に予備収納部218へ消耗品を供給する場合の動作フローを説明する。
【0063】
測定依頼を受け付けると(S801)、自動分析装置は測定開始前の準備動作を開始する(S802)。消耗品搬送ユニット208は実施例1に記載した方法により予備収納部218の充填状況を確認する(S804)。充填状況に差異がある場合は予備収納部218上の全ポジションの消耗品を廃棄し(S805)、測定準備動作を終了して(S806)、測定動作へ移行する(S807)。充填状況が記憶装置225の記憶しているものと一致する場合は測定前準備動作を終了し(S806)、その他のユニットの測定前準備動作が終了した後、測定動作へ移行する(S807)。
【0064】
測定動作が開始されると、搬送機構219は消耗品収納容器216からインキュベータディスク205およびチップ装着位置220へ消耗品を供給する(S808、S809)。
【0065】
S803にて充填状況を確認した結果、空きポジションが有ると判断された場合や、S804にて充填状況を照合した結果、記憶した充填状況と実際の充填状況が異なるために全ポジションの反応容器と分注チップを廃棄した場合は、さらに、インキュベータディスク205やチップ装着位置220への消耗品供給と同一の動作サイクル中に予備収納部218の空きポジションに消耗品を供給する(S811、S812)。搬送機構219は同一装置動作サイクル内で予め決められたタイミングAで、インキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への消耗品搬送を実施し(S808,S809)、それらの動作がないタイミングBで予備収納部218への消耗品搬送を実施する(S811、S812)。また、タイミングAに消耗品搬送がスケジュールされなかった場合は、搬送装置はタイミングAでも予備収納部への消耗品搬送を実施する。予備収納部218のポジションがすべて充填されるまで、インキュベータディスク205やチップ装着位置220への供給と予備収納部218への供給を平行して実施する。予備収納部218への供給が終了すると、搬送機構219は
図3に示した一般的な動作フローに従い、測定動作を継続する(S813)。
【0066】
次に、
図9に、測定動作中に使用者により消耗品収納容器216の交換が実施された場合における、予備収納部218へ消耗品供給動作フローを示す。
【0067】
測定前準備動作から使用者による消耗品収納容器216の交換までの動作フローは実施例1および
図4−2までのフローチャートに従うため、詳細な説明は割愛する。
【0068】
使用者による消耗品収納容器216の交換作業が終了すると、搬送機構219はインキュベータディスク205やチップ装着位置220への消耗品供給を実施し(S901、S902)、その同一の動作サイクル中に予備収納部218の空きポジションに対する消耗品供給を実施する(S903、S904)。なお、搬送機構219は同一装置動作サイクル内で予め決められたタイミングAでS901およびS902の動作を実施し、それらの動作がないタイミングBでS903およびS904の動作を実施する。また、タイミングAにて消耗品供給がスケジュールされなかった場合は、搬送装置はタイミングAでもS903およびS904を実施する。予備収納部218のポジションがすべて充填されるまで、インキュベータディスク205やチップ装着位置220への供給と予備収納部218への供給を平行して実施する。
【0069】
予備収納部218のすべての空きポジションへ消耗品の供給が終了したか否かを判定し(S905)、予備収納部218上に空きポジションがないと判定した場合は
図3に示した一般的動作フローへ移行して測定動作を継続する。一方、空きポジションがまだ残っていると判定した場合は、S901へ戻って予備収納部への消耗品供給を継続する。
【0070】
本実施例では、実施例1の変形例として消耗品収納容器216から予備収納部218への反応容器213や分注チップ215の充填開始タイミングを変更した例を説明した。消耗品収納容器216から予備収納部218への反応容器213や分注チップ215の充填開始タイミング以外の部分に関しては実施例1に記載した例に従う。
【0071】
本実施例では予備収納部218に予め反応容器213や分注チップ215は充填されているため、実施例1の効果に加えて、使用者は消耗品の交換のための準備動作を待つ必要がなく、消耗品の交換に要する時間を節約することが出来る。
【実施例3】
【0072】
実施例3では、消耗品収納容器216に保持されたすべての消耗品を、常に予備収納部218を一旦経由してからインキュベータディスク205およびチップ装着位置220へ供給する場合の動作フローについて説明する。なお、本実施例における予備収納部218は、実施例1や2の予備収納部218よりも反応容器213や分注チップ215の充填可能数が多く設定されていることが望ましい。
【0073】
本実施例3における搬送機構219の一般的な動作フローを
図10に示す。なお、
図3の動作フローと共通する部分については説明を省略する。
【0074】
測定動作を開始すると、搬送機構219は、消耗品収納容器216上の未使用の反応容器213や分注チップ215を把持し、予備収納部216へ供給する(S1001〜1009)。さらに、S1010〜S1016にて搬送機構219は予備収納部216への消耗品の供給動作を繰り返す。
【0075】
その後、搬送機構219は予備収納部216上の消耗品を把持し、それぞれインキュベータディスク205およびチップ装着位置220へ供給し(S1017〜S10024)、分析動作を実行する。分析動作が完了したインキュベータディスク205上の使用済み反応容器218については、搬送機構219により廃棄孔221へ搬送して破棄する(S1025〜S1029)。次なる測定がある場合には、S1001へ戻り、再び消耗品収納容器216から予備収納部216への消耗品搬送から動作フローを繰り返す。
【0076】
S1001からS1029の動作はすべて同一動作サイクル内で実施される。なお、本実施例では、一つの動作サイクル内で、消耗品収納容器216から予備収納部218への供給を2回繰り返す場合について説明したが、同一動作サイクル内で3回以上実施してもよい。同一動作サイクル内で複数回消耗品収納容器216から予備収納部218への供給が実施することにより、予備収納部218から消費される反応容器213や分注チップ215の数よりも消耗品収納容器216から供給される反応容器213や分注チップ215の数が多くなるため、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215の数は増加していく。
【0077】
本実施例では、予備収納部218の充填可能数が実施例1や2よりも多いため、消耗品収納容器216上の消耗品が消費されても、予備収納部218上の反応容器213や分注チップ215で長時間測定を継続する事が可能である。そのため、使用者は消耗品収納容器216が空になるまで交換を待つ事が出来、未使用の反応容器213や分注チップ215を廃棄しなければいけない機会を減らすことができる。
【0078】
次に、
図11に、使用者から消耗品収納容器216の交換要求があった場合の動作フローを示す。
【0079】
使用者からの測定依頼を受け付けると(S1101)、自動分析装置201は各ユニットの測定前の準備動作を開始する(S1102)。測定前準備動作中に各機構部のリセット動作やサンプル分注機構206や試薬分注機構207に接続しているシリンジや流路中のシステム水の入れ替え等を実施する。その際、消耗品搬送ユニット208は搬送機構219を使用して予備収納部218上の消耗品の充填状態を確認する(S1103)。搬送機構219は予備収納部218上の各ポジションに対して把持動作を実行することで充填状態を確認する。その際、予備収納部218の全ポジションの充填状況を確認してもよく、予め決められた複数のポジションのみを確認してもよい。また、充填状況は、予備収納部218上方にカメラを設置し、画像解析から消耗品の有無を確認してもよく、搬送機構219にレーザー変位計の様な距離計測機器を取付け、搬送機構219と予備収納部218との距離計測によって消耗品の有無を確認してもよい。
【0080】
記憶装置225は前回測定終了時の予備収納部218の充填状況を記憶しており、記憶装置225は充填状況が記憶している状態と搬送機構219により確認して実際の充填状況とを比較して差異があるか否かを判定する(S1104)。充填状況に変化がない場合は消耗品搬送ユニット208の測定前準備動作を終了する。一方、充填状況が変化していた場合は、使用者により充填状況が操作されたと判断して、予備収納部218上のすべての消耗品を廃棄する(S1105)。
【0081】
消耗品搬送ユニット208およびその他のユニットの測定前準備動作が終了すると、自動分析装置201は測定動作を開始する(S1106)。消耗品搬送ユニット208は使用者により消耗品収納容器216の交換意思が操作部223上もしくは固定のボタン等により示されるまでは、
図10に示した一般的な動作を実施する(S1107〜S1110)。
【0082】
制御部222は動作サイクルごとに、使用者から消耗品収納容器の交換要求がされたかどうかを確認する(S1111)。交換要求があった場合は
図11−2の動作フローチャートへ移行する。交換要求がない場合は、S1107からS1111の動作を繰り返す。
【0083】
オペレータからの交換要求がされたことを認識すると、搬送機構219は消耗品収納容器216から予備収納部218への消耗品供給を停止し、予備収納部218からの消耗品供給に切り替える(S1112、S1113)。制御部222は収納容器保持部217のロック機構を解除し(S1114)、操作部223へ消耗品収納容器216が交換可能になった旨の通知を行う(S1115)。なお、通知の方法はいかなる手段であってもよい。
【0084】
その後、収納容器保持部217に対してオペレータがアクセスしたことを検知するまで、搬送機構219は予備収納部218から消耗品の供給を継続する(S1116、S1117)。オペレータのアクセスが検知されると、
図11−3の動作フローへ移行する。なお、
図11−3へ移行するトリガーは操作部223や固定のボタンによる使用者からの交換終了の合図としてもよい。
【0085】
一方、収納容器保持部に対するアクセスを検知しない場合は、予備収納部218上の反応容器213及び分注チップ215の残数を確認し(S1119)、残量がある場合はS1116からS1119の動作を繰り返す。S1119にて残量がないと判断された場合は新規の測定動作を停止する。なお、S1116からS1119の動作は同一の装置動作サイクルで実施する。
【0086】
図11−3の動作フローでは、収納容器保持部217へのアクセスによって、新しい消耗品収納容器216に交換された可能性があるとして、収納容器保持部217上に保持されている消耗品収納容器216が未使用のものかどうかを搬送機構219によってチェックする(S1121)。なお、S1121は装置動作サイクルの空きタイミングに実施され、予備収納部218からの消耗品供給と平行して実施される。そのため、S1121の動作により測定動作が中断されることはない。
【0087】
搬送機構219は、消耗品収納容器216上の予め決められた複数のポジションに対して把持動作を実施する事により消耗品収納容器216が未使用の物かを判別する。他の方法として、消耗品収納容器216上方にカメラを設置し、画像解析から消耗品の有無を確認してもよく、搬送機構219にレーザー変位計の様な距離計測機器を取付け、搬送機構219と消耗品収納容器216との距離計測によって消耗品の有無を確認してもよい。
【0088】
S1121のチェックの結果に基づき交換された消耗品収納容器216が未使用の物かどうかを判定する(S1122)。未使用と判断した場合、搬送装置219は
図10にて説明した一般的な供給動作をS1123からS1126で実施する。
【0089】
一方、S1122にて交換された消耗品収納容器が未使用と判断されなかった場合、予備収納部218上の消耗品を使用し、インキュベータディスク205や分注チップ装着位置220への供給を継続する(S1127、S1128)。搬送機構219は、装置動作サイクルごとに交換された消耗品収納容器216のチェックを実施し(S1129)、S1121でチェックした消耗品収納容器216上のポジションとは異なるポジションに対して、充填状況チェックを行い、この消耗品収納容器216が交換作業前に使用していた消耗品収納容器216であるか否かをチェックする(S1130)。この際S1122でのチェック結果を使用してもよい。
【0090】
設置されている消耗品収納容器216が、交換作業前に使用していた消耗品収納容器216と同じであると判定された場合には、
図10で説明した一般的な供給動作を実施する(S1131〜S1134)。
【0091】
一方、S1130にて、交換作業前に使用していた消耗品収納容器216とは異なる使用済みの消耗品収納容器であると判断した場合、予備収納部218上の消耗品の残数を確認し(S1135)、残数がある場合には予備収納部218から消耗品を供給する(S1136、S1137)。一方、S1135にて残量がないと判断された場合は新規の測定を停止する。
【0092】
本実施例によれば、常に予備収納部218に消耗品が保持されている状態のため、オペレータは交換したいタイミングでいつでも消耗品収納容器216を交換することが可能である。