(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電磁波変換プレート1の構成例を示す図である。
図1においては、第1の実施形態による電磁波変換プレート1のおもて面を示す平面視の図であり、電磁波変換プレート1の表面パターンの構成例が示されている。
図1において、点線で囲まれた部分を単位構造11としてx軸方向及びz軸方向に周期的に並べることで本実施形態の電磁波変換プレート1が構成される。単位構造11は、
図1において太線で囲まれた部分が表す単位セル100を配置することで構成される。単位セル100の形状は、正方形である。
【0017】
図2は、単位構造11の具体例を表す。図中太線で囲まれた部分が単位セル100を表す。
図2で表される単位構造は、単位セルを7つ1次元的に配列している。
【0018】
単位セル100は、タイプ1の単位セル100A、タイプ2の単位セル100B、タイプ3の単位セル100C、タイプ4の単位セル100D、タイプ5の単位セル100E又はタイプ6の単位セル100Fのいずれか一つである。
【0019】
図3は、タイプ1の単位セル100Aの鳥瞰図である。xyz座標は
図3に示すように定められている。
図4は、タイプ1の単位セル100Aの側面をx軸方向から見た側面図である。
図5は、電磁波プレートのタイプ1の単位セル100Aの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0020】
タイプ1の単位セル100Aは、A基板111と、Aコンデンサ112と、A結合線113と、A導体柱114とA非結合線115とを有する。A結合線113はワイヤの一例である。
【0021】
A基板111は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0022】
Aコンデンサ112は、A基板111のおもて面に形成される。Aコンデンサ112は、極板が導体で形成される。
【0023】
A結合線113は、A基板111のおもて面に導体物質で形成される直線状の細線である。A結合線113は、途中に切れ目をもち、A基板111のおもて面を通って、A基板111のおもて面の端から端まで横切るように形成される。A結合線113の切れ目には、Aコンデンサ112が挿入される。A結合線113とAコンデンサ112とは電気的に接続している。A結合線113は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0024】
A導体柱114は、A基板111を貫通するように導体物質で形成される。A導体柱114は、A結合線113上に端面を有する。A導体柱114は、A結合線113の長手方向の中心を通りA基板111のおもて面に垂直な軸、を中心軸として対称な位置に二つ形成される。また、A導体柱114は、A結合線113を介してAコンデンサ112とも電気的に接続している。A導体柱114は、外接する四角形の一辺がA結合線113の幅程度の断面を有する。
【0025】
A非結合線115は、A基板111の裏面に導体物質で形成される直線状の細線である。A非結合線115は、A基板111の裏面を通り、2つのA導体柱114を裏面で結合するように形成される。A非結合線115は、A結合線113と平行に形成される。ただし、A非結合線115は、A結合線113と異なり、A基板111の裏面の端に到達することはない。A非結合線115は、A導体柱114と電気的に接続している。A非結合線115は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0026】
A非結合線115とAコンデンサ112とは、A導体柱114とA結合線113とを介して電気的に接続している。そのため、A非結合線115と、A導体柱114と、A結合線113の一部と、Aコンデンサ112とは、A結合線113を含みA基板111のおもて面に垂直な面内に、電気的に接続されている環状構造を形成する。したがって、単位セル100Aは、スプリットリング共振器を有する。
【0027】
導電性物質を用いて形成された直線状の細線が、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する場合で、さらに、その細線に入射する入射電磁波の電界成分が細線に平行である場合、細線に電流が流れ、電気双極子モーメントを生成する。したがって、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する細線は、電気双極子モーメントを生成することで、電界と結合する構造である。
【0028】
スプリットリング共振器は、導電性物質を用いて形成される。スプリットリング共振器は、導電性のリングの途中に切れ目を有する。スプリットリング共振器は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。スプリットリング共振器は、その環状構造の張る面の大きさが、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さい。スプリットリング共振器のリングを、入射電磁波の磁界が貫くとき電磁誘導がおこり、起電力が生じる。この起電力によってリングに周回電流が流れ、磁気双極子モーメントを生成する。したがって、スプリットリング共振器は磁気双極子モーメントを生成することで、磁界と相互作用する構造である。
【0029】
タイプ1の単位セル100Aは、直線状の細線とスプリットリング共振器とを有するため、電気双極子モーメントと磁気双極子モーメントを有する構造である。
【0030】
図6は、タイプ2の単位セル100Bの鳥瞰図である。xyz座標は
図6に示すように定められている。
図7は、タイプ2の単位セル100Bの側面をx軸方向から見た側面図である。
図8は、電磁波プレートのタイプ2の単位セル100Bの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0031】
タイプ2の単位セル100Bは、B基板121と、第1のBコンデンサ122と、第1のB結合線123と、B導体柱124と、第2のBコンデンサ125と、第2のB結合線126とを有する。第1のB結合線123は、第一のワイヤの一例であり、第2のB結合線126は、第二のワイヤの一例である。
【0032】
B基板121は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0033】
第1のBコンデンサ122は、B基板121のおもて面に形成される。第1のBコンデンサ122は、極板が導体で形成される。
【0034】
第1のB結合線123は、B基板121のおもて面に導体物質で形成される直線状の細線である。第1のB結合線123は、途中に切れ目をもち、B基板121のおもて面を通って、B基板121のおもて面の端から端まで横切るように形成される。第1のB結合線123の切れ目には、前述の第1のBコンデンサ122が挿入される。第1のB結合線123と第1のBコンデンサ122とは電気的に接続している。第1のB結合線123は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0035】
B導体柱124は、B基板121を貫通するように導体物質で形成される。B導体柱124は、B結合線123上に端面を有する。B導体柱124は二つ存在し、第1のB結合線123の長手方向の中心を通りB基板121のおもて面に垂直な軸、を中心軸として対称な位置に二つ形成される。B導体柱124は、第1のB結合線123と電気的に接続している。また、B導体柱124は、第1のB結合線123を介して第1のBコンデンサ122とも電気的に接続している。B導体柱124は、外接する四角形の一辺がB結合線123の幅程度の断面を有する。
【0036】
第2のBコンデンサ125は、B基板121の裏面に形成される。第2のBコンデンサ125は、極板が導体で形成される。
【0037】
第2のB結合線123は、B基板121のおもて面に導体物質で形成される直線状の細線である。第2のB結合線126は、途中に切れ目をもち、B基板121の裏面を、B基板121の裏面の端から端まで横切るように形成される。第2のB結合線126の切れ目には、前述の第2のBコンデンサ125が挿入される。第2のB結合線126と第2のBコンデンサ125とは電気的に接続している。第2のB結合線126は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0038】
タイプ2の単位セル100Bは、第1のBコンデンサ122と、第1のB結合線123の一部と、B導体柱124と、第2のBコンデンサ125と、第2のB結合線126の一部とが電気的に接続された環状構造を形成するため、スプリットリング共振器を有する。そのため、タイプ2の単位セル100Bは、磁気双極子モーメントを有する。
【0039】
タイプ2の単位セル100Bは、B基板123のおもて面と裏面とに、導体物質で形成された直線状の細線を有するため、二つの電気双極子モーメントを有する。
【0040】
図9は、タイプ3の単位セル100Cの鳥瞰図である。xyz座標は
図9に示すように定められている。
図10は、タイプ3の単位セル100Cの側面をx軸方向から見た側面図である。
図11は、電磁波プレートのタイプ3の単位セル100Cの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0041】
タイプ3の単位セル100Cは、C基板131と、Cコンデンサ132と、第1のC非結合線133と、C導体柱134と、第2のC非結合線135とを有する。
【0042】
C基板131は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0043】
Cコンデンサ132は、C基板131のおもて面に形成される。Cコンデンサ132は、極板が導体で形成される。
【0044】
第1のC非結合線133は、C基板131のおもて面に導体物質で形成される直線状の細線である。第1のC細線133は、途中に切れ目をもち、切れ目には、前述のCコンデンサ132が挿入される。第1のC非結合線133とCコンデンサ132とは電気的に接続している。第1のC非結合線133は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。第1のC非結合線133は、C基板131のおもて面の端に到達することはない。
【0045】
C導体柱134は、C基板131を貫通するように導体物質で形成される。C導体柱134は、C非結合線133上に端面を有する。C導体柱134は、第1のC結合線133の長手方向の中心を通りC基板131のおもて面に垂直な軸、を中心軸として対称な位置に二つ形成される。C導体柱134は、第1のC非結合線133と電気的に接続している。また、C導体柱134は、第1のC非結合線133を介してCコンデンサ132とも電気的に接続している。C導体柱134は、外接する四角形の一辺が第1のC結合線133の幅程度の断面を有する。
【0046】
第2のC非結合線135は、C基板131の裏面に導体物質で形成される直線状の細線である。第2のC非結合線135は、C基板131の裏面を通り、2つのC導体柱134を裏面で結合するように形成される。第2のC非結合線135は、第1のC非結合線133と平行に形成される。第2のC非結合線135は、C基板131の裏面の端に到達することはない。第2のC非結合線135は、C導体柱134と電気的に接続している。第2のC非結合線135は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0047】
タイプ3の単位セル100Cは、Cコンデンサ132と、第1のC非結合線133と、C導体柱134と、第2のC非結合線135とが電気的に接続された環状構造を形成するため、スプリットリング共振器を有する。そのため、タイプ3の単位セル100Cは、磁気双極子モーメントを有する。
【0048】
図12は、タイプ4の単位セル100Dの鳥瞰図である。xyz座標は
図12に示すように定められている。
図13は、タイプ4の単位セル100Dの側面をx軸方向から見た側面図である。
図14は、電磁波プレートのタイプ4の単位セル100Dの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0049】
タイプ4の単位セル100Dは、D基板141と、Dコンデンサ142と、第1のD非結合線143と、D導体柱144と、第2のD非結合線145と、D結合帯146とを有する。D結合帯146は、金属帯構造の一例である。
【0050】
D基板141は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0051】
Dコンデンサ142は、D基板141のおもて面に形成される。Dコンデンサ142は、極板が導体で形成される。
【0052】
第1のD非結合線143は、D基板141のおもて面に導体物質で形成される直線状の細線である。第1のD非結合線143は、途中に切れ目をもち、切れ目には、前述のDコンデンサ142が挿入される。第1のD非結合線143とDコンデンサ142とは電気的に接続している。第1のD非結合線143は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。第1のD非結合線143は、D基板141のおもて面の端に到達することはない。
【0053】
D導体柱144は、D基板141を貫通するように導体物質で形成される。D導体柱144は、D非結合線143上に端面を有する。D導体柱144は、第1のD非結合線143の長手方向の中心を通りD基板141のおもて面に垂直な軸、を中心軸として対称な位置に二つ形成される。D導体柱144は、第1のD非結合線143と電気的に接続している。また、D導体柱144は、第1のD非結合線143を介してDコンデンサ142とも電気的に接続している。D導体柱144は、外接する四角形の一辺がD非結合線143の幅程度の断面を有する。
【0054】
第2のD非結合線145は、D基板141の裏面に導体物質で形成される直線状の細線である。第2のD非結合線145は、第1のD非結合線143と互いにねじれの位置ではなく平行である。第2のD非結合線145は、D基板141の裏面の端に到達することはない。第2のD非結合線145は、2つのD導体柱144を裏面で結合するように形成される。第2のD非結合線145は、D導体柱144と電気的に接続している。第2のD非結合線145は、1辺の長さが物質内波長である正方形よりも小さな断面を有する。
【0055】
タイプ4の単位セル100Dは、Dコンデンサ142と、第1のD非結合線143と、D導体柱144と、第2のD非結合線145とが電気的に接続された環状構造を形成するため、スプリットリング共振器を有する。そのため、タイプ4の単位セル100Dは、磁気双極子モーメントを有する。
【0056】
D結合帯146は、D基板141のおもて面に導体物質で形成される直線状の構造である。D結合帯146は、D基板141のおもて面を、端から端まで横切るように形成される。D結合帯146は、D単位セル100Dに形成される前述の環状構造とは、空間的に独立して存在する。D結合帯146の幅は、D非結合線143の細線の幅よりも広い。D結合帯146の長手方向は、D非結合線143の長手方向と平行である。
【0057】
図15は、タイプ5の単位セル100Eのおもて面を示す平面視の図である。xyz座標は
図15に示すように定められている。
図16は、タイプ5の単位セル100Eの側面をx軸方向から見た側面図である。
図17は、電磁波プレートのタイプ5の単位セル100Eの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0058】
タイプ5の単位セル100Eは、E基板151と、第1のE極板152と、E導体柱153と、第2のE極板154と、E結合帯155とを有する電磁波変換プレートの単位セルである。E結合帯155は、金属帯構造の一例である。
【0059】
E基板151は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0060】
第1のE極板152は、金属などの導電性媒質で形成される板である。第1のE導体極板152は、E基板151のおもて面に存在する。
【0061】
E導体柱153は、E基板151を貫通するように導体物質で形成される。E導体柱153の端面は、第1のE極板152と、第1のE極板152の長手方向の端で接している。E導体柱153は、E基板151に垂直な軸に沿って形成される。E導体柱153は、外接する四角形の一辺がE極板152の幅より小さな断面を有する。
【0062】
第2のE極板154は、金属などの導電性媒質で形成される板である。第2のE極板154は、E基板151の裏面に存在する。第2のE極板154の面内の中心点は、第1のE極板152の面内の中心点を通り、E基板151に垂直な軸が、E基板151の裏面と交わる点にある。第1のE極板152と第2のE極板154とは長手方向を同じにする。
【0063】
第1のE極板152と第2のE極板154とは、E導体柱153によって接続されており、電気的に接続された環状構造を形成するため、タイプ5の単位セル100Eは、スプリットリング共振器を有する。
【0064】
E結合帯155は、E基板151のおもて面に位置する。E結合帯155は、E単位セル100Eに形成される前述の環状構造とは、空間的に独立して存在する。
【0065】
前述のE単位セル100Eに形成される前述の環状構造と、E結合帯構造155とは、E基板151のおもて面内におけるお互いの構造中心が、E基板151のおもて面の中心軸をはさんで互いに対称な位置に存在する。
【0066】
図18は、タイプ6の単位セル100Fの鳥瞰図である。xyz座標は
図18に示すように定められている。
図19は、タイプ6の単位セル100Fの側面をx軸方向から見た側面図である。
図20は、電磁波プレートのタイプ6の単位セル100Fの側面をz軸方向から見た側面図である。
【0067】
タイプ6の単位セル100Fは、F基板161と、F結合帯構造162とF非結合帯163とを有する。F結合帯構造162は、金属帯構造の一例であり、F非結合帯163は、金属パッチ構造の一例である。
【0068】
F基板161は、誘電体などの非導電性媒質で形成される基板である。
【0069】
F結合帯162は、F基板161のおもて面に位置する。F結合帯162は、基板のおもて面を端から端まで横切るように形成される。
【0070】
F非結合帯163は、F基板161の裏面に導体物質で形成される直線状の細線である。F非結合帯163は、前述のF結合帯162の長手方向に平行に形成される。F非結合帯163の幅は、F結合帯162の幅より狭い。
【0071】
以下に示す、Z
seとY
shとを用いて、電磁波プレートの設計を行う。
【0076】
ここで、Z
eは、
「入射電界E1に対して、これに比例する電気ダイポールモーメントpeを境界に流れる電流とみなした場合に、入射電界E1とこの電流の電流密度Js=n^×[H2−H1](n^はnの上に^がついていることを示す)の比で定義されるインピーダンス」
と定義される物理量である。
【0077】
また、Z
mは、
「入射磁界H1に対して、これに比例する磁気ダイポールモーメントpmを境界に流れる磁流とみなした場合に、入射磁界H1とこの磁流の電流密度の比で定義されるインピーダンス」
と定義される物理量である。
なお、H2は、透過磁界を表す。
【0078】
電磁波プレートの設計は、前述のタイプ1からタイプ6の各単位セルに対して、構造パラメータの変化に対するZ
seとY
shとの値を求めることで行われる。
【0079】
設計の具体例として、前述の構造パラメータに依存する前述のZ
se及びY
shの計算結果を示す。
図3に示されているタイプ1単位セル100Aの構造パラメータdvを2.5mmから3.5mmまで変化させ、
図3に示されているタイプ1単位セル100Aの構造パラメータwtを1.3mmから1.5mmまで変化させると、Z
seは−0.241mmから―0.135mmまで変化することが計算される。前述のdvを2.5mmから3.5mmまで変化させ、wtを1.3mmから1.5mmまで変化させると、Y
shは―0.052mmから―0.0305mmまで変化することが計算される。尚、この計算において、タイプ1単位セルの基板111の比誘電率は3.0に設定され、誘電体損は0に設定され、基板の厚さは1.524mmに設定された。さらに、タイプ1単位セルの基板111のおもて面と裏面とは1辺14mmの正方形に設定され、計算が行われた。また、計算は電磁波の周波数は5.8GHzとして計算が行われた。
【0080】
単位セルに対するZ
seとY
shと値の算出は、タイプ1単位セル100Aについてだけ行われるものではなく、その他のタイプ2からタイプ6までの単位セルについても行われる。
【0081】
図21は、単位セルに対するZ
se及びY
shの値の算出を用いて、単位セルを並べた場合に、電磁波プレートのZ
se及びY
shがどのような空間変化を示すかを表した具体例である。計算時の各種条件は、前述の具体例と同じであり、計算時の条件は、基板の比誘電率が3.0、誘電体損が0、基板の厚さが1.524mmであった。さらに、タイプ1単位セルの基板111のおもて面と裏面とは1辺14mmの正方形が設定され、計算が行われた。また、電磁波の周波数を5.8GHzとして、計算は行われた。
【0082】
図21は、単位セルを1次元的に並べた電磁波プレートに対するZ
se及びY
shの空間変化を表している。横軸のNodeは、電磁波プレートの片側から順番に単位セルに対してつけた番号であり、横軸が空間座標を表す。
【0083】
図21に示されているNode=8のセルからNode=14までの単位セルを、
図2が具体的に表している。また、
図2は、
図21に示されているNode=8の単位セルからNode=14の単位セルまでが、いかに配置されているかを表している。
図2の各単位セルの上に記載された数値がNodeを表す。Node=8の単位セルは、タイプ1の単位セル100Aである。Node=9からNode=9からNode=11までの単位セルは、タイプ6の単位セル100Fである。Node=12からNode=14までの単位セルは、タイプ4の単位セル100Dである。
図2に示されているNode=8からNode=14までの単位セルのみで構成される具体的な単位構造を、以下「T164単位電磁波プレート」という。
【0084】
図22は、前述のT164単位電磁波プレートを一次元方向に二つ並べた構造をもちいて、電磁波解析を行う際の解析空間を表している。
図22は、x軸方向の長さが196mmであり、y軸方向の長さが400mmであり、z軸方向の長さが14mmの解析空間を示している。シミュレーションではx軸方向及びz軸方向に周期境界条件を用いている。
図22は、前述の解析空間の中央に、T164電磁波プレートをx軸方向に2枚とz軸方向に14枚とを並べた電磁波プレート(以下「計算用電磁波プレート」という。)が設置されていることを表している。
図22は、前述の電磁波プレートのおもて面に向かって平面波を入射する様を表している。
【0085】
図23は、
図22に示された解析空間を用いたシミュレーションで使用された、各単位セル構造の構造パラメータの値を示している。
図23では、タイプ1の単位セル100Aは、構造パラメータとしてd
vとw
tを使用し、その値が、d
v=3.0688mmとw
t=3.3264mmであったことを示す。タイプ6の単位セル100Fは、
図18に記されている構造パラメータのlとw6
tとを使用し、単位セルごとに異なる値が与えられている。例えば、セル番号が9の単位セルでは、l=12.1748mmとw6
t=3.3264mmとであり、セル番号が10の単位セルでは、l=13.0mmとw6
t=5.0mmとである。タイプ4の単位セル100Dは、
図12に記されている構造パラメータのw4
bとw4
tとを使用し、単位セルごとに異なる値が与えられている。例えば、セル番号が13の単位セルでは、w4
b=4.2037mmとw4
t=3.3824mmとであり、セル番号が14の単位セルでは、w4
b=4.2mmとw4
t=3.60mmとである。
各単位セルの表面及び裏面に形成される導体物質の厚さは、波長よりも十分に薄い厚さである。
【0086】
図24は、
図22で表される解析空間を用いたシミュレーションによって算出された、前述の計算時電磁波プレートに入射した電磁波の強度分布を示している。計算では、基板の比誘電率は3.0、誘電体損は0、基板の厚さは1.524mmであった。また、電磁波の周波数を5.8GHzとして、計算は行われた。また、計算では入射電磁波の入射方向は0degに設定され、反射方向は30degに設定された。
前述の計算用電磁波プレートを用いることで、透過電磁波の指向性を図中左方向に25度変化させることが可能であるとわかった。
【0087】
このことより、本願発明の電磁波変換プレートは、単位セルのおもて面に垂直な方向には基板を並べることなく、透過電磁波の指向性を25°変化させる電磁波変換が可能であることがわかる。すなわち、本願発明の電磁波プレートは電磁波プレート一層で、電磁波変換が可能であるといえる。
【0088】
図25は、周波数を5.55GHzにして上記シミュレーション行った結果の、透過電磁波の水平面の放射パターンを示す。図中赤い線が、本願発明の電磁波プレートを使用した場合であり、図中黒の線が、電磁波プレートがない場合の参考用データである。半値ビーム幅はほとんど変わらないまま、電磁波の放射方向のピークが―21度方向に変化したことがわかる。
【0089】
<変形例>
電磁波変換プレート1は、複数の偏光方向に対応可能なように、複数の回転角度をもった単位セルから構成されてもよい。
例えば、前述のT164電磁波プレートのすべての単位セルを、y軸を軸として90°回転させた電磁波プレートを、前述のT164電磁波プレートと接合させて使用してもよい。この場合、電磁波プレートは、
図2に示されている電磁波プレートが動作する入射電磁波の偏光とは直交する偏光をもつ入射電磁波によっても、動作する。
【0090】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、前述のタイプ1の単位セル1、タイプ2の単位セル2、タイプ3の単位セル3、タイプ4の単位セル4、タイプ5の単位セル5又はタイプ6の単位セル6の少なくともいずれか一つを持つ電磁波プレートを作製することにより、電磁波プレートのプレート面に垂直な方向に上記単位セルを重ねる必要のない薄い電磁波プレートを作製することが可能となる。
【0091】
また、プレート面に垂直な方向に重ねる必要がないために、電磁波プレート作成のためのリソグラフィの工程を減らすことができる。
【0092】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。