(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、データ伝送路50を介して相互接続された位置測定装置10および後続電子機器100のブロック線図を示す。位置測定装置10および後続電子装置100は自動化技術の装置を代表している。
【0024】
位置測定装置10は、位置検出ユニット20および随意の処理ユニット30の形態の測定器構成要素を備える。位置検出ユニット20は、デジタル位置値を生成するために適切に構成されている。位置検出ユニット20は、このために、例えば測定目盛を備える測定基準器と、測定目盛を走査するための走査ユニットと、測定目盛の走査によって生成される走査ユニットの走査信号からデジタル位置値を形成するための信号処理電子機器とを備える。測定基準器と走査ユニットとは、既知のように互いに対して移動可能に配置されており、相互位置が測定されるべき機械部分に機械的に結合されている。位置測定装置10は電動モータの軸の角度位置を測定する回転センサである場合には、走査ユニット(もしくは回転センサのケーシング)は、例えばモータケーシングに取り付けられており、回転センサの軸は測定基準器に回動不能に結合されており、軸継手を介して、測定されるモータ軸に結合されている。
【0025】
特に、デジタル式の回路部分のために時間基準もしくは所定の時間周期を提供するために、位置測定装置10にはさらにクロック発生器35が配置されている。クロック発生器35は、少なくとも1つの動作クロック信号CLKを生成し、この動作クロック信号CLKは、デジタル式の有限オートマトン、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどに供給される。
【0026】
位置検出ユニット20の基礎をなす物理学的な走査原理は本発明においては意味がない。したがって、光学式、磁気式、容量式、または誘導式の走査原理が問題となり得る。走査ユニットの走査信号を位置値に処理するために不可欠な処理ステップに対応して、信号処理電子機器は、増幅、信号補正(オフセット、振幅、位相補正)、補間、目盛周期の計数、A/D変換などの処理ステップを実施する機能ユニットを含む。
【0027】
位置検出ユニット20と処理ユニット30との間で制御信号および/またはデータを伝送するためには、適切な信号ラインが設けられている。これらの信号ラインは、特に位置検出ユニット20で生成された位置値を処理ユニット30へ伝送する役割を果たす。
【0028】
処理ユニット30では、出力データを得るために位置値が必要に応じてさらに処理される。このために、スケーリング、データフォーマットの変更、エラー補正などの処理ステップが必要となる場合もあり、これらの処理ステップは、処理ユニット30で純粋にデジタル式に実施される。しかしながら、出力データは位置値だけではなく、処理ユニット30において、連続して生成された複数の位置値から計算される速度値または加速度値であってもよい。
【0029】
一方では後続電子機器100との通信
のために、他方では測定器構成要素20,30との通信のために、位置測定装置10にはさらにインターフェイスユニット40が配置されている。特に、インターフェイスユニット40を介して後続電子機器100への出力データの伝送が行われる。出力データは、適切な信号ラインを介して、処理ユニット30または位置検出ユニット20からインターフェイスユニット40へ伝送される。インターフェイスユニット40には、内部プロセスのための時間基準として用いられるクロック信号も供給される。クロック信号は、動作クロック信号CLKであってもよい。
【0030】
位置測定装置10のインターフェイスユニット40と後続電子機器100の対応するインターフェイスユニット140との間でコマンドおよびデータを伝送するための物理的な接続は、双方向データ伝送路50を介して形成される。このために、位置測定装置10内のデータ伝送路50には送受信ユニット60が配置されており、後続電子機器100内には対応する送受信ユニット160が配置されており、これらの送受信ユニットはインターフェイスケーブル61を介して相互接続されている。本実施例では、それぞれに送信されるべきコマンドおよび/またはデータは、一般に接地基準(シングルエンド)信号として提供されており、送受信ユニット60,160は、これらのコマンドおよび/またはデータを、例えば既知のRS‐485‐規格に対応して差動信号に変換し、得られた差動信号から接地基準信号を生成するように構成されている。送受信ユニット60,160の間の信号伝送のためには、インターフェイスケーブル61内にラインペア55が設けられている。ラインペア55の両方のラインは、一般に、妨害作用、例えば電磁妨害が両方のラインの信号を一様に妨害するように互いに撚り合わされている。評価のためには信号の差のみが決定的なので、このような信号誘導は妨害の影響を極めて受けにくい。送受信ユニット60,160の入力部にはそれぞれ信号反射を防止するためのライン終端装置65,165が設けられている。
【0031】
データ伝送路50は、この実施例では双方向式に構成されている。送受信ユニット60,160のデータ方向は、対応するインターフェイスユニット40,140によって切換信号42,142を介して調節可能である。しかしながら、代替的には、データ伝送路50は単一方向式に構成されていてもよい。この場合、インターフェイスケーブル61には双方向の信号伝送のために2つのラインペアが設けられている必要がある。
【0032】
後続電子機器100と位置測定装置10との間の通信が行われる方式はインターフェイスプロトコルで決定されている。この場合、いわゆる「質問応答パターン」が使用されることが多い。すなわち、通信周期において後続電子機器100(マスター)は位置測定装置10(スレーブ)にコマンド、場合によってはコマンドに続いてデータを送信し、位置測定装置10はコマンドを処理し、場合によって要求されたデータを後続電子機器100に送信する。コマンドは、一般に、例えば処理ユニット30のメモリセルの書込みまたは読取りを行うための書込みコマンドおよび/または読取りコマンドであってもよい。後続電子機器100への出力データとして位置値を要求するために、特定の位置要求コマンドが設けられていてもよい。
【0033】
後続電子機器100における全てのプロセスと同様に、位置測定装置10へのアクセスも内部の制御ユニット110によって制御される。後続電子機器100が、数値的な制御装置か、または自動化技術のその他の制御器である場合には、制御ユニット110は、インターフェイスユニット140を介して、例えば位置測定装置10から連続的に位置値を要求し、制御ユニット110が調整回路のために必要とする位置実際値(状態実際値)を獲得し、例えば駆動装置を介して機械の機械構成要素を正確に位置決めする(サーボ駆動装置)。
【0034】
後続電子機器100にも動作クロック信号ACLKを生成するクロック発生器120が配置されており、動作クロック信号ACLKは、時間基準もしくは時間周期を形成するために制御ユニット110およびインターフェイスユニット140に供給される。
【0035】
コマンドおよびデータは、データ伝送プロトコルの定義に対応して構成されたデータフレームの形態のインターフェイスユニット40,140によって伝送される。一般に、データフレームは、開始配列(プレアンブル)によって開始され、末端配列(ポストアンブル)によって終了する。これらの間には、実際に伝送されるべきデータおよび/またはコマンドが配置されている。
【0036】
本発明によれば、データフレームは符号化されずに(すなわち、割り当てられた信号レベルによって伝送されるそれぞれのビットの値は、所定の信号継続時間にわたって)伝送されるのではなく、符号化されて伝送される。このために、データストリームの形態でデータ伝送路50を介して伝送される前に、送信側で、伝送されるデータフレームに符号化規則が適用される。これに類似して、受信側では、再び元のデータフレームを得るために、到着するデータストリームに復号規則化が適用される。
【0037】
符号化は、データストリームが、連続する2つの信号エッジの間の時間間隔によって識別可能な少なくとも2つのシンボルを含むように実施されている。このことは、例えば、マンチェスタ符号化の様々な実施形態についてもあてはまる。
【0038】
図2は、例えばマンチェスタ符号化を示す。論理「0」が立上り信号エッジ(ビット列「01」)によって代替され、論理「1」が立下り信号エッジ(ビット列「10」)によって代替される。これにより、
図2の上側に示すように、伝送されるビット列「0101000」は、符号化されたビット列「01100110010101」となる。このことは、一方では、強制的に生じるレベル変化によって、伝送されるビット毎にデータ伝送を確認することが可能となるという利点を有し、他方では、符号化されたビット列には同じ部分がなく、このことは、変調方式によって、同じラインペア55を介して、符号化されたビット列および供給電圧を伝送することを可能にする。
【0039】
(元のビット列にそれぞれ論理ローレベルが先行および後続する場合に)上記符号化によって、符号化されたデータストリームにおいて、理想的なシンボル継続時間T
Kを有する短いシンボルKおよび理想的なシンボル継続時間T
Lを有する長いシンボルLのシーケンス、この実施例では「KLLLLKKKKK」が生じる。
【0040】
マンチェスタ符号化の上記実施形態の他に、当然ながら、反対に論理レベルに信号エッジを割り当てることも可能である。同様に差動マンチェスタ符号化も適している。
【0041】
図3は、インターフェイスユニット40のブロック線図を示す。インターフェイスユニット40は、読取りユニット70、出力ユニット80、および通信ユニット90を含む。
【0042】
読取りユニット70は、到着したデータストリームを読み込み、処理するために用いられる。読取りユニット70は、同期ユニット72、シンボル検出ユニット73、および評価ユニット78を含む。
【0043】
同期ユニット72は、シンボル検出ユニット73の前方に配置されている。同期ユニット72は、到着したデータストリームを動作クロック信号CLKと同期し、動作クロック信号CLKの時間周期を備える同期されたデータストリームをシンボル検出ユニット73に出力する。同期ユニット72は、このために、例えば1つ以上のD型フリップフロップを含み、D型フリップフロップのクロック入力は動作クロック信号CLKによって作動される。
【0044】
シンボル検出ユニット73は、同期的なデータストリームからシンボル列を検出し、シンボルK,Lがデータストリームと共にどのような順序で到着したかについての情報を評価ユニット78に出力し、評価ユニット78はシンボル列を評価し、復号化し、含まれている有効データを通信ユニット90に出力する。
【0045】
到着したデータストリームによって伝送されたデータフレームの内容は、これらの処理ステップによって変更されない。
【0046】
通信ユニット90は、受信したデータフレーム内に含まれているコマンドおよび場合によってはデータを、それぞれアドレス指定された宛先構成要素(例えば、位置検出ユニット20または処理ユニット30など)に伝送する。さらに通信ユニット90は、例えば位置検出ユニット20または処理ユニット30から、送信されるデータを受信し、これらのデータからデータフレームを形成し、このデータフレームをインターフェイスユニット40の出力ユニット80に出力する。このデータ方向で、処理ユニット30および/または位置検出ユニット20は、データ伝送のためのソース構成要素として機能する。
【0047】
出力ユニット80は、必要に応じてデータフレームを補足し、符号化し、データ伝送路50を介して出力するために適切に構成されている。出力ユニット80の機能は、本発明の一部ではないので詳述しない。
【0048】
シンボル検出ユニット73におけるシンボル列の検出は、この実施例では2つの実質的なステップに基づいている:一方では、連続する2つの信号エッジの間の時間間隔(以下に最新のシンボル継続時間Tと呼ぶ)を時間測定ユニット74によって測定するステップ、および他方では、割当ユニット75において、最新のシンボル継続時間Tと、シンボルK,Lに割り当てられた決定間隔とを比較することによりシンボルK,Lを割り当てるステップである。
【0049】
時間測定ユニット74は、例えば、カウンタモジュールによって実現することもできる。カウンタモジュールの計数入力部(クロック入力部)には動作クロック信号CLKが供給されており、カウンタモジュールは、同期されたデータストリームのそれぞれの信号エッジにより、カウンタモジュールのカウンタ状態がまず割当ユニット75に出力され、必要に応じて測定値メモリ76に記憶され、次いでカウンタモジュールが戻される(リセット)
ように接続されている。
【0050】
割当ユニット75では、それぞれのシンボルK,Lに少なくとも2つの、一般にn個の決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knが割り当てられている。この場合、シンボルK,Lの比較および比較によって生じた割当において、先行する測定で測定された時間間隔(以下では古いシンボル継続時間T
altと呼ぶ)に依存して決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knが選択されることが本発明では重要である。このために、測定値メモリ76に記憶された測定値を古いシンボル継続時間T
altとして割当ユニット75に供給するように構成されている。したがって、最新のシンボル継続時間TにシンボルKを割り当てるためには、古いシンボル継続時間T
altを含めた時間が考慮される。
【0051】
古いシンボル継続時間T
altは同様にシンボルK,Lを表すので、古いシンボル継続時間T
altは、一定部分(古いシンボル継続時間T
altの基礎をなすシンボルK,Lの理想的なシンボル継続時間)と、可変部分(古いシンボル継続時間T
altと、基礎をなすシンボルK,Lの理想シンボル継続時間T
K,T
Lとのずれ)から構成される。
【0052】
割当ユニット75における決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knの選択を簡易化するために、古いシンボル継続時間T
altを理想的なシンボル継続時間T
K,T
LとのずれΔT
altまで低減するための演算手段が設けられていてもよい。したがって、決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knを選択するためには、先行するシンボルとは無関係に数値のみが考慮される。古いシンボル継続時間T
altの基礎をなすシンボルが、例えば短いシンボルKであった場合には、ずれはΔT
alt=T
alt−T
Kとして計算され、シンボルが長いシンボルLであった場合には、ΔT
alt=T
alt−T
Lとなる。ずれΔT
altは、選択された決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knの指標として使用することができる。
図3では、例えば決定間隔l
L2,l
K2が選択されている。
【0053】
この方法では、ずれΔT
altは負の値をとることもある。デジタル回路(例えばFPGA,ASICまたはマイクロコントローラ)で割当ユニット75がインターフェイスユニット40の一部として実現された場合には、正の値のみが処理される場合、すなわち、符号が考慮されない場合よりも高いコストが生じる。それにもかかわらず、先行するシンボルとは無関係に、数値のみに基づいて選択を行うことができるためには、再び定数をオフセット値としてずれΔT
altに加算することができ、これにより数値は確実に正の値範囲にずらされる。
【0054】
しかしながら、短いシンボルT
Kまたは長いシンボルT
Lの理想的なシンボル継続時間をオフセット値として仮定する方が簡単である。この場合、古いシンボル継続時間T
altの基礎をなすシンボルが、オフセット値として選択されたシンボルと異なる場合には、演算操作のみを行えばよい。
【0055】
したがって、例えば短いシンボルT
Kの理想的なシンボル継続時間がオフセット値として選択された場合には、古いシンボル継続時間T
altの基礎をなすシンボルが短いシンボルKである場合には何もしなくてよい。なぜなら、すでにΔT
alt=T
alt+T
Kとなるからである。これに対して、長いシンボルLが古いシンボル継続時間T
altの基礎をなす場合には、(本実施例の場合と同様にT
L=2・T
Kであることを前提として)短いシンボルの理想的な継続時間T
Kを減算することにより、長いシンボルLを同様にΔT
alt+T
Kに相当する数値に低減することができる。
【0056】
対応した方法が、シンボルの理想的なシンボル継続時間が他の相互関係にある場合にも可能である。割当ユニット75の演算手段はそれぞれ対応して構成される。
【0057】
上記全ての実施形態は、先行するシンボルK,Lのシンボル継続時間T
altと理想的なシンボル継続時間T
K,T
LとのずれΔT
altに依存して、最新のシンボル継続時間TにシンボルK,Lを割り当てるという原則に基づいている。したがって、最新のシンボル継続時間Tの他に、古いシンボル継続時間T
altを含む時間が常に考慮される。
【0058】
先行するシンボルの古いシンボル継続時間T
altに加えて、割当ユニット75においてさらに先行する他のシンボル継続時間を加えた場合、すなわち、考慮される時間が先行する他のシンボル継続時間にまで拡大された場合には、上記実施形態の結果はさらに改善され得る。このために、メモリユニット76は、複数の古いシンボル継続時間を記憶し、割当ユニット75に供給することができるように寸法決めされている。さらに、割当ユニット75の演算手段は、取り込まれる全ての古いシンボル継続時間の、理想的なシンボル継続時間からのずれを合計するために適切に構成することができる。理想的なシンボル継続時間からの実際のシンボル継続時間のずれは、特にインターフェイスケーブル61の充電に依存しているので、加算の際にはずれの符号が考慮されるべきである。この場合、古いシンボル継続時間のずれは、最新のシンボル継続時間に直接に先行するシンボル継続時間よりも弱く重みづけしてもよい。
【0059】
決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knは、割当ユニット75のメモリユニット79に記憶することができる。有利には、決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knは、作動時にメモリユニット79に設定に依存して記憶することができる。代替的に、複数のセットの決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knをメモリユニット79に記憶し、例えば設定に依存して選択可能に実施するように構成してもよい。決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knのセットを選択するための基準は、例えばインターフェイスケーブル61の特性および長さおよび/または所望のデータ伝送率であってもよい。
【0060】
さらに、決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2...;l
Ln,l
Knを動的に変更可能に実施し、例えば、作動時またはスイッチオン後の準備段階に、それぞれの用途のために限界値を決定し、メモリユニット79に記憶するように構成してもよい。
【0061】
図4は、問題をさらに説明するために、マンチェスタ符号化されたデータストリームの一部を示す。基礎をなす復号化されたビット列「010」が
図4の上部に示されている。このビット列の前後には同様に論理「0」が伝送されると仮定して、マンチェスタ符号化されたシンボル列「KLLK」が生じる。データ伝送路50を介したこのシンボル列の伝送により、受信側ではシンボルL,Kの継続時間が常に同じではなくなく、経時的に変化することになる。その原因の一つは、データストリームを伝送するインターフェイスケーブル61である。インターフェイスケーブル61は、容量的な特性および誘導的な特性を備え、したがって、それぞれのレベル変化(ビット変化)時に、充電および放電プロセス、ならびに一方では信号エッジを平坦にし、他方ではデータ信号のオーバシュートおよびアンダシュートを引き起こす過渡現象を引き起こす。
【0062】
送受信ユニット60においてシンボル列が再び形成された後に、図示のように「ジッター」とも呼ばれる信号エッジの位置変化が生じる。この作用により、最終的には、時間測定ユニット74で測定された信号エッジの時間間隔は、短いシンボルKについては最小値T
Kminと最大値T
Kmaxとの間の間隔に位置し、長いシンボルLについては最小値T
Lminと最大値T
Lmaxとの間の間隔に位置する場合がある。
【0063】
間隔が交差する(T
Kmax≧T
Lmin)程にシンボルの継続時間が歪曲された場合には、従来技術で既知の評価(測定された連続する2つの信号エッジの時間間隔と、シンボル毎にそれぞれ1つの決定間隔との単純な比較)では、シンボルの確実な割当はもはや保証されておらず、したがってデータ伝送システムはもはや機能しない。
【0064】
本発明は、データ伝送路50を介したデータストリームの伝送によって、エッジの位置は変化するが、データ伝送率は全体として等しく保持されるという事実を考慮している。このことは、古いシンボル継続時間T
altは最新のシンボル継続時間Tに影響を及ぼすという認識をもたらす。この効果を利用して、シンボルK,L毎に少なくとも2つの決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2を設け、古いシンボル継続時間T
alt(先行する測定の信号エッジの時間間隔)に依存して割当ユニット75においてシンボルK,Lを割り当てるために、データ伝送率の獲得が不可欠であることに基づいて限界値および/または値範囲が正しい可能性がより高い決定間隔l
L1,l
K1;l
L2,l
K2を選択することができる。
【0065】
このための一実施例:
先行するシンボルが短いシンボルKであり、古いシンボル継続時間T
altがT
KminとT
Kとの間に位置していた場合には、割当ユニット75において最新のシンボル継続時間Tを割り当てるために、第1決定間隔l
K1は短いシンボルKのために使用され、第1決定間隔l
L1は長いシンボルLのために使用される。これに対して、古いシンボル継続時間T
altがT
KとT
Kmaxとの間に位置していた場合には、最新のシンボル継続時間Tを割り当てるために第2決定間隔l
L2,l
K2が使用される。
【0066】
先行するシンボルが長いシンボルLであった場合には類似の方法が有効である。古いシンボル継続時間T
altがT
LminとT
Lとの間に位置していた場合には、割当ユニット75において決定間隔l
L1,l
K1が使用され、古いシンボル継続時間T
altがT
LとT
Lmaxとの間に位置していた場合には、決定間隔l
L2,l
K2が使用される。
【0067】
データ伝送率が全体として等しく保持される必要があるという事実に基づいて、決定間隔l
L1,l
K1は決定間隔l
L2,l
K2よりも高い限界値を有する。
【0068】
図5は、
図3に示した位置測定装置10のインターフェイスユニット40に対応するものとして、後続電子機器100の適切なインターフェイスユニット140のブロック線図を示す。
【0069】
インターフェイスユニット40,140は互いに対称的に構成されており、したがって、インターフェイスユニット40のそれぞれのユニットは、それぞれに対応するユニットをインターフェイスユニット140内に有する。したがって、インターフェイスユニット140も同期ユニット172、シンボル検出ユニット173、および評価ユニット178を有する読取りユニット170を備え、シンボル検出ユニット173は時間測定ユニット174と、メモリユニット179を備える割当ユニット175と、測定値メモリ176とを含む。同様に、出力ユニット180および通信ユニット190が設けられている。
【0070】
図6は、代替的に構成されたシンボル検出ユニット273を備えるインターフェイスユニット40のブロック線図を示している。この実施形態は、特に、マンチェスタ符号化のように広範囲に直流電圧なしのデータ伝送を行う符号化では、連続するシンボルのずれは逆方向になるという認識に基づいている。これは特に、インターフェイスケーブル61におけるリロードプロセスにより生じる。測定の最新のシンボル継続時間Tが、基礎をなすシンボルK,Lの理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lよりも長い場合には、後続の測定の測定値Tは、基礎をなすシンボルK,Lの理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lよりも短くなり、またその逆もいえる。これは、
図4の説明において既に述べたように、データ伝送率が伝送により変更されないからである。
【0071】
シンボル検出ユニット273は、連続する2つの信号エッジの時間間隔を測定することができる時間測定ユニット274を備える。測定値Tは、測定値メモリ276および演算ユニット277に供給される。演算ユニット277は、最新の測定値Tと、測定値メモリ276から得た古い測定値T
altとの合計を生成し、割当ユニット275に出力するために適切に構成されている。割当ユニット275のメモリユニット279には、最大でも、可能なシンボル列と同数の決定間隔のみが設けられている。本実施例では、4つの決定間隔l
LL,l
KK,l
KL,l
LKが設けられている。l
KL,l
LKの値範囲は同一なので、決定間隔の数は3つ、例えば決定間隔l
LL,l
KK,l
KLに減じることができる。最新のシンボル継続時間Tに割り当てられるべきシンボルL,Kは、最新のシンボル継続時間Tと古いシンボル継続時間T
altとの合計を決定間隔l
LL,l
KK,l
KLと比較することによって検出することができる。比較結果が決定間隔l
KLに位置する場合には、最後に割り当てられたシンボルが最新のシンボルK,Lの割当について決定する。
【0072】
シンボルK,Lを割り当てるために、古いシンボル継続時間T
altをも含む時間を考慮する本発明の基本思想は、この実施形態でも保持されている。古いシンボル継続時間T
altの基礎をなす理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lは、オフセット値を示す。したがって、
図3の説明で既に述べたように、シンボルK,Lを割り当てるためには、理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lの部分を減算により除去するか、または単一のオフセット値に低減することができる。この場合、割当ユニット275には2つの決定間隔のみが設けられることになる。
【0073】
図7は、代替的に構成された別のシンボル検出ユニット373を備えるインターフェイスユニットのブロック線図を示す。この実施形態のシンボル検出ユニット373の機能は、
図6に示したシンボル検出ユニット273の機能に対応しており、合計のみが別の方法で生成される。
【0074】
シンボル検出ユニット373は、上述した時間測定ユニット74,174,274に対応する機能を備える時間測定ユニット374の他に、第2時間測定ユニット377を備える。この第2時間測定ユニット377には時間測定ユニット374の測定値Tを供給することができる。したがって、第2時間測定ユニット377の時間測定値には再びオフセットが加えられ、このオフセットにより、時間測定の結果は、古いシンボル継続時間T
altと最新のシンボル継続時間Tとの合計に相当する時間を含むことになる。この値は、決定間隔l
LL,l
KK,l
KL,l
LKを備えるメモリユニット379を含む割当ユニット375に供給される。メモリユニット379の機能は、
図6の対応するユニットの機能に対応する。
【0075】
図6および
図7に基づいて説明した実施例についても、考慮される時間を、先行する他のシンボル継続時間に拡大することができるといえる。
【0076】
図8は、シンボル割当ユニット473の他の実施形態のブロック線図を示す。
【0077】
前記実施例の場合と同様に、シンボル割当ユニット473は時間測定ユニット474と、第2時間測定ユニット474と、メモリユニット479を備える割当ユニット475とを含む。
【0078】
上記実施例とは異なり、さらに演算ユニット476が設けられている。
【0079】
演算ユニット476は、割当ユニット475においてシンボルK,Lを割り当てるために、古いシンボル継続時間T
altにおける理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lの部分を減算により除去する役割を果たす。このために、演算ユニット475には、割当ユニットから、最後に割り当てられたシンボルK,Lについての情報が供給される。検出されたずれΔT
altは、第2時間測定ユニット477に供給され、時間測定におけるオフセットとして使用される。時間測定T+ΔT
altの結果は割当ユニット475に供給される。
【0080】
代替的に、古いシンボル継続時間T
altにおける理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lの部分を演算ユニット476において単一のオフセット値に減じることもできる。このオフセット値は、定数として、理想的な長いシンボルT
Lのシンボル継続時間または理想的な短いシンボルT
Kのシンボル継続時間に相当する。割当ユニット475においてこのオフセットを単純に考慮することもできる。この場合、割当ユニット475には2つの決定間隔l
L,l
Kのみが設けられている。
【0081】
この実施例も、考慮されるべき時間を、先行する他のシンボル継続時間を含む時間に拡大することができる。
【0082】
図9は、シンボル割当ユニット573の別の実施形態のブロック線図を示す。
【0083】
シンボル検出ユニット573は、第1時間測定ユニット571と、第2時間測定ユニット572と、演算ユニット577と、メモリユニット579を備える割当ユニット575とを含む。割当ユニット575およびメモリユニット579は、上記実施例の対応するユニットと同一である。
【0084】
第1時間測定ユニット571および第2時間測定ユニット572は、既に2つのシンボル継続時間(すなわち、最新のシンボル継続時間Tおよび古いシンボル継続時間T
alt)を含む時間を測定するように構成されている。具体的な実施例では、第1時間測定ユニット571は、データストリームの1つの立上り信号エッジから次の立上り信号エッジまでの第1継続時間T1を測定するように構成されていてもよい。第2時間測定ユニット572は、データストリームの1つの立下り信号エッジから次の立下り信号エッジまでの第2継続時間T2を測定するように構成されている。
【0085】
継続時間T1,T2は、それぞれ演算ユニット577に供給される。上述の実施例で既に説明したように、継続時間T1,T2は、それぞれ最新のシンボル継続時間Tおよび古いシンボル継続時間T
altの合計に相当し、交互に評価される。続いて、上記実施例の場合と同様に、古いシンボル継続時間T
altにおける理想的なシンボル継続時間T
K,T
Lを演算ユニット577において減算により除去するか、または単一のオフセット値に低減することができる。結果は、最新のシンボル継続時間TとずれΔT
altとの合計(場合によってはオフセットが付随している)であり、この合計は割当ユニット575に出力される。
【0086】
代替的に、評価は、
図6および
図7に基づいて説明した実施例に類似して行うこともでき、この場合、時間T1,T2は割当ユニット275,375に交互に供給される。
【0087】
さらなる時間測定ユニットを設け、時間測定ユニットの測定範囲をより多数の信号エッジに拡大することにより、演算ユニットを適宜に調整した場合に、この実施例においても考慮すべき時間を先行する他のシンボル継続時間を含む時間に拡大することができる。
【0088】
図5〜
図9に基づいて説明した実施例のインターフェイスユニットを後続電子機器で使用することもできる。
【0089】
シンボルを割り当てる際に割り当てられる最新のシンボルのシンボル継続時間と先行するシンボルの少なくとも1つのシンボル継続時間とを含む時間を考慮するという基本思想から出発して、本発明の範囲では当然ながら他の代替的な実施形態を実現することができる。
【0090】
位置測定装置10および位置測定装置10の後続電子機器100の他に、本発明は自動化技術の他の装置のためにも適している。
〔態様1〕
自動化技術の装置(10,100)で、連続的なデータストリームを読み込む方法において、
連続する2つの信号エッジの間の時間間隔によって識別可能な少なくとも2つのシンボル(K,L)を含むようにデータストリームを符号化し、該データストリームを読取りユニット(70,170)に供給し、該読取りユニットが、前記信号エッジの時間的順序に前記シンボル(K,L)を割り当てるシンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)を含み、
前記シンボル(K,L)を割り当てるために、最新に割り当てられたシンボルの最新のシンボル継続時間(T)と、先行するシンボルの少なくとも1つの古いシンボル継続時間(Talt)とを含む時間を考慮する方法。
〔態様2〕
態様1に記載の方法において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)の前方に同期ユニット(72,172)を接続し、該同期ユニットで、連続するデータストリームを動作クロック信号(CLK,ACLK)と同期し、同期されたデータストリームを前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)に供給する方法。
〔態様3〕
態様1または2に記載の方法において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)が、前記シンボル(K,L)のシーケンスに関する情報を、さらなる評価のために評価ユニット(78)に出力する方法。
〔態様4〕
態様1から3までのいずれか一項に記載の方法において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)が、割当ユニット(75,175,275,375,475,575)を含み、該割当ユニットに、
最新のシンボル継続時間(T)および少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)、または
前記最新のシンボル継続時間(T)と少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)との合計、または
前記最新のシンボル継続時間(T)と、理想的な継続時間(TK,TL)からの少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)のずれ(ΔTalt)との合計、または
前記最新のシンボル継続時間(T)、理想的な継続時間(TK,TL)からの少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)のずれ(ΔTalt)、およびオフセット値(TK,TL)の合計を供給し、割当ユニットで、これらの値に基づいて前記最新のシンボル継続時間(T)にシンボル(K,L)を割り当てる方法。
〔態様5〕
態様4に記載の方法において、
決定間隔(lL1,lK1;lL2,lK2...;lLn,lKn;lLL,lKK,lLK,lKL;lL,lK)との比較によって割当を行う方法。
〔態様6〕
態様1から5までのいずれか一項に記載の方法において、
符号化を、データストリームが短いシンボル(K)および長いシンボル(L)のシーケンスを備えるマンチェスタ符号化とする方法。
〔態様7〕
態様1から6までのいずれか一項に記載の方法において、
決定間隔(lL1,lK1;lL2,lK2...;lLn,lKn;lLL,lKK,lLK,lKL;lL,lK)を設定に依存させ、メモリユニット(79,179,279,329)に記憶する方法。
〔態様8〕
自動化技術の装置(10,100)で、連続するデータストリームを読み込むための装置において、
データストリームが、連続する2つの信号エッジの間の時間間隔によって識別可能な少なくとも2つのシンボル(K,L)を含むように符号化されており、前記データストリームが読取りユニット(70,170)に供給され、該読取りユニットが、信号エッジの時間的順序に前記シンボル(K,L)を割り当てるシンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)を含み、
該シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)で、最新に割り当てられたシンボルの最新のシンボル継続時間(T)と、先行するシンボルの少なくとも1つの古いシンボル継続時間(Talt)とを含む時間を考慮して前記シンボル(K,L)が割当て可能である装置。
〔態様9〕
態様8に記載の装置において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)の前方に同期ユニット(72,172)が接続されており、該同期ユニットによって、連続するデータストリームが動作クロック信号(CLK,ACLK)と同期可能であり、同期されたデータストリームが前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)に供給可能である装置。
〔態様10〕
態様8または9に記載の装置において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)が、前記シンボル(K,L)のシーケンスに関する情報を、さらなる評価のために評価ユニット(78)に出力する装置。
〔態様11〕
態様8から10までのいずれか一項に記載の装置において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)が、割当ユニット(75,175,275,375,475,575)を含み、該割当ユニットに、
最新のシンボル継続時間(T)および少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)、または
前記最新のシンボル継続時間(T)と少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)との合計、または
前記最新のシンボル継続時間(T)と、理想的な継続時間(TK,TL)からの少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)のずれ(ΔTalt)との合計、または
前記最新のシンボル継続時間(T)、理想的な継続時間(TK,TL)からの少なくとも前記古いシンボル継続時間(Talt)のずれ(ΔTalt)、およびオフセット値(TK,TL)の合計を供給し、前記割当ユニットで、これらの値に基づいて前記最新のシンボル継続時間(T)にシンボル(K,L)が割当て可能である装置。
〔態様12〕
態様11に記載の装置において、
決定間隔(lL1,lK1;lL2,lK2...;lLn,lKn;lLL,lKK,lLK,lKL;lL,lK)との比較によって割当が行われる装置。
〔態様13〕
態様11または12に記載の装置において、
前記シンボル検出ユニット(73,173,273,373,473,573)が、前記シンボル(K,L)の割当の基礎をなす値を生成するための手段を含む装置。
〔態様14〕
態様8から13までのいずれか一項に記載の装置において、
符号化が、データストリームが短いシンボル(K)および長いシンボル(L)のシーケンスを備えるマンチェスタ符号化である装置。
〔態様15〕
態様8から14までのいずれか一項に記載の装置において、
決定間隔(lL1,lK1;lL2,lK2...;lLn,lKn;lLL,lKK,lLK,lKL;lL,lK)が設定に依存しており、メモリユニット(79,179,279,379)に記憶可能である装置。