(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る基板処理装置を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置1の全体構成を示す平面図である。
図2は、一実施形態に係る基板処理装置1に設けられた研磨モジュール21の構成を示す斜視図である。
基板処理装置1は、シリコンウェハ等の基板Wの表面を平坦に研磨する化学機械研磨(CMP)装置である。基板処理装置1は、
図1に示すように、矩形箱状のハウジング2を備える。ハウジング2は、平面視で略長方形に形成されている。ハウジング2の内部は隔壁によって、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30に区画されている。また、基板処理装置1は、ロード/アンロード部10から研磨部20に基板Wを搬送する基板搬送部40と、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30、及び基板搬送部40の動作を制御する制御部3(制御盤)と、を備える。
【0014】
ロード/アンロード部10は、基板Wを収容するフロントロード部11を備える。フロントロード部11は、ハウジング2の長手方向の一方側の側面に複数設けられている。複数のフロントロード部11は、ハウジング2の幅方向(平面視で長手方向と直交する方向)に配列されている。フロントロード部11は、例えば、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載する。SMIF、FOUPは、内部に基板Wのカセットを収納し、隔壁で覆った密閉容器であり、外部空間とは独立した環境を保つことができる。
【0015】
また、ロード/アンロード部10は、フロントロード部11から基板Wを出し入れする搬送ロボット12と、搬送ロボット12をフロントロード部11の並びに沿って走行させる走行機構13と、を備える。搬送ロボット12は、上下に2つのハンドを備えており、基板Wの処理前、処理後で使い分けている。例えば、フロントロード部11に基板Wを戻すときは上側のハンドを使用し、フロントロード部11から処理前の基板Wを取り出すときは下側のハンドを使用する。
【0016】
基板搬送部40は、ハウジング2の長手方向に延在する基板搬送路41を備える。基板搬送路41は、平面視で洗浄部30が配置されている領域を通り、一端部41aがロード/アンロード部10に連通し、他端部41bが研磨部20に連通している。基板搬送路41には、基板Wを支持するスライドステージ、及び、このスライドステージを一端部41aと他端部41bとの間で移動させるステージ移動機構が設けられている。一端部41aは、基板Wの搬入口であり、通常はシャッタで閉じられ、ロード/アンロード部10の搬送ロボット12がアクセスするときに開かれる。また、他端部41bは、基板Wの搬出口であり、通常はシャッタで閉じられ、研磨部20の搬送ロボット28がアクセスするときに開かれる。
【0017】
研磨部20は、基板Wの研磨を行う複数の研磨モジュール21(21A,21B,21C,21D)を備える。複数の研磨モジュール21は、ハウジング2の長手方向に配列されている。研磨モジュール21は、
図2に示すように、研磨パッド22によりその上面(研磨面23a)が形成された研磨テーブル23と、基板Wを保持しかつ基板Wを研磨面23aに押圧しながら研磨するためのトップリング24と、研磨テーブル23上にスラリー(研磨液)やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル25(ノズル)と、研磨面23aのドレッシングを行うためのドレッサ26と、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面23aに噴射するアトマイザ27(処理装置)と、を備える。
【0018】
研磨モジュール21は、研磨液供給ノズル25からスラリーを研磨テーブル23上に供給しながら、トップリング24により基板Wを研磨面23aに押し付け、さらにトップリング24と研磨テーブル23とを相対移動させることにより、基板Wを研磨してその表面を平坦にする。ドレッサ26は、研磨面23aに接触する先端の回転部にダイヤモンド粒子やセラミック粒子などの硬質な粒子が固定され、当該回転部を回転しつつ揺動することにより、研磨面23a全体を均一にドレッシングし、平坦な研磨面23aを形成する。アトマイザ27は、研磨面23aに残留する研磨屑や砥粒などを高圧の流体により洗い流すことで、研磨面23aの浄化と、機械的接触であるドレッサ26による研磨面の目立て作業、すなわち研磨面23aの再生を達成する。
【0019】
図1に戻り、研磨部20は、搬送ロボット28と、第1エクスチェンジャ29aと、第2エクスチェンジャ29bと、を備える。研磨部20には、複数の研磨モジュール21の並びに沿って、ロード/アンロード部10側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4が設定されている。第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4は、それぞれ、研磨モジュール21A、研磨モジュール21B、研磨モジュール21C、研磨モジュール21Dに基板Wを受け渡す位置である。各研磨モジュール21は、トップリング24の支持アーム242(
図2参照)の回動によって、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4にアクセスする。
【0020】
搬送ロボット28は、基板搬送部40と、第1エクスチェンジャ29aと、第2エクスチェンジャ29bとの間で、基板Wの受け渡しを行う。搬送ロボット28は、基板Wを保持するハンド、ハンドを上下反転させる反転機構、ハンドを支持する伸縮可能なアーム、アームを上下移動させるアーム上下移動機構、及びアームを鉛直方向に延びる軸回りに回動させるアーム回動機構等を備える。搬送ロボット28は、第2搬送位置TP2と第3搬送位置TP3との間を移動可能であり、基板搬送部40から受け取った基板Wを、第1エクスチェンジャ29aまたは第2エクスチェンジャ29bに振り分ける。また、搬送ロボット28は、研磨モジュール21で研磨された基板Wを、第1エクスチェンジャ29aまたは第2エクスチェンジャ29bから受け取り、洗浄部30に受け渡す。
【0021】
第1エクスチェンジャ29aは、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2の間で基板Wを搬送する機構である。第1エクスチェンジャ29aは、基板Wを支持する複数のスライドステージ、各スライドステージを異なる高さで水平方向に移動させるステージ移動機構、第1搬送位置TP1に配置された第1プッシャ、第2搬送位置TP2に配置された第2プッシャ等を備える。各スライドステージは、第1プッシャや第2プッシャが上下に通過可能な略コの字状の切欠き部を有し、ステージ移動機構によって、第1搬送位置TP1と第2搬送位置TP2の間を移動する。第1プッシャは、第1搬送位置TP1において上下に移動し、スライドステージと研磨モジュール21Aのトップリング24との間における基板Wの受け渡しを行う。また、第2プッシャは、第2搬送位置TP2において上下に移動し、スライドステージと研磨モジュール21Bのトップリング24との間における基板Wの受け渡しを行う。
【0022】
第2エクスチェンジャ29bは、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4の間で基板Wを搬送する機構である。第2エクスチェンジャ29bは、基板Wを支持する複数のスライドステージ、各スライドステージを異なる高さで水平方向に移動させるステージ移動機構、第3搬送位置TP3に配置された第3プッシャ、第4搬送位置TP4に配置された第4プッシャ等を備える。各スライドステージは、第3プッシャや第4プッシャが上下に通過可能な略コの字状の切欠き部を有し、ステージ移動機構によって、第3搬送位置TP3と第4搬送位置TP4の間を移動する。第3プッシャは、第3搬送位置TP3において上下に移動し、スライドステージと研磨モジュール21Cのトップリング24との間における基板Wの受け渡しを行う。また、第4プッシャは、第4搬送位置TP4において上下に移動し、スライドステージと研磨モジュール21Dのトップリング24との間における基板Wの受け渡しを行う。
【0023】
洗浄部30は、基板Wの洗浄を行う複数の洗浄モジュール31(31A,31B,31C,31Add)と、洗浄した基板Wを乾燥させる乾燥モジュール32と、を備える。複数の洗浄モジュール31及び乾燥モジュール32は、ハウジング2の長手方向に配列されている。洗浄モジュール31Aと洗浄モジュール31Addとの間には、搬送室33(ウェハステーション)が設けられている。搬送室33には、搬送ロボット28から受け渡された基板Wを載置するステージが設けられている。また、洗浄部30は、搬送室33のステージに載置された基板Wをピックアップし、複数の洗浄モジュール31と、乾燥モジュール32と、搬送室33との間にて基板Wを搬送する洗浄部基板搬送機構34を備える。
【0024】
洗浄モジュール31Aは、搬送室33に隣り合って配置され、基板Wを一次洗浄する。また、洗浄モジュール31Bは、洗浄モジュール31Aに隣り合って配置され、基板Wを二次洗浄する。また、洗浄モジュール31Cは、洗浄モジュール31Bに隣り合って配置され、基板Wを三次洗浄する。乾燥モジュール32は、洗浄モジュール31Cに隣り合って配置され、例えば、ロタゴニ乾燥(IPA(Iso-Propyl Alcohol)乾燥)を行う。なお、洗浄モジュール31Aと搬送室33を挟んで反対側に配置された洗浄モジュール31Addは、洗浄の仕様に応じて追加されるものであり、例えば、洗浄モジュール31A,31B,31Cの洗浄処理の前に、基板Wを予備洗浄する。
【0025】
洗浄モジュール31は、例えば、ロール洗浄部材を用いたロール洗浄モジュール、ペンシル洗浄部材を用いたペンシル洗浄モジュール、二流体ノズルを用いた二流体洗浄モジュール等から構成されている。各洗浄モジュール31は、同一のタイプであっても、異なるタイプの洗浄モジュールであってもよい。これら各洗浄モジュール31及び乾燥モジュール32は、基板W及び基板Wを搬送する洗浄部基板搬送機構34が通過可能なシャッタ付き開口部を備える。乾燥後は、乾燥モジュール32とロード/アンロード部10との間の隔壁に設けられたシャッタが開かれ、搬送ロボット12によって乾燥モジュール32から基板Wが取り出される。
【0026】
続いて、研磨モジュール21の構成について、詳しく説明する。
図2に示すように、研磨モジュール21は、研磨テーブル23と、研磨対象物である基板Wを保持して研磨テーブル23上の研磨パッド22に押圧するトップリング24とを備える。研磨テーブル23は、テーブル軸を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブル軸の回りに回転可能になっている。
【0027】
研磨テーブル23の上面には、研磨パッド22が貼付されており、研磨パッド22の表面が基板Wを研磨する研磨面23aを形成している。研磨パッド22には、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)等が用いられている。SUBA800は、繊維をウレタン樹脂で固めた不織布である。IC−1000は、硬質の発泡ポリウレタンであり、その表面に多数の微細な孔を有したパッドであり、パーフォレートパッドとも呼ばれている。
【0028】
研磨テーブル23の上方には、研磨液供給ノズル25が設置されており、この研磨液供給ノズル25によって研磨テーブル23上の研磨パッド22にスラリー(研磨液)が供給されるようになっている。スラリーとしては、砥粒としてシリカ(SiO
2)やセリア(CeO
2)を含んだ機能液が用いられる。研磨液供給ノズル25の後端は、シャフト51により支持されており、研磨液供給ノズル25はシャフト51を中心として揺動可能になっている。
【0029】
トップリング24は、その下面に基板Wを保持できるようになっている。トップリング24は、シャフト241に接続されており、シャフト241は、支持アーム242に対して上下動するようになっている。シャフト241の上下動により、支持アーム242に対してトップリング24を上下動させ、位置決めするようになっている。シャフト241は、研磨ヘッド回転モータ(図示せず)の駆動により回転するようになっている。シャフト241の回転により、トップリング24がシャフト241の回りに回転するようになっている。
【0030】
支持アーム242は、シャフト243を中心として旋回可能に構成されており、トップリング24は、支持アーム242の旋回により基板Wの受取位置(
図1に示す第1搬送位置TP1〜第4搬送位置TP4)から研磨テーブル23の上方に移動可能になっている。研磨テーブル23の上方に移動したトップリング24は、下面に保持した基板Wを研磨面23aに押圧する。このとき、研磨テーブル23およびトップリング24をそれぞれ回転させ、研磨テーブル23の上方に設けられた研磨液供給ノズル25から研磨パッド22上にスラリーを供給する。このように、スラリーを研磨パッド22上に供給しつつ、基板Wを研磨パッド22に押圧して基板Wと研磨パッド22とを相対移動させて基板W上の絶縁膜や金属膜等を研磨する。
【0031】
ドレッサ26は、シャフト261と、ドレッサアーム262と、支持アーム263と、を備える。ドレッサ26は、シャフト261に接続されており、シャフト261は、ドレッサアーム262の先端に回転自在に取り付けられている。ドレッサ26は、円形のドレッシング面を有しており、ドレッシング面には硬質な粒子が電着等により固定されている。この硬質な粒子としては、ダイヤモンド粒子やセラミック粒子などが挙げられる。ドレッサアーム262内には、図示しないモータが内蔵されており、このモータによってドレッサ26が回転するようになっている。ドレッサアーム262の他端は、支持アーム263に揺動自在に接続されており、支持アーム263は、シャフト264により旋回自在に支持されている。
【0032】
研磨面23aをドレッシングするときは、研磨テーブル23を回転させるとともに、図示しないモータによりドレッサ26を回転させ、次いで図示しない昇降機構によりドレッサ26を下降させ、ドレッサ26の下面を回転する研磨面23aに摺接させる。その状態で、ドレッサアーム262を揺動(スイング)させることにより、ドレッサ26は、研磨面23aの外周端から中心部まで横切るように移動することができる。この揺動動作により、ドレッサ26は、研磨面23aをその中心を含む全体に亘ってドレッシングすることができる。
【0033】
アトマイザ27は、研磨パッド22の上方に配置され、研磨面23aと平行に研磨テーブル23の略半径方向に延びるように配置されている。アトマイザ27は、研磨テーブル23の外側まで延びる固定用アーム271によってハウジング2(
図1参照)等に固定されるようになっている。アトマイザ27は、研磨面23aと対向する下面27bに噴射口272(後述する
図4参照)を備える。噴射口272は、アトマイザ27の長手方向に沿って所定間隔をおいて複数設けられている。
【0034】
アトマイザ27は、図示しない純水供給ラインと接続されている。純水供給ラインには、制御弁が設けられており、CMPコントローラである制御部3から制御信号が当該制御弁に入力され、噴射口272から噴射される純水の流量を制御する。これにより、研磨面23aに最適な流量の純水が吹き付けられ、研磨面23a上の異物(研磨パッド滓、砥液固着物等)が除去される。なお、噴射口272から混合流体を噴射する場合には、アトマイザ27は気体源にも接続される。
【0035】
図3は、一実施形態に係る研磨テーブル23上における研磨液供給ノズル25、トップリング24、ドレッサ26及びアトマイザ27の配置関係を示す平面図である。
図4は、一実施形態に係る研磨液供給ノズル25とアトマイザ27の高さ方向の配置関係を示す側面図である。
図5は、
図4に示す研磨液供給ノズル25をその長手方向から視た図である。
図3に示すように、トップリング24とドレッサ26とアトマイザ27とは、研磨パッド22上の空間を研磨テーブル23の回転中心Oを中心として円周方向に3分割するように配置されている。トップリング24とアトマイザ27とは、研磨テーブル23の回転中心Oを挟んで互いに反対側に配置されている。また、研磨液供給ノズル25は、トップリング24とアトマイザ27とに隣接して配置されており、スラリー滴下位置P1(流体滴下位置)は、研磨テーブル23の回転中心Oの近傍に設定されている。
【0036】
研磨液供給ノズル25は、シャフト51を中心として揺動可能になっている。シャフト51は、研磨テーブル23の外側に設定された退避位置P2とスラリー滴下位置P1との間で、研磨液供給ノズル25を移動させるノズル移動機構50を構成している。ノズル移動機構50は、シャフト51と、
図4に示す回転駆動部52と、を備える。回転駆動部52は、研磨テーブル23の外側においてシャフト51を鉛直軸回りに回転させるモータを備える。シャフト51が回転すると、研磨液供給ノズル25が、
図3に示すように、シャフト51を中心に揺動する。この研磨液供給ノズル25の揺動経路Lには、アトマイザ27(処理装置)が配置されている。
【0037】
図4に示すように、研磨液供給ノズル25は、研磨テーブル23の外側から水平方向に延在する本体251と、本体251に対し屈曲した先端252と、を備える。本体251は、シャフト51の上端から水平方向に延在し、アトマイザ27の上面27aよりも上方に配置されている。先端252は、本体251に対して屈曲し、アトマイザ27の上面27aよりも下方に配置されている。すなわち、研磨液供給ノズル25は、研磨テーブル23上に設定されたスラリー滴下位置P1において、アトマイザ27の上面27aよりも下方の位置でスラリーを滴下するようになっている。なお、先端252は、本体251に対して直角(90°)に屈曲しているが、例えば、本体251に対して直角以外の角度(45°や60°等)で屈曲していてもよい。
【0038】
研磨液供給ノズル25は、ノズル先端退避機構60に接続されている。ノズル先端退避機構60は、研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動する場合に、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させた状態とする。このノズル先端退避機構60は、
図3及び
図4に示すように、研磨テーブル23の外側に配置されている。具体的に、ノズル先端退避機構60は、研磨テーブル23の外側に配置されたシャフト51の上端に接続されており、シャフト51と共に回転するようになっている。
【0039】
ノズル先端退避機構60は、研磨液供給ノズル25の本体251をその長手方向に延びる水平軸100回りに回転させる水平軸回転機構である。研磨液供給ノズル25は、ノズルアーム25aと、内管部材25bと、を備える。ノズルアーム25aは、管状に形成されており、内管部材25bを支持し、内管部材25bを研磨液供給ノズル25の先端252まで案内する。内管部材25bは、ノズルアーム25aの内部を通り、研磨液供給ノズル25の先端252においてノズルアーム25aから露出し、その先端からスラリーを滴下する。内管部材25bは、ノズルアーム25aから露出する部分以外は、可撓性のチューブ体から形成することができる。
【0040】
ノズルアーム25aは、ノズル先端退避機構60に接続されている。ノズル先端退避機構60は、図示しないモータ等で、ノズルアーム25aを水平軸100回りに回転させることで、研磨液供給ノズル25の先端252を上下に揺動させるようになっている。研磨液供給ノズル25は、ノズルアーム25aの内部に通された内管部材25bがチューブ体の可撓性によって当該揺動に追従できるため、ノズルアーム25aとノズル先端退避機構60との摺動部におけるシールを不要とすることができる。なお、研磨液供給ノズル25を単管構造としてもよく、この場合、研磨液供給ノズル25とノズル先端退避機構60との摺動部においてスラリーの漏れを防止するシールを設置することが好ましい。
【0041】
図6は、一実施形態に係る研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1から退避位置P2に移動するときの様子を示す平面図である。
図7は、一実施形態に係るノズル先端退避機構60が研磨液供給ノズル25の先端252を退避させたときのアトマイザ27との高さ方向の配置関係を示す側面図である。
図8は、
図7に示す研磨液供給ノズル25をその長手方向から視た図である。
図6に示すように、ノズル先端退避機構60は、研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動する場合に、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させた状態とする。具体的に、ノズル先端退避機構60は、研磨液供給ノズル25の本体251をその長手方向に延びる水平軸100回りに回転させる。
【0042】
研磨液供給ノズル25は、研磨テーブル23の外側から水平方向に延在する本体251と、本体251に対し屈曲した先端252と、を備えている。このため、
図7に示すように、本体251をその長手方向に延びる水平軸100回りに回転させることで、先端252を上下に揺動させることができる。ノズル先端退避機構60は、
図8に示すように、研磨液供給ノズル25の先端252を鉛直下方からトップリング24と反対側に90°回転させ、本体251と同じ高さまで退避させる。本体251は、アトマイザ27の上面27aよりも上方に配置されている。このため、
図6に示すように、研磨液供給ノズル25は、アトマイザ27に干渉することなく、ノズル移動機構50によってアトマイザ27の上方を通過し、研磨テーブル23上に設定されたスラリー滴下位置P1から研磨テーブル23の外側の退避位置P2に移動することができる。なお、研磨液供給ノズル25が退避位置P2からスラリー滴下位置P1に移動するときも、ノズル先端退避機構60によってアトマイザ27の上面27aよりも上方に先端252を退避させた状態とすることで、アトマイザ27との干渉を回避することができる。
【0043】
このように、本実施形態では、ノズル先端退避機構60によって、研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動する場合に、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させることができるため、スラリー滴下位置P1においては、
図4に示すように、アトマイザ27の上面27aよりも下方の位置に先端252を配置することができ、研磨液供給ノズル25からのスラリーの滴下高さを低く設定できる。このため、研磨液供給ノズル25の先端252から研磨面23aに滴下するスラリーの飛散を抑制することができ、スラリーの周辺機器や壁への付着を防止することができる。また、本実施形態のように、ノズル先端退避機構60を研磨テーブル23の外側に配置することで、ノズル先端退避機構60の可動部から研磨テーブル23上へのパーティクル(摩耗粉、塵埃等)の落下を防止でき、CMPプロセスに影響が出ないようにすることができる。
【0044】
したがって、上述の本実施形態によれば、研磨テーブル23と、研磨面23aに流体を吹き付けるアトマイザ27と、研磨テーブル23上に設定されたスラリー滴下位置P1において、アトマイザ27の上面27aよりも下方の位置でスラリーを滴下する研磨液供給ノズル25と、研磨テーブル23の外側に設定された退避位置P2とスラリー滴下位置P1との間で、アトマイザ27の上方を通過させて研磨液供給ノズル25を移動させるノズル移動機構50と、研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動する場合に、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させた状態とするノズル先端退避機構60と、を備える、という構成を採用することによって、研磨液供給ノズル25から研磨テーブル23に滴下される流体の飛散を抑制できる基板処理装置1が得られる。
【0045】
<変形例>
ノズル先端退避機構60の変形例について、
図9〜
図11を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0046】
図9は、一実施形態の一変形例に係るノズル先端退避機構60Aの構成を示す側面図である。
図9に示すノズル先端退避機構60Aは、研磨液供給ノズル25の本体251をその長手方向と直交する水平軸101回りに回転させる水平軸回転機構である。ノズル先端退避機構60Aは、研磨液供給ノズル25に接続された可動部61と、可動部61を水平軸101回りに回転自在に支持する軸受部62と、を備える。軸受部62は、シャフト51の上端に接続されており、可動部61の回転軸61aを水平軸101回りに回転自在に支持する。可動部61は、図示しないエアシリンダ等の駆動源によって、回転軸61a回りに揺動し、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させる。この構成によれば、上述した実施形態と同様に、研磨液供給ノズル25は、アトマイザ27に干渉することなく、スラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動することができる。また、ノズル先端退避機構60Aは、研磨テーブル23の外側に配置することができるため、ノズル先端退避機構60Aの可動部61から研磨テーブル23上へのパーティクルの落下を防止でき、CMPプロセスに影響が出ないようにすることができる。
【0047】
図10は、一実施形態の一変形例に係るノズル先端退避機構60Bの構成を示す側面図である。
図10に示すノズル先端退避機構60Bは、研磨液供給ノズル25の先端252を伸縮させる伸縮機構である。ノズルアーム25aは、シャフト51の上端に接続された固定部53から水平方向に延在する水平部25a1と、水平部25a1の先端から下方に屈曲した鉛直部25a2と、を備える。また、内管部材25bは、スラリーを先端から滴下するノズル部25b1と、ノズル部25b1に接続された可撓性のチューブ体25b2と、を備える。ノズル先端退避機構60Bは、鉛直部25a2に沿って垂設されたレール64と、レール64に沿って移動するスライダ65と、を備える。スライダ65は、内管部材25bのノズル部25b1を支持し、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させる。この構成によれば、上述した実施形態と同様に、研磨液供給ノズル25は、アトマイザ27に干渉することなく、スラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動することができる。なお、ノズル先端退避機構60Bは、研磨テーブル23上に配置されるため、伸縮性のカバー(例えばベローズ管等)で被い、その可動部から研磨テーブル23上へのパーティクルの落下を防止することが好ましい。
【0048】
図11は、一実施形態の一変形例に係るノズル先端退避機構60Cの構成を示す側面図である。
図11に示すノズル先端退避機構60Cは、研磨液供給ノズル25全体を昇降させる昇降機構である。研磨液供給ノズル25は、シャフト51と共に昇降するようになっている。シャフト51の外周は、シール部材70に摺接している。シール部材70は、研磨テーブル23の外側において、研磨面23a上の空間(研磨空間)と、研磨面23aの下の空間(機器配置空間)とを区画する平底のパン71に取り付けられている。ノズル先端退避機構60Cは、シャフト51及び回転駆動部52を支持する支持台66と、支持台66を昇降させるエアシリンダ67を備える。エアシリンダ67は、研磨液供給ノズル25全体を昇降させることで、先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に退避させる。この構成によれば、上述した実施形態と同様に、研磨液供給ノズル25は、アトマイザ27に干渉することなく、スラリー滴下位置P1と退避位置P2との間を移動することができる。また、ノズル先端退避機構60Cは、研磨テーブル23の研磨面23a(パン71)よりも下方に配置されるため、研磨テーブル23上へのパーティクルの落下を確実に防止することができる。
【0049】
図12は、一実施形態の一変形例に係るノズル先端退避機構60Dの構成を示す斜視図である。
図13は、
図12に示すノズル先端退避機構60Dが備える連動機構80の構成を示す拡大斜視図である。
図14は、
図13に示す連動機構80が備えるバネ機構86の配置を研磨液供給ノズル25の長手方向から視た図である。
ノズル先端退避機構60Dは、研磨液供給ノズル25の本体251をその長手方向に延びる水平軸100回りに回転させる水平軸回転機構であって、ノズル移動機構50による研磨液供給ノズル25の動きを利用して、研磨液供給ノズル25の本体251を水平軸100回りに回転させる連動機構80を備える。
【0050】
連動機構80は、
図13に示す、ノズルアーム接続部材81と、軸受82,83と、回動ピン84と、固定ピン85と、
図14に示す、バネ機構86と、を備える。ノズルアーム接続部材81は、
図13に示すように、筒状に形成された胴部81aと、胴部81aの一端に設けられたフランジ部81bと、を有する。胴部81aの外周は、軸受82,83によって支持されている。フランジ部81bは、ノズルアーム25aの根元部25a3と接続されている。軸受82,83は、ノズルアーム接続部材81を介して研磨液供給ノズル25の本体251を水平軸100回りに回転自在に支持する。これら軸受82,83は、シャフト51の上端に固定されている。
【0051】
回動ピン84は、
図13に示すように、ノズルアーム25aの根元部25a3にネジ部材87を介して固定されており、研磨液供給ノズル25と共にシャフト51を中心として回動可能な構成となっている。この回動ピン84は、ノズルアーム25aの根元部25a3の下部から下方に垂設されている。固定ピン85は、回動ピン84の回動経路上に配置されている。固定ピン85は、不図示の座面から立設された支持柱88の上端88Aに固定されている。より詳しくは、支持柱88は、固定ピン85を水平方向に支持する支持ブロック88aと、支持ブロック88aの位置を調整する調整ネジ88bと、支持ブロック88aの位置を固定する固定ネジ88cと、を備える。調整ネジ88bは、支持柱88の上端88Aに螺合し、回動ピン84の移動経路上における固定ピン85の位置を、支持ブロック88aを介して調整する。固定ネジ88cは、支持ブロック88aに形成された長穴88a1を挿通して支持柱88の上端88Aに螺合し、任意の位置で支持ブロック88aを固定する。
【0052】
バネ機構86は、
図14に示すように、ノズルアーム接続部材81の胴部81aの外周に固定された第1の掛止片86aと、シャフト51の上端に固定された第2の掛止片86bと、一端が第1の掛止片86aに掛止され他端が第2の掛止片86bに掛止されたバネ部材86cと、を備える。このバネ機構86は、研磨液供給ノズル25の先端252を下向きに復元させる付勢力を付与する。すなわち、バネ部材86cは、研磨液供給ノズル25の先端252が下向きになったときに自然長(付勢力がゼロ)になるようにしてもよい。また、例えば、バネ部材86cの付勢力によって研磨液供給ノズル25の先端252がオーバーランしないように、ストッパーを設けてもよい。
【0053】
上記構成の連動機構80によれば、
図12に示すように、ノズル移動機構50による研磨液供給ノズル25の動きを利用して、研磨液供給ノズル25の本体251を水平軸100回りに回転させることができる。すなわち、研磨液供給ノズル25がシャフト51を中心に回動すると、回動ピン84が固定ピン85に接触する。回動ピン84が固定されたノズルアーム25aは、水平軸100回りに回転自在に支持されたノズルアーム接続部材81に固定されているため、回動ピン84が固定ピン85に接触すると、研磨液供給ノズル25の本体251が水平軸100回りに回転する。これにより、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に移動させることができる。このノズル先端退避機構60Dによれば、上述した
図4に示すノズル先端退避機構60(水平軸回転機構)の駆動源(モータやエアシリンダ等)を不要とすることができる。
【0054】
図15は、一実施形態の一変形例に係るノズル先端退避機構60Eの構成を示す斜視図である。
図16は、
図15に示すノズル先端退避機構60Eが備える連動機構90の構成を示す拡大斜視図である。
ノズル先端退避機構60Eは、研磨液供給ノズル25の本体251をその長手方向と直交する水平軸101回りに回転させる水平軸回転機構であって、ノズル移動機構50による研磨液供給ノズル25の動きを利用して、研磨液供給ノズル25の本体251を水平軸101回りに回転させる連動機構90を備える。
【0055】
連動機構90は、
図16に示す、ノズルアーム接続部材91と、カムフォロアー92と、ガイド部材93と、を備える。ノズルアーム接続部材91は、ノズルアーム25aと接続されている。このノズルアーム接続部材91の下部には、回転軸91aが設けられている。回転軸91aは、シャフト51の上端に固定された軸受部材94に、水平軸101回りに回転自在に支持されている。カムフォロアー92は、ノズルアーム接続部材91にネジ部材95を介して固定された固定片96に回転自在に支持されている。固定片96は、ノズルアーム接続部材91の下部から下方に垂設され、その下端にカムフォロアー92を支持している。
【0056】
ガイド部材93は、不図示の上部筐体から垂設された支持アーム97に固定されている。なお、ガイド部材93は、不図示の座面から立設させた支持柱に固定してもよい。ガイド部材93は、研磨液供給ノズル25がシャフト51を中心として回動するときに、カムフォロアー92が転動する転動溝93aを有する。転動溝93aは、第一平面93a1と、第二平面93a2と、傾斜面93a3と、を有する。第一平面93a1は、第二平面93a2よりも低い位置に設けられており、この第一平面93a1にカムフォロアー92があるとき、研磨液供給ノズル25の先端252は、アトマイザ27の上面27aよりも下方に位置する。すなわち、研磨液供給ノズル25がスラリー滴下位置P1に位置するとき、カムフォロアー92は第一平面93a1に接触している。
【0057】
第二平面93a2は、第一平面93a1よりも高い位置に設けられており、この第二平面93a2にカムフォロアー92があるとき、研磨液供給ノズル25の先端252は、アトマイザ27の上面27aよりも上方に位置する。すなわち、研磨液供給ノズル25が退避位置P2に位置するとき、カムフォロアー92は第二平面93a2に接触している。傾斜面93a3は、第一平面93a1と第二平面93a2との間に配置され、第一平面93a1と第二平面93a2とを接続する。支持アーム97は、ガイド部材93の位置を調整する調整ネジ93bと、ガイド部材93の位置を固定する固定ネジ93cと、を備える。調整ネジ93bは、支持アーム97に螺合し、カムフォロアー92の回動経路上におけるガイド部材93(転動溝93a)の位置を調整する。固定ネジ93cは、ガイド部材93に形成された図示しない長穴に挿通され、任意の位置でガイド部材93を固定する。
【0058】
上記構成の連動機構90によれば、
図15に示すように、ノズル移動機構50による研磨液供給ノズル25の動きを利用して、研磨液供給ノズル25の本体251を水平軸101回りに回転させることができる。すなわち、研磨液供給ノズル25がシャフト51を中心に回動すると、カムフォロアー92が転動溝93aを転動する。カムフォロアー92は、固定片96を介してノズルアーム接続部材91と接続されており、ノズルアーム接続部材91は、回転軸91aを介して水平軸101回りに回転自在にシャフト51に支持されているため、カムフォロアー92が第一平面93a1から傾斜面93a3を介して第二平面93a2に移動すると、研磨液供給ノズル25の本体251が水平軸101回りに回転する。これにより、研磨液供給ノズル25の先端252をアトマイザ27の上面27aよりも上方に移動させることができる。このノズル先端退避機構60Eによれば、上述した
図9に示すノズル先端退避機構60A(水平軸回転機構)の駆動源(モータやエアシリンダ等)を不要とすることができる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0060】
例えば、上記実施形態では、研磨液供給ノズル25の揺動と干渉する処理装置としてアトマイザ27を例示したが、研磨液供給ノズル25の揺動経路L上に例えばドレッサ26が配置される場合、研磨液供給ノズル25の先端252をドレッサ26の上面よりも上方に退避させる構成であってもよい。
【0061】
また、例えば、上記実施形態では、本発明を基板処理装置1の研磨モジュール21に適用した構成を例示したが、例えば、本発明を基板処理装置1の洗浄モジュール31に適用してもよい。洗浄モジュール31においても、基板Wに洗浄液を供給するノズルが配置され、例えば、基板Wを超音波洗浄する超音波洗浄装置(処理装置)が配置されていた場合、その超音波洗浄装置とノズルとの干渉を回避するために、本発明を適用することができる。また、洗浄モジュール31が、ロール洗浄モジュールやペンシル洗浄モジュールである場合、ロール洗浄部材やペンシル洗浄部材とノズルとの干渉を回避するために、本発明を適用することができる。また、本発明は、CMP装置以外の基板処理装置(例えば、裏面研磨装置、ベベル研磨装置、エッチング装置、あるいはめっき装置)にも適用することができる。