(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施態様は、特許請求の範囲及び明細書で説明される。好ましい実施態様の組み合わせは本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0022】
本発明によれば、CMP組成物は、無機粒子(A)を含む。
【0023】
一般的には、
無機粒子(A)の化学的性質は特に制限されていない。(A)は、同じ化学的性質の粒子、又は異なる化学的性質の粒子の混合物であってもよい。概して、同じ化学的性質の粒子(A)が好ましい。
【0024】
(A)は、
− 半金属、半金属酸化物若しくは炭化物を含む、金属、金属酸化物若しくは炭化物などの無機粒子、又は
− 無機粒子の混合物、
であり得る。
【0025】
一般的には、(A)は、
− 1種のコロイド無機粒子、
− 1種のヒュームド無機粒子、
− 異なる種のコロイド無機粒子及び/又はヒュームド無機粒子の混合物、
であり得る。
【0026】
一般的には、コロイド無機粒子は、湿式沈殿法により製造された無機粒子であり、ヒュームド無機粒子は、例えばAerosil(登録商標)プロセスを用いて、酸素の存在下で、水素で例えば金属塩化物前駆体の高温火炎加水分解により製造される。
【0027】
好ましくは、無機粒子(A)は、コロイド無機粒子、又はヒュームド無機粒子、又はそれらの混合物である。これらの中、金属又は半金属の酸化物及び炭化物が好ましい。より好ましくは、アルミナ、セリア、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化スズ、チタニア、炭化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、ジルコニア、又はそれらの複合物若しくは混合物である。最も好ましくは、粒子(A)は、アルミナ、セリア、シリカ、チタニア、ジルコニア、又はそれらの複合物若しくは混合物である。特に、(A)はシリカ粒子である。例えば、(A)はコロイドシリカ粒子である。
【0028】
ここで使用される「コロイドシリカ」という用語は、Si(OH)4の縮合重合により製造された二酸化ケイ素を指す。前駆体Si(OH)4は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解により、又はケイ酸塩水溶液の酸性化により得ることができる。このようなコロイドシリカは、US特許第5,230,833号に従って製造することができ、又は、任意の様々な市販の製品、例えばFuso PL−1、PL−2及びPL−3製品、及びNalco 1050、2327及び2329製品、並びに、DuPont、Bayer、Applied Research、日産化学、Nyacol及びClariantから入手可能な他の同様の製品として得ることができる。
【0029】
本発明によれば、CMP組成物(Q)中の(A)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、3.0質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下であり、最も好ましくは1.8質量%以下であり、特に1.5質量%以下である。本発明によれば、(A)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、少なくとも0.0001質量%、好ましくは少なくとも0.02質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、最も好ましくは少なくとも0.2質量%、特に少なくとも0.3質量%、である。例えば、(A)の量は、0.4質量%〜1.2質量%の範囲にあり得る。
【0030】
一般的には、粒子(A)は、様々な粒径分布で、組成物(Q)中に含むことができる。粒子(A)の粒径分布は、単峰性又は多峰性であり得る。多峰性粒径分布の場合、二峰性がしばしば好ましい。本発明のCMPプロセスの間の、容易に再現可能な特性プロファイル及び容易に再現可能な条件を有するために、粒子(A)において単峰性粒径分布が好ましい。しばしば、粒子(A)において、単峰性粒径分布を有することが最も好ましい。
【0031】
一般的には、粒子(A)の有する粒径分布は特に限定されない。
【0032】
粒子(A)の平均粒径は、広い範囲内で変化することができる。平均粒径は、水性媒体(E)中の粒子(A)の粒径分布のd
50値であり、例えば動的光散乱(DLS)又は静的光散乱(SLS)法を用いて測定することができる。これらの方法及び他の方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Kuntzsch,Timo;Witnik,Ulrike;Hollatz,Michael Stintz;Ripperger,Siegfried;半導体産業における化学機械研磨(CMP)に用いられるスラリーの特性;Chem.Eng.Technol;26(2003)、第12巻、1235頁を参照する。
【0033】
DLSにおいて、典型的には、Horiba LB−550V(DLS、マニュアルによる動的光散乱測定)又は
任意の他のそのような機器が使用される。この技術は、入射光に対して90°又は173°の角度で検出される、レーザ光源(λ=650nm)を散乱させるときの、粒子の流体力学的直径を測定する。散乱光の強度の変化は、粒子が入射ビームを通過するときのランダムなブラウン運動に起因し、時間の関数として監視される。遅延時間の関数として装置によって実行される自己相関関数は、減衰定数を抽出するために使用される;より小さい粒子は、入射ビームを通してより速い速度で移動し、より速い減衰に対応する。
【0034】
これらの減衰定数は、粒子の拡散係数D
tに比例し、ストークス−アインシュタインの式に従って粒径を計算するために使用される:
【0036】
式中、懸濁粒子は、(1)球状形態を有し、(2)水性媒体(E)全体に均一に分散されている(すなわち、凝集していない)と仮定される。η=0.96mPa・s(T=22℃)の水性分散剤(E)の粘度に有意な偏差がないので、この関係は、1質量%未満の固形分を含有する粒子分散系に有効であると予期される。ヒューム又はドコロイド無機粒子分散系(A)の粒径分布は、通常、固形分濃度0.1〜1.0%のプラスチックキュベット中で測定され、必要に応じて分散媒
体又は超純水を用いて希釈される。
【0037】
好ましくは、粒子(A)の平均粒径は、例えばMalvern Instruments,Ltd.製の高性能粒径測定器(High Performance Particle Sizer)(HPPS)又はHoriba LB550などの機器を用いて動的光散乱技術で測定される、20〜200nmの範囲、より好ましくは25〜180nmの範囲、最も好ましくは30〜170nmの範囲、特に好ましくは40〜160nmの範囲、特に45〜150nmの範囲にある。
【0038】
粒子(A)の、DIN ISO 9277:2010−09により決定されたBET表面積は、広い範囲内で変化することができる。好ましくは、粒子(A)のBET表面積は、1〜500m
2/gの範囲、より好ましくは5〜250m
2/gの範囲、最も好ましくは10〜100m
2/gの範囲、特に20〜
95m
2/gの範囲、例えば25〜92m
2/gの範囲にある。
【0039】
粒子(A)は様々な形状であり得る。それによって、粒子(A)は、1つ又は本質的に1つのみのタイプの形状であってもよい。しかしながら、粒子(A)は
、異なる形状を有してもよい。例えば、2つのタイプの異なる形状の粒子(A)が存在してもよい。例えば、(A)は、かたまり、立方体、斜縁を備えた立方体、八面体、二十面体、コクーン、突起又はくぼみを有するか又は有しないノジュール又は球体の形状を有することができる。好ましくは、それらは本質的に球形であり、それによって、典型的には、これらは突起又はくぼみを有する。
【0040】
無機粒子(A)はコクーン状であることが好ましい。コクーンは、突起又はくぼみを有しても、有しなくてもよい。コクーン状粒子は、10〜200nmの短軸、1.4〜2.2、より好ましくは1.6〜2.0の長軸/短軸の比を有する粒子である。好ましくは、それらは、透過型電子顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により決定することができる、0.7〜0.97、より好ましくは0.77〜0.92の平均形状係数、好ましくは0.4〜0.9、より好ましくは0.5〜0.7の平均球形度、及び好ましくは41〜66nm、より好ましくは48〜60nmの平均円相当径を有する。
【0041】
以下、
図1〜4を参照して、コクーン状粒子の形状係数、球形度及び円相当径の決定を説明する。
【0042】
形状係数は、個々の粒子の形状及びくぼみに関する情報(
図1を参照する)を提供し、下記の式により計算することができる:
形状係数=4π(面積/周長
2)
【0043】
くぼみのない球状粒子の形状係数は1である。くぼみの数が増大すると、形状係数値が低減する。
【0044】
球形度(
図2を参照する)は、平均の周りのモーメントを用いて個々の粒子の伸びに関する情報を提供し、下記の式により計算することができる:
球形度=(M
xx−M
yy)−[4M
xy2+(M
yy−M
xx)
2]
0.5/(M
xx−M
yy)+[4M
xy2+(M
yy−M
xx)
2]
0.5
伸び=(1/球形度)
0.5
(式中、
Mは、それぞれの粒子の重心であり、
M
xx=Σ(x−x
平均)
2/N、
M
yy=Σ(y−y
平均)
2/N、
M
xy=Σ[(x−x
平均)*(y−y
平均)]/N、
Nは、それぞれの粒子の画像を構成する画素の数であり、
x、yは、画素の座標であり、
x
平均は、前記粒子の画像を構成するN画素のx座標の平均値であり、
y
平均は、前記粒子の画像を構成するN画素のy座標の平均値である)。
【0045】
球状粒子の球形度は1である。粒子が伸びると、球形度値が低減する。
【0046】
個々の非円形の粒子の円相当径(以下、ECDとも略称される)は、それぞれの非円形の粒子と同様の面積を有する円の直径に関する情報を提供する(
図3を参照する)。
【0047】
平均形状係数、平均球形度及び平均ECDは、分析された粒子数に関連するそれぞれの特性の算術平均である。
【0048】
粒子形状の特徴付けの手順は以下の通りである。20質量%の固形分を有するコクーン状のシリカ粒子水性分散液を、炭素ホイル上に分散させ、乾燥させる。乾燥した分散液を、エネルギーフィルタ型透過電子顕微鏡(EF−TEM)(120キロボルト)及び走査型電子顕微鏡二次電子画像(SEM−SE)(5キロボルト)を用いて分析する。分析には、2k、16ビット、0.6851nm/画素の分解を有するEF−TEM画像(
図4を参照する)を使用する。画像は、ノイズ抑制後のしきい値を使用する2値化である。その後、粒子を手動で分離する。重なる粒子及び縁にある粒子を識別し、分析に使用しない。上記で定義したECD、形状係数及び球形度を計算し、統計的に分類する。
【0049】
例えば、コクーン状粒子は、35nmの平均一次粒子径(d1)及び70nmの平均二次粒子径(d2)を有する、Fuso Chemical Corporation製のFUSO(登録商標)PL−3である。
【0050】
本発明によれば、使用されるCMP組成物(Q)は、腐食防止剤としての、一般式1〜5、
【0051】
【化2】
(式中、
R
1は、好ましくは、H、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアミノ、カルボキシル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホン酸塩、チオ又はアルキルチオであってもよく、より好ましくは、R
1は、H、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、チオ、メチルチオ又はエチルチオであってもよく、最も好ましくは、R
1は、H、ヒドロキシル、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル又はエチルスルホニルであってもよく、特に好ましくは、R
1は、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル又はメチルスルホニルであってもよく、
R
2は、好ましくは、H、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアミノ、カルボキシル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホン酸塩、チオ又はアルキルチオであってもよく、より好ましくは、R
2は、H、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、チオ、メチルチオ又はエチルチオであってもよく、最も好ましくは、R
2は、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ又はカルボキシルであってもよく、特に好ましくは、
R2は、モノ−メチルアミノ又はジメチルアミノであってもよく、
R
3は、好ましくは、H、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアミノ、カルボキシル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホン酸塩、チオ又はアルキルチオであってもよく、より好ましくは、R
3は、H、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルアミノ、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、チオ、メチルチオ又はエチルチオであってもよく、最も好ましくは、R
3は、ベンジルアミノ、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ又はカルボキシルであってもよく、特に好ましくは、R
3はベンジルアミノであってもよく、
R
4は、好ましくは、H、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアミノ、カルボキシル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホン酸塩、チオ又はアルキルチオであってもよく、より好ましくは、R
4は、H、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、チオ、メチルチオ又はエチルチオであってもよく、最も好ましくは、R
4は、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ又はカルボキシルであってもよく、特に好ましくは、R
4はアミノ又はジメチルアミノであってもよく、
R
5は、好ましくは、H、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、アルキルアミノ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアミノ、カルボキシル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホン酸塩、チオ又はアルキルチオであってもよく、より好ましくは、R
5は、H、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、チオ、メチルチオ又はエチルチオであってもよく、最も好ましくは、R
5は、アミノ、モノ−メチルアミノ、ジメチルアミノ、モノ−エチルアミノ、ジエチルアミノ又はカルボキシルであってもよく、特に好ましくは、R
5はカルボキシルであってもよい)
の少なくとも1つのカルボン酸官能基を有する置換芳香族化合物(B)を含む。
【0052】
例えば、一般式(I)の化合物(B)は、イソフタル酸、テレフタル酸、2−アミノ−テレフタル酸、4−メチルアミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸、4−メチル−スルホニル安息香酸、トリメシン酸、3−メチルアミノ安息香酸、4−(ジエチルアミノ)安息香酸、3−ジメチルアミノ安息香酸、又は2−(ベンジルアミノ)安息香酸であってもよい。
【0053】
上記で定義された一般式1〜5の化合物(B)は、CMPに使用される、例えばベンゾトリアゾール(BTA)のような一般的に知られている腐食防止剤を添加しないで、コバルト及び/又はコバルト合金の腐食防止剤として機能する。現在、一般式1〜5の化合物(B)は、コバルト及び/又はコバルト合金の表面上に保護分子層を形成することによって腐食防止剤として機能することができると考えられている。驚くべきことに、一般的に使用される化合物ベンゾトリアゾール(BTA)及びBTAの誘導体ならびにCMP組成物のための先行技術で使用される他のトリアゾールと比較して、一般式1〜5の化合物(B)は、コバルト及び/又はコバルト合金含有の基板のより高い材料除去速度と組み合わせて、コバルト及び/又はコバルト合金のより低いエッチング速度、従ってよりよい腐食防止に関する有利な効果を有する。
【0054】
本発明によれば、使用されたCMP組成物(Q)中の(B)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、さらにより好まし
くは0.08質量%以下、さらにより好まし
くは0.06質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以下、特に0.0095質量%以下である。本発明によれば、(B)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、少なくとも0.002質量%、好ましくは少なくとも0.0025質量%、より好ましくは少なくとも0.003質量%、さらにより好ましくは少なくとも0.004質量%、さらにより好ましくは少なくとも0.005質量%、最も好ましくは少なくとも0.007質量%、特に少なくとも0.008質量%である。例えば、(B)の量は、0.0022質量%〜0.0092質量%の範囲にあり得る。
【0055】
本発明によれば、CMP組成物は、少なくとも1種のアミノ酸(C)を含む。
【0056】
一般的には、アミノ基及び酸基を有する有機化合物は、アミノ酸を指す。本発明のために、アミノ酸において、全ての個々の立体異性体及びそれらのラセミ混合物も考えられる。アミノ基及び酸基の両方が1つの炭素に結合されている(α−アミノカルボン酸と呼ばれる)ものは、CMPスラリー中の化学添加剤として使用されることが好ましい。多くのα-アミノカルボン酸が知られており、生体内のタンパク質の基本成分として使用される「天然」アミノ酸が20種存在している。アミノ酸は、水性キャリアの存在下でそれらの側鎖によって、親水性、中性又は疎水性であり得る。研磨添加剤としてのαアミノ酸の添加は、金属材料の除去速度を高める。
【0057】
少なくとも1種のα−アミノ酸(C)は、一般式(II)、
H
2N-CR
1R
2COOH (II)
(式中、
R1及び
R2は、互いに独立して、水素、1種以上の置換基で置換又は置換されない1〜8個の炭素原子を有する環状、分岐状又は直鎖部分であり、前記1種以上の置換基が、−COOH、−CONH
2、−NH
2、−S−、−OH、−SH(これに制限していない)などの、窒素含有置換基、酸素含有置換基、硫黄含有置換基、並びにそれらの混合物及び塩から選択される)
で表される。
【0058】
好ましくは、少なくとも1種のアミノ酸(C)は、α−アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、並びにそれらの混合物及び塩である。より好ましくは、(C)は、α−アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、
グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、プロリン、セリン、バリン、並びにそれらの混合物及び塩である。最も好ましくは、(C)は、α−アラニン、アスパラギン酸、
グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン、並びにそれらの混合物及び塩であり、特に、(C)は、α−アラニン、アスパラギン酸、グリシン、並びにそれらの混合物及び塩であり、例えば、(C)はグリシンである。
【0059】
本発明によれば、CMP組成物(Q)中のアミノ酸(C)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、2.25質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、最も好ましくは1質量%以下、特に0.8質量%以下である、本発明によれば、(C)の量は、組成物(Q)の総質量に基づいて、少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.3質量%、より好ましくは少なくとも0.4質量%、最も好ましくは少なくとも0.5質量%、特に少なくとも0.6質量%である。例えば、(C)の量は、0.65質量%〜0.78質量%の範囲にあり得る。
【0060】
本発明により使用されたCMP組成物は、少なくとも1種の酸化剤(D)、好ましくは1種又は2種の酸化剤(D)、より好ましくは1種の酸化剤(D)を含む。酸化剤(D)は、成分(A)、(B)、(C)及び(E)と異なる。一般的には、酸化剤は、被研磨基板又はその層の1つを酸化することができる化合物である。好ましくは、(D)は過酸類酸化剤である。より好ましくは、(D)は、過酸化物、過硫酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩又はそれらの誘導体である。最も好ましくは、(D)は、過酸化物又は過塩素酸塩である。特に、(D)は過酸化物である。例えば、(D)は過酸化水素である。
【0061】
少なくとも1種の酸化剤(D)は、本発明により使用されたCMP組成物中に様々な量で含有することができる。好ましくは、(D)の量は、いずれの場合にも本発明により使用されたCMP組成物の総質量に基づいて、4質量%(いずれの場合にも、質量%は「質量パーセント」を表す)以下、より好ましくは2.5質量%以下、最も好ましくは1.8質量%以下、特に1.5質量%以下、例えば1.2質量%以下である。好ましくは、(D)の量は、いずれの場合にも本発明により使用されたCMP組成物の総質量に基づいて、少なくとも0.2質量%、より好ましくは少なくとも0.25質量%、最も好ましくは少なくとも0.3質量%、特に少なくとも0.35質量%、例えば少なくとも0.4質量%である。過酸化水素を酸化剤(D)として使用する場合、(D)の量は、いずれの場合にも本発明により使用されたCMP組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.2質量%〜2.8質量%、より好ましくは0.28質量%〜1.9質量%、例えば1.0質量%である。
【0062】
本発明によれば、使用されたCMP組成物は、水性媒体(E)を含む。(E)は、1種の水性媒体、又は異なる種の水性媒体の混合物であり得る。
【0063】
一般的には、水性媒体(E)は、水を含有する任意の媒体であることができる。好ましくは、水性媒体(E)は、水、及び水と混合できる有機溶媒(例えば、アルコール、好ましくはC
1〜C
3アルコール、又はアルキレングリコール誘導体)の混合物である。より好ましくは、水性媒体(E)は水である。最も好ましくは、水性媒体(E)は脱イオン水である。
【0064】
(E)以外の成分の量が、CMP組成物の質量に基づいて、合計でx質量%である場合、(E)の量は、CMP組成物(Q)の質量に基づいて、(100−x)質量%である。
【0065】
本発明により使用されたCMP組成物の特性、例えば、異なる材料に対して(例えば金属対二酸化ケイ素)組成物の安定性、研磨性能及びエッチング挙動は、それぞれ、対応する組成物のpHに依存することが可能である。
【0066】
本発明によれば、使用されたCMP組成物(Q)は、7〜10の範囲のpHを有する。好ましくは、本発明により使用される組成物のpH値は、それぞれ、7.2〜9.4、より好ましくは7.5〜9.0、最も好ましくは7.7〜8.8、特に好ましくは7.8〜8.6、例えば7.9〜8.4の範囲にある。
【0067】
使用された本発明のCMP組成物は、さらに、任意に、少なくとも1種のアミノ酸(C)と異なる少なくとも1種のさらなる錯化剤(G)、例えば1種の錯化剤を含有することができる。一般的には、錯化剤は、被研磨基板又はその1つの層のイオンを錯化することができる化合物である。好ましくは、(G)は、少なくとも1個のCOOH基を有するカルボン酸、N含有カルボン酸、N含有スルホン酸、N含有硫酸、N含有ホスホン酸、N含有リン酸又はそれらの塩である。より好ましくは、(G)は、少なくとも2個のCOOH基を有するカルボン酸、N含有カルボン酸又はそれらの塩である。例えば、すくなくとも1種のさらなる錯化剤(G)は、酢酸、グルコン酸、乳酸、ニトリロ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノ−ジ−コハク酸、グルタル酸、クエン酸、マロン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸及びフィチン酸であり得る。
【0068】
存在する場合、錯化剤(G)は、様々な量で含有することができる。好ましくは、(G)の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下、例えば2質量%以下である。好ましくは、(G)の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、最も好ましくは少なくとも0.5質量%、例えば少なくとも1質量%である。
【0069】
さらに、使用された本発明のCMP組成物は、任意に、少なくとも1種の殺生物剤(H)、例えば1種の殺生物剤をさらに含有することができる。一般的には、殺生物剤は、化学的又は生物学的手段により、任意の有害生物を抑制、無害化又は制御効果を発揮する化合物である。好ましくは、(H)は、第4級アンモニウム化合物、イソチアゾリノン系化合物、N−置換二酸化ジアゾニウム、又はN’−ヒドロキシ
−ジアゾニウムオキサイド塩である。より好ましくは、(H)はN−置換二酸化ジアゾニウム又はN’−ヒドロキシ
−ジアゾニウムオキサイド塩である。
【0070】
存在する場合、殺生物剤(H)は、様々な量で含有することができる。存在する場合、(H)の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.05質量%以下、特に0.02質量%以下、例えば0.008質量%以下である。存在する場合、(H)の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、好ましくは少なくとも0.0001質量%、より好ましくは少なくとも0.0005質量%、最も好ましくは少なくとも0.001質量%、特に少なくとも0.003質量%、例えば少なくとも0.006質量%である。
【0071】
本発明により使用されたCMP組成物は、それぞれ、対象とする前記CMP組成物の使用の特定の要求に応じて必要の場合に、pH調整剤、緩衝物質、安定剤、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤であってもよい)、減摩剤など(これに制限していない)を含む様々な他の添加剤を含んでもよい。前記他の添加剤は、例えば、通常CMP組成物に使用されるものであるので、当業者に公知である。このような添加剤は、例えば、分散を安定化させるか、又は研磨性能、若しくは異なる層間の選択性を向上することができる。
【0072】
存在する場合、前記添加剤は、様々な量で含有することができる。好ましくは、前記添加剤の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下、例えば0.01質量%以下である。好ましくは、前記添加剤の量は、対応する組成物の総質量に基づいて、少なくとも0.0001質量%、より好ましくは少なくとも0.001質量%、最も好ましくは少なくとも0.01質量%、例えば少なくとも0.1質量%である。
【0073】
本発明により使用されたCMP組成物(Q)は、半導体産業におけるコバルト及び/又はコバルト合金を含む基板(S)の化学機械研磨に使用される。
【0074】
コバルト及び/又はコバルト合金は、任意のタイプ、形態又は形状であることができる。好ましくは、コバルト及び/又はコバルト合金は層状及び/又はオーバーグロース(overgrowth)の形状を有する。このコバルト及び/又はコバルト合金が層状及び/又はオーバーグロースの形状を有する場合、コバルト及び/又はコバルト合金の含有量は、対応する層及び/又はオーバーグロースの質量に基づいて、好ましく
は90質量%を超え、より好ましくは95質量%を超え、最も好ましくは98質量%を超え、特に99質量%を超え、例えば99.9質量%を超える。コバルト及び/又はコバルト合金は、好ましくは、他の基板の間のトレンチ又はプラグに充填又は生成され、より好まし
くは、誘電材料、例えばSiO
2、シリコン、低k(BD1、BD2)又は超低k材料などの誘電材料、又は半導体産業に使用される他の絶縁材料及び半導体材料中のトレンチ又はプラグに充填又は生成され
る。例えば、シリコン貫通電極(TSV)中間処理において、絶縁材料、例えばポリマー、フォトレジスト及び/又はポリイミドは、ウェハの裏面からTSVを露出させた後に絶縁/分離特性のためのウェットエッチング及びCMPの後続の処理工程の間の絶縁材料として使用することができる。銅含有材料と誘電材料との間には、バリア材料の薄層を有することができる。一般的には、金属イオンを誘電材料中に拡散することを防止するためのバリア材料は、例えば、Ti/TiN、Ta/TaN、又はRu若しくはRu合金、Co若しくはCo合金であり得る。
【0075】
本発明によるCMP組成物(Q)をコバルト及び/又はコバルト合金を含む基板の研磨に使用する場合、コバルトの静的エッチング速度(SER)は、好ましくは100Å/分未満、より好ましくは80Å/分未満、最も好ましくは70Å/分未満、特に好ましくは60Å/分未満であり、例えば、静的エッチング速度は38Å/分未満であってもよい。
【0076】
本発明によるCMP組成物(Q)をコバルト及び/又はコバルト合金を含む基板の研磨に使用する場合、コバルトの材料除去速度(MRR)は、好ましくは400〜7500Å/分の範囲、より好ましくは850〜6500Å/分の範囲、最も好ましくは920〜5800Å/分の範囲、特に好ましくは980〜5500Å/分の範囲にあり、例えば、コバルト材料除去速度は1000〜5650Å/分の範囲にある。
【0077】
半導体装置は、本発明のCMP組成物(Q)の存在下で、半導体産業に使用される基板(S)の化学機械研磨を含む方法により製造することができる。本発明によれば、前記方法は、コバルト及び/又はコバルト合金を含む基板(S)の化学機械研磨を含む。
【0078】
一般的には、本発明による方法により製造することができる半導体装置には、特に制限していない。したがって、半導体装置は、半導体材料、例えばシリコン、ゲルマニウム及びIII−V材料を含む電子部品であり得る。半導体装置は、
単個のディスクリート素子として製造されたもの、又はウェハ上に製造及び相互接続された複数の素子からなる集積回路(ICs)として製造されたものであることができる。半導体装置は、2端子装置(例えば、ダイオード)、3端子装置(例えば、バイポーラトランジスタ)、4端子装置(例えば、ホール効果センサー)、又は多端子装置であり得る。好ましくは、前記半導体装置は多端子装置である。多端子装置は、論理装置、例えば集積回路、及びマイクロプロセッサ又はメモリデバイス、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)及び相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)であり得る。
好ましくは、前記半導体装置は多端子論理装置である。特に、前記半導体装置はマイクロプロセッサの集積回路である。
【0079】
一般的には、集積回路において、Coは、銅相互接続のための接着層又はバリア層として使用される。例えば、メモリデバイス中に、及びMOSFET中に金属ゲートとして含まれるCoは、そのナノ結晶の形態で存在する。また、コバルトは、電着による銅のメッキを可能にする種として使用することができる。コバルト又はコバルト合金は、銅の代わりに、1層以上の配線として使用することもできる。例えば、コンデンサ(CAP)は、金属、絶縁体、金属(MIM)の一連の層、及び同じレベルの薄膜抵抗器により形成することができる。回路設計者は、最も低い金属レベルでTaN薄膜抵抗器に配線することができ、該TaN薄膜抵抗器が、寄生を低下させ、既存の配線レベルをより効率的に使用することができる。
誘導体上の、過剰の銅及び/又はコバルト、並びに、例えば金属窒化物又は金属炭素窒化物(例えば、Co/TaN、Co/TiN、Co/TaCN、Co/TiCN)の形態で、又は例えば
単個のコバルト合金層(例えばCoMo、CoTa、CoTi及びCoW)としてCoを含む接着層及び/又はバリア層は、本発明による化学機械研磨方法により除去することができる。
【0080】
一般的には、このコバルト及び/又はコバルト合金は、様々な方法で製造する又は得ることができる。コバルト又はコバルト合金は、ALD、PVD又はCVDプロセスにより製造することができる。コバルト又はコバルト合金はバリア材料上に堆積されることが可能である。バリア応用に適した材料は、当業者に公知である。バリアは、コバルト又は銅のような金属原子又はイオンが誘電層中に拡散することを防止し、導電層の接着特性を向上する。Ta/TaN、Ti/TiNを使用することができる。
【0081】
一般的には、このコバルト及び/又はコバルト合金は、任意のタイプ、形態又は形状であり得る。好ましくは、このコバルト及び/又はコバルト合金は
層状及び/又はオーバーグロースの形状を有する。このコバルト及び/又はコバルト合金が層状及び/又はオーバーグロースの形状を有する場合、コバルト及び/又はコバルト合金の含有量は、対応する層及び/又はオーバーグロースの質量に基づいて、好ましく
は90質量%を超え、より好ましくは95質量%を超え、最も好ましくは98質量%を超え、特に99質量%を超え、例えば99.9質量%を超える。このコバルト及び/又はコバルト合金は、好ましくは、他の基板の間のトレンチ又はプラグに充填又は生成され、より好まし
くは、誘電材料、例えばSiO
2、シリコン、低k(BD1、BD2)又は超低k材料などの誘電材料、又は半導体産業に使用される他の絶縁材料及び半導体材料中のトレンチ又はプラグに充填又は生成され
る。
【0082】
一般的には、下向き圧力(down pressure)又は下向き力(down force)は、キャリアによりCMPの間にパッドに対して押し付けるウェハに適用される下向きの圧力又は下向きの力である。この下向き圧力又は下向き力は、例えば、1平方インチ当たりのポンド(psiと略記される)で測定することができる。
【0083】
例えば、本発明の方法は、2psi以下の下向き圧力で行われてもよい。下向き圧力は、好ましくは0.1〜1.9psiの範囲、より好ましくは0.3〜1.8psiの範囲、最も好ましくは0.4〜1.7psiの範囲、特に好ましくは0.8〜1.6psiの範囲、例えば1.3psiである。
【0084】
本発明の方法は、コバルト及び/又はコバルト合金を含む基板の化学機械研磨を含む場合、コバルトの静的エッチング速度(SER)は、好ましくは100Å/分未満、より好ましくは80Å/分未満、最も好ましくは70Å/分未満、特に好ましくは60Å/分未満であり、例えば、静的エッチング速度は38Å/分未満であってもよい。
【0085】
本発明の方法は、コバルト及び/又はコバルト合金を含む基板の化学機械研磨を含む場合、コバルトの材料除去速度(MRR)は、好ましくは300〜7500Å/分の範囲、より好ましくは850〜6500Å/分の範囲、最も好ましくは920〜5800Å/分の範囲、特に好ましくは980〜5500Å/分の範囲にあり、例えば、コバルト材料除去速度は1000〜5650Å/分の範囲にある。
【0086】
これらの様々な範囲のコバルト材料除去速度は、例えば、CMP組成物(Q)の成分(B)の濃度及び研磨剤(A)の濃度を変化することにより達成することができる。
【0087】
本発明により使用されたCMP組成物(Q)の例
【0088】
Z1:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.002質量%〜0.0097質量%の総量のイソフタル酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0089】
Z2:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.002質量%〜0.0097質量%の総量のテレフタル酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0090】
Z3:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の2−アミノテレフタル酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0091】
Z4:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の4−メチルアミノ安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0092】
Z5:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の4−(ジメチルアミノ)安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0093】
Z6:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の4−メチルスルホニル安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0094】
Z7:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.002質量%〜0.0097質量%の総量のトリメシン酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0095】
Z8:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の3−メチルアミノ安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0096】
Z9:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の4−(ジエチルアミノ)安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0097】
Z10:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の3−ジメチルアミノ安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0098】
Z11:
(A)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.01質量%〜1.8質量%の総量のコロイドシリカ粒子、
(B)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.008質量%〜0.08質量%の総量の2−(ベンジルアミノ)安息香酸、
(C)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて0.35質量%〜0.8質量%の総量の、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、システイン、セリン及びプロリン又はそれらの塩からなる群から選択された、少なくとも1種のアミノ酸(C)、
(D)それぞれのCMP組成物の総質量に基づいて、0.2質量%〜1.5質量%の総量の過酸化水素、
(E)水性媒体、
ここで、CMP組成物(Q)は、7.8〜8.9のpHを有する。
【0099】
通常、CMP組成物の製造方法は公知である。これらの方法は、本発明により使用されたCMP組成物の製造に適用することができる。これは、例えば、水性媒体(E)(好ましくは、水)中に上述した成分(A)、(B)、(C)、(D)及び任意の成分を分散又は溶解することにより、任意に酸、塩基、バッファー又はpH調整剤の添加によりpH値を調整することにより、実行することができる。このために、従来の、及び標準の混合方法及び混合装置、例えば攪拌容器、高せん断インペラ(high shear impellers)、超音波ミキサー、ホモジナイザーノズル又は向流ミキサーが、使用することができる。
【0100】
研磨方法は、一般に公知であり、集積回路を有するウェハの製造において、CMPに使用される通常の条件下で、方法及び装置を用いて行うことができる。研磨方法が行うことができる装置に関して、制限していない。
【0101】
当技術分野で知られているように、CMP方法のための典型的な装置は、研磨パッドで覆われた回転プラテンからなる。軌道研磨機も使用している。ウェハは、キャリア又はチャック上に取り付けられる。処理されるウェハの側面は、研磨パッドに向いている(片面研磨プロセス)。保持リングはウェハを水平位置に固定する。
【0102】
キャリアの下方では、一般に、より大きな直径のプラテンも水平に配置され、研磨すべきウェハの表面と平行な表面を提供する。プラテン上の研磨パッドは、平坦化プロセス中にウェハ表面に接触する。
【0103】
材料損失を生じさせるために、ウェハを研磨パッドに押し付ける。通常、キャリアとプラテンの両方は、キャリアとプラテンから垂直に延びるそれぞれの軸を中心に回転させる。回転キャリアの軸は、回転プラテンに対する位置に固定されたままであってもよいか、又はプラテンに対して水平に振動してもよい。キャリアの回転方向は、必ずしもそうではないが、典型的には、プラテンの回転方向と同様である。キャリア及びプラテンの回転速度は、一般に、必ずしも異なるものではないが、異なる値に設定される。本発明のCMP方法の間、本発明のCMP組成物は、通常、連続的な流れとして、又は滴下方式で研磨パッド上に適用される。通常、プラテンの温度は10〜70℃の温度に設定される。
【0104】
ウェハ
に対する負荷は、例えば、しばしばバッキングフィルムと呼ばれる柔軟なパッドで覆われている、鋼製の平らなプレートにより適用することができる。より進化した装置を使用する場合、空気又は窒素の圧力を負荷された可撓性膜がウェハをパッド上に押し付ける。硬質研磨パッドを使用する場合、ウェハ上の下向き圧力分布が、硬質プラテン配置を有するキャリアよりもより均一であるので、このような膜キャリアは、低い
下向きの力のプロセスに好ましい。また、ウェハ上の圧力分布を制御するオプションを有するキャリアも、本発明に従って使用することができる。それらは、通常、互いに独立して一定の程度まで負荷することができる多数の異なるチャンバを備えるように設計されている。
【0105】
さらなる詳細については、WO2004/063301A1、特に
図2と合わせて16頁の段落[0036]から18頁の段落[0040]を参照する。
【0106】
本発明のCMP方法及び/又は本発明のCMP組成物を使用することにより、優れた機能性を有しコバルト及び/又はコバルト合金を含む集積回路を有するウェハを得ることができる。
【0107】
本発明により使用されたCMP組成物は、すぐに使用できるスラリーとしてCMP方法に使用することができ、長い貯蔵寿命を有し、長時間にわたって安定な粒径分布を示す。したがって、それらは、容易に取り扱い及び保管することができる。それらは、優れた研磨性能、特にコバルトの高い材料除去速度(MRR)と組み合わせてコバルト及び/又はコバルト合金の低い静的エッチング速度を示す。
その成分の量が最小限に抑えられるので、本発明により使用されるCMP組成物は、それぞれ費用効果が高い方法で使用することができる。
【実施例】
【0109】
実施例及び比較例
以下、CMP実験の基本手順を説明する。
【0110】
200mm Co/Coウェハの標準CMPプロセス:
Strasbaugh nSpire(Model 6EC)、ViPRR浮動保持リングキャリア(floating retaining ring Carrier);
下向き圧力: 1.5psi;
背面圧: 1.0psi;
保持リング圧力: 1.0psi;
研磨テーブル/キャリア速度: 130/127rmp;
スラリー流速: 300ml/分;
研磨時間: 15秒;(Co)
60秒;(Cu)
研磨パッド: Fujibo H800;
バッキングフィルム: Strasbaugh,DF200(136孔);
調整ツール: Strasbaugh、ソフトブラシ、実験室内;各ウェハの後に、他のウェハの次の処理のために、5ポンドの下向き力で2回の清掃によって、パッドを調整する。ブラシは軟質である。これは、200回の掃引の後でさえも、ブラシが軟質研磨パッド上の除去速度に有意な影響が起こらないことを意味する。
【0111】
金属ウェハを研磨する前に、3つのダミーTEOSウェハを60秒研磨する(Coウェハの場合には15秒研磨する)。
【0112】
ローカル供給ステーション(local supply station)内で、スラリーを攪拌する。
【0113】
金属ブランケットウェハの標準分析手順:
Sartorius LA310 Sスケール又はNAPSON4探針プローブステイションにより、CMP前後のウェハの質量の差により、除去速度を決定する。
【0114】
NAPSON4探針プローブステーションを用いて39ポイントの直径走査(範囲)により、除去速度の半径方向の均一性を評価する。
【0115】
金属フィルムで被覆したウェハのCMP用の標準消耗品:
Coフィルム:Tiライナ上の2000 A PVD Co(AMT製);
pH複合電極(Schott、ブルーライン22pH電極)を用いて、pH値を測定する。
【0116】
Co静的エッチング速度(Co−SER)の決定の標準手順:
下記のようにCo−SER実験を行った。2.5x2.5cm PVD Co(AMT製)をカットし、脱イオン水で洗浄した。4探針プローブを用いて、Coフィルムの厚さ(d前)を測定した。0.5%のH2O2で新しく調製したスラリー400mlをビーカーに入れ、その後に50℃まで加熱した。Co試験片を該スラリー中に、入れ、3分間浸した。その後、該試験片を洗浄して、N2で乾燥した。また、同じ装置を用いて、Coフィルムの厚さ(d後)を測定した。以下の式により、Co−SERを決定した:
【0117】
SER(A/分)=(d前−d後)/3
【0118】
スラリー調製の標準手順:
超純水中に所要の量のグリシンを溶解することにより、10質量%のグリシンの水溶液を調製する。20分攪拌した後、4.8質量%KOH水溶液を添加することにより、溶液を中和し、pHを8.05±0.1まで調整する。濃度を調整するために、残りの水を添加してもよい。超純水中に所要の量の置換芳香族化合物(B)を溶解し、全ての固体置換芳香族化合物が溶解するまで30分攪拌することにより、1質量%のそれぞれの置換芳香族化合物(B)の水性原液を調製する。
【0119】
実施例のCMPスラリーを調製するために、グリシン(アミノ酸(C))溶液、置換芳香族化合物(腐食防止剤(B))溶液を混合し、攪拌しながら、コロイドシリカ粒子溶液((A)、例えばFuso(登録商標)PL3の20%原液)を添加する。研磨剤(A)の所要の量の添加を完了した後、分散系をさらに5分攪拌する。その後、4.8質量%KOH水溶液を添加することにより、pHを8.3±0.1まで調整する。CMPスラリーの濃度を下記の表2及び表3の実施例及び比較例中の値に調整するために、攪拌しながら、残りの水を添加する。その後、室温で、0.2μmのフィルターを通過させることにより、分散液を濾過した。スラリーをCMPに使用する前の1〜15分の直前に、所要の量のH
2O
2(D)を添加する。
【0120】
実施例に使用した無機粒子(A)
35nmの平均一次粒子径(d1)、70nmの平均二次粒子径(d2)(Horiba器具を介して、動的光散乱技術を用いて決定した)、及び約46m
2/gの比表面積を有するコクーン状のコロイドシリカ粒子(A1)(例えば、Fuso(登録商標)PL−3)を使用した。
【0121】
表1:コクーン状シリカ粒子(A)の粒子形状分析の実験結果
【0122】
【表1】
【0123】
粒子形状の特徴付けの手順
20質量%固形分を有する水性コクーン状シリカ粒子分散系を炭素ホイル上に分散させ、乾燥させた。エネルギーフィルタ型透過電子顕微鏡(EF−TEM)(120キロボルト)及び走査型電子顕微鏡二次電子画像(SEM−SE)(5キロボルト)を用いて、乾燥した分散系を分析した。2k、16ビット、0.6851nm/画素の解像度を有するEF−TEM画像(
図4)を分析に使用した。ノイズ抑制後の閾値を使用して、画像を2値化処理した。その後、粒子を手作業で分離した。重なり粒子及びエッジ粒子を、識別し、分析に使用しなかった。上記で定義したECD、形状係数及び球形度を計算し、統計的に分類した。
【0124】
A2は、約90g/m
2の比表面積、35nmの平均一次粒子径(d1)及び
75nmの平均二次粒子径(d2)(Horiba器具を介して、動的光散乱技術を用いて決定した)を有する凝集粒子(例えば、Fuso(登録商標)PL−3H)を使用)である。
【0125】
表2:実施例1〜4及び16〜27、並びに比較例V1〜V4のCMP組成物、これらの組成物を用いて、200mmCoウェハの化学機械研磨プロセス中の、それらのpH値、pH変動、濃度変動、Co−SERデータ、及びそれらのCo−MRRデータ、ここで、CMP組成物の水性媒体(E)は脱イオン水である。成分(A)、(B)、(C)及び(D)の量は、対応するCMP組成物の質量に対する、質量パーセント(質量%)で表示する。(E)以外の成分の量が合計でCMP組成物のy質量%である場合、したがって、(E)の量はCMP組成物の(100−y)質量%である。
【0126】
【表2】
【0127】
表3:実施例5〜15及び比較例V5〜V8のCMP組成物のCo−SER(静的エッチング速度)[Å/分]:
【0128】
【表3】
【0129】
本発明によるCMP組成物は、表2及び表3に示す実施例によって実証できるように、コバルト材料除去速度(MRR)[Å/分]の点で向上した研磨性能を示し、かつ、Coエッチング速度の大幅な低下を示している。