特許第6721306号(P6721306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721306
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】硬さ試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/42 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   G01N3/42 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-178032(P2015-178032)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-53732(P2017-53732A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】澤 健司
(72)【発明者】
【氏名】輿水 文比古
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−323422(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0198797(US,A1)
【文献】 特開2000−180330(JP,A)
【文献】 特開2003−004613(JP,A)
【文献】 特開2010−243251(JP,A)
【文献】 特開2013−050382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00−3/62
G02B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみを用いて試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記試料の表面に光を照射してスポットを有する照光パターンを形成する照光部と、
前記試料の表面における、前記照光部により形成された前記照光パターンのスポットの位置を試験ポイントとして、当該試験ポイントに前記圧子の頂点の垂線が重なった状態で前記圧子を前記試料に接触させてくぼみを形成させる制御部と、
を備え、
前記照光部は、互いに近づく方向に向けて光を出射する二つの光源を備え、
前記二つの光源から出射された光が交差する点である前記スポットに前記圧子の頂点の垂線が位置するように構成され、
前記制御部は、予め記憶された試料の厚みに基づいて、前記二つの光源から出射された光が交差する点と試料の表面とが重なるように前記試料の高さ位置を制御することを特徴とする硬さ試験機。
【請求項2】
前記二つの光源から出射された光は、帯状であることを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
【請求項3】
前記照光部は、レーザ光を出射する光源を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬さ試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬さ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の表面に圧子を押し込んでくぼみを形成し、そのくぼみの寸法を計測することにより、或いは当該くぼみ形成時の圧子の押し込み深さを計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機が知られている。
こうした硬さ試験機においては、圧子の押し込みを開始する前、押し込み位置(試料の試験ポイント)が圧子の真下になっているかを確認する必要がある。例えば、ロックウェル硬さ試験機やブリネル硬さ試験機の場合、押し込み機構部直下に配置された上下ステージを上昇させながら試験ポイントを圧子に近づけ目視にて確認する方法がある。また、ビッカース硬さ試験機の場合、試験機のくぼみ長さ測定用顕微鏡を用いて、試料表面全体を見渡しつつ試験ポイントを所定位置に合わせる方法がある。
しかしながら、目視で確認する方法の場合、押し込み方向に対して直上ではなく斜め側方から観察しつつ試料と圧子を接近させる作業を行うため、期待する位置に対してずれが生じる可能性があり、且つ調整に手間が掛かる。
また、顕微鏡で確認する方法の場合、まず低倍率の対物レンズを使用して、おおよその試料の試験位置を特定したうえで、高倍率の対物レンズに切り替えて試料の試験位置を特定する必要があり、調整に手間が掛かる。また、高倍率の対物レンズのみを使用することとすると、その視野が狭いため、試料の試験位置を特定するのは困難である。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1には、試料の試験ポイントを一度で確実に決めることを目的として、圧子軸と同心円状に取り付けられた複数の光源により試料の表面にリング状の照光パターンを形成し、試料の試験ポイントがその照光パターンの中心となるように試料を微調整して位置合わせする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4750314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、試料の試験ポイントが照光パターンの中心となるよう目測で調整するため、依然として調整した位置が実際の試験ポイントからずれる可能性があった。
【0006】
本発明の課題は、試験ポイントの調整作業が容易であって、調整した試験ポイントにずれることなく実際の試験を実行することができる硬さ試験機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、
試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみを用いて試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記試料の表面に光を照射してスポットを有する照光パターンを形成する照光部と、
前記試料の表面における、前記照光部により形成された前記照光パターンのスポットの位置を試験ポイントとして、当該試験ポイントに前記圧子の頂点の垂線が重なった状態で
前記圧子を前記試料に接触させてくぼみを形成させる制御部と、
を備え、
前記照光部は、互いに近づく方向に向けて光を出射する二つの光源を備え、
前記二つの光源から出射された光が交差する点である前記スポットに前記圧子の頂点の垂線が位置するように構成され、
前記制御部は、予め記憶された試料の厚みに基づいて、前記二つの光源から出射された光が交差する点と試料の表面とが重なるように前記試料の高さ位置を制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の硬さ試験機において、
前記二つの光源から出射された光は、帯状であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の硬さ試験機において、
前記照光部は、レーザ光を出射する光源を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、試験ポイントの調整作業が容易であって、調整した試験ポイントにずれることなく実際の試験を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る硬さ試験機の全体図である。
図2】第1の実施の形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
図3図2の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
図4】試料の移動を説明するための図である。
図5】第2の実施の形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
図6図5の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
図7】第1及び第2の実施の形態に係る硬さ試験機の変形例について説明するための模式図である。
図8】第3の実施の形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
図9図8の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
図10図8の試験機本体の要部構成を説明するための図である。
図11】第3の実施の形態に係る硬さ試験機の変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る硬さ試験機の全体図である。
図2は、図1の硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。図3は、図2の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
【0018】
図1図3に示すように、硬さ試験機100は、試験機本体10と、制御部17と、操作部18と、モニター19と、を備えて構成されている。
かかる硬さ試験機100は、例えば、ロックウェル硬さ試験機である。なお、以下の説明において、図1、3におけるX方向を左右方向とし、Y方向を前後方向とし、Z方向を上下方向とする。また、X−Y面を水平面とする。
【0019】
試験機本体10は、例えば、試料Sに対して光を照射する光源(照光部)11と、試料Sを水平方向に移動させるためのXYステージ(移動部)12と、XYステージ12を昇降する上下ステージ13と、試料Sにくぼみを形成する圧子14aを備えた圧子軸14と、を備えて構成されている。
【0020】
光源11は、例えば、LD(Laser Diode)等を備え、レーザ光を発生させて出射する。光源11は、圧子軸14と並列に設けられ、Z方向、即ち圧子軸14の移動方向と略平行な方向に向かって光を出射し、下方に位置する試料Sに光を照射する。かかる光源11により、XYステージ12に載置された試料Sの一点にスポット状の照光パターンが表示されるようになっている。本実施形態では、試料Sの表面における、光源11により形成されたスポットの位置が試験ポイントとなる。
なお、装置構成を安価にする観点から、上記したように、光源11としてレーザ光を発生するものを用いることとするが、これ以外にも、例えば、ハロゲンやLED(Light Emitting Diode)などの光源を用いることもできる。
【0021】
XYステージ12は、その上面が試料Sを載置可能な試料載置部121であり、X方向に移動可能な第1ステージ12aと、Y方向に移動可能な第2ステージ12bとを備えた公知の構成を有する。XYステージ12は、制御部17が出力する制御信号に応じて駆動され、載置された試料SをX−Y方向にスライド移動させる。これにより、試料Sの表面の試験ポイントが、圧子14aの頂点の垂線と重なる状態となるように、試料Sを移動させることができる。
【0022】
上下ステージ13は、制御部17が出力する制御信号に応じて駆動され、XYステージ12をZ方向に移動させる。
【0023】
圧子軸14は、制御部17が出力する制御信号に応じて駆動される負荷機構部により試料Sに向けて移動され、先端部に備えた圧子14aを試料Sの表面に所定の試験力で押し付ける。これにより、試料Sの表面にくぼみが形成される。
使用される圧子14aとしては、例えば、先端半径0.2mmで先端角120度の円錐のダイヤモンド圧子や、1/16インチ、1/8インチなどの鋼球を用いた圧子などが挙げられる。
【0024】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)171と、RAM(Random Access Memory)172と、記憶部173と、を備えて構成され、記憶部173に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の硬さ試験を行うための動作制御等を行う機能を有する。
【0025】
具体的に、CPU171は、記憶部173に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM172に展開して実行することにより、硬さ試験機100全体の制御を行う。
【0026】
RAM172は、CPU171により実行された処理プログラム等をRAM172内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0027】
記憶部173は、例えば、プログラムやデータ等を記憶する記録媒体を有しており、CPU171が硬さ試験機100全体を制御する機能を実現させるための各種データ、各種処理プログラム、これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
例えば、記憶部173には、予め、試料載置部121の上面における、光源11からの光により照光パターンのスポットが形成される位置と、圧子14aの頂点の垂線が通る位置との相対位置座標が記憶されており、CPU171は、これに基づきXYステージ12を移動させる。
【0028】
操作部18は、キーボードやマウス等を備えて構成され、硬さ試験を行う際のユーザによる入力操作を受け付ける。操作部18は、ユーザによる所定の入力操作を受け付けると、その入力操作に応じた所定の操作信号を生成して、制御部17へと出力する。
例えば、操作部18は、ユーザが、硬さ試験機100による硬さ試験を実施する際の試験条件を入力する操作を受け付ける。試験条件値とは、例えば、試料Sの材質、圧子14aにより試料Sに負荷される試験力(N)、光源11と圧子14aとの位置座標の値などである。
【0029】
モニター19は、例えば、LCD(liquid crystal display)などの表示装置により構成されている。モニター19は、操作部18において入力された硬さ試験の試験条件、及び硬さ試験の結果等を表示する。
【0030】
次に、本実施形態に係る硬さ試験機100の試験ポイントの位置合わせの方法について説明する。
先ず、ユーザは、XYステージ12の上面に硬さ試験の対象となる試料Sを載置し、光源11から試料Sに対して光を照射させる。そして、光のスポット状の照光パターンを指標として、試料Sの所望の試験ポイントがこれに一致するように微調整を行う。これにより、スポットの位置が試験ポイントPとなる。
この状態において、ユーザが試験開始の指示を行うと、図4に示すように、制御部17はXYステージ12を記憶部173に記憶された位置座標に基づいて移動させる。これにより、試料Sの試験ポイントPが、圧子14aの頂点の垂線Lの位置に重なるようになる。
その後、制御部17は、圧子14aを動作させて試料S表面の試験ポイントにくぼみを形成させ、所定のデータ解析を実行して、試料Sの硬さを算出する。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、試料Sの表面に圧子14aにより所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみを用いて試料の硬さを測定する硬さ試験機100において、試料Sの表面に光を照射してスポットを有する照光パターンを形成する光源11と、試料Sの表面における、光源11により形成された照光パターンのスポットの位置を試験ポイントとして、当該試験ポイントに圧子14aの頂点の垂線が重なった状態で圧子14aを試料Sに接触させてくぼみを形成させる制御部17と、を備える。
このため、試料Sの所望の試験ポイントにスポット状の光を照射させて試験ポイントの確認を行った後、その確認した試験ポイントにくぼみを形成することで、簡単な調整作業でありながら、試験前に調節した試験ポイントからずれることなく、試験を実行することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、試料Sを載置する試料載置部121と、試料載置部121を水平方向に移動させるXYステージ12と、を備え、光源11は、圧子14aと並列に設けられ、上下方向と略平行に光を出射する一の光源であって、制御部17は、試料Sの表面における試験ポイントに圧子14aの頂点の垂線が位置するように、XYステージ12により試料載置部121を水平方向に移動させる。
このため、光源11と圧子14aが重ならない装置構成のため、試験ポイントの確認を行いやすくすることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、XYステージ12は、試料載置部121を水平面内の二方向に往復移動可能であって、圧子14aの位置と、照光パターンのスポットが形成される位置との相対位置座標を記憶する記憶部173を備え、制御部17は、記憶部173に記憶された相対位置座標に基づいて、XYステージ12により試料載置部121を移動させる。
このため、試験前に調節した試験ポイントからずれることなく、試験を実行することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、光源11は、レーザ光を出射するレーザ光源である。
このため、装置構成を安価にすることができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
なお、第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5は、第2の実施の形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。図6は、図5の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
【0036】
図5、6に示すように、硬さ試験機200は、試験機本体20と、制御部27と、操作部18と、モニター19と、を備えて構成されている。
【0037】
試験機本体20は、第1の実施の形態のXYステージ12の代わりに、試料Sを載置した状態で左右方向に移動可能に構成された試料台22を備えている。
なお、試験機本体20のそれ以外の構成は、第1の実施の形態の試験機本体10と同一である。
【0038】
試料台22は、試料Sを載置する試料載置部22aと、試料載置部22aを下方から支持し、当該試料載置部22aを左右方向にスライド移動させる移動ステージ22bと、を備えている。
【0039】
制御部27は、CPU271と、RAM272と、記憶部273と、を備えて構成される。CPU271、RAM272、記憶部273それぞれの基本的な構成及び機能は、CPU171、RAM172、記憶部173と同一である。
本実施の形態の記憶部273においては、予め、試料載置部22aの上面における、光源11からの光により照光パターンのスポットが形成される位置と、圧子14aの頂点の垂線が通る位置とのX方向の相対距離が記憶されており、CPU271は、これに基づき移動ステージ22bを駆動させることで、試料Sの表面における試験ポイントに、圧子14aの頂点の垂線が位置するように、試料Sを水平方向に移動させることができる。
【0040】
次に、本実施形態に係る硬さ試験機200の試験ポイントの位置合わせの方法について説明する。
先ず、ユーザは、試料台22の試料載置部22aの上面に試料Sを載置し、光源11から試料Sに対して光を照射させた状態で、光のスポット状の照光パターンと試料Sの所望の試験ポイントが一致するように微調整を行う。これにより、スポットの位置が試験ポイントとなる。
この状態において、ユーザが試験開始の指示を行うと、制御部27は移動ステージ22bを記憶部273に記憶された距離だけ移動させることで試料載置部22aを移動させ、試料Sの所望の試験ポイントと圧子14aとを対向させる。
その後、制御部27は、圧子14aを動作させて試料S表面の試験ポイントにくぼみを形成させ、所定のデータ解析により、試料Sの硬さを算出する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、硬さ試験機200は、試料Sを載置する試料載置部22aと、試料載置部22aを下方から支持した状態で水平面内の一方向に往復移動可能な移動ステージ22bと、を備えた試料台22を備える。
このため、試料Sの所望の試験ポイントに光を照射させて試験ポイントの確認を行った後、その確認した試験ポイントに正確にくぼみを形成できることとなる。
【0042】
なお、上記第2の実施の形態においては、試料台22は、試料載置部22aが移動ステージ22bにより移動する構成を例示して説明したが、試料載置部22aをユーザが手動で移動させる構成としても良い。この場合、図示は省略するが、例えば、左右の所定箇所にストッパーを備えたステージにより試料載置部22aを支持し、ユーザがステージ上で試料載置部22aをスライド移動させるように構成すれば良い。
かかる構成の場合、先ず、ユーザは、試料載置部22aを一のストッパーに当接させて試料載置部22aに試料Sを載置し、光源11から試料Sに対して光を照射させた状態で、光の照光パターンと試料Sの所望の試験ポイントが一致するように微調整を行う。次いで、ユーザは、試料載置部22aをステージ上でスライド移動させて他のストッパーに当接させる。
【0043】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、試料S(XYステージ12又は試料台22)が水平面内を移動する構成を例示して説明したが、試料Sと、光源11及び圧子14aとの相対的な位置関係を変更できるものであれば、試料S(XYステージ12又は試料台22)が固定され、光源11及び圧子14aが水平面内を移動する構成であっても良い。
【0044】
この構成としては、例えば、図7に示すように、試験機本体20Aは、試料Sを載置する試料載置部28と、圧子14aを水平方向に移動させるターレット(移動部)29と、を備える。また、ターレット29には、圧子14aと並列に設けられ、上下方向と略平行に光を出射する一の光源11も搭載される。制御部27は、試料Sの表面に光源11によりスポット状の光を照射させて試験ポイントの確認を行った後、ターレット29の回転により圧子14aを水平方向に移動させ、試験ポイントに、圧子14aの頂点の垂線が位置するようにする。
【0045】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
なお、第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8は、第2の実施の形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。図9は、図8の硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。図10は、本実施の形態の試験機本体の要部構成を示す図である。
【0046】
図8、9に示すように、硬さ試験機300は、試験機本体30と、制御部37と、操作部18と、モニター19と、を備えて構成されている。
【0047】
試験機本体30は、例えば、試料Sに対して光を照射する2つの光源(照光部)31,32と、試料Sを載置する試料台33と、試料台33を昇降する上下ステージ34と、試料Sにくぼみを形成する圧子14aを備えた圧子軸14と、を備えて構成されている。
【0048】
2つの光源31,32は、例えば、LD等を備え、レーザ光を発生させて出射する。
図10に示すように、2つの光源31,32は、その下端が互いに近づく方向に傾いて設置され、2つの光源31,32から出射された光は、互いに近づく方向に延びて圧子14aの真下、即ち、圧子14aの頂点の垂線上で交わるように設定されている。
【0049】
試料台33は、上面が試料Sを載置可能な水平面に形成された台座であり、上下ステージ34に支持されている。
【0050】
上下ステージ34は、制御部37が出力する制御信号に応じて駆動され、試料台33をZ方向に移動させる。上下ステージ34は、2つの光源31,32から出射された光が交わった点が試料Sの表面に位置するように試料台33の高さを調整するものであって、これにより、試料台33に載置された試料Sの一点にスポット状の照光パターンが表示される。
【0051】
制御部37は、CPU371と、RAM372と、記憶部373と、を備えて構成される。CPU371、RAM372、記憶部373それぞれの基本的な構成及び機能は、CPU171、RAM172、記憶部173と同一である。
本実施の形態の記憶部373には、試験前に、予め試料S表面の高さ(試料Sの厚み)が記憶されており、CPU371は、これに基づき上下ステージ34の高さを調節することで、試料S表面上にスポット状の照光パターンを表示させる。
【0052】
次に、本実施形態に係る硬さ試験機300の試験ポイントの位置合わせについて説明する。
先ず、ユーザは、試料台33の上面に試料Sを載置する。
次いで、ユーザの指示により、制御部37は、2つの光源31,32から試料Sに対して光を照射させ、上下ステージ34により試料台33をZ方向に移動させて、試料台33に載置された試料Sの一点にスポット状の照光パターンを表示させる。
その状態においてユーザは、光の照光パターンと試料Sの所望の試験ポイントが一致するように微調整を行う。
その後、ユーザの指示により、制御部37は、圧子14aを動作させて試料S表面の試験ポイントにくぼみを形成させ、所定のデータ解析により、試料Sの硬さを算出する。
【0053】
以上のように、本実施の形態によれば、硬さ試験機300は、互いに近づく方向に向けて光を出射する二つの光源31,32を備え、二つの光源31,32から出射された光が交差する点であるスポットに圧子14aの頂点の垂線が位置するように構成され、制御部37は、二つの光源31,32から出射された光が交差する点と試験ポイントとが重なるように試料Sの高さ位置を制御する。
このため、試料Sの所望の試験ポイントにスポット状の光を照射させて試験ポイントの確認を行った後、その確認した試験ポイントにくぼみを形成できるので、簡単な調整作業でありながら、試験前に調節した試験ポイントからずれることなく、試験を実行することができる。
【0054】
なお、上記第3の実施の形態においては、2つの光源31,32から線状の光を出射する構成を例示して説明したが、図11に示すように、2つの光源31,32から、帯状のレーザ光を出射するよう構成することもできる。
このように構成することで、高さの制限が緩和され、高さ方向においてある幅の区間で光のラインが交わり、その交点(スポット)を試験ポイントとすることができる。
【0055】
また、上記第1〜第3の実施の形態においては、ロックウェル硬さ試験機を例示して説明したが、本発明を適用可能な硬さ試験機としては、これ以外にも例えばビッカース硬さ試験機などであっても良い。
【符号の説明】
【0056】
100、200、300 硬さ試験機
10、20、20A、30 試験機本体
11、31、32 光源(照光部)
121、22a、28 試料載置部
12 XYステージ(移動部)
22b 移動ステージ(移動部)
29 ターレット(移動部)
14a 圧子
14 圧子軸
17、27、37 制御部
S 試料
P 試験ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11